著者
西口 栄子 伊ケ埼 理佳 鈴木 幸江 藤野 富久江 渡部 恵子
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.314-321, 1995-07-30
被引用文献数
10

市販の各種清涼飲料水の歯牙エナメル質におよぼす影響を観察した。その結果、(1)各種清涼飲料水116銘柄について,そのpHを測定した結果,コーヒー飲料,ミルク入り紅茶飲料,茶飲料を除いて 他の清涼飲料水のpHは,2.3〜4.9の強酸性であった。(2)10銘柄の清涼飲料水に歯牙(中切歯)を浸漬して,エナメル質の脱灰状態を観察した結果,果汁入り清涼飲料水,無果汁清涼飲料水共に,pH 2.3〜3.7の清涼飲料水では,浸潰後1分間でエナメル質の脱灰が観察された。(3)1mM,10mM,100mMの乳酸および塩酸溶液に歯牙を浸漬して,エナメル質の脱灰状態を観察した結果,乳酸溶液塩酸溶液共に,1mMの濃度でエナメル質は脱灰した。その脱灰の程度は,塩酸溶液の方が強かった。これらの結果から,強酸性の清涼飲料水によって,歯牙エナメル質は脱灰し,その脱灰は,低pHによって起ると考える。
著者
鈴木 晃志郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

1990年代に飛躍的な進歩を遂げたICT(情報通信技術)は、誰もがウェブ上で情報交換できる時代をもたらした。いまや紙地図は急速にウェブや携帯端末上で閲覧できる電子地図へと主役の座を明け渡しつつある。二者の決定的な違いは、地理情報を介した情報伝達が双方向性をもつことである。Google Mapなどの電子地図とLINEやFacebookなどのコミュニケーションツールの連携で、利用者はタグや文章、写真を貼り付けてオリジナルの主題図を作成でき、不特定多数に公開できるようになった。また、OpenStreetmapなどに代表される参加型GISの領域では、官公庁や製図家に限られていた地理情報基盤整備の局面における、一般人の参画を可能にしつつある。<br> しかし、こうしためざましい技術革新に比して、利用者側に要求されるモラルや責任、リテラシーについての議論は大きく立ち後れている。阪神大震災の教訓を踏まえ、電子地理情報の基盤整備に尽力してきた地理学者たちは、2007年に制定された「地理空間情報活用推進基本法」に貢献を果たすなど、電子国土の実現に深くコミットしてきた。電子地理情報の利活用におけるユビキタス化は、その直接・間接的な帰結でもある。ゆえに、ユビキタス・マッピング社会の実現は、地理学者により厳しくその利活用をめぐるリスクや課題も含めて省察することを求めているといっても過言ではない。本発表はこうした現状認識の下、地理学者がこの問題に関わっていく必要性を大きく以下の3点から検討したい。<br><br>(1)地図の電子化とICTの革新がもたらした地理情報利用上の課題を、地理学者たちはどう議論し、そこからどのような論点が示されてきたのかを概観する。この問題を論じてきた地理学者は、そのほとんどが地図の電子化がもたらす問題を「プライバシーの漏洩」と「サーベイランス社会の強化」に見ており、監視・漏洩する主体を、地理情報へのアクセス権をコントロールすることのできる政府や企業などの一握りの権力者に想定している。本発表ではまず、その概念整理を行う。<br><br>(2)地理学における既往の研究では、地理情報へのアクセスや掲載/不掲載の選択権を、一握りの権力(企業や行政、専門家)が独占的にコントロールできることを主に問題としてきた。しかし、逆にいえば、権力構造が集約的であるがゆえに、それら主体の発信した情報に対する社会的・道義的責任の所在も比較的はっきりしており、そのことが管理主体のリテラシーを高める動機ともなり得た。これに対し、ユビキタス・マッピング社会の到来は (A)個人情報保護に関する利用者の知識や関心が一様ではない、(B)匿名かつ不特定多数の、(C)ごく普通の一般人が情報を公開する権力を持つことを意味する。それでいて、情報開示に至るプロセスには、情報提供を求めてプラットフォームを提供する人間と、求めに応じて情報提供する人間が介在し、一個人による誹謗中傷とも趣を異にした水平的な組織性も併せ持っている。ユビキタス・マッピング社会は、そんな彼らによって生み出される時にデマや風聞、悪意を含んだ情報を、インターネットを介してカジュアルに、広く拡散する権力をも「いつでも・どこでも・だれでも」持てるものへと変えてはいないだろうか。本発表では、ある不動産業者が同業他社あるいは個人の事故物件情報を開示しているサイトと、八王子に住む中学生によってアップロードされた動画に反感を抱いた視聴者たちが、アップロード主の個人情報を暴くべく開設した情報共有サイトの例を紹介して、さらに踏み込んだ検討の必要性を示す。<br><br>(3)地理情報をめぐるモラルや責任の問題は、端的には情報倫理の問題である。本発表で示した問題意識のうち、特にプライバシーをめぐる問題は、コンピュータの性能が飛躍的に向上した1980年代以降に出現した情報倫理(Information ethics)の領域で多く議論されてきた。本発表では、これら情報倫理の知見からいくつかを参照しながら(2)で示された論点を整理し、特に地理教育的な側面から、学際的な連携と地理学からの貢献可能性を探ることを試みる。<br>
著者
鈴木 大慈
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.28-33, 2018-12-21 (Released:2019-03-31)
参考文献数
20
被引用文献数
2
著者
鈴木 昌子
出版者
山野美容芸術短期大学
雑誌
山野研究紀要 (ISSN:09196323)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.39-51, 1998-03-25

江戸時代(1603〜1868)は日本文化が中国大陸からつぎつぎともたらされる文物の刺激を受け,豊かに発展した時代である。それは平和な鎖国的環境のもとで成熟期を迎えるとともに,新たに明・清あるいは西洋からの影響も加わって,いろいろな風俗習慣が生まれたのである。日本人は外国からの異文化を和風文化として育てあげ,次に来る文化もまた異文化を捉えて,再度それを和風文化として取り入れてしまう国民なのである。その結果江戸時代は,欧米の文化と東アジア文化が複雑に入りまじった,日本文化の基礎を作ることになったのである。従って大陸での髪型も,江戸時代を通して日本に取り入れられて,日本髪を誕生させる結果となったのである。流蘇髻(図(1)参照)(りゅうそけい)は懐月堂安度とその一門が活躍した時代,また鬆鬢扁髻(しょうびんへんけい)(図(5)参照)は喜多川歌麿の理想の美人の髪を飾った燈籠鬢(とうろうびん)(図(4)参照)であるが,結局日本髪の誕生は中国文化受容の結果であったといえる。
著者
桑島新右衛門尉 仲綱 鈴木 主膳介道重 水澤 清五郎
巻号頁・発行日
1595

参考文献・白井恒三郎著「日本獣医学史」(文永堂)1944年 p75-80 ・「日本獣医史学雑誌」第13・14合併号1980年 ・「馬の文化叢書 第7巻」(馬事文化財団)1994年 p473-503に再録
著者
鈴木 禄彌
出版者
北海道大学大学院法学研究科
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.233-266, 2005-03-18
著者
国里 愛彦 山口 陽弘 鈴木 伸一
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.324-334, 2008-03-31
被引用文献数
3

現在盛んに研究がなされているパーソナリティモデルにCloningerの気質・性格モデルとBig Fiveモデルの2つのモデルがある。しかし,2つのモデル間の関連性についての研究は少ない。そこで,本研究は,気質・性格モデルとBig Fiveモデルとの関連を検討することを目的とした。大学生457名を対象にTemperament and Character lnventory(TCI)とBig Five尺度を実施した。その結果,TCIとBig Five尺度は強い関連を示し,気質・性格モデルはBig Fiveモデルの説明を行うことが可能であることが示唆された。また,外向性を除くBig Fiveモデルの各因子の説明には,気質だけでなく性格が必要であることが示唆された。最後に,気質・性格モデルの観点からBig Fiveモデルの各因子の特徴について論議された。
著者
鈴木 増雄
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.880-883, 1995-11-05

学部学生時代から30数年ご指導を受けてきた久保亮五先生が去る3月31日に他界されて,もう3ヵ月が過ぎたが,今もって先生が身近に居られていつでもお逢いできるような気がしてならない.学部3年のときに受講した久保先生の熱力学・統計力学の講義は必ずしもわかり易くはなかったが,今でも思い出せるほど印象深い講義であった.それは,第一線で独創的な研究を行い,すでに世界的な業績をあげた物理学者の真摯な姿勢の窺える講義であった.
著者
鈴木 朋子 山東 勤弥 Tomoko SUZUKI Kinya SANDO
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 = Research Bulletin of Osaka Shoin Women's University
巻号頁・発行日
vol.6, pp.253-263, 2016-01-31

本研究は、広くダイエット法として普及している低炭水化物ダイエット(Low Carbohydrate Diet: LCD)の 減量効果および安全性について検討することを目的とする。方法は、1)LCD の方法について概観し、2)LCD の体 重減少効果について報告した学術論文を収集し、文献的に検討した。その結果、LCD の特徴は、炭水化物(糖質)を 含む食品の摂取は制限するが、たんぱく質および脂質を主成分とする食品に対する制限は設けられていなかった。医 学系学術論文データベースを用いて検索し、21 論文を検討対象とした。体重減少効果は、1)観察期間が長いほど、 2)炭水化物熱量比が低いほど、高くなる傾向が観察された。また、3)Blackburn の体重減少の評価法を参照する と、約70%の研究で高度な体重減少が観察され、安全性への疑問が示唆された。LCD は、一般的に健康的な食事と して推奨される食事の熱量構成比と大きく異なること、糖尿病性腎症患者においては腎機能を悪化させる危険を伴う ことをはじめ、適正かつ注意喚起を促す情報をあわせて普及していくことの重要性が窺われる。
著者
大脇 なぎさ 鈴木 雅和 堀口 力
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.627-632, 2014 (Released:2015-05-22)
参考文献数
15
被引用文献数
3 5

On August 6, 1945, at 8:15 am, an Atomic bomb was dropped on Hiroshima city. Many people believed that no plant would grow for 75 years. However, a few months after the bombing, new shoots were sighted on the Atomic-bombed trees. Today there are many “A-bombed trees (survivor trees)” in Hiroshima city, and they are the precious living war heritage which can tell us the history of the atomic bombing. In this study we hypothesized that the effect of the atomic bombing on these trees has increased over the last 67 years, which is shown by their inclination towards Ground Zero. In order to clarify the hypothesis, we measured the direction of inclination, angle of inclination, and the direction to Ground Zero at the point of each A-bombed tree. We also checked the significance of the relative direction by using the "Rayleigh test". In this study, we focused on the “type A trees.” This type of tree has a single stem, survived the bombing, is alive at the original location and was not transplanted after the bombing. As a result, it was clarified that almost all of the “type A” A-bombed trees are inclined towards Ground Zero. The aim of this study was to clarify the abnormal formation of A-bombed trees in the positional relationship between their respective locations and Ground Zero. As a result, we found A-bombed trees possess a new significance, which is that each of them shows the direction to Ground Zero by their inclination. When you look at the city from a bird's-eye view, you will see that Ground Zero is surrounded by A-bombed trees. When you visit A-bombed trees on foot, check the direction to Ground Zero, then you will find a certain effect of the atomic bombing on the tree. A-Bombed trees offer many possibilities as “field museums” that preserve and convey the experience of atomic bombing.
著者
河村 たかし 鈴木 亮
出版者
日経BP社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.323, pp.98-100, 2009-10

減税こそ政治家の仕事だぎゃぁ。今、世界にあって日本政治にないもの、それが減税です
著者
鈴木 正美
出版者
北海道大学スラブ研究センター
雑誌
スラブ・ユーラシア研究報告集
巻号頁・発行日
vol.1, pp.47-58, 2008-12

共産圏の日常世界. 望月哲男編
著者
荊木まき子 森田英嗣 鈴木薫 枝廣和憲
雑誌
日本教育心理学会第61回総会
巻号頁・発行日
2019-08-29

問題と目的 近年多職種連携教育は,教育領域においても緩やかにではあるが,始まりつつある(荊木・森田,2019)。しかし,教育領域における専門家である教員であっても,担任に代表される教諭や養護教諭等,異なる専門教育を受けており,またスクールカウンセラー(以下SC)やスクールソーシャルワーカー(以下SSW)に代表される他職種は,教員とは全く異なる養成教育を受けている。その中で,教育領域の多職種連携教育(IPE)を行うために,これらの異なる養成教育を受ける学生に対し,各養成校の学生がどのように多職種連携教育を学び,理解するのかについては,明らかにされていない。 もし,各養成学生間に専門性理解の違いが存在するならば,それを明らかにすることは,教育領域における多職種連携教育にとって,重要な示唆を与えるだろう。従って本研究では,小学校教員養成課程,養護教諭養成課程,SC養成として臨床心理士(公認心理師)養成課程の学生に模擬ケース会議(荊木・森田・鈴木,2015)を行い,その事前・後に学校内における専門家の専門性を記述してもらうことで,各養成学生の専門性理解の現状、及び模擬ケース会議の専門性理解に及ぼす結果を検討した。方 法研究協力者:小学校教員養成課程学生(以下<教員>)10名,養護教諭養成課程学生22名(以下<養護教諭>)は教育実習前,臨床心理士養成課程学生は11名(以下<臨床心理士>)内7名が学校実習後であった。実施時期:小学校教員養成課程・養護教諭養成課程は2015年1月,臨床心理士養成課程は2017年11月に行った。実施方法:中学2年生のリストカット事例による模擬ケース会議を各養成校で行い,事前・後にて,会議に登場する養護教諭,担任,管理職,SC,SSWによる5つの役割の専門性を自由記述してもらった。事後は,事前の記述に書き足す形で行った。分析方法:役割毎の自由記述による専門性から共通する項目を書き出し,項目数を養成学生毎に数えた。事後は新たな学習知見と見なし,累積数とした。これらの合計項目数を事前・後毎に比較して傾向を見た。各学生による事前・後毎の全専門性記述項目数はχ2検定,他の事前・後の項目数は直接確率検定にて検定を行った。また,各養成学生の自職種と他職種の専門性記述項目数を比較した。結 果 養成校毎の記述項目数を,Figure 1に示す。 <教員>は事前において,自職種である担任の専門性の記述項目数が他職種と比較して多い反面,全記述項目数では,他の養成学生と比較して少なかった(χ2(2)=14.58,P<.01)。事後では,全記述項目数が増加していた(P<.05)。特に,管理職の記述項目数が増加した(P<.05)。<養護教諭>は, 事前・後とも自職種である養護教諭の専門性の記述項目数が,他と比較して多く見られた。<臨床心理士>は,事前・後とも自職種であるSCの専門性の記述項目数が,他と比較して多く,特に事前では,SSWの記述項目数に差が見られ(P<.05),事後には有意傾向となった。以上より,事前・後に,各養成校の自職種の記述項目数が他職種と比較して,<教員>の事後の管理職以外は多く答えていた。 考 察 全体として事後に,各養成校の合計数が増加し,<教員>に有意差が見られたことから,模擬ケース会議学習効果が考えられた。特に管理職の仕事を<教員>の仕事として認識したと考えられた。他の<養護教諭>や<臨床心理士>の専門性理解に有意差がなかった理由として,事前に自他の職種をある程度理解し,事後も記述数の増加傾向があるものの,差が出るまでには至らなかったと考えられた。この<教員>と<養護教諭>・<臨床心理士>の理解差は,先行研究での教員養成の学生は教員が中心となり支援を行う認識を持つ傾向があること(森川・岩山,2019)を考えると,<教員>の専門性理解は,事前では各専門性について理解が乏しく,多職種連携教育の学習効果が現れやすかったと考えられた。比較的自他の専門性理解の記述数が多かった<臨床心理士>も,SSWは項目記述数が少なく,事後にその専門性理解は記述数が優位傾向になることで,一定程度改善されたと考えられた。 以上より,今後多職種連携教育において,各養成校の特性に応じた部分と共通する部分を整理して学習していく必要があると考えられた。