著者
高橋 優輔 舘 知宏 横山 ゆりか
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.3-9, 2014 (Released:2015-12-01)
参考文献数
12
被引用文献数
3

本論では,キヌガサタケの網目構造の特徴を抽出し,これを満たす形状のバリエーションを生成するシステムを提案する.キヌガサタケの網目は六角形による曲面メッシュ形状として捉えられるが,従来の六角形メッシュのモデルの多くは曲面形状を決めてから均質に分割して生成される.本論で扱うキヌガサタケの形状にはバリエーションがあり,セルの密度が均質でないため,既往のものとは異なる手法が必要である.キヌガサタケでは,網目の形状とセルの密度分布が菌網内の水分分布に従うという原理が推察される.そこで均質な網目構造の各線材がある分布(乾燥度のグラデーション)に従って局所的に収縮変形し,そのつり合い状態として均質でない網目構造が生成されると仮定した.これを,回転面に沿ったボロノイ図の各線分と頂点をそれぞれバネと質点とした力学モデルによって再現し,バネの縮みと全体の変形をシミュレーションした.
著者
高橋 優基 山本 吉則 嘉戸 直樹
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.42-47, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
35

In daily life and sport situations, external stimuli can be used to control exercise. In physical therapy, periodic auditory stimulation is said to be effective at improving patients' walking ability (walking speed, stride length, and cadence). A metronome, hand clapping, and vocalization are used by therapists to deliver periodic auditory stimuli. Prediction of the rhythm is necessary to perform efficient exercise based on auditory stimuli. Reaction time and synchronization tapping tasks are used to examine the ability to perform exercise according to rhythm prediction. The mechanisms of motor control in the central nervous system are different for periodic and non-periodic movements. This study describes the results of research on motion control according to rhythm prediction based on reaction time and synchronization tapping tasks, the ability to reproduce rhythmic movements with hand clapping and foot stepping, and rhythm tasks and sensory function, and discusses clinical applications of rhythm tasks.
著者
高橋 優宏 岩崎 聡 古舘 佐起子 岡 晋一郎 西尾 信哉 宇佐美 真一
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.137-141, 2021 (Released:2021-11-25)
参考文献数
11

特発性両側性感音難聴のうち,加齢性難聴とは明らかに異なる40歳未満の遅発性難聴を発症する7つの原因遺伝子が同定され,若年発症型両側性感音難聴と定義された.診断基準は①遅発性,若年発症,②両側性,③原因遺伝子が同定されており,既知の外的要因が除かれているものである.現在,ACTG1,CDH23,COCH,KCNQ4,TECTA,TEMPRSS3,WFS1遺伝子が原因遺伝子として診断基準に示されており,70 dB以上の高度難聴であれば指定難病の申請ができる.ACTG1症例,TEMPRSS3症例のように,次世代シークエンサーによる遺伝学的検査および遺伝カウンセリングにより補聴器から人工聴覚器手術への自律的選択が可能となり,大きな福音となっている.
著者
高橋 優宏 岩崎 聡 吉村 豪兼 古舘 佐起子 岡 晋一郎 西尾 信哉 宇佐美 真一
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.129-135, 2022 (Released:2022-08-25)
参考文献数
13

一側伝音・混合性難聴症例に対し臨床研究「一側性伝音・混合性難聴に対する埋め込み型人工中耳の有効性に関する探索的臨床試験」において人工中耳(Vibrant Soundbridge®: VSB)埋込み術を4例施行した.本邦における人工中耳臨床試験(両側難聴)と同様に裸耳骨導閾値はいずれの周波数においても維持され変化がみられず,装用後6ヶ月での安全性が確認できた.さらに4例とも人工中耳臨床試験(両側難聴)と同様に良好な自由音場装用閾値を示し有効性が確認された.また,本研究における騒音下での語音弁別,方向定位検査も良好な結果であり,一側性伝音・混合性難聴症例において人工中耳VSBの有効性が示唆された.今後,本邦での適応拡大が期待される.
著者
櫻井 梓 岩崎 聡 古舘 佐起子 岡 晋一郎 小山田 匠吾 久保田 江里 植草 智子 高橋 優宏
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.321-327, 2021 (Released:2021-10-12)
参考文献数
17

人工内耳(以下,CI)装用者に対し,楽器を使用した集団的音楽トレーニングを実施し,方向感および語音聴取への効果について検討した.20歳以上のCI装用者で,かつ装用下での57-S語表での単音節の聴取成績が60%以上で,音楽トレーニング参加希望者18名のうち,検査等が実施できた14名を対象とした.全12回(1回60分×月2回)のグループレッスンで,1グループ当たり9名の2グループで実施した.音楽トレーニング前後で単音節,単語,日常会話文のいずれにおいても有意差は見られなかった.方向感検査のd値の平均も,トレーニング前後で有意差は見られなかった.また,音楽経験ありと経験なしとの2群間での検討においても,両検査ともに有意差は見られなかった.ただ,有効な症例もあったことから,詳細な評価方法,より効果的な音楽トレーニング法の構築が必要と考えられた.
著者
高橋 優樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.47, 2008

<BR>1.はじめに<BR> 本研究は,詳細な空間スケールにおける,世帯あたり自動車保有台数と車種別自動車数の分布の地域的な差異を明らかにすることを目的としている.本研究の対象地域としては,埼玉県南部地域(旧浦和・旧与野・旧大宮・戸田・蕨・鳩ヶ谷・川口)を取り上げた.本地域は東京のベッドタウンとして発展してきた経緯から,現在では東京大都市圏の北部を成しており,人口分布や交通・就業機会などの多くの側面において東京へ向かう鉄道網に大きく影響を受けている地域である(高阪・関根,2005).<BR> 自動車台数のデータとして,(財)自動車検査登録情報協会が発行する『町字別自動車保有車両数統計』を用いた.これには,メーカー別・車種別(通称名)・初度登録年別の台数が町字単位で記載されている.<BR>2.世帯あたり自動車保有台数の分析<BR> 国勢調査小地域統計を用いて,世帯あたりの自動車保有台数を求め,第1図に分布を示した.研究地域における平均世帯あたり自動車保有台数は0.91台/世帯であった.世帯あたり自動車保有台数が高い町字は,旧浦和市東部・川口市東部・旧大宮市西部など,郊外に分布がみられる.最高値は,埼玉高速鉄道線 浦和美園駅に近い,旧浦和市東部に位置する旧浦和市大字高畑(2.52台/世帯)であった.世帯あたり自動車保有台数が低い町字は,都市部に分布がみられ,川口市南西部から旧大宮市に向かうJR京浜東北線に沿っておよそ2kmの範囲内に特に密集して分布がみられる.最低値は,JR京浜東北線 蕨駅に近い川口市芝園町(0.31台/世帯)であった.よって,世帯あたり自動車保有台数の分布には「郊外で高く都市部で低い」という傾向が見られ,最高で8.1倍の地域差がみられることが明らかになった.<BR>3.車種グループ別構成割合の分析<BR> 車種別にみた自動車保有台数の地域的差異を明らかにするため,町字別自動車保有車両数統計に含まれる559車種を,価格帯を考慮して3つのグループに分類し,3グループ12車種を研究対象車種とした.<BR> 安価な価格帯(90~150万円)の車種を「普及車グループ」,高価な価格帯(300~450万円)の車種を「国産高級車グループ」,輸入車の車種を「輸入高級車グループ」として,この3グループの分布を第2図に表した.図中の円チャートのサイズは研究対象車種の台数に比例し,チャート内の割合は各車種グループが台数に占める割合を示している.<BR> 研究地域全体でみた各車種グループの構成割合は,普及車グループが48.2%,国産高級車グループが24.6%,輸入高級車グループが27.2%となっている.普及車グループの割合が48.2%より高い町字は,研究地域北部の旧大宮市に多くみられる.国産高級車グループの割合が24.6%より高い町字は,川口市の北東部や戸田市の西部などに多くみられる.輸入高級車グループの割合が27.2%より高い町字は,旧浦和市中心部や蕨市・川口市南西部など,京浜東北線や埼京線に沿った都市部に多くみられる.<BR> 以上のことから,自動車分布を車種別にみると,都市部では輸入高級車が占めるシェアが平均よりも高くなり,郊外では安価な普及車のシェアが高く,川口市東部などの都市部と郊外の中間地域では国産高級車のシェアが高いことが明らかになった.
著者
高橋 優太
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.49-66, 2016-07-31 (Released:2016-11-10)
参考文献数
10

Gentzen remarked that one of the aims of his 1935/36 consistency proofs for first-order arithmetic was to give a “finitist” interpretation for the implication-formulas in first-order arithmetic. He imposed the following requirement on such an interpretation: a “finitist” interpretation for the implication-formulas must be able to avoid the circularity of implication that was urged by himself. However, Gentzen did not present his “finitist” interpretation explicitly. Moreover, he gave no argument for its non-circularity. In this paper, first we formulate an interpretation for the implication-formulas in first-order arithmetic by using Gentzen’s 1935 consistency proof. Next, we argue that this interpretation avoids the circularity urged by Gentzen.
著者
上田 卓司 高橋 優
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.128, 2017 (Released:2017-10-16)

現代社会においては,種々のコンピュータ・ネットワークサービスを利用するためのIDやパスワードが多く必要とされ,またそれらの適切な管理運用も求められている.管理運用についての規範は多いが,それらは人間の記憶をはじめとした認知特性とはかけ離れている.本研究ではパスワード様のランダム文字列を複数生成・記憶する課題を通じ,パスワードの生成運用方略を検討することを目的とした.実験において参加者は,実験結果開示用のものを含む架空のサイト/サービス用パスワードを8つ生成し,それらランダム文字列の性質について評定することが求められた.開始前の段階では記憶課題が含まれることは参加者に告げられていなかった.実験の結果,半数以上の参加者において使い回し等,適切とされるパスワード管理運用規範からの解離が認められた.これらの結果について認知特性及び情報セキュリティの観点から論じられた.
著者
高橋 優
出版者
慶應義塾大学独文学研究室
雑誌
慶應義塾大学独文学研究室研究年報 (ISSN:09174281)
巻号頁・発行日
no.30, pp.199-216, 2013

0. 序1. 聖書計画2. 新しい神話3. 『ルツィンデ』における「感覚」4. 終りに
著者
高橋 優佳
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 = Tsukuba Studies in Literature (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.37-52, 2018-03-30

本論文では、J・K・ローリング(1965-)の『ハリー・ポッターシリーズ(1997-2007)の主人公ハリー・ポッターと、小野不由美(1960-)の『十二国記』シリーズ(1991-)の主要人物である泰麒(高里要)について比較しながら共通点と差異を見出していく。ハリーと泰麒には、身体的特徴や背負う宿命に類似点が見受けられるが、現段階で『ハリー・ポッター』シリーズと『十二国記』シリーズの類似性に関して論じている先行研究が非常に少ない。その理由として、2人の主人公の描写に、様々な共通点をも覆すような決定的な差異が存在することが考えられる。本論文における考察は、間作品が影響を受けている、C・S・ルイスの『ナルニア国物語』などの古典作品について、イギリスと日本の作家がそれぞれの地域や文化の中でどのようにして受容し変容させていったか、ということについて考察するための具体例を提供することにもつながるだろう。
著者
日野 遥 田村 卓也 杉本 大己 高橋 優輔 橋本 成広
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.858, pp.17-00368-17-00368, 2018 (Released:2018-02-25)
参考文献数
9

It is already known that micro gravity affects astronaut’s body. In contrary, hyper-gravity might affect myoblasts. In the present study, mouse muscle cells (C2C12) were cultured four five hours in hyper-gravitational environment (50 G, 100 G) using the centrifugal machine placed in the incubator. Cells were observed at the incubator microscope for 24 hours after stopping centrifugation. The contour of each cell at the time-lapse images was approximated to the ellipsoid and several parameters were calculated: the angle, the area, and the aspect ratio. Each cell tends to shrink from the extended shape under hyper-gravitational environment. The directions of the major axis at 50% of cells tilt to the parallel direction to the hypergravity. After 24 hours, 51% of cells tilt to the perpendicular direction of the hypergravity in the 50 G group. The result shows that the history of hyper-gravitational environment affects the shape of cells.
著者
日野 遥 杉本 大己 篠崎 祐輔 高橋 優輔 橋本 成広
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.858, pp.17-00166-17-00166, 2018 (Released:2018-02-25)
参考文献数
18

A parallel-piped flow channel with micro-striped patterns has been designed to study the effect of the shear field on the myoblast in vitro. The micro-pattern was manufactured with the photolithography technique and used for the scaffold of the cell culture in the flow chamber placed in the incubator on the microscope. Variation was made on the angle between the stripe of the pattern and the flow direction: 0, 45, and 90 degrees. After cultivation for 4 hours, C2C12 (mouse myoblast cell line) adhered on the micro-pattern was exposed to the shear flow for 4 hours. The wall shear stress is estimated from the parabolic velocity profile in the medium between the parallel walls. With the experimental system, the following tendencies of responses (deformation, orientation, and migration) of each cell was observed. Under the wall shear stress of < 3 Pa, each cell deforms to the round shape at first, and extends again along the stripe-pattern. Orientation of each cell is collapsed during exposure to the wall shear stress of 3 Pa, and is recovered after stopping exposure to the shear field. The results show that the experimental system is available to investigate quantitatively the effect of mechanical stress field on the oriented cell.
著者
斎藤 正明 今泉 洋 加藤 徳雄 石井 吉之 高橋 優太 斎藤 圭一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-6, 2007-01-15 (Released:2011-03-01)
参考文献数
12

濃縮試料の計数率から未濃縮試料の計数率を差し引いたものは, 正味の計数率に (濃縮倍率-1) を乗じたものである。この関係を利用して, バックグラウンド計数を差し引くことなく正味の計数率を得ることができる。トリチウムの電解濃縮測定法に適用し, その結果を検証した。環境濃度レベルにおいて, 測定値及び測定誤差は従来法と同程度であった。この測定法はトリチウム濃縮分析において実用的にも有効であることが確認できた。
著者
高橋 優輔 杉本 健太 日野 遥 橋本 成広
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.854, pp.17-00178-17-00178, 2017 (Released:2017-10-25)
参考文献数
10

Control technique of orientation of a biological cell is expected to be applied to tissue engineering. It is known that morphology of the scaffold affects the cell behavior. For example, the micro stripe pattern can control cell orientation. The effect of aspect ratio of the micro checkered pattern on cell orientation has been investigated in the present study. The dimension of each unit of the micro checkered pattern is as follows: the length is 10 μm, and the height is 0.7 μm. Variation has been made on the width of the micro pattern: 5 μm (A), 8 μm (B) and 10 μm (C). Each type of repeated micro pattern was formed in the square area of 500 μm × 500 μm. The micro pattern was made of the negative photoresist material (SU-8 2) coated on a glass plate by the photolithography technique. C2C12 (mouse myoblast cell) was cultured for 24 hours on the micro pattern. The angle between the longitudinal axis of each cell and the width of the micro pattern was measured on the microscopic image. In each pattern, the average angle was as follows: 62.8 degrees on A, 50.2 degrees on B and 41.2 degrees on C. The experimental results show that the aspect ratio of micro checkered pattern controls cell orientation.