著者
小林 光代 佐藤 郁 佐藤 香織 米田 由紀子 根本 任子 阿部 由季乃 石坂 真理子 小笠原 史子 小田 杉子 海沼 聡子 工藤 稔昭 工藤 博子 黒澤 奈保江 齋藤 江里 髙杉 尚子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.172-175, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

本稿では,秋田県鹿角市立図書館で取り組んだLINEスタンプの活動について述べる。公共図書館でLINEスタンプを制作・発売したのは当館が初めてで,市内外から多くの注目を集めた。また,LINEスタンプの制作も外部に委託することなく,職員自ら行った。待つだけの図書館ではなく,積極的な活動や取り組みが話題になっている今日の図書館界であるが,当館は移転と指定管理者導入をきっかけに,新しい広報の手法を模索し,市民に親しまれる図書館を目指して当事業を進めてきた。本文は制作の裏側や運用などについて実務的なことも含め,LINEスタンプ制作にかけた想いをまとめたものである。
著者
栗田 順子 長洲 奈月 髙木 英 渡邉 美樹 中村 裕樹 入江 ふじこ 本多 めぐみ
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.3-9, 2018 (Released:2018-02-10)
参考文献数
19

目的 2015年9月の関東・東北豪雨により,茨城県では常総市を中心に大規模な水害が発生し,多数の避難所が設置された。県では発災直後から「避難所サーベイランスシステム」を用いて,避難所における感染症の発生状況を把握したので報告する。方法 発災日の9月10日から,県庁保健予防課が中心となり,避難所サーベイランスを開始した。東日本大震災時のそれを参考として,情報収集項目は,報告日,市町村名,担当者名,避難所名のほか,急性下痢症,インフルエンザ,急性呼吸器感染症(インフルエンザ以外),創傷関連感染症,麻しん等,破傷風,その他の発症者の有無と定めた。各市町村が避難所の有症状者の発生状況を把握し,管轄保健所を通じて県庁保健予防課に報告することとした。その後,発災日の夜にはウェブ上の既存の避難所サーベイランスシステムに避難所登録を完了させ,システム入力画面に合わせて報告項目および報告様式を変更した。結果 報告項目の変更等を行いながら,行政関係者がウェブ上のシステムへ入力された情報を共有できるよう体制を整え,一次避難所が閉鎖された12月8日まで避難所サーベイランスを実施・運用した。避難所開設期間中,咳,鼻水などの急性呼吸器症状を呈する避難者が継続的に発生した避難所や11月下旬に流行性耳下腺炎の発症者が報告された避難所がみられたが,大規模な集団発生は観察されなかった。発災当日からサーベイランスを開始したことで,避難所の感染症発生状況について迅速な情報収集が可能となり,市町村や保健所の担当者間で情報を共有することが出来た。結論 今回,ただちに避難所サーベイランスを立ち上げ,その後も継続的に避難者の健康状態を継続的に監視できたことは大きな成果であった。これは,県地域防災計画に基づいて策定された茨城県保健福祉部災害対策マニュアルに,避難所サーベイランスの実施が明記されていたことによるところが大きい。一方でその実施に当たっては,細かい手順を定めておらず,報告方法や項目が二転三転した。今後の茨城県の災害,あるいは全国での災害においても,実施要項の策定が必要であると考える。またそれらを関係者が熟知し避難所開設と同時に避難所サーベイランスが稼働できるよう防災訓練の項目に盛り込むことが必要である。
著者
髙梨 一彦
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:24326925)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.97-105, 2017-03-31

パラメトリックな多変量の統計解析において用いられている(重)回帰分析や分散分析法等は、基本的な解析方法であると同時にコンピュータの利用が必須である。これらの方法は、従来、それぞれ別個の手法と考えられて教育上もそのように扱われてきている。しかしながら近年は理論的な枠組みも統一的かつ一般的になってきて、これらの方法をより一般性の高いものから考察しようという動きがある。それがGLM(General Linear Model;一般線型モデル)である。本研究では、GLMの理論的な枠組みを外国文献ならびに邦文文献によって、統計学上の理論をまとめ、統計パッケージソフトによる分析手順の違いを示した。
著者
德元 裕子 豊里 竹彦 眞榮城 千夏子 平安名 由美子 遠藤 由美子 照屋 典子 玉城 陽子 髙原 美鈴 與古田 孝夫
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.3-11, 2018

<p><b>Objective: </b>This study aimed to clarify the association between sense of filial responsibility, local residents' subjective economic status, and attachment to the local community, and to contribute to local community policies and measures including support systems for elderly in need of care and family.</p><p><b>Methods: </b>We conducted in<tt>-</tt>home interviews in 2015 in Okinawa, Japan. A total of 2,663 local residents were selected, and after invalid responses were excluded, 1,656 responses (62.2%) were analyzed. Participants were asked about demographic variables (sex, age, marital status, birth order, subjective health, living arrangement), subjective economic status, attachment to the local community, and sense of filial responsibility (such as caring for and supporting their elderly parents).</p><p><b>Results: </b>Age, marital status, birth order, and attachment to the local community were positively associated with sense of filial responsibility. Participants with low subjective economic status had low sense of filial responsibility. Even if subjective economic status was low, participants with high attachment to the local community had significantly high sense of filial responsibility. Moreover, participants with high attachment to the local community provided and received more instrumental support than participants with low attachment to the local community.</p><p><b>Conclusions: </b>Our findings suggest that high attachment to the local community can form a support system in local areas, and that support systems in turn help local residents when they support their parents. In light of these findings, measures for creating networks between local residents, as well as improvement of the physical environment, are necessary for local community planning.</p>
著者
山村 髙淑
出版者
北海道大学観光学高等研究センター = Center for Advanced Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
CATS 叢書 (ISSN:21853150)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.109-119, 2016-03-31

尾道型デスティネーション・マネジメントってなに? : 多様な地域遺産を生かす観光まちづくり戦略 = What is Onomichi type destination management? : Strategy of tourism for social Innovation using heritage diversity
著者
吉中 奎貴 中村 孝 髙久 和明 塩澤 大輝 中井 善一 上杉 健太朗
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.856, pp.17-00104-17-00104, 2017 (Released:2017-12-25)
参考文献数
23
被引用文献数
2

The initiation and growth of internal small fatigue cracks with around ten or several dozen μm in Ti-6Al-4V were nondestructively examined by using synchrotron radiation μCT at the large synchrotron radiation facility SPring-8. Lots of grain-sized internal cracks were observed roughly evenly in the observation volume in the specimen; in contrast, only one surface crack was detected. The initiation lives of the internal cracks were widely different for each crack and had no significant correlation with the crack initiation site nor the initial crack size. The internal cracks propagated microstructure-sensitively with several crack deflections, and the growth rates were very small, less than 10-10 m/cycle. The crack growth rates just after facet formations showed large variability and had no apparent relationship with the crack initiation life nor the initial crack size. This variability can likely be attributed to microstructural inhomogeneities around the crack initiation facets. The estimated facet formation rate indicated that most facets formed rapidly compared with the following internal crack growth rate.
著者
鈴木 克幸 原 康之 本間 理 髙屋 快 白幡 康弘
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.307-310, 2015-03-31 (Released:2015-06-11)
参考文献数
16

症例は56歳,男性。心窩部痛・嘔吐を主訴に前医を受診し,胸腹部造影CT検査所見で最大径50mmの巨大脾動脈瘤と完全内臓逆位を指摘され,手術目的に当科紹介となった。完全内臓逆位という破格があり,動脈瘤が直径50mmと大きいため開腹手術を選択した。脾動脈瘤と膵臓との癒着が高度であり,脾動脈瘤の切除は膵損傷および術後膵液漏の危険性が極めて高いと判断し,脾動脈結紮+脾臓摘出術を施行し,術後合併症なく経過した。脾動脈瘤は比較的まれな疾患であり,最大径50mm以上の報告例は極めて少ない。また,完全内臓逆位を伴う脾動脈瘤の手術例の報告はない。今回われわれは完全内臓逆位を伴う最大径50mmの脾動脈瘤に対して手術を施行したので,文献的考察を加え報告する。
著者
渡部 真志 平野 聡子 越前 康明 榊原 健二 若林 由佳 髙谷 美和 原田 祐三子 村上 あゆ香 小林 麗 岡田 久 奥田 聡
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-6, 2018 (Released:2018-01-25)
参考文献数
13

【目的】Stanford A 型急性大動脈解離(type A acute aortic dissection: TAAAD)に伴う脳梗塞ではrt-PA 療法が致死的結果を招き得るため,鑑別に有用な臨床因子を検討した.【方法】TAAAD に伴う脳梗塞13 例(TAAAD 群)を後方視的に分析し,rt-PA を投与した脳梗塞57 例(rt-PA 群)と比較検討した.【結果】TAAAD 群は胸痛が多く(p<0.01),全例で何らかの意識変化が見られた.TAAAD 群は血圧が低値で(p<0.01), 収縮期血圧のcut-off 値はROC 解析で130 mmHg 以下であった. 特に110 mmHg 以下では陽性尤度比35.1 と特異性が高かった.また徐脈傾向が見られた.【結論】疼痛の問診がTAAAD 鑑別に重要で,収縮期血圧130 mmHg 以下でTAAAD が疑われ,110 mmHg 以下かつ心拍数60 回/分以下では積極的に疑うべきである.
著者
髙橋 美奈子 谷部 弘子 本田 明子
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば
巻号頁・発行日
vol.38, pp.46-62, 2017

<p>母語話者と非母語話者によるインターアクション場面である接触場面の研究は、非母語話者の言語使用実態の把握に有効であると言われている。しかし、非母語話者同士の「第三者言語接触場面」において学習者がどのような言語行動を獲得するのかという観点からの実証的な研究は十分とは言えない。特に、コミュニケーションを円滑にするための多様なストラテジーとして機能しているスピーチレベルシフトは、日本語学習者には習得が困難だと言われている。そこで、本稿では、学部レベルの国費留学生16名の日本語母語話者との会話および非母語話者との会話の2場面における自然談話データを用いて、第三者言語接触場面にみられるスピーチレベルシフトの機能のバリエーションを明らかにした。さらに、非母語話者であっても、相手との言語能力の差や親疎関係の差により、相手言語接触場面と第三者言語接触場面とでは出現するスピーチレベルシフトの機能が異なる可能性も明らかになった。本稿では、日本語学習において第三者言語接触場面を活用する意義を指摘し、多様な日本語使用者による日本語談話の価値の問いなおしを試みた。</p>
著者
髙橋 弘文
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.244-249, 2016-05-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
4
著者
谷本 真理子 髙橋 良幸 服部 智子 田所 良之 坂本 明子 須藤 麻衣 正木 治恵
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.108-115, 2015 (Released:2015-04-08)
参考文献数
14
被引用文献数
2

本研究は,一般病院における非がん疾患患者に対するエンド・オブ・ライフケア実践を熟練看護師の実践知から明らかにした.7 名の慢性疾患看護専門看護師の実践事例のインタビューから質的統合法(KJ 法)を用いて最終ラベルを抽出した.熟練看護師は,患者の生き方の意思決定を支える関わりと,患者家族の生き方に沿う関わりを,状態悪化の過程にある患者の自尊感情の回復,満足感,納得を指標に定めていた.一般病院では患者の苦痛対応策が不十分であることや,多職種とのケアの合意や他施設とのケア継続は困難を伴うが,熟練看護師は患者の意向を日々捉えながら,家族や地域ケア体制に患者の意向を浸透させる調整を行っていた.治療の場でのエンド・オブ・ライフケア実践では,家族,医療者も共に了解しながら患者を支え続けることができる支持的環境,診断初期より関わる医療者の意識向上と患者の意思決定を支える支援技術の向上が必要である.
著者
髙宮 優実
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.63-82, 2017-12-31 (Released:2018-01-12)
参考文献数
33

これまでのスピーチスタイルシフトに関する研究は、丁寧体基調の会話に使われる普通体を分析したものが多かったが、本稿では普通体基調の会話に現れる丁寧体に焦点を当てる。同年代の友人同士や家族間といった親しい間柄で話される日常談話を分析した結果、不平、非難、批判、反論、不同意といった不満を表明する際に、丁寧体が使われ、それには次のような3つの機能があることが示された。1)丁寧体で不満表明を繰り返すことにより、意味が強調され、相手を説得したり、理解させたりする効果がある。2)普通体基調の会話に現れる丁寧体には、相手に譲歩させたり、相手をなだめたりする効果がある。3)第三者について否定的なコメントをする際に、丁寧体を選択することによって、聞き手からの賛同を得る。このような機能は日本語での円滑なコミュニケーションにおいて重要な役割を果たしている。
著者
髙橋 美奈子 谷部 弘子 本田 明子
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.46-62, 2017-12-31 (Released:2018-01-12)
参考文献数
16

母語話者と非母語話者によるインターアクション場面である接触場面の研究は、非母語話者の言語使用実態の把握に有効であると言われている。しかし、非母語話者同士の「第三者言語接触場面」において学習者がどのような言語行動を獲得するのかという観点からの実証的な研究は十分とは言えない。特に、コミュニケーションを円滑にするための多様なストラテジーとして機能しているスピーチレベルシフトは、日本語学習者には習得が困難だと言われている。そこで、本稿では、学部レベルの国費留学生16名の日本語母語話者との会話および非母語話者との会話の2場面における自然談話データを用いて、第三者言語接触場面にみられるスピーチレベルシフトの機能のバリエーションを明らかにした。さらに、非母語話者であっても、相手との言語能力の差や親疎関係の差により、相手言語接触場面と第三者言語接触場面とでは出現するスピーチレベルシフトの機能が異なる可能性も明らかになった。本稿では、日本語学習において第三者言語接触場面を活用する意義を指摘し、多様な日本語使用者による日本語談話の価値の問いなおしを試みた。
著者
日髙 昇平
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.67-78, 2017-03-01 (Released:2017-09-01)
参考文献数
45

One of major paradigms in cognitive science is to model cognitive process as an in-formation processing in the digital computer. Marr (1982) has proposed to capture the cognitive process by the three levels of information processing, known as the levels of hardware implementation, algorithm and representation, and computational theory. In particular, the “computational theory” level is supposed most important among the three, as it captures the goal of the information process and explains why the process is organized so. It is, however, often controversial what to count as the computational theory, and there are several variations in its interpretation. In this article, we review these views on the computational theory, and overview the potential problems of the computational theory in a narrow sense which have been pointed out in past literature. By doing so, we discuss the aspects of the current paradigm to be extended toward a new alternative paradigm beyond the formulation of cognition as optimization.