著者
北原 理雄
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.673-678, 1990-10-25 (Released:2020-07-01)
参考文献数
10

IN JAPAN, EVERY SCHOOL HAS ITS OWN SCHOOL SONGS. SUCH A SONG HAS A COMMON STYLE WHICH CELEBRATES ITS HOMETOWN'S HISTORY AND NATURAL FEATURES AS WELL AS ITS EDUCATIONAL SPIRIT. BECAUSE OF THIS CONVENTIONAL PATTERN, A LANDSCAPE REPRESENTED IN A SCHOOL SONG IS SUPPOSED TO REFLECT A LANDSCAPE IMAGE SHARED BY THE LOCAL RESIDENTS. THIS STUDY PICKS UP LANDSCAPE ELEMENTS CELEBRATED IN ALL SCHOOL SONGS IN THREE CITIES -TSU, YOKKAICHI AND MATSUSAKA WHICH LIE ON THE ISE COASTAL AREA OF THE MIE PREFECTURE. THEN IT ANALYZES FREQUENCIES AND DISTRIBUTIONS OF THESE ELEMENTS AND EXPLAINS LANDSCAPE STRUCTURE REPRESENTED IN THOSE SCHOOL SONGS.
著者
加我 宏之 田川 圭佑 武田 重昭 増田 昇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.375-380, 2013-10-25 (Released:2013-10-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

本研究では、文献とヒアリング調査から昭和初期に開発された大美野住宅地における計画特性を明らかにし、現在まで受け継がれてきた景観資源を抽出した。写真投影法を通じて、生活者が捉えた大美野らしい景観を明らかにし、現在まで受け継がれてきた景観資源の風景的価値を探った。結果、カイヅカイブキの生垣が連続した景観、大美野会館や福富稲荷神社を背景に中央ロータリーと噴水を中心に捉えた景観は、大美野を代表する景観としての価値が高い。小学校の景や曲線道路の景、趣のある大規模戸建住宅の景、庭木のサクラの景も大美野をよく知る人、最近住み始めた人とともに風景的価値が高いことが明らかとなった。
著者
内田 奈芳美 敷田 麻実
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.994-1000, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
11

本研究では、「官製」ジェントリフィケーションと定義したケンタッキー州パデューカ市のアーティスト・リロケーション・プログラムを研究対象としてジェントリフィケーションの実態とそのジレンマを分析するため、分析軸1:不動産価格の高騰、分析軸2:「文化的な消費地」化という二つの分析軸を設定し、実態を明らかにした。「官製」ジェントリフィケーションとして、本地域では新規住民・用途の流入、それにともなう不動産価格の上昇、アートという用途の集積という意味で仕掛けた側である行政としての目的は果たされていたが、消費地としての難しさと、アートをビジネスとして見た際の、認識の差などから、主体間での意見の違いが見られた。しかし、調査の結果、アート・コミュニティが、アート・ビジネスを地域で支えるほどまでには至らなかったとしても、集積のメリットを感じられる地域の魅力をつくりだしていると認識していることは明らかとなった。
著者
石倉 智樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.565-570, 2010-10-25
参考文献数
14

パンデミックは人類の歴史上繰り返し発生し、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらしてきた。近年でも、高病原性インフルエンザ(A/H5N1型)の流行など、世界的な感染症流行の拡大が生じている。パンデミックが生じると、都市の社会機能や経済活動の混乱が起きる。パンデミックが発生した際には、ワクチンの開発には最低でも3~6ヶ月はかかると言われている。それまでの間、感染拡大を抑制または遅延させるための有効な政策として、公共交通の停止や学校閉鎖といった人々の活動制限が考えられる。一方でこれらの政策は、経済活動の縮小を伴うものであり、行うタイミングを誤れば効果が半減するだけでなく、経済活動へ大きな損失を与える。すなわち、活動制限による適切な政策効果を得るためには、政策実施を適切なタイミングを把握することが求められる。そこで、本研究は、パンデミック時の、特に初期の段階、すなわちワクチン生産等の医療対策が整っていない段階において、公共交通の停止や地域間境界閉鎖のような水際対策などの社会経済活動制限を行うか否かの判断、および活動制限の最適な実施タイミングを導出する方法論を提案する。
著者
李 三洙 小林 重敬
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.39.3, pp.745-750, 2004-10-25 (Released:2017-08-02)
参考文献数
8

本論文は最もエリアマネジメント活動の歴史が長く、また特に近年、様々な開発と地域管理を一体として意識して都市づくりを進めている地区である大丸有地区に焦点を絞って、エリアマネジメント活動の詳細な分析を行う。長期間にわたるエリアマネジメント活動の展開を明らかにするため、活動をいくつかの時期に分けて、それらの活動内容や活動を進めている主体や関連組織の展開に関する特徴を示す。さらに、エリアマネジメントの活動展開の評価とそれらの活動が抱えている現在の課題を具体的に分析することで、今後エリアマネジメントの活発な活動を通じて地域の魅力と競争力を高めるための基礎的知見を得ることを目的とする。1950年代から現在までの開発から地域管理までの幅広い範囲を対象に、文献や資料やヒアリング等を通じて分析した。本研究の内容は、開発の側面から都心関連政策の変遷と街並みに関わる地区の自主対応、エリアマネジメントの全般的な活動(開発と地域管理)の展開、地域管理の側面から活動内容と主体及び組織と組織間の関係の展開、そして、そのような活動に必要な組織の活動財源等の特徴と課題等である。
著者
嘉名 光一 藤本 和男 赤崎 弘平
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.44.3, pp.397-402, 2009-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
11

呉公園屋台は、営業場所を道路区域から公園区域に変更し、呉市都市公園条例の適用及び、蔵本通りの屋台に関する要綱を制定することで新規屋台の営業を可能とした全国的にもめずらしい公園屋台である。2002年には新規屋台を公募し、現在はこれまでの中華そば、おでんが主流の既存屋台とイタリアン、オリジナル料理などの新規屋台が混在している。本研究では、こうした新旧混在する屋台の実態とそれにより生まれる街や通りの賑わいの効果について考察することを目的とする。
著者
加藤 宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.44.1, pp.20-29, 2009-04-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
35

明治前半期の軍都においては、主要な軍事施設が旧城郭周辺部に設置されたが、仙台の場合は旧仙台城周辺部と市街地外縁部の榴ヶ岡に二分された。これはきわめて特異な配置である。この特異な配置に至った要因を探るため、仙台における軍事施設配置の経緯を調査し、旧仙台城周辺部と榴ヶ岡について軍事施設設置の立地条件を詳細に検討した。旧仙台城周辺部は洪水によって橋が流失して孤立する懸念があったが、榴ヶ岡は用地が狭かったため、主要な軍事施設が両者に二分して配置されたものと考えられる。仙台では主要な官衙および軍事施設を結ぶ道路が官衙道として整備されたので、市街地を挟んで東西に二分されているという特異な軍事施設の配置が仙台の交通網整備に大きな影響を与えた。
著者
松川 寿也 丸岡 陽 中出 文平 樋口 秀
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.1108-1115, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
9

この研究では、地方自治体の縁辺部における土地利用規制格差の下で制定された開発許可条例に着目する。本研究では、和歌山市及び甲府市の市街化調整区域とその隣接市を対象として、両市の間での市街化の動向と、土地利用施策を明らかにすることを目的とする。その結果、以下のことを明らかにした。(1)開発許可条例の制定により市街化調整区域での市街化が促進された一方で、非線引き都市計画区域側での市街化が鈍化した。(2)前述の市街化には、農振法の土地利用規制格差も影響していた。(3)非線引き都市計画区域側での市街化が鈍化しても、農振除外による市街化を確認できるが、非線引き側での土地利用規制誘導策の導入には消極的であること。
著者
野澤 千絵
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.181-186, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
4
被引用文献数
3 1

本研究は、近年、3411条例の区域指定を廃止した大阪府堺市と埼玉県川越市を対象に、3411条例の区域指定の全面廃止に至った要因を実証的に明らかにし、今後の人口減少社会に向けた市街化調整区域の開発許可制度に関するあり方を考察した。3411条例の区域指定廃止に至った要因は、両市ともに条例施行後、市街化区域よりも、調整区域に占める開発許可面積割合の方が高くなり、調整区域における旺盛な宅地開発が発生したこと、生活排水の水路への流入や農地の日照阻害等の営農への影響、新旧住民の軋轢の多発、急激な農地や樹林地の減少、市街化区域における開発意欲低下など、複数の要因が重なり、市民・農家・議員など多方面からの苦情の声に無視できなくなってきたことなどが明らかとなった。今後の市街化調整区域における開発許可の立地基準は、新規住宅の開発需要を、既成市街地の新陳代謝に有効に活用する観点から、「既成市街地の空洞化を促進するおそれがない開発行為」に限定する、といった視点からの再構成が必要であることなどを考察した。
著者
佐藤 遼 片山 健介 大西 隆
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.42.3, pp.859-864, 2007-10-25 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6
被引用文献数
2

本論文は、日本の地域間所得格差構造について既往の研究よりも細かい地域単位で分析を行い、地域圏の内側の格差について実態を解明したものである。まず、市区町村単位の平均所得のデータを用いて1980年から2005年までの6時点で各地域圏内の所得格差をタイル尺度により測定した結果、近年特に大都市圏内での所得格差拡大が著しく、それが日本全体の格差拡大にも大きな影響を与えていることが明らかになった。次にそれを引き起こした地域構造的な要因について首都圏を例に分析した結果、人口の増加量が多い市区町村で平均所得も増加している傾向が確認できた。これは1990年頃の地域間格差の拡大時には見られない新しい現象であった。人口の転入超過量とその年齢構成によってクラスター分析を行った結果、特に都心回帰現象に伴う都心部への人口流入量が大きく、郊外部や地方部からの人口を吸収していた。また、地域によって流入している人口の所得階層に差があり、結果として地域間で所得階層による居住地の分化が進み、小さいスケールでの地域間所得格差が拡大していることが明らかになった。
著者
松井 大輔 岡井 有佳
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.501-506, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
3

良好な景観や居住環境を維持・保全するため、近年、パチンコ店の立地に反対する住民運動が発生している。本研究は、阪神間の都市を対象に、特に芦屋市を中心として、自治体条例に基づくパチンコ店の立地規制の枠組と内容を明らかにし、他の市町村におけるパチンコ店の立地規制の検討に示唆を得ることを目的とする。パチンコ店は、特定の用途地域を禁止区域に指定することと、特定施設から一定距離内の範囲を禁止区域に指定することによって規制されており、それらは風営法、建築基準法・都市計画法による規制のほか、自主条例によって定められている。芦屋市においては、さらに地区計画を用いることによって市全域でパチンコ店を規制していることが明らかとなった。パチンコ店の立地が望ましくない地域においては、これらを組み合わせることによって、パチンコ店を事前に規制することが望まれる。
著者
窪田 亜矢
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.39.3, pp.607-612, 2004-10-25 (Released:2017-08-02)
参考文献数
20

2002年ホームレス自立支援法が成立した。自治体に実施計画が義務づけられるなか、東京都では自立構築システムのもとで緊急一時保護センターや自立支援センターなどが設けられた。センターの立地やデザイン、内容についてはまだお問題はあるし、ここまでの施策は就労を前提としていることがしばしば指摘されてきた。しかし民間借り上げ住宅も検討され、多様な選択肢が用意され初めている。新宿区では NPOや自治体のみならず地域住民や路上生活者自身が加わる検討協議会も立ち上げられた。事態は進展しつつある。今後は、予防まで含めた総合的な取り組みを進めること、路上生活者自身の主体的な取り組みの支援、居住の権利に基づきながら問題を政治化していくことが必要だ。
著者
乾 康代
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.968-973, 2015-10-25 (Released:2015-11-05)
参考文献数
17
被引用文献数
2

本研究は,わが国の原子力開発黎明期の原子炉の立地規制と周辺開発規制の枠組みがつくられた経緯と背後の事情を検討した。主な結果は,1)わが国の原子炉立地審査指針は,アメリカの立地基準をほぼ引き写して作成され,周辺開発規制は不要という考えも継承した。2)わが国初の原子炉受け入れ自治体となった茨城県は,国の「原子力センター」構想を率先することを表明,東海村を工業地帯化することを開発目標とした。3)その結果,地元の茨城県でも,原子力委員会が提案した原子炉周辺のグリーンベルトと人口抑制区域の設定を受け付けず,県が策定した原子力施設地帯整備基本計画では,わずかな公園と緑地が設定されるにとどまった。4)東海村では原発の周辺開発がすすむとともに,東海村につづくその後の全国の原発立地地域にも周辺の開発規制なしの原発立地が定着した。
著者
田邉 信男 阿部 宏史 氏原 岳人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.553-559, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
16
被引用文献数
2

「新しい公共」による取り組みが継続・発展するには、その担い手となるNPOなどが「継続的に活動できる団体の運営力」が重要である。また、協働によるまちづくりの現場でも、継続性を担保する仕組みやマネジメントの方法論が問題としてあげられてきている。このような問題意識のもと、本報告では、「新しい公共」の担い手として期待されている任意団体やNPOの団体で継続的に活動している活動主体に着目した。複数の文献から課題を整理し、アンケート調査を通じて、継続的な組織運営の課題の類型化や組織形態別の課題を定量的に分析した。また、分析結果の考察を通して、組織が継続・発展していくためのマネジメントの方策について検討した。
著者
車 文韜 安部 大就 増田 昇 下村 泰彦 山本 聡
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
発表会論文 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.19-24, 2018-06-20

THIS PAPER ANALYZES THE IMPACT OF JR-HANWA RAILWAY'S STATIONS ON THE DIFFERENT LAND USE TYPES BY GIS (ARC/INFO). THE LAND USE DATA IN 1973 AND 1990 IS DIGTIZED FROM THE LAND USE SNAP OF SCALE 1:30000. IT IS CONCLUDED THAT THE 8 STATIONS HAVE A STRONG IMPACT ON THE DISTRIBUTION OF LAND USE. THE RANGE OF THE IMPACT IS 1100M FOR URBAN, RESIDENTIAL, INDUSTRIAL AND 300M FOR COMMERCIAL USE IN BOTH 1973 AND 1990. THE IMPACT AREA OF EACH STATION ON RESIDENTIAL USE RANGES FROM 500M TO 1400M IN 1990 DEPENDING ON THE TYPE AND LOCATION OF STATIONS. THE IMPACT IS ENFORCED DUE TO THE FORMATION OF THE GROUPING OF STATIONS DETERMINED BY THE DISTANCE AMONG THE STATIONS. IT IS POSSIBLE TO KNOW THE TYPE OF STATIONS AND ITS IMPACT AREA BY ANALYZING THE LAND USE DATA.
著者
丸茂 弘幸 青木 太郎 木下 光
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.583-588, 1999-10-15

東京市区改正委員会の甲武鉄道延伸計画審議の議事録から,当時の委員会の景観に対する姿勢を明らかにした。本件は,明治22年委員会に付議されたが,この時は景観には触れることなく決定された。その後,関係筋との協議を経て明治25年再度付議された。今度は,鉄道予定地の外濠の樹木保全,四谷・牛込間の眺望の保全等景観に関する議論がなされ条件を付して承認した。着工後も委員会は数次の現場視察を行い粗雑な工事が景観を害していると知事に改善方指示している。さらに明治33年万世橋への延伸の審議の際にも,お茶の水付近の景観保全等の議論がなされた。こうして完成した甲武鉄道の景観は,当時の「風俗画報」にも掲載され,市民からもかなり高く評価されていたといえる。この10年間の委員会の議論の流れの中には景観というものに関する時代の潮流が感じられる。
著者
千代 章一郎 山田 恭平
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.595-600, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
20

本稿では、被爆都市における景観研究の一環として、平和記念式典に着目し、その歴史的な景観への眼差しの演出の変遷を明らかにすることによって、記憶を持続するための空間デザイン手法に関する知見を得ることを目的する。 式典において、丹下健三(1913~2005)の構想した南北軸線による眺望景観が演出されてきた。しかし、報道写真から、その軸線は平和記念公園内で切断されていくことがわかる。その一方で、献花を行う参列者からの景観の演出は変化しておらず、丹下健三の構想した軸線と一致している。
著者
白 りな 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.13-22, 2016-04-25 (Released:2016-04-25)
参考文献数
13

本研究は韓国ドンピランを対象とし、「地域住民が主体となる観光まちづくりは住民にも観光客にも魅力ある地域づくりにつながる」という過程の下、観光まちづくりの展開を整理し、住民意識、観光客の動態・評価、及びそれらの対応関係を明らかにし、住民参加による観光まちづくりの利点と課題を考察した。当地での観光まちづくりの展開を3期に区分して特徴を見たところ、発展期では住民参加による活動が見られ、こうした活動は観光公害の減少、経済的利益の還元など、観光の実利を伴いながら生活空間を向上させることから、利点として認められる。一方課題も表出しており、観光業従事者である一部住民のみが活動に主に参加しており、一部住民の意見が地域社会の総意として扱われる恐れがある。また、彼らの意識が経済面に集中してしまい、魅力的な生活空間の形成や観光地としての持続的な成長を防げる可能性があることが指摘された。
著者
沢畑 敏洋 松井 大輔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.1199-1205, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
6

全国各地でパチンコ店の建設に対して反対運動が起きている。パチンコ店に関しては、各自治体が自主条例などを策定し、立地を規制することができるが、その全国的実態は明らかではない。そこで本研究では、パチンコ店の立地規制に関して、全国における自主条例等の策定状況と委任条例の規制内容、京阪神都市圏における自主条例等の規制内容について明らかにし、自主条例と委任条例の規制対象と規制値の差異を明らかにすることを目的とする。結論は以下の通りである。(1)自主条例の策定状況は、全国では6箇所であったが、京阪神都市圏では29箇所になっており、奈良・大阪・兵庫の3府県に集中している。(2)委任条例では自治体ごとの規制内容が類似している。(3)自主条例等では、商工業系用途地域が規制対象に加えられている。(4)景観や都市イメージの保護を目的に、文化財や駅関連施設などから一定の範囲内が規制対象に追加され、特定施設の種類が多くなっている。(5)特定施設からの規制範囲が20-500mの間で設定され、規制範囲の種類も多い。同じ施設に対する規制範囲は、委任条例より自主条例等の方が広く設定される場合もある。
著者
大山 雄己 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.810-817, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
19

歩行者の活動を主眼に置いた外部空間デザインが都市政策上の関心を集めている.歩行者の回遊行動は高解像度な空間選択行動を基本とし,また時間配分的な性質を持つ.本研究では街路空間再配分政策を対象として取り上げ,歩行者活動への影響を明示的に考慮した政策決定問題,すなわち歩行者の活動ネットワークデザイン問題を提示する.需要サイドから回遊行動モデルの理論的展開は見られる一方,歩行者政策を扱う供給サイドの研究がこれまでに進んでいなかった.大山・羽藤(2016)の活動配分手法を需要モデルとして用いて,地区の総滞在時間あるいは期待効用を最大化させる歩道幅員拡幅街路の決定問題を考える.一方で投資額は可能な限り抑えたいという政策課題に対応するため,多目的最適化問題による定式化を行い,ネットワーク更新法を用いて求解する.これにより,投資額に応じた最適ネットワークのヴァリエーションを提示する.結果として,トレードオフの関係が明確に見てとれるパレート解の集合を得た.また,目的関数の選択に応じた街路の配置パタンが明らかとなり,商店街・百貨店・地区のエントリーポイント等の間の接続方策についての示唆を得た.