著者
海津 陽一 大森 裕 中澤 浩幸 飯塚 晃弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.83-87, 2020 (Released:2020-02-28)
参考文献数
11

〔目的〕回復期リハと訪問リハにおける院内連携カンファレンス(連携カンファ)を実践し効果検証することを目的とした.〔対象と方法〕連携カンファは,回復期リハ,訪問リハの連携係1名ずつで行われ,訪問リハ適応の有無を検討した.効果判定は,連携カンファを導入前の1年間と導入後の1年間(post-CON)の連携者数,連携者の介護度内訳,退院日から訪問リハ開始までの日数(DDS)を比較した.〔結果〕連携者数は,8名から32名と増大を認めた.介護度内訳は,連携のなかった要支援者がpost-CONには連携者全体の31.3%と増大を認めた.DDSは,12.5日から6.3日と平均6.2日短縮した.〔結語〕連携カンファは,連携者数増大に効果的で,DDSを短縮できる可能性のある連携システムである.
著者
吉永 龍史 前川 友成
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.349-354, 2022 (Released:2022-06-20)
参考文献数
17

〔目的〕人工呼吸器(MV)管理中から早期歩行とセルフケアを獲得した重症肺炎の症例を経験した.〔対象と方法〕82歳男性,重症肺炎と敗血症性ショックによりICUへX日に入室した.X+5日よりMV管理中に歩行を含めた早期離床,および口腔ケアや整容などセルフケア指導を多職種で開始した.歩行練習は,理学療法士1名と看護師2名で5 mから開始し,50 m × 2セットまで漸増した.また,医療スタッフが必要物品を準備し,口腔内吸引,歯磨き,うがいを模倣して指導した.〔結果〕挿管下MV管理中のX+9日にセルフケアが自立し,歩行はX+12日に独歩見守りまで可能になった.〔結語〕本疾患例のように挿管下MV管理中においても,早期歩行およびセルフケアを獲得することは可能である.
著者
岩室 樹 鈴木 啓介 黒澤 和生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.253-258, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
23

〔目的〕外来心臓リハビリテーション(外来心リハ)に参加している高齢者がレジスタンストレーニング非実施となる特徴を明らかにする.〔対象と方法〕外来心リハ患者24名(平均年齢78.9 ± 7.8歳)に対し,健康関連QOLや自己効力感に関する質問紙を実施した.毎回レジスタンストレーニングを行う実施群(11名)と行わない非実施群(13名)に分け検討した.〔結果〕非実施群は実施群に比べ,SF-36サマリースコアの身体的側面(PCS)が有意に低く,役割/社会的側面(RCS)が有意に高かった.〔結語〕外来心リハ時に身体的,社会的な側面の評価を行い,レジスタンストレーニングを定着させる介入を検討することが必要である.
著者
吉澤 隆志 松永 秀俊 藤沢 しげ子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.677-680, 2013 (Released:2013-11-09)
参考文献数
25

〔目的〕男女における下肢伸展トルクと膝伸展筋力の関係を調べることを目的とした.[対象]下肢に問題のない健常成人48名とした.〔方法〕StrengthErgoにより左右の下肢伸展動作時の体重比ピークトルクを測定した.また,Hand Held Dynamometerにより左右の体重比膝伸展筋力を測定した.その後,下肢伸展トルクと膝伸展筋力の関係を調べた.〔結果〕男女間での下肢伸展トルクについて有意差が認められたが,膝伸展筋力については有意差は認められなかった.また,男性では下肢伸展トルクと膝伸展筋力との間に中等度の相関がみられたが,女性では相関がみられなかった.〔結語〕男女における下肢伸展トルク発揮に対する膝伸展筋力の関与の違いがみられた.
著者
吉澤 隆志 松永 秀俊 藤沢 しげ子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.583-586, 2011 (Released:2011-11-25)
参考文献数
20
被引用文献数
4 2

〔目的〕下肢伸展トルクと股屈伸筋力との関係を検討するために,StrengthErgoにより測定した下肢伸展トルクと,Hand Held Dynamometer により測定した股関節屈伸筋力との相関を調べた.[対象]下肢に問題のない健常成人50名とした.[方法]左右の下肢伸展動作時の体重比ピークトルクと,左右の体重比股関節屈伸筋力を測定した.次に,左右の下肢伸展トルクと股関節屈伸筋力との関係をスピアマンの相関係数を用いて調べた.[結果]左右の下肢伸展トルクは股関節屈曲筋力との間に強い相関,股関節伸展筋力との間に弱い相関が見られた.[結語]下肢伸展トルク発揮について股屈伸筋力の関与が示唆された.
著者
鈴木 雄太 浦辺 幸夫 前田 慶明 笹代 純平 森田 美穂
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.209-212, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

〔目的〕競泳選手と非競泳選手の上肢挙上時の脊柱アライメントの変化の違いを探るため,立位とストリームライン(以下,SL)での脊柱アライメントを比較した.〔対象〕競泳群26名,非競泳群20名とした.〔方法〕Spinal Mouse®を用いて立位とSL立位の胸椎,腰椎および骨盤のアライメントの変化量,SL立位での上肢挙上角度を測定した.〔結果〕競泳群では上肢挙上角度が大きな対象ほど,胸椎の後弯,腰椎の前弯,骨盤の前傾が小さかった.非競泳群では,いずれの変化量も上肢挙上角度と有意な相関は認められなかった.〔結語〕上肢挙上角度が大きい競泳選手は胸椎の伸展運動によって腰椎前弯と骨盤前傾を小さくすることが可能であることが示された.
著者
中島 遼 平野 大輔 赤坂 清和 澤田 豊 乙戸 崇寛
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.51-54, 2012 (Released:2012-02-21)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

〔目的〕拮抗筋に対するストレッチが主動筋の関節トルクに与える影響について,筋硬度柔軟性,および3種類の速度による等速性運動時の膝関節伸展トルクにより検証した.〔対象〕立位体前屈で手掌が床につかない男子大学生20名.〔方法〕被験者をストレッチ実施群,非実施群に無作為に分け,介入は7日間のセルフストレッチとした.介入前後に筋硬度,下肢伸展挙上角度(以下SLR角度),指床間距離(以下FFD),角速度60,120,180°/secでの膝関節伸展トルクを測定した.〔結果〕実施群ではストレッチによる介入により,筋硬度には変化がなかったものの,SLR角度は有意に改善した.また,伸展-30°での膝関節伸展トルクは,180°/secで有意な増大を示した.〔結語〕拮抗筋の柔軟性の増加は,主動筋による速い運動での関節トルクを増加させる可能性が示唆された.
著者
宮田 一弘 臼田 滋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.315-319, 2014 (Released:2014-05-22)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

〔目的〕運動前に筋と神経を対象とした2種類の異なる電気刺激が運動パフォーマンスとピンチ力に与える影響を検討することである.〔対象〕健常成人8名とした.〔方法〕木球を掌で回す課題を用い,事前に練習を行いパフォーマンスが安定したところで電気刺激を加えた.電気刺激は,筋刺激(母指球筋,周波数100 Hz,120秒)と末梢神経刺激(正中・尺骨神経,周波数10 Hz,60分)を実施した.電気刺激前後での回転数とピンチ力を測定した.〔結果〕両刺激とも電気刺激前と比較し刺激後に有意な回転数の増加が認められ,変化率を比較すると筋刺激が有意に高値を示した.一方,ピンチ力に変化は認められなかった.〔結語〕短時間の筋刺激は末梢神経刺激に比べて運動パフォーマンスを向上させる方法として有用である可能性が示唆された.
著者
渡邉 陽介 横山 仁志 笠原 酉介 堅田 紘頌 八木 麻衣子 小山 照幸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.385-390, 2010 (Released:2010-07-28)
参考文献数
24
被引用文献数
2

〔目的〕本研究では,肺切除術における術後呼吸器合併症の併発率や,合併症併発の予測因子について明らかにすることを目的に検討した。〔方法〕肺切除術を施行した全146例を対象とし,呼吸器合併症の有無を診療録より後方視的に調査し,呼吸器合併症の併発率,併発日を算出した。そして,術後呼吸器合併症の予測因子について,ロジスティック回帰分析を用いて検討した。〔結果〕術後呼吸器合併症の併発率は4.1%(146例中6例)と極めて低値を示し,併発日は2.2±2.2日であった。また,術前屋外自立歩行の可否(オッズ比15.2),慢性呼吸器疾患合併の有無(オッズ比9.9)が,呼吸器合併症の併発に独立して影響を与えていた。〔結語〕従来の報告に比較し,術後呼吸器合併症の併発率は低下傾向にあり,その予測因子も変化していることが推察された。
著者
成田 亜希
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.33-37, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
5

〔目的〕成績不振者を出さないような的確な学習支援をどのタイミングで行うかを検討する.〔対象と方法〕理学療法士養成短期大学を卒業した88名を対象とした.卒業時の成績と入学前の学力や在学中の成績,学習動機づけとの比較を行った.〔結果〕入学前の学力は卒業時の成績には影響しないことが示唆された.入学後,1年次4月末には成績不振者を発見できることが確認できた.また基礎医学科目の成績が良いと卒業時の成績も良く,1年次4月初回の小テストで成績が悪い学生は卒業時でも学習動機づけが低いこともわかった.〔結語〕入学当初から学習は単なる暗記ではなく理解し説明できる「生きた知識」を備えることを指導し,普段の小テストから良い成績が取れるよう導くべきである.それによって学生は有能感をもち,学習動機づけも高めていける.
著者
森田 鉄二 松本 浩実 馬壁 知之 萩野 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.499-504, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
23

〔目的〕地域在住高齢者の立位姿勢と身体機能,複数転倒との関連性を明らかにすることである.〔対象と方法〕対象は地域在住高齢者219名(平均71.6 ± 9.1歳)とした.過去1年間の転倒回数,ロコモティブシンドローム,歩行速度,四肢骨格筋量,握力,骨量を評価した.立位姿勢は,円背指数,体幹傾斜角度,脊柱後弯角度(上位傾斜角度・下位傾斜角度)を評価した.〔結果〕上位傾斜角度,下位傾斜角度,体幹傾斜角度が大きいほど年齢が高く,ロコモティブシンドロームが進み,歩行速度も遅く,骨量も低かった.転倒なし群と転倒単回群と転倒複数回群で比較を行ったところ,複数回群は単回群に比べ,上位傾斜角度が高値であった.〔結語〕上位傾斜角度が大きいと身体機能が低く,複数転倒と関連する可能性がある.
著者
遠藤 佳章 小野田 公 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.733-737, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

〔目的〕左右腰椎各レベルの多裂筋横断面積と体組成との相関関係を明らかにする.〔対象と方法〕対象は若年健常男性48名とした.超音波画像診断装置で左右腰椎各レベルの多裂筋横断面積(LM)を測定,InBodyで体組成(体重,BMI,FMI,FFMI,SMI,骨格筋量,左右上肢筋量,体幹筋量,左右下肢筋量)を測定および算出した.身長は身長計にて測定した.〔結果〕体重,身長,右脚筋量は左右全腰椎LMと,BMIは右L3~5,左L4,5のLMと,FFMIは左L4のLMと,SMI,左脚筋量は右L2~5,左全腰椎LMと,右腕筋量,左腕筋量,体幹筋量は右L3~5,左の全腰椎LMと,骨格筋量は右L1, L3~5,左全腰椎LMと正の相関を示した.〔結語〕左右腰椎各レベルの多裂筋横断面積と各々の体組成は関係性が各々異なることが示唆された.
著者
八並 光信 渡辺 進 上迫 道代 小宮山 一樹 高橋 友理子 石川 愛子 里宇 明元 森 毅彦 近藤 咲子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.267-272, 2005 (Released:2006-02-14)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究の目的は,無菌室という閉鎖環境で治療を要する造血幹細胞移植患者に対して,運動耐容能と移植前後の下肢伸展筋力(変化率)の関連性について検討することである。対象は,造血幹細胞移植を受け,移植前後で運動負荷テストを施行できた40名である。なお,無菌室内の訓練は,主に柔軟体操と立位での筋力強化を行った。移植前の運動負荷テストの完遂率は100%であったが,移植後は57.5%へ低下した。移植後の負荷テストの結果から,対象を完遂群と非完遂群に分け従属変数とし,年齢・性別・体重変化率・前処置のTBIの有無・無菌室滞在期間・下肢筋力変化率を独立変数として判別分析を行った。その結果,下肢伸展筋力の貢献度が最も大きかった。したがって,有酸素運動が困難な無菌室内において,下肢筋力を維持することによって,運動耐容能の低下を遅延させることが示唆された。
著者
松村 将司 藤本 修平 栗原 靖
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.197-204, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
33

〔目的〕小学生バドミントン選手の傷害実態を調査し,疫学的な特徴として学年や性別に応じた疼痛の有無,傷害部位の特性を検証すること.〔対象と方法〕無記名による自己記入式質問紙に回答した男子143名,女子187名に対して,学年や性別に応じた疼痛の有無,傷害部位の関連性を検討した.〔結果〕今現在,疼痛を有しているのは男子24名,女子34名であり,過去に疼痛を経験したのは男子59名,女子79名であった.学年と疼痛の関連について,過去の疼痛経験は高学年が有意に多かった.学年と疼痛部位の関連については,過去の疼痛経験は「足首」が高学年で有意に多かった.〔結語〕小学生バドミントン選手は,足関節に傷害が多く,高学年では傷害を経験する割合が多いことがわかった.
著者
西山 侑汰 名頭薗 亮太 辰見 康剛
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.595-599, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
24

〔目的〕肩関節痛の既往歴を有する大学女子ソフトボール選手の肩関節外旋および内旋筋力と関節可動域の特徴について明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕大学女子ソフトボール選手23名を対象にした.肩関節痛既往群と健常群で肩関節外旋および内旋の等尺性筋力と関節可動域を両群間で比較した.〔結果〕利き手/非利き手の肩関節内旋可動域は,肩関節痛既往群の方が健常群よりも有意に低値を示した.〔結語〕肩関節痛の既往歴を有する大学女子ソフトボール選手は,肩関節内旋可動域が低値を示す特徴があった.
著者
松田 雅弘 高梨 晃 塩田 琴美 宮島 恵樹 野北 好春 川田 教平 細田 昌孝 川口 祥子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.265-269, 2010 (Released:2010-05-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

〔目的〕腹部ベルトを使用し,腹部収縮時と姿勢の違いによる筋厚の変化を明らかにすることを目的とした。〔対象〕整形外科的な既往のない健常男性大学生15名(18-20歳)とした。〔方法〕腹部ベルトの有無と座位・立位姿勢で,腹部筋の収縮による腹部筋厚の変化について超音波測定装置で計測した。〔結果〕内腹斜筋・腹横筋の非収縮時と収縮時の筋厚はベルトの有無・姿勢に関係なく有意差があった。収縮圧変化を比較した結果,外腹斜筋ではベルト有りで有意に増加し,腹横筋はベルト有りで低下傾向があった。〔結語〕腹部ベルトは人工的に腹圧を向上させることで,外部腹部筋の活動に関して活動性を向上させるが,腹横筋に関しては抑制に働く傾向があると考えられる。
著者
中尾 英俊 稲葉 考洋 森藤 武 内原 由佳子 渡邉 萌 金子 元春 木下 和昭 橋本 雅至 大槻 伸吾
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.275-279, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
19

〔目的〕腰椎変性疾患患者に対し,体幹伸筋持久力トレーニングを実施しVASと JOABPEQへ及ぼす影響を検討した.〔対象〕腰椎変性疾患患者27名(平均年齢72.2 ± 8.3歳)とした.〔方法〕体幹伸展持久力トレーニングを実施する15名(T群)と,通院での運動療法のみ実施する12名(C群)との間で,1ヵ月毎に3回計測された体幹伸筋持久力とVAS,JOABPEQの経時変化を比較した.〔結果〕T群の体幹伸筋持久力は3ヵ月目に,JOABPEQは腰椎機能障害のみ2ヵ月目に有意に高値を,VASは2,3ヵ月目に有意に低値を示した.〔結語〕腰椎変性疾患患者に対する体幹伸筋持久力トレーニングは,疼痛およびADLの改善に効果的であることが示唆される.
著者
堀切 悟史 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.477-480, 2008 (Released:2008-10-09)
参考文献数
16
被引用文献数
3 2

[目的]本研究の目的は,多裂筋のトレーニングによって腰部の脊柱安定化が得られ坐位姿勢のバランスが改善されるかを検討することである。[対象]対象は健常者21名であった。[方法]週3回,4週間の多裂筋の筋機能トレーニングを行わせ,トレーニング前後でトレーニング時の腰部の前弯,後弯コントロールを示す圧変動幅,安静坐位・最大側方リーチ時の圧中心軌跡,坐位保持課題遂行時の3つの体幹筋の最大等尺性収縮時の筋放電に対するパーセンテージ(以下%MVC)を測定した。[結果]圧変動幅は,トレーニング前と比較してトレーニング後に有意に減少した。安静坐位・最大側方リーチ時の圧中心軌跡,%MVCはトレーニング前後で有意差はみられなかった。[結論]脊柱安定性に寄与する多裂筋の機能が向上し椎体間の固定性が高まることが,必ずしも坐位バランスに影響を与えるものではないことが明らかとなった。
著者
山田 洋一 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.385-389, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
3
被引用文献数
4 2

〔目的〕理学療法士の育成課題を抽出するため,理学療法士の自己認識を分析した.〔対象と方法〕静岡県内の医療施設に勤務する理学療法士67名とした.「自己認識質問紙」を用い調査を行い,解析した.〔結果〕「一人前」に到達するまでの年数は平均9.98±4.24年であった.「治療技術」と「学術」の重要度では,経験年数が低いほど「治療技術」の修得を必要と感じている者が多く,自身の達成度や組織の満足度に課題のあることが示された.〔結語〕臨床における業務の中心は,患者と向き合い,理学療法を通して,医学的側面から患者の社会適応性を高めることである理学療法士としての現在の自分の達成度が30.6±19.0%という状況をみると,組織や個人の需要に応じた職業支援に加え,自身のキャリア向上に向けたプログラムの開発が望まれる.
著者
辻 圭一 横川 正美 田中 正二 洲崎 俊夫 立野 勝彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.453-457, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
21

〔目的〕本研究では,車椅子を使用している片麻痺患者の座位姿勢中の座圧の特徴と,車椅子専用クッションが座圧に与える影響について検証した。〔対象〕対象は脳卒中片麻痺者9名で,歩行練習を実施している4名(片麻痺歩行群)と歩行練習を実施していない5名(片麻痺介助群)に分けた。また,麻痺がなく下肢筋力が低下した歩行困難な4名(筋力低下群)も調査した。〔方法〕被検者は標準型車椅子に‘クッション無し’と‘有り’の条件で各10分間座り,体圧分布測定装置で座圧を測定した。分析には座圧の体重補正値を用い,対応のあるt検定を用いた。〔結果〕クッション無しで非麻痺側と麻痺側を比較した結果,片麻痺歩行群では非麻痺側の座圧が有意に高かった。片麻痺介助群と筋力低下群にはそのような違いは生じなかった。クッション有りで片麻痺歩行群と介助群の非麻痺側と麻痺側を比較した結果,差は認められなかった。下肢筋力低下群の左右差もみられなかった。〔結語〕片麻痺者は障害の程度により座圧の特徴があることが示された。また,クッションの使用により,非麻痺側と麻痺側の座圧の偏りが解消することが示唆された。