著者
藤原 淳 竹田 真二 吉野 仁 大津 徹 山尾 泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.2073-2079, 2002-12-01
参考文献数
8
被引用文献数
36

CDMAセルラ方式に,移動局と基地局の間の局が伝送の中継を行うマルチホップ接続を適用すると,エリアカバレッジの増大やホップ当りの送信電力の低減が期待できる.これにより,干渉電力を低減させ,システム容量を増大できる可能性があるが,適用方法によっては,中継による干渉のためにシステム容量が低下する可能性がある.本検討では,初めにマルチホップ接続による干渉低減効果に関して基礎的考察を行う.次に,干渉電力低減効果の高い中継局選択法について提案する.そして,CDMA(Code Division Multiple Access)セルラ方式のマルチセル環境において,マルチホップ接続時の特性をパケットアクセスを想定した計算機シミュレーションを用いて評価し,マルチホップ接続がシステム容量増大効果をもつことを明らかにする.
著者
金子 和正 関 健二 井原 俊夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J96-B, no.8, pp.871-875, 2013-08-01

本研究では,60 GHz帯において,複数の発泡度を存する4種類の発泡スチロール板(厚さ5 cm)の透過係数位相の入射角特性を測定し,その測定データに適合する発泡スチロール板の屈折率実部を非線形最小二乗法により推定した.得られた実験結果を用い,発泡スチロールの屈折率実部と発泡スチロール体積に占めるポリスチレン成分の体積分率の関係を表す線形近似の実験式を求めた.また,発泡スチロール透過係数絶対値の層の厚さ依存性の測定より,屈折率虚部についても推定を行った.
著者
岡本 道也 鎌原 淳三 植田 和憲 下條 真司 宮原 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.1269-1276, 2002-08-01
参考文献数
4
被引用文献数
11

短時間で概要を把握するための映像コンテンツとしてダイジェストがある.スポーツダイジェストの場合,試合のもつストーリーをダイジェストにおいてユーザに提示する必要がある.本研究ではスポーツの試合のストーリー決定に教師付き学習プログラムC4.5を利用し,決定したストーリーに対応するシナリオテンプレートを用いて,ダイジェストを自動的に生成する手法を提案する.また,本手法を野球に適用しシステムを実装した.このシステムを用いて実際に行われた試合のスポーツダイジェストを生成し,朝日放送による試合へのコメントと比較を行った.その結果,本システムによって生成されたスポーツダイジェストと朝日放送によるコメントとの間に多くの関連性が見られることがわかった.
著者
川田 亮一 松本 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.621-631, 2001-03-01
参考文献数
6
被引用文献数
14

近年, ディジタル圧縮による映像素材伝送が盛んになっているが, その課題のなかに次のようなものがある.(1)素材伝送には本線と予備線の2系統からなる2重化系がしばしば使用されるが, 通常時は予備系の伝送容量がむだになること.(2)伝送映像の自動画質監視の方法が確立していないこと.一方で, ディジタル映像伝送用符号化/復号の技術はほぼ確立し, 様々な装置が既に広く使われている.したがって, 既存の装置構成をなるべく変更せずに, 上記のむだの低減, すなわち高能率化や自動画質監視が実現できることへの期待は非常に大きいといえる.そこで本論文では, 自動画質監視可能な高能率高信頼度の映像伝送を, 既存の符号化・復号装置に手を加えずに前/後処理の追加のみで実現可能とする, フラットマルチスケーラブル映像伝送方式を提案する.本方式では, 2系統の復号映像上の符号化雑音の相関がなるべく小さくなるよう処理を加えることにより, 平均化による雑音の相殺・高画質化を実現する.また, その残留相関の大きさなどから, 受信映像と原画とのSN比を推定可能とする.本方式は, 素材映像伝送の高能率化のみならず, インターネット画像伝送などの高信頼度化にも利用可能である.
著者
小菅 義夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J93-B, no.11, pp.1504-1511, 2010-11-01

追尾フィルタは,センサから得られる観測誤差を含んだ航空機などからの目標位置観測値をもとに,目標の位置,速度などの真値を推定するアルゴリズムである.追尾フィルタの代表例は,線形最小二乗フィルタ,α-βフィルタ,等速直線運動モデルを使用したカルマンフィルタである.本論文では,これら各種追尾フィルタについて概説する.また,設計パラメータが所要追尾性能より直接決定できる,新たな追尾手法であるNPフィルタについて述べる.
著者
佐藤 健一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J96-B, no.3, pp.220-232, 2013-03-01

インターネットのトラヒック量が増加するとともに,ハイパージャイアントコンテンツホルダの出現により,ネットワークのトラヒックの流れが大きく変わりつつある.一方,半導体の性能の進展速度が低下するとともに,消費電力のボトルネックが顕在化しつつある.将来の大容量トラヒックを扱うためには,スループット当りの消費電力が極めて小さい光ルーチング技術の重要性が増加する.しかしながら光の特性を最大限に生かしたネットワークの実現にはノード技術の革新が必要である.今後の光ネットワーク技術の開発方向を議論する.
著者
轟 眞市
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J96-B, no.3, pp.243-248, 2013-03-01

通信用光ファイバ(SMF及びNZ-DSF)におけるファイバフューズの伝搬速度と損傷形状の供給光強度依存性に基づき,その伝搬モードを次の3種類に分類した.供給光強度が小さくなる順に,コア領域に閉じ込められたプラズマがファイバ軸方向に長く広がって伝搬する円筒状モード,その広がりが前者より狭い単峰状モード,及び半径方向の広がりが前二者よりも小さい不安定モードである.ファイバフューズの損傷形状としてよく知られた弾丸形状の周期的空孔列は円筒状モードで現れ,単峰状モードでは空孔列が不連続につながりあった線状の損傷が残される.これらの伝搬モードでは,プラズマは半径方向に最大限広がった状態で伝搬するのに対し,不安定モードではそれより狭い領域を伝搬するので,供給光がプラズマに吸収されない比率が大きく,導波路構造の乱れの影響を受けやすい.
著者
佐々木 力 小林 修 田上 敦士 長谷川 輝之 阿野 茂浩 長谷川 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.89, no.8, pp.1379-1389, 2006-08-01
被引用文献数
4

本論文では,マルチキャスト配信時間という現実的制約に着目し,LT符号を用いた蓄積型コンテンツ配信における効率的な信頼性保証技術について提案する.近年,インターネットやモバイル網上でのマルチキャスト配信を対象とした低負荷で高い回復能力を有するFECとして,XOR演算に基づいたerasure codesが注目されている.特に,LT符号は,配信時間の拡大に伴い信頼性が向上するため,全受信者への配信が完了するまで配信を継続すればよい.しかしながら,マルチキャスト帯域の有効利用やサービス提供上の制約等により,1コンテンツ当りのマルチキャスト配信時間が固定されることが想定される.このような場合,すべての受信者への配信を保証するために,配信が完了していない受信者が差分データを送信者に直接要求するユニキャストベースの回復方式が必要である.我々はLT符号の特徴を考慮した要求データ選択手法を提案し,計算機シミュレーションにより有効性を確認した.
著者
渡邊 慎也 橋本 修 牧田 実
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.1103-1106, 2001-06-01
被引用文献数
23

本論文では, FDTD-HTE法を用い, 量産型電子レンジ庫内の被加熱物質の温度分布を解析し, その結果と実測値を比較した結果, 両者が良好に一致することを確認した.
著者
高島 雅弘 趙 大鵬 柳原 健太郎 福井 潔 福永 茂 原 晋介 北山 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.742-750, 2006-05-01
被引用文献数
40

本論文では,IEEE802.15.4を用いたセンサネットワークにおいて,実環境における無線伝搬特性を確率モデル化し,そのモデルを用いた最ゆう法によりノードの位置を推定する手法を提案する.また,室内での実測から得られた確率モデルを用いたシミュレーション及び位置推定実験による性能評価を行い,提案手法が室内でのマンロケーション管理に有効であることを示す.
著者
加藤 松明 吉原 圭介 高橋 伸宏 橋本 英一 西田 信一郎 木村 真一 中須賀 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.13-20, 2005-01-01
被引用文献数
6

本論文では,低コスト・高機能・短期開発を実現する50〜100kg級小型衛星バスシリーズの研究の中で,シリーズ初号機として開発したマイクロラブサット1号機(以下μ-LabSat)が果たした役割について述べる.まず,μ-LabSatのシステム概要について述べ,次にμ-LabSatシステムの中で,低コスト・高機能を実現するために新たに採用した設計方針や技術について述べる.また,これらの技術が適用されたμ-LabSat上で実施された宇宙実証実験について述べる.
著者
原 嘉孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.2027-2039, 2001-11-01
被引用文献数
32

SMI(Sample Matrix Inversion)アダプティブアレーでは, その構成成法によっては相関行列演算と相関ベクトル演算に用いるサンプルが一致しない場合も想定される.本論文では, 相関行列と相関ベクトルの演算サンプルに関して様々な条件設定を行い, 理論解析とシミュレーションの両面からSMIアダプティブアレーのウェイト収束特性について論じる.性能評価の結果, TDMA(Time Division Multiple Access)方式で多く見られる希望信号電力が他の干渉電力に対して強い環境では, 相関行列と相関ベクトルを同一サンプルで演算することが強く望まれることがわかった.また, CDMA(Code Division Multiple Access)方式で多く見られる逆拡散前の希望信号電力が他の干渉電力に対して弱い環境では, 相関行列と相関ベクトルの演算に異なるサンプルを用いる構成が有効であることがわかった.
著者
清水 めぐみ 幸谷 智 三輪 進 加来 信之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.7, pp.1058-1066, 2000-07-25
被引用文献数
9

レーダクラッタのセル間自己相関関数は, 信号のそれに比べて一般に早く減衰するので, 検波後波形はクラッタのほうが信号よりもスパイキーになる.一方, 図形処理において, 小さな点を消去するのに収縮法が用いられる.したがって, パルス積分の前処理として収縮法を用いることにより, 信号対クラッタ比を更に改善する効果が期待できる.本論文では, アジマス及びレンジ方向にそれぞれ複数のセルをもつ窓を設定し, 窓内のセルに一つでも振幅値0がある場合は窓の中心のセルの振幅値を0とする収縮法を適用し, この後2次元移動平均により平滑化を行った.実験には仙台空港に設置された実験用空港面探知レーダを用いたが, 適当なレベルの目標とクラッタを含むデータが取得できなかったので, 各種条件下における目標とクラッタの合成データにこの手法を適用した.この結果, 単なる2次元移動平均よりも信号対クラッタ比を改善することができたが, 場合によっては視覚上は改善されていても, 数値上改善されない例が見受けられた.そこで, 信号対クラッタ比の定義自体についても考察を加えた.
著者
齊藤 義行 安原 昌克 船戸 是宏 パオレッティ ウンベルト 久門 尚史 和田 修己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.332-340, 2010-02-01
被引用文献数
3

LSIのCore回路用電源供給系の高周波電流をシミュレーションするためのEMCマクロモデルとしてLECCS-coreモデルと呼ぶ電源系デバイスモデルを開発している.これまで,電源端子を複数もつLSIに関しては,直流抵抗の大小に応じてブロック分けを行い,ブロックごとにモデル化してきたが,本論文では電源端子を複数もつマイクロコントローラを対象とし,Core用電源端子とI/O用電源端子が高周波において結合していることを実測により示し,この結合を含んだ3ポートのLECCS-coreモデルを提案する.また,このモデルを用いて,I/O用電源端子の条件の違い(バイパスコンデンサの有無)によるCore用電源端子間の伝達インピーダンス変化がシミュレーション可能となることを示す.更に,等価回路の構築に用いたSymbolic Analysis,及び,インピーダンスの絶対値・位相両方を考慮して等価回路の各回路素子の値を決定する方法についても示す.
著者
北折 潤 角田 岳志 禮助 安亨 小園 茂
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.8, pp.943-951, 2012-08-01

航空移動通信のディジタル狭帯域伝送路評価を,VDLモード2/3システムの仕様をもとに計算機シミュレーション及び飛行実験によって行った.まずシミュレーションによってビット誤り率(BER)特性を求めた.更に,自由空間損失に基づくシステムマージンを求め,VDLモード2/3システムは地上局~航空機局の見通し区間内で10 dB以上のマージンを得る高い信頼性のシステムであることが分かった.飛行実験からは,受信レベル及びその分布等を算出するデータ処理区間は飛行距離500~1000 mが適すること,地上局からの距離とともにKファクタは増加し20 dB程度にまで達することが示された.これらの結果から,ディジタル狭帯域伝送路はデータ処理区間内の受信レベルとKファクタ及び航空機の移動速度に関する正規化ドップラ周波数で評価できることが分かった.
著者
藤田 靖征 村田 正幸 宮原 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.347-357, 1999-03-25
被引用文献数
11

近年インターネットユーザ数の急伸やマルチメディア化の進展により, インターネットプロバイダはインフラ整備の対応に追われている.品質の高いネットワークシステムを構築するためには, ネットワーク特性やWebサーバ特性を十分に把握したうえで, システム資源をバランス良く配備し, ボトルネックを解消していくことが重要である.本論文では,そのためにWebサーバに着目し,そのモデル化と性能評価を行う.まず, Webサーバの処理性能に関する基礎データをベンチマークによって収集した結果を示し, 特にWebサーバに対して要求されたドキュメントサイズがWebサーバの処理能力に与える影響を明らかにしている. 更に, 実験結果に基づいてWebサーバモデルを提案し, その妥当性の検証を行うとともにWebサーバの性能を明らかにしている.
著者
太田 健太郎 小林 健太郎 山里 敬也 片山 正昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.246-256, 2012-02-01
被引用文献数
1

大陽エネルギーの取得を行う無線センサネットワークにおけるデータ伝送成功率の向上を目指している.ネットワーク全体の消費エネルギーを低減する方法として,データ送信時にノードがデータの中継を行う協力伝送方式の適用を考える.本論文では,まずノードの電池残量,消費エネルギーを考慮した中継ノード選択手法を提案し,全体的なデータ伝送成功率の向上を行う.しかし,取得エネルギーの変動を考慮しない場合,夜間にデータ伝送成功率が低下する問題が生じる.そこで,協力伝送に電池切れにより停止したノードの再稼動条件を導入することで昼夜のデータ伝送成功率の平滑化を行い,要求される高いデータ伝送成功率を達成する.
著者
大江 準三 西川 訓利
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J89-B, no.9, pp.1569-1579, 2006-09-01

最近の自動車開発では,ITS(Intelligent Transport Systems)技術と総称されるように自動車の基本機能である「走る」「曲がる」「止まる」の高度化のみならず,環境適応性能や安全性能などの社会と高度に共存するための技術開発が進められ,更なる機能の進化を遂げている.その中でも情報通信技術いわゆるIT(Information Technology)は,ITS技術を実現するための不可欠な中核技術として位置づけられ,今や自動車の4番目の基本機能として「つながる」機能が定義されるまでに至っている.また,移動体である自動車での情報通信は無線が主体であり,情報の取込み口としての車載アンテナ技術は「つながる」機能を支える重要な中核要素をなしている.本論文では,車載アンテナ技術の変遷や動向について述べるとともに,自動車の意匠との整合性を保ちながらアンテナ性能を高めるといった特徴的な性能課題への取組み状況などにも触れながら,その技術概略についても述べてみたい.
著者
平 明徳 石津 文雄 三宅 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1255-1264, 2001-07-01
被引用文献数
50

都市部における移動体通信需要の高まりから, 周波数選択性フェージング環境下において優れた特性を示すOFDM通信方式が注目を集めており, 各国で標準化作業も進められている。OFDMではFFTウインドウの設定位置にずれが生じると, シンボル間干渉によりサブキャリヤ間の直交性が崩れて特性劣化が生じるため, 高精度なタイミング同期が必要となる。本論文では, 受信信号と参照信号の相互相関に基づいた同期方式を提案し, これまでに提案されている受信信号の自己相関に基づく方式とともに計算機シミュレーションによりPER特性に与える影響を検討する。また, 参照信号を硬判定データとして表現することにより, 相関処理で必要とする計算量を効果的に削減する手法を示し, 遅延波広がりの大きな伝送路においても本提案方式により適切なタイミング同期が実現できることを明らかにする。
著者
上村 佳嗣 小島 勝哉 山田 芳文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.706-714, 2002-05-01
被引用文献数
9

日常,我々が使っている電気機器にはかなり大きな磁束密度を生じているものがある.特に,交流式の電気シェーバの場合,局所的に10mT(100ガウス)を超える.それらから発生する磁界による人体への誘導電流を評価するには,電気シェーバ内にある磁界の発生源を特定しなければならない.本研究では,交流式電気シェーバの内部にある磁流源の向きと位置の同定をSPM(Sampled Pattern Matching)法を用いて行った.その結果,磁流源は一つの磁気ダイポールで近似でき,それは電気シェーバの中心に位置し,使用時の向きは体表と平行に置かれることがわかった.また,人体頭部を平板モデル,均質球モデル,多層球モデルで模擬し,磁流源から発生する磁界による内部の誘導電流密度を解析的に計算した.更に,SPFD法,インピーダンス法の計算結果と比較し,相互の妥当性を検証した.その結果,通常の使用状態ではICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)ガイドラインの一般人に対する限界値である2mA/m^2を超えないが,ワーストケースでは職業人に対する限界値を超える可能性があることもわかった.