著者
赤間 啓之 三宅 真紀 鄭 在玲
雑誌
じんもんこん2007論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.277-282, 2007-12-13

歴史上の社会的なダイナミクスをシミュレーションするため、社会階層間のネットワークをひとつのグラフとみなし、MCL(Van Dongen,2000)によるグラフクラスタリングを施す。クラスタリング上の、直感的な精度評価と矛盾する特異な現象と並行的に論じられるものが、実は現実にも社会階層間の矛盾の形で生じていたことを、古代ローマやビザンツ帝国の皇帝専制を例に示す。
著者
福田 智子 駒木 敏 田坂 憲二 黒木 香 矢野 環 川崎 廣吉 竹田 正幸 波多野 賢治 岩坪 健 古瀬 雅義 藏中 さやか 三宅 真紀 西原 一江 日比野 浩信 南里 一郎 長谷川 薫
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

平安中期成立かといわれる類題和歌集『古今和歌六帖』約4500首を対象に、独自に開発した文字列解析システムを用いて、すべての和歌の出典考証を行った。また、複雑な書き入れに対応したテキストデータ作成のため、タグ付け規則を案出した。そして、六つの伝本のテキストファイルを作成した。それらを対象に、諸本の同一歌を横並びで比較対照でき、しかも、底本を自由に選択できる校本システムを開発した。さらに、伝本の原態、特殊な漢字表記、朱筆書き入れに関する基礎資料を作成した.
著者
永崎 研宣 三宅 真紀 苫米地 等流 A.CharlesMuller 下田 正弘
雑誌
じんもんこん2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.4, pp.239-246, 2013-12-05

本稿は、大正新脩大藏經テキストデータベースにおける脚注の校勘情報を通じた人文学資料としてのテクスト構造化に関する研究を扱う。これはこのデータベースを構築・運用するSAT プロジェクトの次のフェーズの方針の策定に役立てることを目指すものである。大正新脩大藏經の校勘情報は、各一次資料の歴史的な関係からある程度想定可能だが、具体的に研究されてきたわけではなかった。ここでは、デジタル化された校勘情報を用いた分析を行ったが、結果は一般的な想定を裏付けするものであった。いくつかの例外的なものがあったことが、今後の方針を策定する上で有益かもしれない。また、Linked Data という形で校勘情報を扱うことで、一次資料公開に関する権利所有者との合意形成が容易になるかもしれない。
著者
丸山 穂高 三宅 真二 黒川 達夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.499-511, 2016-07-10 (Released:2017-07-10)
参考文献数
9
被引用文献数
3 1

Increases in national healthcare costs are heightening concerns for Japanese society. In recent years, the development and utilization of biosimilars (BSs) has become an area of focus because they are 23-30% cheaper. However, the use of Infliximab BS does not necessarily ensure the reduction of patient payments in Rheumatoid Arthritis (RA) cases. This paradox adversely affects the wider use of Infliximab BS. Its market penetration in Japan is less than 1%. This may indicate a significant loss for the both national healthcare scheme and patients. It is critical to identify the causes and possible remedies. We conducted a study with simulated one-year RA patient models and calculated total monthly payments for Infliximab BS and branded biologics (BBs).Problems arise when three conditions are met: patient’s age under 70, annual income of 3.7 million yen or less, and three-dose vials daily. The main contributor to this situation is the High-Cost Medical Expense Benefit, which covers monthly payments exceeding a specified amount. This system applies to Infliximab BB users. The estimated number of patients who meet all three conditions is around 1,305 about 8% of RA patients treated with Infliximab. This shows that the majority of patients (92%) benefit from using Infliximab BS. Therefore, we do not feel that total abandonment of Infliximab BS use is justified. Our findings support that the High-Cost Medical Expense Benefit has to be adequately modified, so that BS users do not pay more for treatment than BB users.
著者
中島 宏樹 大川 保昭 久保 寛紀 水野 翔太 三宅 真一 浅井 徹 杉浦 剛志 志水 清和 柴田 哲男
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0741, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】慢性心不全患者は年々増加しており,再入院率が高いことが問題となっている。これまでに退院前患者教育が慢性心不全患者の再入院率を低下させることが報告されているが,わが国において患者教育を実践している医療機関は限られ,長期的なフォローアップを行う体制をもつ医療機関はほとんどない。さらに,患者教育プログラムに運動指導が含まれていないことが多い。今回,我々は心不全患者に対する運動指導を含めた患者教育が退院後1年以内の再入院率減少に有効であるか検討した。【方法】心不全増悪で入院した心不全患者73名(平均年齢70.5±9.6歳)を対象とし,当院で患者教育を導入する前の対照群36名と導入後の患者教育群37名との退院後1年間での再入院率を比較した。除外基準は,認知症(改訂長谷川式簡易知能評価スケール<20),6分間歩行距離<100 m,過去の心不全入院歴≧3回,慢性閉塞性肺疾患を合併する症例,入院中あるいは退院後に心臓外科手術を受けた症例,中枢神経疾患や骨関節疾患による運動制限がある症例とした。患者教育は理学療法士と看護師により実施し,患者教育には,心不全の病態と増悪因子・増悪時の対処法,体重管理,運動指導,塩分・水分制限,過活動制限,感染予防,栄養,服薬管理および血圧測定について当院で作成した資料を用いて行った。なお,患者教育群は入院中に通常のリハビリテーションプログラムに加え,計5-6単位の個別教育を実施した。退院後1年間,当院に再入院することなく,外来診察がないために経過が確認できない症例については自宅に電話して他院への再入院の有無などの状況を確認した。統計解析は,ベースライン時の各因子の2群間の比較に対応のないt検定またはMann-Whitney U検定を用いた。また,再入院率は,退院日を起点としてKaplan-Meier法を用いて算出し,有意差検定にはlog-rank検定を用いた。統計学的有意水準は5%未満とした。統計ソフトウェアにはEZR(ver. 1.11)を用いた。【倫理的配慮】本研究は一宮市立市民病院倫理委員会の承認を得て行った(承認番号:9)。対象者には事前に書面および口頭にて研究の目的や内容の説明を行い,書面での承諾を得た。【結果】心不全増悪による再入院率は患者教育群で5名(13.5%),対照群では12名(33.3%)であった。ベースライン時の年齢,Body Mass Index,心不全増悪による入院回数,左室駆出率,脳性ナトリウム利尿ペプチド値,推算糸球体濾過量および6分間歩行距離の評価項目において2群間で有意差は認めなかった。心不全増悪による再入院率は患者教育群と対照群との間に有意差が認められた(log-rank test,P<0.05)。【考察】退院前の患者教育が心不全増悪による1年以内の再入院率を有意に低下させた。患者教育群は教育を実施しなかった対照群と比較し,再入院率が19.8%低下した。心不全患者は心不全増悪の要因として,塩分・水分制限の不徹底や過活動,治療薬の不徹底,感染などの予防可能な因子が上位を占め,心筋虚血や不整脈といった医学的要因よりも多いことが知られている。過活動の制限に関しては,嫌気性代謝閾値(AT)を超えての運動・活動の持続がダブルプロダクトの上昇による心負荷となり心不全増悪の要因となるが,運動耐容能の低下した症例では日常生活活動で容易にAT強度を超えるため,過活動となる機会が多いことが予想される。先行研究において報告されている心不全増悪による再入院に影響を及ぼす因子にはベースライン時で有意差を認めなかったことから,運動指導を含めた患者教育により患者自身が体重管理や過活動の制限,塩分・水分制限,服薬の遵守,感染予防などを実施できたことが再入院率の低下に影響したと考えられる。【理学療法学研究としての意義】心不全患者自身による管理能力が再入院予防において重要であることが示唆されているが,多職種による患者教育を実践している医療機関は少ないのが現状である。一方で,理学療法士が心不全患者に関わる場面は,今後さらに増加することが予想され,心不全管理に関する一般的事項を患者自身およびその家族に指導することは心不全増悪による再入院率を低下させ,さらにQOLを改善する可能性を有している。理学療法士はその一翼を担っており,本研究の結果から理学療法士の立場から患者教育を実践することが再入院率低下に有効であると示唆された。
著者
赤間 啓之 三宅 真紀 鄭在玲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.78, pp.63-70, 2007-07-27
参考文献数
13

赤間ら(2007)は、フランス革命期の思想家、カパニスとメスメールの思想的類似性を論証するため、彼らのテキストをもとに、キーワード中心の意味ネットワークを作成し、グラフクラスタリングの技法であるMCLを適用した。本論考では、単語の共起データを取る際、単語インスタンスをすべて取り扱う漸進ウインドウ法(IAW)を使用すると、それに基づく意味ネットワークのクラスタリング結果が、キーワード中心のものと比べどう異なるものになるか分析する。By using the MCL (Markov Cluster Algorithm) known as a graph clustering method, Akama et al. (2001) measured the similarity of thinking between two contemporary thinkers, Cabanis and Mesmer. But the previous data under the form of semantic network were obtained by selecting beforehand the keywords as hubs around which the neighboring words were taken as dangling vertices. This study propose as an alternative to the keyword-based clustering a new windowing method called Incrementally Advancing Window (IAW) that generates co-occurring word pairs that can be used as inputs to the Incremental Routing Algorithm. Here we compare these two types of co-occurrence and/or adjacency data matrix by applying to each of them the indexes as weighted curvature, modularity Q and F measure.
著者
中本 朱香 三宅 真二
出版者
一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.245-253, 2016 (Released:2016-09-30)
参考文献数
66

目的 : 「ブルーレター」は日本における医薬品のワーニングレターの一種である. 「ブルーレター」は厚生労働省が市販後に安全対策を取るべきと判断した際に製薬会社から発出される. この研究の目的は, 市販後に「ブルーレター」という強い注意喚起手段の対象となった副作用が, 治験段階において, 発見されていたか否かを調査することである. そして, 市販前に副作用に関して議論されていた場合, その情報が医療従事者に対してどのような形で提供されていたかを調査する. 方法 : 対象は2006~2015年の間に「ブルーレター」が発出された医薬品である. 副作用に関して審査報告書を調査し, 市場に出る前に製薬会社と厚生労働省がその副作用に関して知っていたかを評価した. そして副作用に関してそれぞれの添付文書を調査し, 医療従事者が「ブルーレター」が発出される以前からその副作用情報を得ることができたか評価した. 結果と考察 : 2006~2015年の間に11通の「ブルーレター」が発出された. 製薬会社と厚生労働省は, 11通中8通の「ブルーレター」発出の対象となった副作用を治験の段階で示唆していた. そしてそれぞれ該当する医薬品の添付文書中に副作用情報を提供していた. しかしほとんどの情報は「ブルーレター」が発出される以前はリスクを適切に表現できていない曖昧なものと判断された. 今後は添付文書を医療従事者が使用しやすいコミュニケーションツールとしてより一層改善することが求められる. 結論 : 多くの場合, 製薬企業は「ブルーレター」が発出される前から副作用情報を提供していた. しかしほとんどの情報は具体性を欠く曖昧な表現であり, 当該安全性問題に対する事前の想定などを強く促すには不十分であったと考えられる.
著者
三宅 真由美
出版者
信州大学経済学部
雑誌
信州大学経済学論集 = Economic review, Shinshu University (ISSN:02880466)
巻号頁・発行日
no.66, pp.11-18, 2015

近年のビジネスのグローバル化に伴い,日本の大学を卒業した留学生が日本において就職するケースが増加しつつある。法務省入国管理局(2014)によれば,2013年に日本企業への就職のため就労ビザを申請した留学生は12,793人であり,うち11,647人が許可された。高等教育レベルの日本語教育においては,留学生が大学卒業後,日本ないし母国において日本企業に就職することを明確に意識した就職準備教育の必要性が高まっていると言える。これを踏まえ,筆者が担当する経済学部留学生対象科目「日本の社会と日本語??」(2年生以上,後期2単位)において,2013年度以降はビジネス日本語授業を行っている。同科目では場面シラバスに基づくロールプレイを通じ,ビジネスマナー,日本の企業文化,敬語表現の習得をめざしている。本稿は同科目の実践報告とともに,学部留学生に対する就職準備教育としてのビジネス日本語教育について論じた。
著者
佐藤 太亮 三宅 真立 金子 修
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.142, no.3, pp.299-306, 2022-03-01 (Released:2022-03-01)
参考文献数
14
被引用文献数
5

In this paper, we propose a method to achieve a given desired tracking property with only minimal information on the control target by combining FRIT with some extensions to the intelligent PID control system. The intelligent PID control system has a simple structure and can stabilize a system using only parameters without requiring much dynamic characteristics of a control target. Here we firstly extend the intelligent PID to Proportional differentiel leading typed PID controller, which is abbreviated as iI-PD controller, to guarantee the stability of the closed loop for broader class of plants compared with the original inteliggent PID control systems. Secondly, we apply FRIT to decide the parameters of a controller with only one-shot experiment to follow the desired response. Thus, by combining FRIT, we obtain controller parameters which is adjusted so that it enable not only output to follow the desired response but also guarantee the stability of the closed loop system with only an initial experimental data. We also verify the effectiveness of the proposed method with numerical examples.
著者
中村 こず枝 三宅 真紀
出版者
岐阜市立女子短期大学
雑誌
岐阜市立女子短期大学研究紀要 = Bulletin of Gifu City Women's College (ISSN:09163174)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.35-40, 2017

We investigated the change of preference for the dislikable food during childhood of female college students majoring in food and nutrition. Eight out of 137 students were keeping from disliked foods. They include tomatoes, liver, fish, celery, green peace, natto (fermented soy beans), green onion. Most of them had changed their preference for the disliked food when they were in from junior high school to college. Main reason for the change of food preference were 1) the disliked food eaten by chance was delicious, 2) long avoiding time from their un-favorite food, 3) mandatory eating. The results suggested that the disliked food during childhood may have changed from dislikable to favorite, according to physical, psychological, and social development. A lot of food experience are needed to overcome the disliked food.
著者
上田 照子 三宅 真理 西山 利正
出版者
厚生統計協会
雑誌
厚生の指標 (ISSN:04526104)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.19-26, 2009-06
被引用文献数
2
著者
石原 陽子 三宅 真美 大森 久光 長谷川 豪 中尾 元幸
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

北東アジアからの越境輸送物質の健康影響が問題視されている。本研究では、偏西風によってもたらされる越境輸送物質の発生源および通過地域のモンゴル、中国と久留米のPM2.5の大気及び個人暴露量とその成分及び健康影響について調査研究を行った。その結果、PM2.5の重量と成分には大気と個人暴露で相関性や地域特性を認め、黄砂飛来時には成人慢性呼吸器疾患有症者の呼吸器症状の増悪や精神生理的活動性の低下が見られた。従って、今後の疫学調査では、この点を加味した研究デザインが必要であることが示唆された。
著者
平 明徳 石津 文雄 三宅 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1255-1264, 2001-07-01
被引用文献数
50

都市部における移動体通信需要の高まりから, 周波数選択性フェージング環境下において優れた特性を示すOFDM通信方式が注目を集めており, 各国で標準化作業も進められている。OFDMではFFTウインドウの設定位置にずれが生じると, シンボル間干渉によりサブキャリヤ間の直交性が崩れて特性劣化が生じるため, 高精度なタイミング同期が必要となる。本論文では, 受信信号と参照信号の相互相関に基づいた同期方式を提案し, これまでに提案されている受信信号の自己相関に基づく方式とともに計算機シミュレーションによりPER特性に与える影響を検討する。また, 参照信号を硬判定データとして表現することにより, 相関処理で必要とする計算量を効果的に削減する手法を示し, 遅延波広がりの大きな伝送路においても本提案方式により適切なタイミング同期が実現できることを明らかにする。
著者
赤間 啓之 仁科 喜久子 清水 由美子 三宅 真紀
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

グラフ理論に新しい計算手法を導入し、1)文献資源のトピックスを対象としたオントロジーの半自動生成と2)日英の双方に関し、連想概念情報検索システム-連想作文支援システムの開発(教育・学習資源の構築)に同時に適用する試み、3)日英双方の辞書資源(学研国語大辞典、WordNet)の意味ネットワークを介したシソーラスの自動生成や、4)様々な文献資源、特にフランス語の思想書(カバニス、メスメル)、小説(サンティグチュペリ)のトピックスの潜在的な意味分析を行った。特にグラフクラスタリング技術であるMCLを改良し、その結果をRMCLnet(グラフクラスタリング表示検索システム)、ACSS(連想作文等創造的発想支援システム)という、Web情報検索システムの形で公開した。また、国語辞典の意味ネットワーク形成にも応用すべく、形態素解析の後の人手によるチェック、特にひらがなに開かれた同音異義語の選定作業を行った。これらの成果は、国内外の学会(LREC2006, ICALT2006、 PACLIC21、 PACLNG-2007、 ED-MEIDIA2007など)で発表されている。RMCLは、収束段階で非連結になったMCLのクラスター結果を再入力し、クラスタリングの計算段階で過去に記録された隣接関係を復元して、それをもとに潜在的な隣接関係を復元したうえで、MCLを反復しておこなうものである。また、ハブ語のまわりにサイズの大きすぎるコアクラスターが生成したり、1クラスター1語というシングルトン・クラスターが生成したりする場合に、事後的にサイズ調整を行なうため、潜在隣接の概念を導入し、それをもとにしたBMCL(潜在隣接クラスタリング)という方法を編み出した。
著者
三宅 真紀 佐藤研 赤間 啓之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.85, pp.25-30, 1999-10-15
参考文献数
8

本論文では、聖書学の分野に、コーパス言語学的な統計的解析を用いた方法論を導入をすることを目的としている。そこで、新約聖書学において、福音書の成立上の相互関係を整合的に説明しようとする「共観福音書問題」に着目し、その最も説得的な解決法と考えられている「二資料説」について、数量化モデルを立てた。統計処理については、特異値分解(Singular Value Decomposition SVD)を基盤とするLSA (Latent Semantic Analysis)を用いて仮説を検証し、数量化モデルを用いて「二資料説」を実証した。LSAは、膨大な量のテクストを扱うのに非常に適している。また、解析ソフトウェアの開発も同時に行い、将来的に聖書学研究者の統計的研究をサポートすることを目的としている。In this paper, it is our aim to use a statistical analysis for the study of Bible. We deal with the "synoptic problem" in New Testament Studies. For the first step, a statistical model is created for the "two sources theory" which plays a important part in this problem. Then, the hypothesis is explored by a mathematical technique called Latent Semantic Analysis (LSA). This thechnique uses Singular Value Decomposition (SVD), a mathematical generalisation of factor analysis. And also it is applied to a large corpus of text. Finally the hepothesis is proved by the satistical model. In addition we develop a application applied to the statistical analysis for the study of Bible.
著者
三宅 真也
出版者
国際ビジネス研究学会
雑誌
国際ビジネス研究学会年報 (ISSN:13480464)
巻号頁・発行日
no.12, pp.79-91, 2006-09-30

本稿は、しばしば日本固有の業態と言われる総合商社の存在の持続性こついて、海外直接投資(FDI)の実施主体としての側面に焦点を当てながら考察することを目的とする。本稿では、先ず総合商社と19世紀後半から20世紀初の英国の典型的なFDI実施主体とされるフリースタンディング・カンパニー(FSC)のFDIに関する既存研究をレビューし、FDI実施主体としての総合商社とFSCの組織設計、そして各々のFDI(又は海外事業)のコントロールの仕方を比較した。その上で、総合商社のビジネスモデルの変化に着目し、企業成長におけるFDIの戦略的意味合いに関する仮説の導出を試みた。FSCは、国内事業の拡張を目的とした米国型FDIと異なり、複数の企業や個人の関係に基づくネットワーク型FDIの実施主体であり、対象事業分野も広範に及んだ点が特徴とされる。こうした点で、FDIの実施主体としてのFSCと総合商社の間には一見類似性も認められるが、FSCの多くは、商社と異なり短命であり、両者の間には何らかの大きな相違があったことが示唆される。既存研究のレビューの結果からは、短命に終わった多くのFSCの場合、FSC自体はあくまでFSCを取り巻くクラスター内の企業や個人のためのFDI実施手段に過ぎず、自らネットワークの形成主体とはなり得なかったのではないかと考えることができた。他方、総合商社の場合は、自らがネットワークのハブとなるべく戦略的目的を持ってFDIを実施してきたと考えられ、この点が両者の間の大きな相違の可能性として浮かび上がった。つまり、短命に終わったFSCの場合は、元々、組織そのものの存続と成長を可能とする組織設計ではなかったことから、必然的に短命に終わったのではないか。他方、総合商社の場合は、FDIの実施主体としての商社自体がgoing concernを前提とする組織設計であった結果、FDIは単なる事業戦略としての意味合いを超えて、親会社の経営資源の内部蓄積への貢献を通じ、親会社である総合商社の企業存続と成長に繋がったのではないかという仮説が導出された。こうした総合商社の戦略的観点からのFDIの重要性は、近年のビジネスモデルの変化においても現れている。今後は、本稿における論理的仮説について、更なる分析によって検証し、FDIの実施主体としての総合商社の企業成長の仕組みを解明することとしたい。