著者
小川 昭正 度會 正人 中村 麗亜 大江 英之 服部 哲夫 城所 博之 久保田 哲夫 加藤 有一 宮島 雄二 久野 邦義
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.55, 2007

〈緒言〉小児における上室性頻拍はしばしば経験するが、乳児期に発症するものは急激にうっ血性心不全が進行し、重篤な状態となる。また年長児では、ときに再発が多く日常生活のQOLが障害される。近年小児でもカテーテルアブレーション治療が行われるようになり年長児の生活のQOLが改善され福音となっている。<BR>そこで、最近7年間に当科で経験した上室性頻拍症の15症例について臨床像、短期治療、長期治療につき検討した。<BR>〈結果〉乳児期発症は9例(男児4例、女児5例)、幼児期以降の発症は6例(男児4例、女児2例)であった。乳児期発症例はすべてが生後3ヵ月以内に発症していた。3例は初診時に著明なうっ血性心不全を呈していたが、残りの6例は、偶然に発見されていた。うち1例は胎内で一時頻拍を指摘されたが出生時は不整脈は認めず生後4日から上室性頻拍発作を発症した。急性期の治療は、1例は治療開始前に自然軽快したが、他の8例は digoxinの急速飽和とATP急速静注をおこない発作は治まった。 幼児期以降発症の6例の年齢は4歳から13歳で、発作時心拍数は毎分160から270であった。症状も腹痛や胸部不快感・動悸で、循環呼吸状態への大きな影響は認められなかった。薬物治療は、ATPの急速静注、又はATPとDigoxinの併用であった。乳児期発症の9例のうち非発作時の心電図から副伝導路の存在が示唆されるものは3例であった。発作予防薬は、digoxinが5例、digoxinとpropranololの併用が3例 頻回に再発した1例はdigoxin,propranolol,disopyramide の併用をおこなった。digoxinは血中濃度に注意して全員が内服した。予防内服の期間は 全例で8ヶ月~1歳までで、内服中止後 発作が再発した例は、なかった。幼児期以降発症例では、1例がmanifest WPWであった。発作予防薬は原則的には無しとしていたが、経過中発作が頻回になった2-3ヶ月間のみ、やむをえず予防内服を行った。2例では、薬物が必要な発作の頻度が高く、年齢が高くなるにつれて生活に支障を来たすようになった。そのため高周波カテーテルアフ゛レーションの適応と考え、施行したが、その後は上室性頻拍発作はなく良好な経過をたどっている。<BR>(結語)□乳児期早期の発症例では重症の心不全に陥る前の発見が重要でその後数ヶ月を良好な発作予防をすることが重要であり、年長児では頻回発作する例ではカテーテルアブレーション治療にもちこむことがQOL改善のため重要であることを再確認した。
著者
鈴木 良典 小川 貴之 服部 洋美 伊藤 祐子 岩渕 恵美 富田 弘美 中原 亜衣 望月 剛
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.257, 2011

〈緒言〉当院は愛知県尾張北部医療圏に位置する678床の二次救急医療機関病院である。当院は同一市内にあった2病院が平成20年5月統合開院し電子カルテを導入した。現在、1ヶ月に1,700件を超える書類作成依頼のうち約48%は電子カルテにて作成が可能となっているが、それ以外のほとんどが手書きにて作成されている。そのため、医師の書類作成は時間外に及ぶことが多く溜まった書類をまとめて記入するなど、本来の診療業務に負担となっているため、書類に掛かる業務の負担軽減と書類の作成期間を短縮する必要性が高まった。<BR>〈方法〉医師の文書作成の負担軽減策として文書作成管理システムを導入する。<BR>この文書作成管理システムの特徴は以下の通り。<BR>(1)約700種の書式がフォーマット。<BR>(2)属性、病名、入退院日、手術名、術式コード(Kコード)等の連携。<BR>(3)前回の入力内容や電子カルテの記載内容の複写・引用機能。<BR>(4)入力必須項目の記載漏れチェック機能。<BR>(5)期限超過した依頼文書の医師別一覧出力。<BR>上記の特徴を最大限に活用できる運用を作成することで書類作成期間の短縮及び問い合わせ件数の減少に繋げる。<BR>そのため、文書管理係として専属で文書管理を行う事務員を5名配属し平成23年5月9日より文書作成管理システムを本稼動させた。文書管理係は文書作成管理システム出力文書・手書き文書共に入退院日や通院日、病名や術式等の医師以外でも記載可能な部分を下書き入力し、医師は事務の記載部分の確認と空白部分への入力及び完成書類への署名のみとなる。また、システム導入以前に記載のある文書書式のものは過去記載分を事務側にてすべて複写を行い、医師は今回の依頼分に対し加筆・修正を行うだけとなる。<BR>〈結果〉文書作成管理システムの導入により月約1,500件(約89%)の文書が電子化された。全体としての効果については今後アンケートを実施し学会時に発表する。
著者
北島 幸也
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.333, 2009

〈はじめに〉当院では,脳転移に対する定位手術的照射<BR>(stereotactic radiosurgery : SRS)を2005年1月から実<BR>施している。SRS 施行前には必ず精度測定が行われポイ<BR>ンタ調整,機械的回転精度測定(ガントリ回転,カウチ回<BR>転)およびSRS 専用ツーブス取付け調整が行われる。今<BR>回,治療精度を最も左右するSRS 専用ツーブス取付け調<BR>整について検討した。<BR>〈対象と方法〉対象は,2005年1月から2009年2月までの<BR>25件(うち34病変)で,取付け調整したツーブスは,10mm<BR>10件,15mm11件,20mm4件,25mm1件,30mm2件<BR>である。取付け調整された各ツーブスにおいて,ガントリ<BR>0°,90°,270°の3方向でライナックグラフィによりアイ<BR>ソセンターにセットアップしたアブソルート(直径8mm<BR>の仮想ターゲット)を撮影した。撮影されたフィルムを<BR>D-Dsystem でスキャンし,取付け調整した各ツーブスの<BR>照射野がアイソセンターからどの程度ずれているかを測定<BR>し検討した。<BR>〈結果〉30mm ツーブスにおいて最大0.751mm のずれが<BR>生じていた。全てのツーブスにおいてガントリ90°,270°<BR>ではアイソセンターより照射野が床側にずれる傾向を示し<BR>た。また,長軸方向はガントリ0°,90°,270°全て足側に<BR>ずれる傾向を示した。<BR>〈考察〉ツーブス調整は手動にて行うため,照射野が大き<BR>くなればアブソルート中心に合わせにくく,調整者による<BR>違いや測定による誤差も生じていると考えられる。<BR>〈結語〉当院におけるSRS 専用ツーブス取付け調整にお<BR>いて精度は1mm 以下である。<BR>
著者
浅沼 信治
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.10, 2010

1.農薬の使用と中毒発症の現状<BR>1)農薬使用状況の推移<BR> わが国で農薬が本格的に使用されるようになったのは、第二次世界大戦後である。戦後、農薬は農作物の生産性向上、労力の軽減など農業には重要な資材としての役割を果たしてきた。生産量の推移をみると、戦後30年の間に急増し、1974年に過去最高の75万トンに達し、その後は暫時減少し、90年代後半からは60年代の水準(30万トン台)になっている。殺虫剤の使用が最も多いが、兼業化など人手不足による省力化のため、除草剤の使用も多くなっている。<BR>2)急性中毒および障害<BR> かつてはホリドールやテップなどの毒性の強い農薬による中毒が多かったが、1971年に強毒性農薬が禁止になり、中毒事故は減少した。しかし、その後パラコート系除草剤による死亡事故(主として自殺)が相次いだ。1976年にパラコート系除草剤のうちグラモキソンが製造中止になり、代わってプリグリックスLが使われるようになり、死亡事故はやや減少した。<BR> 農村病院を受診した者の統計からみると、急性中毒と皮膚障害が多い。「健康カレンダーによる調査」によると、4人に1人が中毒症状の経験がある。<BR><BR>2.農薬使用の問題点<BR>1)2006年5月の「ポジティブリスト制度」の施行による問題点<BR> 「ポジティブリスト制」は、基準が設定されていない農薬が一定量以上含まれる食品の流通を原則禁止する制度である。以前の「ネガティブリスト制」は、農薬の残留基準値がない場合、規制の対象にならなかったが、新制度により一律基準0.01ppmが適用、規制される。消費者にとっては残留農薬の減少など好ましいことではあるが、生産者にとってはドリフトなど問題が多い。これは農薬の登録制度にも問題がある。<BR>2)ネオニコチノイド系農薬の使用<BR> 最近、有機リン農薬に代わって新農薬「ネオニコチノイド」(新しいニコチン様物質)が大量に、しかも広範囲に使用されている。今、ミツバチが忽然と姿を消す怪奇現象が多発し、その原因の究明が急がれているが、ネオニコチノイド系の農薬もその一つに挙げられている。<BR>3)農薬の表示についての問題点<BR> 日本では、「農薬」と表現されているように危険なイメージは少ない。 農薬には、その中毒を防止する観点から「毒物・危険」の表示が必要である。アメリカはドラム缶に「ドクロマークとPOIZON」表示がされている。フィリピンでは、その毒性により分類し、農薬のビンの下に幅広のテープを貼ったように色を付けている。色分けされ、一見してこれがどのランクの毒性を持つ農薬なのかが分かる。しかも毒性の強い農薬は、一般の店では販売されていない。日本は赤地に白文字で「毒物」、白地に赤文字で「劇物」と小さく書かれているだけである。<BR>4)農薬による皮膚炎<BR> 農薬による中毒・皮膚炎などにはその種類により特徴があり、注意する点も多い。とくに石灰硫黄合剤による皮膚傷害は深刻である。中毒を防ぐためにマスクの使用や、通気性がよく防水性のある防除衣の使用などについても考えてみたい。
著者
北原 保雄
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.2, 2008

(1)「問題な日本語」の氾濫<BR>(2)日本語ブーム<BR>『明鏡国語辞典』『問題な日本語』『明鏡ことわざ成句使い方辞典』『KY式日本語』<BR>(3)日本語の「乱れ」の原因<BR> どんな時に、日本語が乱れていると思うか<BR>若者や子供の会話を聞いて 1716人<BR>テレビを見て 1710<BR>飲食店などで対応されて 881<BR>ネットを見て 131<BR>雑誌や漫画を読んで 68<BR>新聞を読んで 48<BR>最大の原因は?<BR>テレビ 1080人<BR>活字離れ 441<BR>家庭のしつけ 403<BR>タレント 255<BR>学校教育 125<BR>チェーン店のマニュアル 121<BR>(4)「問題な日本語」と思われている言葉遣い<BR>すぐに直してもらいたいと思う言葉遣いは?<BR>・私ってすごく忘れっぽい人じゃないですか 1055人<BR>・千円からお預かりします 1040<BR>・わたし的にはOKです 1036<BR>・コーヒーのほうお持ちしました 781<BR>・ご注文は以上でよろしかったでしょうか 654<BR>・全然いい 616<BR>・おタバコはご遠慮させていただきます 360<BR>・記念品を受付でいただいてください 340<BR>・コーヒーで大丈夫ですか 276<BR>・ご住所書いてもらっていいですか 243<BR>・歌わさせていただきます 181<BR>・これってどうよ 178<BR>・ご負担いただくようなかたちになっています 176<BR>・一緒にやろうよ、みたいな話だった 176<BR>・すごいおいしい 148<BR> 朝日新聞2005年12月10日(土)<BR>(5)「問題な日本語」追加<BR>・患者様 ・お陰様をもちまして ・お名前をいただけますか<BR>(6)KY語の流行<BR> IT KD GOT BM DD JK 3M MMK FFK GHQ<BR>(7)日本語力向上の必要性 日本語能力検定の動き<BR>(8)今どきの子供の名<BR>「人名用漢字」の改定<BR>(9)ことわざ成句の誤用<BR>1病膏肓(こうもう)に入る(こうこう)<BR>2怒り心頭に達する(発する)<BR>3熱にうなされる(浮かされる)<BR>4目鼻が利く(目端)<BR>5手も口も出ない(足)<BR>6顔を突っ込む(首)<BR>7耳を合わせる(揃える)<BR>8顔に火が付く(から火が出る)<BR>9腹が煮えくりかえる(腸)<BR>10毒を盛って毒を制す(以て)
著者
長谷川 浩一 林 真人 川口 健司 田代 晴彦 森川 篤憲 岡野 宏 川上 恵基 村田 哲也
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第56回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.29, 2007 (Released:2007-12-01)

(症例)患者はインドネシア国籍の29歳男性で、平成19年1月17日に頭痛を主訴に当院外来を受診。頭部単純CTで左側頭葉に低吸収域を呈する脳病変を認めた。しかしながら不法滞在者であると判明し、それ以上の精査治療は母国で行うべきと初診医が判断し、即時の帰国を勧めた。しかしながら、症状は徐々に悪化し発熱と意識障害をきたしたため、1月21日に当院救急外来を受診し内科入院となった。入院時、口腔内カンジダ症を認め、抗HIV抗体が陽性であった。髄液検査では異常を認めなかったが、AIDSによる脳トキソプラズマ症が最も疑われ、ST合剤とクリンダマイシンの投与を開始した。治療により解熱しCRPも9.0から0.5に低下したが、意識状態の改善はあまり認められず、到底旅客機で帰国できる状態ではなかった。2月1日に局所麻酔下で定位的に病変部位の生検術を施行し、病理組織にて脳トキソプラズマ症の確定診断が得られたため、2月8日に三重大学附属病院血液内科に転院した。その後、ピリメサミンを用いた積極的な治療により旅客機で帰国できる状態にまで回復した。 (当院での対応)不法滞在のため保険には未加入で、治療費は自費のため金銭的な援助をインドネシア大使館にも相談したが、予算がないため金銭的な援助は不可能との返事であった。また、当院はAIDS拠点病院に指定されていないため、県内のAIDS拠点2病院への転院も考慮したが困難であった。三重大学附属病院のみHIV感染により何らかの合併症を発症している事が確認されていれば、何とか受け入れ可能であるが、少なくとも脳の生検でAIDS以外の脳病変を否定する事が前提条件であった。HIVに対する手術器具の消毒法もHCV等と同じであるが、HIV感染患者の手術は当院では初めてであり手術室等からの反対もあったが、転院のためには他に手段はなく、当院でやむなく生検術を施行した。 (考察)不法滞在患者でなく金銭的に問題なければ、大学病院以外のAIDS拠点病院への転院も可能であったと思われるが、研究機関でもある大学病院しか受け入れは許可してもらえなかった。鈴鹿市は外国人の割合が高いので、不法滞在の外国人も多いと予想されるが、これは全国的な問題と考えられる。不法滞在者であるからといって人道的に治療を拒否する事はできず、行わなければならない。その様な場合、どこからか金銭的な援助を得て、なんとか治療を行える方法はないのであろうか。また、外来受診の翌日に名古屋の入国管理局から連絡があり、すぐに帰国させる様に伝えたが、手続き上少なくとも1週間以上かかり、結局その間に症状が悪化し帰国できなくなってしまった。不法滞在ではあるが、この様な緊急事態の場合、入国管理局はもっと早く帰国の手続きをとる事はできないのであろうか。この患者は治療により帰国できる状態にまで回復したが、回復しなかった場合は二度と自国の土を踏む事はできなかったと考えられた。
著者
米丸 亮 カラガン 徳代 黒石 正子 荒幡 篤 宮崎 聡 山本 誠
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.220, 2009

新幹線運転士の停止位置ミスが睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome : SAS)に起因したことが判明したことを契機に,我が国においても社会的問題が次々と明らかとなり,SAS が注目されるようになった。本研究では職場作業の安全管理上SAS に関心の高い某事業場の従業員183名に対してアプノモニターにてスクリーニングを実施した。事業場の産業医の指示にて実施したアプノモニターのデータを,当院の医療連携室を経由して生理検査室にて分析した。被検者183名中アプノモニターによる無呼吸/低呼吸指数(Apnea/Hypopnea Index : AHI)が5以上15未満を示す要指導者が28名(15%)存在した。AHIが40以上を示す者はいなかったが,15以上40未満を示す者が18名(10%)認められ,当院においてPolysomunography(PSG)検査を実施した。PSG によるAHI が10以上の者が10人認められ,SAS と診断された。SAS の有病率は5.5%(10/183)であった。また,AHI が20を超える者5名については,CPAP を導入した。至適CPAP 圧はマニュアルタイトレーションにより決定し,平均7.9cmH2O であった。CPAP 導入によりAHI は平均27.8から平均3.7に低下し,AHI の減少率は87%であった。CPAP導入患者については,定期的外来管理を継続しており,日中帯での眠気を認めていない。必要に応じ在宅での状況をメモリーチップに記憶させ,当院にてその後AHI の経過観察に利用している。事業場の健康管理センターと地域連携を構築し,症状が乏しい従業員に対して効率の良いSASの診断,CPAP 治療の導入により,地域の健康増進に貢献できると考えられた。
著者
田中 直樹 小辻 俊通 大倉 実紗 小西 敏生
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.299, 2007

〈はじめに〉当院は病床数460床の地域中核病院であり、平成17年に臨床工学部門であるCE部が設立された。現在、臨床工学技士8名でME機器管理業務、血液浄化業務、循環器業務などを行っている。医療技術の進歩に伴い各種ME機器が導入され、業務拡大を求められるなか、効率的に業務を行うため、臨床工学技士業務支援システム(以下CE Office)を作成したので報告する。〈方法〉CE Officeは、データベースソフト「File Maker Pro」で作成し、サーバーとして「FileMaker Server 7」を設置した。クライアントは各部門に設置し、院内LAN上で接続し、どこからでも情報が閲覧、書き込みができる環境にした。また、各クライアントごとにアカウントとパスワードを設定し、セキュリティーを強化した。機能としては、掲示板として、メッセージ(申し送り)、勤務表、待機表の作成。ME機器管理では、バーコードを使った貸し出し返却システムや、機器管理台帳、メンテナンス計画。血液浄化では、透析記録用紙やサマリーの発行、検討会の資料作成。循環器では、心臓カテーテル検査、PCI、QCA、IVUSデータ管理や、物品管理などがある。又、メッセージを必ず見るように、掲示板を初期画面とし、そこから各部門のデータベースにアクセスできるようにした。〈結果〉院内LANを使用することにより、どこからでもアクセスでき、効率的に業務が行うことができた。掲示板を使用することで伝達が確実かつスムーズに行うことができた。ME機器管理では、貸し出し返却システムにバーコードを使用することで、容易に作業が行うことができ、誤記入がなくなり、データの信頼性が向上した。血液浄化では、患者データを透析記録用紙に反映することにより、転記ミスや記載漏れを少なくすることができた。循環器では、患者個別でデータをリアルタイム入力することができた。また、過去のデータ検索が容易になり、医師に迅速な情報提供がおこなえた。〈まとめ〉データベースを自作することにより、低コストでシステムを構築することができ、施設に即した情報だけを管理することができるので、効率的に業務を行うことができた。また、必要に応じてシステムを変更することができ、今後の業務改善につながると考えられる。
著者
常山 聡 日下 起理子 田村 裕恵 小松 良一 久保田 芳正 櫻井 宏治 赤羽 弘充 高橋 昌宏
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第55回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.268, 2006 (Released:2006-11-06)

<緒言>乳腺粘液癌は、腫瘍性上皮細胞から細胞外へ分泌された粘液巣を特徴とする特殊型の浸潤性乳癌である。発生頻度は全乳癌の1_から_4%であり、比較的まれな腫瘍である。また、予後については他の組織型に比して良好である。今回我々は、17症例の粘液癌における予後因子について、他の組織型との比較を行なった。<対象と方法>1995年から2004年に当院外科にて手術が施行され組織学的に乳腺粘液癌と確認された17症例を対象とした。また、比較対象として2002年_から_2004年の期間に当院で手術施行され、組織学的診断において粘液癌を含む特殊型を除いた166症例を使用した。これらの症例について、予後因子としてのエストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PgR)、p53、Her2/nueとの比較を行なった。<結果>ERにおける陽性率は、粘液癌では17症例中16件が陽性であり94%であった。また他の組織型では、120症例中84件で陽性率は70%であった。 ERは乳癌における予後因子として有用とされており、悪性度と負の相関を示すとされている。今回の結果における粘液癌のER陽性率は、他の組織型に比して高く、予後が良好であることを示していると考えられる。また、粘液癌でER陰性の症例1例は、肺転移をおこしていた。 PgRについては、粘液癌で13例が陽性で陽性率76%、他の組織型では120症例中陽性68例で陽性率51%であった。 PgRも乳癌における予後因子として有用であり、ER同様に悪性度と負の相関を示している。今回の結果における粘液癌のPgR陽性率も、他の組織型に比して高く、予後が良好であることを示していると考えられる。また、肺転移をおこした粘液癌については、PgRも陰性であった。 p53については、粘液癌で1例が陽性で陽性率6%、他の組織型では126症例中45件が陽性で陽性率36%であった。 p53については、ER・PgRとは反対に悪性度と正の相関を示すとされている。今回の粘液癌のp53陽性率は、他の組織型に比し低く、予後が良好であることを示していると考えられる。 Her2/nueについては、粘液癌で1例が陽性で陽性率6%、他の組織型では146症例中30例が陽性で陽性率21%であった。 Her2/nueは、p53同様にER・PgRとは反対に正の相関を示すとされている。今回の粘液癌のHer2/nue陽性率は、他の組織型に比し低く、予後が良好であることを示していると考えられる。また、粘液癌でHer2/nue陽性の症例1例は、ER・PgRともに陰性で肺転移をおこしていた症例であった。<考察>乳腺粘液癌は他の組織型に比較して、予後は良好であるとされている。また今回検討した予後因子からも良好であることが示されている。また、粘液癌17症例中現在までに転移が確認されている1例については、ER・PgRともに陰性、Her2/nue陽性と今回検討した3つの予後因子が、悪性度の高い可能性を示している。乳腺粘液癌においては、予後因子で悪性度が高い可能性を示している場合、将来の転移の可能性も考慮し、経過を観察していく必要があると考えられる。今後、再発の有無を含めた術後経過と予後因子の関係についても更なる検討をしていく必要があると考えられる。
著者
青木 亮 谷川 浩隆 最上 祐二 柴田 俊一 狩野 修治 高梨 誠司 王子 嘉人
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.157, 2010

[目的]精神疾患を併存する患者が外傷を受傷した場合、精神症状の評価、治療、管理等の不安要素から、一般病棟での受け入れ困難となる症例が多い。精神疾患を罹患した外傷患者2例について、その問題点など検討して報告する。[症例]症例1:48歳女性。精神科で統合失調症と診断され治療を受けていた。自殺企図でアパートから飛び降り、腰椎破裂骨折による腰髄麻痺、骨盤骨折、両踵骨骨折、左橈骨下端骨折を受傷した。他院救急部に搬送されて手術を受けたが、リハビリ目的のため、受傷後3週で30km以上の遠隔地である当院へ転院となった。腰髄損傷による下肢麻痺があり、車椅子への移乗も不可能であった。当初は精神科病棟に入院したが精神症状は落ち着いていたため整形外科病棟に移り、リハビリを中心とする治療を継続した。症例2:55歳男性。アルコール依存症とうつ病で治療を受けていた。自宅アパートの階段より転落し、外傷性くも膜下出血、頚髄損傷を受傷し、他院救急部に搬送され頚椎の手術を受けた。受傷後2週で当院に転院となった。下肢麻痺のため座位保持も困難であり、上肢も手指運動は大きく障害されていた。一般病棟でリハビリを中心とした治療を継続した。[考察]整形外科的治療を要する外傷を負いながら、精神疾患のため一般病棟での受け入れ困難な症例がある。その原因は患者側というよりも治療側、すなわち受け入れ側の精神疾患に対する先入観であることも事実である。当院は精神科と整形外科のある総合病院であり、精神疾患を抱える外傷患者を積極的に治療してきた。このため精神疾患のある外傷患者が、遠隔地より紹介され入院してきている。本発表2症例のように後遺症を残すような麻痺が生じた場合、退院、在宅支援への移行などの問題を抱えることが多く、これらに対応できる医療体制の確立は急務である。
著者
高谷 寿子 粂井 美起 畑中 幸世 吉村 清美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.154, 2010

1 はじめに<BR> 両親から離れてNICUで過ごす児にとって両親の面会は親子関係を育む重要な場となる。両親は面会において様々な不安や戸惑い・緊張感を感じている。A病院NICUでは面会者の不安や緊張の緩和を目的に音楽を流している。面会中の両親にアンケート調査を行った結果、音楽は両親の不安や緊張を和らげ安心した状態で親子関係を築くことに繋がったのでここに報告する。<BR><BR>2 研究方法<BR>(1)期間:平成22年1月~3月<BR>(2)対象:NICUに面会に来た児の両親17名<BR>(3)方法:(1)面会時間毎にジャンルの違う曲を流す<BR> (2)アンケート調査<BR>(4)倫理的配慮:無記名回答、研究の目的、目的以外には使用しないことを書面にて説明、同意を得た。<BR><BR>3 結果<BR> NICUでは機械のアラーム音が気になると75%が答えており、癒しの音楽が流れていることに全員が気付いていた。音楽により「気分転換になった」が83%であり、内容は「音楽に気が向き不安・緊張が和らいだ」、「リラックスできた」、「明るい優しい気分になった」が挙げられた。音楽は授乳や抱っこの時に感じるが67%で、全員が癒しとなる音楽を継続して流してほしいと答えている。音楽の好感度順はヒーリング曲44%、クラシック曲33%でオルゴール曲、歌謡曲と続いた。<BR><BR>4 考察<BR> 様々な不安や戸惑い・緊張を抱えて両親はNICUの面会に来る。モニターやアラームなどの機械音が面会者の不安や緊張を高めたと考えられる。筒井らは「BGMは無意識的に情感を揺する力をもち、緊張・不安の緩和を図るものだ」<SUP>1)</SUP>と述べている。音楽は両親の不安や緊張を和らげ、その結果児との関わりを深めることに繋がった。NICUで音楽を流すことは面会中の両親が安心して児と触れ合い親子関係を築いていく上で効果的であったと言える。<BR><BR>5 まとめ<BR>(1)NICUで音楽を流すことは面会者にリラクゼーション効果をもたらし、ストレス軽減に有効である。<BR>(2)音楽はNICUの面会環境づくりに効果的である。<BR><BR>(引用文献)<BR>1)筒井末春:心の健康と音楽、看護展望、12、1987
著者
山本 祐美子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第57回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.299, 2008 (Released:2009-02-04)

【はじめに】 当病棟は、循環器・血液内科の急性期病棟であり、緊急の処置を要する患者が多い。特に循環器内科においては、昼夜を問わず緊急入院が多く多忙を極める。また入院患者も高齢化している。このような状況の中で、頻回なナースコールも多く看護師はどのような思いでいるのかを知る目的で調査を行った。その結果、頻回なナースコールに対し看護師は感情をコントロールし対応している事が分かったので報告する。 【研究】 期間:平成20年3月1日~21日 対象:病棟看護師23名(卒1~2年5名、3~5年5名、6~9年8名、10年以上6名) 看護体制:チームナーシング、受け持ち看護師制 【方法】 頻回なナースコールへの対応に対する思いをアンケート調査により明らかにする。 【結果】 アンケート回収率は100%であった。 (1)「1時間にナースコールが何回なると頻回だと感じますか?」3~4回12名(52.1%)5回以上10名(30.4%)2回1名(8.7%) (2)「頻回と感じる時間帯は?」深夜帯16名(69.5%)準夜帯7名(30.4%) (3)「頻回だと感じた時、仕事は忙しいですか?」忙しい12名(52.2%)とても忙しい6名(26.1%)少し忙しい4名(17.4%)忙しくない1名(8.7%) (4)「ナースコールを頻回に押してくる患者の気持ちが理解できましたか?」よくできた1名 (8.7%)できた9名(39.1%)少しできた12名(52.1%)できない1名(8.7%) (5)「頻回にナースコールが鳴ってもにこやかに対応できましたか?」よくできた3名(13.0%)できた12名(52.1%)少しできた7名(30.4%)できない1名(8.7%) (6)「イライラする感情がどのくらい持続しますか?」5分~10分16名(69.5%)1時間以上5名(21.7%)15分~30分2名(8.6%) (7)「イライラしている時の気持ちの切り替え方法は?」(自由記載)深呼吸をする3名、患者の立場に立って考える6名、その他、仕事と割り切る、楽しい事を考える、気持ちの切り替えができないなどであった。 (8)「患者に対する感情は?」(自由記載)何かあったのか?8名、イライラ4名、不安なのかな?、また?、ため息、一度に用件を言ってほしいなどであった。 (9)「患者の話をきちんと聞けましたか?」については、聞けた23名(100%) 【考察】 アンケート結果から、ナースコールが頻回と感じる時間帯が深夜帯という回答が最も多く、頻回と感じるナースコールの回数は1時間に3~4回であったが、深夜帯はCCU への緊急入院や重症患者の頻回な観察にもかかわらず、頻回のナースコールにも自分なりの工夫で感情をコントロールして看護を行っていると考えられる。さらに、夜勤での身体的疲労に加え精神的緊張も重なるため少数意見ではあるが、イライラする感情が1時間以上持続する看護師や、気持ちの切り替えができない看護師もいた。忙しい中では当然の事だと考えるが、患者の立場を考えると、今後もいかに忙しい状況の中でも思いやりを持ってよりよい看護を実践してくかが今後の課題であると考える。また、頻回なコールの内容を検討し、対策をしていくことも重要である。 【まとめ】 (1)頻回なナースコールに対し看護師は、感情をコントロールし対応している事が明確になった。 (2)ナースコールが頻回と感じる時間帯は深夜帯であった。
著者
赤羽 優夏 丸山 麻希 小林 修司 小松 俊雄 唐澤 忠宏 小松 修 矢澤 正信 井上 憲昭
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第57回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.310, 2008 (Released:2009-02-04)

<はじめに> 亜鉛は必須微量金属のひとつであり、その欠乏症として味覚・臭覚障害が広く知られているが、この他に褥瘡等の皮膚障害、成長発育障害などにも関与している。これまでの測定方法は原子吸光法が主流であり、その特殊性から、入院患者の一般検査項目に入れられることは少なかった。しかし自動分析用試薬が開発され、当院内においても簡便に測定することが可能となった。今回、入院患者の褥瘡発生と亜鉛濃度との関連性について検討したので報告する。 <対象> 当院に入院中の寝たきり患者33名を対象とした。このうち、褥瘡のある患者(以下、褥瘡(+))は18名(年齢47~109歳 平均83.5歳 男10名 女8名)、褥瘡のない患者(以下、褥瘡(-))は15名(年齢57~102歳 平均86.7歳 男4名 女11名)であった。比較対照として、非寝たきり患者16名(年齢60~89歳 平均79.1歳 男9名 女7名)についても調査した。 <方法> 1.栄養摂取状況の調査 2.血清中亜鉛、総蛋白、アルブミンの測定 測定機器:日立7170S形自動分析装置 使用試薬:アキュラスオートZn(シノテスト社) 自動分析用試薬「生研」 TP (Biuret法) (デンカ生研) エクディアXL‘栄研’ALB-BCG (栄研化学) <結果> 血清亜鉛平均値は褥瘡(+)患者47.0μg/dl、褥瘡(-)患者55.8μg/dlで、褥瘡(+)と褥瘡(-)の患者間に有意差(t検定)を認めた。総蛋白平均値は褥瘡(+)患者6.21g/dl、褥瘡(-)患者5.97g/dlで、有意差は認めなかった。アルブミン平均値は褥瘡(+)患者2.99g/dl、褥瘡(-)患者平均3.22g/dlで、有意差は認めなかった。なお非寝たきり患者の平均値は、亜鉛61.0μg/dl、総蛋白6.89g/dl、アルブミン3.78g/dlであった。 <考察> 今回、血清亜鉛、総蛋白、アルブミンのうち、褥瘡(+)と褥瘡(-)の患者間において有意差が観察されたのは、血清亜鉛のみであった。また、褥瘡(+)患者の亜鉛平均値は基準値(65~110μg/dl)を大きく下回っていた。以上のことから、寝たきり患者においては、血清亜鉛濃度を測定することにより褥瘡発生を予測できる可能性があると考えられた。 褥瘡の予防において栄養状態の良否は大きく影響する。通常、栄養状態を評価する検査項目として総蛋白、アルブミン値が利用されているが、本研究結果によれば両者の値から褥瘡の発生を予測することは困難であると考えられた。 亜鉛濃度が院内で簡便・迅速に測定できるようになったことで、亜鉛の褥瘡マーカーとしての有用性が今後高まっていくであろうと思われる。
著者
鈴木 久史
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.217, 2009

〈はじめに〉肺癌は国内における癌死亡原因の第1位であり,肺癌による死亡数は依然増加傾向にある。肺癌の根治治療には手術が不可欠であるが,肺癌は症状が出現してからの受診では診断時に進行癌であることが多く,手術不可能例も少なくない。当院では2年前に呼吸器外科を開設し,肺癌手術が行える体制を整えた。今回我々は,呼吸器外科開設以来,当院で行った肺癌切除症例を見直し,どのような経緯で切除可能肺癌が発見されたかについて検討した。<br>〈対象と方法〉呼吸器外科が開設された2007年4月より現在までの2年間で行われた肺癌手術症例42例を対象とし,受診経緯を中心に症例の比較検討を行った。<br>〈結果〉肺癌切除症例数は,男性33人,女性9人の計42人。平均年齢は男性71.1歳,女性63.4歳であった。受診経緯については,健診発見が18例(42.9%),他疾患フォロー中の発見が13例(31.0%),有症状受診が9例(21.4%),その他2例(4.7%)であった。他疾患フォロー中の症例については,一般消化器外科,泌尿器科,内科,脳外科,眼科など多方面からの紹介で発見された。発見時の腫瘍の大きさは各群で有意な差はなかったが,病理病期に関しては健診発見群で早期の割合が多かった。一方,有症状受診群では早期症例は少ない傾向にあった。<br>〈考察〉切除可能な肺癌症例を発見するためには,症状の出ないうちに早期発見することが重要であるが,今回の結果より健診の役割が高いことが改めて示された。さらに他疾患フォロー中に発見される例も多いため,呼吸器科以外で胸部異常影を確認した場合は,呼吸器科への速やかなコンサルテーションが望まれる。そのためにも各科間でスムーズな情報交換ができる院内環境も重要であると考えられた。
著者
塩田 明雄 松井 則明 藤澤 忠光 後藤 秀比古 小松 昭善 吹野 陽一 寺田 恵子 高柳 直巳 鹿島 信一 佐々木 和子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.193, 2005

【目的】当院では、診療報酬請求をより適正に行なうため各種対策を行なってきた。具体的には、請求漏れと保険査定減対策、当月分未請求レセ・月遅れ請求レセ管理対策である。<BR>【方法】(1).診療報酬請求漏れ対策は平成15年から医事入院係各自がそれぞれ各請求担当分野の請求漏れをあらためて検証した。<BR>(2).平成16年からは医事外来係まで拡大し、請求診療科ごとに同じように請求漏れを検証した。<BR>(3).(1)(2)の方法、結果はいずれも各自・各グループからパワーポイント資料を使った発表会を行い医事職員全員に周知した。<BR>(4).保険査定減対策は、査定事前対策として医師による請求時のレセプトチェック、対策委員会での再請求審査、委員会作成の医師用簡易レセプトチェックリスト周知などである。これら委員会の情報は院内情報システムで閲覧できる。<BR>また、医事知識を得る上でも病棟カンファレンスにも参加した。<BR>(5).当月保留レセ・月遅れ請求レセ管理対策も新たに開始した。<BR>【結果】請求漏れ対策では入院関係がH15年、H16年の検証テーマ数はそれぞれ13題、外来の検証テーマ数は16年12題である、テーマは豊富である。<BR> 保険査定減対策はH15年、H16年年間平均比較で保険査定率平均(1か月)で0.43%から0.30%に、保険査定金額では同様に5,543千円/月から3,953千円/月に減少した。<BR> 当月未請求レセ・月遅れ請求レセ管理対策では月毎に多少の凸凹はあるものの件数、点数共に減少傾向である。<BR>【考察】請求漏れ対策については、テーマが豊富であるということは漏れがないとはいえない。しかし職員がその請求漏れを掌握しつつあることは確かである。保険査定減対策は大幅に減少している。顕著な成果がでてきた。返戻レセまたは月遅れレセの早期提出も以前より停滞が減少した。管理が行き届いた成果と考える。<BR>【まとめ】診療報酬請求の適正化対策は、どの対策も結果は良好であった。今後も引き続き適正請求を積極的に展開したい。<BR>
著者
藤城 宏昭 益満 ゆかり 鈴木 政義 岡本 伸江 河合 初代 榊原 由美子 鈴木 宏 宮下 智子 天野 博子 渡邉 純子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.378, 2006

<b><はじめに></b> 現在当院には、平成14年6月に設置されたStar Office(NEC製)と呼ばれるグループソフトウエアがある。しかし、現在に至っても多くの職員が使用方法を知らず、その機能も認知されていない。メールや掲示板、ファイル保存機能等を使いこなせば日常業務や情報伝達に非常に役立つツールである。そこでStar Office機能を全職員に周知し活用促進していく為にいくつかの検討をした。以下にその取り組みと考察を述べる。<BR><b><方法></b> 全職員を対象に取り組んでいくのは難しい為、今回はまず事務職員を対象に活用促進を徹底していくこととした。現状把握の為、事務職員にStar Officeの基本機能15項目についてアンケートを実施した。その操作が「できる」なら1点とし、全機能操作ができれば15点満点とした。5点までを初級、10点までを中級、11点以上を上級者として集計したところ54%と半数以上の事務職員が初級・中級者であった。また、過去のメールの送受信状況を調査したところメールを毎日確認し、受信したメールをその日に開封した事務職員は全体の41%と半数以下であった。<BR> 以上のことを踏まえ、上級者を100%にすると言う目標値をたて、アンケートに書かれたコメントを参考に重要要因を3点にしぼった。(1)「使い方を調べる分かりやすいマニュアルが無い」、(2)「機械に対する苦手意識がある」、(3)「機能や便利さが周知されていない。また身近に質問できる人もいない」これらの問題点についてそれぞれ対応策を考え実施した。(1)については、自分達で必要最小限の機能に限定したマニュアルを作成した。初心者が見ても分かりやすいようにワンステップごとに実際の操作画面を取り込み、コメントを添えた。これをカラー印刷し各部署に一冊配布した。またStar Officeの掲示板に保存し、必要時に誰でも見られるようにした。(2)_についてはゲーム感覚で機械に慣れ親しんでもらう為、メール機能を利用した伝言ゲームと言う形で実施した。事務職員をいくつかのグループに分け、提示した「お題」を基に一人が1行のあいうえお作文を作り、次の職員にメールを転送してもらった。苦手意識も薄れ楽しく操作してもらう事ができた。(3)については、作成したマニュアルを基にメンバーが講師となり勉強会を開催した。あわせて啓蒙活動も行った。特に初級レベルの職員は、非常によく理解できたと好評であった。<BR><b><結果></b> (1)から(3)の取り組みが一通り終了した後に再度15項目のアンケートを実施したところ、上級者は46%から71%と25%も上昇した。結果、目標値の上級者を100%にすることはできなかったものの、初級・中級者のStar Officeに対する機能操作の理解が得られた。またメールを毎日確認し、受信したメールをその日に開封している事務職員の数は41%から70%と約30%も上昇した。このことから情報の伝達手段としてメールを活用することが定着してきた。<BR><b><考察とまとめ></b> 3つの取り組みがそれぞれ効果的に働き、目標である「Star Officeの機能を周知し活用促進していく」事の第一歩を踏み出すことができた。この成功を踏まえ、今後は医師も含め全職員へ徹底周知していくと言う目標へ向けて継続的に活動をして行きたい。また定期的にマニュアルの更新、勉強会の開催もおこなって行きたいと考えている。
著者
木村 幸恵
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.269, 2008

幼児が主体的に吸入に臨むための工夫人形を用いたプレパレーションを導入して木村幸恵・上岡めぐみ・吉宮倫子・川平民子〈緒言〉当病棟では喘息、肺炎などで吸入療法を必要とする患児が入院することが多い。しかし吸入を嫌がり、怖がって逃げようとする患児が多くみられる。保護者には吸入の方法・効果を説明していたが、患児には具体的に説明していなかったので吸入を怖がっていたのではないかと考えた。プレパレ-ションにより患児がこれから行う処置をその子なりに理解し、主体的に臨む行動がみられたとの報告があった。幼児には言語的説明で行うことより、年齢や発達段階に応じて視覚的、或いは体験を通したプレパレ-ションが有効であるといわれている。そこで当病棟でも幼児を対象とし、人形を用いた吸入のプレパレ-ションを行い、その子なりに吸入という治療を理解し、主体的に吸入に取り組めるよう援助しようと考えた。プレパレ-ションを行い、患児の吸入への取り組みを観察し、プレパレーションの効果を検証したので報告する。〈方法〉入院中の吸入療法を必要とする3~6歳の患児を対象に実施。プレパレーション実施方法1)場所:病室 2)ツール:ばい菌シール付きキワニスドール(キワニスドールはプレパレーション前に患児に自由に絵を描いてもらう)3)実施時期:入院して2回目の吸入時 4)実施時間:6分 5)プレパレーション実施にあたり、説明手順を作成し、実施中の言葉、時間を統一するようメンバーで練習を10回行った。プレパレーション実施前(付き添う親に吸入方法を説明し患児には説明していない)と実施中と実施後の患児の吸入への取り組みを独自の指標のチェックリストを用いて観察し、その行動を分析する。〈結果〉1.対象の属性A:3歳10ヶ月 男児吸入暦ありB:3歳 男児吸入暦ありC:3歳11ヶ月 女児吸入暦なしD:4歳4ヶ月 男児吸入暦なし2.疾患:肺炎2名、気管支喘息2名Cは1回目の吸入時、嫌がり泣いていたが、プレパレーション後実施できた。また、プレパレーション後、吸入の必要性を全員に質問したところその子なりの理解した言葉が聞かれ、必要性を理解できていた。B、Cは人形にも吸入を行い人形に「コンコンなくなるけえね。」「早く帰ろうね。」などと話しかけていた。プレパレーション後、全員嫌がることなく吸入を実施することができ、自分から吸入の電源を入れたり、吸入器を持ったり、「吸入する。」との言葉が聞かれ主体的に実施できた。人形を用いたごっこ遊びのプレパレーションを行い、患児は吸入を遊び感覚で日常的なものととらえることができた。遊び感覚で吸入を行い、主体的に取り組むことができた。またB、Cはプレパレーション後も、人形を使用しばい菌を剥がし「バイバイキーン!」と言って遊んだり、人形に吸入をしたりして何回も遊んでいた。Dもばい菌シールをつけたり剥いだりして遊んでいた。吸入後も、人形を用いて繰り返しごっこ遊びをすることで理解を深めていくことができた。
著者
丑山 奈津枝 丸山 やよい 松崎 吟子 宮崎 恭子 小林 聖子 永井 秀子 林 卓也 秋月 章
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.120, 2009

【はじめに】切迫早産妊婦の一般的な治療方法として安静があげられる.当病院では,切迫早産で入院した妊婦の清潔ケアは医師の指示のもと,安静が保てるようにストレッチャー上で臥床した体位でシャンプーを実施している.しかし,ストレッチャー上でのシャンプーの患者のとらえ方,また子宮収縮などの危険性の有無は明らかでない.本研究の目的は,ストレッチャーシャンプー時の子宮収縮の有無と,妊婦の状態を知ることである.<BR>【対象及び方法】 1.分娩監視装置を用いて,ストレッチャーシャンプー前・中の子宮収縮状態と胎児の心拍数の変化を見た.2.ストレッチャーシャンプー終了後,シャンプー方法に関して,5段階の間隔尺度を用いて切迫早産妊婦に聞き取り調査を行った.調査内容は,肩の張り感,背中の張り感,上腹部の張り感,下腹部の張り感,腰の痛み,臀部の痛み,足のつり感,爽快感,疲労感,緊張感,不安感,頭皮のかゆみ,頭皮のべたつきの13項目であり,またその他の要望(1週間のシャンプー希望回数,お湯の温度,シャンプー時間)の聞き取り調査をした.統計学的検討にはχ2検定を用い,危険率5%以下を有意とした.<BR>【結果】分娩監視装置による, ストレッチャーシャンプー前,シャンプー中の結果は子宮収縮状態・胎児心拍数異常はともに有意差はなかった.ストレッチャーシャンプー時の妊婦の症状に対する聞き取り調査結果は,妊娠週数と症状の出現に関連性は無く,症状を訴えた妊婦は,症状がなかった妊婦より平均年齢が高かった.<BR>【考察】 今回の研究で当病院でのストレッチャーシャンプーの方法は,安全性においておおむね問題はないと確認できた.妊婦の満足度も比較的高く,清潔面の援助を充実させることは切迫早産妊婦のストレス軽減につながる.今後も妊婦の状態や希望にあった看護をさらに提供する必要があると考える.
著者
鷺 真琴 永井 幹子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第54回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.210, 2005 (Released:2005-11-22)

【はじめに】 悪性腫瘍の臭気コントロールにおいて、現在までにいくつかの科学的・物理的方法で消臭効果が得られていることが分かっている。しかし頭頚部・膀胱の癌は再発・再燃を繰り返し、皮膚表面に露出するケースが少なくない。今回2つの事例で一時的に消臭効果はみられても、自壊しはじめた腫瘍と強くなる臭いに対して、薬剤やケアを試みた事例を紹介する。【目的】腫瘍臭における臭気コントロール【患者紹介】<事例1>患者 膀胱腫瘍 膀胱腫瘍浸潤に伴う膣・直腸瘻経過 腹部から腰部にかけての疼痛があったため、MSコンチン内服にて疼痛コントロールを行っていた。陰部(大陰唇)腫瘍から膿様滲出液と出血があった。膿様滲出液は便や帯下と混入することにより悪臭を伴った。<事例2>患者 左上顎腫瘍経過 平成12年より左上顎癌を発症し、左上顎洞開洞術・動注・放射線療法施行し、外来にてフォローしていた。しかし平成16年腫瘍への感染あり、左眼下部より膿汁流出、涙丘部より腫瘍が突出・増大し悪臭を伴った。看護問題事例1 腫瘍と排液の混入に伴う悪臭事例2 腫瘍増大・腐敗に伴う悪臭【看護の実際】病室に消臭剤設置腫瘍部にゲンタシン軟膏塗布事例1:対処療法 出血時硝酸銀焼灼 陰部洗浄・オムツ交換事例2:薬剤使用による対応とケア(1)ダラシンTゲル(2)フラジール軟膏+マクロゴール【実際と効果】 事例1では硝酸銀焼灼による止血によって血液の酸化臭が一時的に消失した。しかし、膿様滲出液や便・帯下が常時排泄されていたため、悪臭が消えることはなかった。 事例2においては(1)剤ではゲル状であったため、腫瘍部には不適切であった。(2)剤では臭気コントロールが行なえ一時退院が出来たが、再入院時には腫瘍の腐敗が進み消臭効果が減退していた。【考察】 腫瘍の増大に伴う腫瘍臭に対し対処的に関わったが、結果として長期的な効果が得られなかった。臭気についての分析が不十分であり、また患者自身も臭気に対して無頓着であったこと、腫瘍により臭覚が麻痺していたことで、快・不快が不明であった。今回は家族と看護師の臭覚で消臭効果を判断したが、臭気の程度については尺度を用いて評価すべきだった。【おわりに】 患者の最期を不快な感情を持たずに迎えるようにするには、臭気の分析と管理、適切な看護介入について見当が必要である。
著者
山井 麻衣子 寺田 優 大野 公子 千葉 一美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.43, 2007

はじめに〉消化管手術後の腸管運動促進はイレウス予防に重要である。当科では初回排ガスが72~96時間と遅延傾向にある。私達は、ガム咀嚼が術後の腸管運動促進に効果があることを知り、当科の消化管手術後の患者にも検討が可能ではないかと考えこの研究に取り組んだ。(研究方法)目的:ガム咀嚼が消化管手術後患者の腸管運動促進に有効か明らかにする期間:平成18年8月1日~12月31日対象:誤飲する危険がない、理解力のある消化管手術を受けた患者方法:術前にガムを噛むことに対して説明・同意を得られた患者で、術後1日目より水分開始まで、1日3回5分以上ガムを噛んでもらい、初回排ガス・排便時知らせてもらう。その後アンケート調査。〈結果〉症例数13例のうち5例は調査途中での中断となった。8例の平均時間は76.8時間。アンケートでは咀嚼の回数、時間、味、共に適当で、爽快感が得られたと回答があった。他に、初めてガムを噛んだ、食事変わりになって時間の意識が出来て良かったなどの意見が寄せられた。(考察)現段階では、症例数も少なく、効果的か判断するには至らなかった。しかし、アンケートの中で、爽快感を得た人が87.5%いた。これはガム咀嚼による神経活動によるものと考える。石山は、「咀嚼を行うことで感覚入力し脳を刺激すると、一時的に交感神経を亢進させるが、運動を休止させると、自律神経の相反支配により副交感神経が優位に作用する。」と述べている。その結果、ガム咀嚼後は精神的にもリラックス状態になる。アンケートの中で爽快感を得た人が87.5%となったのはこのことからと考える。味についてはミント味レモン味で行ったがレモン味の方が好まれる傾向にあった。一般的には柑橘系の香りには、リラクゼーション効果があると言われている。一回の咀嚼時間はもともとガムを噛む習慣のある人には苦痛はなかったが、初めて噛む人・痛み・嘔気のある人には苦痛だったようだ。今回の取り組み以降、消化管手術後の腸管運動促進の援助にガムを取り入れているが、好みの味で苦痛のない範囲で行っている。術後の禁飲食の続く中、認知症のある患者には食事代わりで時間の意識が出来て良いなどの意見も聞かれた。術後は痛みの為に口腔内の清潔・離床も、ときには後回しになりがちである。咀嚼運動による唾液分泌は、口腔内の乾燥・感染予防にも繋がったと思われる。今回、ガム咀嚼を取り入れることで、ギャッチアップがスムーズに進む手ごたえがあった。これは早期離床への援助効果があったと考えられる。(まとめ)1.ガム咀嚼は排ガス促進に明らかな効果は認められなかった。2.ガム咀嚼は爽快感が得られる。3.早期離床への援助効果があった。(おわり)今回の研究では症例数も少なく、ガム咀嚼が腸管運動促進に効果があるかを判断できるまでに至らなかった。しかし、方法、対象などを検討し、今後も追跡していこうと思う。