著者
工藤 拓 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.2146-2156, 2004-09-15
被引用文献数
25

近年,テキスト分類は,単純なトピック分類から,文のモダリティ,意見性,主観性といった書き手の意図に基づく分類へと,そのタスクの多様化が進んでいる.それにともない,単語の集合(bag-of-words)を素性とする古典的手法では十分な精度を得にくくなっている.精度向上には,テキストの構造(構文/レイアウト)を考慮する必要があるが,恣意的に選択された部分構造のみを用いた手法が多い.本稿では,構造を考慮したテキスト分類(半構造化テキスト分類)に向け,部分木を素性とするdecision stumpsと,それを弱学習器とするBoostingアルゴリズムを提案する.また,Tree Kernelを用いたSVMとの関連性,および本手法の利点について言及する.実データを用いた実験により,提案手法の有効性を検証する.The research focus in text classification has expanded from a simple topic identification to a more challenging task, such as opinion/modality identification. For the latter, the traditional bag-of-word representations are not sufficient, and a richer, structural representation will be required. Accordingly, learning algorithms must be able to handle such sub-structures observed in text. In this paper, we propose a Boosting algorithm that captures sub-structures embedded in text. The proposal consists of i) decision stumps that use subtrees as features and ii) Boosting algorithm in which the subtree-based decision stumps are applied as weak learners. We also discuss a relation between our algorithm and SVM with Tree Kernel. Two experiments on the opinion/modality classification tasks confirm that subtree features are important. Our Boosting algorithm is computationally efficient for classification tasks involving discrete structural features.
著者
今関 雄人 高田 眞吾
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.3041-3051, 2009-12-15

Webアプリケーションは機能の追加や変更が非常に多いという特徴がある.このため,回帰テストが非常に重要である.Webアプリケーションの回帰テストを支援するツールとして,クライアントからの入力を保存し,それを再現してテストを再実行するものがある.さらに,これらのツールは再実行時の実行結果を検査することも可能である.しかしながら,これらのツールは,クライアントサイドの入出力にのみ着目しており,サーバサイドの入出力を扱うことができない.そこで,本論文ではサーバサイドの入出力を考慮したWebアプリケーションの回帰テスト支援ツールを提案する.本ツールは入出力としてHTTPリクエスト/レスポンス,データベース,セッション変数,サーバ時刻を扱う.本ツールはこれらの入力を保存し,それを再現してテストを再実行することができる.さらに,本ツールはこれらの出力を保存し,再実行時の出力と比較することにより,テスト結果を自動的に検査することができる.これらの機能により,Webアプリケーションの回帰テストを自動的に行うことができる.The regression testing of Web applications is very important because, compared with general applications, their requirements change more frequently. Some regression test support tools can save the input and re-execute previous tests by restoring saved input. Furthermore, these tools can automatically verify the re-executing output using assertion. However, these tools focus only on client side information and do not handle server side information. In this paper, we propose a regression test tool forWeb applications, which supports both server side and client side information. For input and output, our tool handles HTTP request/response, database, session variable, and server time. Our tool can save and restore these inputs, save the resulting outputs and compare previous outputs with re-executing outputs for verification. These functions make possible the automatic regression testing of Web applications.
著者
横井 俊夫 仲尾 由雄 荻野 孝野 田中 裕一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.32-43, 1997-01-15
被引用文献数
8

大規模な電子化辞書(その情報内容である言語知識)が概念レベルで持つべき情報構造を明らかにする.ここでいう電子化辞書とは 通常の辞書ばかりではなく シソーラス コーパス テキストベースなどを含む統合的な言語情報(言語知識)のことである.概念レベルは意味を扱う深層レベルの中で基準となる役割を果たす.表層レベルに最も近く それに沿う情報構造を持つ.なお この情報構造はEDR電子化辞書の成果を再整理することにより得られたものである.実現事例としてEDR電子化辞書の概念対応部分を仕様と統計データの両面から説明する.大規模知識ベースなどの議論に見られるように 大規模な情報や知識の構造を解明していく研究の重要性が指摘され始めている.本稿の内容は 本格的な実現事例を持つ初めての試みとなっている.This paper describes a model of the information structure of large-scale electronic dictionaries at the concept level that contain wide-ranging linguistic knowledge. The term electronic dictionary in this paper means an integrated body of linguistic information and knowledge that includes the information provided by thesauri, tagged corpora, and raw corpora as well as ordinary dictionaries. The concept level plays an important role for deep levels containing the information of semantic processing. It is the nearest to the surface level and its structure is similar. This information structure is obtained by rearranging the structure of the EDR Electronic Dictionary. An example of actual realization of the information structure is described in view of both the specifications and numeristic data of the EDR Dictionary at the concept level. Recently, the importance of the research on the structure of large-scale information and knowledge has become a focus of interest, as shown in the discussions for large-scale knowledge bases, etc. This paper introduces the results of the first trial including full-scale example of actual realization.
著者
中島 秀之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.180-186, 1984-03-15
被引用文献数
2

Prolog/KR は知識表現用言語として フレーム理論と述語論理を統合し 統一的な視点のもとに見なおすために設計・開発した言語である.また 総合的なプログラミング・システムとしての機能も備えている.フレーム理論に基づいた言語は 知識表現に必要なさまざまの概念を実現する機能をもっている反面 手続き的記述の面が弱い.一方 述語論理に基づいたPrologは 後者は申し分ない(セマンティクスが述語論理で与えられている)が 前者の機能に欠ける.Prolog/KR は Prologを基本とし その弱点を補強するとともに フレームを実現する機能として多重世界を導入した.これにより 概念の階層構造やそれらの間の述語の引き継ぎ等が記述できるようになった.
著者
宮本 久仁男 田中 英彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.2602-2612, 2011-09-15

完全仮想化方式による仮想マシンモニタは,実ハードウェアを対象にしたオペレーティングシステムおよびアプリケーションを,修正を施すことなく実行させることが可能であるが,仮想マシン上でのソフトウェア動作を行わせたくないという要求もある.仮想マシン環境の検出を行う試みは,これまでも行われているが,それらは仮想マシンの機能上現れるデータや判定のための性能値を集めた特徴データベースを利用することが前提であったり,仮想マシンモニタ側の実装上の工夫で回避できたり,また判定が可能になるまでかなりの時間を要したりするなどの欠点を有する.本論文では,そのような特徴データベースを用いることなく,CPUによる命令実行時に現れる性能値の変動をとらえ,アプリケーションプログラムのレベルで利用可能な,効率的な完全仮想化環境の判別方法を提案し,その評価結果について述べる.
著者
市岡 秀俊 安東一真 大久保英嗣 津田 孝夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.1401-1411, 1991-11-15
被引用文献数
1

われわれは オブジェクト指向オペレーティングシステムOzoneの開発を進めているOzoneプロジェクトの目標は オブジェクト指向に基づくオペレーティングシステムの構成法を確立することであるこれは 従来のオペレーティングシステムにおいては モジュール分割の基準がなく その構造モデルが明確でないことによるOzoneにおけるオブジェクト指向は次の点に要約されるすなわち システム構成要素の一様なメッセージの受渡しと システムのクラス階層による構造化である一様棟なそして統一されたインタフェースを使用することによって アプリケーションプログラムのみならずシステム自体の移植性や保守性が大幅に向上するまた システム構成要素をクラス化し 継承を利用することによって 再利用可能なソフトウェアが自然に推進されることになるさらに 動的結合により 構成要素内のアルゴリズム(メソッド)の動的な置き換え(あるいは選択)が可能となる現在 Ozoneのプロトタイプシステムが完成している本論文では Ozoneのプロトタイピングで得られた知見について述べるさらにOzoneのプロセス管理について詳述する
著者
甲斐 充彦 廣瀬 良文 中川 聖一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.1383-1394, 1999-04-15
被引用文献数
39

対話音声認識システムや大語彙のディクテーションシステムにおいては システムの辞書に登録されていない未知語や 間投詞・言い直し・言い淀みなどのユーザの要求に関係のない冗長語の扱いが重要である. このような問題に対処するために 本研究では単語N-gram言語モデルを用いた連続音声認識アルゴリズムにおいて 未知語処理を導入してその効果を調べた. 未知語処理法として サブワード単位の音響モデルを用いたサブワード系列デコーダを併用し これによって未知語候補の生成と検証を行う方法を用いる. この方法は 以前に文脈自由文法を用いたシステムにおいて有効性を確かめている. 本論文では この方法に基づいて 単語N-gramベースの認識アルゴリズムに未知語処理を効率的に導入する方法を提案している. 音声対話システムのタスクにおいて 未知語や冗長語を含む発話を用いて評価実験を行った結果 意味的な誤りが最大で48%減少した. また 文脈自由文法に基づく同様なシステムと比較した結果 意味理解精度の向上に効果があることが分がった. さらに 大語彙連続音声認識タスクにおける効果を確かめるため 新聞記事の読み上げ音声を用いた評価実験を行った結果 単語単位での認識精度の改善は小さいが 文レベルでの高い未知語検出性能が示された.For practical use of spoken dialog systems and dictation systems, it is important to cope with out-of-vocabulary words and filled pauses including the phenomena such as interjection, restart and hesitation. To address these problems, this study tries to use an unknown-word processing (UWP) method for a word N-gram language model based continuous speech recognition system. We investigate an UWP method which employs a subword sequence decoder with subword acoustic models to produce unknown-word hypotheses. This method has been shown to be effective on a small vocabulary task tested with a context-free grammar-based recognition system. This paper proposes an efficient method for incorporating the UWP into a word N-gram language model-based recognition system. We performed a series of experiments to show the effectiveness of the method for spoken dialog tasks and a dictation task. The experimental results show that a semantic accuracy was improved by 48% using the UWP method. Also, in compared with the result of a system using context-free grammar, the word N-gram based system could further improve the semantic accuracy for spontaneous speech. Furthermore, We performed are cognition experiment for a large-vocabulary dictation task. As a result, although only a slight improvement was observed in terms of the word accuracy, the high performance for detecting the existence of unknown-word in an utterance could be achieved.
著者
伊沢 亮一 毛利公美 森井 昌克
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.2841-2852, 2011-09-15

近年,地下街での移動体の位置推定問題が注目されている.すでに設置されている通信インフラとしての無線LANの利用が考えられるが,一般には精度の高い位置推定を行うことは困難である.その一因としては,反射波や障害物の影響等が無線LAN基地局からの受信電界強度を大きく揺るがすことにあると考えられる.本論文では電界強度データベースと測位端末の移動状態遷移モデルを用い,受信電界強度の揺らぎから受ける影響を減少させることで精度を向上させることを試みる.電界強度データベースでは位置推定を行う場所の電界強度をデータベース化し,移動状態遷移モデルでは地下街での人の動きを予測することで精度の向上を実現している.提案方式は1mの誤差で位置推定が可能である.GPSの利用が困難な屋内において本方式は有効であり,特に人の移動が直線的で自由度が制限される地下街において効果的であると考えられる.Recently, the study of the localization inside buildings is focusing much attention by researchers. Although the wireless LAN infrastructures are available with low cost, no method can estimate a location with high precision. The main reason is the sensitization of the electric field intensity against the noise and the reflected signals from obstacles. In this paper, we first experimentally measure the changes of the intensity and summarize the results as the database. Then, we introduce the moving state transition model for the estimation of location combined with the database. From our experimental results, it is confirmed that our method can estimate a location with the precision of ±1m. Because our method requires only wireless LAN infrastructure, it is applicable at the inside buildings and underground mall where the conventional methods based on GPS are useless.
著者
石川 貴士 石原 進 井手口 哲夫 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.1819-1827, 2001-07-15
被引用文献数
3

即応性が要求されるネットワーク対戦ゲームにおいて,端末間の遅延差により起こるユーザ間の不公平を解消するメンバ間公平性保証方式(ICEGEM: Impartial Communication Environment for GamE Members)を提案する.本方式では,ユーザの反応時間に基づいて各ユーザの操作に対する順序制御を行うことにより,サーバ・クライアントの時刻同期を必要としないで,端末間の遅延差がある場合でも時間に関して公平なユーザ操作環境を実現する.また,順序制御のための制限時間を設け,これを全クライアントの遅延の測定・予測に基づいて動的に変更させることによって,ネットワークのトラフィックの変動や端末の移動による通信環境の変化にともなう遅延変動に対応する.本稿ではICEGEMの詳細,および本方式を用いたネットワーク対戦型早押しキーボードタイピングゲームの実装,遅延差が生じる端末間での実験について述べる.実験の結果,反応時間に基づく公平性保証では,端末間の遅延差に関係なく,公平にアプリケーションが利用できることが確認できた.また,サーバ側の制限時間を動的に変更することにより,遅延変動があった場合でもゲームの即応性を保ったうえですべてのユーザが公平にゲームを行えることが確認できた.In real-time network applications, such as network games,the users often suffer event inversion on heterogeneous network environments including small delay networks and large delay networks.Because of this, the fairness between users can not be guaranteed.In this paper we propose a method for offering impartiality to game members who play on heterogeneous network environments ICEGEM (Impartial Communication Environment for GamE Members).The order of the users' operations can be treated correctly at the server using users' operation time with ICEGEM.Another feature of ICEGEM is that it adjusts timeout values for synchronization of clients' messages dynamically so that it can be used in practical Internet environments and mobile computing environments.We implemented a network key-typing game with ICEGEM, and evaluated its effect.We confirmed that users are able to play the game impartially without the influence of the difference and fluctuations of delays.
著者
野呂 太一 乾 孝司 高村 大也 奥村 学
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.3405-3414, 2007-10-15
参考文献数
14
被引用文献数
2

本論文では,ブログテキスト中に記述されたイベントが,実世界において朝,昼,夕,夜のどの時間帯で生起したかを自動判定するアルゴリズムを提案する.生起時間帯を判定する直接的な情報として,「午後3 時に~した」等の明示的な時間表現が考えられるが,ブログテキストでは,明示的な時間表現が現れにくい.そこで,本研究では,明示的な時間表現の代わりに,イベントの生起時間帯を連想させる語(「出勤」,「花火」等)の情報を利用する.イベントの生起時間帯を連想させる語集合を人手のみで収集することは表現の多さから現実的にほぼ不可能な作業である.そのため,提案手法では,ブートストラップ的に,イベントの生起時間帯の学習と並行して同時に,イベントの生起時間帯を連想させる語を自動獲得する.We propose a machine learning-based method for identifying when each event in weblog texts occurs: morning, daytime, evening, or night. Earlier study analyzed only explicit temporal expressions for events and mapped them on time-line in newswire texts. However, other texts such as weblogs contain few explicit temporal expressions. We therefore use various implicit temporal expressions extracted automatically. Specifically, we adopt naive bayes classifiers backed up with the EM algorithm, and support vector machines.
著者
大川 恵子 伊集院 百合 村井 純
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.3801-3810, 1999-10-15
参考文献数
11
被引用文献数
23

既存の大学の教育環境を可能な限り利用する手法を用いてインターネット上での教育システム(SOI School of Internet)を設計し構築した.システムは,講義そのものを取り扱う講義システム,課題の提出とコメントの関係を実現する課題提出システム,授業全体の評価を開放的に調査する授業調査システムの3つの要素に抽象化を行うことにより構築した.これらの機能を,学生,教員,管理・事務という実際の大学の3つの主体と関連付けることにより設計と実装を行った.それぞれのシステムは,映像と音声の情報とテキスト情報として授業情報を取り扱い,主体間のコミュニケーション全体をこれらを取り扱うデジタル情報処理として実現した.また,実験全体は「インターネット学科」という架空の学科を,実存する大学の講義,チュートリアルなどを利用して構築するという概念でとりまとめた.実際の大学教育を直接抽象化した本システムの構築手法により,システムごとの独立した開発と改善が可能となり,電子化以前の授業に対する課題を直接的に解決することができ,かつ,実際の大学の授業に本システムを取り入れることで継続的に大規模な実証実験が可能となった.1年間で11授業,44特別講義,300時間,約2000人の登録受講者という実験結果は,従来の遠隔教育システムに比べて,特殊な設備を前提とせず,かつ,現状の大学教育の電子化への段階的な移行に対して有用性が証明された.本システムは,インターネット上のインターネット教育を授業内容とし,1997年10月から1年間行われた実証実験に基づいて評価を行った.We established an educational system on the Internet by using the existing university educational environment.The education system consists of the three major parts.First part is a lecture on demand system using video,audio and text information from the real classroom.Second part is the assignment system with a mechanism to encourage open communication among students and faculties through writing a feedback to submitted assignments each other.Third part is the course evaluation system with an open policy to keep the quality of the lecture on the Internet.Students,faculties and administrations are three subject on the educational system on the Internet and we define the education as a sequence of the communication of among those subjects.As an experimental of this idea,we established a virtual school course "School of Internet"by degitizing the educational activities in the existing university courses,tutorials and special lectures and putting them on the Internet to share.Abstracting the actual university education and putting them on the Internet environment enables to improve or resolve the problems in the current university educational system.By utilizing this method in the real university courses,a continuous and large scale experimentation can be carried out.As a result of one and half years of experiment,11 university courses and 44 special lectures are archived in 320 hours of video, audio and other media materials. About 2000 registered students are continuously accessing to those lectures.This result proves the usability of this system,and possibility of the transition to the university education on the digital communication infrastructure.The "School of Internet"startd from October 1997 on the Internet.This paper evaluates the system through the result of one and half years of experimentation.
著者
高橋 栄一 小池 汎平 田中 英彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.867-876, 1991-07-15
被引用文献数
2

本研究は 大規模な知識処理の高速実行を目的として研究を進めている並列処理マシン PIE64の相互結合網の開発関すもので.一般に並列計算機において 相互結合網は計算機アーキテクチャの良否決定する重要なファクタの一つであり 相互結合網の性能や特徴は システム全体の処理能力と処理方式に重要な影響を与える.PIE64におけるプログラムの実行は 細粒度のプロセスを動的に生成し かつ割り付けろことにより行われ この実行過程で発生するプロセッサ間通信を効率的に支援するような特性を有する相互結合網を構成する必要がある.本稿では まず PIE64の相互結合網としてどのような構成のネットワークが最適かを考察し (1)回線交換 (2)ノンバッファリング (3)多段網 (4)動的負荷分散支援 (5)二重構成(同一構成の独立した二つのネットワークを用意)などの特徴を有するネットワークが PIE64 の相互結合網として妥当であることを述べる.次に 相互結合網ハードウェアの実装方法を検討し 実際の実装過程について説明する.最後に 作製した相互結合網ハードウェアの予備評価として 経路設定や転送遅延など基本的な機能や信号伝送路の品質などの電気的特 性の測定結果を検討し PIE64の相互結合網として十分な性能を持つことを示す.
著者
古川 善吾 野木 兼六 徳永 健司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.736-744, 1984-09-15
被引用文献数
4

ソフトウェアの機能テストのためのテスト項目を系統的に作成するAGENT技法を提案した.AGENT技法は 機能図式(Function Diagram)という形式的な記法によってソフトウェアの機能仕様を表現した後 機械的にテスト項目を作成する技法である.機能図式は 入力や出力の順序に依存した対応関係を表す状態遷移(状態遷移図で記述する)と 状態遷移の各状態での入力データと出力データや遷移先状態との対応関係を表す論理関係(原因結果グラフあるいは決定表で記述する)とから成っている.AGENT技法では この機能図式から 通過すべき状態の列と各状態での入出力データの条件の組合せとして 以下の条件を満たすテスト項目を機械的に作成する.?各状態での入出力データの条件を確認するのに十分である.?状態遷移を構造化した構造化状態遷移の各遷移を少なくとも1回は辿る.?構造化状態遷移の繰返しは0回と1回の2通りを実現する.このテスト項目作成を自動的に行うためにAGENTプログラムを開発した.本論文では テスト項目作成の考え方 AGENTプログラムの概要について述べた.
著者
山本 米雄 柏原 昭博 川岸 圭介 塚本 信宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.734-742, 1989-06-15
被引用文献数
11

個人用データベース構築ツールTRIASを論じる.個人用データベースは 個人的作業環境が重視される現在のコンピュータ利用形態では重要である.本システムの目的は 個人用データベースを構築するツールを開発することである.TRIAS は パーソナルコンピュータなど低機能なコンピュータを対象として データアクセスの多機能性 高速性と ユーザ・システム間の対話性を実現する.データアクセスに関しては データ構造に多分岐平衡木を用いて高速性を実現する.また データを連想三重組の形で管理することで 種々のアクセス法を可能にする.三重組でデータを表現するのは 最も単純でありながら多様の事象を表現でき しかもデータを高速にアクセスするためである.開発したシステムで実験を行った結果 TRIAS は個人用データベース実現に必要な要素を備えている構築用ツールであることが確認できた.
著者
新納 浩幸
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.1046-1053, 2000-04-15
被引用文献数
1

本論文では日本語文章中に生じる同音異義語の誤りを検出する手法を提案する.基本的にはYarowskyの提案した決定リストを利用する.さらに表記されている単語の情報({?bf 表記情報}と呼ぶ)をdefaultの証拠として導入することで,誤り検出のF値を向上させる.同音異義語の誤りを検出するには,同音異義語問題を解けばよい.そして同音異義語問題は語義選択問題と等価であるために,語義選択問題に対する種々の統計手法を利用して解くことができる.ただし同音異義語問題は語義選択問題とは明確に異なった面も持っている.それはほとんどの場合正解となる判別結果がすでに表記として現れていることである.同音異義語問題では表記されている単語を選択すれば判別の正解率が非常に高くなる.しかし,表記されている単語をつねに選択すれば誤り検出をまったく行わず,誤り検出システムとしての意味をなさない.同音異義語問題の手法の評価は判別の正解率ではなく,誤り検出の正解率と再現率を考慮したF値で行うべきである.本論文では,F値を向上させるように,表記情報を利用する.具体的には統計手法として決定リストを利用する.そして表記情報をdefaultの証拠として決定リスト内に導入する.この表記情報の予測力の値は,訓練コーパスにおいてF値を最大にする値から得る.In this paper, we propose a method of detectingJapanese homophone errors in Japanese texts.Our method is based on a decision list proposed by Yarowsky.We improve the original decision list by using written words as the default evidence.The improved decision list can raise the F-measure of error detection.In order to detect homophone errors,we only have to solve the homophone problem for the homophone word.The homophone problem is equivalent tothe word sense disambiguation problem.Consequently, we can solve the homophone problemby using various statistical methods proposed for the word sense disambiguation problem.However, the homophone problemhas a distinct difference from the word sense disambiguation problem.In the homophone problem, almost all of the answers are given correctly.Therefore, the choice of the written word results in high precision.However, the method to always choose the written wordis useless for error detection becauseit doesn't detect errors at all.The method for the homophone problemshould be evaluated by the F-measure tocombine the precision and the recall.In this paper, we use the written word in order to raise the F-measure of error detection.To put it concretely,we use the written word as the default evidence ofthe decision list.The identifying strength of the written word is obtained by calculating the strength that gives the maximum F-measurein the training corpus.
著者
中前栄八郎 多田村 克己 西田友是
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.1077-1085, 1986-11-15
被引用文献数
1

本論文は 光の鏡面反射・屈折を考慮する必要のある物体を含む画像を表示するための手法として 処理の速いスキャンラィン法を基本とし 局所的にレイトレーシング法を適用する手法を提案するものである.レイトレーシング法は 光の鏡面反射・屈折を考慮することが可能なことや 各種形状の物体を取り扱えるメリットがある一方 一般に探索する光線と物体との交点を求めるために膨大な計算時間を必要とする欠点がある.そこで 外接箱(bounding box)を用いてこの計算量を節減する手法が開発されている.しかし この手法は 光源数が増すにつれ 影の計算時間が大きな割合を占める欠点がある.これらの問題を解決し 光の鏡面反射・屈折を考慮する必要のある物体を含む画像を高速に表示するために 次のような特徴を持つ手法を提案する.1)レイトレーシング法は鏡面反射や屈折を考慮する物体のみに適用する.この際 可視面(視点からの光線と最初に交わる面)は スキャンライン法によって容易に求められるから レイトレーシング法を適用する領域を容易に局所化することができる.2)レイトレーシング法を適用する際の視点からの光線の探索および形の処理に 外接箱と影空間(shadow volume)を用いる.これにより 計算点に他の物体が影を落とすか否かの判定を高速化できる.
著者
鵜林尚靖 金川 太俊 瀬戸 敏喜 中島 震 平山 雅之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.2492-2507, 2007-08-15

本論文では,コンテキストを考慮した組み込みシステム向けプロダクトライン開発手法を提案する.現状では主にシステム構成をどうするかという立場からプロダクトラインが定義されるため,システムとコンテキストの組合せによっては想定外の欠陥が生じる場合がある.本論文では,このような問題を解決するため,システムラインとコンテキストラインの2 つからプロダクト仕様を構成する方法を提案する.また,プロダクトラインの仕様をVDM++により記述する方法,およびそれらの妥当性確認方法を示す.We propose a new product line development method that takes into account the contexts of embedded systems. Most of the current approaches focus on the system configuration only. Unexpected defects might be found in a system due to conflicting combinations of the system and its contexts. In order to deal with this issue, we propose a method for constructing product specifications composed of both system and context lines. Additionally we show how to describe and validate the product line specifications using VDM++.
著者
藤木 淳 牛尼剛聡 富松 潔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.3762-3771, 2007-12-15
被引用文献数
1

人間は静止した2 次元画像の観測からだけでなく,2 次元動画像によるキャラクタの運動表現からも3 次元構造を解釈する視知覚特性を持つ.一方で,静止した2 次元画像から3 次元構造を解釈する際に,1 つの2 次元画像から推測される3 次元構造が一意に定まらない場合がある.我々はこのような2 次元動画像に対する3 次元解釈の視知覚特性を利用したインタラクティブなだまし絵表現を持つアニメーションシステムOLE Coordinate System のプロトタイプを考案した.また,プロトタイプで提案する5 種類のキャラクタのだまし絵表現の評価のために被験者実験を実施した.本論文ではシステム概要と5 種類のだまし絵表現について述べ,被験者実験から本だまし絵表現が鑑賞者の知的好奇心を刺激する効果とシステムの有効性を議論する.While the human has the characteristic of visual perception which recognize a 3D structure from the movement, the human may create the incorrect 3D structure by a variety of interpretation for the 2D image. Using the characteristics of visual perception, we present five interactive optical illusionary expressions of characters. Also, we produced an prototype system of OLE Coordinate System which has our optical illusionary expressions. In this paper, we introduce the OLE Coordinate System and the five character's optical illusionary expressions, and discuss the effectiveness of the proposed expressions based on the user experiment.
著者
白鳥 嘉勇 小橋 史彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.658-667, 1987-06-15
被引用文献数
7

本報告は 文字キー数が少なく かつシフトキー操作を必要としない利点を有するローマ字入力について日本語入力に適したキー配列を検討したものである.キーボードの打けん速度を向上することをねらいとして ?交互打けん率の向上 ?キーストローク数の低減 ?ホーム段キー使用率の向上 ?各指使用率のバランス ?同指段越え打ちの減少の5項目を設計指針として取上げた.この結果 子音と母音を左右に分離し かつ1キーに複数の文字を割りつけた複合キーを含む3段10列のローマ字配列を得た.この配列の交互打けん率は91% ホーム段キー使用率は68%であり 従来のQWERTY配列を用いたローマ字入力の場合(同:各69 29%)に比べて高い操作特性値を有する.3名の被験者について操作実験を行った結果 文字入力速度の習熟曲線は各被験者とも早い立上り特性を示した.うち1名のかな文入力速度は 約330時間の練習後に 240字/分(360ストローク/分)の高い値に達した.また エラー率は 練習によって0.5%に低下し操作上の問題はみられない.以上のことから 本配列が日本語入力に適していることが分かった.
著者
原 大輔 尾崎 亮太 兵頭 和樹 中山 泰一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.3127-3137, 2005-12-15
被引用文献数
2

現在のWWWサーバには実行時のユーザ権限に起因する問題が存在する.PHP プログラムがデータをファイルに書き込む場合,データファイルの所有者がWWW サーバを実行するユーザとなるため,サーバを共有する別の利用者のPHP プログラムからそのデータファイルを盗視されたり削除されたりする危険性がある.1 台のサーバ計算機を多数の利用者で共有する共有型ホスティングサービスにおいて,これは深刻な問題である.本研究では,この問題を克服するWWW サーバ,Haracheを提案する.提案するシステムではサーバプロセスをファイル所有者の権限で動作させる.これにより,WebDAV やPHP といったサーバ組み込みのプログラムを用いる際の問題を解決することができる.また,不必要なサーバプロセスを適宜終了することで利用者数に対する高いスケーラビリティを達成できる.本論文では,Harache の設計および実装法について述べる.Harache をSELinux を有効にしたLinux OS 上に実現し,評価実験を行った.その結果,ユーザ権限に起因する問題を解決すること,他の実現方式に対してスケーラビリティの面で優位性を持つこと,実用に耐えうるだけの性能を達成していることを確認した.This paper presents a WWW server named Harache, that runs under the authority of the file owner. Existing servers have problems that occur because of the user authority during execution. When a PHP program creates data files, the owner of the created files is the special user account that runs a server. Therefore, other users that share the same server can steal and delete these data files. These problems are serious for a hosting service where many users share a server. Harache has server processes that run under the authority of the file owner. Hence Harache can solve these problems that occur because of the user authority. In addition, Harache terminates unnecessary server processes when needed to improve scalability of the number of users. For a proof of concept, we implemented Harache on a Linux OS with a SELinux and performed evaluation experiments. Experimental results show that Harache achieves high performance and scalability.