著者
北村 操代 杉本 明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.944-958, 1995-04-15
参考文献数
28
被引用文献数
11

本論文では、アプリケーションプログラム(AP)から自動生成されたGUIに対して、APを実行しながらGUIを編集していくことにより最終ソフトウェアを作成する、生成・カスタマイズ方式を提案する。本方式によれば、GUIを備えたソフトウェア開発においてGUIプログラミングの知識を全く必要としない。また、エンドユーザによるプログラム実行時のGUIの柔軟な変更も可能となる。本論文では、本方式を実現するため筆者らが開発した、C++言語によるクラスライブラリGhostHouseについても述べる。APとGUIの結合を維持しながらの柔軟なカスタマイズを可能とする際の問題点を論じ、データ表現の標準化とリンクオブジェクトの導入を特徴とする部品間の参照方式を示す。GhostHouseの部品群の枠組として、GUI自動生成機能を特つ部品とAP実行時のGUI編集機能を持つ部品を備える。迅速なGUI編集のためドラッグ&ドロップ操作を拡張する。これらにより、部品間参照関係の変更操作を含んだ迅速なGUI修正が可能となる。本論文では、GhostHouseを用いたAPの作成方法を簡単な例を用いて説明しており、実際の適用例を通して有用性の考察を行っている。
著者
小田 泰行 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.1142-1150, 2001-05-15
参考文献数
12
被引用文献数
6

形状モデリングにおいて,粘土を扱うような直感的な変形操作,すなわち,圧したり,曲げたり,延ばしたりするという素朴な変形操作が可能であれば,バーチャルな粘土細工が実現でき,教育あるいは芸術的創作活動のための造形ツールとして広い応用が期待できる.本論文では,粘土の形状変形のシミュレーションモデルとして,相互作用力の働く粒子群を用いた粒子ベースの粘土モデルを提案する.本モデルは,重力,粒子間に働く斥力,引力,摩擦力などの特殊な作用力,および外力のもとで運動する粒子群により,粘土の形状変形を実現する.粘土は,外力によって変形され,外力を取り除いても変形したままの形で残るという可塑性の性質を持つが,本モデルでは,粘土の可塑性が実現でき,圧す,曲げる,延ばす,などの基本的な変形操作のシミュレーションが可能である.In the shape modeling of deformable objects for Computer Graphics or Virtual Reality, if the intuitive physical modification operations as those used in real clay craft, e.g., simple modification operations like pressing, bending and extending, are possible, ``virtual clay craft'' would be realizable. Such a realistic shape modeling technique has many applications in the areas of education, art, amusement, virtual reality, and so on. In this paper, we propose a clay model implemented by employing the particle based numerical simulation method where every pair of particles receives specific virtual mutual forces each other. These virtual forces consist of gravity, attractive force, repulsive force, friction force and external force that realize clay-like deformation of objects. Actual clay has the property of plasticity where its shape remains as it was after the external forces are removed. Our clay model realizes not only the fundamental modification operations applied to clay but also the plasticity.
著者
渡辺 裕太 関口 芳廣 西崎 博光
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.1812-1821, 2006-06-15
参考文献数
11

この論文では,数人と対話ができる音声対話機能を備えた音色識別学習支援システムについて述べている.この論文では,特に,音色の例として人間の声を扱っている.まず,最初に音色識別学習支援システムに必要な機能を被験者実験により調査した.その結果,(1) 音声対話機能が必要である,(2) 1 人よりも2 人で学習すると学習効果が高い,(3) 聴覚情報だけでなく,視覚情報も有効である,という3 つのことが分かった.そこで,前述の機能を備え,複数人で使用できる音色識別学習支援システムを作成した.被験者実験により,学習支援システムを使って音色識別学習をした場合の方が,システムを使用しないで音色識別学習をした場合より音色識別精度が50%改善している.This paper describes a tone color identification learning support system with speech dialogue function that can have a conversation with a few person. In this paper, we especially deal with speech as an example of tone color. First of all, we have investigated functions which are required for the tone color identification learning support system by doing subject experiments. The results showed as follows: (1) a speech dialogue module are needed, (2) training in a twosome gets higher learning effect than training alone, (3) visual information such as spectrograph is useful for training as well as acoustic information. We constructed the support system, therefore, which can be used by a few person and has the functions described above. The experimental result of tone identification by subjects who used the support system showed that the performance of identification achived improvement of 50% accuracy comparing with the case in which the system was not used.
著者
小森田賢史 我妻 知典 千葉 恒彦 横田 英俊 井戸上 彰 羽鳥 光俊
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.2623-2633, 2008-07-15

次世代ネットワークの中核技術として標準化が進められているIMS(IP Multimedia Subsystem)/MMD(MultiMedia Domain)においては,各端末の通信を制御するためにSIPを用いる.さらに,筆者らが着目するMMDでは移動端末のモビリティサポートのためにMobile IPの利用が想定されている.しかしながら,このSIPとMobile IPを併用する方式においては,それぞれが独立して処理を行うため,MMDセッションの移動制御が非効率となり,その結果ハンドオーバの遅延を招くという問題がある.本論文では,それら2つのプロトコルを連携させることにより,MMDセッション制御を高速化する手法を提案し,その方式設計について述べる.さらに,提案に基づいて実装,および評価を行い,MMDセッション制御時間の改善性について示す.
著者
鎌田恵介 近堂徹 西村 浩二 相原 玲二
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1061-1070, 2013-03-15

仮想化技術の発展を背景に,継続的なシステム運用を目的として,規模や負荷に応じて仮想計算機の構成を動的に変更できるライブマイグレーションが注目されている.また,同一ネットワーク内に限定されているライブマイグレーションを拡張し,IP移動透過性を持つグローバルライブマイグレーションも提案されている.しかし既存方式では,その対象がIPユニキャスト通信のみであり,IPマルチキャストの移動透過性まで実現できていない.そこで本研究では,仮想計算機上でマルチキャストとユニキャストを組み合わせて利用する移動透過IPマルチキャスト方式について提案し,プロトタイプシステムを用いた基本性能評価について述べる.評価結果より,ネットワークセグメントが異なるマイグレーションにおいても,同一ネットワーク内のマイグレーションと同等の途絶時間に短縮できることを確認した.Virtualization technologies are widely used, and include Live Migration which changes resource allocation for virtual machines according to scale or load. In addition, Global Live Migration with IP mobility is also proposed. It enables migration among distributed sites and provides continuation even if the network of the virtual machines was changed. However, it supports only IP unicast communication, not IP multicast communication. In this paper, we propose a mobility support mechanism for IP multicast on virtual machines, and evaluate its basic performance using prototype system. As a result, the proposed method provides migration function continuously receiving multicast stream stopped same as traditional Live Migration.
著者
田村 淳 安西 祐一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.202-210, 1987-02-15
被引用文献数
12

自然言語処理システムの研究では 構文解析 意味解析を経て 文脈解析の研究が進みつつある.また 高度な言語情報処理は連想によるところがあることも 生理学や心理学の進歩によって明らかにされつつある.一方 ハードウェア技術においては 従来の逐次型計算機だけでなく 並列型計算機の研究が発展しつつある.本論文の目的は こうした背景に基づいて筆者らが開発した Connectionist Modelを用いた自然言語処理システムの内容を述べることである.Connectionist Modelとは 多数の処理ユニットを興奮性リンクと抑制性リンクでつないだもので リンクを通じた値の受け渡しでそれぞれのユニットの活性化レベルが変化することによって 情報処理を行う計算モデルである.本研究では Connectionist Modelに基づいた 多義語を含む日本語文の意味処理を行う自然言語処理システムCMCPを設計し インプリメントした.CMCPは 日本語と英語に対して 構文解析と意味解析を擬似的に並列処理し 連想により文脈に応じて多義文を処理することができるその特徴は 筆者らが開発したオブジェクト指向型言語OPHELIAで書かれているために ユニットの数値的な活性化をユニット間通信によって実現し 同時に文法解析のような記号処理をも行えるようになっていることである.
著者
澁谷 芳洋 小池 英樹 高田 哲司 安村 通晃 石井 威望
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.1921-1930, 2004-08-15

インターネット利用人口は拡大しており,今日では個人,組織の双方においてネットワークの使用は欠かせないものとなりつつある.インターネットは多種多様なサービスを提供し,なくてはならないものになっているが,その半面,不正アクセスの問題も急増している.しかし実際の侵入がどのようなものであるかを認知する機会が少なく,見えない世界でのセキュリティに対する認識が難しい.そこで本論文では不正侵入対策の手段の1つとなっているおとりシステムに着目し,Honeynet Projectが提唱している高対話型として構築した.高対話型おとりシステムの特徴として,OSレベルでおとりを実現し,不正アクセス者に制限なく自由に行動させ,不正アクセス者に気づかれないように行動記録を取得,分析することにより,既知の攻撃方法のみならず,未知の脆弱性や行動を記録することが期待されている.しかし高対話型おとりシステムは概念が新しく,主としてその概念ばかり公開されており,具体的なシステム構築例および,運用結果,問題点についての公開情報が少ない.したがって本論文では高対話型おとりシステムを公開されている情報を参考に実際に構築,運用し,不足する機能を追加したうえでさらに運用を行った.その結果得られたデータおよび知見をもとにおとりシステムの持つ問題点および運用方法の提案を含め今後の課題について述べる.
著者
白石 善明 福田 洋治 溝渕 昭二 鈴木 貴史
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.1083-1093, 2010-03-15

営利目的で一方的に送りつけられる電子メールは一般にスパムメールとして知られており,過去数年間,その影響は世界中に広がり続けている.本論文では,社会ネットワークの特性を表す指標の1つである固有ベクトル中心性に基づいたスパムメールフィルタリングの手法を提案する.提案手法は,受信したメールに含まれるメールアドレスの固有ベクトル中心性の得点を評価し,スパム以外のメールを区別するためのメールアドレスのホワイトリストを構成する.固有ベクトル中心性の得点とメールネットワークの形態との関係や,関連する手法との違いを考察し,著者のメールボックスのデータを用いた実験により提案手法の有効性を示す.Unsolicited commercial email is generally known as spam and its negative effects continue to spread around the world in the past few years. In this paper, we propose a method for spam email filtering based on eigenvector centrality which is one of indexes expressing property of social network. The proposed method evaluates score of the centrality for each mail address included in received emails and constructs a whitelist of the reliable mail address to distinguish non-spam. This paper shows the effectiveness of the proposed method by some experiments using author's mailbox. Then, we give some considerations on the relation between score and form of mail network in order to show differences from relative methods.
著者
清田 公保 尾島 潤 山本 眞司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.1821-1828, 1996-10-15
参考文献数
14
被引用文献数
1

視覚障害者のためのオンライン手書き漢字認識システムの第1段階として 漢字の部分構造情報を用いた大分類法を提案する. 視覚障害者の書く文字は視覚情報の欠如のために 晴眼者の文字と比べてストロークや部分パタン間で分離や重なりが著しく生じやすく 全体のバランスがとれていない. しかし文字変形分析の結果 局所的な部分 たとえば偏や冠 構え 旁などの部分パターン内では比較的安定であった. そこで偏 旁などの部分集合になりやすい 連続した3つのストロークに着目し 各ストロークの代表点の移動方向を特徴量として用いる方法を検討した. 3つのストロークの抽出法としては 文字の書き始めから3ストローク(偏 冠 構え系) および書き終わりから逆方向に3ストローク(旁系)を選んだ. またストローク代表点としては 始点 中点 終点のいずれかを動的に選ぶことにより特徴抽出の安定化を図った. 視覚情報欠如状態で書かれた教育漢字1005文字に対して個人学習辞書を用いた分類実験の結果 候補文字を被験者12名の平均で8.4個 最大でも38個にまで絞り込むことができた. このときの分類率は平均98.5% 最高100%に達し 本手法の大分類応用への見通しが得られた.This paper presents a classification method of on-line handwritten Chinese Characters of visually disabled persons. In general, the handwritten characters of visually disabled persons show significant shape distortions. However, the relative position of each partial structural strokes can be observed to be stable. Based on this characteristic a new concept is presented; the classification of on-line handwritten Chinese characters based on the relative positions of partial structural strokes. In this method, the feature parameters are extracted from the relative direction of vectors between two stroke representative points which represent the partial structure of handwritten Chinese characters. It is shown that the satisfactory classification accuracy and efficiency can be obtained using this method in the classification of Chinese characters written by visually disabled persons.
著者
千葉 昌幸 漆嶌 賢二 前田 陽二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.676-685, 2006-03-15
参考文献数
12
被引用文献数
5

インターネットおよびE コマースの進展により,氏名,住所,資格情報などの"個人属性" 情報がインターネットを通じて様々な場所で交換されているが,同時に個人情報漏洩のリスクもまた急速に大きくなってきている.インターネットサービスにおいても個人情報保護法を遵守し,適切に個人属性を管理できる仕組みが求められている.本稿では,オープンな標準技術に基づき相互運用性の高い環境の下,個人属性を安全に交換,管理する情報化基盤「属性情報プロバイダ」を提案する.属性情報プロバイダは,運用システムの安全性について第三者機関の認定が得られた複数のサービス事業者により構成されるものである.利用者は,属性情報プロバイダに個人属性を登録および委託することで,以後は直接取引相手に渡すのではなく,利用者の同意を得たサービス提供者にのみ属性情報プロバイダを介して個人属性を安全に渡す.ネットワークプロバイダ,PKI などとともに今後,情報ネットワークの重要な基盤になると期待される.According to explosive growth of the Internet and e-commerce "personal attribute" information such like a name, a postal address and some qualifications have been exchanged on it. However privacy risk has been rapidly raised at the same time. Thus proper personal attribute management has been required conforming to the Personal Data Protection Law enacted in April 2005. In this paper we will propose the "Personal Attribute Provider" which is an infrastructure for secure exchange and management of personal attribute based on open standards that will provide higher interoperability. Some part of personal information will be registered and entrusted to the provider which should be founded by trusted authorized organization then user, attribute provider and service provider which can be online shopping site can exchange the personal attribute on the agreement with the user. Distributed management of personal attribute which relies on the federation of multiple attribute providers can reduce irreparable damage of privacy and digital signature technology used in the attribute provider can offer authenticated personal attribute to service provider. This paper describes the investigation result for it as it should be important commonly used infrastructure on the information network as well as network providers and PKI are in the future.
著者
木山 昇 楠田 純子 藤井 彩恵 内山 彰 廣森聡仁 梅津 高朗 中村 嘉隆 大出靖将 田中 裕 山口 弘純 東野 輝夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.1916-1929, 2010-09-15
被引用文献数
2

本論文では,大規模事故や災害時に発生する多数の傷病者の生体情報(バイタルサイン)をリアルタイムで一括監視し,現場での救命活動を支援する電子トリアージシステムの設計開発について述べる.本システムでは,IEEE802.15.4および生体センサを備えたセンサノードを傷病者に装着し,それらの間でアドホックネットワークを構築する.これを介して傷病者の生体情報をリアルタイムに収集すると同時に,センサノード間の無線通信情報を基にノードの位置推定を行い,%救命活動従事者医療従事者に対して傷病者の病状と大まかな位置に関する情報を提供することで救命活動を支援する.開発したシステムを大学附属病院で実施されたトリアージ演習などで使用し,システムの有用性を確認するとともに今後の改良に向けた情報収集を行った.In this paper, we consider situations where many persons are simultaneously injured in large accidents and disasters, and propose an advanced electronic triage system called e-Triage for sensing physical condition of those injured persons and collecting the sensed data in IEEE802.15.4-based wireless ad-hoc networks. The e-Triage system presents dynamic change of injured persons' location and physical condition on monitors in real time. We have evaluated our system through a triage training held in a hospital. From the experimental results, we have confirmed the effectiveness of the e-Triage system and obtained feedback from doctors and nurses.
著者
土肥 浩 石塚 満
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.547-555, 1999-02-15
参考文献数
10
被引用文献数
14

本論文では 自然感の高い顔と音声対話能力を備えたface-to-face型の統一的な擬人化エージェントインタフェースを実現する ビジュアルソフトウェアエージェント(VSA:Visual Software Agent)の新しいプロトタイプの構成について述べる. 新しいプロトタイプでは 顔画像 音声合成 音声認識 WWWブラウザ制御などをそれぞれ機能ごとにモジュール化した. これにより TCP/IPネットワークで結合された複数のWSで構成される分散環境下で 7つの機能モジュールが協調的に動作する擬人化エージェントインタフェースを実現した. それぞれの機能モジュールは 複数のWS上で並列あるいは並行に動作する. 新しい機能モジュールを動的に追加・削除したり 更新したりすることが容易に可能である. ユーザはテレビ電話を使うようにエージェントとの簡単な音声対話により 電子メイルの到着や時刻を尋ねたり WWWブラウザの操作を依頼したりすることができる. またVSAシステムはWWW上で常時更新されていく多種多様の情報を人手を介さずに自動的に収集し 音声で答えられるように変換する. これによりユーザーは同じ音声対話インタフェースを用いて天気予報やニュースなど 知りたいときに知りたい情報を得ることができる.This paper describes the design and the implementation of the Visual Software Agent (VSA) interface system connected with a voice-controlled NEtscape. VSA is a test bed for an Internet-based interface agent with an unified face-to-face style interface. Besides the texture-mapped rocking realistic face, it equips a camera, a speech recognizer, a speech synthesizer, and some sensors; corresponding with eyes, ears, a mouth, and some sense organs, respectively. A user asks the realistic anthropomorphic agent some questions and order some tasks, as if he/she usually asks his/her colleagues with a visual phone. It embodies a human-like face-to-face style communication environment, and therefore it will reduce the mental barrier for communication lying between a human and a computer. The system is also connected with World Wide Web (WWW)/ the Netscape navigator.
著者
長尾 夏樹 西村 治彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1643-1652, 2001-06-15

複数個の解釈が可能な一定の図形刺激に対して,見えの自発的かつ不規則な交代が知覚される現象として多義図形認知が知られている.本研究では,この交代現象の基本メカニズムに関する新しい理論的モデルについて検討する.ここでは,外部刺激との相互作用の下でネットワークにカオス性が生じ,それが記憶の多安定性を動的にするという,刺激誘導型の開いたネットワークの性質に着目する.そして,カオス・ニューラルネットワークによるホップフィールド型連想記憶モデルの動的拡張として,多義図形認知を通常のパターン認識とともに統一的に取り扱うことを目指す.本論文では,計算機実験をもとにその過程と性質を具体的に分析した結果について報告する.さらに,カオス性に代わって確率ノイズを用いた場合には同様の性質は容易に得られるものではないことも示す.Perceptual alternation of ambiguous figures is known as the phenomenon that perception undergoes involuntary and random-like change in a circumstance the ambiguous stimulus is kept constant.In this paper,we present a new theoretical model of the perception of ambiguous patterns based on the chaotic neural networks with stimulus-response scheme and investigate the nature in detail through computer simulations.The results by chaotic activity,similar to those of psychophysical experiments,are difficult for stochastic activity to attain to in the same simple framework.Our demonstration suggests a functional usefulness of the chaotic activity in the modeling of dynamic perceptual systems.
著者
本木 実 冨浦洋一 高橋 直人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.2779-2791, 2006-08-15
参考文献数
12

本論文では,記号列を入力し記号列を出力する階層型ニューラルネットの学習法を提案する.本論文で考察するモデルは,結合荷重だけでなく,各記号に対応する記号表現ベクトルも学習パラメータとする.この方式により,学習データの性質を反映した記号表現ベクトル(類似の使われ方をする記号の記号表現ベクトルが互いに近いベクトル)を学習することができ,予測能力の向上が期待できる.しかし,目的関数を平均二乗誤差とする通常のモデルでは,目的関数の値を最小にするタスクにとって無意味な解が存在し,出力ベクトルから記号の同定を行うと正解率がきわめて低いという問題がある.そこで本論文では,記号の同定を考慮した目的関数による学習法を提案する.実験により,提案モデルは,学習データの性質を反映した記号表現ベクトルの学習が可能であり,かつ高い正解率を持つことを示す.This paper proposes a learning method of a layered neural network whose inputs and outputs are symbol sequences. The learning parameters of the model we consider here are not only link weights but also symbol representation vectors (SRVs), each of which corresponds to each symbol. SRVs learned by this model can reflect characteristics of the training data, and are expected to lead to high performance in prediction. The conventional learning method whose objective function is mean square error has meaningless solutions for the task, which minimize the objective function. Moreover, the accuracy of the conventional model is very low when symbols are identified based on the output vectors. The learning method we propose has an objective function which is proper for identification of output symbols. Through the computational experiments, we also show that the proposed model acquires SRVs which reflect characteristics of the training data and have high performance.
著者
佐藤 雅明 石田 剛朗 堀口 良太 清水 克正 春田 仁 和田 光示 植原 啓介 村井 純
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.253-264, 2008-01-15
参考文献数
11
被引用文献数
3

センタレスプローブ情報システムは,車車間通信と車両自体の移動によってプローブ情報の生成と伝達を行う.車両の存在する周辺の道路交通情報や,安全に関する情報等の即時性が求められる情報等に有効であると考えられている.本論文では,センタレスプローブ情報システムの有用性を活用する手法として,センタレスプローブ通信基盤を利用する渋滞に関する道路交通情報生成アルゴリズムの提案を行った.また,提案した道路交通情報生成アルゴリズムとセンタレスプローブ通信基盤を,実車両で動作する車載システムとして設計と実装を行い,テストコース内で5 台の車両を用いた実証実験を行った.この実験で,実装した車載システムによるプローブ情報の生成と統合が可能であることが分かった.さらに,実車環境においてセンタレスプローブ情報システムが有効に動作することが確認された.Decentralized Probe Vehicle System transmits information by the communication between vehicles, and movement of vehicles. Decentralized Probe Vehicle System is effective in the sensor data depending on a geography position, and the sensor data contributed safely which needs a real-time processing. In this paper, road traffic information generation algorithm was proposed. The design and implementation about algorithm and communication platform for Decentralized Probe Vehicle System was performed. Then, field test was conducted by five vehicles in the test course. As a result, it turned out that generation and integration of probe information are possible using implementation system. Further, it was checked that a system operates effectively in real vehicle environment.
著者
竹内 亨 寺西 裕一 春本 要 下條 真司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.555-565, 2006-02-15
参考文献数
11
被引用文献数
9

近年のインターネットの普及により,個人間コミュニケーションを支援するシステムの重要性が増してきている.そのようなシステムとしてSNS(ソーシャルネットワークサービス)が広まりつつあるが,システム内に明示化された人脈であるソーシャルネットワークを活用したシステムがどのように有効なのか,明らかでない.我々は,ソーシャルネットワークに基づいて口コミ型の情報伝播を行うコミュニケーションモデル「情報伝播モデル」を提案し,本モデルに基づいた実ユーザによる比較実証実験を行うことによって,ソーシャルネットワーク上での情報By the spread of the Internet, the importance of system that supports interpersonal communications increases. Although currently the Social Network Service (SNS) supports such communication, the effectiveness of SNS, which is based on personal network, is
著者
金子 勇 畠山 正行
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.2671-2683, 1998-09-15
被引用文献数
2

本論文ではまず,オブジェクト指向の大規模シミュレーションのためにはオブジェクト指向実行環境が必要であるとの考えから出発し,そのためのオブジェクト指向ファイルシステムの開発の必要性を指摘する.そこで,現用の階層構造を持つファイルシステムをオブジェクト指向化する方針とその具体的な方法論として,UNIXのファイルシステムに対してプロトタイプベースオブジェクトの概念を用いることを提案した.そしてこれを実現するために,ファイルシステムのディレクトリをオブジェクトとするカプセル化,ディレクトリ単位の情報隠蔽を実現するアクセル制限機構,ディレクトリの合成をともなう委譲リンク,セルフディレクトリの概念を新たに提案し,実際にUNIXファイルシステムとの上位互換性を持つPBO?FS (Prototype?Based Object File System)の設計と実装を行った.また,このPBO?FSをオブジェクト指向による流れの数値風胴シミュレーションに応用し,実用的なシミュレーション環境が実現可能であることを確認した.このPBO?FS自身とその応用例を他の研究と比較した結果,プロトタイプベースオブジェクトの概念をファイルシステム上で実現するという本研究の手法が新規なものであるとの結論を導き出した.The starting point of the present paper is based on the idea that the execution environments should be developed on the object-oriented file system for the large scale simulations of the physical phenomena.Then,we have developed an extended hierarchical file system that will realize the concept of the prototype-based object.For this purpose,the access restriction mechanism to realize the encapsulation and the information hiding of the object,the delegation link to share the common parts among the objects,and the concept of the self-directory have been introduced and implemented on the UNIX file system.We call this extended (upper-compatible)UNIX file system the Prototype-Based Object File System(PBO-FS).This file system has been applied to some problems such like the object-oriented numerical wind tunnel flow system.The results are satisfactory and valid as the object-oriented execution environment.This PBO-FS and/or its application examples have been compared with other studies and that no other similar concepts or systems like the PBO-FS have been found out.Then we can consider that this PBO-FS is a new object-oriented file system with the concept of the prototype-based object.
著者
安藤 大地
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1030-1040, 2012-03-15

近年,コンピュータを用いたクラブ系音楽のマルチメディアリアルタイムパフォーマンスがさかんである.本論文では対話型進化論的計算(Interactive EvolutionaryComputation)のシステムを用いてクラブ系ループ音楽をリアルタイムに生成,また世代の概念を用いないBreedingのメカニズムを用いて音楽時系列を構成するパフォーマンスを行うことができる手法を提案する.提案手法では遺伝子表現として遺伝的プログラミング(GeneticProgramming,GP)を採用しつつも,1つの個体から複数の表現型を実現する仕組みを備えており,対話型の個体数の少なさをカバーしつつ応用範囲が非常に広くなっている.提案手法を用いて,モバイルデバイスに溜め込んだ写真からクラブ系ループ音楽を生成するシステムのプロトタイプが実装されており,音楽的表現に応じて様々なリアルタイムマルチメディアパフォーマンスに利用することが可能であることが示された.
著者
小久保 博崇 金岡 晃 満保 雅浩 岡本 栄司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.2086-2093, 2012-09-15

マルウェアの脅威は日々拡大しており,いまや社会に実害を及ぼす脅威となっている.また未知のマルウェアの侵入や活動を検出し,被害を防ぐことの重要性が高まっている.本論文ではCCC DATAset2011の攻撃通信データを利用し,通信プロトコルヘッダの特性を,性質の異なる複数の機械学習手法を組み合わせて学習することで未知攻撃を含む攻撃通信の持続的な検知を試みた.決定木の定期的な再学習に加え二次元自己組織化マップ(SOM)による逐次学習を取り入れることで安定して高い精度を保てるように工夫することにより,99%前後の確率で攻撃通信の検知を行うことが可能となった.
著者
吉高 淳夫 尾崎昂 平嶋 宗
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.1421-1430, 2009-04-15

映像への効率良いアクセスを実現するためには映像の構造化が不可欠であり,また構造化を行うためにはカット検出だけでなくシーン境界検出等,相互に関係するショットをまとめる処理が必要である.映画やドラマにおいては,2種類の類似したショットが交互に繰り返される,ショット・リバースショットが会話の場面等で多用されるという特徴がある.ショット・リバースショットはカメラ操作をともなわない静的なショットから構成されることが比較的多いため,キーフレームの色領域に関する空間関係の類似度評価等,画像の静的特徴により検出するものが多かった.しかし,パン,チルト等のカメラ操作が施される場合もあり,そのような映像では全体が変化するために従来の静的な類似性判定では検出することは困難である.このようなショット区間の検出は映画のシーン境界検出やインデクシング,検索に必要であり,カメラワークを含むものも検出できることが精度向上のために望まれる.本論文ではカメラワーク成分をキャンセルする処理を施すことで一様な動きをした背景部分の除去を行い,残された主体部分の類似性判定に基づきショットどうしの類似性を判定することによって,カメラワークを含むショット・リバースショットの場面を抽出する手法を提案する.そして,カメラワークキャンセルを考慮しない従来検出法との比較により,提案手法の効果について評価した.