著者
吉川 麻衣子
出版者
九州産業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

平成18年度は,研究課題「沖縄県高齢者の戦争体験に関する臨床心理学的研究-調査研究と実践研究を通して-」の研究成果の報告と,本研究の実践研究の部分にあたる「戦争体験を語ることを中心としたグループ・アプローチ」(平成17年度実施)のフォローアップおよびフィードバックを行った。研究成果の報告に関しては,国内外の学会で口頭発表を行った。沖縄県の戦争体験者の心理構造や,戦争が終わって60年あまり経過した人びとの思いを紹介した。本邦では,戦争体験者に関する学術的研究がほとんど行われておらず,臨床心理学の分野における代表的な学会(日本心理臨床学会)での反響は大きかった。来年度以降,さらに発表の機会を増やし,学術雑誌等での発表にも取り組んでいく予定である。また,ドイツのポツダムで行われた「Person-Centered and Experiential Psychotherapy and Counselng」での発表では,参加者の多くがヨーロッパ諸国の人びとであったが,発表を通して,今なお世界各地で紛争が絶えず多くの尊い命が失われている現状の中,「いま,世界平和のためにできることはなにか」を共に考える機会となった。グループ・アプローチのフォローアップおよびフィードバックは,A地域(参加者11名)で3回,B地域(参加者8名)で3回,C地域(参加者9名)で3回,D地域(参加者12名)で3回,E地域(参加者10名)で3回,F地域(参加者8名)で4回,G地域(参加者15名)で4回実施し,平成19年3月までに全て計画通り終了した。数十ヶ月にもおよんだグループ・アプローチは,これまで戦争体験を安心して語れる機会がなかった参加者にとって有意義な時間となり,グループが終了した今でも,地域の高齢者の居場所として機能している。研究計画の段階で予想していた以上の効果が挙げられたものと考えられる。筆者は,10年間,沖縄県の戦争体験者の研究を継続してきた。これまでに500名以上に関わってきた。その1人1人の語りの中には,戦争の悲惨さや体験した者の悲しみや辛さ,そして,真の平和を願う未来への伝言が多く含まれていた。今後も戦争体験者の研究を継続し,色々な形で発表していくことで,貴重な話を聴かせてくれた人びとへの恩返しになればと考えている。
著者
安藤 宏 GANG Q GANG Q.
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

今年度は、以下の四回にわたる学会・国際シンポジウムで研究発表・講演を行った。1、創価大学日本語日本文学会2006年春季大会発表(2006年5月19日)で、「芥川龍之介の上海・北京観劇」という題で研究発表した。2、「第一回国際芥川龍之介学会・シンポジウム」(2006年9月9日、韓国・延世大学、仁川大学)における講演題目「「南京の基督」における中国表象--同時代的言説の中で--」3、「東アジア日本学研究国際シンポジウム」(2006年10月14日、中国・洛陽)における研究発表題目「芥川龍之介における洛陽という場(トポス)」という題で研究発表した。4、「東アジアで村上春樹を読む国際シンポジウム」(2007年3月30日、韓国・高麗大学)における講演題目「戦後日本の歪みの中の村上春樹」今年度中に活字化した研究成果は、以下の通りである。1、論文「ジブリアニメと2005年の日本」(『日本学研究』2006年11月)2、討論「パネルディスカッション「ジブリアニメの力」」(『日本学研究』2006年11月)3、研究ノート「上海小新聞の一記事から中日文壇交渉を探る」(『日本近代文学』第75集2006年11月)4、論文「芥川龍之介と谷崎潤一郎の中国表象--<支那趣味>言説を批判する『支那游記』」(『国語と国文学』2006年11月)5、論文「芥川龍之介の中国旅行と『支那游記』」(『書品』2006年10月)6、訳書『支那游記』」(中華書局2007年1月)
著者
中村 卓司 SZASZ Csilla
出版者
国立極地研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究では、北半球中緯度で最も高性能な流星レーダーとして稼動できる京都大学の大気観測用大型レーダーであるMUレーダーを用いて、種々の散在流星ソースの流星フラックスの変化を明らかにするとともに高緯度のEISCATその他のレーダーの結果と合わせてグローバルな流星数の季節変化分布を明らかにすることを目的としている。本年度は下記のように極めて順調に研究が進展した。1)データ解析とデータベース化 前年度から継続して、MUレーダーによる毎月24時間のキャンペーン観測を実施した。集積した流星ヘッドエコーデータは1年分以上にのぼり、これを解析し輻射点の天球上のマップの年周変化を得ることに成功した。すなわち、ソース(太陽、半太陽、向点方向など)毎の季節変化とその特性を明らかにした。また、光学観測との比較から流星エコーの対応する光度と質量範囲を推定した。散在流星の他、ヘッドエコー観測による群流星は希少であり詳しく解析した。とくに、10月のオリオン座流星群については2009年のアウトバーストを捉えることに成功し、レーダー散乱断面積とエコーの空間分布から、レーダーの観測空間範囲を精密に推定し、流星フラックスを求めることに成功した。オリオン座流星群は、2010年も観測時間を拡大して観測し、現在解析中である。以上のデータは、光学観測データとも合わせてデータベース化している。2)EISCAT他のレーダーとの比較検討 特別研究員がこれまで解析研究たEISCATはじめ種々の緯度(高緯度、低緯度)のレーダー観測データとMUレーダーの結果、性能を比較した。また、南極域初の大型大気レーダーとなるPANSYレーダーでのヘッドエコー観測が南天を含めた全天の流星をカバーする上で重要であることを示した。以上の研究結果は国際会議で発表し好評を得ており、論文誌に投稿(改訂)中である他、継続して数編を執筆中である。
著者
松井 邦人 MAINA James W.
出版者
東京電機大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

現在,舗装のマネージメントシステムの中で,火急の課題として舗装の理論設計システムの構築に関心が集まっている.土木学会舗装工学委員会から,理論設計に必要な舗装構造解析ソフト(GAMES)を公開し,舗装技術者が広く利用できるようにしてほしいとの依頼があり,2003年9月に土木学会舗装工学ライブラリー3として出版の準備をすることが決まった.2005年2月に脱稿し,現在印刷中である.GAMESの基本ソフトウエアは,研究代表者の研究室で開発しており,車両の自重を考慮した鉛直方向の分布荷重と,水平方向の制動荷重を考慮できる.研究分担者は本ソフトウエアで用いられている理論をすっきりした形に再構築し,計算効率化と計算精度の向上を図り,さらにユーザが利用しやすいようにウインドウズ化を行い,本ソフトウエアの開発に多大なる貢献を果たした.本ソフトウエアの精度については,同様の機能を持ち世界的にも評価の高いシェル石油開発のBISARとの比較も行っており,GAMESの方が優れていることを確認している.すでに本ソフトウエアは,現在進行中の羽田空港拡張工事と関西空港拡張工事の設計で利用され,超大型ジェット機の設計にも十分に対応できることを確認され,実務にも役立つことが実証されている.さらに研究としては,舗装表面に作用するより複雑な荷重形態(ねじり荷重やモーメント荷重)に対する解析も行うことができる理論を構築,論文にも投稿している.また,舗装マネージメントで必要な舗装構造評価についても,従来の理論に改良を加え新しいDBALMを開発し,初期値の影響を評価した.このソフトウエアでは動的FEMを用いているが,現在波動理論を解析的に解く方向で作業中であり,理論構築は終了しコード化が最終段階にある.
著者
中村 春木 SAVINI Gianluca
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患は、アミロイド繊維形成をもたらす蛋白質のミスフォールディングによって引き起こされている。アミロイド繊維は、その繊維構造の多様性を示すが分子レベルでの特徴的な構造をもち、その顕著な安定性と分解されにくい強い抵抗性を持つ。実際、アミロイド繊維は、鉄に類似した強度をもち、また構造上の類似物である絹と同様の物性を示す。この研究の目的は、この並はずれたアミロイド繊維の力学的性質について、分子レベルでの理解と整理とを行うことである。具体的には、1)GROMACSプログラムを用いて分子動力学のシミュレーション計算を実施し、そのペプチド分子の長さ、側鎖、配向等に依存したアミロイド繊維を形成するペプチドの構造形成と、ヘリックスの相対的なねじれ角について調べた。2)上記の構造モデルを用いて、異なる変形に対するアミロイド繊維の力学的特性を研究した。アミロイドを形成する短いペプチドとしてX線回折構造が既知のNNQQおよびGNNQQYの2つに対して研究を行った。これらのモデルは、5本のβ構造を持つペプチドからなる2枚のシートからなっている。構造変形をモニターした結果、アミロイド繊維は徐々にねじれがほぐれていき、最終的にβシートが完全に並置されて破壊されており、ヘリックスのねじれがアミロイド繊維の安定性と力学的な強度に寄与していることを示唆している。自由エネルギー計算からは、単一のペプチドは繊維に比べて不安定であり、アミロイド繊維がすぐに伸長することを示している。アミロイド繊維が破壊される値として極限応力0.23-0.25GPaが得られ、圧力-歪曲線の傾きからヤング率9.18GPaが得られた。これらの値は、実験誤差内の値となっている。さらに、平均して1-10分以内に10マイクロメータの長さの繊維は自発的に破壊されることが我々の計算から示唆された。
著者
梁 興明
出版者
佐賀大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

衛星観測データを用いた海洋エネルギー及び海洋環境情報の抽出には、大気中の空気分子、エアロゾル、水蒸気及びオゾン等の散乱、吸収で、大きい影響を与える。大気の影響を考慮するのは必要である。そのため、地上観測により、大気のエアロゾルの光学特性、水蒸気及び気温の鉛直分布、オゾンの鉛直分布を推定するのは大変重要である。本研究では、スカイラジオメータ(POM-01)及び偏光分光放射計(PSR1000)における太陽の直達、散乱及びオーリオールの観測データを用いたエアロゾルの粒径分布及び複素屈折率の同時推定(Arai-Ryoモデル)を提案した。また、地上観測における、Arai-Ryoモデルにより、有明海の近傍、佐賀地域のエアロゾルの光学特性(光学的厚さ、位相関数、単散乱アルベト、)及び微物理特性(粒径分布及び複素屈折率)の日変化及び季節の変化を検討した。その結果、朝及び夕方のエアロゾルの光学的厚さ、密度、単散乱アルベト、非対称性はお昼より大きいことが分かった。エアロゾルの粒径分布及び光学的厚さの変化には、お昼より、朝及び夕方に大きいことも分かった。また、秋及び冬より、夏のエアロゾルの光学特性及び微物理特性の変化は大きいことがわかった。一方、赤外、マイクロ波長域における衛星サウンダーデータを用いた、非線形最適化手法により、水蒸気及び気温の鉛直分布同時推定のモデルの構築も行った。メキシコ湾のAIRSデータを用いた気温及び水蒸気鉛直分布を推定した結果、及びMODTRAN4.0により求めたシミュレーションデータを比べによると、両モデルにより計算した気温及び水蒸気鉛直分布の傾向が一致したことがわかった。今後、そのモデルを用いて、有明海の周辺、佐賀地域の水蒸気及び気温の鉛直分布の同時推定を行うと考える。
著者
内田 智秀
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

最終年度の研究作業を大別すると、モーリス・メーテルランク『青い鳥』の草稿類の具体的調査と同作品における幸福についての研究の2つに分かれる。前者は2008年夏、フランス、ベルギーにおいて実地調査を行った。フランス国立図書館では1911年の『青い鳥』改訂版初演の劇評類を収集し、同作品の受容傾向を把握に努めた。ベルギーでは、まず初年度大まかな調査しか行えなかったゲント資料館にて、メーテルランクが当初『青い鳥』の舞台背景を依頼していたC.ドゥードゥレに送った1905年から1909年頃の書簡37点を判読、そして転写した。その後ブリュッセルのベルギー王立図書館にて、ロシアの演出家C.スタニスラフスキーや、ドイツ人翻訳家F.フォン・オペルン=プロニコフスキーヘメーテルランクが送った書簡の中から、約80点を転写した。また初年度同様、『青い鳥』の構想、草稿の転写の確認も時間が許す限り行った。これちの資料は、これまで取り上げられる機会が少なく、正確さに欠けていた『青い鳥』の生成に関する資料として重要で、これらの分析によって、すでに新事実が発見されていることからも、この実地調査は必要不可欠だった。『青い鳥』の幸福についての研究は、メーテルランクが随筆で引用するプロティノスの言説と、『青い鳥』の草稿に書かれた「幸福の探求=知性の探求」の注目し、初年度、草稿研究で得られた成果をもとに、プロティノスを中心とする新プラトン主義の観点から考察した。以上の研究成果の一部を日本フランス語フランス文学会中部支部大会、目本児童文学学会研究大会にて発表した。
著者
瀧上 舞
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

平成23年度は、(1)ナスカ地域における食性の季節差、(2)インカ帝国時代以前の南部海岸地域における定住者の食性の季節変化、(3)インカ帝国時代の食性の地域差、(4)形成期の北部高地における植物栽培・家畜の飼育開始時期について調査を進めた。また、ペルー国内の古代の食物の同位体比を得るためにナスカ地域河内遺跡の食物試料サンプリングを行い、さらにナスカ地域及び北部高地の現生の陸上植物食物、淡水生魚類、海水生魚類、ラクダ科動物の毛の採取を行った。(1)平成22年度にサンプリングを行ったチャウチー野外展示場のミイラの14C年代測定及び、毛髪の炭素・窒素同位体比測定による食性の経時的変化の分析を行った。年代測定の結果、この遺跡のミイラはイカ・チンチャ期(AD 1000-1400)に作成されたことがわかった。また、食性には一年ごとの周期性はみられなかったが、C3植物とC4植物の摂取量が一年を通して変化していたことがわかった。また、海産物摂取量は一年を通してあまり変化していないこともわかった。これらの結果は、ナスカ台地の有機物試料の年代測定による人間が活動した文化期の同定結果と共にペルー文化庁に報告書を提出した。(2)は南部海岸地域から出土した一般人のミイラの毛髪と他の軟部組織の分析を行った。毛髪の食性変化から皮膚や筋肉が反映している食性の時期(亡くなる何か月前の食性か)の同定を試みた。今後、骨の同位体比との比較を行い、体組織の同位体分別の補正値を考えていく予定である。(3)インカ帝国が支配下に収めたペルー北部高地から南部高地までの古人骨の食性推定と年代測定を行った結果、インカ帝国期には食性に大きな地域差があったことがわかった。また、先行研究で報告された生賛の子供のミイラの食性と比較したところ、彼らは帝国全域から集められた子供であったことがわかった。この結果は今後論文にまとめて報告していく。(4)北部高地の形成期の古人骨や動物骨の食性推定を行ったところ、ヒトもラクダ科動物もB.C.800年頃からトウモロコシ摂取が増加したことがわかった。特にラクダ科はB.C.800年頃には、野生のシカとは異なる2種類の食物の混合された食性に変化しており、ヒトによる食物コントロールが行われていた可能性が示された。
著者
小川 由英 HOSSAIN Rayhan Zubair
出版者
琉球大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

現在我々は、消化管からのシュウ酸吸収に影響する各種物質に関して実験し、ビタミンB6欠乏食で飼育したラットにおいてシュウ酸前駆物質投与による内因性のシュウ酸合成について検討した。カルシウムと同様の実験系で、マグネシウムが消化管からのシュウ酸吸収へ与える影響を検討し、マグネシウム投与により消化管からのシュウ酸吸収が減少し、尿中シュウ酸排泄が減少することがわかった。また我々の動物実験系で内因性のシュウ酸合成に関連するいくつものシュウ酸前駆物質を投与し、実験した。グリコール酸、グリオキシル酸、ハイドロピルビン酸、ハイドロオキシプロリン、エチレングリコールが尿中シュウ酸を増加させる重要なシュウ酸前駆物質であり、そのシュウ酸合成がビタミンB6欠乏食群でより促進され、その原因はグリオキシル酸解毒酵素であるAGTとGRHPRの機能不全によることがわかった。さらに、ビタミンB6欠乏状態にすると尿中クエン酸排泄にも影響がでる。ビタミンB6欠乏は短期間投与でも低クエン酸尿をきたし結石形成危険因子となることがわかった。またビタミンB6欠乏による低クエン酸尿がアルカリの負荷により是正されるかも検討した。た標準食とビタミンB6欠乏食においてアルカリの急速投与が尿中クエン酸に与える影響を比較し、その両者において急速なアルカリ投与が尿中クエン酸を増加させるがその影響は標準食を与えた群がより著明であった。原因としてビタミンB6欠乏は腎のクエン酸排泄を障害する可能性があり、低クエン酸尿の原因として独立したものである可能性が示唆された。過シュウ酸尿症と尿路結石の研究において多くの動物実験系を報告してきた。我々の実験系では3%のグリコール酸食の投与で過シュウ酸尿症とシュウ酸カルシウム結石を形成させることができた。この結石形成動物モデルは再現性がよく、多くの結石形成に関与する可能性のある物質の影響を調べることができ、結石の再発予防法の研究に役立つと考える。
著者
水山 高久 VOTRUBOVA Jana
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

林地斜面土層内の不均質な水移動の実態を解明する目的で,TDR式水分計による体積含水率の計測を,高空間分解能で行った。計測は,滋賀県南部の田上山系内に位置し,ヒノキ,コナラを主木とし,ヒサカキ,ネジキ,リョウブ等の下層植生を有する天然性林において行った。縦50cm,横50cmの土壌断面を掘削し,縦・横10cm間隔の格子点上に合計25本のTDRセンサーを設置した。TDRセンサーは,センサーロッド長30cmのものを10cmにカットし,より小範囲の水分状態を詳細に計測できるようにした。このため,出力値を含水率に変換するために提示された既往の経験式を用いることができない。このため,現段階では含水率の絶対値の議論を行うことはできず,本年度は出力値の変動からみられる水みちの様子について解析を行った。2002年の秋から冬にかけては,土層の左半分に偏った浸透が見られたが,その後,その偏りが徐々に緩和され,土層の表面から順に平均的に浸透する様子が観測された。2002年の夏から秋にかけては,例年にない小雨で,土壌が極端な乾燥状態にあった。乾燥にともなう土壌の撥水性の発現により,2002年の秋から冬にかけて浸透の不均質性が大きくなり,時間の経過と共に撥水性の影響が少なくなったものと考えられた。2003年の4月より約2ヶ月おきに,含水率計測地点付近の表層土壌から採取した土壌サンプルを用いて,撥水性の試験(WDPT試験)を行った。いずれ計測でも,現場の含水状態では大きな撥水性が観測されなかったものの,サンプルを乾燥させた後に計測した結果は,いずれも大きな撥水性を示した。このことから,表層土壌が潜在的に撥水性を持ち,土壌の乾燥に伴ってそれが発現されることが確かめられた。
著者
宮本 寛子
出版者
千葉大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

2006/2007年のシーズンまでに、IceCube検出器は計22本のストリングが建設され、2007年8月より完成時の約30%の体積でデータを取得し続けている。2007/2008年のシーズンでは、18本のストリングが完成し、昨年度の建設速度を更に凌ぐ勢いで進められた。データを解析する際、頻度の少ない高エネルギー事象を確実に取り出すため、膨大なバックグラウンドの除去が必要であるが、そのために、再構築された事象の始点と角度を用いて、その事象がIceCubeのターゲットボリューム内で起こった事象かどうかを判断するプログラムを開発し、シミュレーションデータと合わせて解析を進めた。昨年に引き続き、AMANDA-II、9ストリングIceCube(IC-9)での解析を進め、共同で論文を発表した。また、詳細に較正した光検出器(GoldenDOM)を南極へ送り出し、同様に氷中に設置されたスタンダードキャンドルである窒素レーザーからの信号のデータを合わせて、氷の特性を含めたデータの解析手法を構築すべく解析が進行中である。また、これまでに詳細な測定を行って来たPMTの較正に関する測定、解析の方法、及びデータ、系統誤差などをまとめた論文を近々発表する予定である。
著者
津田 浩司
出版者
名古屋工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、インドネシアの国家的文脈のもとでの仏教・孔子教(儒教)・道教の動向と、華人の宗教意識との関わりを明らかにすることに専念した。この目的のため、報告者は2度(平成21年8月17日~9月8日、および平成22年2月12日~3月2日)インドネシアに渡航し、実地調査を行なった。前者の期間は、主にバリ島およびジャワ島東部に点在する30あまりの寺廟(中国寺院)の実態調査を行なうとともに、寺廟を統括する全国組織の理事らにインタビューを行なった。この調査で、インドネシア国内の寺廟のあり方の地域的特性を比較することができたのみならず、「華人の伝統的宗教」と目される寺廟組織の来歴や現状を把握し、かつ近年国家公認化された孔子教との間に生じ始めている軋轢についても実地に観察し聞き取ることができた。なお、昨年度は同目的のため中・東ジャワ州の寺廟調査を行なったが、その成果は『アジア・アフリカ言語文化研究(79)』に論文として掲載された。後者の渡航期間中は、まず報告者が2002年来調査している中ジャワ北海岸の港町ルンバンに滞在し、同地の華人コミュニティの動向について最新の情報を得るよう努めた。この調査においては、近年中央レベルで顕著になりつつある華人の社会政治団体/利益団体の動きとは異なる、ローカルな論理で展開している地方レベルの現象に焦点を当てることで、当初掲げたもう1つの課題、すなわち、日常的対面関係を超え出るような「華人」としての何らかの連帯が今日のインドネシア社会において人々の実感を伴う形で成立するかを明らかにするための、重要な視点を得ることができた。日程の後半は、西カリマンタン州のポンティアナック市およびシンカワン市で元宵節の祭を観察するとともに、ジャワとは全く異なる歴史的背景を持つ華人コミュニティの実情を知ることができ、これまで主にジャワでの調査により得てきた華人コミュニティに関する知見を対象化することができた。
著者
澁澤 栄 ROY Swapan Kumar
出版者
東京農工大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は,試作中のリアルタイム土中光センサーを用いて複数ほ場における土壌分光反射スペクトルを収集し,地力推定アルゴリズムと精密な土壌マップの作成,及び作物生育・収量マップと合わせて,投入量削減・品質向上のための土壌管理モデルを提案することにある。平成15年度には,すでに収集してあるマレーシアの大規模水田における土壌マップデータと収量マップデータを用いてマネジメントユニットマップを作成し,土壌窒素マップによる収量マップ推定アルゴリズムと少数収量データより水田全体の収量マップ推定アルゴリズムを用い,新たに土壌管理に関する短期的処方箋(可変施肥)と長期的処方箋(土壌改良)を区別して提案した。カリ分布と連動したコクリーギングによる収量分布推定を行い,推定精度の若干の向上が得られた。これらの成果は,精密農法ヨーロッパ会議等で発表したほか,農業機械学会誌へ論文として投稿中である。ArcViewを基本にしたGISシステムを用意し,データベース蓄積を開始した。特に,東京農工大学付属農場の長期栽培実験畑地(クロボク土)において,リアルタイム土中光センサーで収集した土中カラー画像による画像マップデータにつき,画像テキスチャ解析を行い,化学肥料のみで管理した土壌と牛糞堆肥を用いた土壌の評価分類が可能なこと,さらには土壌有機物含量や水分分布の推定が可能なことを確認した。さらにこれらの傾向が地表面勾配と相関の高いことを見いだし,水分移動や作業管理の長期にわたる影響を受けている可能性が示唆された。以上の成果は,農業機械学会関東支部において発表したほか,学術論文として投稿準備中である。
著者
小林 碧
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

まず、先行研究に沿った行動観察による、スーパーコロニーの独立性の判定をおこなうため、「アリ個体」対「アリ個体」の攻撃性行動実験を行った。その結果、スーパーコロニーA、B,およびDの3つのスーパーコロニー間での排他的行動が確認され、独立が立証された。さらに、巣間をアリが自由に出入りできるスーパーコロニー内でも、巣仲間同士では栄養交換など協力的行動が観察されたが、非巣仲間間ではそのような協力的行動は見られなかった。アルゼンチンアリの先行研究中、スーパーコロニー内の巣仲間と非巣仲間に対する行動の差を報告した論文は1報のみで、その行動は触角で相手の身体をなでる行動であった。協力行動が見られた本研究の行動実験結果は、アリの巣仲間識別が、スーパーコロニーを形成するアルゼンチンアリにおいても行われていることを決定付けるものである。また、電子顕微鏡を用いたアルゼンチンアリの触角の観察から、sensilla basiconica様の感覚子が発見された。このsensilla basiconicaはクロオオアリ、およびエゾアカヤマアリにおいて、仲間識別感覚子として同定されている。この型の感覚子は1触角当たり約70個あることが判明した。この数はエゾアカヤマアリ(約120個、本研究から)やクロオオアリ(約180個、先行研究から)と比較すると少ないが、3種共、触角の先端部分に集中分布していた。さらに本研究では、「アリ個体」対「CHCを塗布したガラスビーズ」の行動実験を行った。巣仲間識別に用いられていると考えられるCHCを、アルゼンチンアリ100個体等量から2倍希釈した10段階の量をそれぞれ塗布したガラスビーズに接触したアリの行動観察から、CHCの量と行動変化の関係を明らかにした。その結果、アルゼンチンアリの忌避行動がCHC量に依存して変化することが明らかになった。この知見を元に大量の炭化水素を用いた新規の忌避剤の開発の可能性が認められ、特許の申請を行った。
著者
西村 成弘
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

知的財産マネジメントおよびマネジメント能力の形成・蓄積について国際比較を行うため,中国における日中国企業の技術開発,知的財産戦略,知的財産マネジメント政策と組織能力について (1)日本企業(京都・島津製作所ほか)知的財産部および知財担当者へのヒアリング (2)中国・北京市および日本における中国知的財産政策,知的財産マネジメント能力に関するヒアリング調査を通して研究を行った。中国における知的財産マネジメントに関する調査研究は,日中知財フォーラムにおいてその研究結果の一部を発表し,現在成果を論文としてまとめ刊行する作業を行っている。第二に,今日のグローバル競争下における知的財産マネジメントの発展段階を形成史的に明らかにするために,アメリカにおける初期知的財産マネジメント能力の形成に関する経営史的手法を用いた研究を行った。アメリカ合衆国セントローレンス大学を訪問し,所蔵されているオーウェン・D・ヤング文書を調査閲覧した。国際的契機を媒介とした知的財産マネジメントの形成を明らかにするに資する資料の収集ができ,目下分析を継続して行っている。第三に,現代日本における知的財産マネジメントについて,とくに研究開発の側面からアプローチする研究においても進展があった。産官学連携に代表される日本のイノベーションシステムの形成と,そこにおける知的財産権の役割を,大学における科学研究と産学連携の視点から調査し,歴史分析論文として研究をまとめ刊行したまた,最先端の技術開発現場における知的財産の役割を明らかにするために,ナノテク分野における特許データを解析した研究を取りまとめ,論文記事を刊行した。
著者
中野 敦
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

ゲームプレイヤーがモーションを自由にクリエイションできるようになるとゲームの話の展開が変化するため,その変化した展開に対してキャラクタが柔軟に対処することが求められています.そのため,基盤システムの重要な機能として,ゲームプレイヤーからの自由なタイミングでのインタラクションに対してキャラクタが人間のように知的に振る舞い,かつそれらのキャラクタの能動的な行動によって長期的な話の展開を生成する行動制御技術が必要となっていました.そこで,話の流れを保ちつつ,状況に合わせて豊富で能動的な反応を生成するために,エピソードツリーと名付けた統一的な制御構造を用いて反応行動を生成するシステムを提案しました.このシステムでは,各キャラクタが状況に合わせて断片的なエピソードを表すエピソードツリーを取捨選択していくことで,全体の話の流れを構成します.また,キャラクタが干渉された場合には,エピソードツリーに付随された中断処理を挿入し,反応行動へ移り,反応行動が終了した際には復帰処理を挟み,元の行動に復帰することでキャラクタの行動の連続性を保ちます.ユーザが自由なタイミングでアニメーションに干渉するためのインタフェースとして,「触る」,「掴む」,「オブジェクトを追加する」の3つの異なる特徴を備えたゲームコンテンツを実際に制作しました.このコンテンツ上で,これらのインタフェースを用いて,自由なタイミングで相互作用できるキャラクタアニメーションを生成できることを,インタラクティブ東京やDiva展といった複数の会場で展示し,示しました.その結果,芸術科学会論文誌で論文賞をいただくといった学術的な成果に加えて,芸術科学会展のデジタルシネマ部門で優秀賞,そして国内の優秀なコンテンツが展示されるインタラクティブ東京に推薦されるなど,展示作品としても大きな成果を得られました.
著者
BALDERMANN Susanne (2009) 渡辺 修治 (2007-2008) SUSANNE B.
出版者
静岡大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

ンモクセイにおけるβ-,α-ionone生合成・発散制御に関わるカロテノイド分解酵素・遺伝子:カロテノイド分解酵素遺伝子ofCCD1の発現レベルの明暗変動(明期に高く暗期に低い)リズムが、分解産物であるC13-ノルイソプレノイド系香気成分β-,α-iononeの明暗発散ズムと一致することを明らかにし、本酵素がβ-,α-caroteneを分解してβ-,α-iononeを生成することも明らかにすると共に香気特性の変化にも言及した(J.Expt.Botany,in press)。色調変化に伴って香気成分を生成・発散する中国バラにおけるカロテノイド,分解酵素,香気成分の変動:各開花段階にあるRosa chinensis Mutabilisの花の香気成分、カロテノイド、アントシアニン、およびカロテノイド分解酵素の消長を明らかにした。ノリの香気成分、色素とカロテノイド分解酵素:浜名湖周辺で採取した新鮮ノリからC13ノルイソプレノイド系香気成分生成に関与するカロテノイド分解酵素を生成し、その生化学的特徴、および、本酵素がβ-,α-caroteneを分解してβ-,α-iononeを生成する等の機能解析に成功した。ノリの実験室内培養系を確立し、本培養によって得られたノリのC13-ノルイソプレノイド系香気成分としてβ-,α-iononeを同定し、同時にβ-,α-caroteneを同定した。チャ花のカロテノイドおよびカロテノイド起源生理活性物質:チャ花の生殖器官よりカロテノイドおよびその分解生成物として植物ホルモンであるABAを同定すると共に、その消長を明らかにし、花弁の展開との関係を明らかにした。
著者
高津 裕通
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2000

太陽面における様々な活動現象は、太陽磁力線の繋ぎ変えをきっかけとして、磁場に蓄えられたエネルギーが開放される高温プラズマ現象であると考えられている。フレア等の質量放出現象により太陽から宇宙空間へ飛び出たプラズマは、磁気嵐を発生させることがある。磁気嵐は、電波障害を起こし、人工衛星の軌道に影響を与えることもある。また、国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士や北極圏航路を飛行する航空機乗務員の、宇宙線による被爆にも関係している。フレアの発生を予報することができれば、これらの影響を最小限に抑えることができると期待されている。このように、太陽フレア等の発生メカニズムを解明することは、純粋学問上の意義だけでなく、我々の生活にも密接に関係した意義を持っている。しかしながら、太陽活動現象の発生メカニズムは未だ解明されておらず、さらなる研究が必要とされている。太陽フレア等の活動現象は、磁場の活動によるものであるが、そもそも太陽磁場は、太陽内部の対流層で作られる。この磁場が対流層を通り、太陽表面まで浮上することで、様々な活動を引き起こすことができる。我々は、この浮上磁場領域における対流構造を研究することで、太陽活動の素過程の解明に取り組んでいる。今年度は、昨年度に引き続き、京都大学飛騨天文台のドームレス太陽望遠鏡を使い、太陽活動領域の可視光観測を実施した。観測結果は、主にDVDディスクに保存された。解析結果として浮上磁場領域における発散対流構造が得られており、成果発表の準備中である。また同時に、ドームレス太陽望遠鏡主焦点での撮像装置の改良を行った。これにより、観測精度が向上した。また、スペインのラパルマ天文台で観測された高分解画像の解析を行い、その過程で解析方法の精度向上のために必要な誤差の見積もり方法を開発した。これらの結果は、日本天文学会秋季年会で発表され、論文として投稿準備中である。
著者
杉山 卓史
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

本年度はまず、研究第一年次(平成16年度)に得られた成果である<『カリゴネー』におけるヘルダーのカント批判の意義は、カントの『判断力批判』における「超越論的」趣味論と人間学講義における「経験的」ないし「心理学的」趣味論との比較検討を促す点に存しており、趣味判断が主観的普遍性を要求するというカントの主張は、この比較検討によって捉え直されるべきである>という見解を承け、この比較検討を実践した。その結果、経験的・心理学的趣味論は人々が考えたことや感じたことを実際に伝達している「社会」という経験的な要素からトップダウン式に、そしてそれゆえ共通感覚概念によらずに趣味を規定する「社会的存在としての人間の陶冶」を意図するものであることが明らかになり、カント美学受容史に新たな理解の基軸をもたらしえた。次いで、研究第二年次に行ったヘルダーの共通感覚論の研究を、視点を変えてさらに継続した。具体的には、その音楽論におけるクラヴィーアのアナロジーに即して「五官」に「共通」の「感覚」と「人々」に「共通」の「感覚」との連関を検討した。クラヴィーアは一方でその内部に調和することもあれば不調和に終わることもあるさまざまな音を生み出す点において人間の快および不快の感情を説明し、他方、自ら音を発するのみならず外からの音に共鳴して新たな音を発しもする点において人間の共感を説明してくれる。もちろん、このアナロジーはヘルダー独自のものではなく、同時代のフランス唯物論者たちも好んで用いたものではあるが、唯物論者でないヘルダーにとってこのアナロジーは、彼がライプニッツのモナドロジーをハラーの生理学を参照しつつ批判的に摂取して形成した「有機的モナドロジー」とでも呼ぶべき独自の自然哲学の表現であった。その意味で、二種の共通感覚の連関の問題は、ヘルダーの思想の中心に位置している。
著者
松本 郁代
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

今年の実績は、(1)立命館大学21世紀COEプログラム主催×ロンドン大学SOAS日本宗教研究センター共催の国際シンポジウム「The Power of Ritual:儀礼の力-学際的視座から見た中世宗教の実践世界-」で、研究発表「入洛する神輿・神木と「神威」」を行った。(2)仏教的世界観の構築に関わった中世日本の職能民に関する研究発表として、慶応義塾大学巡礼記研究会研究集会にて「室町期京都の「霊場」と職能民-聖俗の相克をめぐって-」を発表。(3)宗教を文化史研究の対象にする際の研究手法の追究として、論文「中世日本文化研究の覚え書き-「歴史叙述」における文化の位相を中心に-」を発表。(4)立命館大学オープン・リサーチセンター主催、風俗画研究会にて、研究発表「描かれた神輿・神木-都市に対する示威イメージ-」を発表した。(1)では、中世に頻発した仏教による「神威」の発動のメカニズムを「神輿入洛」という行為に捉え、これを宗教的な一連の動き=儀礼として解釈した。これによって、中世の政治システムだけでは割り切れない「神威」の存在を史料に表された表現や絵画史料によって明らかにした。(2)は、宗教技能を持つ中世職能民を中世社会に位置づけるための研究。中世に存在した「仏教的世界観」や「宗教景観」を創ったと考えられる職能民の宗教技能を捉えながら、その歴史的位置づけを試みた。(3)は、海外の日本研究手法に鑑みながら日本文化史研究の手法を論じたもの。海外における日本研究は、歴史や文学にかかわらず、「日本学」や「アジア学」の枠組みで解釈されているため、巨視的な視点から日本を捉えることに成功しているが、視覚的なものだけを文化の対象として捉える研究手法が根強く存在しているため、一部、日本の歴史的文脈が無視されたままの偏った文化研究が流通している現状に対し、本論文では、これらの方法論を経験的に踏まえ批判を行った。