著者
清枝 希帆 前川 昌子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.165-171, 2011-03-15 (Released:2013-08-01)
参考文献数
26

We dyed cellulose and nylon films with onionskin extraction, quercetin and rutin. Then we measured their absorption spectra and compared them. We also evaluated their ultraviolet protection effect on nylon films which were dyed well. It was found that the absorption spectra of quercetin and rutin solution had absorption maxima (λmax ) at about 370, 260 and 200nm. The absorption spectrum of onionskin extraction had λmax at about 300nm, as well as at about 370, 260 and 200nm. In addition, spectrum of onionskin extraction had weak absorption at more than 410nm. It was similar to the absorption spectra of dyed nylon films. Concerning the ultraviolet protection effects, nylon films dyed with quercetin showed UPF50+ when the amount of dye uptake was more than 0.05mol/kg. On the other hand, nylon films dyed with onionskin extraction showed UPF50+ when the estimated uptake assumed as quercetin was more than 0.015mol/kg. In conclusion, nylon films dyed with onionskin extraction showed higher ultraviolet protection effects (UPF values) than those dyed with quercetin.
著者
貝沼 やす子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.775-783, 2009-09-15 (Released:2012-06-21)
参考文献数
44
被引用文献数
4
著者
渡辺 祐子 早川 潔 植野 洋志
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.999-1004, 2008 (Released:2010-07-29)
参考文献数
18

The effect on the bitterness and taste of tea was studied of fermenting non-sterilized leaves with Aspergillus. A treatment with A. oryzae reduced the levels of both epigallocatechin gallate (EGCg) and epicatechin gallate (ECg), which tend to give a strongly bitter taste, and increased the levels of epigallocatechin (EGC) and epicatechin (EC) that can be easily ingested. The treatment also increased the levels of amino acids like Glu and Asp that are responsible for the umami taste. The results suggest that fermenting leaves with A. oryzae may provide a better taste and improve the ease of absorption of tea.
著者
阿部 芳子 市川 朝子 下村 道子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.461-467, 2006 (Released:2007-10-12)
参考文献数
12
被引用文献数
5

中華麺の独特のテクスチャー発現に対する, かん水の作用を調べるために, 強力粉に1%の粉末かん水を含む45%のかん水を加えて麺を作製し, かん水を加えない水麺と比較して, 次の結果を得た.1) かん水麺と水麺では, ゆで加熱中の水分量および重量には, ほとんど差がみられなかったが, 食味評価ではかん水麺は水麺よりも硬く, 外観 (麺表面) がなめらかでないと判断された. また, 破断強度解析において, 加熱7分間まで, かん水麺は水麺より破断強度の最大荷重値が高く, 破断応力曲線の解析では破断開始値および歪率60%までの応力変化率が高かったことから表面近くが硬い麺であると判断された.2) 糊化度はかん水麺, 水麺ともに内部より外部で高値を示した. かん水麺の糊化度は外部, 内部ともに水麺より低値を示した.3) 異なるpHの緩衝液で湿麩を撹拌するとpH2からpH3, pH9からpH11でたんぱく質が溶出することが示され, また, かん水中では高い溶出率を示した麺の組織観察において, 水麺のグルテンが線状にみえるのに対し, かん水麺のグルテンは薄く広がっているのがPAS染色で確認できた.
著者
中澤 弥子 三田 コト
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.167-179, 2004-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
28
被引用文献数
2

文献調査および長野県在住の消費者を対象としたアンケート調査を行い以下の結果を得た.(1) 生イカの購入割合が最も高かったが, 塩イカ, 煮イカの購入も維持されており, 北・東信に比べ南・中信地方で多く利用されるという地域性も認められた.(2) 塩イカ, 煮イカは, 普段から日常食として用いられており, 塩イカは酢の物, 粕和えやサラダに, 煮イカは刺身や酢の物などの和え物に多く用いられていた.(3) 30歳代以上の年齢層に比べ, 20歳代以下の塩イカ, 煮イカについての購入割合や食経験, 現在の摂食状況はやや低い傾向が認められたが, 今後も食べ続けたいとする回答は20歳代以下でも8割以上と多かった.(4) 郷土料理が伝承される重要な要因として, 子どもの頃からの母親の手料理による食経験に加え, 手軽に料理できること, 今の時代に見合うおいしさであることが示された.
著者
前田 亜紀子 山崎 和彦 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.6, 2007

【目的】本研究の目的は、濡れた衣服の影響について、気温、衣服様式、水分率、作業強度の各条件を組合せ、生理・心理的観点から観察することであった。【方法】被験者は健康な成人女子11名であった。人工気候室は、気温30、25、20℃(相対湿度は80%一定)に制御された。衣服様式はスウェット上下(様式S)とTシャツ短パン(様式T)とした。以上より5種条件(30S, 30T, 25S, 25T, 20S)を設定した。衣服の濡れ条件は、D(乾燥)、W1(湿った)、W2(びしょ濡れ)の3種とし、全衣服重量の平均は、様式Sでは各々819, 1,238, 2,596g、様式Tでは各々356, 501, 759gであった。各濡れ条件において、安静期と作業期を設けた。作業期における踏み台昇降作業のエネルギ代謝率は2.7であった。測定項目は、酸素摂取量、直腸温(Tr)、平均皮膚温(Tsk)、および主観申告値とした。【結果】酸素摂取量は、衣服重量および寒冷ストレスの影響を受けて変化した。Trの値は、条件25Tと20Sでは漸減した。Tskは環境温に依存して漸減し、特に条件20Sにおいては著しく低下した。本研究の要点は次の通りである。1) 濡れた衣服を着用した場合、気温30℃では着衣の工夫により温熱ストレスは最小に止めることができる。2) 気温25℃以下では、軽装の場合、寒冷ストレスが生じ得る。3) 衣類が乾燥状態であれ濡れた状態であれ、全身温冷感が中立であるとき、Tskは約33℃であった。4)濡れた衣服条件における特色は、全身温冷感が「冷たい」側へシフトするとき、平均皮膚温が著しく低下することである。
著者
平田 未来
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.118-128, 2014 (Released:2015-01-01)
参考文献数
46

In the beginning of the twentieth century, the suffragettes campaigned strongly. Previous studies at home and abroad have focused on the campaign's political aspects of the history of feminism, gender and politics. However, few studies have adequately discussed the role of clothing in the suffragette movement. In this article, I will examine the details and the meaning of clothing during the movement. The main source is the Votes for Women which was published by the Women's Social and Political Union. As a result, it can be concluded that items such as banners and badges decorated with symbol colours had a role in developing a collective vision among the suffragettes and supporting the aim of achieving women's causes.
著者
杉山 一弥
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.283-292, 2007 (Released:2010-07-29)
参考文献数
11

Kamakura-nenchuu-gyouji is a description of the clothing in various classes of samurai in East Japan. The clothes and accessories were different for each class. They were required by Kamakura-kubou to dress in different colors, shapes, and materials. This applied to every event and ceremony. There were also differences in vehicles. Mon, weaved into clothes, was also very important, because Mon was an expression of the Japanese sense of beauty. The giving a way of clothes after wearing them was also very important in the Muromachi period. The rules of clothing applied not only to daily clothing but also to armaments. Clothing always symbolized the classes and formality. In East Japan in the Muromachi period, the clothing of samurai were determined not by the scale of one's power but by the status of the Kamakura-Fu.
著者
山崎 吉郎
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.93-97, 1987-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
9
被引用文献数
2

納豆はその呈味において, 独特の苦味を有している.その苦味は, 納豆菌の作用によって生ずる, 大豆タンパク分解生成物のペプチドであることが明らかにされているが, 納豆中の苦味ペプチドの構造がどのようなものであるかを追究するため, 納豆よりn-ブタノール抽出した試料について苦味ペプチドを分析した.セファデックスG-25カラムによるゲルろ過でFr.1~3の3画分を得たが, そのうちFr.1に強い苦味が認められた.さらにFr.1成分をCM-セファデックスでFr.a, b, cの3画分に分画したところ, Fr.bに最も強い苦味を認めた.Fr.aは弱い苦味, Fr.cはアミノ酸様のうま味を有していた.Fr.bより高圧ろ紙電気泳動によって純粋なペプチドを得, 塩酸加水分解後のアミノ酸分析の結果, 苦味ペプチドのアミノ酸組成は, アスパラギン酸 : スレオニン : グルタミン酸 : アラニン : プロリン : バリン : イソロイシン : ロイシン=1 : 1 : 1 : 1 : 2 : 3 : 3 : 5であることがわかった.またN末端アミノ酸はDNP法によってロイシンであり, C末端の構造はカルボキシペプチダーゼA法によって-Ala-Val-Ile-Leuであることがわかった.
著者
北川 ケイ
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.783-799, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
188

江藤春代は, 1924年に編物記号である「合理的符号」を考案した編物講師である. 明治期~昭和期に渡る彼女の人生は, 明治維新後の秩禄処分, 日露戦争, 第一次世界大戦, 関東大震災, 日中戦争, 第二次世界大戦と幾度となく政策の変更と戦争や災害に見舞われた. 家族, 特に男手を失う環境が常にあった. 彼女は, 編物で自立 (精神的な自立も含む) すること, 家族の為に編むことに焦点を合わせて正しい編物技術の普及活動を多種多様に行った. 災害や戦争後の復興時における経験を活かした江藤春代の編物普及活動に着目して変遷にまとめた. 江藤春代の編物普及活動を辿ることによって見えてきたことは, 日本女性が生業としての副業を願い, 家庭の平和を願い, 生きる為に編物技術を取得し内職を得ようとしていたことがわかる. 正しい編物技術を身に着ければ, 災害戦争の影響下にある毛糸, 綿糸等様々な糸を使いこなすことが可能になり, 生計を助ける手立てになったのである. 編物は, 欧米では, 教養としての技術であったが, 日本にとっては生きる為の技術であったのである.
著者
駒津 順子 大矢 勝
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.197-205, 2021 (Released:2021-05-07)
参考文献数
8

「洗浄における酸・塩基中和説」とは, ①汚れは酸性汚れとアルカリ性汚れに分類できる, ②酸性汚れとアルカリ性汚れは各々アルカリと酸で中和して除去できる, とする説である. その説は日本の消費者の中で広まっているが, 科学的な誤りが含まれている. そこで本研究では関連情報をインターネット上から収集して分析し, 誤情報が生まれて拡散していく過程を調べた. その結果, 酸性汚れ・アルカリ性汚れに分類する方法に問題のあること, 過度の酸性化やアルカリ化を中和と表現するなどの問題が確認できた. その情報が広まった原因は, もともと中和に関して種々の定義が存在していたことと, 酸・塩基に関連する用語を厳密に理解するのが難しいことである. 日本語の用語としての酸と酸化が混同しやすいことも関与している. 酸とアルカリの中和という表現は, 単純で分かりやすいため多くの人に受け入れられたのであろう.
著者
好田 由佳
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.783-794, 2010-12-15 (Released:2013-07-16)
参考文献数
61

The purpose of this study is to explore the transfiguration of the image of girls' bodies in the late Victorian era through fashion expression. The material I have used for conducting this research is The Girl's Own Paper, The Graphic, The Queen, and The Science of Dress from the 1880s. An important point to emphasize is the fact that imperialism and the progress of medical science of the late Victorian era affected the transfiguration of body image. First, it was clear that the influence of imperialism on girls' health was important. For promoting health, we could understand the necessity of fresh air, free time and rest, cleanliness, proper exercise, and hygienic principles of dress. Second, the rise of outdoor recreation led to changes in dress; for example, the apron for lawn tennis and the hygienic corset. Third, hygienic dress for girls was discussed in magazines, newspapers, and books in the late Victorian period. In conclusion, the body' image of girls greatly changed in the late Victorian period.
著者
越智 佳世 桂 禎邦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.158, 2010 (Released:2010-10-15)

目的 近年、アレルギー疾患者が増加傾向にあり,ハウスダスト中に含まれているアレルゲン除去等の室内環境の整備の重要性が謳われている.そこで家庭のホコリの組成とホコリの中に含まれているカビ数・菌数・ダニ数・ダニアレルゲン量を測定し,室内塵中の成分分析を行った. 方法 一般家庭12家庭で一週間使用した掃除機の紙パックを回収し,そのホコリを分析,粗ごみと微細粒子に分類し粗ごみは繊維・土砂・食物・毛髪・紙片・その他に分類,1180μm以下のダストを微細粒子として強熱後,灰分(土砂)と燃焼分(繊維)に分類した.また,600μm以下のダストを用いてダニの同定と頭数測定を行い,300μm以下のダストを用いてダニアレルゲンをELISA法にて測定した.カビ数はポテトデキロース寒天培地で28℃48時間培養後測定.一般細菌数は標準寒天培地で37℃24時間培養後測定を行った.結果 1.一般家庭のホコリ成分は繊維(綿ボコリ)56.2%,土砂ボコリ27.5%,食物3.53%,毛髪3.02%,紙片1.71%,その他8.04%で、繊維(綿ボコリ)が半数を占め土砂ボコリは3割弱という結果であった.2.ダスト1g中に含まれるカビ数・菌数・ダニ数は各家庭によるバラツキが大きい.これは床材の差によるものと推測され,カーペットを敷いている家庭がダニ数やダニアレルゲン値が高い傾向にある.3.3月,6月,10月度測定を行ったが10月度測定がカビ数・菌数・ダニ数の数値がもっとも高い.昨今は気密性の高い住宅が増えていることと,10月になっても気温が高い日が多いという環境がダニやカビの繁殖時期を延ばしているのではないかと推測される.
著者
早川 文代
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.69-72, 2009 (Released:2011-05-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2
著者
河東 ちひろ 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.305, 2007 (Released:2008-02-26)

[目的]炊飯途中の加熱中断や保温キーによる炊飯などにより「めっこ飯」といわれる炊き損じ飯が生じ、再炊飯しても通常の飯にならず食味が低下することが知られている。本研究ではめっこ飯の生成条件を明らかにし、そのメカニズムを解明することを目的とした。[方法]試料米は日本晴とした。90%とうせい米に加水比1.4で加水し、20℃で1h浸漬後、恒温水槽で浸漬処理(1~12h、20~90℃)した浸漬米とこれを炊飯した浸漬炊飯米について水分含量、外観観察(写真)、テクスチャーアナライザーによる米粒表層および全体の物性測定を行った。エタノール・アセトンで調製した脱水粉末試料を用いて糊化度(BAP法)、糊化特性(DSC)、FT-IR,1HNMR測定およびX線回折による結晶構造の比較を行った。浸漬米についてMRIにより吸水状態およびヨウ化カリウム染色後のでんぷんを観察した。浸漬炊飯米を50%エタノールで抽出した飯抽出液の全糖(フェノール硫酸法)、還元糖(ソモギネルソン法)を測定した。[結果]20℃1h浸漬のみの通常の飯に比べて65℃浸漬米は硬くなり、65,75,90℃の粘りは有意に低下し、いわゆるめっこ飯は65℃4hで明瞭にみられた。65、75、90℃で各4h浸漬した米の糊化度は25,83,93%であり、DSC測定では65℃浸漬米にのみ20℃浸漬より数℃高温側に糊化ピークがみられた。DSC,X線回折、NMR,MRI等の観察より、65浸漬米が硬いのは糊化不十分が関与し、65,75,90℃浸漬炊飯米の粘り低下には糊化度以外の原因が示唆された。飯抽出液分析から65℃浸漬処理ではデンプンの低分子化、75,90℃では浸漬液が米粒に吸収され、糖の溶出が起こらないことがそれぞれの浸漬炊飯米の粘り低下の原因と考えられた。
著者
城田 直子 島村 綾 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的 </b>慢性腎不全患者の食事管理では,低たんぱく米が利用されている.長期に食べるには,飯のにおいや味が重要である.市販の炊飯用低たんぱく米は,加熱方法や保存条件,喫食までの時間などを推奨している.本研究では,この低たんぱく米の保存条件をにおいの面より検討した.<br><b>方法 </b>冷凍保存を推奨している炊飯用低たんぱく米4種を用いた.開封直後または冷凍保存後,推奨されていない冷蔵で2週間保存した米を炊飯した.それを電気炊飯器で炊飯し,炊き上がり直後および室温放置30分した飯のにおいについて,ポータブル型ニオイセンサ(新コスモス電機株式会社)でにおいの強さを,におい識別装置(株式会社島津製作所FF-2A)でにおい成分を測定した.<br><b>結果 </b>一般の炊飯米のにおいでは,炊き上がり後のにおいが弱く,室温放置30分後のにおいが強くなった.これに対し,低たんぱく炊飯米では,室温放置でにおいは弱くなった.それらを冷蔵保存した炊飯米のにおいのピークレベル値は,1試料を除きさらに低い値を示した.保存条件によって,低たんぱく米のにおいは変化した.<br><b>考察 </b>低たんぱく米では,有機酸以外にトリメチルアミンや酢酸ブチルが検出された<sup>1)</sup>.冷蔵保存により,これらが変化した可能性がある.有機酸の臭気寄与が減少したのなら,飯臭が消えたことになり,別なにおいが増加した可能性がある.<br>1)城田ら:日本臨床栄養学会・協会総会第12回連合大会発表,10月(2014年).
著者
宇都宮 由佳
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.62, pp.193, 2010

<b>目的:</b>ポルトガルは,16世紀の大航海時代に香辛料を求めアジアへ進出してきた.その際にもたらされたポルトガルの菓子が今日でも各地域に残っている.筆者は,これまで日本,タイ,マカオ,マラッカ等で,どのようなポルトガル菓子が伝来し,現地の菓子にどのような影響を与えたのか,また,現在ポルトガル由来菓子は各地域でどのような発展を,あるいは消失したのかについて調査研究をしてきた.本研究では,16世紀から20世紀半ばまでポルトガル領であったインドのゴアに着目し,他の地域と比較しつつ分析をする.<br> <b>方法:</b>2005年~2009年12月,継続的に各地域の国立図書館,博物館,教会等で資料・文献調査をおこない,現地の菓子工房,ポルトガル系の家庭でヒヤリング調査を実施した.<br><b>結果と考察:</b> ゴアは,インド南西部に位置した米食が主体の地域である.交易のみならずアジアへのキリスト教布教の拠点でもあり,フランシスコ・ザビエルもゴアから日本へ出航した.現在でもポルトガル系の子孫が居住しており,3割がキリスト教信者である.ポルトガル菓子は,教会で発達し布教手段の一つとして伝えられている.そのためゴアは,東アジア地域とは異なり,ポルトガル由来の菓子の種類も多く,名称も本国と同一のものもあった.特に,これまで着目してきた「Fios de ovos(鶏卵素麺)」は,Letriaとも呼ばれているが,ポルトガルと作り方,用いられ方がほぼ同じであった.ただし,ポルトガルのように小麦で作った菓子の上にのせるではなく,ライスの上にのせるという違いがある.ポルトガル系キリスト教徒の家庭でクリスマスや結婚式の際に作られ,母から娘へ受け継がれていた.