著者
深山覚 後藤真孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.14, pp.1-7, 2014-08-18

ダンスと音楽が連動したデータから機械学習を行い、新しく入力する楽曲に対して 3 次元コンピュータグラフィックスのキャラクタのダンスを自動生成できる手法 MachineDancing を提案する。従来、ダンスの断片を準備しそれを確率モデルなどを用いて音楽に合わせて接続することでダンス自動生成が実現されてきた。しかしダンスの断片を切り貼りするのみで、ダンス動作自体の学習・生成手法とはなっておらず、生成結果のバリエーションに限界があった。本研究ではダンス動作の確率モデルとしてガウシアンプロセス (GP) を用い、ダンスと音楽の対応関係のみでなく、ダンス動作自体をも学習することで、新たな動作を楽曲に連動して自動生成できる手法を提案する。
著者
平田 圭二 東条 敏 浜中 雅俊 松原 正樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.20, pp.1-8, 2014-08-18

本発表では,現在我々が進めている計算論的音楽理論に関するプロジェクトについて述べる.我々が提案する計算機の存在を前提とした音楽の意味論とその意味論に基づいて構築された音楽に対する代数的な計算体系について,ゴール,設計思想を議論し,これまでの研究成果を紹介し,今後の課題や展望を述べる.
著者
當山 日出夫 笹原 宏之 高田 智和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.9, pp.1-8, 2007-01-27
被引用文献数
4

日本語の表記において、文字にも方言のような地理的な差違が発見できる。例えば、北海道の「蛯」や、京都・博多。広島の「祇園」などである。これらの研究事例をもとに、他の文字。表記についても、地理的差違の有無について調査する必要がある。このとき、不可欠となるのがGPSである。本発表においては、文字の地理的差違についての研究とGPSの問題点を考察する。When investigating about the use of the character, there is difference among regions in Japan-domestic. There is difference among regions in" GION" and" EBI". Based on these cases, we study about the other character. For its purpose, using the GPS, the investigation spot must be specified. In this releasing, a character research and the problem of the use of the GPS are described.
著者
近藤博人 松本 隆一 柴山 守 山田 奨治 荒木 義彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.6, pp.1-8, 2003-01-24
被引用文献数
8

古文書画像を対象にした翻刻支援システムの構築を行っている。本稿では、文字認識の対象となる標題画像の射影ヒストグラムから推定した探索範囲に対して、文字パターン辞書から取り出した文字パターンを探索範囲内の最大文字幅で正規化しテンプレートとしてマッチングを行う、切り出しを前提としない認識手法について述べる。本手法を用いた実験では、近世の借金等証文類を中心にした『伏見屋善兵衛文書』(約1 900点、大阪市立大学所蔵)から200標題(及び、辞書に存在しない文字、又はサンプル数の少ない文字が含まれる標題を除く151標題)を対象として認識実験を行い、翻刻結果とする候補文字の抽出を行った。結果は、認識後の候補文字の抽出における認識率は、59.5%(69.7%)の結果であった。そこで設定に失敗した探索範囲を分析し、文字パターン辞書に含まれる特異な形状をもつ文字種に対する正規化、および先頭文字における適切な探索範囲を再設定する改良によって、候補文字の抽出においては70.4%(83.1%)の結果が得られた。We have developed a transliteration assisting system which recognizes the character in the document written by calligraphic brush in the historical materials.This paper describes new recognizing scheme which tries to recognize the character without segmentation in the search area estimated from the projection histogram in a title image. A template image, which is a character pattern image extracted from the character pattern dictionary, before template-matching is normalized to be adjusted to a width of character pattern in the searching area after extracting from the dictionary. In an experiment for recognizing 200 titles(151 titles for eliminating them with few character patterns in the dictionary) in the Fushimiya Document, the recognizing rate was 59.5%(69.7%). Furthermore, in the experiment by improving the appropriate normalization for some characters with special shape, and the connection for joining divided searching areas at first character in title image, the result of the recognizing rate was 70.4%(83.1%).
著者
藤田 米春 徃住彰文 小方 孝 太田究三郎 赤星 哲也 森田 均
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.5, pp.45-52, 1999-01-22

本報告では、日本認知科学会の中に設立した研究分科会「文学と認知・コンピュータ」の設立趣旨、研究分野、研究手法、設立までの経緯・活動等について述べ、今後の展望と「人文科学とコンピュータ」研究会の新しい展開への期待を述べる。In this report, we describe prospect, research areas, research methods and activity of the special interest group "Literature in Cognition and Computer" and mention an expectation of new development of the SIG:Computer and Humanity.
著者
前田 敦司 遠藤 匠 山口 喜教
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.83-83, 2004-05-15

マークスイープアルゴリズムに基づくインクリメンタルガーベジコレクタは,停止時間をごく短時間に抑えることが可能であるが,効率が悪く,CPU時間が増加する.この性能低下の原因は,一括型GCと比較してマークする時期が早いことに起因するmark/cons比の悪化,GCルーチンを呼び出す回数の増加,write barrierのオーバヘッドなどによる.一方,世代別ガーベジコレクタは高いCPU効率が得られ,また平均の停止時間は比較的短いため良いレスポンスが得られるが,旧世代領域のGC( メジャーコレクション)の際には長い時間にわたって計算処理が停止してしまい,リアルタイム応用には適さない.本発表では,世代別GCがある意味でインクリメンタルGCの一種と見なせることを指摘する.この観察に基づき,新世代領域のGC(マイナーコレクション)のたびに,インクリメンタルに旧世代領域のガーベジコレクションを行う新しいGCアルゴリズムを提案する.インクリメンタル化のために必要となるライトバリアは,世代別ガーベジコレクタの実装にいずれにせよ必要なライトバリアと同じ仕組みを利用する.このアルゴリズムは,通常の世代別ガーベジコレクタに近い効率を保ちながら,停止時間を短く保ち,ガーベジコレクタのリアルタイム性を向上させることができる.Incremental garbage collectors based on mark-sweep algorithms can minimize the pause time caused by garbage collection at the expense of increased CPU time. The main reasons for this performance degradation include: (1) mark/cons ratio gets worse in incremental collectors because objects are marked earlier than in non-incremental counterparts, (2) increase in number of calls to collector routine and (3) write barrier overhead. Generational collectors, on the other hand, can achieve high efficiency and relatively short average pause time, while occasional long pause for collection of old generation space (major collection) makes these collectors unsuitable for real-time applications. In this presentation we point out that certain class of generational collectors can be viewed as a special case of incremental garbage collection. Based on this observation, we propose a new GC algorithm which incrementally reclaims old generation space every time a minor collection is performed. Write barrier for generational collector is also used for incremental collection. With this algorithm, we can improve real-time response of garbage collector by keeping pause time short, with little overhead added to ordinary generational collectors.
著者
堀野 あゆみ 時井 真紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.6, pp.1-3, 2014-07-26

妖怪は日本人に親しみがある存在である.その妖怪を取り巻く背景として,歴史,地理,風習,宗教観等を学ぶことで,日本の文化を知り,異文化理解に貢献できるのではないかと考えた.そこで,情報学の観点から,「日本の文化を新しい形で発信する」 ことを目的に拡張現実感 (Augmented Reality: AR) 技術を用いた複数人で学ぶシステムを提案する.妖怪を案内人として,日本を旅するシステムを通して,学校教育で学んだ知識を体系立てて学び直し,日本の文化への興味関心を促進させる.Japanese have been familiar with Yo-Kai. There are some researches about Yo-kai in historiography, geography, folklore and so on. We think that learning about Yo-kai helps to understand Japanese culture, leading to the cross-cultural understanding. From the point of view of Informatics, we suggest the system using Augmented Reality (AR) to learn Japanese culture by a small group. In the system users travel around Japan as they pursuit Yo-Kai. They relearn the knowledge that they have already studied at school from the various aspects, which, we expect, makes them interested in Japanese culture.
著者
常川 真央 小野 永貴 安西 慧 矢ヶ部光
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.34, pp.1-6, 2008-03-28

本研究では利用者同士のコミュニケーション促進を目的とした図書館システム Shizuku の開発を行った。現在の図書館は、情報提供機関であることを越えて知識創出を支援する機関となることを求められつつある。知識創出を目指すためには、コミュニティの形成が欠かせない。そこで、本システムでは図書館利用者のコミュニティ形成を支援する機能の実装を目指した。具体的には貸出履歴情報を活用し、仮想本棚や仮想図書カードによる交流機能を実装した。We developed the library system 'Shizuku' accelerating better communications between users. Libraries are expected to be fields of knowledge creation. But now, library systems are developed mainly for assisting librarians' works. In order to fill the library's role as a knowledge creation field, it is necessary to organize users' communities in the system. We developed two functions that create user communities; 1) the virtual bookshelf, 2) the virtual library card with circulation record.
著者
白子 準 吉田 宗弘 押山 直人 和田 康孝 中野 浩史 鹿野 裕明 木村 啓二 笠原 博徳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.147-158, 2006-09-15
参考文献数
27
被引用文献数
11

半導体集積度の向上にともなう消費電力の増大,集積トランジスタ数の増化に対する処理性能向上の鈍化に対処するため,チップ上に複数のプロセッサを集積するマルチコアアーキテクチャ(チップマルチプロセッサ)が大きな注目を集めている.このようなマルチコアアーキテクチャの能力を最大限に引き出し,高実効性能・低消費電力を達成するためには,プログラムの適切な並列化に加えチップ上のリソースのきめ細かな電圧・動作周波数制御を実現するコンパイラが必要不可欠である.本論文では,各プロセッサコアが等価であるOSCARタイプのマルチコアプロセッサにおいて,各プロセッサの電源のON/OFF・周波数電圧制御(FV制御)をマルチグレイン並列化環境下でコンパイラが適切に判断し低消費電力化を行うコンパイル手法を提案する.提案手法を実装したOSCARコンパイラにより,科学技術計算とマルチメディアアプリケーションに対する評価を行った結果,SPEC CFP95 appluにおいて4プロセッサ使用時に最小実行時間を維持したまま60.7%の消費エネルギー削減,MPEG2エンコーダにおいて4プロセッサ使用時にデッドライン制約を保証したまま82.7%の消費エネルギー削減が達成された.A chip multiprocessor architecture has attracted much attention to achieve high effective performance and to save the power consumption, with the increase of transistors integrated onto a chip. To this end, the compiler is required not only to parallelize program effectively, but also to control the volatage and clock frequency of computing resources carefully. This paper proposes a power saving compiling scheme with the multigrain parallel processing environment that controls Voltage/Frequency and power supply of each core on the multiprocessor. In the evaluation, OSCAR compiler with the proposed scheme achieves 60.7 percent energy savings for SPEC CFP95 applu using 4 processors without performance degradation, and 82.7 percent energy savings for MPEG2 encoder using 4 processors added deadline constraint.
著者
洲崎 誠一 松本 勉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.2381-2393, 2002-08-15
参考文献数
18
被引用文献数
17

インターネットのビジネス利用が進むなかで,電子署名技術の重要性が高まっている.電子署名技術は,あるエンティティの電子署名を生成できるのが署名生成鍵を知っている本人だけであるという仮定に基づいている.しかし,署名生成鍵の物理的な盗難や暗号解読技術の進展などといったさまざまな要因によってこのような仮定が成り立たなくなる恐れもある(我々はこれを暗号ブレイクと呼ぶ).そのような環境下では,不正者は他エンティティの電子署名を容易に偽造することが可能となるため,電子署名技術に期待される相手確認機能や改ざん検知機能が適正に働かなくなってしまう.このような課題に対し,従来よりいくつかの対策技術が提案されているが,それらは我々が想定する暗号ブレイクのすべてをカバーするものではない.そこで,我々は,暗号ブレイクに対処可能な「電子署名アリバイ実現機構」を提案する.本電子署名アリバイ実現機構を利用することにより,各エンティティは,自分が生成した覚えのない電子署名付きメッセージを提示された場合においても,当該電子署名付きメッセージを生成していないこと,すなわち「電子署名アリバイ」を調停者などに証明することができる.本稿では,電子署名アリバイ実現機構の基本的な考え方を示すとともに,その証拠性を高めるために我々が採用した「ヒステリシス署名」と「履歴交差」と呼ぶ2つのコンセプト,ならびにその具体的な実現例について述べる.Recently, there is a remarkable tendency oriented toward using electronic signature technology for business. In the electronic signature technology, it is assumed that only the person in question can use a private key of each entity. However, such assumption might not consist of various factors such as the theft of a private key and the progress of various technologies. In such a situation, the attacker can easily forge an electronic signature of another entity. Then, we propose ``Alibi establishment mechanism for electronic signatures''. We can distinguish valid signature and forged one with the signature log file, which is stored safely in a tamper resistant module. We also propose two technologies, ``Hysteresis signature'' and ``Signature history intercrossing'' to be strengthened the evidence of the signature log file.
著者
松田 秀雄 宮腰 隆
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.560-569, 1992-04-15
被引用文献数
1

論理式を分離加法形式で表現すると 一般の加法形式に比べ項の数が増えるが 式に含まれる最小項の数が算出できるので トートロジィや論理式同士の包含関係の判定が容易となり また 文理値表濃度対関数の諸性質を調べるのに好都合であるほかにも 項の分離性を使ったPLAの検査容易化設計法への応用なども考えられ 重要な表現形式である本論文では分離加法形式を求める一手法(MA法と略)を提案し はじめに他の木形アルゴリズムであるCHANの方法(DT法)および笹尾の方法(SAS法)と比較している最小項で生成した二値入カニ値関数(12変数)の場合 DT法によって求めた分離加法形式の項数を基準にして SAS法で求めた結果では18%も増加し MA法では12%も項数の少ない分離加法形式が得られるMA法ではこのように精度が良い反面 SAS法 DT法に比べ数倍計算時間がかかるしかし これは関数の項数が多いからであって 数百個以下に限定するなら 多変数で MA法のほうがDT法より早くなるこの点に注目すると DT法 SAS法とMA法とを組み合わせて 計算速度をあまり落とさずに 精度を高める手法が考えられる次にこれらのDT-MA法 SAS-MA法の検討結果が与えられるさらに 四値入力二値関数のいくつかの計算例で 特に DT-MA法が多変数のとき 精度 計算時間両面からみて 優れていることを示す相当多変数の関数の真理値表濃度も計算できることが併せて示してある
著者
井出 明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.4, pp.1-6, 2014-05-24

近年,観光学における新しい旅の形態として "ダークツーリズム" が注目を集めている.ダークツーリズムは,レジャーや娯楽といったこれまでの観光から一線を画し,旅の目的を地域の悲しみの承継や死者への追悼に求めるものであるが,こうした旅を享受するにあたって,ICT が大きな役割を果たすのではないかと期待されている.本報告では具体的な事例を交えて,ダークツーリズムと呼ばれる観光学の先端領域を ICT の観点から捉え直す.Recently, "Dark Tourism," a relatively new concept in tourism studies, is becoming increasingly popular. Unlike traditional tourism, dark tourism can hardly be considered a leisure activity or hobby. The main purpose of dark tourism is to succeed to local grief or mourning for the dead. ICT is expected to play a big role in enabling people to enjoy this kind of tourism. This study aims to reconsider dark tourism, an important area in tourism studies, in terms of ICT, taking actual cases into account.
著者
大場 みち子 遠城 秀和 村垣委久夫 松山 憲和 葛坂 将人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.79, pp.41-47, 2004-07-30
被引用文献数
5

旅行業界では,旅行業者,交通機関,宿泊施設などの間で行われる各種取引情報について電子化し共通化を図ることが望まれており,日本旅行業協会とXMLコンソーシアムでは旅行業界電子商取引向けXML,TravelXMLの標準化を進めている。今回,XMLコンソーシアムではこのTravelXMLとWebサービス技術を利用した旅行パッケージ商品に関する企業間電子商取引システムの新たなビジネスモデルを考察し,その実証実験を実施した.本報告では,今回の実証実験により得られた新たなモデルの有効性を示す.In the travel industry, a computerized standardization of the information exchanged between travel agents, transportation systems, and accommodation facilities, etc. is desired consequently the standardization of the XML formats for the travel industry electronic commerce, TravelXML, is currently underway continued developing by the Japan Association of Travel Agents and the XML consortium. And this time, a new business model for travel industry was proposed and experimented by the XML consortium, using TravelXML and Web Services. In this paper, we show the effect of the new model obtained by our experiment.
著者
金谷 裕幸 小林 智也 千葉 慶人 伊藤 直樹 西本 一志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.32, pp.85-90, 2007-03-22

本稿では、コミュニティメンバーの登下校時の様子と、登校したメンバーが考えた思いやりのある「おはようメッセージ」を、起床時に携帯電話を通じて伝えることにより、起床時の意欲の向上と、定期的な外部との繋がりを維持して、不登校や引きこもりを予防することを目的とした、相互扶助型目覚まし時計「モーニング・コミュニティ」について述べる。実験の結果、以前と比較して、外に出掛けたくなったり、気持ちが前向きになったり、メンバーに対し親しみが増す効果が確認された。また、メッセージが会話のきっかけや話題になるという、対面コミュニケーション活性化の効果が見られた。This paper describes a mutual-assistance based wake-up call system named "Morning Community," which shows users their colleagues' presence and caring "morning messages" from them on the mobile phones at the time to wake up. Purposes of this system are to strengthen motivation for wake-up and to prevent the users from "refusal to go to school" and "social withdrawal" by keeping up emotional connection routinely. As a result of the pilot study using this system, some subjects said that the system enabled them to go out more frequently than before, made them positive, and let them feel more friendship for the members. Additionally, the "morning messages" could become triggers of face-to-face conversations, and could revitalize the face-to-face communications.
著者
下平 丕作士
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.2046-2053, 1994-10-15
被引用文献数
5

誤差逆伝播法は、多層前向きニューラルネットワークの学習に広く用いられている。しかし、誤差逆伝播法については、解が収束するのに要する時間が長く、解が収束しない場合があるという学習性能上の問題点がある。誤差逆伝播法の学習性能は重みの初期値に敏感であり、適切な重みの初期値を設定することにより、学習性能を向上させることができる。本諭文では、ノードにおける惰報伝達機溝を表す式に基づいて、適切な大きさの重みの初期値を設定する薪しい方法(OIVS法:Optimal Initial Value Setting Method)を提案している。数値実験によると、OIVS法は従来法にくらべて、解が安定して得られ、収束するのに要する反復回数が少なく、学習性能が著しく優れていることが分かった。たとえば、ランダム写像問題については、それぞれの方法で最も良い学習性能が得られた場含を比較すると、OIVS法は従来法に比べて、解が収束するのに要した反復回数の平均値は0.26借、標準偏差は0.039倍となっている。OIVS法の特徴は、問題(入力次元数)に応じて適切な大きさの重みの初期値を設定できること、アルゴリズムがきわめて簡単であること、ノードごとに局所的な計算で設定できることである。
著者
奥野 拓 高橋 正輝 山田 亜美 川嶋 稔夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.3, pp.1-7, 2014-03-22

本研究は様々な形式でデジタル化され散在する地域の歴史資料を LOD 化し,関連付けることにより統合利用を可能とすることを目的とする.本報告では,函館地域の例として,絵葉書の画像アーカイブ,地域史年表,歴史上の人物紹介をそれぞれ RDF データセット化した事例を取り上げる.また,それらを関連付けた統合利用例として,「エピソードでつながる函館歴史写真」 と 「函館ゆかりの人物スポット」 を示す.Regional of historical records are digitized and on public via the Internet. This study aims at enabling integrated application of them by making LOD of them and link with each other. This report focuses on an activity in Hakodate, making RDF datasets of the archives of picture postcards, the chronology of city history, and the biography of famous historical persons. As examples of integrated applications, "The Historical Photographs of Hakodate Linked by Episodes" and "The Spots Associated with Persons of Hakodate" are shown.
著者
小林 巌生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.458-463, 2014-04-15

文化機関の社会的な役割として,歴史文化遺産の収集,研究,保存,公開があるが,こうした役割を果たすためにディジタルアーカイブが発展してきた.近年,ウェブ技術の発展や社会的価値観の変化などから,ディジタルアーカイブのあり方にも変化が起きている.ディジタルアーカイブのオープンデータ化が進められ,芸術文化データの国際交流が進んでいる.FlickrやWikipediaなど既存ウェブサービスを活用したアウトリーチの拡大を狙った仕掛けや,市民とのコラボレーションによってアーカイブを充実させる取り組みなど,文化機関によって実践されている文化機関自身が広く社会に向けて開いて行っている現状を解説する.
著者
黒住 祥祐
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.2482-2488, 1993-12-15
被引用文献数
2

多数の点が与えられるとき、それらを曲線で近似する方法にミニマックス近似がある。ミニマックス近似は点から曲線までの距離の最大値を最小にする近似である。距離にはY軸方向の距離と点から曲線までの垂線長(ユークリッド距離)がある。任意の関数が与えられたとき、多項式によりY軸方向の距離のミニマックス近似を行う方法に最良近似がある。まず、最良近似の定義と解法について説明する。次に与えられた点と任意の曲線とのユークリッド距離によるミニマックス曲線近似を定義する。線分と円のミニマックス近似では、すでに解法があり、それらの成果からミニマックス近似の幾つかの性質について説明する。ミニマックス近似を任意の曲線に拡張するために、特性点と特性曲線を導入し特性法とよぷアルゴリズムを提案する。特性法は7個のパラメータをもつ曲線に対し、距離の大きい順にr+1個の特性点を選び、特性点からの距離を小さくかつ等しくする数値計算法である。さらに、本方式の収束条件や処理時間について検討し、実際の計算例を示す。最後に、問題点や改良点を述べ、本方式の有用性について言及する。
著者
高岡 明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.118, pp.15-20, 2000-12-16

現在までに書かれたピッチ・クラス集合論に基づく楽曲分析プログラムは、そのほとんどがT_n/T_nI typeの導出に機能が限定されている。"Dubiel″は、より多くの機能を持つ分析プログラムである。楽曲分析においてピッチ・クラス集合の特定を自動化するためには、pc-setの分割基準が明確でなければならない。ピッチ・クラス集合論は、ピッチ集合の抽象化によって、記述の一般性に優れるが、それ自体は分割の基準を提供することはできない。無調音楽におけるpc-setの分割に際しては、Butlerの"Intervallic Rivalry Model"が有効であると思われる。Butlerのモデルに基づき、pc-setの分割を自動化するメッソドをDubielに実装した。Most computer programs for pitch-class-set analysis which have appeared to date are limited to finding the T_n/T_nI type of a given pc-set. By contrast, "DUBIEL,″written in Java, is currently the most feature-rich application for pc-set analysis. Although the implementation of most classes and methods is rather straightforward, that of the method of identifying pc-sets in a composition involves the thorny issue of segmentation in atonal theory. An automated segmentation of pc-sets seems possible by means of Butler's "Intervallic Rivalry Model" A method based on the model is implemented in Dubiel so that it can perform automated Segmentation of pc-sets.