著者
山本 愛佑子 渡辺 裕
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.6, pp.1-2, 2014-02-14

HTML5 では,ビットマップ形式のデータを扱う Canvas,ベクター形式のデータを扱う Inline SVG がサポートされ,JavaScript ベースで HTML 内に図形や画像を直接記述できる.しかし,Flash,Java などのプラグインを使用した場合と比べ,描画パフォーマンスが劣るという問題点がある.本研究では,Canvas および SVG における従来の描画パフォーマンス高速化手法の比較を行った.さらに,描画する要素に対して最適な手法を自動選択し,適切な手法で描画するアルゴリズムを提案する.In HTML5, Canvas dealing with data of the bitmap and Inline SVG dealing with Data for vector are supported. Thus we can directly describe image or graphic in HTML, by the JavaScript. However, drawing performance is not good compared with the plugins such as Flash or Java. In this paper, we sinvestigate the performance of traditional approaches to increase drawing speed. Finally, we propose an algorithm to select the best approach automatically.
著者
石崎 俊 田中 茂範 今井 むつみ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.28, pp.17-24, 1994-03-17
被引用文献数
6

自然な発話状況における対話では、従来の文法に基づいて判断するとおかしいが、意味は自然でよく分かる文が多く見られる。そのような対話文では意味を主体にした解析手法が望ましい。しかし、従来の意味解析手法や辞書の機能では「固い」ため、そのような意味解析を実行するには不十分なことが多い。そこで、本研究では、従来よりも柔軟な意味解析機構をもつモデルの構築を目標とし、それに適した意味解析法と、概念辞書における距離空間の導入について基礎的な検討を行う。概念辞書において概念間の距離を、従来のように階層構造をたどるのではなく、多次元尺度法を用いて定量的に距離を測ることによって距離空間を構成することを検討する。次に、状態を表す概念を指標としたSD法を用いて意味空間における距離を計算し、動的な意味の変化について基礎的な検討を行う。In spontaneous conversation, we have many ungrammatical but semantically natural sentences. Analysis based on semantics or context seems appropriate for such conversational texts. The traditional methods for semantic analysis or structures of concept dictionaries are not enough to treat with such texts. This paper discusses, therefore, a computational model which has a flexible mechanism for semantic analysis and discusses functions and a structure which concept dictionaries should have. For example, using cognitive psychological experiments, MDS method, a metric space among concepts can be organized. Then, SD method using concepts of state as parameters introduces a metric space where dynamic semantic analysis can be formalized. This paper discusses possibilities of these new approaches.
著者
児玉 理映子 石川 千里 高田 雅美 城和賞
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.128, pp.61-64, 2007-12-20

ユーザの嗜好に合致する商品を提示するレコメンド法が注目されているしかしながら,従来のレコメンド法では全てのユーザを満足させることはできないそこで,満足できないと考えられる特定ユーザの嗜好を抽出する新たなレコメンド法を提案する.本稿では,特定ユーザとして興味の有無が明確なオタクを採用したオタクの嗜好を抽出するにあたってまずオタクの定義をし,その定義に基づいて選出したユーザをオタクとする.またオタク以外のユーザを一般人とする.このオタクと一般人の Mb アクセスログから決定木を生成しネット上での行動パターンを抽出し分析する.分析結果からオタクは一般人と比べ膨大な情報量を持つコンテンツを閲覧していることが示された.Recommendation methods that offer goods to users according to their favorite attract at tention recently. However, existing recommendation methods cannot be applied to all users in even. So, we propose a new recommendation method that extracts specific users who are not happy with recommended goods. In this paper, we adopt Otakus, whose interest is clear, as specific users. First, for extracting Otaku's favorite, Otaku is defined, and several users selected according to the definition are regarded as otakus. The access pattern on the Internet is extracted from web access log of the otakus and other standard people to be analyzed. The result shows that otaku browses more copious contents than other standard people.
著者
木村 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.1062-1065, 2005-09-15
被引用文献数
1

子どもが身近な気象現象をアメダスのように自動観測できる安価な観測機器が欲しい.この野望の実現にとり憑かれた福島県の理科教師と技術ボランティアが,秋葉原のジャンク店で入手した中古部品を組み合わせて作ったインターネット版「電子百葉箱」を原型に,文部省(当時)の教材開発プロジェクトで半製品化に成功,PICマイコンの採用による小型化をきっかけに,函館の地元企業との共同研究をへて製品化に漕ぎ着けた顛末を述べる.当初の目標である廉価さと手軽さに近づきつつある8年間にわたるボランティアベースの手作りプロジェクトを通じて,地域から生まれ地域で育った息の長いIT化の試みについて報告する.
著者
伊賀 聡一郎 伊藤英一 安村 通晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.12, pp.49-54, 2000-01-28
被引用文献数
7

本稿では、呼気・吸気を利用して計算機とインタラクションできるKirifukiシステムを提案する。システムはワークステーション、ブレスマイクスイッチ、ポヒマス磁気センサーから構成され、ユーザはマイクスイッチと磁気センサーを頭部に装着する。ユーザは頭部を動かして計算機のマウスポインターを操作する。そして、マイクスイッチに向かって「吹いたり」「吸ったり」することによって視覚的なオブジェクトを操作したり、コマンドを実行したりできる。ウィンドウの移動、拡大・縮小、アイコンのカット&ペーストなどを呼気と吸気によって行なうことができる。さらに、本手法をお絵書きツールや楽器操作のためのインタフェースにも応用したことを報告する。This paper proposes a novel system called "Kirifuki". Kirifuki has the ability of controlling GUI objects by applying breathing. The system consists of a work station (SGI Indigo2), a breath microphone switch, and a polhemus sensor. The user wears a head set device with a breath microphone switch and a polhemus sensor. The user can control a mouse pointer by his or her head, and he can manipulate GUI objects such as windows or icons when he breathes in or out to the microphone switch.
著者
城塚音也 桑田 喜隆 安地亮一 小泉 宣夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.1240-1247, 1998-05-15
参考文献数
7
被引用文献数
6

計算機が人間同士の音声対話を理解し,リアルタイムに対話の支援を行う,知的なComputer Mediated Communication (CMC)を提案する.提案するCMCは,人間同士のコミュニケーションと人間?計算機のインタラクションをシームレスに連結することにより,人間の知的活動を促進する.その実現例として,金融相談端末上の相談業務における音声対話を知的に支援する実験システムを構築した.システムは対話中のキーフレーズを音声認識することにより対話の内容を推定し,支援ルールによって支援計画を立案し,支援内容の作成を行う.作成された支援情報は相談員に提示され,相談業務の円滑化を促進する.システムの自律的な対話支援のコンセプトの評価実験および,対話モニタリングによる対話支援性能の評価実験について報告し,実験結果について考察する.An Intelligent Computer Mediated Communication(CMC) is proposed which enables computers to provide support information to people who are in conversation by monitoring their spoken dialogue.An experimental system for the support of pension consulting service was built in order to investigate proposed CMC system.The system estimates the topic of the dialogue from detected key phrases by speech recognition technology and designs support information with assist rules.The efficiency of the consulting service can be improved by the support information which is presented automatically by the system.The concept of Intelligent CMC was evaluated by the reference indication to human-human dialogue andhe performance of the generating support information function was measured by several experimental conditions.The experimental results are discussed.
著者
鷲山 真澄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.79, pp.61-63, 1993-09-16

本研究において、エスペラント語は国際語として人工的に作られた言語であり、その特性を探求し応用理論へと提示することが、目的である。エスペラント語の音声と文法を中心に検討する。エスペラント語の音声について、アクセント、音節、又、文字についてその特徴を明らかにする。エスペラント語の文法について、品詞を重視して、動詞、名詞、形容詞、人称代名詞、指示代名詞、複数形、疑問、否定、冠詞、前置詞、無生物主語、比較、仮定法、.樟続詞、関係作名詞に,ついて考察をすすめるが、エスペラント語がいかに合理的な人工語であるかを示したい。The Esperant is international language. I consider phonology and grammar of the Experanto. I will show how the Esperanto is the rational artificial language.
著者
野々垣 旦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.94, no.58, pp.33-40, 1994-07-08

オーグメンテーションという概念はダグラス・エンゲルバートが70年代より主張しはじめたコンセプトである.エンゲルバートは先頃訪日し,アラン・ケイなどと「パソコンの将来展望」という演題で講演を行った.その中でもエンゲルバートは年来の主張であるオーグメンテーションという考え方に固執し,情報メディアが社会に入るに従ってますます「人間シスデネとツールシステムの統合化=オーグメンテーション」という概念が重要になると強調した.エンゲルバートはオーグメンテーションを組織のイノベーションの方法と位置づけ,その意味でグループウェアないしCSCW(Computer Supported Cooperative Work)として捉えるべきであると主張している.本論文はオーグメンテーションの概念を人間と情報メディアの関わりという観点から如何に置づけるべきかについて論ずる.
著者
大和 正武 門田暁人 高田 義広 松本 健一 鳥居 宏次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.613-622, 1999-02-15
被引用文献数
19

本稿では 視線によるテキストウィンドウの自動スクロール方式を提案し 提案方式による自動スクロールが可能なテキストブラウザを用いた評価実験の結果について述べる. 従来の視線を入力とするインタフェースでは 視線情報をポインティングデバイスの代替として利用しており メニューやアイコンの選択のために一時的にではあるが作業対象から視線を外す必要があった. これに対して提案する方式では ウィンドウ内での視線の移動に着目する. 作業者はウィンドウ内で視線を移動させるだけで 表示したいテキスト部分をウィンドウ中央部に移動させ 表示させた状態でスクロールを停止させることができる. 評価実験の結果から テキストのスクロールにより文字列を検索するという作業(タスク)においては 視線による自動スクロールはキーボード操作によるスクロールと比較して同程度かそれ以上に有効であることが分かった. この場合 ウィンドウ中央から注視点までの垂直方向の距離をスクロール速度に比例させる制御方式が 他の方式に比べ優れていることが確認できた.This paper proposes a method and implementation for a system to automatically scroll a text window by tracking where a user is looking at. A user of the system can access a portion of the displayed document without using keyboard or mouse. Existing eye-tracking methods, which use eye-gaze as a substitute for pointing devices, require a user to "look at" menus and icons to manipulate a window display. In contrast, our proposed method uses eye movement within a window to control its display. A position of a user's gaze within a text window determines how to scroll the window, what portion of the text to display, and where to stop. Our user study demonstrates that the effectives of scrolling using this method is as good as one with convetional keyboard control as respects string search by scrolling. In particular, we have found that a controlling mechanism to determine the speed of scrolling in terms of the distance of the gaze point from the center of the window was both qualitatively and quantitatively superior to other control mechanisms in the string search by scrolling.
著者
山田 彩加 長谷部 礼 西本 一志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HCI, ヒューマンコンピュータインタラクション研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.20, pp.1-7, 2014-03-06

イラストを依頼するクライアントの多くはコンセプトを言葉によって表現する.その言葉からイラストレータが想像した画風のイメージをその場ですぐにクライアントと共有・調整することができれば,清書して提案する工程を省くことができる.しかし,イラストレータが言葉やスケッチで簡易的に表現しでも,クライアントに同じ画風の完成形を想像させることは困難である.そこで,本研究ではイラストレータの潜在的なセンスとクライアントの言葉との噛み合わせを可能とするために,イラストが依頼された場において,画風の創造・共有までを協同で行うことを支援する手法を提案する.
著者
山田 彩加 長谷部 礼 西本 一志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.20, pp.1-7, 2014-03-06

イラストを依頼するクライアントの多くはコンセプトを言葉によって表現する.その言葉からイラストレータが想像した画風のイメージをその場ですぐにクライアントと共有・調整することができれば,清書して提案する工程を省くことができる.しかし,イラストレータが言葉やスケッチで簡易的に表現しでも,クライアントに同じ画風の完成形を想像させることは困難である.そこで,本研究ではイラストレータの潜在的なセンスとクライアントの言葉との噛み合わせを可能とするために,イラストが依頼された場において,画風の創造・共有までを協同で行うことを支援する手法を提案する.Most of clients who request to draw illustrations express their concepts by words. If the clients and illustrators can share the image of the style of painting from the clients words immediately on the spot and if they can adjust it, the illustrators can skip a process to make fair copies and to suggest them. However, it is difficult to let a client imagine completion form of the same styles of painting even if the illustrators express them by words and by quick sketching. This paper proposes a supporting method to immediately co-create and share the style of painting where the illustrations are requested.
著者
長堀 哲 荒川 豊 田頭 茂明 福田 晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MBL, [モバイルコンピューティングとユビキタス通信研究会研究報告] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.1-8, 2011-05-26

携帯電話の普及に伴い,その利用マナーに関して敏感な社会になっている.例えば,電車に乗車中では携帯電話の電源を切ることが推奨されている.また,映画館や会議中はマナーモードにしておくべきである.一方で,家や歩行中,鞄の中に携帯電話がある場合は音を鳴らすモードにして携帯電話からの通知を聞き逃すことを防ぎたい.そこで,こうした端末の設定を自動的かつ適切に切り換える手法が求められている.本研究では,周囲の端末で協調を行うことにより,自動的なモード切り換え手法を提案する.提案システムでは,端末の位置情報から周囲の端末を認知してそれらの端末間でモード情報を共有し,マナーモードの割合から自身のモードを判定する.本論文では,この提案手法のシステム設計を行い,協調によるモード切り換えの簡単なプロトタイプを作成し,評価実験と考察を行った.
著者
菅沼 拓夫 藤田 茂 菅原 研次 木下 哲男 白鳥 則郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.1214-1224, 1997-06-15
参考文献数
8
被引用文献数
50

本論文では,やわらかいネットワークの概念に基づくやわらかいビデオ会議システムの機能を提案し,その試作を通して,提案した機能を評価する.やわらかいビデオ会議システムは,家庭やオフィス等で用いられる小形コンピュータやインターネット/LAN等の,必ずしも資源が十分でない環境下において,一般利用者によるビデオ会議の利用時の負担を軽減することを目的としている.そこで,やわらかいビデオ会議システムは,1)利用者要求および計算機資源の状況に応じたシステムの自律的構成,2)会議中のQoSの自律的調整,および,3)システムの自律的再構成の機能を持つ.これらの機能を評価するために,マルチエージェント指向アーキテクチャを採用したやわらかいビデオ会議システムのプロトタイプを試作し,実験を行った.その結果,エージェント間の協調動作により,やわらかい機能が実現可能であることが確認され,提案した機能の有効性が検証された.In this paper,we propose the functions of a flexible videoconference system based on the concept of flexible network and evaluate the proposed functions by implementing a prototype of the flexible videoconference system.The flexible videoconference system aims to reduce the burden of the users under the operational environment with insufficient computational resources such as an internet/LAN environment with the small-scale computers at home and offices. To do so,the flexible videoconference system has the following three functions.i,e.,1)autonomous system generation based on both the users' requirements and the resource conditions,2)autonomous control of the QoS,and 3)autonomous system reconfiguration.To evaluate the proposed functions,we design and implement a prototype of the flexible videoconference system based on an agent-based architecture.According to an experiment on this prototype,we show that the proposed fuctions can be realized by the cooperation of various agents of the prototype,and the proposed functions can help the users effectively.
著者
廣安知之 福島亜梨花 山本詩子 横内久猛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.18, pp.1-6, 2014-02-24

2 つの異なる fNIRS 装置の脳血流時系列データから類似部分を抽出するアルゴリズム "Multipleanalogy Parts extracting algorithm (MaPea)" を提案する.MaPea では,完全一致部分だけではなく微小な差異を考慮した類似部分も抽出する.また,サンプル数の異なる類似部分を抽出することも可能にしている.脳血流時系列データが様々な要因に影響されていると報告されており,実際のデータは脳血流の活性化モデルと異なることが考えられるからである.また,時間軸上で時間差を持った類似部分の組み合わせも抽出できる.MaPea では,異なる時系列データ毎にベクトル化を行い,それらのコサイン類似度により評価する.2 つのデータセットから類似部分を動的計画法の概念を使い抽出する.MaPea の有効性を fNIRS 時系列データを使った実験により検証した.実際の fNIRS 時系列データを用いて脳機能の検定を t 検定を用いた解析手法と MaPea を用いた解析手法で行い,結果を比較した.MaPea による解析手法のほうが神経血管カップリングの理論にそって脳活動を探索できていた.以上より,MaPea が脳血流時系列データに対して有用であることが示唆された.
著者
岸田 崇志 前田 香織 河野英太郎 近堂徹 相原玲ニ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.517-225, 2004-02-15
被引用文献数
5

広帯域ネットワークやQoS保証のあるネットワークなど多様なネットワークが利用できるようになり,狭帯域ネットワークでは難しかったリアルタイム性の高い,また信頼性の高い音声伝送の実現が可能になってきた.そして,より品質の高い音声伝送への要求も高まっている.こうした変化にあわせ,音声伝送の利用場面も多岐にわたり,各場面で音声伝送システムに要求される条件も様々に異なる.本論文では,広帯域ネットワークで利用される様々な音声伝送場面をリアルタイム性,ロバスト性などの観点から分類した.これに基づき,各場面で要求度の高いパラメータを調整することにより,あらゆる利用場面に対応できる多目的な音声伝送システム``MRAT(Multipurpose RAT)''の設計と開発を行った.MRATは音声会議システムの1つであるRAT(Robust Audio Tool)を広帯域ネットワーク上で使用することを想定して拡張し,低遅延音声伝送機能やReed-Solomon符号を用いたFECによるエラー回復機構などを実装している.MRATの評価としてはエンド--エンド間の低遅延化とロバスト性向上の検証を行い,その有用性を示す.また,MRATの実証実験として1年間にわたって行った多地点での遠隔合唱や遠隔講義などについて記述し,多様な場面での実用性を示す.It is becoming easy to use various networks such as broadband networks and QoS guaranteed networks.Also, it is possible to realize high robustness and high real-time audio transmission.Moreover, high quality audio transmission is required.The most required condition for audio transmission differs depending on various scenes.In our study, we classify conditions of audio communications required in various situations from the viewpoints like real-time and robustness and design a multipurpose audio transmission system called as ``MRAT (Multipurpose RAT)''.We enhance RAT (Robust Audio Tool) that is one of audio communication tools, and add two new options. One is to keep shorter delays between end-nodes.Another is an error recovery using a Forward Error Correction with Reed-Solomon code to recover packet losses.By using these options, MRAT has three modes; a Chorus mode, a Conversation mode, and a Broadcast mode.Therefore, MRAT can correspond to various scenes.We show some evaluations of MRAT like measurements of end-to-end delays and effects of an error recovery.We also show practicality of MRAT by practical experiments such as distance chorus at multi-locations and distance lectures.
著者
硴崎賢一 上原 邦昭 豊田 順一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.347-356, 1989-03-15

本論文では 研究開発や実用的なシステムの構築に適した 高速で利用しやすいPROLOG処理系の実現方式とその評価について述べる.開発した処理系では インタプリタによって実行される述語とコンパイルされ機械語によって直接実行される述語を混在して実行することができる.また 処理系が稼動している状態で プログラムのコンパイルとリンクを述語単位で順次行うことができるインクリメンタル・コンパイル機能を実現している.これらの機能は 述語間の相互呼び出しを管理するディスパッチャと呼ぶ機構によって実現されている.さらに DEC-10 PROLOGなどで問題となっていた コンパイラとインタプリタの単一化のセマンティックスの相異を解消することができる仮想PROLOGマシンの命令セットを提案している.この命令セットは 従来の最適化方式のほかにリスト処理に対する最適化方式を導入しており 高速なコンパイルドコードを生成できるという特徴を持っている.コンパイルドコードは この命令セットを中間コードとして利用し 最適化を施した後にターゲットマシンの機械語に変換して生成している.本処理系はUNIXワークステーション上に実現されており 同じデータ表現法である構造共有法を採用したPROLOGマシン比較して 約2.5倍の85K LIPSの性能が得られている.
著者
池原 悟 白井 諭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.298-305, 1984-03-15
被引用文献数
15

日本文に含まれる誤字を対象に誤字検出実験と訂正候補抽出実験を行い 誤字の自動検出訂正の可能性を明らかにした.誤字検出実験では 正しい文章の解析のために作成した単語解析プログラムを誤字検出を目的とする日本文チェッカとして使用した結果 68%の誤字検出率を得たが 検出不能の誤字例を分析した結果 文節解析レベルのチェック機構の拡充と構文解析レベルのチェック機構の導入で 誤字検出率はそれぞれ89 93%に向上する見込みを得た.訂正候補の抽出では 誤字検出実験で検出した誤字に対して二次マルコフモデルを適用し 誤字の前後の文字からみて接続確率の高い文字を候捕文字として抽出した.また 誤字検出での検出特性に着目して正解文字の字種を確率的に推定することにより 抽出した候補文字の正解含有率の向上を図った.誤字検出実験では誤りを検出したとき 誤りの位置を正確に知ることは困難で 誤りを含む文字区間とその区間内の文字の誤り確率が与えられる.そこで 訂正候補の抽出では 誤りの検出された区間に対して訂正文字列候補を抽出した.その結果 抽出された訂正文字列候捕は上位15位までで約60%の正解含有率をもつこと 誤りの位置が正確にわかれば 正解含有率は10?25%向上することなどがわかった.これらの結果は 漢字OCRの誤読文字 リジェクト文字の救済等に応用できるものと期待される.
著者
小久保 卓 小山 聡 山田 晃弘 北村 泰彦 石田 亨
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.1804-1813, 2002-06-15
被引用文献数
6

いまやインターネットは現代社会の中に急速に浸透しており,そのサービスの中でも特にWWW(World Wide Web)は新しいメディアとしてその情報量を増大させている.しかしながら最も一般的なWWW情報検索手法である検索エンジンは,必要な情報を得るためにある程度の知識や経験が必要とされ,多くの初心者にとって使いこなすのは容易ではない.こうしたWWW情報検索における問題の解決法の1つとして,ドメインを限定した専門検索エンジンの提供があげられている.そこで本論文では専門検索エンジンを構築するための新しい手法として``検索隠し味''を用いた手法を提案する.これはユーザの入力クエリに対しある特定のキーワードを追加すると,汎用検索エンジンの出力のほとんどがドメインに関係するWebページとなるという経験則を利用したものである.そして機械学習の一種である決定木学習アルゴリズムを元にWebページ集合からキーワードのブール式の選言標準形として検索隠し味を抽出するアルゴリズムを開発した.さらに本手法を料理レシピ検索に適用し評価実験を行うことで,その有効性の確認を行った.The WWW technology has come into wide use in our society as an infrastructure that supports our daily life. But gathering information from the WWW is a difficult task for a novice user even if he uses the search engines that are most widely used tool to retrieve information from the WWW. Because the user must have experience and skill to find the relevant pages from the large number of documents returned, which often cover a wide variety of topics. One solution to the problem is to build a domain-specific search engine. So this paper presents a new method that improves search performance by adding the domain-specific keywords, called keyword spices, to the user's input query; the modified query is then forwarded to a general-purpose search engine. We describe a machine learning algorithm, which is a type of decision-tree learning algorithm, that can extract keyword spices as a disjunctive normal form of keywords from Web documents. To demonstrate the value of the keyword spices, we conducted experiments in the cooking domain and the results showed the high performance.
著者
彭志春 邑本俊亮 潮田浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.9-11, 2013-03-06

W3C(World Wide Web Consortium)は2008年にHTML5の草案を公開し、2014年にHTML5の最終勧告することにしている。HTML5は、これまでのHTMLに比べ、多くの機能が優れているが、非常に注目される機能の中に、「Canvas」がある。この機能により、ウェブサイト内で3Dグラフィックスを使用し描画することが可能になる。一方、人間は3次元空間内に情報を配置された場合には、2次元的に配置されているよりも、情報の記憶がすぐれていることが多くの研究で報告されている。また、3DのUIの方が2DのUIよりも作業効率が高いことも検証されている。本研究は、3Dを使用したECサイトのプロトタイプをデザインし、それを使用する際のユーザの情報探索プロセスを解明することを目的とする。
著者
広瀬 順晧 岡部 建次 鈴木 雅之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.108, pp.13-18, 1997-11-15

従来、明治初期官僚機構の成立過程に関する研究に、おいて、特に人的構成の側面からの研究は重要でありながら極めて貧しい。それは、初期官僚機構においては、人事データが基本的に乏しいという事情があるからである。今回「明治初期官僚機構人事データベース」を、宮内省式部寮が発令した奏任官以上の辞令交付記録「任解日録」によって、作成したが、これによって、研究者は、() 個々の官僚の公職履歴、() 個々の職位の歴任者名、() 一定時点における官僚機構の構成を知り得ることとなった。奏任官以上の官僚の個別履歴も、一定時点における官僚組織の組織図も、本データーベースが最初であり、日本近代史研究に資するところが多い。Up to now, the study of the establishing process of bureaucratic system in early Japan has met several difficulties. Most of them result from the lack of reliable resounms of Bureaucratic system and personnel affairs. This is why we produce database of personnel affairs of bureaucratic system in early Japan. This database is produced from "Nin'kai Nitiroku" ie. "Diary of appointment and dismissal" which had compiled by Imperial House Keeping Ministry Using this database, scholars of modern Japanese history can approach (1)the personnel record of each bureaucrat, (2)the successive list of any post in Dajokan bureaucratic system and (3)the chart of the bureaucratic structure in any date.