著者
志久 修 中村 彰 黒田 英夫 宮原 末治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.1086-1095, 2000-04-15
参考文献数
17
被引用文献数
2

本論文では,手書きされた日本語単語の認識方法について述べる.提案方法では,単語からの個別文字の切出しと認識を行わずに,単語全体を1つのパターンと見なして認識を行う.手書き日本語単語には,文字単体の手書き変形のほかに,文字間隔や文字サイズの変動,単語長さ方向への文字の伸縮が生じており,一般的な個別文字認識方法を単語画像にそのまま適用しても,高い認識性能を得ることは困難であると考えられる.そこで,提案方法では,上記の単語変形に対し,3段階の正規化処理〔図形間隔,図形幅,および単語画像サイズ(非線形正規化)〕と単語長さ方向へのDPマッチングを採用することにより対処している.郵政研究所の手書き漢字画像データベースIPTP CD-ROM2から作成した2種類の単語画像セット(町域部:1655件,都道府県名:174件)を用いて,提案方法と基本的な従来方法(個別文字に注目する方法)との正読率の比較実験を行った.その結果,これらの画像セットに対しては,従来方法において良好な条件(文字切出し正解率100%)での正読率と同等の結果〔正読率:96.50%(町域部)?<,95.98%(都道府県名)〕が得られ,提案方法の有効性を明らかにした.This paper describes a method for handwritten Japanese words recognitionbased on holistic strategy which treadts a word as a whole unitwithout segmenting it into individual characters.Our method, to compensated for word shape distortions,adopts three processes of normalization (i.e.\ figure gap normalization,figure width normalization and word size normalization) and DP matching.We tested the proposed method for 1,655 (town name) and 174 (prefecture name)images in the IPTP CD-ROM2 (the database of handwitten KANJI character images).As a result, 96.50% of 1,655 town names and 95.98% of174 prefecture names were correctly recognized.
著者
片岡 信弘 小泉 寿男 高崎 欣也 白鳥 則郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.466-479, 1998-02-15
参考文献数
15

企業の情報システムは,受注から出荷までのサイクルタイム短縮を目指し,統合パッケージを利用してシステム構築を行う動きが広がってきている.このような統合パッケージを利用したシステムを構築には,統合パッケージの持つ機能の理解,これをどのように業務に適用していくかをプロトタイピングにより,利用者,開発者の間で合意を得ていくJAD (Joint Application Design)が重要な役割を果たす,JADにおいては,仕様決定のキーマンが参加することが必要であるが,これらの人は必ずしも同一場所にいるとは限らないため遠隔地とJADを行う必要が多々発生する.したがってこのような協調作業は,CSCW (Computer Supported Cooperative Work)の一形態として捉えることが可能である.CSCWには,それぞれの対象作業に応じて,その協調作業の支援プロセスも異なってくる.本論文では,統合パッケージを利用した企業情報システム開発プロセスのモデルの提案と,仕様決定を支援するCSCWの方式について提案を行う.このモデルでは,開発作業をいくつかのステージに分け,このステージごとに遠隔地に存在するメンバーとともにJADを行う方式である.また,この方式を実際の開発に適用して評価した結果その有効性を確かめることができた.Environment of many companies has been more more strictly.To corresponded this environment many companies has began to use integrated package software for their cooperate information management systems.In this case it is important to make consensus between user and developer about functions of package and applications to apply packages.It is also important to use proto-type by package software and JAD(Joint Application Design)for specification making.User and developer some times resident in separate locate,this JAD is one kind of CSCW(Computer Supported Cooperative Work)which support specification making among the peoples who resident in separate location.We propose development process of enterprise information management system that use integrated package software and remote JAD(Joint Application Design)model that support specification making.The proposed method was evaluated in development a actual system,where its effectiveness was confirmed.We share windows of application systems between remote site and there is no incompatibility for using remote JAD.
著者
藤田晃史 中島潤 早水光 塩谷亮太
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.15, pp.1-4, 2014-01-16

本稿ではスーパースカラ・プロセッサ 「雷上動」 の設計と実装について述べる.雷上動は 32bit ARM 命令セットのサブセットを実行するプロセッサである.雷上動では最大 64 インフライト命令を動的にスケジューリングして実行し,最大 5 命令を同時発行可能である.雷上動ではスーパースカラ・プロセッサや FPGA に関する様々な研究成果を取り入れることにより,高面積効率な実装を実現している.FPGA 向けに合成した結果,Xilinx Spartan-6 上で 18000 LUT程度の回路規模となり,60 MHz で動作した.
著者
浅田 真理 高橋 光輝 香田 夏雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.9, pp.1-6, 2014-01-16

本研究は VJ (ヴィジュアル・ジョッキー) と呼ばれる即興的映像表現を用いた環境演出への応用の可能性を考察し,実際に展開するための基礎的な位置づけのものである.ここでは筆者が制作したいくつかの研究事例を挙げ,それぞれに対するVJ表現の可能性の考察を行う.事例として,ダンスパフォーマンスとプロジェクションマッピング,Kinect,センサー,AR の組み合わせにインタラクティブな関係性を持たせた環境演出システム Cross Reality 2.0 を用いたライブパフォーマンス,そして横浜駅西口で行われたプロジェクションマッピングの事例を取り上げる.VJ 表現によるリアルタイム性,パフォーマーや観衆がプロジェクション映像に参加できるインタラクティブ性,そしてプロジェクションマッピングのような実際の空間に投影する映像表現を人を取り巻く環境への演出として捉えることで,これまでよりもさらに幅広い視野を持った VJ 表現の可能性を追求したい.This research is a study for a possibility of an application to produce environmental improvisatorial image expression with VJ (visual jockey), and this study focuses on the research for its actual development. We introduce case studies of the author's works and consider the possibility of VJ expression for each case. As the case study, we introduce live performances using environmental production systems called "CrossRealit2.0", which gives interactive relationship with the combination of dance performance, projection mapping, Kinect, sensors, and AR, and we also introduce a case study of projection mapping performed at the Yokohama Station west entrance. The real-time VJ expression, and the interactive property to which the performers and spectators can participate in a projection image enhance the possibility of VJ expression which has a broader view than before by regarding image expression projected on actual space, showing hints of projection mapping as a production for the environment which surrounds us.
著者
井原 真一郎 金森 由博 佐々木 竜生 徳永 隆治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.13, pp.1-5, 2013-11-21

2D イラストなどの参考用に特定のポーズをとらせた 3D 人物モデルが用いられる。しかし 3D ツールに不慣れなユーザにとって 3D モデルのポージングは難しい。本研究では、作成済みの 3D ポーズデータセットから、簡単な入力によって所望の 3D ポースを検索できるシステムを提案する。様々な視点から見た 3D ポーズを検索できるように、視点ごとに主要な関節間の順序関係をビット列で表現し、特徴量とする。ユーザが 2D 上でポーズの骨格構造を入力すると特徴量が計算され、データセット内の特徴量とビット演算により高速に照合される。1 万程度のデータセットに対しリアルタイムに検索結果が得られることを示す。3D character models in specific poses are often used as reference when drawing 2D illustrations. However, posing a 3D model is difficult for users unfamiliar with 3D tools. In this study, we propose a system for searching for a pose from a preset database easily by querying a 2D stick figure as input. To support a pose viewed from any direction, our system calculates feature values for various views per 3D pose. Our feature value is a bit sequence that encodes the large-or-small relationship for each pair of major joints' 2D coordinates projected from a certain view. Every time the user specifies a part of as tick figure, t he system compares feature values very fast using bit operations. We demonstrate that our system shows the retrieval results in real time for a database with roughly ten thousand feature values.
著者
村山 優弥 紫合 治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.20, pp.1-8, 2015-03-05

本論文では iPhone と Android アプリケーションを同時に作成する手法とツールについて報告する.まず,Android と iPhone のユーザインタフェースが類似していることに着目し,見た目や動作が似通っている箇所をツール上では同一のものとした.詳細の違いはツール独自の規格に当てはめることで共通化を行った.見た目や動作の類似点から共通化を行っているため本ツールでの開発は共通化された GUI(Graphical User Interface) によって,視覚的に設計を行ったのち,システムが自動的に Android と iPhone のソースコードを生成する.生成したソースコードを eclipse や Xcode などの各開発環境に渡すことでアプリケーションを完成させる.This paper presents a method and a tool to develop a smart phone application both on Android and iPhone simultaneously. The common graphical elements for Android and iPhone, like button, label and text, are defined as the GUI tool elements to design the application user interface. The tool automatically generates the corresponding source codes in Java for Android and in Objective-C for iPhone simultaneously, which will be transferred to the eclipse for Android and the Xcode for iPhone to build the applications.
著者
池田 心 森 幹彦 上原 哲太郎 喜多 一 石橋 由子 石井 良和 竹尾 賢一 小澤 義明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.87, pp.49-54, 2008-09-12
参考文献数
3

京都大学情報環境機構では,PC 端末サービス・メールサービス・認証サービスを中心とする教育用コンピュータシステムの提供を行っている.利用者管理という視点から見たとき,本システムの特徴として,1)学生に加え教職員等全ての京大構成員を利用者として認めること,2)身分番号とは異なる ID を与え,身分が変わっても同じ ID やメールアドレスが使えること,3)利用開始に際し学生には講習会の受講を義務づけていること,が挙げられる.本稿では,この特徴に起因するさまざまな課題と,それにどう対処してきたかを報告する.Educational Computer System of Kyoto University mainly provides PC services, E-mail services and authentication services. From the viewpoint of user management, this system has 3 major characteristics, 1) it is available to all Kyoto University members, not only students but also staffs and faculties, 2) it provides an user-ID "a0xxxxxx" which differs from his student-ID or staff-ID, and he can use the same user-ID even if his position is changed, and 3) before user registration, students must attend a short lecture about computer literacy and security. In this paper, various issues arising from such characteristics and our solutions for them are described.
著者
ジャマルエディンカレッド エコ ーファジャル 山下 源 安浦 寛人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.17, pp.1-7, 2000-02-09
参考文献数
6

デジタル信号処理技術の発達とシステムLSIの高集積化を背景に,デジタルメディア機器が日常生活において幅広く普及すると予想される.また,これらの機器を実現させるには画像および音声情報圧縮専用のシステムLSIが必要不可欠である.ここでは,音声情報圧縮の規格であるMPEG-2 AAC(MPEG-2 Advanced Audio Coding)専用の組み込みシステムLSIの設計について述べる.設計手法としてソフトコアプロセッサとValen-C言語を用いる.設計結果では,ソフトコアプロセッサのデータパス幅を最適化することによって,組み込みシステムのパフォーマンスを維持しながら設計コストの削減が得られた.The progress of both digital signal processing technology and LSI process technology are key factors in spreading digital media products in the market. System LSIs which support the function of video and audio data compression are utilized in these systems. This paper presents a case study on the development of an embedded system LSI for MPEG-2 AAC (MPEG-2 Advanced Audio Coding) decoder, based on a soft-core processor and a programming language, called Valen-C. Design results show that we can achieve cost reduction without losing the performance by optimizing the datapath width of the soft-core processor.
著者
直野 健 猪貝 光祥 木立 啓之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. コンピューティングシステム (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.35-43, 2005-05-15
参考文献数
13
被引用文献数
5

計算精度と計算時間の調整が課題であったグラムシュミット直交化処理において, 与えられた最低計算精度の範囲内で最速計算を実行する方法を提案した.本方法では, 性質の異なる古典グラムシュミット, 修正グラムシュミット, DGKS型グラムシュミットの処理を同時に実行し, ユーザが与えた精度と速度の要求に最も適合する計算結果を選択する徒競走方式を採用した.PC上で提案法を実行し, その効果を検証した結果, 従来手法では直交性誤差が10^<-8>を満たさなかったケースでその誤差を10^<-14>に低減できた.また, 計算時間についても最大約4.8倍の高速化を達成し, 精度と速度の両面で提案法が有効であることが明らかになった.
著者
川上あゆみ 塚田浩二 神原啓介 椎尾一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.243-245, 2011-03-02

本研究では人と植物の関係に着目し,植物を育てることを支援するとともに,植物に対する興味や愛着を深めることを目的とした植木鉢ロボットPotPet を提案する.動物などに比べると,植物は人の世話に対するフィードバックに時間がかかり,植物に影響する様子がわかりにくい.外観から植物が現在どのような状態にあり,どのような世話をすべきなのかわかりにくいことも,植物を育てることの難しさにつながっている.そこで,自律的に動き,即座にフィードバックを返す植木鉢型ロボットに本物の植物を乗せることで,植物をペットのように飼うことを実現し,人と植物の新しい関係を提案する.
著者
金森 務 片寄 晴弘 新美 康永 平井 宏 井口征士
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.139-152, 1995-01-15
参考文献数
17
被引用文献数
13

本稿ではジャズセッションシステムのための音楽認識処理について述べる。ジャズセッションは、演奏者および聴取者がライブ演奏を楽しむために行われる音楽形態である。メロディー、ハーモニー、リズムなどを通じて、演奏者の意図の交換が行われている。我々はリアルタイムのノンバーバル・コミュニケーションの研究対象として、音楽セッションのモデル化とそのシステム化を行っている。音楽セッションにおける奏者間の伝達要素を機能的に、1)論理的制約:事前の打ち合わせや音楽理論によって全体の進行を方向づけるメッセージ、2)感性惰報:奏者の心理的な状態を示すメッセージでそれ自体は強い制約ではなく、応答については相手の性格に大きく委ねられるもの、に分類し、これらのメッセージの抽出機構と反応機構に墓づいたセッションシステムの構築を行っている。音楽近知覚という問題を一般性を特っていると思われる部分と個性による部分に分けることで、セッションシステムのユーザ・インタフェースという観点から扱いやすい形に整理した。また、音楽の情動を扱うための枠組みとして、音楽の期待感を扱う認識、分かった時点での喜ぴを扱う認識、マクロ的に情動を扱う認識の機構について述べる。システムはリアルタイムで動いており、音楽聴取部では筆者の一人である音楽家の実践的経験則をインプリメントしている。ここでは、昔楽聴取部についての実験結果を示した。
著者
廣野 哲 中村 宏 朴 泰祐 中澤 喜三郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.1850-1858, 1996-10-15
参考文献数
9
被引用文献数
1

大規模科学技術計算においては データ参照に時間的局所性が少ないためにキヤッシュが有効に働かない. このような計算においても高い実効性能を達成する擬似ベクトルプロセッサPVP-SWを我々は提案している. また データがランダムに参照され データ参照に空間的局所性も少ないリストベクトル処理においてもPVP-SWは有効であることが過去に報告されている. しかし 過去の報告では リストベクトルの内容に重複がないことが保証された場合のリストベクトル処理についてのみ論じている. 本論文では このような保証がなく 従来のべクトル型スーパーコンピュータではベクトル化できない一般のリストベクトル処理においてもPVP-SWが効率良く処理を行えることを示す. 計算機シミュレーションによる性能評価結果より PVP-SWが高い実効性能を達成することが確認できた.In large scientific/engineering applications, data caches do not work effectively because of little temporal locality. We have proposed "Pseudo Vector Processor based on Slide-Windowed Registers (PVP-SW)" for these applications. This processor realizes high performance even in list vector processing which has little spatial locality due to random data accesses. However, previous reports assumed that none of the list vector data is the same. In this paper, we focus on more general list vector computation without this assumption. Such list vector computation can not be vectorized in ordinary vector supercomputers. We show that PVP-SW is also effective even in such list Vector processing. Performance evaluation reveals that PVP-SW achieves high performance even in general list vector processing.
著者
須栗裕樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.107, pp.47-52, 2001-11-15

本稿では、FIPA及び関連する活動の最近の状況を解説する。具体的には、以下の話題について説明する。(1) FIPAにおける仕様策定の進展。(2) FIPA仕様の実装であるFIPA-OS及びJADE。(3) それらの軽量版であるmFIPA-OS及びLEAP。(4) FIPA準拠のプラットフォームを、インターネットを用いて相互接続を行うAgentcitiesプロジェクト。(5) JavaでFIPAを実装する際の標準API/SPIを定めるJava Agent Servicesプロジェクト。This presentation tries to explain the latest development in FIPA and related activities. The topics include: (1) Standardization process in FIPA; (2) FIPA-OS and JADE, which are implementations of FIPA specifications; (3) mFIPA-OS and LEAP, lightweight versions of FIPA-OS and JADE; (4) Agentcities project that aims at global internetworking of agent platforms; and (5) Java Agent Services under Java Community Process, which specifies standard API and SPI for Java-based FIPA implementations.
著者
酒井 哲也 野上 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.2, pp.105-112, 2009-01-15
参考文献数
15

(株)ニューズウォッチは,ユーザの情報要求の変化をシステム側が促進し,ユーザが繰り返し検索を行う過程で有用な情報に 「出会う」 ことを可能にする探検型検索サイト「コトバ ノ ウチュウ」 を 2008 年 9 月に正式リリースした.このサイトでは,情報要求の変化促進の手段として,日本語版ウィキペディアの参照関係を視覚したインタフェース 「ギンガ」 を提供している.本研究では,「コトバ ノ ウチュウ」の 2008 年 10 月分のクエリログおよびクリックスルーデータを用い,ユーザが 「ギンガ」 上でどのようなクエリからどのようなクエリに遷移するかを分析した.その結果,ユーザは,人名から人名,組織名から組織名,地名から地名といったように現在のクエリと同一のタイプのクエリに遷移する明確な傾向があることがわかった.本知見は,探検型検索においてより有用なクエリ候補をユーザに提示するために役立てる予定である.In September 2008, NewsWatch, Inc. released an exploratory Web search site called KotobaNoUchu (Galaxies of Words), which encourages change in the user's information need and enables "serendipitous search" through repeated querying. To this end, KotobaNoUchu visualises the graph structures of Japanese Wikipedia, in a graphical interface called ginga (galaxy). In this study, we analyse the query log and clickthrough data of KotobaNoUchu from October 2008, to see how users move from a certain type of query to another on the ginga interface. Our results show that users clearly tend to make transitions within the same query type - from person names to person names, from place names to place names, and so on. We plan to utilise this finding for providing the user with more useful query candidates for exploratory search.
著者
宝珍輝尚 井田 俊博 都司 達夫 樋口 健
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.67, pp.523-528, 2002-07-18
参考文献数
27

ある画像(音クリップ)と印象の合った音クリップ(画像)を求めるために,画像と音クリップの特徴量から推定された因子得点を使用した画像と音クリップのクロスメディア検索について述べる.まず,これまで検討してきた感性の主因子を用いたクロスメディア検索法について概説する.この方法は,画像,音クリップ,音楽クリップ,動画クリップというメディアデータに共通に存在すると考えられる感性の因子を利用する方法である.つぎに,特徴量から推定された因子得点を使用した画像と音クリップのクロスメディア検索の試みについて述べる.今回は良い検索結果が得られず,この原因について考察する.This paper describes an attempt of mutual adaptation of pictures and sound clips by using the scores of the {\it Kansei} factors. The end of this research is obtaining the pictures (sound clips, respectively) having the similar impression of the specified sound clip (picture). The factor scores used are calculated from the feature values of media data by using the estimation formulas. First, the method of mutual adaptation of multimedia data is briefly described. This method is based on the fact that there may be common Kansei factors for pictures, sound clips, music ones, and video ones. Next, an attempt of mutual adaptation of pictures and sound clips by using the calculated factor scores is presented. The result of the attempt is not sound. Several considerations on the reasons of this result are made.
著者
宝珍輝尚 高田 真介 都司 達夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.44, pp.17-24, 2001-05-21
参考文献数
22
被引用文献数
4

本論文では,感性の主因子を用いて,あるメディアデータに良く合った他種のメディアデータを求める方法の評価を行う.この方法とは,画像・動画クリップに対する印象は力量性,活動性,明快性,自然性,堅鋭性という因子で表現され,音クリップ・音楽クリップに対する印象は,力量性,明快性,自然性,堅鋭性という因子で表現されるということに基づく方法である.評価の結果,明らかに適合していないもの以外を正解集合とすると,様々なメディアデータを感性の主因子により対応付ける方法は良い検索特性を持つことを明らかにする.This paper evaluates the mutual adaptation of multimedia data by using the human sensitivity factors. The factors for pictures and video clips are explained as those of potency, activity, brightness, naturalness, and sharpness. Those for sound clips and music clips are explained as those of potency, brightness, naturalness, and sharpness. By using these factors different kinds of media data suitable for another kind of media data can be obtained. The evaluation clarifies that this method has good retrieval characteristics for the answer data set that is selected to include the media data that are considered to be suitable to a retrieval key data.
著者
本間真一 小林 彰夫 佐藤庄衛 今井 亨 安藤 彰男 宇津呂 武仁 中川 聖一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.55, pp.29-34, 2001-06-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

我々は、ニュース解説を対象にした音声認識の研究を行っている。これまでの研究では、解説音声は原稿読み上げ音声と異なる音響的特徴および言語的特徴をもつことや、学習データ量も不足していることから、まだ十分な認識精度は得られていない。そこで本稿では、比較的多くのデータ量が得られる講演スタイルの解説番組「あすを読む」を対象にした音声認識について検討を行う。ニュース原稿と「あすを読む」の書き起こしの混合による言語モデルの適応化、言語モデルの学習テキストと発音辞書におけるフィラーの扱いの見直し、音響モデルの話者適応などを行った結果、単語正解精度が67.4%から84.9 %まで改善した。We are studying speech recognition for news commentary. So far we haven't achieved satisfied accuracy for it, because speech of news commentary has different linguistic and acoustic features from read speech and supplies insufficient training data. Therefore, this paper treats speech recognition of a broadcast commentary program called "Asu wo Yomu (Reading Tomorrow)", which has rather more training data. We adapted language models by mixing the news manuscripts and transcriptions of "Asu wo Yomu" in their training texts, changed how to treat pause fillers in the training texts and word lexicon, and carried out speaker adaptation of acoustic models and so on. As a result, we improved the word accuracy from 67.4% to 84.9%.
著者
金谷健一 浅原 清太郎 菅谷 保之 ハノ・アッカーマン
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.88, pp.131-138, 2005-09-06
被引用文献数
8

Tomasi・Kanadeの因子分解法によって3次元復元を行うにはカメラモデル(平行,弱,疑似透視)を指定する必要がある.本論文ではそのような特定のカメラモデルを指定する必要のない方法を提案する.まず因子分解法の原理を,撮像がアフィンカメラであるという以外には何も仮定しない形で記述し,カメラモデルに依らない計量条件を導く.次に,撮像が透視投影を近似するための最小限の要請を置くと2個の不定関数を含むカメラモデルが得られることを示す.そして,その関数値を入力画像から自己校正によって定めれば自動的に適切なモデルが選ばれることを実験的に検証する.In order to reconstruct 3-D Euclidean shape by the Tomasi-Kanade factorization, one needs to specify a camera model such as orthographic, weak perspective, and paraperspective. We present a new method that does not require any such specific camera models. We first state the principle of 3-D reconstruction in the most general form without assuming anything about the camera except that it is affine and derive a camera-model-free metric constraint. We then prove that a minimal requirement for the affine imaging geometry to mimic perspective projection leads to a camera model that has two free functions. We experimentally confirm that if we optimally determine their values from input images by self-calibration, an appropriate camera model is automatically selected.
著者
丸山 勝久 島 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.1777-1790, 2000-06-15
参考文献数
24

オブジェクト指向ソフトウェア開発において,フレームワークを再構成することは,その再利用性をより高くする効果を持つ.しかしながら,再構成操作は手動で行うには複雑である.本論文では,過去のアプリケーション開発時のメソッドの変更履歴に基づく重み付き依存グラフを用いて,フレームワークを自動的に再構成する手法を提案する.本再構成手法では,継承によりクラスを再利用した際,メソッド内部に存在する依存関係が保存あるいは破壊されるかどうかに応じて,依存関係の強さを指す重みを変動させる.重み付き依存グラフの矢印に蓄積された重み値に基づき,もとのフレームワークにおいて,そのまま再利用可能な固定部分と要求に応じて柔軟に変更する可変部分を分離することで,個々の開発者に特化したフレームワークの成熟化を実現する.適切に分離された固定部分と可変部分を含むフレームワークを用いることで,アプリケーション開発における実装の繰返しを軽減できる.本論文における評価実験では,開発者の記述コード量に関して,最大22%(従来手法に比べて約2倍)の減少率を確認した.While refactoring makes application frameworks more reusable,it is complex to do by hand.This paper presents a mechanism that automatically refactors methodsin object-oriented frameworks by using weighted dependence graphs,whose edges are weighted based on the modification histories of the methods.To find the appropriate boundarybetween frozen spots and hot spots in the methods,the value of the weight varies based on whether the dependencein the original methods has been repeatedly preserved or destroyedin the methods of applications created by programmers.The mechanism constructs both template methods that containthe invariant dependence and hook methods that are separatedby eliminating the variant dependence.The new template methods and hook methods tailored toeach programmer save him/her from writing superfluous codewhen reusing a framework.Experimental results show a reduction rate of up to 22%in the number of statements a programmer has to writewhen creating several applications;this percentage is double that achievableby a conventional refactoring technique.
著者
小池 宏幸 平賀 瑠美 五十嵐 滋 水谷 哲也 塩 雅之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.68, pp.49-54, 1999-08-07
参考文献数
11
被引用文献数
1

本研究は、当研究室において進められている音楽情報研究プロジェクト"PSYCHE"の一環であり、アゴーギクに関する演奏ルールを楽曲に適用することによりクラシック音楽の芸術的演奏を自動生成することを目的とする。本稿では、ルールを楽曲に適用する際に必要なパラメータ値を自動決定するシステムについて述べる。また、人間の演奏からパラメータ値を計算する手法を3つ提案する。そして、ある楽曲の演奏から計算、決定したパラメータ値を他の楽曲に適用し、人間の演奏と比較することでそれぞれの手法についての考察を行った。This study belongs to a computer music project PSYCHE and our purpose is generating artistic performance of classical music automatically by applying agogic rules to a musical piece. We describe about an automatic decision system of parameter values for agogic rules where three techniques of calculating parameter values from a performance by a human player are proposed. We also give consideration to each technique by comparing performances by human and a generated one by applying rules to a musical piece using parameter values that are decided from the performance by human.