著者
荒川 賢一 エリック クロトコフ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.2564-2577, 1993-12-25
被引用文献数
11

屋外での自律移動を目的としたロボットの経路プランニングなどに適用可能な自然地形のモデリングについて,フラクタル幾何を適用した手法を提案する.具体的には,走査型レーザレンジファインダなどを用いて観測された距離データより変換された不規則に配置される地形の高さデータから,任意解像度の3次元地形情報をその不確定性と共に再構成することを問題としている.本論文では,地形がフラクタル形状であるとの仮定のもとで,その地形モデリングの問題を以下の三つの部分問題とみなしてそれぞれについて解法を提示し,シミュレーションおよび実観測データを用いた実験によりその有効性を示している.(a)フラクタルブラウン関数を仮定したフラクタル次元推定法を用いた地形の粗さの推定.(b)地形の粗さ,すなわちフラクタル性の保存した写実的な地形形状の再構成.これには,事後確率最大化による離散的な高さデータの補間を適用している.(c)モンテカルロ法による再構成した地形地図の不確定性分布の推定.
著者
貝森 晃司 中川 匡弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.458, pp.125-129, 2010-03-02

生体信号のフラクタル性に関する研究は,医療や通信など様々な分野で進められている.脳波や音声信号においては,フラクタル性を用いた手法が,従来の手法よりも深い情報を得られる可能性が示唆されている[1-2]. これより,本研究では,感情が含まれる音声のマルチフラクタル解析を行う.これにより,感情によって音声のフラクタル性に違いが見られるかという比較を行った.解析の結果,通常/怒り/悲しみ/楽しみのそれぞれの感情によって,音声のマルチフラクタル性が異なる様子が確認された.
著者
和田 俊和 浮田 宗伯 松山 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.1182-1193, 1998-06-25
被引用文献数
62

視点, 視線方向などのカメラパラメータの制御を行う能動視覚システムでは, 静止3次元シーンを対象にした場合でも, マ カメラパラメータの変更によって観測画像にさまざまな変化が現れる.この変化は, カメラパラメータだけでなくシーンの幾何学的・光学的特性にも依存するため, 能動視覚システムにおいて, テンプレートマッチングや背景差分, フレーム間差分といったシーンの見え方に基づく処理を正確に行うことは困難であると考えられてきた.本論文では, 見え方に基づく処理を正確に行うために, カメラパラメータを変更しても見え方が変化しない能動的画像観測法を提案する.この方法を用いれば, カメラパラメータを変更して撮影した画像を2次元的に変換することにより, 静止シーンの見え方を一定に保つことが可能であり, 固定カメラを用いた場合と同様に, 能動視覚においても見え方に基づく処理を正確に行うことができる.本論文では, 提案手法の原理と, その実現法, および視線制御システムへの応用について述べる.
著者
山口 誠 山本 幹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.670, pp.313-320, 2001-03-09
参考文献数
13
被引用文献数
2

特定多数の受信ノードに対し信頼性を維持しながら同一情報を転送する信頼性マルチキャストでは,一般的にエンド-エンド間での制御によってスループットが最も低い受信ノードに合わせて情報の転送が行われる.最も低い受信ノードにあわせた場合,同一マルチキャストグループに属する他の受信ノードにおいて,自らが受信できる限界よりかなり低いスループットしか得られないという状況が生じる.これは,各受信ノードの輻輳状況が異なることが一般的にみられる,マルチキャスト通信特有の問題である.この観点からみた受信ノード間の公平性は,Intra-session Fairnessと呼ばれる.信頼性マルチキャストにおいて,エンド-エンド間での制御だけでIntra-session Fairnessを実現するのは不可能である.本稿では,Intra-session Fairnessを実現するため,ネットワーク内にサーバを配置しネットワーク支援を通用することによりサーバが独自にダウンリンクに対して輻輳制御を行う方式を提案し,シミュレーションにより評価を行った.
著者
MITSUNARI Shigeo SAKAI Ryuichi KASAHARA Masao
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on fundamentals of electronics, communications and computer sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.481-484, 2002-02-01
被引用文献数
35

A traitor tracing scheme is a broadcast encryption scheme in which a provider can trace malicious authorized users who illegally gave their personal keys to unauthorized users. The conventional schemes have some problems; one of them is that there exists an upper bound on the sizes of keys to certify the security of the scheme against a collusion attack by many traitors, and so that the size of the header increases according to the increase of the bound. We shall propose a new traitor tracing scheme where the header size is independent of the number of traitors.
著者
岡本 英樹 小島 摩里子 松井 知子 川波 弘道 猿渡 洋 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.165, pp.79-84, 2007-07-19

本稿では非可聴つぶやき(Non-Audible Murmur:NAM)を用いた話者照合法について,新たに収集したデータを用いて分析した結果を報告する.NAMとは,外部の騒音に対して頑健な体表接着型マイクロフォンを用いて収録したつぶやき音声を指す.これまでNAMの発声内容が他人に漏れ聞こえることがないという利点を活かし,NAMによるキーワードを利用したテキスト依存型話者照合法を提案してきた.今回は,新たに男性18名,女性9名のNAMを収録し,それらを詐称者セットとして用いて実験を行い,その性能を詳しく調べた.また,学習に使用する発声数,時期数をいろいろと変えて実験することにより,複数時期にわたって収録された音声を使用することの有効性を示す.また,話者照合システムを利用するユーザにとって登録時に必要となる発声数が少ないほど負担は軽減する.そのため,学習データに使用する発声数を減らして実験を行い,その性能の劣化の度合いを調べることにより,どのくらいの音声データが登録時に必要となるかを明らかにする.
著者
北見 広和 大嶋 嘉人 川島 正久 加藤 淳也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.36, pp.57-62, 2007-05-10
被引用文献数
1

次世代ネットワークの中核となるIMSサービスを早期に提供するには,なりすまし対策など必要なセキュリティを実現しつつも,現在市中に出回っているWiFi端末への大幅な機能追加や,現行のネットワーク設備の更改を要求しない方式とする必要がある.本稿では、これらの課題認識の下,ノマディックなサービスをIMS上で早期に実現するための方式について検討した結果を,そのシステム試作による検証結果と共に示す.
著者
平井 佑樹 井上 智雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.190, pp.61-66, 2011-08-19

プログラミングを行う方法の1つとして,2人1組になって行うペアプログラミングがある.ペアプログラミングによるプログラミングは協調作業であるが,これはプログラミング学習の方法としても用いられている.本研究では,プログラミング学習時のペアプログラミングの成功事例と失敗事例を比較分析した.分析では作業中の会話に着目し,失敗事例の方が発話が長いこと,説明の繰り返しが多いこと,一方的な発話が多いことが分かった.この知見は,ペアプログラミングにおいて協調作業がうまく進んでいるかどうかを判断する手がかりを提供し,協調作業の状態推定に有効であると考えられる.
著者
藤尾 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.8, pp.728-734, 2006-08-01

画像メディアの感性化を目標としたハイビジョン(HDTV)開拓における創世期の裏話.苦労話の中の三つの話題を採り上げた.第1話:ハイビジョン(当時は高品位テレビ,世界へはHDTV)スタート初期.第2話:HDTV用ワイドCRT(30インチサイズ,メーカの協力)の開発.第3話:米国映画界の支援.この開拓には米国やヨーロッパ諸国の反対に遭ったと世間にけん伝されている.しかしハイビジョンの開発には,世界の多くの国々や組織のサポート・支援があったのである.1999年日本提案の方式が世界の統一標準規格に選ばれた.これは日本の官(郵政省),公(NHK),産(産業界)の協力のもと,放送をはじめ,広い画像産業への導入など,我が国の一貫した取組み,執念が勝ち取った成果にほかならない.
著者
多賀 登喜雄 石田 未央 佐々木 牧
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.231, pp.7-12, 2002-07-18
被引用文献数
6

降雨の影響を強く受ける準ミリ波帯以上の無線回線の設計に必要な1分降雨強度分布につき、国内外の回線設計で使用されている標準的な評価法を示し問題点を明らかにする。また既存の22の1分降雨強度分布推定法につき、異積分時間変換によるもの,気候パラメータを用いるもの,統計理論に基づくもの等に分類すると共に、その主な方法につき、東京都区内4地点における2年間の雨滴計数型雨量計による降雨データに基づき比較,検証する。その結果、実測データを最もよく近似できる推定法は条件付M分布に基づく方法であることを示しその有効性を確認する。さらに今後全国的な降雨設計値の見直しにも対応できるよう、長期間のAMeDAS1時間積分雨量データによる条件付M分布を用いた1分降雨強度分布の推定例を示す。
著者
金井 猛志 岡本 龍一 ファリス ヒシャム 桑村 有司 山田 実
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.51, pp.1-6, 2008-05-16
被引用文献数
2

高屈折率導波路と真空中を走行する電子を利用した新しい光発生法を実験的に検証した.高屈折率導波路を利用して導波モードの位相速度ν_<opt>を光速cの1/3程度まで遅くしておき、電子の群速度ν_eを導波モードの位相速度で走行させると、一種のチェレンコフ放射により導波路から放射光が発生する.実験では、真空/Si薄膜/SiO2から構成されるスラブ導波路を利用した.導波路表面の真空領域には導波モードのエベネッセント電界がしみだしている.この導波路表面に沿って、32KVから42KVに加速した電子を走行させた時、導波路出力端からTM偏光の放射光が観測された.加速電圧の増加と共に、その発光のピーク波長は、1.2μmから1.6μmまで変化した.その発光波長は、ν_e=ν_<opt>から求まる条件と一致し、我々の原理に基づく発光である事が実証された.また、放射スペクトルの形状から真空中の電子波動のコーヒレント長の推定を行った.
著者
松田 昌史 八重樫 海人 大坊 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.457, pp.79-84, 2010-03-01
被引用文献数
3

ビデオ会議システムは,対面状況と同等なコミュニケーション環境を遠隔地間につくり出すことを目標の一つとしている.本稿では,遠隔地と空間共有を目指すt-Roomを取り上げ,同システムがこの目標を満たしているかどうかを評価した.本稿では評価法に関するロジックと,実際に評価を行った結果について報告する.評価の結果,必ずしも対面状況と同等の結果が得られるわけではないが,t-Roomでは対面状況と同様に平等的な選択がなされやすいことがわかった.また,地点間の人数の不均衡によるバイアスは発生せず,その点においては対面状況と同等であるとみなせることがわかった.
著者
松田 昌史 八重樫 海人 大坊 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.383, pp.37-42, 2011-01-14
被引用文献数
1

ビデオ会議システムの究極の目標の一つは,対面状況と同等な環境を遠隔地間に作り出すことにあると言える.本研究は,遠隔地間で利用者の相対位置を共有することのできるビデオコミュニケーションシステムt-Roomを取り上げ,同システムがこの目標を満たしているか確かめることを目標とする.本稿では評価法に関するロジックと,実際の評価について説明し,先行実験の結果を確認するための追加実験のデータを報告する.追加実験の結果,先行実験の結果がおおむね再現され,t-Roomは対面状況と同様な合議結果がもたらされやすいことがわかった.
著者
丸谷 宜史 杉本 吉隆 角所 考 美濃 導彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.2775-2786, 2007-10-01
被引用文献数
12

講義を撮影した映像(講義映像)が遠隔講義や講義アーカイブなどで利用されるようになってきたのに伴い,講義を自動撮影する研究が行われるようになっている.講義映像は講義内容を理解するためのものであるため,自動撮影では適切な撮影対象を選択することが重要である.本研究では,講義内容を理解するために映すべき被写体の組合せを規定する状況を講義状況と定義し,適切な撮影対象をとらえた講義映像を作成するために各時刻での講義状況の認識に取り組む.従来の講義自動撮影の研究では講義状況として講師位置や講師行動を考え,各時刻または決まった時間区間の画像などの観測情報から一意に講義状況を認識してきた.しかしながら本研究で想定するような講義状況では,同じ講義状況でも講師行動や講師位置は様々であるため,従来のような観測情報から講義状況を一意に決定する手法では講義状況を高い精度で認識することが難しい.そこで本研究では講師行動の頻度,講義状況間の遷移確率という統計的性質に着目し,この統計的性質を表現したHMMに基づく講i義状況認識手法を提案する.実験では実際に行われた講義を対象として,提案手法の有効性を確認するとともに,本研究で想定する講義状況に基づいて講義映像を作成し,従来までの講義映像との比較を行う.
著者
戸田 智基
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.422, pp.73-78, 2009-01-22

声質変換は,言語情報を保存したまま話者性等の非言語情報を変換する技術である.従来の統計的手法に基づく枠組みでは,入力話者と出力話者が同一内容を発声しているパラレルデータを数十文程度用いて,特定話者対を対象とした変換モデルを事前に学習する必要がある.我々は,この制約を大きく緩和する枠組みとして,任意の話者を対象とした声質変換技術の研究開発に取り組んでいる.多数の異なる話者の音声データを有効利用することで,任意の話者からある特定の話者への変換(多対一声質変換)と,ある特定の話者から任意の話者への変換(一対多声質変換)が可能となる.本報告では,これらの変換を実現する技術について紹介する.
著者
戸田 智基 大谷 大和 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.221, pp.25-30, 2006-08-23
被引用文献数
2

声質変換(Voice Conversion: VC)の新しい枠組みとして,固有声に基づく声質変換法(Eigenvoice Conversion: EVC)を提案する.本報告では,ある特定の話者から任意の話者への変換(一対多VC),および任意の話者からある特定の話者への変換(多対一VC)に対してEVCを適用する.EVCでは,予め収録された多数話者によるパラレルデータを用いて,固有声混合正規分布モデル(Eigenvoice Gaussian Mixture Model: EV-GMM)を事前に学習する.EV-GMMは出力(多対一VCでは入力)音声の声質を制御する少量のフリーパラメータを持つ.所望の話者に対する変換モデルは,その話者の音声データに対してフリーパラメータを最尤推定する事で構築される.この際に,発話内容に関する情報は一切使用しないため,完全な教師なしモデル適応が実現される.さらに,一対多VCにおいては,フリーパラメータを声質制御イコライザーとして用いることで,出力変換音声の声質を手動で制御する事も可能である.一対多VCおよび多対一VCにおいて実験的評価を行った結果,EVCでは所望の話者の音声データが2文程度あれば,高い変換精度が得られる事が分かった.
著者
柴田 寛 行場 次朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.522, pp.31-36, 2003-12-12
被引用文献数
3

本研究では,人どうしが連携動作を行う場面を題材として,手渡された円筒を受け取る動作を分析した.変数として,円筒の長さ,渡す側が円筒を持つ位置,および円筒の渡し方を操作した.観察された受け取り動作を,脳科学で得られた知見を基にしながら,「握る」「摘む」「のせる-そえる」に分類した.また,受け渡し場面に内在する制約として,「円筒を落とさない」「渡す側の手に触れない」「渡す側の動きに合わせる」という3つに焦点をあて,これらの制約の働き方から,渡され方にあった受け取り動作が選択される過程を検討した.さらに,受け側が手を動かすタイミングや,手を動かしてから円筒に接触するまでの時間などが測定された.その結果,それらの値はそれぞれの受け取り動作によって系統的に異なることがわかり,各受け取り動作に異なる運動制御が関与することが示された.
著者
三代沢 正 門永 達郎 千崎 祐介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.264, pp.117-120, 2005-09-01

放送等の番組内において紹介され残しておきたい地図情報、レシピなどは放送中に視聴者が書き写すなどしておく必要があった。今回のサービスはデジタル放送のデータ放送の特徴を生かし、放送番組と連動して印刷データーを放送波にのせて送出することによって、視聴者はそれらの情報をプリントして保存しておけるようになった。ARIB規格のSTD-B24で規定された印刷機能の規格化に関わり、それを使い実現した。メガポート放送では「使うテレビ」を合言葉に高機能番組を開発してきたが、今回の番組はBSデジタル放送から「お出かけマップ」や「料理のレシピ」などの生活に役立つ情報を番組と連動して印刷できる機能を実現した。本件ではその番組の概要を紹介する。
著者
平松 勝彦 二木 貞樹 上杉 充 本間 光一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11
被引用文献数
2

移動通信における周波数選択性フエージングの影響を軽減する技術として等化器が研究されている。しかし、遅延波を考慮しない同期方式では、シンボル同期が先行波と遅延波の間でタイミングがロックされ、等化器の性能を十分に発揮できない。今回、遅延波存在下で先行波にロックしたタイミングを再生するシンボル同期方式を検討したので報告する。
著者
新 博行 前田 規行 岸山 祥久 佐和橋 衛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.150, pp.61-66, 2002-06-21
被引用文献数
41

本報告では,時間領域の拡散を優先的に用いる2次元拡散を適用した可変拡散率(VSF : Variable Spreading Factor)OFCDM(Orthogonal Frequency and Code Division Multiplexing)を提案し,データ変調,チャネル符号化率,拡散率の無線パラメータ,および伝搬条件(遅延スプレッドσ,最大ドップラ周波数f_D)に対して,時間および周波数領域の最適な拡散率を明確化した.シミュレーション結果より,σ<0.37μsecにおいて,QPSKデータ変調にチャネル符号化率R=1/2または3/4のターボ符号化を適用した場合,最大128までの拡散率において,拡散による周波数ダイバーシチ効果が得られるため,周波数領域の拡散を用いた方が所要平均受信E_s/N_O(情報1シンボル当たりの信号電力対背景雑音電力密度比)を低減できることを示した.一方,16QAMデータ変調を用いた場合には,コード間の直交性を保つために,時間領域のみの拡散を用いたVSF-OFCDMが,所要平均受信E_s/N_Oを低減できることを示した.したがって,多値データ変調を用いる適応変復調・チャネル符号化を適用した場合には,総合的に時間領域の拡散を優先的に用いる2次元拡散が適していることを明らかにした.