著者
中村 雄一 中川 匡弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.109, no.461, pp.467-472, 2010-03-02

フィードフォワードネットワークを適当に構築すれば,与えられた連続関数を十分な精度で近似できることが関数近似定理として証明されている.しかし,この定理では関数を近似した場合の具体的な構造についての情報は扱われていない.本報告では,近似対象となる関数を多項式に限定し,それを近似する3層ネットワークのーつの具体的な構造を求める.ネットワークの構造はシステムパラメータで決定する.活性化関数が十分に滑らかな場合,システムパラメータは活性化関数のテイラー展開および行列演算から系統的に導かれる.提案方法から得られる3層ネットワーク構造は,学習則に対しても有効な情報を与えるものと期待できる.
著者
工藤 健慈 佐藤 季花 関根 優年
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.101-109, 2008-01-01
被引用文献数
3

ロボット用画像認識システムを容易に実現するために,ハードウェアオブジェクト(hwObject)モデルを用いたhw/sw複合体システムを提案する.hwObjectモデルでは,FPGAにロードされる仮想回路(hwNet)が既存のソフトウェア開発環境にライブラリとして組み込まれる.本研究では,カラー画像によるステレオマッチング及び追跡動作をするアプリケーションの実装を行った.汎用PCx1, hwModuleボードx1 (200kゲート規模のFPGA x3,ローカルメモリ1MByte x3を実装したPCIボード)の実機テストにて,15[frame/s]の画像処理結果が得られた.複数の仮想回路による並列分散処理で浮いたプロセッサリソースを更に高度で複雑な処理に振り向けることが可能である.
著者
李 元中 小畑 秀文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム 2-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2161-2169, 1997-08-25
被引用文献数
10

顔画像の認識, 圧縮などの応用には, 顔の輪郭や目, 鼻, 口等の形状ならびにそれらの位置関係を正しく認識する必要がある. しかし, 安定かつ正確な各顔部品のエッジを抽出する手法はまだ確立されていない. 本論文では顔画像から顔部品の安定した位置検出を行い, それに基づいて顔のスケッチ画像を抽出する手法について述べる. 具体的には, まずMorphology手法を基本とし, 本研究で開発したCircle_filterとRectangle_filterにより, 顔の向きによらない瞳の中心点の位置を抽出する. 次は, 両瞳の中心点を手掛りとして各顔部品の相対位置を決め, 各顔部品の範囲を限定し, その中で各顔部品のエッジを検出する. それに基づき, 各顔部品の特徴点の位置を決め, それらを結ぶ曲線により顔のスケッチ画像を得る. 多数の顔画像に本手法を適用した結果, スケッチ画が安定に得られることがわかり, ロバストな手法であることが示された.
著者
長谷川 浩史 重田 和夫 高橋 秀也 志水 英二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.44, pp.31-36, 1996-05-17
被引用文献数
2

人間は正面顔や横顔, 種々の傾きを持つ顔や髪型を変えた顔からも個人を識別することができる. しかし, 顔画像識別の研究において提案されてきた手法は, 正面顔か横顔かのいずれかのみを主として利用したものであった. 本報告ではニューラルネットワークを用いて傾きを持つ多くの顔画像と少しの髪型を変えた顔画像からの識別とその顔の方向の検出を試みる.
著者
ビンサムスディン モハマド・ジャウワッド 南野 隆二 古川 昌司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.23-28, 2002-04-10

最近、色素増感型太陽電池の耐久性について、さまざまな議論がなされている。耐久性を高めるためには、電解質溶液の固体化が有効であるが、一般的に固体電解質を用いると効率が下がってしまう傾向にある。また、固体化することでナノサイズチタニアの多孔質構造を活かせない可能性もある。我々は、ナノサイズチタニアの多孔質構造を液体のように活かし、なおかつ揮発に対しての耐久性が高いAlmina Oxide-Solを用いた色素増感型太陽電池を作製し、その特性の検証を行った。
著者
村田 健史 松本 紘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.37, pp.43-49, 2000-05-11
被引用文献数
1

磁気嵐は、地上および宇宙空間において、人間のさまざまな活動に被害を及ぼす。アマチュア無線の通信障害はもとより、極域での石油パイプライン破損や航空機等の通信障害などである。また、宇宙空間での障害としては、人工衛星破壊や人体への影響などが指摘されている。本稿では、オーロラキロメトリック波(Auroral Kilometric Radiation:AKR)を人工衛星によりモニターし、磁気嵐を即時予報するシステムを提案する。AKRは、磁気嵐とよい相関があることが知られている。地球近傍を周回する衛星によって観測されたAKRを地上でリアルタイム処理することにより、インターネット等を通じて、警報として発信することが可能である。実験によると、磁気嵐発生から数分以内に、警報の発信を行うことができた。
著者
益子 宗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.225, pp.13-18, 2012-09-27

インターネットやスマートフォンの普及にともなって我々の消費行動が変化し,購買活動におけるリアルとネットといった2つの世界の区別はなくなりつつある.そのような背景から,実世界とインターネットでの購買活動を連携したO2Oコマースといったサービスモデルが生まれるなど,新しいインフラやデバイスがこれまでのショッピング体験をより豊かなものへと発展させてきている.本稿ではそのような消費行動の変化について述べ,我々が従来から行ってきたショッピング体験を豊かなものとするための「リアルとネットをシームレスに繋ぐインタフェース」に関する研究事例や取り組みを紹介する.
著者
渋久 奈保 高橋 友和 井手 一郎 村瀬 洋 小島 祥子 高橋 新
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.215-225, 2009-02-01
被引用文献数
10

本論文では,事前に構築した距離データマップと走行中の自車が測定した距離データを対応づけることで,高精度に自車位置推定を行う手法を提案する.我々が考案した距離データマップとは絶対位置座標とその位置における車両走行方向の距離データ及び距離データの信頼性を対応づけたマップである.また,ここでいう距離データとは,4ラインレーザスキャナにより測定された車両前方の奥行方向の距離分布である.自車位置推定のために行う距離データマップと距離データの対応付けでは,精度向上をねらい,距離データ系列同士をDPマッチングで対応づける.複数の車線がある道路の同一区間を走行しながらGPSと同期して測定されたデータ系列を用いて,実験を行った.実験の結果から距離データ系列間の対応付けにより高精度な位置推定と走行車線分類が可能となることを確認した.
著者
大塚 健二郎 橋本 修 織田 満 守田 幸信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.7, pp.1043-1049, 2000-07-25
被引用文献数
17

本論文では紙に導電性塗料を塗った導電紙を用いたマイクロ波帯用λ / 4型電波吸収体の検討を行った.すなわち, 本論文では, まずX帯及びKu帯において, このタイプの簡易電波吸収体の設計・製作を行い, その吸収特性より導電紙の比誘電率や面抵抗値に対する実験式を導出した.そして, この実験式を用いて, より実用的な電波吸収体の設計・製作を行い, その吸収特性を測定した.その結果, X帯用及びKu帯用電波吸収体において, それぞれ設計した整合周波数と測定結果には0.4GHz程度の差があるものの, 8.2〜10.6GHz及び14.1〜17.2GHzにおいて, 20dBを超える良好な吸収特性を確認した.そして更に, このような塗料を用いたマイクロ波帯用電波吸収体に対する設計指針を示すことができた.
著者
朱 強 松永 裕介 木村 晋二 渡邉 勝正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術
巻号頁・発行日
vol.99, no.317, pp.31-37, 1999-09-21

組合せ回路の実現では多段論理回路の簡単化技術が非常に重要である。多段論理回路の簡単化ではネットワークの接続関係によるドントケアを抽出し、二段最小化アルゴリズムを用いて簡単化を行う。しかし、多くの場合にドントケアのサイズが大きくなり、膨大な計算コストがかかる。本研究では回路を簡単化するための新しいローカルドントケアの抽出法を提案し、それをISCAS89ベンチマーク回路に適用した。実験により、SISのsimplifyコマンドより優れた結果を確認した。
著者
佐野 雅規 住吉 英樹 八木 伸行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.415, pp.33-38, 2005-11-11
被引用文献数
4

本稿では, サッカー番組を対象に, リアルタイムにダイジェスト用のメタデータを付与する手法について報告する.入力としてスタジアムの会場音とアナウンサのマイク音を利用する.会場音からはシーンを切り出し, アナウンサのマイク音からは, テキスト変換した後, 各シーンへの意味を抽出した.会場音の解析では, 短時間パワーに注目し, 観客の沸いたシーンを効率よく抽出するために動的閾値を導入した.意味抽出においては, 歓声が沸いている時は, アナウンサはその試合の流れをコメントしていることが多いという知見を利用し, ドメイン知識を用いたルールにより意味を抽出した.一般にスポーツ番組のアナウンスコメントは文章として不完全であり, 3種類のキーワード(チーム/選手名, サッカー用語, 特定の動詞)に注目して, その組み合わせによりルールを作成した.Jリーグの6試合について実験を行い, 本手法の有効性を確かめた.
著者
菅谷 雄一 粥川 大祐 降旗 建治 柳沢 武三郎 松崎 雄樹 近藤 暹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.397, pp.1-6, 2003-10-23
被引用文献数
5

前報[1]において,骨導超音波による断続音融合弁別閾を用いての疲労度測定(以下超音波疲労度測定器と呼ぶ)の可能性が示唆された.本報告では,引き続き「高濃度の酸素を吸入することによる疲労の回復状態」および「疲労状態時の仮眠による疲労の回復状態」に関する基礎的検討を行った.その結果から,各個人の感覚的な数値データは,実験の前後で統計的に有意な変化が観測され,回復の度合いを示す有効な数値が得られた.また,前報でこれまで疲労度の数値化のための有効な手段として用いられてきた自覚疲労度と客観的疲労度との相関性も示唆された.本報告ではWWWを利用して自覚疲労を表す単語の評価尺度を検索し,より信頼性の高いアンケートが制作された.これにより客観的疲労度と自覚疲労の相関性がさらに強くなる傾向がみられた.
著者
坂巻 清司 小川 仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.178, pp.81-86, 1999-07-16

一般に運動時にはRunningとJumpの運動形態をとる. さらに着地作用位置としてheel又はtiptoeが主である. これらの組み合わせに該当するスポーツ種を選んで, 競技者の着地荷重(床反力)を測定した. これを用いて脛骨各部に生ずる応力分布状態を明らかにし, 骨折位置と外力状態との関係について新しい分類方法を提案した。
著者
真覚 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.525, pp.31-36, 2004-12-09

口唇裂・口蓋裂者の表情分析から、笑顔表出時には鼻の変形や口元の歪みが目立だなくなることが示された。このことを踏まえて、顔部品の検出において笑顔がどのような影響を及ぼすのか、大学生を被験者に3つの実験を行った。実験1では、単独提示される中立顔または笑顔中にドットがあるかないかの判断を被験者に求めた。実験2では、同時提示同異判断課題によって顔中のドットの検出における笑顔の影響について検討した。両実験とも顔中のドットの検出は笑順において遅くなることが示された。実験3では、目・鼻・口の拡大変化の検出における笑顔の影響を検討した。その結果、笑顔中では目の拡大変化が検出されにくくなることが示された。これらの結果から、顔部品の検出において笑顔は抑制的な影響を及ぼすと結論づけることができる。
著者
新井 宏之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.1140-1148, 2004-09-01
被引用文献数
13

本論文では小形アンテナに提案されてきた手法が,整合回路の付加,電流経路の変更,誘電体・磁性体の利用の三つに大別できることを,統計的なデータをもとに明らかにし,その詳細について解説し,提案されている小形化の指標について議論し具体例で評価を試みる.また,小形アンテナを評価する手法として用いられている下限Q値について解説し,微小ダイポールから導出される値が実際のアンテナのものに近いことを示す.また,小形アンテナの重要な測定法,特に放射効率についてその現状と問題点を明らかにする.
著者
金 景柱 岩橋 直人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.336, pp.9-16, 2000-10-06
被引用文献数
14

本報告では, 音声と画像情報を統合的に処理することにより, 単語と単語を構成する音声セグメントを獲得するための原理およびアルゴリズムについて述べる.音声セグメントと単語の階層構造を, 音声に対応づけれた画像情報を用いていかに獲得するかが問題であり, これを解決するための相互情報量規準に基づいた情報理論的学習原理が示される.これにより, 音声セグメント, それによって構成される単語, および各単語に対応付けられる画像概念が同時に求められる.アルゴリズムでは, 音声セグメントと単語と動的画像概念が隠れマルコフモデル, 静的画像概念が多次元正規分布で表現され, これらの確率モデルの数とパラメータ値が自動決定される.単語を孤立発声した音声とぬいぐるみの画像を用いた実験を行ない, 言語音声単位と画像概念が適切に獲得できることを示す.
著者
植田 浩光 力宗 幸男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.281, pp.81-86, 2010-11-10
被引用文献数
4

ターゲットとなるインターネット上のサーバへ自動でログインし,必要な情報を収集して,ユーザへ通知するシステムがある.それを行うサーバをエージェントサーバと定義する.同サーバは,ターゲットサーバへのアカウント情報を保有するが,その内のパスワードについては,暗号化を行う必要性がある.暗号化を行う理由は,万一外部へ漏洩した場合の危険性の軽減がある.加えて,内部のユーザやサーバ管理者にもパスワードが分からないように工夫すべきであり,パスワードをどのように保護すれば良いかの提案を行う.
著者
竹森 敬祐 磯原 隆将 川端 秀明 窪田 歩 高野 智秋 可児 潤也 西垣 正勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.135, pp.425-432, 2013-07-11

情報収集モジュールなどを組み込んだスマホアプリからの勝手な情報送信が問題となる中、利用者に送信情報を説明するアプリ向けのプライバシーポリシー(以後、アプリプラポリ)の策定が求められている。我々は、情報送信を伴うアプリとアプリプラポリの実態調査を行い、63%のアプリが情報送信を行い、うち9割がアプリプラポリを持たないか、持っていたとしても送信情報を正しく記載していないことがわかった。そこで本研究では、Marketがアプリの第三者検証機関として審査役を担い、正確で解りやすいアプリプラポリを生成・提示することで、利用者判断を仰ぐフレームワークを提案する。特徴として、アプリ解析力のある技術検証機構を持つことで、誤った申告とアプリプラポリの生成を予防できる。ここで、アプリのダウンロードや利用実績に応じた報酬を支払うレベニューシェアを適用する。これにより、過剰な情報送信や目的が判然としないアプリは利用者から倦厭され、報酬が低下する経済論を働かせる。本手法をアプリMarketに実装・運用した結果、16%のアプリしか情報送信を行わないこと、アプリの趣旨に沿った必要最低限の情報送信に限られることを確認する。