著者
仲林 清 小池 義昌 丸山 美奈 東平 洋史 福原 美三 中村 行宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.906-914, 1997-04-25
被引用文献数
50

インターネット上の情報提供システムWWW (World-Wide Web) を利用した個人適応型CAIシステムCALATについて述べる. CALATはWWWのサーバ/クライアント構成を拡張したシステムであり, サーバ側で個々の学習者毎のCAIプロセスが稼動し, 学習者はWWWクライアントを用いてネットワーク経由で学習を行う. サーバ側にCAIプロセスと個々の学習者の対応関係を保持する学習者識別機構を設け, WWWのステートレスプロトコルを変更せずに, 演習問題の解答内容などに応じて学習の流れを変更する個人適応型学習機能を実現した. また, サーバから転送した制御スクリプトをクライアントで解釈実行する表示制御方式を開発し, (1) 表示応答速度の向上, (2) サーバからの教材画面制御, (3) 対話型シミュレーション教材の利用, などを可能とした. 実装したシステムの評価を行い, 学習者識別機構, データ転送表示機能の有効性を確認した. なお, 本システムはインターネット上で実際に試行運用を行っている.
著者
藤井 絵美子 西尾 義英 胡 寅駿 谷田 泰郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.213, pp.93-98, 2013-09-05

人の価値観をハブとして,取得経路の異なるデータを繋げる方法の提案を行う.具体的には,Twitter のツイートから得た人の価値観とエンターテイメント業界の視聴行動アンケート調査で得た人の価値観をハブとして,テレビ番組のTwitter公式アカウントをフォローしている人のエンターテイメント業界での視聴行動を条件付き確率で推論した.
著者
大田 友一 尾野 徹 秋道 慎志 藤田 米春 井上 誠喜 斎藤 英雄 北原 格 大城 英裕 藤野 幸嗣 金出 武雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.633, pp.17-22, 2001-02-15
被引用文献数
4

現実空間を多数のビデオカメラで撮影した映像を統合して仮想化現実空間を構成し、臨場感の高いコミュニケーションを可能にすることを目指して進めているプロジェクトについて述べる。多数の2D映像と、それらを加工することにより構築される3Dモデルを、CV技術とCG技術を駆使してシームレスに統合することにより、受け手の視点選択の自由度と実時間性を両立させた自由視点映像スタジアムを開発していく。特に、多数の固定カメラと少数の可動カメラの併用により画質を飛躍的に向上させる技術を開発するとともに、現実のスタジアムの空間に複数のカメラを設営した大規模な実験を行うことによって、実用化のために要求される開発課題の検討を実証的に進めている。
著者
本山 智祥 首藤 晃一 奥村 康行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.622-633, 2005-03-01
被引用文献数
1

ユビキタスサービスの提供に向け, ハンドオーバ機能を有しかつ数十Mbit/sの広帯域サービスを提供可能にするシステムの実現技術が課題となっている.Mobile IPをベースにした方式など種々の取組みが行われているが, 瞬断時間性能やシステムコスト等の問題があり, まだ本命となる方式は明らかになっていない.我々は, Mobile IPをコアネットワークとし, その足回りとして, スヌーピングルータ(SR)と市販無線LAN装置を組み合わせたSRモバイルシステムを提案している.標準化が進んでいるMobile IPと, 低価格・広帯域化が進んでいる無線LANを, SRを介し連携させることにより安価でスムースハンドオーバ可能な広帯域モバイルサービスを実現することを目指すものである.本論文では, SRモバイルシステムの構成とハンドオーバ処理のための主要構成機能の設計について述べるとともに, 試作装置によるシステム実験結果を報告する.その結果, レイヤ3以上の制御のみで約200msの瞬断時間でハンドオーバが可能であることを明らかにするとともに, いっそうの短縮を目的とした瞬断時間の発生要因について考察する.
著者
岩崎 久雄 鈴木 康夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.95, no.5, pp.21-28, 1995-04-20
被引用文献数
7

CPW給電矩形パッチからなる片面アンテナと矩形パッチを重ね合わせた両面アンテナの入力インピーダンスと指向性を、誘電体基板の幅をパラメータとして明らかにした。また、2素子アレーアンテナを設計・試作し、入力インピーダンスと指向性を測定し、アレーアンテナの特性を実験的に明らかにした。片面・両面パッチアンテナの人力インピーダンスは、基板幅Wを短くするほど入力インピーダンスの抵抗成分は低下した。また、VSWRが2以下となる帯域幅は片面・両面アンテナとも約1.7%で従来のパッチの帯域幅と同等であった。水平面内で無指向な指向性なる基板幅Wは0.2〜0.3λ程度で、双方向な指向性となる基板幅Wは0.8λ以上であることが分かった。アレーについても、同様な結果が得られた。
著者
喜田 拓也 南 俊朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.172, pp.151-156, 2005-07-07

多くの図書館において所蔵文献の検索にはOPAC (Online Public Access Catalog)が用いられている.しかしながら, 歴史の長い図書館では古い資料の書誌データが電子化されないままであり, そのような資料はOPACで検索することができない.すなわち, 利用者は図書目録カードが入った引出しの前まで出向き, カードを一枚一枚めくりながら目的の資料を探さなければならない.このような状況を打開する手段として, 図書目録カードのすべてを画像データ化し, Web上でカードを検索できるシステムを我々は提案してきた.本稿では, 新たに改善された本システムの概要について述べる.
著者
山上 健 富永 浩之 林 敏浩 山崎 敏範
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.632, pp.135-138, 2006-02-25

近年,種々の分野においてe-Learningを含む教育利用のためのデジタルコンテンツの構築が盛んになってきた.このようなコンテンツ開発として,歴史的資料をデジタルコンテンツ化して,多用な教育分野での利用することが試みられている.本研究では、香川県(讃岐)出身の偉人である平賀源内の業績に着目する.江戸時代のマルチ人間として知られる平賀源内の業績は,科学技術から博物学,芸術まで広範囲にわたる.特に,科学技術に関する業績は,理科教育の教材や資料として有用なデジタルコンテンツ化が可能と考える.我々は,平賀源内の代表的な業績である「エレキテル」に着目して,エレキテルの模型を用いた放電現象の再現実験を通し,エレキテルの原理からの理解のため教育用デジタルコンテンツを開発する.この教育コンテンツはインタネット上でWWW公開し,電気学習用デジタルコンテンツとしても利用する.本報告ではこれらの実践について述べる.
著者
永野 元 秦 志新 賈 岸偉 加藤 嘉則 小林 正和 吉川 明彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.100, pp.37-42, 1997-06-17

六方晶構造が安定であるGaN(h-GaN)をGaAs(001)や3C-SiC(001)等の立方晶構造の基板上に成長することで, 立方晶構造のGaN (c-GaN)を作製できる. c-GaNはLDデバイス化に際し共振器や電極の形成がh-GaNに比べて容易であると考えられている. しかし基板表面や成長表面に凹凸が存在すると, c-GaN中には元々安定であるh-GaNが混在しやすく高品質なc-GaNを得るのが難しい. そこで, 本研究では原子状水素(H^*)を用いて清浄化及び平坦化を行ったGaAs基板上に, rf-MBE法によりGaNの成長を行った. その結果, GaN(002)X線ロッキングカープにおいてFWHMが90arcsecであるような, 高品質のc-GaNを得ることができた. これは, H^*により処理したGaAs基板表面が, 分子層オーダーで平坦でありそのステップ端に多数のキンクを持つため, 成長初期において成長核が一様, 高密度に生成し, GaNが一様に成長したためと考えられる.
著者
若菜 伸一 永井 利明 阪田 裕司 関口 英紀 伊藤 昭夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.137, pp.49-53, 2001-06-20

磁気ディスク装置の高性能化が進展しており、磁気ヘッドの開発においては高周波特性の把握が重要となっている。書き込み磁界の挙動を間接的に評価する技術として、ヘッド磁極部の高速な磁化状態の変化を光学的に観測するシステムを開発したので報告する。本システムは磁化状態を磁気カー効果による偏光回転を利用して検出し, ストロボサンプリング法により時間的変化を観測する。また、レーザ照射位置をスキャンすることにより、任意タイミングでの磁化状態分布を観測することも可能である。空間分解能0.2μm、時間分解能70ps、測定帯域5GHzを実現している。本システムの活用により、磁気ディスクヘッドの開発促進が期待される。
著者
桝本 潤 堀 雅敏 佐藤 嘉伸 村上 卓道 上甲 剛 中村 仁信 田村 進一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.2150-2161, 2001-09-01
参考文献数
13
被引用文献数
28

マルチスライスCTの実用化に伴い, 従来より格段に高速な撮影が可能になり, 造影剤を用いた肝臓CT撮影においては, 1回の呼吸停止間で臓器全体を2回撮影することが可能になった.これにより, 造影剤の循環状態が異なる二つの時相の3次元画像を, 位置ずれなく獲得できるようになった.我々は, 肝臓形状抽出を目的とし, これら2時相の造影3次元CT画像を用いた肝臓領域自動抽出法を提案する.まず造影剤注入直後とその十数秒後に撮影された2時相分の3次元画像から, 各軸にそれぞれの時相のCT値をとる2次元特徴空間を構成する.この空間において, 肝臓に対応する造影変化を示す領域を抽出し, これを用いて肝臓領域が強調された画像を生成する.次に生成した肝臓強調画像に対してオープニング, クロージング処理を行い, 肝臓実質領域を決定する.最後に血管・腫瘤などの幾何学的形状特徴を用いた3次元連結成分処理により, 最終的な肝臓領域を決定する.9症例に対して本手法を適用し, 二つの時相の画像を同時に用いることの有効性を確認した.
著者
石井 浩史 望月 研二 岸野 文郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1805-1812, 1993-08-25
参考文献数
12
被引用文献数
57

臨場感通信会議等の仮想環境システムへの応用を目的として,ステレオ画像の解析によって,人物の全身動作画像を仮想空間内に合成する方式について検討した.仮想環境システム等の応用を考えるとき,要求されるのが実時間性であるが,その点で,画像から人体の動きの十分な3次元情報をボトムアップ的に抽出するアプローチは現実的ではない.そこでここでは,実時間で抽出できる限られた情報から,いかに自然な人物動作を仮想空間に再現できるかという観点から,方式の提案・検討を行う.本方式では,ステレオ画像から差分情報と色情報を用いて頭部,顔,手の3次元位置を検討し,それらの位置情報から得られるパラメータの時系列から,連想記憶を用いたマッチングによって,データベースに蓄えた人物動作のモデル動作の時系列を推定する.モデル動作での頭部の移動方向および人体スティックモデルの各関節角度のデータをもとに,画像から得られた特徴点の動きに一致する人物の位置,方向,各関節角度を求め,人物動作の再構成を行う.数種類の動作の時系列によって構成される実画像を用いたシミュレーションにおいて,ほぼ自然な人物動作画像の合成結果が得られた.
著者
高橋 雄介 三橋 秀男 村田 一仁 則枝 真 渡邊 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.1048-1055, 2012-04-01
被引用文献数
1

他人とコミュニケーションするときや,動物や虫と接するとき,我々はそれらの存在に対して生物らしさを感じることがある.生物らしさに関する従来の研究では,非生物である視覚図形の相互作用的な動きに対して,あたかも生き物のような社会性や意図性を感じるという高次認知過程が示されている(アニマシー知覚).これに対し本研究では,心理物理学手法を用いた実験研究により,無意味な感覚刺激に対して触覚,視覚,聴覚で感じる低次の生物らしさについて検討した.周期的に変化する無意味な感覚刺激を0.5Hzから100Hzまでの様々な周波数で呈示し,被験者は刺激について感じる生物らしさの強さを評価した.その結果,全ての感覚に共通の傾向として,2Hz程度までの低周波刺激の方が高周波刺激に比べて強い生物性が感じられることが明らかとなった.ただし周波数依存性の詳細なパターンを検討した結果,特に触覚では刺激される身体部位により周波数依存性が異なること,視覚,聴覚における生物性では,視聴覚間の統合や相互作用が生じていることなどが示された.以上の結果から,ヒトは無意味な感覚刺激に対してでも周波数依存的に生物らしさを感じており,特に低周波刺激で強い生物性が生じることが示唆された.ヒトが感じる生物らしさには社会性や意図性を反映した高次認知に加え,刺激の統計構造を処理するような低次知覚過程も関与していると考えられる.
著者
浜田 聰 Serguei Moisseev Abdullah Al Mamun 中岡 睦雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.447, pp.33-40, 2000-11-10
被引用文献数
5

本論文では, 2石フォワード形PWM DC-DCコンバータを変形し, そのロスレスキャパシタスナバを含む回路トポロジーをベースとして, 出力側平滑インダクタにタップを設けるのみによる極めて簡単な手法で, 導通損失を増加させることなくしかもスイッチング損失を低減することが可能な低いノイズ・ローレスソフトスイッチングPWMインバータリンクDC-DCコンバータを提案している。まず, コンバータの基本回路構成を示すとともに動作原理を詳しく述べている。また, 定常特性を制作解析と試作実験による評価・検討を行い, 本提案の新方式コンバータ回路の有用性を検証している。
著者
徐 景 池庄司 雅臣 圓川 隆夫 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.726, pp.33-38, 2002-03-12

駅などでPHS基地局の無指向性アンテナから移動体で受信電界強度を測定した位置検出システムでは異なるプラットホーム上の基地局からの信号が該当プラットホームの基地局からの信号より高い場合はプラットホームを間違えてしまい、同じプラットホーム上の電波よりも異なるプラットホーム間からの電波がもっと強い場合が多いので低い精度を表した。それで、本研究では異なるプラットホーム上の基地局からの干渉を抑制するために指向性アンテナを利用した方式を提案する。その方式では電波吸収剤を用いて基地局アンテナに指向性を持たせることで不要な干渉を抑えることができるものである。そして、駅での高精度な位置測定が可能になり、利用者の不要な音声、データ通信ができ、移動制約者に正確なホームを識別させ、目的地までの経路案内ができる。この提案方式の有効性を確認するため、実際のJR高崎駅の構築された実験システムを想定し、計算機シミュレーションを行ない、提案方式が不要な干渉を抑え、さらに、位置検出精度も高いことが示されている。
著者
三浦 信冶 大西 重行 渡辺 創 嵩 忠雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.97, no.252, pp.75-85, 1997-09-12
被引用文献数
2

コンピュータネットワークを通じて入手できるディジタルデータの中には有料のものなど, データのコピーが制限されているものが存在する. しかしユーザに配布されたディジタルデータは容易にコピーすることが可能である. 現在, 不正コピーの対策として電子透かしの技術を利用した様々な手法が提案されている. ただしそれらの手法ではサーバの不正行為により無実のユーザに罪を着せることが可能である. 解決案として配布時にサーバだけでなくユーザも電子透かし法に参加することでサーバの不正防止を考えた手法が提案されたが, 不正者を特定できない場合が存在するという欠点を持っていた. 本論文ではサーバの役割を分散させることでこの問題を解決し, 最小限の通信量でサーバやユーザの不正行為を特定可能な手法を提案する.
著者
芳野 重俊 田崎 三郎 都筑 伸二 山田 芳郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27
被引用文献数
4

最近、高密度ディジタル記録においてビタビ検出技術は、PR(Partial Responce)技術と結びついて重要な役割を果たしている。このビタビ検出での問題点は、ACS操作の複雑さと、トレリス線図上の生き残りバスを遡りマージ状態を探索するために多くの処理時間が費やされることである。本稿では、バス形状マトリクスを使用した代数的探索法のバス形状マトリックスをロザリオ型に変更することで、より単純で高速化が可能な探索法を得たので提案する。
著者
伊藤 彰則 好田 正紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.2062-2069, 1996-12-25
被引用文献数
18

日本語連続音声認識のための新しい言語モデル作成法について述べる.英語のコーパスは単語ごとに分かち書きされているために,単語単位のN-gramが容易に作成できる.これに対して,日本語のコーパスは漢字かな混じり文で記述されているために,事前に形態素解析を行って形態素単位のN-gramを作成するか,あるいは文字単位のN-gramを使う方法が提案されていた.本論文では,これらの手法に対して「かな・漢字文字列によるN-gram」を提案する.この手法は,学習テキストから統計的に決めた単位でテキストを分割し,そのN-gramを求めるという手法である.この手法を用いれば,事前に形態素解析を行うことなくN-gramを作成することができる.テキスト分割の手法についてさまざまな方法を比較した結果,学習テキスト中の出現頻度によって文字列を選択する方法が最も良い性能を与えた.また,学習テキストと評価テキストを変えた実験を行った結果,いずれの条件でも従来法を超える性能を得ることができた.
著者
森 幹彦 山田 誠二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.487-494, 2000-05-25
被引用文献数
21

ブックマークエージェントは, ユーザが興味をもったURLを登録してあるブックマークファイルを参照し, ユーザ間で情報の共有を行うシステムである.このエージェントは, 既存の検索エンジンよりも効果的に情報の検索を行うことができる.ユーザがあるWebページをブラウジングによって探そうとしているとき, このエージェントはユーザの要求していると思われるWebページをブックマークの中から検索して, ユーザのブラウザにハイパリンクとしてのリストを提示することができる.更に, エージェントは他のユーザのエージェントと交信することにより, 他のユーザのブックマークの検索も行うことができる.小規模で興味の似たユーザからなるグループにおいてこのエージェントを用いることで, ブックマークというユーザによってあらかじめフィルタリングされている情報を利用できるため, ブックマークエージェントは既存の検索エンジンよりも適合率の高いWebページの提示が可能である.このことは, ブックマークエージェントの性能評価のため6人のユーザを使った実験により確認された.
著者
王 彩華 坂上 勝彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.1885-1894, 1998-08-25
被引用文献数
10

ステレオマッチングの信頼性と精度を向上するために, モーションステレオによって3次元物体形状を獲得する手法を提案する.本手法では, 2枚のステレオ画像のほかに, 物体を少しだけ動かして撮影したもう2枚のステレオの画像(合計4枚)を使う.まず, 4枚の画像から求められるステレオマッチングとオプティカルフローを, 背景が静止で物体が剛体である条件のもとで統合し4枚の画像間の対応を求める.ステレオ情報とモーション情報を同時に使うことによって, 従来のステレオ手法より信頼性の高いマッチングが得られる.更に, 4枚の画像の間の対応をアクティブネットで表し, 各ネットの内部ひずみ, 画像間の適合性, 視差と動きの整合性, 局所剛体性によって定義されているネットのエネルギー汎関数を最小化することによって, 4枚の画像の間の最適マッチングを求める.また, 剛体性のある動き領域(物体)を抽出し, 3次元物体形状を獲得することができる.いくつかの画像での実験結果はこの手法の有効性を示している.