著者
塩野 智樹 永瀬 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.96, no.342, pp.23-29, 1996-10-31
被引用文献数
1

データフローマシンは, ALUを物理的に並列個設けることにより, 低い並列度の複数のプログラムをカラーを変えて同時に実行することができるため, マルチタスク向きである. 一方, マルチCPUのデータフローマシンは高い並列度の問題にも対応できる. 但し, 個々のCPUでは, 逐次処理に近づく傾向がある. データフローマシンは逐次処理が遅いのでこれを改善するため, 新たに先行発火機能を提案する. これにより, シングルタスク/マルチタスク共に対応可能なデータフローマシンのアーキテクチャが得られる. また, 本方式はノイマン型のVLIWでマルチタスクを処理するときに生じるリソースの無駄が生じないという利点がある.
著者
金田 泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.352, pp.1-6, 2003-09-30
被引用文献数
4

電話にかわるべきコミュニケーション・メディアvoiscapeの概念を提案する.Voiscapeは,3次元オーディオ技術による仮想的な"音の部屋"をユーザ間で共有し,そのなかを自由に移動してさまざまなひとと会ったりわかれたりしながら多者間のコミュニケーションがおこなえるウェアラブルなメディアである.プレゼンスや周縁的情報の伝達を可能にし,電話におけるような1対1の会話から従来のメディアではできなかったさまざまなかたちのコミュニケーションまでをカバーすることによって,つながり感・安心感の共有や暗黙知の共有も実現されるだろう.この論文ではvoiscapeの使用場面や手順についてのべ,PC上に開発したvoiscapeのプロトタイプについてものべる.プロトタイプ上ではユーザは前方の様子を3次元グラフィクスによって確認しながらマウスをつかって部屋内を移動することができる.
著者
森岡 澄夫 柴田 直樹 東野 輝夫 谷口 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術
巻号頁・発行日
vol.96, no.299, pp.49-56, 1996-10-18
被引用文献数
5

加算器, 乗算器, ALUなど, 算術演算を行う組み合わせ論理回路が, そのワードレベル仕様F (整数上の論理式として書かれた入出力関係の記述) を正しく実現している事を, プレスブルガー文真偽判定手続きを用いて自動証明する方法と, 証明例について述べる. 証明は, いわゆるビットレベル検証 (各回路モジュールM_jごと, そのワードレベル仕様F_jがゲートレベルで正しく実現されていることの証明) とワードレベル検証 (各M_jの接続関係および各ワードレベル仕様F_jのもとで, Fが満たされることの証明) に分けて行う. 乗算など, プレスブルガー算術で直接扱えない演算を行う回路についても, その演算に関して数学的に成り立つ性質等を仮定することにより, 証明できる場合がある. 本手法の特徴は, 幾つかの工夫を行ったプレスブルガー真偽判定ルーチンを用いることにより, 各モジュールの演算ビット長 n が増えても, 回路中のモジュールの数や組合せ方が同じで, かつ仕様記述のサイズが n 依存していなければ, ワードレベル検証にかかる時間がほとんど増加しないことである. 例えば n ビット乗算器から 2n ビット乗算器を構成した場合のワードレベル検証を, 2分程度のCPU時間で行えた. ビットレベル検証についても, 演算ビット長が4ビット程度であれば, 例えば加減算・論理演算を行うALU (74382) について6分程度のCPU時間で行えた.
著者
尾上 耕一 西田 友是
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.282-289, 2003-02-01
被引用文献数
4

本論文ではコンピュータグラフィックスを用いて砂漠の景観をリアルに表示するための方法を提案する.まず,砂漠地形のモデリングについて議論する.砂漠地形は主に砂丘とその表面にできる細かいしま模様である風紋からなっている.それぞれを形成するためのモデルについて述べる.次に砂丘と風紋を組み合わせて砂漠の景観をレンダリングする方法について提案する.レンダリングでは砂丘の表面上に小さな凹凸である風紋を表現するためにバンプマッピングの手法を用いている.この計算の効率化のためにLODの手法を用いる.また砂漠の景観をよりリアルに表示するために,砂丘の影,風絞の影,砂埃を考慮している.最後にレンダリング結果として砂丘表面上の風紋,砂丘の影,風紋の影,の有無を比較した画像を作成しそれぞれの効果を示した.
著者
小林 大 山口 宗慶 花井 知広 渡邊 明嗣 田口 亮 林 直人 上原 年博 横田 治夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.355, pp.39-44, 2003-10-01
被引用文献数
1

データの格納や提供といったサービスは今やIT基盤の中核であり,例えバグフィックスや機能向上のためのソフトウェア更新であっても,そのためにサービスを中断することは許容され難い,高可用なデータ格納・提供のためのアプローチの一つとして我々は自律ディスクを提案しているが,自律ディスクにおいてもサービスを停止すること無くシステム構成ソフトウェアの更新を行えることが肝要である.本稿では自律ディスクに対して高可用なシステム更新手法を提案する.提案手法では物理ノード内に複数の仮想ノードを構成し,仮想ノード間での論理的なデータ移動を用いることで無停止かつ僅かな性能低下でシステム更新を行うことが可能である.また本手法について実装し実験を行った結果を用いてその有効性を示す.
著者
山田 英一 雨海 正純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.467, pp.83-86, 2007-01-11

本発表はワイヤボンディングプロセスのモデリング手法を開発し、ボールボンディング時のボール形状およびシリコン内部のストレス評価を行い、ワイヤボンド条件およびボンドパッド構造の最適化を検討したものである。シミュレーションはワイヤ、ボール、キャピラリ、ボンドパッドおよびその周辺部をデバイス内部薄膜層を含めてモデル化し、3次元非線形動解析で行った。また、モデリングと同条件で実際のワイヤボンドを行い、モデリング結果から得られたボール形状と比較し、モデルの妥当性について検証した。
著者
張 立 須山 聡 鈴木 博 府川 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.518, pp.359-364, 2008-02-27

移動通信において周波数利用効率の向上が期待されるインターリーブ多元接続方式(IDMA)に対して,チャネル推定を含むターボ信号検出を適用し,その伝送特性を明らかにする.IDMAとしては,周波数帯域を有効に利用できるOFDMを用いたMC-IDMA,別名OFDM-IDMAを検討する.送信側の誤り訂正符号は,畳み込み符号と繰り返し符号を結合して低符号化率にしたものを用いる.受信側はターボ信号検出を行い,繰り返し処理におけるチャネル推定にはソフト判定指向形チャネル推定(SDCE)を適用する.初回は符号化されたビットの対数尤度比(LLR)が分からないので,パイロット・シンボルを用いてRLSアルゴリズムによりチャネル推定を行う.データ区間ではそのチャネル・インパルス応答の推定値を用いて単純な軟判定を行い,さらにMAP復号器で誤り訂正符号の復号を行う.繰り返し処理では,MAP復号器からのLLRを用いてレプリカを生成し,受信信号との平均2乗誤差が最小になるようにチャネル・インパルス応答をLMSアルゴリズムを用いて推定する.計算機シミュレーションにより,提案したチャネル推定法を備えるMC-IDMAが良好な特性を実現できることを示す.また,MC-CDMAとの比較を行い,時間拡散および周波数拡散のMC-CDMAよりもビット誤り率(BER)が優れているが,チップインターリーブを行う周波数拡散MC-CDMAとBER特性が同等となることを示す.
著者
徳田 正満
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.93, no.68, pp.57-64, 1993-05-27

1993年3月9日〜11日に開催された第10回国際チューリッヒEMCシンポジウム・展示会に関する警告であり,シンポジウムで発表された一般論文の一部について,その概要を紹介している。紹介しているセッションとしては,「マイクロエレクトロニクスにおけるCADEMC設計」「近傍果効果」「試験サイトにおけるエミッション試験法」「雷による電磁界バルスとEMC」「プリント回路基板の設計とEMC上の制約」「線路における結合と伝搬」「大規模システムにおけるEMC解析」「EMCに関する装置と測定」「外部電磁界と結合」「TEMセル」であり,それらのセッションの中の大部分の講演を紹介している。
著者
二反田 直己 長谷山 美紀 北島 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.217, pp.7-12, 2002-07-11

シーンの境界であるシーンカットの検出法として,オーディオ信号の変化部に着眼した手法が提案されている.しかし,オーディオ信号にはしばしば無音部が挿入されるため,オーディオ信号の変化部にはシーンカットのみならず,有音部と無音部の境界が含まれてしまい,全ての変化部がシーンカットとは限らない.従って,オーディオ信号の変化部のみからシーンカットを検出することは困難となる.そこで本文では,オーディオ信号の変化部を検出し,変化部を境界として得られたセグメントを有音部と無音部に分類することで,高精度にシーンカットを検出する手法を提案する.また,提案手法はMPEG Audioで符号化されたデータに対し,復号せずに直接処理を行なうことが可能であり,MPEGで符号化された動画像でのシーンカット検出への適応が期待できる.
著者
有木 康雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.2421-2427, 1997-09-25
被引用文献数
32

本論文では, ニュース映像から個々の記事を自動的に切り出す方法を提案している. ニュース映像の各フレームを, 離散余弦変換(DCT)で圧縮し, このとき得られるDCT特徴でシーンカットを検出する. カット検出の従来法では, 隣接するフレーム間の差分をもとにしているため, 画像の一部または全体の明るさが変化する場合に, 誤検出が生じていた. 本研究では, 同一シーン中の連続するフレームは類似しているという性質に基づいて, ニュース映像中のフレームをクラスタリングすることによって, この問題を解決している. ニュース映像は「スタジオから現場に移りスタジオに戻る」というシンタックス上の構造をもっている. この構造は, 検出したカット点フレーム集合においては, ループとして観測されるため, ループ検出によってスタジオを推定し, 記事を切り出している. NHKのニュース30日分に対して実験を行い, カット検出率87.9%, 記事切出し率99.2%を得た. また, 民放3社のニュース10日分に対して, 記事切出し実験を行いその有効性を示した.
著者
Huu Bach Nguyen 篠田 浩一 古井 貞煕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.448, pp.13-18, 2004-11-12
被引用文献数
9

本論文では,野球放送からハイライトシーンを抽出することを目的として,ビデオデータをインデクシングするための統計的なフレームワークを提案する.マルチストリームの隠れマルコフモデルを用い,主成分分析による特徴量,フラクタル特徴量,差分特徴量の3つの特徴量間の重み最適化を行う.また,カメラショットの認識結果をシーン境界の検出に利用した.4.5時間の野球放送のダイジェストデータを用い,このフレームワークの有効性を確認した.8種類のシーンの認識率は76.8%となり,シーン境界検出のない単一ストリームHMMの場合に比べ,11.6ポイントの改善を得た.
著者
都甲 潔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.805-811, 1997-08-25
被引用文献数
4

快・不快や好き・嫌いといった感情は生物の生存にかかわる本質的応答である. 「感性」とは五感を総動員し, しかも過去の体験等も考慮して生じる感覚, 感受性である. 来るべき21世紀では, 感性に立脚した, 人に優しい技術について再考する時代であろう. 本稿では, 感性の中でも最もあいまいな感覚である味覚と嗅覚に客観的物差しを与えるセンサについて紹介する.
著者
竹永 勝宏 松尾 昌一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFT, 光ファイバ応用技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.69, pp.33-36, 2011-05-19

2011年3月6日から10日まで米国ロサンゼルスで開催されたOFC/NFOEC 2011における,光ファイバに関連するトピックスを紹介する.
著者
國中 均 高橋 慶治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PE, 電子通信用電源技術
巻号頁・発行日
vol.94, no.149, pp.39-46, 1994-07-18

宇宙科学研究所は、再使用型宇宙実験プラットフォーム「スペース・フライヤー・ユニット(SFU)」を用いた高電圧ソーラーアレイ実験を開発し、1995年2月より宇宙実験に供する。本実験は大電力光発電のための高電圧送電の技術を宇宙環境で検証することを目的としている。4つの太陽電池モジュールの直並列切り替え機能を実証し、さらに最大260Vの高電圧により誘導される電離層プラズマ干渉を計測する。宇宙実験の概要とプラズマ干渉に関するこれまでの基礎研究について紹介する。
著者
永瀬 裕晃 中原 雅一 後藤 賢二 安西 徳夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性
巻号頁・発行日
vol.97, no.283, pp.7-12, 1997-09-26

近年, 衛星への光学機器搭載の増加に伴い, 衛星に使用している有機材料からの脱ガス, 衛星の姿勢制御用推進装置からの噴出ガス等による分子状の汚染物質であるコンタミネーションが衛星及び搭載機器へ及ぼす影響が今まで以上に重要視されている. 本論文では約10ヶ月間の宇宙空間での実験を終え, スペースシャトルで回収された衛星である宇宙実験・観測フリーフライヤ(SFU;Space Flyer Unit)に関して, 熱制御系の回収後評価の一つとして実施したコンタミネーション分析結果について述べる.
著者
小幡 賢三 野口 健太郎 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.709, pp.9-15, 2002-03-07
被引用文献数
1

我々は,コンサートホール等の大規模建築空間における音源位置推定法を検討している.この音源位置推定は,演出効果に用いられる音像定位の操作を自動化するために必要である.本稿では,3つのマイクロホンで音声信号を受信し,ノッチバンドパスフィルタによって音声からホルマントを抽出し,各マイクロホン間のホルマントの位相差を用いて,一受信点測位法により音源位置推定を行うための基礎特性を与える.位相差検出方法として,零交差情報とフーリエ係数から求める2つの手法を検討し,一般的な位相差検出方法である相互相関を用いた手法との比較を行う.計算機シミュレーションにより,音源位置推定性能を明らかにし,実際のシステムを構築し,その評価を行う.
著者
毛利 公美 高橋 秀郎 広岡 俊彦 曽根 直人 森井 昌克
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OIS, オフィスインフォメーションシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.69, pp.13-18, 2004-05-14
被引用文献数
1

ソフトウェアの脆弱性を利用した不正アクセスやDoS攻撃からネットワークシステムを守るためには,現行のシステムで使われているソフトウェア名やそのバージョンを把握した上で,脆弱性に関する最新情報をこまめに収集し,必要ならばソフトウェアのアップデートを行う等の対策が必要となる.先に,著者らはネットワーク管理者の負担を軽減するためにサーバソフトウェアの脆弱性に関する情報収集およびバージョンの確認を自動化し,危険度を報告するシステムを提案した.本稿では,サーバソフトウェアだけでなく,クライアントのOSに関する脆弱性検査にも対応できるように改良を加えた脆弱性自動監査システムを提案する.提案システムでは,検査対象ネットワーク内に存在する全てのWindowsクライアントを検出し,それぞれのクライアントに対してWindows修正プログラムがインストールされているか否かを検査することが可能である.
著者
安藤 彰男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.523, pp.43-48, 2000-12-15
被引用文献数
7

平成12年3月27日から、NHKニュース番組「ニュース7」で字幕放送が開始された。この字幕放送は、音声認識技術を利用して、リアルタイム字幕を試みた世界でも初めての例である。テレビニュース番組に対する字幕放送を実現するためには、リアルタイムで字幕原稿を制作する必要がある。日本語の場合には、仮名漢字変換などに時間がかかるため、アナウンサーの声に追従して字幕原稿をキーボード入力することは困難であり、いままで、我が国ではニュースの字幕放送は実現されていなかった。そこで、音声認識技術を利用することとした。本稿では、「ニュース7」字幕放送を実現するために開発したニュース音声認識システム、及び音声認識結果を人手で即座に修正するシステムについて解説する。