著者
山下 育男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = THE JOURNAL OF THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, INFOMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.721-726, 2008-08-01
参考文献数
14
被引用文献数
2

光ファイバの利用として,光ファイバを介してエネルギー伝送を行う光ファイバ給電がある.高出力の光をファイバで伝送し,受信端でこれを電気変換して負荷に供給するという単純な手法であるが,強電磁界中でも安定した直流電力が供給できるといった特長を備える.この技術について素子や基本特性を概観するとともに,電力会社における特色のある利用例として,送電鉄塔などの高圧設備の至近へのカメラ設置をねらいとした,CMOSカメラやディジタル一眼レフカメラの光給電による駆動に関する取組みについて紹介する.
著者
Nishihara Isao Nakano Shizuo
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.373, pp.193-196, 2009-01-05

There is strong demand to create wearable PC systems that can support the user outdoors. When we are outdoors, our movement makes it impossible to use traditional input devices such as keyboards and mice. We propose a hand gesture interface based on image processing to operate wearable PCs. The semi-transparent PC screen is displayed on the head mount display(HMD), and the user makes hand gestures to select icons on the screen. The user's hand is extracted from the images captured by a color camera mounted above the HMD. Since skin color can vary widely due to outdoor lighting effects, a key problem is accurately discrimination the hand from the background. The proposed method does not assume any fixed skin color space. First, the image is divided into blocks and blocks with similar average color are linked. Contiguous regions are then subjected to hand recognition. Blocks on the edges of the hand region are subdivided for more accurate finger discrimination. A change in hand shape is recognized as hand movement. Our current input interface associates a hand grasp with a mouse click. Tests on a prototype system confirm that the proposed method recognizes hand gestures accurately at high speed. We intend to develop a wider range of recognizable gestures.
著者
福島 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.457-462, 2008-03-05
被引用文献数
1

視覚パターンの一部がほかの物体で覆われて隠されていても,われわれ人間は,見えている箇所の輪郭をもとに,隠されている箇所の輪郭の形状を推測することができる.このようなアモーダル補完の能力を持つ神経回路モデルを提唱する.モデルは,ボトムアップとトップダウンの信号経路を持つ階層型多層神経回路である.特定の方位のエッジに選択的に反応するV1野の細胞や,輪郭の折れ曲がりの角度に選択的に反応するV2野の細胞などを持っている.モデルは,折れ曲がり抽出細胞の出力をもとに,隠されている輪郭の曲率と位置を予測し,輪郭を少しずつ外挿していく.種々の刺激パターンに対して,心理実験で観測されるようなアモーダル補完が行なわれることを計算機シミュレーションで示す.
著者
星 岳彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.95, no.9, pp.779-783, 2012-09-01

少子化,高齢化に伴って,我が国の農業,植物生産のあり方も大きく変化しようとしている.植物工場などの施設植物生産も例外ではなく,施設面積の減少,競争の激化,内需の縮小に対応し得る,新たな植物生産システムの構築が急務である.植物の成育には環境が大きな影響を及ぼす.生産現場における,この環境の低コストセンシングによる可視化,ディジタル化と,植物生体情報・労務情報・市場情報との連携は重要である.そこで,自律分散環境計測制御システムであるユビキタス環境制御システム(UECS)を中心とした,施設植物生産における今後のセンシング・コントロール・アプリケーション開発の方向性について解説した.
著者
清水 友樹 バール ラジェンダール 坂田 雅雄 浦 環 柳澤 政生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.590, pp.19-24, 2005-01-19

海中の生態環境は謎に包まれている部分が多く, 昨今工学的視点からその生態を探ろうという試みが多くなされている.現在我々はその手法の一つである, 自律型海中ロボットによる海中生物の調査を行っている.ターゲットとしている生物は, 捕食のために2000mもの深海に潜るとされ, 生態が明らかでないマッコウクジラである.本稿では, マッコウクジラの発する音声を解析するシステムをFPGAにより実装し, 個体識別と方位角, 俯角等の位置情報を推定する手法を提案する.
著者
平松 裕子 島田 文江 伊藤 篤 佐藤 文博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.320, pp.13-18, 2011-11-19

ユビキタス社会の中では子どもも情報の波の中で生活する.身体的直接的なコミュニケーションが他者との関係をつくり,具体的な対象理解が中心である小学生に通信によるコミュニケーションの学習は可能か.インターネット上でどのような場をつくることができるのか.小学4年生の短歌学習実証から,言語使用にみられる子どもの認識の変化など,目的を持った使用の有効性,教育効果,子どもの認識を考察する.
著者
新見 道治 野田 秀樹 河口 英二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.608, pp.13-18, 2000-02-03

濃淡画像に対する準可逆画像圧縮法を提案する.本手法は, ビットプレーン分解して得られる二値画像を可逆圧縮する方法をベースにしている.この場合, 雑音パターンが画像上に出現すると圧縮率が上がらない.そこで, 雑音パターンを規則的なパターンで置き換えることで圧縮率の向上を狙う.雑音パターンか否かは雑音度なる尺度をもとに判定する.雑音領域と判断された領域は市松模様と置き換える.上位ビットプレーンの雑音パターンの情報のみ保存し, 下位ビットプレーンの雑音パターンは復号化時に擬似乱数で近似する.この近似により再生画像に歪みが生じることになる.実験では, 高PSNRにおいては本手法が有効であることを確認した.

1 0 0 0 自動採譜

著者
嶽間沢 昌秀 森田 英輔 秋山 稔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

メロディーを聞いてそれを楽譜として表すことは、高度な聴音能力や音楽知識のない一般の人にとって非常に困難なことである。しかし、コンピュータを使って採譜処理を自動的に行うことができれば、特別な能力のない人でも採譜することができる。今回の研究の目的は、デジタル録音された音響データをもとに楽譜を作成するプログラムを作り、コンピュータを用いて自動採譜を行うことである。
著者
山本 裕一 山本 耕一郎 徳田 功 長島 知正 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.204, pp.15-20, 2000-07-12
参考文献数
11

人の発声する母音は, 一般にピッチと呼ばれるほぼ同じ形状をした単位波が繰り返される基本構造を持つが, 繰り返されるピッチ毎にその周期間隔および波形は微妙に"揺らぐ"ことが知らされている.この母音に含まれるピッチの"揺らぎ"は, 母音が人間的で自然な発声音として知覚されるために必要不可欠であることが分かってきた。現在の主流な音声合成法の一つである線形予測符号化法でも, 人間的性質持った母音を合成するために, 自然なピッチ揺らぎを再現することはきわめて重要である。そこで本論文では、「線形予測符号化法の枠組で自然な音声を合成するために重要な要素は何か?」について比較検討を行なう。
著者
金城 良治 土本 悠治 長山 格
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.594, pp.49-54, 2002-01-17
参考文献数
18
被引用文献数
4

会話によるコミュニケーションでは, ノンバーバル(非言語的)情報として発話に込められた喜怒哀楽などの感情表現が大きな役割を果たしており, 円滑な情報伝達や意思疎通に重要な影響を与えている.本研究では, 人間による自然言語発話に含まれる感情情報を検出し自動判別することを試みた.これにより, マン・マシンインターフェースにおいて感情判別を含む高度なコミュニケーションの実現と, さらに次世代型の感性情報処理方式としての発話者の意図・思考の推定などへの応用の可能性を探る.本論文では, 発話における韻律的特徴の時間構造に注目し, 4種の感情の判別実験を行った.これにより, 新規データの自動判別において平均73%程度の認識率を達成した.また, 同じ新規データに対して人間による感情判別を行ったところ認識率は77%であった.
著者
中岡 美華 是津 耕司 白田 由香利 田中 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.178, pp.55-60, 2004-07-08

近年,ブロードバンドネットワークの家庭への普及と情報教育の推奨により,幼少者も検索エンジンを利用するようになった.しかし,今日のWeb情報検索では,検索の時点で欲しい情報を表す正確なキーワードを知っている事,自身の求めているモノに対する一般抽象化されたキーワード表現ができるようになっている事が前提とされ,幼少者の情報収集は極めて困難である.本研究では,一般抽象化能力が未発達な幼少者のためのWeb検索手法を提案する.具体的には,幼少者がモノをその名前や記号よりも,そのモノが自らの生活圏のどの場面で見たのかということに対応づけて記憶している点を利用し,幼少者からの断片的な検索質問をもとに検索質問を修正する手法を提案する.
著者
大川内 隆朗 大谷 淳 米村 俊一 徳永 幸生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.332, pp.13-18, 2011-12-01

本論文では,非同期型(オンデマンド型)e-learningシステムにおける講義の改善のために重要な,学習者の主観的難易度の把握方法の基礎的検討を行う.非同期型e-learningシステムでは,対面型の講義とは異なった,学習者の主観的難易度把握法が必要である.具体的には,講義のテープの巻き戻しや一時停止などについての時系列的な挙動が,主観的難易度を反映すると考えられる.数名の学習者を対象に実験を行い,e-learning講義受講中の行動データを取得するとともに,授業後に学習者に対してインタビューを行った.その結果,巻き戻しの回数や,一時停止の時間の長さなどが,学習者自身がそのときに感じている,講義内容に対する理解の困難さと関係のあることが確認できた.
著者
高橋 俊允 冨岡 亮太 山西 健司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.476, pp.169-176, 2011-03-21

拡大しつつある話題のリアルタイムな検出は,ソーシャルネットワーキングサービスの普及などによる,リアルタイムなコミュニケーションの発展により重要性を増している.従来はデータが持つ自然言語情報の解析による話題検出が中心であったが,近年はインターネットの発展などによりコンテンツが多様化し,自然言語情報のみによる話題検出はより困難になってきている.そこで本研究ではソーシャルネットワーク上の投稿に対して,それらが持つリンク情報すなわちユーザ間の言及関係を用いた話題拡大の検出手法を提案する.リンク情報について確率モデルを設定し,それに基づく変化点検出によって話題の拡大を捉える.また,Twitterの実データを用いて実験を行い,キーワードの出現頻度による検出と比較した結果,話題拡大の検出に対する提案手法の有効性を確認することができた.
著者
須田 克朗 守屋 宣 井上 美智子 増澤 利光 藤原 秀雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.98, no.562, pp.9-15, 1999-01-23

時間タイマを持つ分散システム上での線形化可能性を保証する共有レジスタの無待機な実現を考察する.すべてのプロセスに既知で, 0<u<dである定数d, uに対し, すべてのメッセージ遅延は[d-u, d]の範囲であることを仮定する.本稿では, read操作の最悪応答時間がd, write操作の最悪応答時間がuであるような線形化可能な実現を示す.さらに, この実現は無待機であること, すなわち, 任意個のプロセスの停止故障に耐性があることを示す.
著者
大坊 郁夫 松山 早希 藤原 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.393, pp.21-26, 2012-01-13
被引用文献数
1

本研究の目的は,解決課題の有無を条件とした4人集団会話におけるコミュニケーション行動と葛藤認知,心理的な満足度等の評定との関連について,個人の社会的スキル,パーソナリティ特徴,参加者の性差等の観点から検討することである.本研究の対象は男女大学生による約35分間の話し合い59組(課題解決条件45組,チャット条件14組)であった.課題解決条件は意見を出し合うことに伴う葛藤が高まりやすいものの,同時に参加度,満足度も高かった.また,時間内に正解に達した組では関係葛藤や参加度が高かった一方で,非言語的な表出スキルは必ずしも要されていなかった.チャット条件では社会的外向性や非言語的な表出スキルなどの個人特徴が有意な効果を示していた.話し合いに対する満足感は,課題解決条件では話し合いへの積極的な関与が,チャット条件ではメンバーへの配慮が各々重要な要因であった.集団場面での課題解決には主張,他者認知,傾聴,関係調整等の多くの社会的スキルが必要になり,トレーニングの有効なプログラムとして今後の活用がさらに期待される.
著者
島 広樹 武藤 佳恭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.536, pp.17-23, 2002-01-03

エージェントベース社会シミュレーション(ABSS)は現実世界との乖離を抑え、実用性を模索する方向に進めていくべきだ。このための鍵は適切な調査を実施することである。ABSSのための調査には、モデル構築のための調査とパラメータ設定のための調査がある。前者は自由度の高い調査を利用し、論理的規則の抽出や構築したモデルの適用範囲を把握するために利用する。後者はエージェントのモデルを反映した複雑な構造を持つ調査によって、個々のエージェントを定義するために利用する。パラメータ設定のための調査には、数値的尺度を調整するためのものと論理構造を調整するためのものがある。
著者
奥村 学
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.427, pp.19-24, 2012-01-26
被引用文献数
1

Yahoo!知恵袋などのcQAサイト,口コミ(レビュー)サイト,ブログTwitterに代表されるマイクロブログなど,今やCGM (Consumer Generated Media)あるいはソーシャルメディアと称されるメディアは,WWW上に多種多様に存在する.本稿では,その中でも特に,近年爆発的な普及を遂げているマイクロブログを分析する技術を,ブログ分析技術と対照しながら,解説する.
著者
中田 侑輝 上岡 英史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.219, pp.7-12, 2012-09-20

近年のソーシヤル・ネットワーキング・サービスの著しい発展により誰もが簡単に情報を発信することが可能となった.これらのサービスは企業の広報などにも利用されており,個人においても有効に活用することで世間に対して影響を与えることが可能である.そこで本稿では,影響を与え得る投稿文の文法的特徴抽出を行い,誰もが再現できるようなパターンを導き出す.本稿で利用した文法的特徴は,投稿文における品詞の割合及び品詞列の割合である.これらについて,影響力のある投稿と一般的な投稿とで比較,考察した.
著者
森田 一 高村 大也 奥村 学
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.119, pp.89-93, 2011-06-30

本研究はblog等のWeb上のテキストから.製品等についての評価表現を対象語,属性語,評価語の三つ組として抽出することを目的としている。この三つ組抽出を,文に対する系列タギング問題の一種として解くことで,一語に限らない多様な表現の抽出を行う。評価表現では対象語とその属性語が評価語と強く関連しているため.対象・属性語と評価語の結びつきの強さを含めて学習を行う枠組みを提案する。このため,本研究では構造学習の枠組みを用いて文に対するラベル系列を学習する.文とラベルに対して素性ベクトルを定義し,文とラベルをモデルで評価したスコアを最大化するように,Viterbiアルゴリズムを元にしたアルゴリズムでラベルを探索する.学習にはオンライン学習アルゴリズムのPassive Aggressive Algorithmを用い,正しいラベル系列が探索空間中でスコアが高くなるよう,モデルを更新することで行う.Web文書に対して評価表現の三つ組がタグ付けされたコーパスを用いて,提案手法の実験を行った結果を元に,手法の問題点とその解決策についての考察を行う.