著者
関口 俊一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.457, pp.85-90, 2011-02-28

AVC/H.264に次ぐ新しい国際標準映像符号化方式を策定するプロジェクトHEVCの最新状況を報告する.HEVCはISOとITU-Tの共同作業として,2013年初頭の規格化完了を目指している.本稿ではHEVC標準の候補となっている技術の概要と活動状況について概説する.
著者
涌井 達彦 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.473, pp.89-94, 2000-11-23
被引用文献数
13

本稿では, CAM(一致検索機能を有する機能メモリ)を使用したプロセッサを対象とするハードウェア/ソフトウェア協調合成システムを提案する.本システムではC言語で記述されたCAM機能を使用したアプリケーションプログラムおよび面積/時間制約を入力とし, 制約を満足するCAMとマイクロプロセッサユニットで構成されるCAMプロセッサの論理合成可能なハードウェア記述およびCAMプロセッサ上で動作するバイナリコードを出力する.本システムCAMの並列処理を担う各機能モジュールをハードウェアで実現するか, ソフトウェアで代替するかを分枝限定法により決定する.計算機上に実装した本システムにアプリケーションプログラムおよび時間制約を入力した結果, 制約を満足するCAMプロセッサのハードウェア記述およびバイナリコードが得られた.
著者
大内 智 金川 明弘 太田 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.1805-1807, 1993-12-25
被引用文献数
1

信頼性受入れ試験に関して,試験時間ならびにサンプルアイテムの個数といった観点から,効率の良い検査方式として,ロットの合否判定領域を多段に設けるマルチステージ方式が考えられている.しかしながらこの方式は,たとえアイテムの寿命分布に指数分布を仮定したとしても,ロット合格確率の表現が複雑で,目標とする検査方式を得ることは一般には困難である.本論文では,マルチステージ検査方式において,判定保留となったときに,故障した試験サンプルをすべて取り替える方式を採用することにより,合格確率を陽な形式で与えた.その結果,マルチステージ検査方式の容易な設計を可能とした.
著者
松迫 拓朗 渡辺 裕司 大畠 賢一 山下 喜市 安井 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFT, 光ファイバ応用技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.52, pp.51-56, 2007-05-17

近年、電気式システムに代わるものとして、光ファイバセンサを用いたセンシングシステムの研究開発が活発に進められている。本稿では、FBGを用いたセンシングシステムのOTDR高速・高精度計測方式の提案と実証試験の結果について報告する。本システムでは、光源には波長可変光源を、外部変調器に偏波の影響が少なく、光増幅機能を持つSOAを導入した。連続走査された送信光をSOAにてスイッチングしてプローブ光パルスを生成し、このパルスの波長を送信側で特定する送信波長連続走査・特定方式とFBGのスペクトル特性の傾き(微係数)から中心波長を特定するスペクトル微係数検出中心波長特定方式の考案による高速・高精度計測の実現に本研究の特徴がある。実証試験では、送信波長連続走査・特定方式を用いた場合のシステム基本動作確認とFBG中心波長特定評価を行い、従来方式の8倍の高速化と2倍の高精度化が可能である見通しを得た。
著者
關岡 直城 高橋 友和 井手 一郎 村瀬 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.674, pp.277-282, 2006-03-10
被引用文献数
8

大容量HDDの普及による映像の大量蓄積に伴い,ユーザの所望するシーンを自動検出し,提示する技術が求められている.これを受けて本報告では,ニュース映像における演説やインタビューなどのモノローグシーン検出手法の提案,及びそれらを用いたニュース発言集の自動作成を試みる.モノローグシーン検出では,画像・音声・テキスト情報を用いた統合メディア処理により既存の手法を効果的に組み合わせることで,入力映像のみを情報源とした自動検出手法を提案する.発言集の作成には,クローズドキャプション中の人名による,各モノローグシーンの名前の対応付けにより,登場人物の発言集の作成を試みた.実験の結果,モノローグ数の最も多い上位3名の登場人物に対して,平均再現率37%,平均適合率52%の発言集の正答率が得られた.
著者
梶原 大輔 上浦 大智 藤田 貴大 前田 香織 相原 玲二 西村 浩二 岸場 清悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.409, pp.81-86, 2005-11-10
参考文献数
5
被引用文献数
5

MAT-MONETは筆者らが提案している複数インターフェースに対応したモバイルネットワークアーキテクチャである.本稿ではDHCPやルータ広告に相当する, MAT-MONETにおけるアドレス割当プロトコルについて述べる.また, モバイルルータが多段で構成されたモバイルネットワークにおいてモバイルルータの移動情報を配下のモバイルルータやモバイルノードに伝えるための移動通知プロトコルについて述べる.このとき, モバイルノードは複数インタフェースをもつことを前提としており, 移動通知情報にはインターフェースの優先度が含まれる.
著者
森 幸男 相川 直幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.334, pp.13-18, 2002-09-18
被引用文献数
3

FIRディジタルフィルタは常に安定であり,パルス通信や高速データ通信などの分野では実用上重要なフィルタである.FIRフィルタは完全な直線位相特性を実現する場合フィルタ係数が対称となるため,群遅延はフィルタ次数の半分となる.そのため,急しゅんな特性が要求されると大きなフィルタ次数が必要となり,その結果遅延時間が増大し,実時間処理において問題となることがある.近年,このような問題を解決するために,低遅延FIRフィルタの設計法が検討されている.しかし,帯域通過FIRフィルタの設計法については,逐次近似法を用いた通過域最大平たん阻止減等リプルであるフィルタの設計法が報告されているに過ぎない.そこで,本報告では,通過域平たんかつ伝送零点を持つ低遅延帯域通過FIRフィルタの,数学的に閉じた形の伝達関数を提案する.本方法では,指定した周波数において任意の平たん度と群遅延を持ち,かつ指定した伝送零点を持つ伝達関数が与えられる.提案する伝達関数は数学的に閉じた形であるため,設計が容易であるという特徴がある.
著者
深江 誠司 相川 直幸 佐藤 正光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.1192-1196, 1997-07-25
被引用文献数
31

逐次射影法は, 周波数領域や時間領域に制約のある実係数直線位相FIRフィルタの設計問題のような実近似問題を解くことができる. しかしながら, インパルス応答に対称性のない実係数FIRフィルタや複素係数FIRフィルタの設計問題は複素近似問題となり, 従来提案されている逐次射影法では直接解くことができない. そこで本論文では複素近似問題をそれと等価な実近似問題に変換することにより, 逐次射影法を用いてそれらのフィルタを設計する方法を提案する.
著者
石田 広幸 渡辺 義智 谷口 正成 高木 相
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.15, pp.5-9, 2003-04-11
参考文献数
8

微小ステップ的開離システムは,接点ギャップをステップ的(約0.5μm/ステップ)に増やすことができる。接点ギャップに形成されるブリッジが熱平衡に近づいた状態から次のステップ的開離が始まるので,ブリッジ現象を詳細に調べることができると期待できる。本論文では,加熱器によってAg接点とPd接点を暖めて,接点をステップ的に開離して,接触電圧波形を観察する。陰極を加熱して,温度を高くしたことが接触電圧波形に影響を及ぼした。接触電圧がステップ的開離に同期せずに凸形に変化する波形が室温下ではみられたが,陰極加熱によって抑制された。
著者
田中 輝和 的野 春樹 石川 亮 我妻 壽彦 水野 皓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.287, pp.49-56, 2003-08-27

ミリ波は雨,霧,塵,炎等を透過する.またあらゆる物体から熱輻射によるミリ波が放射されている.これをイメージング技術に応用すると,火災時の物体のイメージング,噴煙火山の観測,衣服の下の武器や爆発物等の検知が可能になる.我々は35GHz帯パッシブ・イメージング装置を開発しており,そこでは,高感度,低雑音,広帯域のデバイスが要求される.本論文では,実時間観測を可能とするイメージングアレイの平面構造受信素子に装着する広帯域検波回路の設計と実験について述べる.広帯域に亙って整合をとるために,通常のテーパー線路型整合回路の設計手法に改良を加え,8GHz (23%)の整合帯域をもつ回路の開発に成功した.またこの回路を実際にアンテナ・受信回路一体型の受信機へ応用して,ミリ波帯パッシブイメージングを行った結果を示す.
著者
堀川 和彦 小野寺 武 三浦 則雄 松本 清 都甲 潔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.228, pp.85-88, 2006-09-01
被引用文献数
1

現在,爆発物の探知には訓練された犬や金属探知機などが使用されているが,これらの方法には信頼性,コストなどの面で多くの課題がある.そこで本研究では,抗原抗体反応と表面プラズモン共鳴(SPR)センサを組み合わせたSPR免疫センサを用いて,爆薬であるトリニトロトルエン(TNT)の検出を行った.このとき置換法と呼ばれる検出方法を用い,この置換法に用いる複合体抗原の種類を変えることでTNT検出下限にどのような影響が現れるかを調べた.その結果,複合体抗原-抗体の自然解離が大きい複合体抗原を用いることで検出下限を低下させられることが示唆された.
著者
和田 泉 村山 伸樹 音成 龍司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.95, no.501, pp.31-36, 1996-01-27
被引用文献数
2

誘発電位の遅期成分(P300)は, 被験者の心理状態すなわち呈示された刺激への関心や評価などにより振幅が変化することが知られている. これを事象関連電位という. 今回の実験では, まず2種類のランドルト環のうち一つをまれに呈示し(Target), もう一つを頻繁に呈示した(Non-Target). Target刺激時のP300の振幅はNon-Target刺激時よりも有意(P<0.01)に大きかった. また, この振幅はTarget刺激の呈示頻度の増加に伴い減少する傾向にあることがわかった. 次に, 1人は面識のある人物, 残りの9人は面識のない人物の顔写真をランダムに被験者に呈示し, この時のP300の変化を検討した. その結果, 面識のある顔写真呈示時に対するP300の振幅は, 面識のない顔写真呈示時に比べて有意(P<0.001)に大きかった. しかしながら, ランドルト環呈示課題のP300の振幅と比べると小さかった.
著者
中尾 正博 粟沢 晃 野中 和明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.156, pp.11-15, 1999-06-25

通信放送技術衛星(COMETS)「かけはし」は平成10年2月21日に種子島宇宙センターから打ち上げられた。COMETSはH-IIロケット2段エンジンの早期燃焼停止により、計画されていた静止トランスファー軌道には投入されなかった。 このため、可能な限り実験を行うため、COMETSに搭載されたアポジエンジン噴射により、軌道変換を実施した。 ロケット打上げ後のCOMETSの運用について、その運用概要を報告すると共に、本軌道運用の評価についても併せて報告する。
著者
谷川 高穂 山縣 保司 白井 浩樹 杉村 啓世 和気 智子 井上 顕 佐甲 隆 坂尾 眞人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.1, pp.17-22, 2007-04-05

MIMキャパシタを用いた混載DRAMデバイス技術について報告する。我々は150nm世代よりLowパワーかつ高速アクセス性能を持つ混載DRAMを実現するために「Full Metal DRAM」技術と呼ぶセル技術を導入した。本技術の特徴はセルの寄生抵抗を低減できることと、標準CMOSロジック性能との完全互換性が得られることである。90nm世代からは、High-k容量絶縁膜(ZrO2)技術を導入して、セルサイズの縮小を図り、さらに55nm世代からHigh-kゲート絶縁膜(HfSiON)技術を導入することによりデバイススケーリングと性能向上を図る。
著者
木原 雄治 岡村 怜王奈 中嶋 泰 井筒 隆 中本 正幸 吉原 務
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.725-734, 2006-10-01
被引用文献数
1

DRAM技術とSRAMで実績のあるTFT技術を用いた新しいメモリセル技術を用いて,16Mビットの低消費電力SRAM (SuperSRAM)を開発した.微細化が進むことでソフトエラー,V_<CC>下限動作等の問題が顕在化し,大容量化を進めていく上での難易度が高くなりつつあるSRAMに対し,小面積化が可能なDRAMメモリセル技術を用いてコストの上昇を伴うことなく諸問題を解決するとともに回路技術を駆使して非同期動作のSRAMとの完全互換を実現した.主に設計的観点から当デバイスの特徴を述べる.
著者
田中 俊靖 佐野 晃正 松村 健二 和田 秀彦 松崎 圭一 若林 寛爾 金馬 慶明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.248, pp.31-36, 2006-09-08
被引用文献数
1

従来のDVD用ピックアップ並の大きさで、2層BDへ2倍速記録再生の実現と、BD/DVD/CDの全互換記録再生を達成した。2つの対物レンズをタンジェンシャル方向に配置しており、BD用の対物レンズはスピンドルモータの中心を通るシーク中心線を外れているが、1ビームトラッキング方式を改良して安定なトラッキングエラー検出を達成した。BD光学系の小型化と高光利用効率を両立するため、ビームシェーパを用いた。ビームシェーパは光源の発光点との相対位置ずれに非常に敏感であるが、新構造により安定保持も確立した。
著者
佐々木 力 小林 修 田上 敦士 長谷川 輝之 阿野 茂浩 長谷川 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.89, no.8, pp.1379-1389, 2006-08-01
被引用文献数
4

本論文では,マルチキャスト配信時間という現実的制約に着目し,LT符号を用いた蓄積型コンテンツ配信における効率的な信頼性保証技術について提案する.近年,インターネットやモバイル網上でのマルチキャスト配信を対象とした低負荷で高い回復能力を有するFECとして,XOR演算に基づいたerasure codesが注目されている.特に,LT符号は,配信時間の拡大に伴い信頼性が向上するため,全受信者への配信が完了するまで配信を継続すればよい.しかしながら,マルチキャスト帯域の有効利用やサービス提供上の制約等により,1コンテンツ当りのマルチキャスト配信時間が固定されることが想定される.このような場合,すべての受信者への配信を保証するために,配信が完了していない受信者が差分データを送信者に直接要求するユニキャストベースの回復方式が必要である.我々はLT符号の特徴を考慮した要求データ選択手法を提案し,計算機シミュレーションにより有効性を確認した.
著者
二宮 敬虔 橋本 樹明 紀伊 恒男 前田 健 斎藤 徹 玄葉 麻美 高安 星子 卯尾 匡史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.93, no.254, pp.9-16, 1993-09-30

『あすか』は1993年2月20日、鹿児島宇宙空間観測所より打ち上げられたX線天体を観測する科学衛星である。全天に散らばるX線源を効率よく観測する為に高いマヌーバ性能が姿勢系に要求されている。また、X線源の微細な構造を調べる為、高分解能のX線望遠鏡が搭載されており、その性能を最大限に活用するため高いポインティング性能を実現している。本論文では、『あすか』姿勢系の中で特に定常ポインティング性能を支配するオンボード姿勢決定系に関して、その設計思想・設計性能及び軌道上性能を中心に報告する。