著者
小西 善彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-09-18

アクティブフェーズドアレーアンテナ(APAA)は,平面(曲面)状に多数配列された素子アンテナ(素子)からマイクロ波信号を放射し,各素子からの信号の位相を制御することで,ビーム走査やビーム成形を自由に行うことができるアンテナである.APAAは従来主にレーダシステムで用いられてきたが,その高機能性からSPS2000などの電力伝送や通信での実用化が期待されている.ここでは,電力伝送にAPAAを適用する場合の特徴を述べ,APAAを用いる場合に必要となるビームポインティング法について示す.
著者
永野 秀尚 柏野 邦夫 村瀬 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.86, no.11, pp.1657-1667, 2003-11-01
被引用文献数
1

本論文では,多重奏音響信号をクエリーとして多重奏音響信号から類似する音楽を探索する類似音楽探索法とその高速化手法を提案する.本類似音楽探索においては多重奏音響の類似性に基づいた探索を高速に行う必要がある.そこで,まず,多重奏において同時に発生する複数の音の有無に着目した2値多重音響特徴ベクトルを提案する.本特徴は多重奏音響信号の類似性に基づいた高速探索に適している.そして更に,本特徴を用いた探索における高速化手法を導入する.本手法は類似度行列のスパース化により探索空間を制限し,より高速な探索を行う.216曲の実験用音楽データベースを用いた探索実験では,例えば,楽曲単位の探索において,クエリーの長さが平均19秒のとき,スペクトル特徴を用いた場合に62.5%であった精度が,提案の2値多重音響特徴ベクトルを用いることにより89.3%にまで向上した.また,本高速化手法においては,精度をほとんど損なわずに,DP照合を用いたずらし照合法に比べ約1.6倍から18倍の高速化を達成した.
著者
藤芳 衛 藤芳 明生 大武 信之 山口 雄仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.612, pp.73-78, 2007-03-16

視覚障害者と健常者が点字の教科書や教材の触読図の作成にあたり作図データを共有し,相互協力して作図作業を行うことができるユニバーサル・デザインの作図システムを開発した.従来のコンピュータによる触読図作図システムはマウス等を使用するGUI(Graphical User Interface)であり,視覚障害者には使用不可能であった.また,視覚障害者が点字試験問題の触読図の自立的作成を可能にするため開発した作図システムBplotはCUI(Character User Interface)であり,健常者には効率的とは言えなかった.このため,CUIのBplotをさらに改良すると共に,GUIにも対応し,ユニバーサル・デザインを実現した.
著者
野沢 健人 中岡 義貴 山本 修平 佐藤 哲司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.204, pp.41-46, 2014-09-03

近年,レシピ投稿検索サイトに大量の料理レシピが投稿されている.これらのレシピの中には,一部の食材を入れ替えた類似レシピが数多くある.本研究では,大量のレシピデータの中から,特定の食材に対する代替可能な食材を発見する手法を提案する.調理手順中に記述された食材と調理法を特徴に,ニューラルネットワークに基づく言語モデルとして知られるword2vecを用いて,特定の食材に対して他の食材の類似度を算出することにより,代替可能な食材を発見する.数十万件のレシピデータを用いて評価した結果,提案法の有効性を確認したので報告する.
著者
白木 善尚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.97, pp.63-68, 2000-05-19
被引用文献数
2

単位円内|z|<1の複素数値解析関数(正則関数)は線型時不変系の伝達関数H(z)として良く使われる。例えば、音声波の線型予測分析(LPC)は一変数の有理関数を用いる。この際、鼻音を除く音声の多くの特徴は有理関数の極に現れる。合成の際には、極の情報を与えて有理関数を作り、声道のフィルターとして用いる。「音声の特徴と極とのうまい対応」が正当化される一変数複素解析の側面からの根拠は、正則関数の極が孤立点であること、による。これらのことから、2人の話者の音声を分析する場合、二変数の有理関数を用いることが考えられる。しかし、多変数の場合、極は孤立点とは限らない。解析接続の状況が一変数の場合とは異なるためである。したがって、極の情報を与えて正則関数を作れるか、どのような条件のときにそれが可能なのか、それ自体が難しい問題となる。この問題はクザン(Cousin)の問題と呼ばれ、Hartogsの逆問題などともに、岡潔が解決した。岡による一連の解決の核心は『上空移行の原理』にある:考えている空間の次元を適当に上げることによって問題の困難さがときとして緩和される。本稿では、『上空移行の原理』に習った音声特徴の多重構造の調べ方について報告する。音声特徴の多重性は、種々の「複雑な領域」に現れる。「複雑な領域」における音声の多重性の問題を『上空移行の原理』を用いて、「簡明な凸性」の組み合わせ問題へと帰着させる。L^2空間との関連も述べる。
著者
高野 芳彰 佐野 健太郎 千葉 諒太郎 山本 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.112, no.70, pp.55-60, 2012-05-22

本論文では,密結合FPGAクラスタ上に構築する格子ボルツマン法(LBM)専用アクセラレータの性能モデルを示す.一般に,強スケーリングにおいては,ノード数が増えるにつれて各ノードが担当する計算サイズが減少し,通信遅延によるスケーラビリティの低下が顕著に現れる.提案する密結合FPGAクラスタは,小さな通信オーバーヘッドを実現する1次元リングのアクセラレータドメインネットワーク(ADN)を持つ.本研究では,ADNを効率良く用いるための,LBM専用計算機アーキテクチャを提案する.アクセラレータの実効性能モデルを構築することにより,アクセラレータの性能が,FPGA上の演算リソース量,オンチップメモリサイズ,ネットワーク帯域のいずれかにより制約されることを明らかにする.また,性能を左右する要因として,メモリ帯域よりもむしろFPGA間ネットワークの帯域が特に重要であることを明らかにする.ネットワーク帯域が広ければ,より多くのFPGAに対して性能が向上可能となる.以上の結果は密結合FPGAクラスタにおけるADNの重要性を示す.
著者
松井 甲子雄 大西 淳児 中村 康弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.1017-1024, 1996-06-25
被引用文献数
41

この論文では, 画像を多重解像度表現する直交ウェーブレット変換において, ひそかに署名データを画像に埋め込む一方法を提案する. その原理は, 画像の多重解像度表現における差分出力に偏りがあることに注目し, その特徴を手掛りに署名ビット系列を画像に埋め込むものである. その際, 256×256画素からなる濃淡画像でおおむね6Kバイト程度の文字情報を合成可能である. この方法は画像の著作権を表示する署名データのみならず, 画像の作者や使用条件, あるいは画像そのものの属性情報までも包含でき, 画像データベースの検索などにおいても類似画像の識別を容易にできるなどの応用が考えられる.
著者
加納 唯 駱 美玲 北越 愛菜 石川 郁弥 前山 利幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.135, pp.149-153, 2010-07-14
参考文献数
4
被引用文献数
2

電界方式の人体通信における伝搬は,周辺環境の影響を受けると考えられる.周辺環境とは、人体通信で通信を行っている人の着衣や周囲にある什器等を示している.本研究では,周辺環境の影響を受けない電波暗室での測定を基本伝搬特性とし,今回はファントム,人体,金属等の伝送特性を取得した.この時,人体通信に利用する周波数として,20MHz,30MHz,60MHz,90MHzに着目した.特に,この周波数を利用した人体通信は,近傍界での伝搬となる.本報告は基本電伝搬特性の測定結果から,人体通信における周辺環境の影響について考察を試みる.
著者
大谷 卓史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.443, pp.121-126, 2014-02-20

本発表は、子どもにどのようにSNS(Social Networking Services)を使わせるべきか考察する。子どものSNS利用は、SNS利用にともなうネットいじめや評判のリスク、SNSへの依存の可能性から慎重に許可すべきである。ただし、子どもが行為選択能力を育て、ネット上の人間関係構築能力を育てられるよう、子どものネット利用の問答無用の禁止や監視は避けなければならない。
著者
大谷 卓史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.443, pp.121-126, 2014-02-27

本発表は、子どもにどのようにSNS(Social Networking Services)を使わせるべきか考察する。子どものSNS利用は、SNS利用にともなうネットいじめや評判のリスク、SNSへの依存の可能性から慎重に許可すべきである。ただし、子どもが行為選択能力を育て、ネット上の人間関係構築能力を育てられるよう、子どものネット利用の問答無用の禁止や監視は避けなければならない。
著者
玉木 徹 牛山 幸彦 八坂 剛史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.415, pp.13-18, 2005-11-11
参考文献数
29
被引用文献数
6

本報告では、スポーツ選手の技能を向上を目的とする動画像処理システムについて報告する。画像認識技術で得られる情報は、レベル判定などの自動化を目的としていて、高度に抽象化されたものが多い。しかし、スポーツの教育や指導の現場で求められているものは、それを使って指導者が選手にフィードバックするために有用である情報である。そのような動画像処理システムを実現するために、本発表では開発した三つの画像処理システム(卓球のスピン計測、バレーボールの球速測定、スキーの滑走指導)について報告し、その有用性を検証する。
著者
長谷川 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, pp.524-525, 1997-03-06

一般に人が対面して対話をする際には、言語によるバーバル(verbal)な情報以外にも、視覚を通して視線の動きや様々な表情、また身振り手振りといったノンバーバル(non-verbal)な情報の授受も頻繁に行ない、意思や感情のスムーズな疎通を図っている[1]。すなわち人が対話する際には、言語による論理や感情の表現に加え、表情の変化やジェスチャー(これらを人の日常的な対話モードと呼ぶ)を意識的/無意識的に活用し、高度な相互理解を達成していると考えられる。これに対し、現在広く利用されているコンピュータや家電製品と人との対話においては、コマンドやボタン群といった人にとって非日常的な対話モードが用いられるのが一般的である。このだめユーザは機械毎にその操作法を学ばねばならず、機械の多機能/高機能化が進んだ昨今ではその負担は大きなものとなっている。今後もこのような状況が続けば、本来機械は多機能になるほどユーザに歓迎される筈が、それ故に敬遠されるという事態にもなりかねない。近年このような状況に鑑み、人の日常的な対話モードを活用し、人と機械のスムーズな対話の実現を目指すマルチモーダル対話(Multi-Modal Interaction : 以下MM対話)の重要性が強く認識されている。本稿では、このMM対話研究の一領域として最近注目を集めている擬人化エージェントによるマルチモーダルインタフェース 1 について慨説する[2,3]。
著者
高橋 賢一郎 安田 英史 松本 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.96, no.599, pp.143-150, 1997-03-19
被引用文献数
31

ペンを用いるオンライン手書き文字認識では、ペン位置の時間に関する情報がtrajectoryとして得られる。trajectory情報を用いないアルゴリズムももちろんあるが、小文ではペン位置のtime evolution(時間発展)を本質的に利用する。time evolutionを自然にとらえる確率的パラダイムの一つにHMMがある。他の一般的パラダイムと同様HMMもそのまま直接使えるわけではなく,オンライン文字認識の特徴を捕えた定式化とアルゴリズムが必要である。小文は認織・学習、そしてモデル生成に関する新アルゴリズムを提案し、教育漢字881字を対象とした初期的認識実験を報告する。
著者
小松 一貴 野村 国彦 浅井 義之 佐古田 三郎 野村 泰伸 野村 泰伸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.460, pp.37-42, 2010-03-02
被引用文献数
1

本研究の目的は,ヒト静止立位姿勢の制御メカニズムに関する仮説である,PD制御モデルおよび間欠制御モデルの妥当性を検証することである.そのために,静止立位状態の健常被験者の足裏に対して左右足圧分布の変化に応じた微小な機械的刺激を与え,それに対する重心動揺応答を計測した.計測により得られた重心動揺を,両モデルのシミュレーションと比較した結果,足裏皮膚感覚に姿勢変化に関する情報を有する刺激を加えた場合の重心動揺の性質の変化は,PD制御モデルよりもむしろ間欠制御モデルによってより良く再現され,適切な刺激により,足裏皮膚感覚から得られる姿勢の傾きに関するフィードバック入力が増強されることがあることが示された.
著者
池田 尚隆 市川 武宜 金子 敏信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.733, pp.37-41, 2005-03-10

2002年に角尾らは, CPUのキャッシュの処理時間差を用いたキャッシュ攻撃を提案した.キャッシュ攻撃は, 非線形変換テーブルを有する暗号アルゴリズムに汎用的に適用できる.オリジナルのキャッシュ攻撃では平文のバイト間の差分を用いて攻撃方程式を導いた.2004年に筆者は複数の平文の対応するバイトの間の差分を用いたキャッシュ攻撃を提案し, Camelliaに対する攻撃計算量を削減した.本研究では, その着想を算術加算を含むラウンド関数に適用できるように改良し, これまでキャッシュ攻撃の結果が報告されていないSEEDに対して適用しその結果について報告する.
著者
前田 青広 福永 雅喜 中越 明日香 山本 洋紀 山本 謙一郎 田中 忠蔵 恵飛須 俊彦 梅田 雅宏 江島 義道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.39, pp.13-18, 2003-05-02

Kanizsa型輪郭錯視では、パックマン型誘導刺激のエッジ間を補完するように主観的輪郭線が形成される.本研究では、Kanizsa型輪郭錯視図形を観察している被験者の脳活動をfMRIを用いて測定した。実験は、パックマン開口部の同期を制御し、局所的な輝度変調のないブロックデザインで行った。主観的輪郭線に対する脳活動は、実輪郭線に対する脳活動と高い類似性を示した。また、脳活動は従来示されてきた線条外皮質だけでなく、線条皮質においてもロバストに観察された。さらに、錯視輪郭を形成しない誘導図形を用いた場合でも、同様の傾向が見られた。上記の結果を、レチノトピー、輪郭形成過程、形態形成過程の観点から考察した。
著者
金田 茂 廣森 聡仁 品川 準輝 滝田 亘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.311, pp.63-68, 2007-11-08
参考文献数
9

移動通信ネットワークでは,花火大会などのイベント時に局所的にユーザが集中することによって,ネットワークの処理能力を超える膨大な接続要求が発生し,輻輳が生じることが多い.このような状況に対処すべく,我々は,ユーザとネットワークとが協調してトラフィック制御をすることで,呼損率の低減やシステムのリソース利用効率を上げることを目指したユーザ協調型トラフィック制御方式を提案している.本論では,提案方式をより実世界に近い環境で定量的に評価することを試みた.そのために,通信サービスの利用者であるユーザの行動を模擬すると共に,実際の地理的環境を考慮できるシミュレーション評価環境を構築した.さらに,構築した評価環境を利用し,提案するトラフィック制御方式の性能評価を行うことで,提案方式の効果や適用範囲を明らかにする.
著者
長坂 哲 酒井 正彦 坂部 俊樹 草刈 圭一朗 西田 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.227, pp.55-60, 2010-10-07
被引用文献数
2

Malbolgeは最も難解なプログラミング言語として知られている.本研究では,飯澤らが提案したプログラミング手法に基づいて,Malbolgeが弱チューリング完全性を持つこと示す.そのために,チューリング完全性を持つ正規形のNプログラムをMalbolgeコードに変換できることを示す.ここで,本稿で示す性質が弱チューリング完全性であるのは,Malbolgeが固定されたメモリ空間およびレジスタ長の仮想機械により意味が定められているためである.
著者
石垣 司 竹中 毅 本村 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.461, pp.425-430, 2010-03-02
被引用文献数
2

小売サービス業では顧客のライフスタイルやパーソナリティを考慮した生活者視点での商品分類が必要となってきている.そこで本報告では,大規模ID-POSデータと顧客アンケートデータを統合的に利用することで,顧客のパーソナリティやライフスタイルを考慮した顧客と商品の同時カテゴリ分類法について述べる.流通量販店の1年間のID-POSデータに対し確率的潜在意味解析(PLSI))により顧客と商品を同時にクラスタリングする.また4000人規模の顧客アンケートデータから顧客の消費・生活因子を抽出し,PLSIの結果と統合することで,顧客パーソナリティやライフスタイルを考慮した顧客と商品の同時カテゴリ分類を実行する.
著者
大谷 真 岩谷 幸雄 鈴木 陽一 伊東 一典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.239, pp.103-108, 2010-10-14
参考文献数
20

音像定位において頭部伝達関数(HRTF : head-related transfer function)は大きな役割を果たしている。HRTFを用いた音響信号処理により,受聴音に対して仮想的に音像を呈示する聴覚ディスプレイ(VAD : virtual auditory display)の研究開発が行われている。しかし,頭部および耳介形状の個人差に起因してHRTFは強い個人性を持つため,理想的には,3次元聴覚空間の合成には受聴音本人のHRTF測定/計算が必要とされ,HRTFを用いたVADの汎用性の低下を招いている。この問題を解決するためには,耳介形状がHRTFの振幅周波数特性上の山(ピーク)や谷(ノッチ)を生みだす物理的メカニズムを明らかにする必要がある。このために,多くの研究者がHRTFと耳介形状の関連について実頭/擬似頭や耳介レプリカを用いた測定により検討を行ってきた。それに対し,本研究では,耳介表面の音圧とHRTFを境界要素法(BEM : boundary element method)を用いて算出し,耳介形状がHRTFに与える影響について検討を行う。BEMにおける各境界要素上の音圧はその部位からの反射音の強さに相当するため,耳介表面音圧を算出することで,HRTFに対する耳介形状の影響を直接的に観察することが可能である。結果から,耳介の各部位がHRTFに現れるピークやノッチ生成に与える影響の一部が示唆された。さらに,音源仰角に対してその周波数が連続的に変化するノッチであっても,音源仰角に依存してその耳介表面音圧には様々な分布パターンが存在し,その生成メカニズムが多様であることが分かった。