著者
古山 周太郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
no.39, pp.913-918, 2004-10-25
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

本研究は、ハンセン病療養所が、都市や社会から、空間的に隔離された施設と位置づけられた側面を、療養所の立地論と実際の立地状況から明らかにするものである。結論として、前期の療養所論では、ハンセン病療養所は浮浪患者の救護収容のため、隔離性の低い場所への立地が想定されており、後期の療養所論では、逃走患者防止のため、絶海孤島への立地も提案されたが、主に患者への配慮から、その立地は、温暖な島嶼が想定された。ハンセン病療養所の立地空間の特徴をみると、1909年設置の療養所は、森林等の隔離性の低い場所へ立地する傾向が強く、1930年代以降に設置された療養所は山林や島嶼などへの隔離性の高い場所への立地がみられた。
著者
大村 謙二郎 有田 智一 小俣 元美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第38回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.58, 2003 (Released:2003-12-11)

本稿では、長い地方自治の伝統があり、基礎自治体である市町村の都市計画権限が大きく、自治体毎に独自性を持った計画文化を維持してきたドイツを対象として、自治体都市計画プランナーの職能形成の実態を明らかにすることを目的とする。ボッフム、ドルトムント、デュイスブルグ、ミュンスター及びハノーバーの5都市を対象とし、都市計画行政を実際に担当する職員を対象として実施したアンケート及びヒアリングの結果に基づき、(a)ドイツの自治体都市計画プランナーの組織と人事システム、(b)自治体都市計画プランナー職能形成の実態、(c) 今後の自治体都市計画行政の方向性と都市計画プランナーの関わりについて明らかにした。
著者
武澤 潤 中出 文平 松川 寿也 樋口 秀
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.661-666, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
8

本研究は、地方都市の現在の公共交通と市街地変遷、都市政策等の関係から現在の市街地構造の特徴と問題点を明らかにし、公共交通が持続可能となる市街地整備に向けた、人口密度設定や土地利用の提言を目的とする。公共交通と市街地の関係について、公共交通の状況とDID、市街化区域、住宅立地動向等を用いて、全国と北信越地域の2つの視点で分析した。また、公共交通の水準別に事例都市を選定し、公共交通を支える密度という視点での市街地の特徴と今後の整備方針を分析した。その結果、指向する公共交通によって市街地変遷や都市政策に差異が生じ、市街地整備に影響を与える要因となっていた。そのため沿線人口密度の高密化を目指す為には魅力向上による誘導だけでなく、用途地域見直し等の規制強化手法も併せて検討する事が必要である。
著者
田中 晃代 久 隆浩
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.46-51, 2003-04-25
参考文献数
16
被引用文献数
2

本研究は、大正・昭和初期の大阪における都市問題を扱った雑誌『大大阪』を資料として、当時の保健施策と都市環境整備の関係について分析・考察している。『大大阪』は大阪都市協会の機関誌で、大阪都市協会とは、大阪市政の発展と市民生活の向上を図ることを目的に、大正 14年 10月關一第七代大阪市長の発案で設立された大阪市の外郭団体である。分析方法は、『大大阪』の大正 14年から昭和 19年までに発刊された全 20巻のうち、健康というテーマや内容で書かれている記事を検索・取り上げ、さらにそのアイテムを細かく6つのカテゴリーに整理し、そのなかで、健康増進策と都市環境整備・改善手法の関連について記述しているものを取り上げ分析・検討をおこなっている。
著者
小野 明寿香 岡 絵理子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.113-116, 2016

近い将来、大阪ベイエリアは南海トラフ地震による津波で被害を受けるとされており、地域住民を巻き込んだ防災コミュニティの構築や津波避難施設の確保が必要である。 しかし、産業構造の変化により、大阪ベイエリアに立地するからこそ成り立つ生業に就きその職場の近くで住まう人々が減少し、「水防団」に入団する等して、自ら街を守るという意識を持った住民は少なくなったと考えられる。 そこで本研究は、現在ベイエリアに住む人々の防災意識を確認し、大阪ベイエリアで生活する住民の職住環境が変化する中で、そこで暮らす住民の生活と付随するべき防災意識との結びつき方を調査し、今後の地域防災のあり方を提案することを目的とする。
著者
藤岡 麻理子 中西 正彦 鈴木 伸治
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.552-559, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
11

近年、都市計画分野の国際協力の新たな傾向として、都市のソフト面にも重きをおいた自治体レベルでの都市づくりの技術移転が行われるようになってきており、さらにその件数と重要性は今後増していく可能性がある。固有の社会的、文化的背景や自然環境等への配慮が求められる都市づくりの技術移転は、従来型の都市開発協力事業とは手法や配慮事項等において多くの点で異なると考えられる。本研究では、そうした技術移転の実践上の課題を明らかにすることを目的として、1980年代から都市デザインのノウハウを活かし、マレーシアにおいて都市づくりの都市間協力を行っている横浜市の事業の概要・成果・課題の整理・分析を行った。その結果、横浜側が計画を提案し、地元自治体が実施を担った事業においては、事業に長期的に関わることのできる地元自治体の人材や地元住民の組織化が実現に至る鍵となっていたことが明らかとなった。一方、2つの市が都市づくりに協働して取り組む技術移転事業においては、社会文化的な相違や都市づくりへの意識差が一つの課題としてあり、さらにそうした差異を補いうる事業システム構築も重要課題として見出された。
著者
張 峻屹 藤原 章正 桑野 将司 杉恵 頼寧 李 百鎭
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.97-102, 2006-10-25
参考文献数
11
被引用文献数
2

本研究では世帯居住地選択における集団意思決定メカニズムに着目し,軌道系公共交通沿線への居住促進を念頭に,広島市アストラムライン沿線住宅への転居意向をSP調査によって調べてみた.転居意向をより的確に把握するために,インターネット調査を活用し,転居可能性のある被験者を効率的に抽出することに努めた.今回のケーススタディでは集団意思決定と個人意思決定で,40%もの世帯において世帯構成員の選好結果が変化することが分かった.世帯の代表的な構成員を選定し,世帯居住行動を調べる従来の調査・分析方法は間違った結論を導く恐れのあることが明らかとなった.居住地選択行動においても,多項線形効用関数を用いた集団離散選択モデルによる集団意思決定メカニズムを表現することの有効性を統計的に確認することができた.アストラムライン沿線での居住を促進するには,アストラムラインの駅近辺に集合住宅の建設を政策的に押し進めることが効果的であることが分かった.
著者
山田 あすか 佐藤 栄治 讃岐 亮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.175-180, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
6
被引用文献数
3

これからの子育てと就労の両立を支える都市環境のあり方を考える上で、職住構造が就労と子育ての両立にどのように影響するかの実態を把握することは、今後の都市環境整備に資する知見として有用であると考えられる。そこで本稿では、東京郊外の多摩市と大都市圏に近接する地方都市、宇都宮市の保育所利用世帯へのアンケート調査によって、世帯の就労の状況、父母の送迎分担、就労と子育てへの両立に関する意識などを把握した。両市での結果を比較しながら、各市での就労・子育ての状況の特徴の明確化を試みたところ、通勤時間の差異が世帯の就労状況や分担状況に影響を及ぼしている様子や、地域ごとの交通手段の相違が望ましい保育サービスの立地や提供のされ方に差異をもたらしている可能性などを示した。また、各市で子の幼少期からの就労や家庭外保育への賛否には意識差が見られ、就労や送迎分担の状況が類似した世帯でも、市ごとに保育や子育てと就労の両立に関する意識に差異があることもわかった。今後の保育サービスや子育てと就労の両立のための政策展開には、こうした地域差を加味する必要がある。
著者
小林 里瑳 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.251-258, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
28

本研究は,土地所有履歴を時間と空間両スケールで集約化し分析することによる,地域における新陳代謝メカニズムと空間変容の相互作用への理解を目的としている.研究を通じて以下の点を明らかにした.1)土地の所有形態分布はランクサイズルールに従い,寡占地主は分散して所有していた土地を取引を通じて集約する一方で,多くの地主が短期的所有を行なっている.2)寡占地主の土地再配分が地域の公共事業と関連し,地域の特徴的な空間を形成している.3)地割の変化しない街区がある一方で地割の大きく変化した街区が以降の土地利用に影響を与えている.
著者
甘粕 裕明 姥浦 道生 苅谷 智大 小地沢 将之
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.400-407, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究では立適の都市機能誘導区域を都市MPの将来都市構造図の拠点と比較し、類型化を行い関係性を把握し、両計画間における実態と課題を明らかにすることを目的とする。結論として、両計画に関して半数以上の自治体で両者が一致または準拠する形で区域設定が行われていることが分かった。一方で、半数近くの自治体が、都市MPと整合しない区域設定を行っていることも明らかになった。これらの自治体は、拠点指定されていない場所に区域設定を行っている新設型と、同じ位置づけの拠点のうち一部に区域設定を行っている戦略的選定型に分けることができる。このような不整合は、計画制度論的に立適は「都市MPの一部」であり「都市MPに内包される計画」とされている両者の関係性に鑑みると、問題であるといえる。したがって、立適を都市MPと整合する形で定めるか、または都市MPを立適に整合するように改定することが求められる。新設型、選定型それぞれが新設、選定している拠点をその機能に応じて、「都心拠点新設型」「生活拠点新・増設型」「生活拠点選定型」「特定機能拠点新設型」「特定機能拠点選定型」の5つに分類する事で、これらの自治体の実態と課題を明らかにした。
著者
渋川 剛史 浅野 周平 十河 孝介 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.408-415, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2

人口減少時代に突入した我が国では、少子高齢化の進展も著しく、持続可能な都市構造への転換が急がれており、各自治体で「立地適正化計画」の策定及び、本計画に基づく都市構造の転換に取り組んでいる。また、本計画では、およそ5年毎に計画の進捗を評価・見直しが要請されているが、施設誘導や公共交通サービスの改善に対する面的な評価は、把握できるデータの制約などから、十分な評価ができていない。一方で近年、携帯電話基地局データなどにより、施策実施前後の中心市街地などに滞在する属性別人数の変化を把握することが可能となっている。そこで本研究では、立地適正化計画の適切な進捗管理の実践に向け、既存指標の課題を整理し、課題に対応する評価指標として携帯電話基地局データの活用方法についてケーススタディを通じて検討を行った。
著者
高取 千佳
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.392-399, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
10
被引用文献数
3

低出生率と高齢化による人口縮退社会において、コンパクトシティ政策は持続可能な都市経営や生活環境の向上において重要として注目されている。コンパクトシティの目標を達成するには、どういったターゲット(主体)が、どのような要因を基にどういった場所へ社会移動するかに関する知見が必要である。本研究では、(1)年齢階層別の人口社会増減の実態分析、(2)人口社会増減に有意に影響する空間指標の解明による多様な主体の居住選択の要因の考察を行った。結果、子育て世帯、高齢者、若者の3因子別に、異なる空間指標との相関が高いことが分かり、居住誘導政策への基礎的知見が得られた。
著者
杉本 容子 鳴海 邦碩
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.505-510, 2001

In the beginning of Meji Era, 'old village' was independently located on the periphery of urban area. The existence of old village has been closely related to the expansion of central urban area. Some old villages have lost their form, however some others have retained. We aim to clarify the real condition and the sustainability of urban village. Firstly, we investigated main facts that caused the disappearance of village form, and identified the urban villages that endure their form. Secondly, we analyzed the characteristics of block pattern, and considered the alteration of form. As a result, we could grasp some useful views in reconstructing urban areas.
著者
坪原 紳二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.19-30, 2013-04-25 (Released:2013-04-25)
参考文献数
59

オランダ・フローニンゲン市の中心市街地北に接する北部公園は、今日、緑豊かな市民の憩いの場として、また主要自転車ルートとして機能している。しかし同公園はかつて、自動車の通過交通路として使われており、同市の労働党は、ここから車を排除することを1970年代から政策に掲げてきた。本論文は1990年代に同公園からの車の排除、そして結果としての主要自転車ルートの整備が実現するまでの経過を、その間の参加の結果、及び政党の動向の観点から分析したものである。車の排除に対しては経済団体はもとより周辺住民も強く反発し、参加の結果は圧倒的に車の排除に反対であった。しかし労働党内からの圧力によって、同党リーダーは最終的に車を公園から排除することを選択し、市議会は1票差で排除を可決した。このことは、環境に負荷を与えない交通政策を導入していくうえでの、政党を媒介としたリベラル・デモクラシーの有効性を示唆している。
著者
松本 英里 姥浦 道生
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.627-632, 2013-10-25 (Released:2013-10-25)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2

本研究は郊外立地型の新幹線駅周辺における市街地形成過程、及び駅周辺の土地利用問題を立地特性や土地利用コントロール手法等に着目して、明らかにすることを目的としている。新幹線駅の立地に関しては、速達性が最優先され、既存の都市構造への配慮が不十分であると考えられるものもある。そのため新幹線開業にともなって駅周辺の区画整理事業を行っても、市街地が形成されなかったり、形成されても区画整理周辺部の幹線道路沿いに開発が集中したりと、計画的な市街地形成が図られていないのが現状である。駅周辺地区の都市の中での位置付けを明確にし、中心市街地と適切な機能分担のもと、いかに両市街地のバランスをとっていくかが今後の課題である。
著者
古山 周太郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第38回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.141, 2003 (Released:2003-12-11)

本研究は、明治・大正期において精神病院が都市的施設として位置付けられた側面を、その立地・配置論から明らかにすることを目的とする。本研究では、精神病院が医療的機能と社会的機能を持つことに着目し、この2つの機能との関係から立地・配置論をみる。それによって精神病院が都市的な施設と設定しうることを明らかにする。対象時期は、明治以降から1919年(T7)の精神病院法制定時までとする。研究の方法は、対象時期における精神医学関連の著作・論文や、法律制定時の議事録等の文献調査を主とする。論文の構成は、まず2章では精神病学教科書を対象とし精神病院の医療的機能を整理し、それらが収斂した精神病院モデルの立地論を取り上げる。3章では精神病学者の論説から精神病院の社会的機能と配置論をまとめ、4章では精神病院法制定時における精神病院の必要論と概要計画をみる。2章では精神病の病因論や治療法から精神病院の医療的機能をまとめ、立地論との関係をみる。さらに当代の精神病院論の集大成でもあり、欧州の影響も受けた、呉秀三の「精神病学集要 第二版」の第7巻治療通論中の精神病院に関する部分を詳細にとりあげる。資料は、対象時期に刊行された精神病教科書7冊を対象とし、社会的原因と都市環境を問題化した部分の引用、理学療法と精神療法、精神病院論部の引用をまとめた。3章では雑誌の掲載論文で精神病学者が主張した精神病院論をとりあげる。これらの論文では、著者は雑誌の社会影響力も考慮し、病院論を展開すると考えられる。対象論文は、当時の医学界で主要な論文誌であった国家医学会雑誌(国家医学)と医界時報に掲載された精神病院に関する論文と、呉秀三著作集に掲載された論文である。これらの論文は全て公立の精神病院の設置を求める内容であり、各精神病院論を、医療的理由、社会的理由、病院の立地論の3点に着目して整理した。4章では法制度制定の下での精神病院論をみるために、帝国議会での審議過程でみられた精神病院論に着目する。法案の提出理由から病院の必要性を整理し、審議過程での精神病院の機能や立地に関して議論の論点を整理する。なお対象とする資料は、精神病院法案について審議された貴族院の委員会の速記録である。5章では、以上のまとめとして次の3点が明らかになった。1)精神病院の医療的機能は、治療設備の完備、医師による管理、都市的環境からの隔離であった。呉の精神病院モデルは2種類の病院が想定され、分類の基準には都市と村落といった立地が重要な意味をもっていた。2)精神病院は、様々な社会的機能からも設置が要請された。特に公共的な施設として都市への立地が要請された。3)精神病院法審議過程での概要計画では社会的機能を果たすため、精神病院は人口規模により種別され、都市内で、環境が良好で利便的な立地が目指された。
著者
伊藤 彰良 有田 智一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.831-836, 2014

本研究では、同業種の店舗が特定エリアに集積している専門店街に着目し、その形成過程、現在の空間特性、またどのような主体が業種集積に影響を与えたのかについて明らかにすることを目的とする。事例として都内で最も特徴的なアパレル小売店の集積地でありながら、一般的な商業集積の特徴(巨大ターミナル駅、大規模百貨店等の立地等)を有していない原宿を対象とする。本研究の結果として以下の項目が明らかとなった。 1)時代ごとにアパレル小売店の集積したエリアが異なる 2)エリア毎に扱う価格帯が異なる店舗集積となっている 3)新規起業の企業を育てる地元企業・組織の役割や、地域に相応しくない業種の参入を抑制する地域活動の役割が重要であった
著者
阿部 宏史
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.79-84, 1996

WITH THE PROGRESS IN URBANIZATION AND THE TREND TOWARDS A SOFTWARE- AND SERVICE-ORIENTED ECONOMY, THE VITALIZATION OF REGIONAL AND PREFECTURE CENTER CITIES IS NOW A MAJOR OBJECTIVE IN THE REGIONAL DEVELOPMENT PLANNING IN JAPAN. THIS PAPER AIMS TO IDENTIFY THE RECENT POLICY ISSUES ON THE DEVELOPMENT OF LOCAL CENTER CITIES IN JAPAN WITHIN THE CONTEXT OF INDUSTRIAL STRUCTURE. THE INDUSTRIAL STRUCTURE AND THE GROWTH DISPARITIES IN TWENTY-SIX JAPANESE CITIES WITH POPULATIONS OF MORE THAN 300,000 ARE EXAMINED BY APPLYING THE RATE-SHARE ANALYSIS AND THE MULTIPLE REGRESSION ANALYSIS FOR THE YEARS 1980-90.
著者
荒木 英昭 宮下 清栄 木村 卓靖
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.211-216, 1997

The objectives of this paper are to clarify the effect of land readjustment to the growth of cities, for instance, to the extension of the urban area. We analyzed 28 provincial cities. As a result, we obtained several typical project patterns of land readjustment and the relation to the extension of the urban area.
著者
福島 富士子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.55-60, 1997-10-25 (Released:2018-05-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

Den'enchofu is famous as a planning example of suburban residential developments by Den'en-toshi Co. It has the radial-circular road system, but its original idea plan was changed for many reasons. First, the road system failed to make an axis clear because of the unsuccessful land purchases. Second, Tokyo City planned a new road (Kanpachi-dori), and it seems to have caused the division of the area. Moreover, the difference in administrative areas has had much more effect on the residents. Third, the land use agreements in the original contact between the company and the purchasers were violated by the succeeding company. Den'enchofu-kai, a self-governing residential organization made much effort to save the environment. On the whole, the idea of Den'en-toshi Co. has been half realized.