著者
川村 秀憲
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は大規模マルチエージェントシミュレーションを実行する環境についての研究である。シミュレーション対象として、Thomas SchellingによるSegregation modelを取り上げ、オープンストリートマップをデータを用いて構築された環境で数万規模のエージェントが居住地選択を行い、社会的地位などで居住地域がどうセグメント化されていくのかにおける大規模エージェントシミュレーションに成功した。
出版者
北海道大学
雑誌
北大百年史
巻号頁・発行日
vol.通説, pp.209-258, 1982-07-25

第一節 北海道帝国大学の設置; 第二節 各部局の状況と大学の運営; 第三節 学生・生徒の状況と学生運動
著者
小布施 秀明
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

層状構造を持つ3次元弱いトポロジカル絶縁体における2次元表面状態は、層間の結合が均一な場合は不純物が存在しても局在しないが、不均質な結合がある場合、乱れが増加すると局在-非局在転移を生じ、そのユニバーサリティ・クラスは2次元symplecticクラスであることを明らかにした。また、2次元の量子ホール絶縁体転移におけるdescendant演算子のスケーリング次元を高精度に数値的に計算する手法を確立した。さらに、フロッケトポロジカル相を誘起する時間発展演算子に対する対称性やトポロジカル数を定義し、1次元量子ウォークにおける表面状態の不純物に対する安定性をトポロジカル相の観点から明らかにした。
著者
宮脇 淳 若生 達也
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

第三セクター等地方自治体の外郭団体について、神戸市住宅供給公社、公有地信託事業等具体的事例について行政内部や議会での議論を整理すると同時に、金融機関交渉、損失補償契約に関する裁判所判断等財政・金融・法務にわたり学際的に研究し、外郭団体の組織ガバナンスと機能再生について体系的かつ実践的な検証を行った。同時に、第三セクター等集中改革期間中の成果について整理し、新設組織の設立増加等そこでの新たな問題点の抽出を行った。この整理・検証を基礎に、第三セクター等外郭団体改革と今後の組織経営に関する具体的選択肢の提示、ゴーイングコンサーンの確立等新たなガバナンス構造の課題整理等を実践的に行った。
著者
尾崎 一郎 高橋 裕 池田 公博 濱野 亮 ヴァンオーヴェルベケ ディミトリ
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

ベルギー、ドイツ、フランスにおいて、陪審・参審員経験者、および裁判官、弁護士、研究者、ジャーナリスト等へのインタビューやアンケートによる調査を行った。その結果、陪審/参審制度に対する、現場を最もよく知る専門家による強い批判ないし廃止論と、無知・無関心だが法廷経験を通じて制度の正統性を肯定的に評価するに至る一般市民の意識変化との、複雑な交錯を見出せた。これは、歴史的に一定の定着を見ている制度をめぐる根源的で非自省的な正統性と、機能主義的で自省的な正統性との、次元の異なる二重の正統性の現れである。
著者
西嶋 剣一 大倉 一枝
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

血管新生因子PD-ECGFは、正常組織に比べ様々な固形腫瘍において高レベルで発現していることが知られている。本研究では、PD-ECGFの発現、すなわち血管新生をイメージングできるF-18標識放射性薬剤の開発を目的とした。PD-ECGFに親和性をもつF-18標識の合成検討において、新規TP阻害化合物を得ることに成功した。引き続き合成検討を重ねたが目的とする、標識前駆体およびF-18標識体を得ることはできなかった。しかしながら多くの合成実施例からF-18標識化合物を創製する上で、ウラシル誘導体の反応性に関する重要な知見を与えた。
著者
阿保 大介
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

2012年3月までに3頭の雌豚を用いた実験を行い、その結果の解析を行った。この結果を2012年度中に北海道IVR研究会で発表した後、2013年4月に日本医学放射線学会総会、同5月に日本IVR学会総会の2つの国内学会で発表した。通常診療で頻用される血管塞栓用コイルのみでの閉塞困難な動脈瘤や出血に対する塞栓術症例に対し、n-butyl-2-cianoacrylate(NBCA)を併用することは、しばしば行われているが、その組み合わせの方法論について確立したものは存在していなかった。本研究は、その方法論の確立を行ったものであり、その着眼点が大きく評価された。2013年5月現在、その内容を国際学会誌に投稿する準備中である。
著者
加藤 美保子
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

2006年以降、ロシアは政治・経済関係を多角化することによって、中国中心のアジア戦略から「太平洋のロシア」戦略へ移行しつつある。本研究は、米国のアジア・シフトと中国による南シナ海や北極海への進出によるサブリージョン・レベルの緊張の高まりによって、ロシアの地政学的関心が大陸から沿岸・海洋へ拡大しつつあると同時に、日本やベトナムなどの地域諸国がロシアの戦略的価値を再認識している点も指摘した。
著者
安達 真由美 金内 優典 半田 康 多賀 昌江
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では78人の妊婦を18~22週、23~27週、28~32週、33~36週に分け、音楽に対する生理・心理的反応、気分、気質、普段の食生活、ストレス解消行動における妊婦の個人差が、音楽に対する胎児の動きとどう関連するのか、また、ヘッドフォンを通して妊婦が音楽を聴いている時と、家庭用スピーカーから普通の音量で胎児のみが音楽に接触している時の違いを探究した。 その結果、週齢および音楽の呈示方法に関わらず、2割程度の胎児が音楽に対してより動くことが明らかになった。また、妊婦がストレス軽減につながるような食生活や活動を行っている頻度が高いほど、音楽に対して胎児がより動くという傾向が明らかになった。
著者
栃内 新
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

一昨年度・昨年度と同様に,材料としてアフリカツメガエル純系(Xenopus laevis, JJ)とその近縁種で細胞マーカーをもち,多数の比較的大きな斑紋を持つ近交系(X. borealis, BB),およびJJとBBの第一代雑種(JB)を用いて模様パターン形成の解析実験を継続した.斑紋は成体型の皮膚が完成する変態後期に出現する.通常どおりの時間で変態した個体には比較的大きめのスポットが少数出現するが,変態が遅れたものでは変態までに要する時間に応じてスポットの大きさが小さくなり数も増加する.逆に変態を早めることにより,時間に応じてスポットの大きさが大きくなるとともに融合したりして数が減少することもわかった.JB個体ではJ系とB系の中間型の斑紋が形成される.斑紋は主に黒色素胞の拡がり具合で認知されるが,斑紋部分で数が少なく分布深度も深い黄色素胞,および斑紋部分にはほとんど存在しない虹色素胞の働きも無視できない.つまり,皮膚の中におけるこれらの細胞の3次元的分布およびその細胞質の拡がり具合が斑紋形成の基盤をなしている.これらの色素細胞の分布・分化運命,そして生理的状態を決めているものが,斑紋パターン形成を支配している要因であるといえる.斑紋形成を支配する要因の分布状態(プレパターン)は幼生atage56あたりで形成されたものが変態期に可視化されることがわかった.斑紋のプレパターンが出来上がる時期に筋肉層の表面に分布していた黒色素胞が真皮および表皮に移動して侵入する.プレパターンを支配すると考えられる筋肉層などからの働きかけの実体を探るための移植実験は継続中である.フラクタル解析を用いたコンピューターシミュレーションでは,斑紋によく似たパターンをつくり出すことに成功したが,磁性体形成の際のイジング・モデルの方がより適切であるという可能性が出てきたため,検討中である.
著者
川内 陽平
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

餌生物転換期(全長30m程度)前後において,スケトウダラ太平洋系群稚魚が好適な飼料・物理環境に適合することは重要と考えられるが,充分に検証されてこなかった。本研究では,2011、2012年の北海道噴火湾周辺における昼夜で計量魚群探知機による音響調査,海洋環境観測,稚魚と動物プランクトン採集を行うことによって,稚魚の分布と周囲環境との関連を詳細に検証した。稚魚の摂餌状態と餌料環境の結果から,30mm以上の大型稚魚は小型のものと比較してより大きなカイアシ類等を摂食し,中底層では大型稚魚の栄養状態は良かった。摂食量については全体的に夜間のほうが多い傾向にあった。大型の餌であるEucalanus属は大型稚魚に好適な中底層に多い傾向が確認された。しかしながら,昼夜・湾内外における各体サイズの稚魚の鉛直分布状況の違いや捕食者からの影響の可能性を考慮すると,当海域の稚魚は代謝や逃避等とのバランスをとって摂餌していた可能性がある。また,年のよって卓越した餌種が変わったことから,太平洋系群の各年級群の栄養状態や成長の違いに大きく関わると考えられる。一般化加法モデル(GAM)による2011年の湾全体の稚魚分布と物理環境との関係の結果から,全ての環境要因(水温,塩分,分布深度)が稚魚の分布選択の説明因子として有意であることが示された。また,おおまかに昼間は低温な中層で,夜間は温かい表層に分布する傾向があったものの,湾内外で詳細な分布特性は異なるものであった。これまでの局地的な結果とよく一致するとともに,さらにより広範囲かつ場所に応じた詳細な稚魚の分布特性を定量的に捉えることができたといえる。以上の結果を踏まえ,さらに経年的な解析を行うことで当該時期が太平洋系群に与える影響についての傾向明らかにしていく予定である。
著者
曽根 敏雄
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

北海道、大雪山の風衝砂礫地における山岳永久凍土分布の下限高度を気温と地表面温度の通年観測および電気探査から推定した。この永久凍土の分布下限付近で10mより深いボーリングを行い、地温観測装置を設置した。ここは永久凍土分布下限付近の地温モニタリングサイトとして期待される。また泥炭地にある永久凍土丘の衰退過程における地温の変化が捉えられた。小径の掘削孔においても深度の異なる多点での温度の観測が可能な温度記録計を開発した。
著者
山本 克之 浜岡 隆文 川初 清典 工藤 信樹 清水 孝一
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は,筋組織酸素濃度計測における皮下脂肪層の影響を系統的に解析し,その影響を除去し得る絶対値計測可能な近赤外分光(NIRS)組織酸素モニタを開発して,本装置の最も効果的な適用分野と考えられるスポーツ医学の分野で,その有効性を実証することを目的とした.1.時間分解法を用いたin vivo計測と多層モンテカルロシミュレーションにより,組織の不均一性を考慮して,筋および脂肪層の平均的な光学特性(吸収係数,散乱係数)を決定した.2.光拡散理論を適用し,吸光度変化と吸収係数の非直線的関係をも考慮した組織酸素濃度算出式を理論的に導出し,その具体的な係数を上記光学特性から決定した.3.脂肪層の影響で近赤外分光法の測定感度が大きく減少するので,測定感度を脂肪厚で補正することにより,均質な系を仮定した上記理論式に適用可能な補正式を決定した.また,安静時の筋酸素消費量を磁気共鳴スペクトル法と試作装置で計測・比較し,補正法の妥当性を確認した.4.NIRSの運動能力の評価法として,トップレベルの選手(ノルディック複合ナショナルチーム,13名)を対象に測定を実施し,高地トレーニングにより筋組織酸素濃度回復速度が6日後で11%,11日後で20%程度増加することを見出した.5.NIRSの筋代謝の評価法として,筋収縮・弛緩に伴う血液量変化から局所的血液酸素飽和度を,筋収縮時の酸素濃度低下率から局所的筋酸素消費量を測定する手法を考案し,1収縮ごとに酸素飽和度と酸素消費量を推定できることを検証した.6.当初の計画を進展させ,200チャネルの受光系を有する組織酸素濃度画像化システムを試作し,膝屈曲・伸展運動時の大腿部各筋の酸素化・脱酸素化ヘモグロビン量,血液量の時空間変化をイメージングすることに成功した.
著者
石田 完
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.59-72, 1964
著者
成田 泰子
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.57-68, 2004-03-09

1870年代以降、イギリス古典派経済学は衰退の様相を呈していた。その様な中でイギリス国内において、従来の古典派経済学の方法を激しく批判し、歴史的方法を採用すべきことを訴えたイギリス歴史学派が台頭してきた。彼らは、古典派に代わって主流派を形成するかのような勢いを示した。こうした状況の中で、ジョン・ネヴィル・ケインズ(John Neville Keynes)は、1891年、『経済学の領域と方法』を著し、理論派と歴史派との対立を理論派の立場から調停しようと試みた。本稿においては、『領域と方法』を、イギリス歴史学派による古典派批判に対するケインズからの回答の書として位置づける。なぜなら、ケインズが、イギリス歴史学派の活発な動きを非常に意識していたであろうことが容易に推察されるからである。こうして、従来ほとんど言及されることがなかったケインズとイギリス歴史学派との関係に着目し、イギリス歴史学派からの批判に対して、ケインズがどのような回答を与えたのかという点を、特に経済学の領域問題に焦点をあてて考察する。そして、ケインズがなした回答が経済学史上、いかなる意義持ったのかということを明確にする。
著者
谷古宇 尚
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は主に13・14世紀のイタリアにおけるフランシスコ会の美術を対象とし、創立から間もないこの修道会の穏健派と厳格派・聖霊派の対立を視野に入れながら作品を考察するものである。後者の思想は強く終末論的な色合いを帯び、「最後の審判」や「天上の栄光」あるいはフランシスコ会士の宣教や殉教の場面などに影響を与えたと考えられる。一方、絵画が公の場に置かれているかぎり、教会の正統的な教義をも反映しているはずである。アッシジ、シエナ、ナポリ、パドヴァ、フィデンツァに残される作品を、この二つの側面から解明した。
著者
小野寺 康仁
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

これまでの研究から、糖代謝の制御はシグナル経路の制御と深く関与しており、組織構造の形成および維持に多大な影響を与えることが明らかとなった。本研究では、異なる細胞間の代謝協調が細胞-細胞間、細胞-微小環境間の相互作用を調節し、細胞の振る舞いを規定すると仮定して、そのメカニズムを明らかにするための新たな解析系の確立を試みた。第一に、異なる細胞から乳腺組織のような二層構造を得る方法の確立を試みた。第二に、特定の細胞のみに、標識したグルコース(13Cグルコースなど)を取り込ませることのできる新たなシステムを確立した。これらを用いて乳腺組織における筋上皮および管腔上皮間の代謝協調の解析を進めている。