著者
堀内 雅弘 小田 史郎
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Lifelong Sports Research Center Hokusho University (ISSN:21852049)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.75-80, 2011

The purpose of the present study was to elucidate the relationship between sleep pattern and mental health in young universitystudents. In total, 152 university students participated in this study. Sleep quality index(PSQI), physical fitness, mentalhealth(GHQ 30)and lifestyles were surveyed. Total score of physical fitness was evaluated by hand grip, sit ups, bending forwardwith long sitting position, standing broad jump, repeated side jump and 20 m shuttle run. There was no significant differencein total score of physical fitness between male and female students, whereas, PSQI and GHQ in female subjects were significantlyimpaired compared to male subjects. In contrast, breakfast intake in male subjects was less compared to female subjects.There were significant relationships between total score of PSQI and GHQ in both male and female subjects. Moreover, breakfastintake was related to PSQI in female subjects, whereas no relationship in male subjects. In conclusion, it was suggested thatbreakfast intake might improve mental health irrespective of gender differences. Furthermore, only in females, breakfast intakewas also strongly related to sleep quality index.(Bulletin of the Northern Regions Lifelong Sports Research Center Hokusho Univ. 2011. vo 1. 2: 00)
著者
今野 洋子 尾形 良子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.73-76, 2014

現在,深刻化している多頭飼育崩壊に至る過程を踏まえ,初期対応実施による飼育モデルを作成した。飼育における初期対応が後の多頭飼育を回避することになる。また,多頭飼育に陥った場合,飼養者本人だけでの対応には限りがあるので,啓蒙・勧告・相談・支援等の多様な対応をチームで行う必要があることが明らかにされた。これまでに得られた知見をもとに,対応モデルを作成した。
著者
吉田 真 吉田 昌弘 横山 茜理
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要 (ISSN:18849563)
巻号頁・発行日
no.9, pp.111-120, 2018

背景と目的:多くの競技者は膝前十字靭帯再建術(ACLR)後9〜12ヶ月で競技復帰する。受傷前と同じレベルで競技復帰が成功する者もいる一方で,競技復帰後に不幸にも再受傷する者もいる。本症例報告の目的は,反対側のACLRに続いて2回目のACLRを経験した女子バスケットボール選手における競技復帰までのアスレティックリハビリテーションの過程を再考することである。症例情報:20歳女子バスケットボール選手は2年前,18歳の時,ハムストリングスの自家腱を採取した右ACLRを経験した。今回の受傷は2回目のACL損傷であり,2on2の練習中ステップ動作で急激にストップ動作をしようと左足を接地した瞬間に発生した。2回目のACLRもまた同側の半腱様筋と薄筋の自家腱を用いたSTG法で施術された。症例の目標は,膝を気にせず全日本大学バスケットボール選手権に出場することであった。術後3ヶ月の時点で,ランニングが許可され,ジャンプ,ステップ,アジリティ,プライオメトリクスエクササイズのようなアスレティックリハビリテーションは,難易度,反復回数,強度に関して徐々に展開された。選手はACLR 後9ヶ月でバスケットボール競技に完全復帰した。アウトカム:等速性筋力測定がACLR後の競技復帰における客観的指標の一つとして行われた。これらのデータでは,ハムストリングスの筋力低下やHQ比が0.6未満であったことが示された。考察:2回目のACL断裂の原因は不明である。機能的なパフォーマンスや等速性膝筋力測定の結果から,3回目のACL断裂の可能性を否定できない。そこで,再受傷予防のために,両側のハムストリングスの筋力強化,大腿四頭筋とハムストリングスの急速な筋収縮能力の向上,そして神経筋制御能力の改善が必要である。
著者
尾形 良子 今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.57-62, 2008

大学祭企画において実施した「猫カフェ」の効果についてのアンケート調査の分析を第1報で行った。本研究は第2報として来場者の自由記述を対象に,来場者にとって猫カフェがいかなる経験であったのかについて質的分析を行うことを目的とした。本研究においてグレーザー派のグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いることにより,以下の諸点を明らかにすることができた。1.猫カフェは「一期一会」の経験であった。2.猫カフェにおいて人(来場者)は動物(猫)との相互作用によって満足感を得,動物とのふれあいの楽しさや効果を改めて認識していた。3.短時間の中でも,人と動物は一時的ではあるが一定の限定的な関係形成を成し遂げていたと言える。
著者
大井 敏恭 堀田 真紀子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.23-39, 2009

製造から情報へと産業基盤が徐々に変化し,ハードよりソフトづくりが大切なことが指摘されるにつれ,日本各地で文化・芸術政策へのテコ入れが行われている。が,その多くは,文化を生み出すための土壌を生み出し,種を撒くことから始めるというより,土もないところに花(各種イベント,フェスティバルなど)だけ移植しようというような,性急さを伴っているように思われる。根付き成長するために必要な土がないところに移植された花を,不自然な状況で維持するには,膨大なエネルギーが外から注入されなければならない。その結果は資金の枯渇,関係者の疲弊となってあらわれるだろう。対して,私たちが指摘するのは,自力で文化の花を咲かせ,果実を実らせ,種が落ちて次世代が育ち持続可能に循環していけるような,土壌を私たちの社会につくる道である。つまり,地域の芸術を,草の根(ボトムアップ)の力で発信し,経済的,芸術的価値としても社会を循環し,助成金などのトップダウン的な力に依らなくても持続可能にするために,最低限,何が必要かを明らかにしたい。そのような道を模索するために,この論でとりあげたのは,地域発の現代芸術である。今述べた目的に到達するために,他にもさまざまな道がとれるだろう。その中の一つとして,あえてこの道を選んだのにはわけがある。「地域」と「現代芸術」の振興には相関関係があり,地域の固有性を豊かにするには,現代芸術が役にたち,逆に個性豊かな現代芸術を発信するために,その地域の固有性の探求が役に立つように思われるからだ。この問題をあつかうのが,Ⅰの準備考察である。その後,Ⅱ.芸術と社会の関係を分析するために,これまでなされてきた主な視点を概観し,この論考の目的を果たすために,それぞれの視点がどれだけ有効か,その可能性と限界を批判的に検討する。そのようにして必要な方法を確定した後で,Ⅲ.札幌の現状を分析し,Ⅳ.問題点を指摘し,Ⅴ.問題解決のために何ができるか,Ⅵ.それを,ここにすでにある文化的,社会的,経済的な特質に合わせた形で行うにはどうすればいいかについて述べる。本研究は共著になっている。現代芸術のおかれた状況の現状認識については,30年以上,現代芸術家として活動してきた大井が,社会の関係を分析する方法の概観や,全体の構成,最終的な執筆は堀田が主に担当した。The goal of this study is to publish local contemporary art by the power of grassroot organizations, tofind out the least necessary factors for them to be selfsustainable without the support of public funds, andlocal contemporary art to be circulated economically as well as aesthetically. Local community and localcontemporary art should reinforce and complement each other. In order to enrich originality of localcommunity, local contemporary art is useful. On the other hand, in order to publish local contemporary artand this art to be stated as original, it requires surveying uniqueness of the local community where theartists work. As a result it it establishes a correlation between art and community: the more unique thelocal community is, the deeper the local contemporary art might become.After this preliminary analysis the following points will be described:1)Checking the major idea being established until now to analyze the relationship between art and society.and2)Proving the effectiveness of application of the idea, Art Worlds by Howard S Becker, onto publishing,circulating and maintaining newly created artistic value. In other words, paying attention to thecooperation between artist, gallery, museumcurator, artcritique, researcher, artdealer, and public torecognizing, establishing and translating it to economic value.
著者
小坂 守孝
出版者
北翔大学
雑誌
北方圏生活福祉研究所年報 (ISSN:1342761X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.33-42, 2007

大学生の退学防止や就学継続のためには,大学生が体験するストレッサーの把握が重要である。ここ10年あまりの間に大学生に普及したインターネット・携帯電話によるコミュニケーションについては多くの研究者が問題点を指摘している。しかし,それらのストレッサーとしての位置づけについては十分検討されていない。また,従来のストレッサー尺度にも反映されていない可能性が高い。本研究では,大学生におけるインターネット・携帯電話関連のストレッサー尺度が開発され,個人特性(ハーディネス)とストレス反応との関係が検証された。2つの大学に所属する大学生234名(男性50名,女性184名)からデータが収集された。新たに開発されたストレッサー尺度の因子分析により4つの因子(ネットコミュニケーション,匿名ストレス,情報漏洩,経済的圧迫)が抽出された。ストレッサーの合計得点そして4因子を反映したその下位尺度得点は,ストレス反応の合計得点や下位尺度得点とは弱い正の相関を示した。一方,個人の性格のたくましさを示すハーディネスとは一部の弱い相関を除きほとんどがほぼ無相関であった。分散分析においては,身体的反応に対するストレッサーの主効果と,ストレス反応の合計得点・全ての下位尺度に対するハーディネスの主効果のみが見られた。ハーディネスの3つの要素(コミットメント・コントロール・チャレンジ)が全て高い群と全て低い群におけるストレッサー合計得点の高/低群ごとのストレス反応得点を比較した結果,高ストレス下においてハーディネスの高い群は低い群よりもストレス反応の下位尺度である身体的反応は低いものであった。ストレッサー尺度に関して,今後の尺度の改良の可能性や従来の総合的なストレッサー尺度との関連性などについて討論された。
著者
山田 眞知子
出版者
北翔大学
雑誌
北方圏生活福祉研究所年報 = Bulletin of Northern Regions Research Center for Human Service Studies (ISSN:1342761X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.39-46, 2006

日本の自殺者数は8年連続で3万人を超えている。自殺防止事業はこれまで殆ど民間任せであったが,政府も2006年にようやく自殺対策基本法を制定し自殺防止に取り組む姿勢を見せ,すでに取り組みを開始した自治体もある。フィンランドは1980年代後半ハンガリーに次いで自殺率が高かったが,1987年に国の主導で自殺予防プロジェクトを立ち上げ,自治体が中心に実施し,10年かけて自殺を減少させた。本稿では,日本ではまた知られていないフィンランドの自殺予防プロジェクトの内容,実施方法と成果を国と自治体の連携のあり方を中心に検討し,これからの日本の自殺対策の施策を模索する上で何を学ぶことができるか考えていく。
著者
木下 眞二 小田切 正
出版者
北翔大学
雑誌
人間福祉研究 = Human welfare studies (ISSN:13440039)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.147-158, 2002

サッポロ・オリンピックの直前に完成した,札幌の地下鉄「南北線」も,30周年を迎えた(2001年12月)。その頃は,札幌の人たちは皆,「なんぽく」線と呼んでいた。地下鉄の標識も"Nanpoku Line"であったと思っている。ところが,二年ほど前,地下鉄大通駅の標識が"Nanboku Line"となっていることに,偶然気付いて,びっくりした。初めは,交通局の間違いと思ったが,こちらの間違いであることが,分かった。何十年も,疑うことなく「なんぼく」と信じ,その間違いに気が付かないことに,二度びっくりしたのである。私だけの錯覚なのか。そこで,周りの同年輩の札幌出身の人たちに聞いてみる。皆,「なんぽく」である。しかも,私と同様に,何十年も「なんぽく」と信じて疑うことがなかった。この,まことに不可思議な,札幌の方言「なんぽく線」のことを,同窓会誌などに(資料1, 2),エッセーとして載せたところ,札幌だけでなく北海道,東北地方,関東,関西の,沢山の方々から,意見をいただいた。とくに,俳人の嵩文彦氏,国文学の工藤芳雄氏,英文学の久末弘氏,ケセン語研究者の山浦玄嗣氏,文筆家の遠間昌平氏からは,貴重な資料が寄せられた。ここに,これらの資料の一部と,私たちのその後の調査を記録しておきたい。この「方言」の不思議な現象の実体が,かなり見えてきたように思う。しかし,まだ分からないことが沢山あるようである。以下に述べることは,これらの資料をもとに,私たちの考えをまとめたものである。間違っているところは,また,ご指摘いただきたい。(資料の中で,[]の部分は,私たちが後から加えたものである。)
著者
山塙 圭子
出版者
北翔大学
雑誌
北海道女子大学短期大学部研究紀要 = Bulletin of Hokkaido Women's College (ISSN:02890518)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.57-70, 1998

明治時代の開拓期から全国的な生活革新が始まる昭和35年(1960)頃までの北海道における食生活用具の変遷について考察した。以下,各時代別に要点をまとめる。1)明治初期の開拓期この時代は衣食住すべてにおいて自給自足の生活である。また暖かい本州での生活文化をそのまま持ち込み,北の厳しい寒さへの対応が殆ど見られない。食生活の基盤である水については湧き水やそれから通じる川水などの自然水の利用が多い。しかし屯田兵村では道内どこでも最初から井戸の布設があった。いずれにしても,荷桶を使い人手で水を運んだ。火元は伝統的な囲炉裏であるが,開拓初期には薪の焚口がある三方を囲んだ「踏み込み炉」が見られる。特徴的な台所用具として,初期にはこれも伝統的な脚のない「座り流し」がある。北海道における開拓期を象徴する調理用具に,原生林の大木をそのまま利用した容器,まな板等,各種の手製木工品が見られる。2)明治末期から大正初期自給自足の生活から,外部に依存する度合いが増してくる。また薪ストーブの普及など北の自然風土に対応した生活文化が徐々に生まれている。水回りについては「井戸水」の使用が増加する。台所・調理用具は購入物が増え樽の代わりに陶器の「水がめ」や「チャブ台」が使用されるようになる。また「ハレ」の道具として輪島塗りの「本膳」や「会席膳」を揃える風潮も現れる。3)大正末期から昭和初期欧米をモデルにした近代化が始まり,人々の意識にも大正デモクラシーの自由主義的な風潮が起こり,生活に大きな変革が生まれた時代である。水回りはポンプが全盛になる。薪ストーブに代わり各種石炭ストーブが普及し,冬はこれら炊事の火となる。酪農の振興により乳製品や肉類,洋風の食べ物が出回り,北海道らしい生活文化が確立される。洋風料理の導入により,フライパンが新しい調理用具として使われるようになり,同時に西洋皿,スプーン,ガラスコップなど,洋風の食器類が一般家庭にも普及する。4)戦中・戦後第二次世界大戦が激しくなる昭和16年(1941)頃から,日本国中極度の耐乏生活を強いられる。食料も不足し,主食は芋,南瓜,雑穀等代用食の時代になるが,台所の各種金属製調理用具まで軍需産業に回されたため,調理用具も陶製,木製その他代用品が出現する。戦後は航空機の余剰金属のジュラルミン製調理用具が各種出回るのも,この時期の特徴である。上水道の設置復活は,昭和25年(1950)頃から始まり昭和32年頃までに市外部を除き,道内各地の整備がなされた。高度経済成長期の昭和35年(1960)年以降には家庭電化時代が始まり,台所・調理用具の大変革が起こり,生活態様も大きく変わった。開拓期の原初的な食生活用具から,今日では機能的にほぼ完成品と思われる食生活用具へと変遷をとげ,それに対応する食生活が展開された。物のない時代の人々の豊かな発想,優れた行動力,惜しまぬ労力が至る所で示されていた。今後もさらに合理性,便宜性に富む食生活用具は登場するだろう。その現実から後戻りは出来ないが,そこに生じるであろう様々な問題点をいかに解決していくか,現代人の英知が問われている。
著者
木下 眞二
出版者
北翔大学
雑誌
人間福祉研究 = Human welfare studies (ISSN:13440039)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.95-105, 2000

Figure 1 shows 9 DANGOs (Japanese dumplings) and 8 KUSHIs (straight skewers). On each skewer, there are 3 (brothers of) dumplings. Remove 2 out of the 9 dumplings to other positions and skewer these dumplings so as to increase the number of skewers from 8 to 10. On each skewer, there should be 3 dumplings, and there should not be 2 or 4 dumplings. There will be three forms of answers in this quiz. The answers will be seen in Figure 2 (page 103) of the text.Figure 1 shows 9 DANGOs (Japanese dumplings) and 8 KUSHIs (straight skewers). On each skewer, there are 3 (brothers of) dumplings. Remove 2 out of the 9 dumplings to other positions and skewer these dumplings so as to increase the number of skewers from 8 to 10. On each skewer, there should be 3 dumplings, and there should not be 2 or 4 dumplings. There will be three forms of answers in this quiz. The answers will be seen in Figure 2 (page 103) of the text.
著者
鈴木 しおり
出版者
北翔大学
雑誌
生涯学習研究と実践 (ISSN:13463535)
巻号頁・発行日
no.1, pp.169-184, 2001

The International Music Council (IMC) in cooperation with UNESCO established 1977 "TheInternational Music Day" as music festival for the understanding each other and the peaceful prosperityof the human races making "the link of hearts which ties up the people in the world by music" itsmotto. In our country we are still more concerned with the art and culture as an amusement and comfortfor the life. With thisd omestic and foreign situation for the background the Agency for CulturalAffair established in November 1994 "The law for the promotion of the music education" inorder togo ahead in "The promotion of art" especially "The promotion of regional music culture" organizingthe institutions and facilities which the Agency is managing systematically. II Concerto dei Giovani(The Concert of Youth") was organized 1974 on purpose to introduce and foster the new talents inAsahikawa and has performed periodically in many regions as well as schools. In Heisei - 12it performed for the first time under the subtheme "Japanese Words, Japanese Melody" as a link in thechain of 47 events of "The International Music Day". They outh that are rather familiar with the occidental music participated in this concert intending to break new ground of "I above all" as Japan inAsia.「国際音楽の日・10月1日」は、ユネスコと協議・共同関係にある国際音楽評議会(非政府組織・IMC)が、1977年に「世界中の人々と音楽でつなぐ心の輪」をモットーとして、民族の相互理解と平和共存を願う音楽の祭典にしようと制定された。また、わが国では、近年、心の豊かさを求める国民の意識が高まるなかで、人生に愉しみと潤いをもたらすものとして、芸術や文化に対する関心がますます高まっている。こうした国内外の気運を背景として、文化庁では、「芸術文化の振興」の中でも、とりわけ『地域の音楽文化の振興』に力を入れようと、1994年11月に「音楽振興法Jを制定し、施設や機関を整え、組織立てて運営を進めている。IlConcerto dei Giovani (イルコンチェルトデイジョーバニ 若者の音楽会)は、1974年に、旭川市の新人紹介・育成のための演奏団体として設立し、今日まで定期公演・地方公演・学校公演を継続してきた。このたび、全国47ヶ所で行われた文化庁の平成12年度「国際音楽の日」記念事業の一環として、初めて「日本の言葉、日本のメロディ」という副タイトルを付け、公演を開催した。これまで、どちらかといえば、西洋音楽に親しんできた若者たちであったが、アジアの中の日本として、独自の新しい境地を開発したいという気持ちで臨んだ音楽会であった。