著者
上田 達子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.2015-2038, 2006-02

貿易会社の営業員が海外出張中に発症した穿孔性十二指腸潰瘍について、業務起因性の有無が問題となった事例に関する最高裁判決(平成16年9月7日)の分析The analysis of the Gold Ring Japan Ltd. case, Supreme Court (Sep. 7, 2004), 1891 Rokeisoku 3
著者
加納 航治
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1.ポルフィリン-パーメチル化シクロデキストリン錯体:ある種の水溶性テトラアリールポルフィリンがパーメチル化β-シクロデキストリン(TMe-β-CD)と極めて安定な1:2包接錯体を形成することを見出した。この錯体は10^<-6>M程度の希薄水溶液中においても定量的に1:2錯体を形成する。この発見により、ポルフィリン-TMe-β-CD系が種々の超分子構築に有用であることが予想された。2.ポルフィリン-TMe-β-CD錯体の生成機構:異常に安定なシクロデキストリン錯体の生成機構につき検討した。その結果、TMe-β-CDはフレキシブルなホスト分子であり、ゲスト分子の形に応じて、ホスト分子が柔軟にその形状を変えながら包接し、その結果、最大のvan der Waals接触が可能となり、酵素類似のinduced-fit type complexationが起こることが、極めて安定な包接錯体形成の原因であることを明らかにした。3.簡便なヘテロポルフィリンアレーの作成:光合成アンテナクロロフィルモデルや反応中心クロロフィルモデルの構築には、ポルフィリンを自由に集合させ、並べる手法が必要となる。従来は共有結合で複数のポルフィリンを結合させて、ポルフィリン集合体を得てきた。しかしこの古典的な手法は、大変な手間がかかる。我々は、テトラフェニルポルフィリンのメソ位のフェニル基にパーメチル化シクロデキストリンを共有結合で結びつけた複合体は水中で他のポルフィリンと混ぜるだけで、任意のヘテロポルフィリンアレーを作り、このアレー内では非常に効率の良い光エネルギー移動が進行することを見出した。4.メトミオグロビンモデルとアニオン認識:TMe-β-CDと水溶性鉄(III)ポルフィリン(Fe(III)TPPS)との2:1錯体はメトミオグロビンモデルとして機能し、さらにアニオン認識する超分子として機能することを見出した。この機能は水中でアニオンを選択的に認識するセンサーとして応用できることを示し、特許を申請した。5.ミオグロビンモデルと酸素の可逆的吸脱着:パーメチル化β-シクロデキストリン2分子をピリジンを含むリンカーでつないだCD2はFe(III)TPPSと極めて安定な1:1包接錯体を形成する。このmet-hemoCDを還元してhemoCDとし、この水溶液に酸素を吹き込むと、oxy-hemoCDが生成することを見出した。この研究は、水中で機能するヘモグロビンあるいはミオグロビンモデルとして世界で始めての例である。特許を申請した。
著者
岩野 英夫
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1)ドイツのマールブルク大学図書館を拠点にして、Hubnerが作成した目録に従い西洋中世裁判文書を収集し、解読を進めるとともに、ゲルマン法関係史料、文献を集めた。2)日本法制史研究者の助力を得ながら、日本中世の和与文書とそれに関係する文献を収集した。また日本三代実録に記録されている裁判関係記録を読み進めた。明法家を養成する仕組み、明法家の法律実務の手法を伝える史料や文献を収集し、読み進めた。3)先輩研究者からの聞き取りについては、三人の方にお話をうかがった。また故人となられた方お一人について、参加者の異なる二つの座談会をした。
著者
平 弥悠紀
出版者
同志社大学
雑誌
同志社大学留学生別科紀要 (ISSN:13469789)
巻号頁・発行日
pp.31-45, 2001-12

音象徴語をA型(1拍語基の語),AB型(2拍語基で,第2拍がラ行音以外の語),AR型(2拍語基で,第2拍がラ行音の語)の三つに分けて,擬音語がどのようなタイプの語に多く用いられているのかを調査した。型別では,擬音語としての用法をもつ語の割合はA型に多く,AR型には比較的少ない。それぞれの型においても,A型では「Aー,Aッ,Aン」,「AーAー,AッAッ,AンAン」タイプに,擬音語としての用法をもつ語が多く含まれているが,特に,引き音節の「Aー,AーAー」タイプのものに集中していた。AB型の語では,「ABリ」には擬音語として用いられる語があるにもかかわらず,「AッBリ,AンBリ」にはほとんどない。AR型では,語基に「リ」の添加された形の「ARリ,ARリARリ」等にはあまり擬音語として用いられる語はなく。「リ」の添加されない「ARAR,ARARッ」等が擬音語としての用法をもっていた。AB型,AR型では「リ」が添加されているか否かで,擬音語として用いられる語の分布に偏りが見られた。また,擬音語を意味分野別にみると,「動物・人の声」の擬音語,声を発するという行為に近い「吐く,吹く,吸う,呼吸する」ことを表す擬音語はA型に多かった。しかし,同様に口を使って行う行為でも「噛み砕く」はAR型,「飲み込む」はAB型の語に集中しており,意味分野によって,用いられる語のタイプに偏りがあることがわかった。
著者
平 弥悠紀
出版者
同志社大学
雑誌
同志社大学留学生別科紀要 (ISSN:13469789)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-15, 2005-12

天沼寧編『擬音語・擬態語辞典』(1974〔昭和49〕年,東京堂出版)に収録されている音象徴語のうち,XYXYタイプ(AB型の「ABAB」,AR型の「ARAR」,A型の「AーAー,AッAッ,AンAン」)の擬音語について調査した結果,以下のことが明らかになった。AB型の語基の子音は,第1音節は「p・b・h・k・g・t・d・s・z」に,第2音節は「p・b・h・k・g・t・d・s」に集中しており,AR型,A型も第1音節はAB型と同様であった。また,どの型においても「m・n・w・j・r・φ」はわずかであった。擬音語は,「声」と「音」に二分でき,更に,「音」は,「動作に関わる音」,「無生物が発する音」,「物と物とが作用して生じる音」に分けることができる。「生物が発する声」と「無生物が発する音」にはA型の語が多く,「物と物とが作用して生じる音」には,AB型の語が多く見られた。圧力が加わって音が出るという点で,「動作に関わる音」の「噛む・齧る」は,「物と物とが作用して生じる音」の「引っ掻く・削る」等と共通しており,これらはAR型の「AリAリ」の形が圧倒的であった。「物と物とが作用して生じる音」でも,「触れ合う」,「打ち当たる」等にはAB型が多かった。また,第1音節を同じくする語の中には,「ARAR」は「震える音」,「AンAン」は「響く音」,「AッAッ」は「短い音」,「AーAー」は「継続する音」といったニュアンスが感じられるものもある。AR型の語は,従来の研究ではAB型として扱われてきたが,A型のバリエーションというとらえ方をすることも可能な語もあり,今後更に検討を加える必要があると考える。擬態語との比較も課題である。
著者
長岡 直人
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

安定な電力供給に資するため,雷サージ,電気鉄道,配電系統高調波などを解析するソフトウェアおよび解析モデル構築ツールを開発した。回路解析と電磁界解析プログラムを相互補完的に用いて新たな知見を得ると共に,実機・縮小モデルを用いた実験により精度確認を行った。提案法は実用精度を有すると共に,従来と比して高速な解析が可能となり,本研究の成果は安定かつ高品位な電力供給,安全・安心な社会構築に貢献する.
著者
波多野 賢治
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,多くのWeb検索エンジンが検索結果の表示形式にとらわれず,Webデータに対する情報検索における新しい検索結果の形式をWeb文書間のリンク構造,Web文書内の文書構造,そして利用者が入力する情報要求から算出される索引語の重みにより決定する方法の提案を行った. 本研究の成果は二つあり,一つは索引語の重みを正確かつ高速に再計算可能なアルゴリズムの提案,もう一つは誰もが容易に使用可能な情報アクセス機構の開発を行ったことである.その結果,索引語の重み再計算コストを約64%に減らすことができ,またどの文書のどの部分に利用者の情報要求を満たす部分が存在するのかを判断できる有用なツールとなり得ることが判明した.さらに,ドメイン内検索においてはこのような提示形式が非常に有効に機能することが判明し,本研究を行う意義は十分にあったということができる.
著者
福田 智子 矢野 環 田坂 憲二 岩坪 健 黒木 香 竹田 正幸 深川 大路 波多野 賢治 南里 一郎 宮崎 裕子 坂田 桂一 藤井 翔太
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

古今和歌六帖』と『源氏物語』を研究対象として校本システムを開発し、平安朝文学の伝本と表現に関する考察をおこなった。和歌用デジタル校本システムについては、伝本の墨付きの現状を、より論理的に表記するタグ付け規則を案出した。また、散文用校本作成支援ツールは、『源氏物語』の伝本4本のデータ処理をほぼ完了し、計算機を用いた異文箇所の数値化、およびSplits Treeによる本文系統の視覚化といった、本文異同を把握する一連の手法を確立した。
著者
冨山 一郎
出版者
同志社大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では、ある地域において歴史的意義を担っていた史料を別の主体にかかわる歴史記述において読み直すとき何が問われるのかということを、史料読解にそくして検討した。また歴史認識における地域史や辺境史と日本史、あるいは植民地史と帝国史の違いや対立を、歴史史料の読解を通じて検討し、どちらか一方を他方へと還元しない新しい歴史記述の方法を具体的に提示した。
著者
原 誠
出版者
同志社大学
雑誌
基督教研究 (ISSN:03873080)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.1-25, 1997-03

論文
著者
上田 誠
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.83-103, 2005-12
被引用文献数
1

論説(Article)本稿は、わが国の商業政策における振興政策として、長年にわたりその主軸を担ってきた商店街を対象とする政策に関する研究である。 商店街を対象とする政策は、1998年に、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法の、いわゆる「まちづくり3法」が成立し、大店法を中心とした調整政策が大きく政策転換した後も、引き続き国や自治体の小売商業振興政策において重要なポジションを占めている。しかしながら、一方では、「商店街の疲弊や衰退に歯止めがかかっていないのではないか?」あるいは、「商店街政策や施策が機能していないのではないか?」 との指摘がなされているのも事実である。 本研究では、商店街の捉え方と本質把握の重要性を指摘することを目的に、3つの考察を行った。1点目は、商店街の概念の考察である。商店街には、空間的概念と組織的概念が存在し,この2つの概念の混同とズレから生ずる問題点を指摘する。2点目は、組織としての商店街の意思決定に関する考察である。商店街組合が戦略的な行動を選択しにくいメカニズムを説明する。3点目は、商店街の3段階の形成と、特に政策形成関係者としての位置付けの考察である。第1次百貨店法、第2次百貨店法、大店法の3つの法律の制定局面における政治的動きの特徴を説明する。 最後に結論として、商店街の多面性を理解し、本質を把握することが、商店街を対象とする政策を進めていく上で極めて重要であるということを指摘するとともに、合わせて商店街研究の多様性,学際性を示している。
著者
篠原 翔 廣安 知之 三木 光範
出版者
同志社大学
雑誌
同志社大学理工学研究報告 (ISSN:00368172)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.21-27, 2010-04

システムが,その振る舞いをシステムの持つセンサー情報によって変化することができれば,そのシステムは知的化されたシステムであると言える.電子デバイス技術と情報処理技術の発展により多くの人工物が近年知的化している.また,同時に急速にネットワーク技術も進歩しておりこの情報通信技術の発達によりユビキタスコンピューティング時代が到来しようとしている.この場合,同一のネットワーク上にセンサー情報を判断し人工物に制御信号を送るモジュールが存在すれば,センサーとこれらの人工物を設置することで,個々の人工物は例え知的でない振る舞いしかできないとしても,もしくは非常に低レベルな知的性のみが実現可能だとしても,システム全体としては,非常に高度なシステムを構築することが可能である.本稿では,このような人工物をNetwork Controllable Artifacts(NCA)と定義する.さらに,センサー,NCAが存在するネットワークにおいて,どのような制御モジュールが存在すれば,システム全体が高い知的性を有するかを議論する.Recently, many electric devices and artifacts have intelligent functions, and most of them are connected to the network. In the near future, more artifacts and several types of sensors will be connected to the network. These artifacts are not only connected to the network but also can be controlled over the network. In this paper, we defined these controllable devices as Network Controllable Artifacts (NCAs). The conventional artifacts are controlled by own controller, but in most of the cases, calculation resources and memory capacities are limited in these controllers. Meanwhile, the conventional artifacts use the sensors which are installed in the artifacts. In the next generation system, we proposed that all artifacts would become NCAs and they would use the sensors which located on the network, not using installed sensors in NCAs. If we can design judgment modules which also existed on the network, this next generation system becomes virtual intelligent artifact system. In this case, controller for this next generation system can be released from the limitation of calculation resources and memory capacities. In this paper, how to develop virtual intelligent artifact system with NCAs is discussed. At the same time, advantages, disadvantages, and challenges of this system are discussed.
著者
堀 和孝
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.1219-1248, 2007-07

本稿は、竹越与三郎が宮内省臨時帝室編修官長在任中に執筆した稿本「明治天皇紀」の特色を考察することを目的とする。竹越の稿本「明治天皇紀」は、「第一巻 緒論」、「第二巻 明治前紀甲」、「第三巻 明治前紀乙」、「第四巻 明治前紀丙」、「第五巻 明治前紀丁」の五冊から成るが、戦後公刊された『明治天皇紀』と比較すると、竹越稿本の最大の特色は、「第一巻 緒論」において、明治天皇生誕以前の歴史を叙述しているところにある。そしてそこでは、「歴史の本体は経済的動機にあり」(『日本経済史』)とする観点から、江戸幕府の崩壊が論じられている。また、明治天皇生誕以後を記述した「第二巻 明治前紀甲」以降についても、特に同時代の「国勢」に関する記述に公刊本『明治天皇紀』との大きな違いが見出される。竹越の編修官長辞任の要因は不明だが、もし彼が辞任していなければ、公刊された『明治天皇紀』とは大きく異なるものが完成していたに違いない。
著者
松本 茂章
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.139-155, 2008-12

研究ノート(Note)本稿は、パリ日本文化会館の運営状況と資金調達のシステムについて調査研究した成果である。同会館は、日本が海外に持つ最大級の総合的な文化交流施設であり、独立行政法人・国際交流基金が所有、運営している。1997年に開館したので、2007年は開館10周年に当たり、活発な文化事業が展開された。この節目に合わせて2008年3月から4月にかけて訪問、聞き取り調査を行った。同年8月には国際交流基金および資金調達を担当する同会館・日本友の会に取材を行った。同会館が以前から気になっていたのは「官民合同プロジェクト」と呼ばれ、日仏両国政府や経済界の連携で進められてきたからである。現在も事業費の相当額は民間支援金でまかなわれ、資金調達の組織とスタッフを擁している。わが国の自治体文化施設に関しては、建設する際に多額の資金が投じられるものの、開館後は事業予算の確保が難しくなり、建物は豪華でも事業の内容は貸し館中心で、「ハコモノ行政」と指摘されてきた。パリ日本文化会館の事例研究を通じて、わが国の文化施設をめぐる官民協働のありようについて学ぶ点があるのではないか、と考えた。同会館の運営システムと資金調達状況から浮かび上がる意義と課題を提示する。
著者
山本 宣之
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.3135-3159, 2009-02

論説(article)法人である主たる債務者が破産し消滅した場合、保証人はその後に完成した主たる債務の消滅時効を援用できるか。これについて、二〇〇三年、最高裁判所は形式的な理由を示して否定したが、同じ年に、ドイツ連邦通常裁判所は、詳細な理由を付して肯定した。ドイツでは、この問題は保証法理の観点から議論されている。保証人が財産的破綻のため消滅した場合、保証の担保目的によれば保証人が負うべきリスクであり、保証債務は主たる債務に付従せずに存続するとされる。そして、消滅時効の抗弁も同様の理由から否定する説と、消滅時効はそれとは無関係な制度であるとして肯定する説に分かれている。Wenn der Hauptschuldner als Rechtsperson wegen Insolvenz untergegangen ist, kann der Bürge die Einrede erheben, dass die Hauptschuld danach verjärt ist? Der japnanische OGH hat sie in 2003 aus einem formellen Grund verneint, während der deutsche BGH sie in demselben Jahr mit einer ausfürlichen Begründung anerkannt hat. Nach dem deutschen Recht gehört dieses Problem zum Bereich des Burgschaftsrechts. Die Bürgenschuld besteht trotz ihrer Akzessorietät auch bei Wegfall der Hauptschuld infolge Untergang des Hauptschuldeners fort, weil die Vermögenslosigkeit gerade das vom Burgen übergenommenen Risiko ist. Und eine Auffassung verweigert ebenfalls aus diesem Grund auch die Verjährungseinrede, aber die gegenteilige gründet sich darauf, dass sie unäbhangig von Vermögensverfall eintritt.
著者
井口 治夫
出版者
同志社大学
雑誌
同志社アメリカ研究 (ISSN:04200918)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.1-26, 2008-03

論説(Article)