著者
濱崎 雅弘 武田 英明 西村 拓一
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.11, pp.1-6, 2009-05-14
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では,Web を介して多くの人が集い,創発的・協調的に行われる創造活動の分析を行う.ニコニコ動画は国内でもっとも人気の動画共有サイトであるが,投稿された動画の多くに協調的な創作活動が見られる.特に初音ミクという合成音声ソフトウェアを用いた動画は,作詞作曲をする人たちだけでなく,絵を描く人やビデオ編集をする人たちなど,異なるタイプの作者が参加することで新たなコンテンツが作り出されている.本論文では,そのような異なるタイプの作者が互いに影響を受けながら新しいコンテンツを作っていく様子のネットワーク分析を用いて解析する.The Web technology enables numerous people to collaborate in creation. We designate it as massively collaborative creation via the Web. As an example of massively collaborative creation, we particularly examine video development on Nico Nico Douga, which is a video sharing website that is popular in Japan. We specifically examine videos on Hatsune Miku, a version of a singing synthesizer application software that has inspired not only song creation but also songwriting, illustration, and video editing. As described herein, creators of interact to create new contents though their social network. In this paper, we analyzed the process of developing thousands of videos based on creators' social networks.
著者
五木 宏 竹内 飛鳥 藤田 篤 松原 仁
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.12, pp.1-6, 2010-08-16

我々は,安全なオンラインゲームを確立するための技術開発の一環として,多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム (MMORPG) における現実世界の貨幣による取引 (RMT) の問題の解決に取り組んでいる.本稿では,RMT 実施者の検出の効率の向上を目的として,MMORPG のプレイログデータおよびチャットログデータに基づく統計的な属性情報について述べる.我々は実際の商用 MMORPG のログデータおよび,ゲーム運営者によって発見済みの RMT 実施者のリストに基づいて,実際の RMT 実施者の行動の特徴を同定した.そして,ユーザ集合から,RMT 被疑者を抽出するクローズドテストによって,各特徴の有効性を確認した.今回の調査により,RMT 実施者の役割ごとに,行動やチャットの量に大きな違いがあることが明らかになった.Toward making the virtual worlds of online games reliable, we have been addressing the issues of Real-Money Trading (RMT) carried out in Massively Multi-player Online Role Playing Games (MMORPGs). In this paper, we describe a method for detecting RMT dealers using a set of features extracted from log data of MMORPG. Through the manual analysis of log data of a commercial MMORPG, we identified several numeric features that characterize RMT dealers. We also revealed the significant differences of the volumes of actions and utterances between the roles of RMT dealers. A closed test confirmed the effectiveness of these features on detecting RMT dealers.
著者
藤田 洋子 竹内 翔大 川波 弘道 松井 知子 猿渡 洋 鹿野 清宏
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.3, pp.1-6, 2010-02-05

実環境で,音声認識を用いた音声情報案内システムを稼動させる場合には,雑音などの音声以外の入力やユーザ同士の背景会話などが混入されてくることがある.これらの入力はシステムの誤作動・誤認識を引き起こし,システムの応答性能を低下させる原因となる.そのため,システムへの入力として適当な入力 (有効入力) と不適当な入力 (無効入力) の識別を行い,無効入力を棄却することにより,無効入力に対する応答処理を行わないことが重要となる.一般的に有効入力と無効入力を識別には音響的特徴が用いられる.しかし,入力音の音声認識結果から得られる言語的な情報を使うことにより,無意味な認識結果が出力される雑音の識別に加え,システムのタスクの言語的な特徴を反映させた有効入力,無効入力を識別することが可能になると考えられる.そこで本稿では,Bag-of-Words (BOW) を特徴量とした Support Vector Machine (SVM) による無効入力の識別を検討した.実環境音声認識システム 「たけまるくん」 の入力データを用いた実験では,GMM に基づく無効入力の識別と比べ,分類誤り率を 23.30% から 15.90% に削減することができた.また,BOW に GMM から得られる音響尤度,発話時間や SNR を組み合わせた手法についても検討した.その結果,分類誤り率を 13.60% まで削減することができた.On a real environment speech-oriented information guidance system, a valid and invalid input discrimination process is important as invalid inputs such as noise, laugh, cough and meaningless utterances lead to unpredictable system responses. Generally, acoustic features such as MFCC are used for discrimination. Comparing acoustic likelihoods of GMMs (Gaussian Mixture Models) from speech data and noise data is one of the typical methods. In addition to that, using linguistic features, such as speech recognition result, is considered to improve discrimination accuracy as it reflects the task-domain of invalid inputs and meaningless recognition results from noise inputs. In this report, the authors propose to introduce Bag-of-Words (BOW) as a feature to discriminate between valid and invalid inputs. Support Vector Machine (SVM) is also employed to realize robust classification. Experiments using real environment data from the guidance system "Takemaru-kun" were conducted. By applying BOW and SVM, the classification error rate (CER) is reduced to 15.90% , from 23.30% when using GMMs. In addition, experiments using features combining BOW with acoustic likelihoods from GMMs, SNR and duration were conducted, improving the CER to 13.6% .
著者
小笠原 遼子 角 康之 西田 豊明
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.46, pp.1-8, 2010-03-19

体験共有型のワークショップに注目し,各自の気づきを共有することで協調作業や他者の視点といったものをメタレベルで学ぶためのワークショップの設計と使用する情報システムに必要な要素の提案を行う.個人作業とインタラクションを繰り返し,相互作用を 2 種類に分けて組み込むといった設計を行い,実際に 2 種類のワークショップをデザインし実践した.これらの分析より,設計の有効性としてメタレベルの学習が起きたことが示唆され,さらに,時間や手順の設計に必要な要素を議論する.We focus on proposes designing "Participatory Experience Workshops", which are sharing participant's experiences and help to widen participant's views and learn how to work together. We propose a total design of the environment, the workshop procedure and the factor for information systems. We set the workshop procedure which repeats individual work and cooperative work, and includes two kinds of cooperative work. As two field trials of the proposed workshop, we discuss important factors for the workshop design.
著者
久野 靖 和田 勉 中山 泰一 Yasushi Kuno Tsutomu Wada Yasuichi Nakayama
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. 教育とコンピュータ = IPSJ transactions. TCE
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.48-61, 2015-06-19

情報および情報技術は現代社会の基盤となっており,社会の構成員がこれらの内容を身につけてから社会に出ることが重要となってきている.世界の多くの国がこのため,情報教育に注力してきているが,それらの内容とわが国の現状には隔たりがある.本稿では積極的な情報教育を進めている各国の状況を整理・分析し,そのうえでわが国の情報教育が目標とすべきことと,初等中等段階における情報教育の体系的なカリキュラムについて提案する.
著者
吉村 剛
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.346-347, 2023-06-15

本稿はプログラマーのためのCPU入門を紹介する.本書では,CPUはプログラムの命令をどのように実行するか,内部アーキテクチャの動作原理について,性能がどのようにして改善・または劣化するのかという観点でまとめられている.基本的な命令処理のパイプラインや分岐予測から始まり,キャッシュ,I/O,メモリ順序,不可分操作など,OSカーネルなどの低レイヤプログラムに不可欠な動作原理まで幅広くカバーしている.
著者
北山 涼華
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.274-275, 2023-05-15

ツアーに参加し,有識者による解説を受けながら複数のセッションを聴講した.企業や大学の先生など幅広い人々と話をすることができ,多くの知見を得た.聴講した研究発表のほとんどは事前知識を持っていなかったが,有識者の解説や参加者の意見交流により,発表内容についてより深く理解できた.また,自分が意識の視野外とする分野のキーワードが現れ,有識者に質問し,勉強することで視野が広がった.
著者
金藤 栄孝 二木 厚吉
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.770-784, 2004-03-15

Dijkstraのgoto文有言説とそれに引き続く構造的プログラミングの提唱以降,goto文の使用に関する問題は長く議論されてきたが,coto文の使用法に関しての理論的裏付けを持つ研究としては,逐次的プログラムの制御フローは3基本構造(順次接続,条件分岐,反復)のみで表現可能であるからgoto文を用いたプログラムは3基本構造のみによる等価なプログラムに書き換えられる,という結果に基づいたMillsらのgoto文排斥論以外は皆無であり,Dijkstra本来のプログラムの正しさを示す手段としてのプログラムの構造化という観点でのgoto文の使用の是非は,プログラム検証論の立場から考察されなかった.本論文では,プログラムの正しさを示すという検証手段としてのHoare論理に基づきgoto文の使用を再検討する.特に,多重ループの打ち切りの場合,goto文を用いて脱出するプログラミングスタイルの方が,Mills流のBoolean型変数を追加してループを打ち切るスタイルよりも,Hoare論理での証明アウトラインが簡単に構成でき,したがって,前者のgoto文を用いたプログラミングスタイルの方が,そのようなプログラムに対するHoare論理による検証上からは望ましいことを示す. : There have been a vast amount of debates on the issue on usages of goto statements initiated by the famous Dijkstra's Letter to the Editor of CACM and his proposal of "Structured Programming". Except for the goto-less programming style by Mills based on the fact that any control nows of sequential programs can be expressed by the sequential composition, the conditional (if-then-else) and the indefinite loop (while), there have not been, however, any scientific accounts on this issue from the Dijkstra's own viewpoint of verifiability of programs. In this work, we reconsider this issue from the viewpoint of Hoare Logic, the most standard framework for proving the correctness of programs, and we see that usages of goto's in escaping from nested loops can be justified from the Hoare Logic viewpoint by showing the fact that constructing the proof-outline of a program using a goto for this purpose is gasier than constructing the proof-outline of a Mills-style program without goto by introducing a new Boolean variable.
著者
平野 淳一
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.9, pp.1-8, 2011-03-21

本論では,エジプトを中心とするアラブ世界やイラン,トルコにおいて,新聞や雑誌といったプリント・メディアがどのような歴史的経緯のもとに普及・発達していったのか,ヨーロッパとの国際関係,支配者の政治社会政策,知識人の文化活動などに着目しつつ明らかにする.This paper aims to reconsider a historical and theoretical process of development of the print media in the Arab world, Iran and Turkey, with special reference to their international relationships with the West and the governors' social politics and the intellectuals' cultural activities from the latter half of the 19th century to the beginning of the 20th century.
著者
高田 明典
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.2, pp.1-4, 2009-08-14

コミックやアニメーション,コンピューターゲームやコマーシャルフィルムや映画などの娯楽制作物は,今日では,私たちの生活に深く影響を及ぼしている.私たちはそれらをプレイもしくは視聴することによって価値観を形成し,その価値観とともに生きている.娯楽に関する分析的研究の主たる目的とは,したがって,それによってどのような価値観が,どのようにして形成されるかを知ることにあると言える.本研究の目的は,それらの娯楽制作物の訴求構造を知るために,物語構造分析の手法を適用可能であるように精緻化することにある.コミック 『DEATH NOTE』,『CHANEL No.5』 のコマーシャルフィルム,RPG 『テイルズ・ウィーバー』 についての分析結果を提示し,それらの訴求構造に関して検討した.Entertainment products such as comics, animations, video games, ad film and movies deeply influence our life nowadays. We form sense of values by playing or viewing them and also live by those values. Therefore the primary goal of analytical entertainment studies is to know what those values are and how they are formed. The purpose of this study was to improve the methods of structuralism's analysis of narrative so that we can apply them to know apealing structures of entertainment products. Three sample analysis - comic "DEATH NOTE", ad film "CHANEL No.5" and RPG "Tales Weaver"- were presented and resulted appealing structures were discussed.
著者
東海彰吾 安田 孝美 横井 茂樹 鳥脇 純一郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.801-809, 1994-05-15
被引用文献数
7

本論文はコンピュータ・グラフィクス(CG)における爬虫類皮革の表現手法について述べたものである。CGの分野では自然物の表現方法に対する関心が深まっており、さまざまな対象について研究が行われている。しかし、生物、特に爬虫類などの動物に関する研究は、これまでにほとんど行われていない。ヘビやトカゲ、あるいはワニなどの爬虫類の皮革はハンドバックなどの製品として利用される比較的身近な対象であり、その表現手法は皮革製晶のデザインや各種の映像制作などへの利用が考えられる、本論文では爬虫類皮革の最も顕著な特徴であるウロコの並びによる模様に注目し、特にワニの皮革の表現方法を中心に、ボロノイ分割などの幾何学的な手法を用いた爬虫類皮革の表現方法について述ぺる。具体的には、(1)シードの配置と移動とを工夫した2段階のボロノイ分割を用いてウロコの模様を多角形で表現し、(2)この多角形にベジェ曲線で設定した断面形状を用いて立体的な皮革データを生成し、(3)生成した皮革データを曲面にマッピングして表示を行うものである。本手法による皮革データを製品形状にマッビングして表示することにより、製品デザインヘの応用の可能性を確認した。
著者
中山 泰一 中野 由章 角田 博保 久野 靖 鈴木 貢 和田 勉 萩谷 昌己 筧 捷彦 Yasuichi Nakayama Yoshiaki Nakano Hiroyasu Kakuda Yasushi Kuno Mitsugu Suzuki Tsutomu Wada Masami Hagiya Katsuhiko Kakehi
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌.教育とコンピュータ = IPSJ transactions. TCE
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.41-51, 2017-06-14 (Released:2017-06-14)

高等学校情報科の教科担任の現状を明らかにするため,都道府県教育委員会における臨時免許状の授与と,免許外教科担任の許可の状況を調査した.情報科では,臨時免許状や免許外教科担任が他の教科に比べて突出して多用されていることが明らかになった.本論文では,その調査結果を報告するとともに,わが国の情報教育の取り組みについて述べる.
著者
原田 騎郎
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.4, pp.1-6, 2010-05-29

サプライチェーン革命がさけばれてから久しいが,日本国内の状況を考えると,一部の小売業をのぞき,サプライチェーンは大きく変わっていない。とくに,大手も含む製造業では,サプライチェーンの効率化にとりくむものの,なかなか成果が出ていないのが現実である。いくつかの大手企業のサプライチェーン改革の支援を行うなかで,サプライチェーンの効率化への課題となる共通の問題が存在するらしいことに気がついた。それは,在庫テーブル,有効在庫,引当在庫の管理を主とする在庫管理システムの存在である。ここでは,既存の在庫システムのよくある設計と,その課題および問題点を論ずる。続いて,それらの課題に対する対応案として,勘定パターンによる在庫管理システムの設計および実装例を示す。A stock management system is one the most critical components of supply chain management systems and has been implemented on almost every system including procurement, manufacturing management, order entry etc. Since the component has long history of computer implementation, many stock management systems has not been redesigned to meet with the current market needs as well as the technology needs. This paper discusses the common limitations and problems of such systems and reports the improved design, implementation and applications.
著者
飯尾 淳 吉田 圭吾 小池 亜弥 清水 浩行 白井 康之 桑山 晃一 栗山 桂一 小浪 宏信 高山 隼佑
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.2256-2267, 2011-07-15

GPS機能を内蔵したモバイル機器の普及により,属性情報付きの位置データを大規模に収集することが容易になった.オンラインアンケートで消費者の消費傾向や属性を取得し,個人情報保護に配慮したうえでアンケート結果と位置情報ログを結びつけることによって,実際の行動と消費意欲の関係を分析することができる.なお,そのような位置情報ログを「属性付き位置情報ログ」と定義した.今回,首都圏において約1,800名の参加者を募って1カ月弱にわたり実験を実施した.その結果,いくつかの消費傾向分野において参加者の意識は実際の行動に反映されていることが明らかとなった.The widespread of mobile devices makes it easy to collect location-based personal information on a broad scale. After acquiring consumption tendency and personal individual attribute via on-line questionnaire, associating the result of the questionnaire and the location-based personal information log, which named "the location-based personal information log with individual attribute," enables an analysis on the relation between personal behaviors and their intention. This time, with the help of approximately 1,800 participants, an experiment has been conducted in the Tokyo metropolitan area. The result revealed that the intention of participants to spend their money on several types of services and products were reflected to the log of their behavior. In this papar, details of the experiment and the result are reported.
著者
坂本 竜基 角 康之 中尾 恵子 間瀬 健二 國藤 進
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.3582-3595, 2002-12-15
被引用文献数
10

本稿では,コミックダイアリシステムと呼ばれる,個人の日記を漫画形式で自動生成するシステムを提案する.このシステムは,博物館見学や学術会議参加において個人化されたガイドを行う展示ガイドシステムの一環として開発した.このシステムにより自動生成された漫画は,個人の記憶補助のみならず記憶の伝達のためのカジュアルな媒体として利用されることを期待されている.システムは,会場閲覧の個人的なエピソードを展示ガイドシステム(C-MAP)から収集したデータと社会的イベントなどの周辺情報を元にストーリ化し,漫画というスタイルで表現する.また,漫画の生成機能以外にも,複数の漫画間をブラウジングする機能や個人の漫画の伝達を支援する機能も有している.本稿では,プロトタイプシステムに関する説明と,これまで行った学術会議における運用実験の結果について述べる.This paper describes a system, called ComicDiary, which automatically creates a personal diary in comic style. ComicDiary is built as a sub-system of our ongoing project of a personal guidance system for exhibition touring at museums, trade shows, academic conferences, cities, and so on. We intend for ComicDiary to be used as a casual tool for augmenting each individual user's memory as well as encouraging users to exchange their personal memories. ComicDiary is to allegorize individual episodes during touring exhibitions by creating a comic from a user's touring records, accumulated by his/her personal guidance system, and environmental facts, e.g., social events. Addtion to its basic representation in comics style, ComicDiary has two novel functions as computational media. One is to support browsing over many ComicDiary and the other is to support sending user own ComicDiary to him or her friends. In this paper, we present the implementations and user evaluation of ComicDiary deployed at academic conferences.
著者
吉田 光男 荒瀬 由紀
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌(トランザクション)データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.20-30, 2016-03-31

ソーシャルメディアでの言及量やウェブ検索エンジンでの検索頻度をもとに,トレンドキーワードを発見する研究開発が広く行われている.また,注目されているキーワードに対して情報を付与し,そのキーワードの理解を促すような試みもある.しかし,それらのトレンドキーワードが様々なウェブリソースでどのように振る舞うのかは必ずしも明らかではない.そこで本研究では,トレンドをとらえうるウェブリソースを対象に,収集したトレンドキーワードがどのように振る舞うのかを横断的に調査する.この調査により,大半のトレンドキーワードがオンライン辞書サービスに登録されていないこと,検索のトレンドは2日で50%未満の頻度に収束すること,ソーシャルメディア(Twitter)がほかのウェブリソースよりもトレンドに敏感であることなどを明らかにする.Many researchers work on studies for discovering trend keywords and queries on the web, i.e., search frequency and social media. Moreover, studies on trend query classifications are being conducted. However, the behavior of trend queries for various web resources is unclear. In this study, we investigate how trend queries appear in different resources on the web. We clarify the following. (1) Most trend queries are not registered with online dictionary services. (2) The trend converges in approximately two days. (3) Social media websites (such as Twitter) are responsive to trend queries.
著者
鳥海 不二夫 山本 仁志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2507-2515, 2012-11-15
被引用文献数
1

近年,ソーシャルメディアの発達が目覚しく,FacebookやTwitterなど数多くのソーシャルメディアがWeb上で運営され,多くのユーザによって利用されている.ソーシャルメディアへの記事投稿にはコストが必要であるにもかかわらず,自発的に記事が投稿されるメカニズムは明らかとなっていない.ここで,ソーシャルメディアの基本的な仕組みは,多数の情報がコストをかけて投稿され誰もがアクセスし利用することができることから,公共財としての性質を持っているといえる.公共財への貢献を促進する仕組みとしては,協調しない者に対し罰則を与える規範ゲーム・メタ規範ゲームが提案されている.しかし,ソーシャルメディア上では非参加者を罰するということは不可能である.そこで,懲罰ではなく協調者にたいして報酬を与えるという方法を取ることが考えられる.一方で,報酬よりも懲罰のほうが効果的であるという報告があり,通常の条件下ではソーシャルメディアでは協調は進化しないと考えられる.そこで本研究では,報酬しか与えられない公共財ゲームであるソーシャルメディア上で,どのような条件が整った時に協調が促進されるのかを,エージェントシミュレーションによって明らかにする.In this paper, we propose the General public goods game to represents human behaviors on the social media. The structures of social media are modeled to clarify the mechanism to participate to social media. We developed a simulation model to clarify the mechanism to participate to social media. In general, there are no systems to punish other users in social media. Instead, there are some systems to rewards other users by comments or replies for communication behaviors. We modeled such reward model by General public goods game to clarify the conditions to realize cooperation dominants situation. From agent-based simulation, it becomes clear that the rewards for the cooperation and the rewards for the rewards can be the factor to encourage the cooperation. Furthermore, we analyzed the relationships between costs and the benefits to encourage the cooperation. From the analysis, the cooperation behaviors become dominant in the case that the benefits for the cooperation and rewards are larger than the cost to reward other users.
著者
折田 明子
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.4, pp.1-6, 2009-05-29
被引用文献数
1

ブログや SNS、掲示板などのソーシャルメディアにおける匿名性の高いコミュニケーションにおいては、会員登録や仮名利用によって利用者の識別性が確保されている。だが、第三者が、ID そのものを乗っ取るまでにいかないものの、趣味や嗜好を真似て特定のユーザに「なりすます」という問題が発生している。長らく使っていた仮名を他者が意図的に名乗り出してコミュニケーションに混乱を招いたり、個人のブログやサイトの管理者であるかのようにふるまうといった行為だ。本稿では、ネット上の匿名性と識別性の整理を踏まえた上で、こうしたなりすまし問題についての考察を試みる。Social-media, such as blogs, SNS and BBS is the place that users tend to hide their real name but register their IDs. Username squatting is occurred on such social-media not only as identity-theft but as pretending to be a particular user. This paper firstly shows the classification of identity representation on the web, then,consider several cases of username squatting based on the classification.
著者
坂本 俊介 須藤 崇志 丸山 広 中村 太一
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.17, pp.1-6, 2009-07-23

技術文章力を高めるには,個別に添削指導を受けることが有効であるが,時間的な制約により実現が難しい.この問題に対処するため,書き手自身が短時間で何度も文章の客観的な見直しを繰り返し行い,さらに指摘の重要性や修正例を提示する校正支援手法により,学生の文章作成能力の向上に寄与できることを示した.また,学生の実験レポート2,285編から,140,214件の誤りを指摘した結果,学生に多い誤りは句読点および体言止めで79.4%を占めた.同時に,技術文章作成のノウハウを課題やレポートを通じて習得させることの重要性を改めて確認できた.There has been discussion about improving technical writing skills. Individual tutoring which a mentor provides a trainee to correct a technical writing might be the most effective way to enhance the skills. However it is difficult to repeat the tutoring many times because of time consuming job. We propose a method that an author oneself can emend a manuscript repeatedly. The method is based on a recommendation system which implements Japanese grammar and technical writing grammar with a morphological analysis. This paper describes the experimental results obtained from 2,285 reports written by students. The proposing method detected 140,214 technical writing errors in their reports. 79.4% of 140,214 errors are a punctuation mark and the indication of the termination with a substantive and speak that it is effective to teach these errors.
著者
武田 隆之 牛窓 朋義 山内 寛己 門田 暁人 松本 健一
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.8, pp.1-8, 2010-03-11

本稿では,学生の演習課題のような小規模なソースコードを対象とした盗用の検出を目的とする.インデント,演算子などのコーディングスタイルに着目し,59 項目の特徴量として抽出し,盗用の発見に用いる.盗用関係にあるソースコード間において 59 項目の特徴量の差分を測定し,盗用関係にないソースコード間における特徴量の差分と比較したところ,28 項目の特徴量が盗用検出に有効であること,28 項目のうち 8 項目の特徴量はプログラムの内容によらず盗用検出に有効であること,8 項目のうち 3 項目の特徴量はソースコード整形ツールによるインデント整形に対して耐性を持つことが分かった.The goal of this paper is to detect software plagiarism in small-size source code like exercise assignments at school. This paper focused on coding style elements, such as indents and operators, and computed 59 quantitative measures from these elements. To evalute the usefulness of measures for plagiarism detection, we compared measures of suspected pairs (of plagiarism) and nonsuspected pairs. As a result, we found that 28 measures were effective to detect plagiarisms. Especially, 8 of 28 measures were effective for different program specifications, and 3 out of 8 measures were effective even after source code indentation tools were applied.