著者
川嶋 かほる 小西 史子 石井 克枝 河村 美穂 武田 紀久子 武藤 八恵子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.216-225, 2003-10-01
被引用文献数
4

小中高の家庭科担当教師に調理実習の学習目標について質問紙調査をした結果,以下の点が明らかになった。1.実習の学習目標を「基本的な調理法や調理器具の扱いができる」や「安全衛生に気をつけて調理する」などにおく教師が多く,技能技術の習得を中心において調理実習観が根強いと考えられる。しかし,授業時間や子どもの生活体験の低下等の制約の中で,技能技術の習得達成を期待していない教師も多く、また技能技術の習得を確実にするための工夫は積極的におこなわれているとは言いがたかった。2.調理実習の学習目標には,社会的認識の目標設定が少なく,食生活教育の総合の場ととらえる視点は弱かった。3.調理実習を「楽しければよい」とする考えが一部に強くみられた。調理実習の楽しさを友達との共同的な学びとすることや技能技術の上達ととらえる回答は少なかった。4.食生活状況や子どもの問題状況の把握が学習目標にいかされているとはいえない結果だった。
著者
有友 愛子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, 2012

【目的】調理実習は生徒が楽しみにしている学習のひとつであり、意欲的に学習に取り組む様子がみられる。学んだ知識や技術の習得に向け、自らの学びをもとに生活場面での実践の積み重ねを視野に入れた指導を心掛けている。そこで、生活場面の実践における目標達成の手だてのひとつとして、レシピカードと調理場面の動画に着目したデジタルポートフォリオの活用について検討を行うことにした。レシピカードは、調理方法を示したスライド形式のカードであり、実習を通して得た調理のポイントや今後の課題等を言葉や図で書き加えることにより、生徒一人一人がオリジナルのレシピカードとして活用することができる。レシピカードの作成と活用により、論理的思考や生活の課題を解決する能力を育む視点を充実させ、知識・技術の習得につなげたいと考えている。【方法】中学部生徒を対象に、家庭科の授業でデジタルポートフォリオを活用し、調理実習を実施した。献立は、「筑波定食」として主食・汁物・副菜を固定し繰り返し取り組ませ、主菜を実習ごとに変えた。レシピカードはプレゼンテーションソフトで作成し、デジタルポートフォリオとして電子黒板やタブレットPC上で活用した。タブレットPCは生徒が1人1台使用し、デジタルポートフォリオにはレシピカードや調理場面の動画、生徒が撮影した静止画や動画、デジタルノートの記録等を盛り込んだ。デジタルポートフォリオの実習時の活用の様子、レシピカードに書き加えられた記内容、自己評価や質問紙による調査等から検討を行った。【結果】調理実習の際、デジタルポートフォリオとしてレシピカードと動画を併せてタブレットPC上で活用させたところ、役割分担を相談する、作り方を確認しながら調理を進める、友達や教員から説明を受ける等の場面で活用する様子がみられた。生徒の自己評価の結果から、「調理技能」、「調理手順」の自己評価の高まりがみられ、特に「調理手順」については、1回目と3回目の実習での高まりが顕著であった。確認が曖昧だったり、わかったつもりで作業を進めたりしたことで思い通りに仕上げることができなかった実習の後、次回の実習に向けての課題として「レシピカードや動画などでよく確認する。」、「作業の間にレシピカードや動画を見て、何が必要か、準備はできているか、注意することは何かを確認する。」等の記述がみられ、レシピカードや動画を知識・技術の習得のために活用しようとする意欲がみられた。調理実習直後に学習プリント形式のレシピカードに書き込んだ内容を元にレシピカード作りに取り組ませたところ、ほとんどの生徒がデジタルポートフォリオの中から調理場面の動画を選んで視聴し、作り方を再確認した上で書き加える内容の整理や拡充に取り組む様子がみられた。書き込まれた内容には、「お湯の色が緑っぽくなってきたり、ブロッコリーがくるくる回り出したりしたら、そろそろザルにあげても大丈夫。香りにも注目。」、「火加減に注意。あまり強くしない方がいいよ。切り身に火が通り、周りが少し白っぽいくらいが裏返す合図。」等の記述がみられた。完成したレシピカードに書き込まれた内容から、体験を通して学んだ知識・技術について具体的に内容を深めて行くことができた。また、レシピカード作成の際、教員が思考の整理をさせたり、考えを深めさせたりする場面において、書き込まれた内容が生徒それぞれの思考や理解の状況を把握する材料のひとつとなった。レシピカードの作成により生徒の調理に関する思考力の高まりがみられた。デジタルポートフォリオとしてレシピカードと調理場面の動画を併せて活用することで、学習活動において様々な相乗効果がみられた。レシピカードをはじめとした生徒の学習の過程をデジタルポートフォリオとして蓄積することにより、生徒の知識・技術の習得や家庭での実践による課題を解決する能力をはぐくむ視点の充実につなげることができるのではないだろうか。今後はデジタルポートフォリオの内容の充実や情報の共有化等による活用の検討を進めて行きたい。
著者
薩本 弥生 川端 博子 堀内 かおる 扇澤 美千子 斉藤 秀子 呑山 委佐子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, 2012

[目的] 現在の衣生活は、旧来の家庭で衣服を作る時代から、既製服を選んで購入する時代となった。日常着が洋装化し、既製服が普及した今日、きもの文化に触れる機会もめっきり減り、これらの技術や文化が若者に理解されにくくなりつつある。一方で、2006年に改正された教育基本法に「伝統や文化を尊重し、我が国と郷土を愛するとともに、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」が新たな教育の目標として規定されたことを受けて、新指導要領が2008年に告示され、中学校の技術・家庭科の衣生活分野では「和服の基本的な着装を扱うこともできること」が盛り込まれたため、和服の着装の体験を含めた教育プログラムを模索することは必要不可欠である。そこで本研究では、和服の中でももっともカジュアルで取り組みやすいゆかたの着装を含む体験的学習を通し、きもの文化を次世代に継承する家庭科の教育プログラムを開発し、その学習効果の検証することを目標とし、特に浴衣の着装実習において大学教育学部で事前に浴衣の着装指導に関してトレーニングを積んだアシスタントティーチャーを活用して技能の理解・習得に力点を置いた授業実践を試行的に行い、技能の理解・習得を目標に着装体験することがきもの文化への興味・関心を喚起するかを明らかにすることを目的とする。 [方法]2011年6月から9月に、Y大学附属K中学校において、家庭分野担当教員の協力を得て教育実習の一環で大学の実習生が2年生4クラスを対象とした浴衣を教材とした3時間(50分×3)の授業を実施した。実習直後および夏休み明け(事後)に着装感や技能習得意識に関する項目(23項目)について5件法で調査を実施した。23項目の直後・事後調査のデータがそろっている4クラス分の男女生徒159部(90.9%)を対象として、分析結果から得られた内容をもとに、授業の成果と生徒の意識変容について考察する。 [結果と考察] (1)因子分析によって抽出された全5因子を相関分析した結果、「興味関心因子」と「理解習得因子」に高い相関があることがわかった。(2)共分散構造分析の結果、「理解習得因子」から「興味関心因子」へのパス係数が有意であった。このことから「技能の理解・習得を目標に着装体験することがきもの文化への興味・関心を喚起する」という仮説が成り立つことが立証された。さらに男女による差異、帯結び部分練習の有無による差異を検討した結果、有意に差が見られた。以上の結果から、男女でのゆかたの色柄の違いや着付けの難易度の違いがある中で男女ともに、きもの文化に対する興味関心や理解習得を肯定的にとらえるために授業のさらなる工夫の必要性が明らかになった。着付け技能の理解・習得をめざした授業作りのために部分練習をすると理解習得意識が高まり、それが興味関心喚起に結びつくことがわかった。授業時間数が縮小傾向の中での時間数の確保が課題である。[まとめ]これまでの実践を通して教師自身の「きもの」文化に関わる意識啓発と知識・技能の力量形成が重要であることが明らかとなってきたので、大学で着付けの技能を中心に「きもの」文化に対する意識啓発と技能習得のためのトレーニングを積んだ学生をATとして活用したのが本研究の特徴である。ATの活用により教員に余裕が生じ、生徒への示範や指導が行き届き、授業が円滑に進行し、着装技能の理解や習得意識が向上し、きもの文化に対する興味関心の喚起にも有効であることが明らかになった。附属学校という地域のリーダー的な実践校での実践であり、設備や教材などの学習環境、教師の実践力向上に向けての周りの支援、さらに生徒の質の高さ等々が整っているため出来た実践という面はある。しかし、一般校でも、地域か、保護者の協力を仰ぐ体制づくりを整えて行くことで可能となると思う。
著者
岡芹 愛子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.94-94, 2011

<BR>【目的】<BR> 日本において「赤ずきん」は特に親しまれている絵本の一つで、一般に1812年が初版のグリム兄弟の原作として知られている。しかし実際はそれ以前の1695年にフランス人のペローが執筆し2年後に出版した童話をもとに、ドイツでグリム兄弟が発表した作品とされている。ペローが童話を著した目的の一つは、子どもをしつけ望ましい発達を促すという教育的効果を意図したことであるといわれ、最後に大人・子ども向けの教訓が記されている。またフランス国内ではペロー原作の再話が多様なバリエーションの形で出版されている。<BR>「赤ずきん」は有名且つ単純明快な内容であるため、中学校・高等学校の家庭科における保育領域用教材として活用できると考えられる。そこで、初版以来300年以上の時代を経た現在、ペローのメッセージからどのような示唆を得られるか、時代の変遷につれ変化する社会背景、価値観、文化等を反映しながら再話に込められている教育的メッセージは何かを検討し、家庭教育の在り方を取り上げるための教材としての可能性について考えることを目的とする。<BR>【方法】<BR>ペローによる原文の童話及び2009年8月と2011年3月にパリ市内の書店で収集した絵本「赤ずきん」を検討した。計35冊中8冊は原作者がグリムとなっており、その他の8冊は原作者不詳であった。そのため残る19冊と原作の計20冊を対象とした。<BR>【結果・考察】<BR> 原作では、母親が主人公に森の先にある村に住む病気の祖母にパイとバターを一人で届けるという使いをさせる。途中で狼に出会い話しかけられるが、主人公は狼に気をつけなければいけないことを知らなかったため、言われた通りにしてしまう。その結果祖母とともに狼に食べられたところで本文は終了し、見知らぬ人間や狼とは口をきいてはいけない旨の教訓が続く。原作と同文の絵本は計10冊あったが、そのうち2冊は教訓がなく本文のみだった。<BR>再話は計9冊で、いずれも教訓は記載されていなかった。①結末に関し、祖母は全冊において狼に食べられるが、8冊は猟師または樵に助けられた。主人公は7冊において食べられるが、やはり全ての場合猟師または樵に助けられた。2冊では食べられずに済んだが、内1冊は祖母が食べられ助けられなかったことが強い衝撃となり、後に高齢者となった主人公は自分の孫に教訓として語り聞かせた。②主人公が祖母の家に行く事情は6冊が原作と同様で2冊は不明だが、内1冊は主人公が自らの意志で行くことになった。他の1冊は祖母が病気で孫に会いたがっているとウサギに知らされ、母親の反対を振り切り祖母の家へ向かう内容だった。③道草をしてはいけないと言われたものは2冊だった。狼に用心するよう躾を受けている内容は皆無で、1冊は主人公の方から狼に話しかけた。森には狼がいることを母親は知らないという内容が1冊あった。帰宅しない主人公を心配した両親が森へ捜しに行くという内容が1冊あった。主人公は二度と狼とは会話をしないと約束したもの、二度と道草はしないと約束したもの、その後一度も狼とは口を聞かなかったというもの、助けられた後再び森で狼に会ったが無視したというものがそれぞれ1冊ずつあった。このように再話では原作より子どもに恐怖を与えにくい結末になっており、教訓を削除し本文に暗示した分かりやすい内容構成にしている。<BR>子どもは大人の予期せぬ行動をとることが当然であり、幼児一人を誰の意志かを問わず人気の少ない場所を通り遠いところまで行かせるような使いに出すこと、通り道にどのような危険が潜んでいるかを確認せずに幼児を使いに出すこと、見知らぬ人間と話をしたり道草をしたりするような軽率な行動を禁じる躾の必要性等について生徒に考えさせる教材として適していると言える。幼児との触れ合い体験学習や子ども文化の授業で製作する教材の参考としても活用できると思われる。<BR>
著者
荒井 紀子 鶴田 敦子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.39-46, 1996-08-20
被引用文献数
11

The purpose of this study was to know how the new coeducational homemaking education in senior high schools, started in 1994, related to students' life and views especially on gender equity. 1490 questionnaires were analyzed. 1. Girls had more equal views on gender issues than boys. 2. Both sexes had equal views on the opportunities of work and wages; however, on gender roles they had relatively conservative views. 3. Both sexes tended to think the skills for independent living, housekeeping and child bearing were required for females, while the ability for earning money and helping other people were required for males. 4. Boys who had learned coeducational homemaking education and had practiced well on housekeeping had more equal views on gender issues.
著者
中西 雪夫
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.347-353, 2002-01-01
被引用文献数
2

The purpose and method of this study have been outlined in part 1. In this study, high school students' consciousness of family and child rearing after the introduction of coeducational home economics is compared with the consciousness of students before the introduction of coeducational home economics. In this second part, high school students' views toward sex roles and participation in household work are analyzed. The major findings of this part are as follows. Male students who studied home economics had views toward sex roles less influenced by gender. Furthermore, they do not appear to be tied down to consciousness of the "Ie" institution. 2. Female students who studied home economics in a coeducational class room had views toward sex roles less influenced by gender. And they too do not appear to be tied down to consciousness of the"Ie" institution. 3. Male students who studied home economics participated in household work actively than male students who did not study home economics.
著者
表 真美
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.128-135, 2004-07-01
被引用文献数
2

The aim, the contents and the curriculum of home economics education for Finnish comprehensive schools were investigated. The findings were as follows: 1. All girls and boys in the 7th grade (aged around 13) get three hours per week of home economics for one year. Furthermore, students in grades 8-9th can choose home economics as an elective. 2. The purpose of teaching home economics is to develop preparedness in the student that will help him to get along in everyday life. 3. The main contents of home economics are the education about nutrition, food culture, prudent consumers, home and the environment.
著者
表 真美
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.136-146, 2004-07-01
被引用文献数
1

Home economics schoolbooks and supplementary textbooks for Finnish comprehensive schools were investigated. The findings were follows: 1. Three kinds of schoolbooks and 12 kinds of supplementary textbooks for home economics are published from 3 companies in Finland. 2. The home economics teacher decides whether or not to adopt these books. The schoolbooks and the supplementary textbooks that they adopt are distributed to all students for free of charge. 3. The schoolbooks were composed of contents about family relationships, food, washing and cleaning, consumer education, and environmental education. 4. The pages with content about food are 68〜74%. Especially, the recipes for many kinds of dishes, such as bread, and cake are included in these schoolbooks. 5. The contents of the schoolbooks are concrete and practical. 6. Most of the supplementary textbooks are about food. 7. The schoolbooks and supplementary textbooks of home economics for Finnish Comprehensive schools correspond to the purpose of Finnish basic education and also to the framework curriculum for the comprehensive schools in 1994.
著者
佐々 尚美 加藤 佐千子 田中 宏子 貴田 康乃
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.226-233, 2003-10-01
被引用文献数
7

The purpose of the investigation is to explain the influence of meals with adults on elementary students' food consciousness, the food attitudes and the food knowledge. It was carried out with elementary school students in the fifth and the sixth grades, and answers were obtained from 667 elementary students. The results of the investigation were as follows. The rate of eating both staple foods and the side dishes is higher in meals with adults. The elementary school students who had meals with adults had many conversations, felt the meals were pleasant, were very satisfied, looked forward to them, were careful of their health, and helped preparing for the meal. Their food knowledge was also high. Most of the elementary school students that had meals alone complained about the defects of the physical condition. It became clear that meals with adults influenced elementary school students' food consciousness, food attitudes and the food knowledge. It was important that there was an adult at the time of the meals, and that food education in the family was important for elementary school fifth and sixth grade students.
著者
濱里 忠宣
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.93-101, 1992-12-20

濱里忠宣先生は, 鹿児島県のご出身で, 昭和30年に京都大学文学部哲学科をご卒業後, 鹿児島県の教育界におはいりになりまして, 高等学校の社会科教諭を皮切りに, 県立高等学校長や鹿児島県教育委員会の社会教育課長, 教育長のご要職を経られまして, 本学会の大会実行委員会からご講演をご依頼申し上げました本年3月までは, 鹿児島県総合教育センタ-所長でいらっしゃいました.教育現場, 教育行政について豊富なご経験をお持ちでいらっしゃいますが, 只今は, 鹿児島純心女子短期大学教授として, 哲学, 人間学, 生活科学の講義をご担当になり, 教育研究者としてのご活躍とともに, 地元の南日本放送局の番組審議会委員, 文部省の青少年の学校外活動に関する調査研究協力者会議委員など, 社会活動の面でもいろいろとご活躍でいらっしゃいます.また, 全日本学士会, 人間学会の会員でもいらっしゃいます.ご著書としまして, エッセイ集の「樟南序章」(日本図書館選定図書, 大山学芸図書), 「若き旅人たちへ」(講談社)等がございます.先生のプロフィ-ルを簡単ではございますがご紹介申し上げます.(本大会実行委員長 関 志比子)
著者
今村 祥子 住田 和子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.73-80, 1993-08-20
被引用文献数
3

From an overall and environmental education point of view, this study will consist of three reports, ultimately, to develop guidelines and curricula for more substantial consumer education. Through human ecological philosophy of Ellen H. Richards, this first report approaches ecological consumer education by examinations on `consumer education' concepts and its historical background. The aim of ecological consumer education is to nourish citizens who can create an ecological life. There is need to expand our own concept of consumer education through an eco-centered philosophy.
著者
片岡 洋子 伊藤 葉子 高野 俊 鶴田 敦子 宮下 理恵子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.226-237, 2011-01-01

In 1963, the Japanese National Curriculum Standards for upper secondary school made home economics the compulsory subject for only female students. However, some home economics teachers in Kyoto Prefecture, who had opposed to the subject as "an education to become good wives and wise mothers", were united to create alternative home economics education as a coeducational subject. They requested Kyoto Board of Education to change home economics education from female-only to coeducational subject which resulted in the implementation of coeducational home economics in 1973. This study aims to clarify the process to implement home economics as a coeducational subject, and analyze the theory of school subjects in 1960s to 1970s in Kyoto Prefecture. Results were as follows 1. In Kyoto Prefecture, not only many teachers but also the Board of Education supported the principle of coeducation. This was one of the reasons which contributed to realize coeducational home economics despite the opposition by the National Curriculum Standards. 2. Teachers who promoted coeducational home economics attempted to home economics from an education to become good wives and wise mothers to an education about managing a new family life based on couples' gender-equal relationship. 3. The theory of coeducational home economics needs to be composed of sciences and cultures, and to be revised from the subject dealing only home maintenance skills to that of family life education including historical, social, and scientific perspectives.
著者
村山 淑子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
no.15, pp.25-34, 1974-03-31

The author investigated the Unesco report of "WORLD SURVEY OF HOME AND FAMILY EDUCATION WITHIN FORMAL EDUCATION" and compared some phases of the survey with those of Japanese homemaking education. In Part I, the composition of the survey, curriculum development, curriculum content, participation of boys in home economics education have been studied It is recommended that the findings of the report which has been worked out by co-operation of Unesco and I.F.H.E., be utilized for Japanese homemaking education. The close examining of the results of the past and present levels of regard for home economics education indicates an awareness, amongst the majority of countries in the world, of clear relationship between effective teaching of home economics and general welfare of the people. Further development will be obtainable by clarifying roles, objectives and subject matter content of homemaking education in the changing Japanese society. It is hoped that further studies to give boys suitable homemaking education in secondary schools will be developed. Associations, teaching institutions and governmental institutions who are engaged in homemaking education should co-operate for the development of Japanese homemaking education.
著者
角間 陽子 佐藤 文子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.37-44, 1999-04-01
被引用文献数
1

家庭科教育における意思決定能力育成の可能性を追究することを目的として教材の開発を行ない, 実験授業によってその有効性を考究した。開発した教材は意思決定の概要を説明するものと, 共生を志向した意思決定能力の考え方及び価値観の傾向が自己診断できるものである。実験的授業は自己診断を導入した教材の有無による実験群と統制群, さらに実験群を教材のメディアの違いで区分することにより三試験群を設定して行ない, プリ・ポストテストで学習効果を比較検討した。結果は(1)意思決定プロセスの理解, 意思決定の際に周囲への影響を考慮すること, 意思決定能力を向上させるために自己の考え方を認識することが持つ意味等について, 自己診断を導入した教材を用いた実験群が統制群に比して有意に高い学習効果を示した。(2)教材のメディアの違いによる比較においては, パソコンを導入した実験群Bの方が意思決定プロセスをシステマティックにとらえることの理解, 授業内容に対する興味・関心, 生活での実践意欲等において高い結果となった。終りに, 本研究の実験授業にご協力くださいました新潟県中越高等学校の教職員及び生徒の皆様, CAIソフト作成に対してご懇切なるご指導を賜りました横浜国立大学原田睦夫先生に厚くお礼申し上げます。
著者
吉田 フジ
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
家庭科教育学会誌
巻号頁・発行日
no.4, pp.55-60, 1963-03-01

One bowl each of miso soup was prepared by 8 different mashing methods. Mashing with warm water took less time than mashig with cold water. Although mashing by Complex and laborious method took longer time, it gave good resuls. When each kind of miso soup was filtrated with gauze mashing with warm water left more residue than with cold water and mashing by simple methods left a large amount of residue. The amount of residue decreased by boiling to a large extent. This may be attributed to the dissolution of miso during boiling. Comparing the rate of precipitation by the thickness of the supernatant liquid, it was found that the rate of precipitation of miso soup mashed with warm water was higher than with cold water. As long time is required to boil, both the rate of precipitation and the amount of residue showed a tendency to decrease. The faults resulting from rough mashing can be cancelled to some extent through boiling, but it is necessary to pay attention on the effect of boiling about taste.
著者
中西 準子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.61-74, 1991-12-20

中西先生は, 東京大学環境安全センタ-・工学系大学院, 都市工学専攻課程, 助教授でいらっしゃいます.これまてのご研究は, 下水道についての研究から出発して, 下水道と水道との関係, 河川のト-タルプランニングなどを経て, 現在, 環境水質管理の方法について研究していらっしゃるそうです.水の博士といえば, 中西先生のことで, 行政の方でも, 市民運動の方でも, 非常に先生のご研究が確信を強めているのです.これまでのご著書には, 「都市の体制と下水道」 「下水道計画論」 「下水道一水再成の欠落」 「日本の水道はよくなりますか」 「飲み水が危ない」 「いのちの水」その他, たくさんの著書があります.そして, 1988年から89年までは, ミシガン州立大学の客員教授もお勤めになられて, 世界的に水の博士でいらっしゃいます.地球のためにみんなでどのように賢く暮すべきかということにたいへん情熱を持っていらっしゃいまして, 先生のこれまでのご研究の結果の下水道計画では, これまでの下水道についての伝統的な考え方とは全く違った旨をお示しいただいているそうです.先生は本当にお忙しくて, 一般に講演会など, 全然お受けいただけない方とうかがっておりますが, 特に, 家庭科教育学会の本日のために, 例外的に講演を引き受けていただけました.家庭というものが, 地球の人間にどんなに大切か, そのために, そういう教育が大事なのだということをご理解いただいているわけです.なお, -つご紹介申し上げますが, 先生は, 月刊誌で 「水情報」 というのを発行していらっしゃいます.発行人兼編集長でいらっしゃるのですが, 毎月この雑誌をお出しになるのはたいへんなご努力のようです.一般の書店にはございませんが, 東大の都市工学科の方の 「下水道問題連絡会議」, 先生が代表をしていらっしゃるのですが, そちらの方にお申し込みになると, 私どもでも理解して読ませていただけるような本で, いろいろ, 私どもの日常生活はもちろん, 家庭科教育にもよい参考にさせていただけるのではないかと思って, ご紹介させていただきました.先生, どうぞよろしくお願いいたします.
著者
矢野 由起
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.25-32, 1998-10-01
被引用文献数
3

In order to revaluate the contents of homemaking education in elementary school, a questionnaire was carried out to school children of the fourth, fifth and sixth grades on the learning efficiency of food and nutrition area. The results were as follows: 1.More than 90% of the children of fourth grade have known about good sources of calcium before they took homemaking class. 2.As to the questions about sources of carbohydrate and protein, and soaking time of rice prior to cooking, over ca.50% of the children failed to give correct answer. 3.There were no significant differences among the children of fourth, fifth and sixth grades as to popular knowledge such as sources of calcium, handling of dish towel and usage of gas heater and general skill such as peeling of apple. 4.As to the knowledge of the functions and sources of nutrients, the children of the higher grade showed significantly higher marks reflecting effectiveness of the homemaking class. In summary, the study showed the general propriety of the contents of the homemaking with a few exceptions which showed no difference among grades. Such exceptional items need to be treated differently in those presentation, conceptional definition and interpretation.
著者
伊藤 葉子 河村 美穂
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.257-264, 2001-01-01

The authors abstracted the problem through teaching practice called Planning your Life Course. It showed that students, who had a lower concern about their own life, might have difficulty in finding interest in Home Economics class. Boys especially had such a tendency to be that way. Then, the authors investigated the relationship between identity and achievement motive, results were tabulated from responses gained from questionnaires given to 435 1^<st> and 2^<nd> grade students, aimed to study about students' concerns in life and their motivation to study in class. The result were summarized as follows. (1)Identity development was related to the self-fulfilmentive achievement motive. (2)There was a difference between males and females. Males had a high level of competitive achievement motive, on the other hand, females had a high level of self-fulfilmentive achievement motive. The authors propose that it is necessary that self-fulfilmentive achievement motive is focused upon in Home Economics Education. Teachers should make Home Economics classes considering the difference in the achievement motive between males and females.