- 著者
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矢野 由起
- 出版者
- 日本家庭科教育学会
- 雑誌
- 日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.4, pp.290-301, 2015-02-01 (Released:2017-11-17)
小学校家庭科における食の安全に関する学習内容の変遷と課題を明らかにするため,小学校家庭科教科書の記述を分析した。結果は次の通りである。(1)学習指導要領で調理実習題材に指定することによって,調理技能を身に付けるだけではなく,その食品の選び方や扱い方についても同時に学んできた。(2)教科書における野菜の洗い方に関する記述は,野菜の栽培方法,野菜の食べ方,中性洗剤の安全性に対する評価などの変化に応じて書き換えられてきた。(3)小学校家庭科教科書における食の安全に関する記述は,それぞれの時代における問題や課題に応じて,また,新しい科学的知見を取り入れながら,書き換えられてきた。(4)食品の安全な選び方や扱い方を学ぶためには,食の安全に関する内容を調理の目的として,あるいは食の文化として学習指導要領に位置づけることも考えられる。