著者
赤倉 貴子 東本 崇仁 加藤 浩一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.42036, (Released:2018-06-29)
参考文献数
18
被引用文献数
3

本研究では,法令文を命題論理式で表現することができることに着目して,特許法学習のための問題解決過程モデルを定義した.そしてそのモデルを利用した学習支援システムを開発した.開発した学習支援システムは,法律条文を組み合わせて考えるような問題に対して,問題構造を直接計算可能な命題論理による表現として保持している.学習支援システムを利用する学習者は,同様に命題論理によって解答を組み立てる.学習支援システムは,システムが生成した正答と学習者の入力した解答の差分を計算し,学習者に誤りの箇所を段階的にフィードバックすることができる.システムの評価実験を行った結果,学習者は段階的フィードバックを高評価し,本研究で定義したモデルに基づいて問題を解く意識を強化できる可能性があることが示唆された.
著者
藤本 徹
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.351-361, 2015-03-20 (Released:2016-08-11)
被引用文献数
6

近年,ゲームを取り入れた教育方法への関心は世界的に高まっており,教材としてゲームを利用するだけでなく,授業や学校カリキュラムなどの学習活動全般においてゲーム要素を取り入れた「教育のゲーミフィケーション」とも言える取り組みが見られるようになった.本研究では,大学の授業科目のデザインにゲーム要素を取り入れた「クエスト授業」の教育実践に3年間取り組んだ.実践結果から,課題への取り組みが活発になり,受講者が学習活動に参加する楽しさややる気の高まり,従来の授業とは異なる経験を認識していたことが確認された.
著者
解良 優基 中谷 素之
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.61-71, 2014-05-20 (Released:2016-08-11)
被引用文献数
12

本研究は,生徒により認知された教師の教授する課題価値と,生徒の課題価値評定との関連を検討し,また生徒の課題価値の内容によって,学習行動への影響が異なるかについて検討を行った.中学生256名を対象に理科の授業について,認知された課題価値の教授,生徒の課題価値を測定し,学習行動の指標として測定した持続性の欠如,エンゲージメント,興味の追求との関連をパス解析により検討した.その結果,認知された課題価値の教授から生徒の課題価値へと影響し,さらに生徒の課題価値の下位尺度により学習行動へと異なる影響がみられることが示唆された.特に,教師が学習内容の日常生活での実用性を教授することは,興味価値,獲得価値,実践的利用価値の3つの価値に促進的に影響し,学習行動によりポジティブな影響を及ぼす可能性が示され,その重要性が示唆された.
著者
登本 洋子 高橋 純
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.43068, (Released:2019-12-23)
参考文献数
30

本研究は教員養成系大学に属する学生の表計算スキルの習得状況を明らかにすることを目的とした.表計算スキルは社会で幅広く使われている基礎的なICTスキルであり,仕事の効率化にも影響を及ぼすと考えられる.調査の結果,他のアプリケーションにおいても共通して求められる表計算スキルにおいては習得がみられるものの,表計算ソフトウェアに特化したスキルは十分に習得されていないことが示唆された.タイピングに関しては,多くの学生はタイピングに自信がないと回答しており,パソコンよりもスマートフォンにおける文字入力のほうが速いと感じていることが明らかになった.さらに,パソコンが「嫌い」よりも「好き」,或いはパソコンが「苦手」よりも「得意」,或いはパソコンが「役に立たない」よりも「役に立つ」と回答した群のほうが,表計算スキルも高いと感じていることが明らかになった.児童生徒のICT活用スキルの向上を高めるためには,教員養成系大学に属する学生の基礎的なICTスキルをさらに向上させる必要があると考えられる.
著者
杉山 昂平 森 玲奈 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
2018

<p>成人による趣味の追求をインフォーマルな学習環境はいかに支えるのだろうか.趣味における興味に着目してきた先行研究に対し,本研究の目的は「興味の深まり」という新たな概念を提案し,「成人の趣味活動において学習環境との関わりによっていかにして興味が深まるのか」を明らかにすることである.趣味活動の事例としてアマチュア・オーケストラを対象とし,オーケストラ団員15名に対して回顧的インタビュー調査を行った.分析の結果,興味の深まりには(1)音楽的な無自覚からの脱出,(2)上達・達成へのとらわれからアンサンブルへ,(3)参加すること自体の価値を見いだす,という3類型が存在し,それぞれの興味の深まりは(a)活動形態の異なる共同体への移動,(b)活動理念の異なる共同体への移動,(c)目標を焦点化する役割付与,という学習環境との関係性において生起することが明らかになった.</p><p></p>
著者
鈴木 雅之
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.279-287, 2011-12-20 (Released:2016-08-08)
参考文献数
20
被引用文献数
2

本研究では中学2年生を対象とした数学の実験授業を行い,テストの結果をフィードバックする際にルーブリックを提示することが学習者に与える影響について,その影響メカニズムと,ルーブリックの各評定値に該当する具体的事例を提示することの効果について検討した.その結果,ルーブリックを提示された群は,提示されなかった群と比較して,「改善(自身の理解状態を把握し学習改善に活用するためのものであるという認識)」テスト観や内発的動機づけが高く,理解を指向して授業を受ける傾向にあり,事後テストでも高い成績をおさめた.また,ルーブリックが効果的に機能するのは,理解度確認や学習改善を目的にテストを実施することに納得するなど,インフォームドアセスメントが高い水準で達成されることが背景にあると示唆された.さらに,本研究で用いたような数学の文章題では,具体的事例の効果がみられないことが示唆された.
著者
山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.187-195, 2013-11-20 (Released:2016-08-10)
被引用文献数
2

情報化の進展により,学校教育外の学習機会が増加している.本論文では学校教育外の学習機会についてインフォーマル学習に関連する概念を整理した上で,教育工学会誌にこの10年間で掲載されたインフォーマル学習に関する研究の動向をまとめた.その結果,生涯教育施設でのインフォーマル学習・職場や仕事に関するインフォーマル学習・大学の課外活動におけるインフォーマル学習・ワークショップとインフォーマル学習・その他の領域のインフォーマル学習・インフォーマル学習の方法開発の6領域にわたる研究が行われていることが明らかになった.これらの既存の研究の課題をもとに本特集号の論文の位置づけを解説し,今後の展望について述べた.
著者
石塚 丈晴 堀田 龍也 小川 雅弘 山田 智之
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.225-228, 2004-03-05
参考文献数
8
被引用文献数
3

本研究では,PDAの手書き文字認識機能を利用して書きとり練習を行なう漢字ドリル学習システムを開発した.本システムを搭載したPDAを1クラスの児童全員に各1台貸与し,PDA漢字ドリルと学習効果の関係について研究を行なった.その結果,PDA漢字ドリルの利用量が多いほど漢字能力も向上するという関係があることが,判明した.一方で,児童の学習記録を教師が把握し適切な指導を随時行なっていく必要も判明し,そのためのシステムを今後開発していく必要があることが分かった.
著者
大久保 正彦 稲垣 成哲 竹中 真希子 黒田 秀子 土井 捷三
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.suppl, pp.189-192, 2005-03-20 (Released:2016-08-01)
参考文献数
3
被引用文献数
15

本研究では, カメラ付き携帯電話を利用した協調学習支援システムを開発し, その授業実践への利用可能性を評価した.本システムは, カメラ付き携帯電話で撮影された写真を随時自動的にウェブに掲載・公開するとともに, 検索・編集を可能にするものである.小学校1年生及び現職教員を対象とした評価実験における質問紙調査の結果, 小学校1年生において本システムの操作が可能であるとともに, 本システムを利用した学習活動への興味が高いことなどがわかった.現職教員からも小学生と同様に肯定的な評価を得ることができた.また, 現職教員の自由記述の回答からは, 通信コストなどのいくつかの問題点が指摘されたものの, 本システムの授業実践への有効性として, 簡便性, 情報共有とコミュニケーションの活性化などが示唆された.
著者
高橋 純 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.Suppl., pp.117-120, 2008-12-20 (Released:2016-08-05)
参考文献数
10
被引用文献数
4

27名の小学校教員を対象に,教員が普通教室で効果的と考えるICT活用場面を収集した.その結果1395件が得られた.最も多い活用の組み合わせは,プロジェクタと実物投影機を用いて,教科書や書籍を映すことであった.続いて,29名の小学校教員を対象に,最も活用されていたプロジェクタと実物投影機の活用に限定し,効果的と考える活用場面を収集した.その結果3395件が得られた.教員が効果的と考える最も多かった活用は,教科書・書籍を実物投影機で映し,写真や実物,考え方を示すことであった。以上のことから,現時点での小学校において,教員が効果的と考える教室でのICT活用は,プロジェクタと実物投影機を用いて,教科書等を映すことといえる.
著者
田口 真奈 松下 佳代 半澤 礼之
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.269-277, 2011-12-20 (Released:2016-08-08)
参考文献数
8

2009年度から開始された京都大学文学研究科プレFDプロジェクトのために,ENGESTROM(1994)の「教授の計画と分析のためのフォーム」を改変し,個別作業で利用可能な,教授のデザインとリフレクションのためのワークシートを開発した.授業実施後の研修会で運用した結果,当初想定した本ワークシートの特徴((1)〜(3))のうち,(1)学生の学習の観点から教授をリフレクションし,個々の教授機能をとらえなおすこと,(2)「一斉講義形式」の授業を相対化し,他に多様な選択肢が存在することを理解すること,にとって有効であるとの結論を得た.しかしながら,(1)の今後の教授デザインを検討すること,(2)の多様な選択肢から根拠をもって選択すること,(3)授業を学習サイクルを実現する一連の教授プロセスとしてとらえることには至らず,より体系的なプログラムの開発とコーディネーター教員を巻き込む組織化が課題として残った.
著者
伊藤 崇達
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.061-064, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
8

本実践研究では,講義型の授業スタイルがとられることの多い教職科目においてアクティブ・ラーニング型の授業実践を試みた.授業は,ピア・チュータリングと講義内レポートを統合的に取り入れ,「理解深化」型の授業となるようデザインした.そして,コースの途中段階において,内的および外的な活動性を高めるための授業デザインの改善を試み,学習者の心理面,とりわけ思考面,動機づけ面,感情面にどのような変化をもたらしたかについて明らかにした.調査内容を分析した結果,概ねポジティブな変化が報告され,今後の実践の可能性について示唆を得た.
著者
金谷 優莉香 仲谷 佳恵 室田 真男
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.213-216, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
8

語彙力向上のためには,文脈に応じて適切に表現出来る語彙の習得が必要である.本研究の目的は,文脈比較による類語の使い分け学習支援である.各単語が使われる文脈を類語間で比較することで,文脈に応じた適切な使い分けを習得させることを目的とした学習支援システムを開発した.本学習の特徴は,表による比較で類語が使われる文脈の特徴を体系的に学習し文脈の特徴から使い分けを習得させることにある.評価実験の結果,文脈比較を促さない学習と比較して本システムは,文脈に応じた類語の使い分け知識の習得に効果がみられ,より高い学習目標に到達したという達成感を学習者に与えたことが明らかになった.
著者
飯塚 佳乃
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.081-084, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
6

児童の学習意欲を高めるためには,児童が自身の学習成果を自覚できることが有効である.そこで本研究では,小学校算数科の授業において,授業の終末に授業のめあてに即して振り返りをする場を設け,授業の振り返りを児童自身の言葉で記録するよう働きかけを行い,単元の終末に単元全体の振り返りをする場を設け,単元の授業感想を記録するよう働きかけを行った.次に,その効果を検証するために,単元の授業感想や最終テストの成績を用いて,授業のめあてに即した振り返りが児童の学習意欲や学習内容の理解に及ぼす影響を検討した.その結果,児童の元来からの学習能力の影響を統制しても,授業のめあてに即した振り返りができた児童ほど,高い学習意欲を示す可能性が示唆された.
著者
片瀬 拓弥
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S42020, (Released:2018-09-03)
参考文献数
9

本研究は,女子短大生にボードゲーム学習を集中講座として行い,学習前及び学習時の肯定的感情・否定的感情・安静状態の各感情が,ゲームスコアとゲーム外評価にどのような影響を及ぼすのか検討した.その結果,学習時の肯定・否定の両感情は,学習前と比較して有意に上昇し,安静状態は有意に下降した.さらに,パス解析を用いて検討した結果,主に学習時の肯定的感情が高く,安静状態が低い学習者ほどゲームスコアにプラスの影響を及ぼす可能性と,主に学習前の肯定的感情が高い学習者ほど事後リフレクション時のテキスト総文字数(ゲーム外評価)にプラスの影響を及ぼす可能性が示唆された.
著者
天野 慧 都竹 茂樹 鈴木 克明 平岡 斉士
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.42120, (Released:2019-01-17)
参考文献数
22

社会人が新たなスキルを身につけることへの要請が高まる中,社会人向け学習機会では「受講証」の授与で終わる場合が多く,スキル習得が確認されないままになっている.一方で,スキル習得を確認して「修了証」を授与するには事後課題を導入する必要が生じ,講座終了後も修了を目指した学習意欲を維持する手立てが必要となる.本研究では,事後課題を伴う大学公開講座において,講座修了への意欲を維持・向上させるために,学習者個別の成果物に対するフィードバックを追加する改善を行い,効果を検証した.結果,修了率と講座の印象評価が向上した.さらに,アンケートの自由記述を調査したところ,情報付加型のフィードバックを盛り込むことや複数回のフィードバックを行うことが,講座修了への意欲を喚起させたことが示唆された.これらの結果を踏まえ,講座修了への意欲を向上させる工夫として,個別フィードバックを取り入れるデザイン原則を提案した
著者
苅宿 俊文
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.203-206, 2000-08-20
被引用文献数
11

本稿は, 実践を通して, 「プロセスの作品化」が, 外化を通しての自己理解を深める時に, 外化過程の支援をする方法の一つであることを明らかにしていく試みの報告である.「プロセスの作品化」の実践として, 本稿では, 描いたプロセスを再生することができる「再構成型描画ソフトウエア脳の鏡」で描いた後に, 自己の描いたプロセスを見直し, 他者に制作のプロセスについて語り, それを文字化し, 絵と併せて表現していくという「心の花」という実践である.「脳の鏡」は, 外化支援のツールとして位置づけている.
著者
江﨑 誠治 鈴木 茂孝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.005-008, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
9

TBL におけるピア評価は,メンバーがチームに対してどの程度の貢献をもたらしたかを学修者が互いに評価しあうもので,他者を評価することで学修者の責任性を明確にし,フィードバックを通じて学修者自身の省察を促すことが期待できる.今回,このピア評価の集計作業を自動化するe-Peer 評価システムを改良し,談合・情報漏洩などの対策を施したセキュアなピア評価環境を整備し,授業内で運用した.同一メンバーのチームでピア評価を複数回実施すると貢献度評価の散らばりが収斂する傾向が見られたが,今回のシステムの改良によりこうした現象が解消され,チームへの貢献がありのままに反映される「適正な評価」の実現に迫ることができた.
著者
橋本 陽介 石田 祐 三好 俊文 藤澤 由和
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.161-164, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
9

本研究では,新たな入試制度と,新たなカリキュラムに基づく基盤教育を開始した大学で,すべての学生が履修し,ICT ツールを援用したアクティブラーニング形式の講義において,AO 入試で入学した学生と他の入試で入学した学生で,学びへの取り組みに違いが存在するかを検討した.その結果,一般選抜(前期)で入学した学生よりも,特別選抜(AO 入試)で入学した学生の方が,学びへの取り組みが意欲的であることが認められた.こうした点から,AO 入試において意図した学生の確保が一定程度なされていると考えられた.その一方で今後は,AO 入試で入学した学生の理論的な学びの程度や卒後まで視野に入れた評価が必要であると考えられた.
著者
岩﨑 千晶 川面 きよ 村上 正行
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.157-160, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
7

本研究では大学がラーニングコモンズ(LC)をどう評価しているのか整理し,評価方法に関する動向を明らかにする.具体的にはCiNii を活用し「ラーニングコモンズ」で検索収集し,LC の評価を扱った文献66件に対し,評価目的,評価手法,評価項目に着目して分析し,結果を整理した.分析の結果,LC の評価は6つの目的に分けられ,LC の利用動向を明らかにする調査が最も多く約半数を占めた.一方で学習成果を明らかにする調査は限られており,その評価項目には汎用的な能力が用いられていた.評価手法は質問紙調査に次いで,観察調査・ヒアリング調査の採用がされていた.また量的な調査が全体の約70%を占めていることが明らかになった.