著者
島田 英昭 平野 友朗
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Suppl., pp.5-8, 2017-01-15 (Released:2017-03-06)
参考文献数
4

メールを効果的に書くことは,学業やビジネスの効率化に役立つ.メールでは主にテキスト形式が用いられるため,レイアウトの操作に限界がある.本研究は,テキストメールの中で操作可能な行間と箇条書きに着目し,行間と箇条書きがメールの読解プロセスに与える影響を視線計測により心理実験的に調べた.大学生を対象に,案内,依頼,報告,催促に関するメールを読解することを求め,読解中の視線を計測した.その結果,行間と箇条書きが序盤の読解の安定と,終盤の見直しの促進に寄与していることが示唆された.
著者
石川 奈保子 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.315-324, 2017-02-20 (Released:2017-03-23)
参考文献数
25

本研究では,eラーニング制大学通信教育課程(オンライン大学)の基礎教育科目の受講生を対象に,「大学通信教育課程の社会人学生の自己調整学習方略尺度」による2波のパネル調査を行った.その結果,以下のことが明らかになった.(1) 大学通信教育課程の社会人学生の自己調整学習方略として,「Ⅰ学習方法を振り返る」「Ⅱ学習を工夫する」「Ⅲ大学の友人にたずねる」「Ⅳ学習計画を立てる」「Ⅴ自分にご褒美を与える」の5因子が抽出された.(2) 学習方略因子間の因果関係として,以下の2点が示された.学習方略使用状況は約半年後も大きくは変わらない.共分散構造分析により,「Ⅰ学習方法を振り返る」から「Ⅲ大学の友人にたずねる」「Ⅳ学習計画を立てる」へ,「Ⅳ学習計画を立てる」から「Ⅱ学習を工夫する」「Ⅴ自分にご褒美を与える」への影響が確認された.以上のことから,大学通信教育課程の社会人学生には,まず,「Ⅰ学習方法を振り返る」方略を使用するよう促すことで,自己調整学習のサイクルに誘導できる可能性があることが示唆された.
著者
坂元 昂 池田 央 牟田 博光
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.125-136, 1977-12-30

放送大学で将来採用する可能性のある学習形態を想定し,放送その他各種の情報媒体を総合的に活用してどこまで学習効果を高められるかを3科目について検証した.科目の最終学力成績を決める大きな要因は,3科目とも,基本的には個人の能力であるが,能力差を除いて考えれば,放送のみよりは通信教育を加えたほうが,さらにスクーリングを加えたほうが成績がより向上する.その他の要因として,科目によって異なるが,番組内容に対する興味,関心,予備知識の大小,などが成績に寄与しているといえる.成績以外の学習効果として,学習継続意欲をみてみれば,科目によって説明力の大きい変量は異なるものの,内容の興味,関心,期待の充足度,疲労など,概して情意的,態度的要因が寄与している.
著者
舘野 泰一 中原 淳 木村 充 保田 江美 吉村 春美 田中 聡 浜屋 祐子 高崎 美佐 溝上 慎一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-11, 2016

本研究では,大学での学び・生活が就職後のプロアクティブ行動にどのような影響を与えているかを検証するために質問紙調査を行った.本研究の特徴は2点ある.1点目は縦断調査という点である.近年,大学教育において「学校から仕事への移行」に関する調査研究は増えてきているが,その多くは振り返り調査という限界があった.2点目は,就職後のプロアクティブ行動に着目した点である.プロアクティブ行動とは,個人の主体的な行動のことであり,近年大学教育で議論されてきた「主体的な学び」の成果に関連が深い.しかし,これまでその影響について検証されてこなかった. 共分散構造分析を行った結果,1.授業外のコミュニティを持っている学生,2.大学生活が充実している学生ほど,就職後にプロアクティブ行動を行っていることが明らかになった.
著者
清水 康敬
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-4, 1997-08-20
被引用文献数
3

論文の文章表現について調べ, 新聞記事における文章表現と比較した.そして, 1文あたりの文字数と最大文字数, 文節数, 文節あたりの文字数などを示した.また, 論文と新聞記事の文字数を比較した結果, 1%水準で学会誌の論文が有意に長文であることを示した.文字数と文節数との相関係数を求め, 文章の特徴を調べた.さらに, 長文となる理由について考察した.
著者
柳町 高正 赤倉 貴子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.9-12, 2006
参考文献数
5
被引用文献数
3

非同期型e-Learning Systemでは,学習者が質問・情報交換をするために電子掲示板が併用されている場合が多いが,質問をしても回答が得られるまで時間がかかる場合が多い.また,掲示板に記事数が多くなると,疑問解消の参考となる記事を探すことが難しくなる.そこで本研究では,学習者の学習内容その他に関する疑問解消を支援するシステムとして,学習者が掲示板に質問を書き込んだ時に,過去になされた類似した質問・回答を自動的に探し出して提示する機能を備えた電子掲示板を開発した.評価実験より,開発した電子掲示板は学習上の疑問を早期に解消できるシステムとして有用であることが示された.
著者
臼井 昭子 佐藤 克美
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Suppl., pp.129-132, 2017-04-01 (Released:2017-03-06)
参考文献数
9

美術科では言語活動を取り入れた鑑賞学習が重視されてきている.一方で,作品提示機器が充実していないなどの課題を抱えている.そこでインタラクティブな機能を持つ鑑賞用教材“D-FLIP Paintings”を開発した.本稿では,それを用いた鑑賞学習が意見の交流を喚起し新しい気付きをもたらすかについて明らかにするため,高校生6名2グループを対象に鑑賞の学習を行った.そして,生徒の発話を可視化した共起ネットワーク図や発話回数等を分析・考察したところ,インタラクティブな機能が意見の交流を活性化し新しい気付きをもたらした可能性があることがわかった.
著者
森 朋子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.31-40, 2009-07-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
30
被引用文献数
1

本研究では,初年次に導入される協調学習が学生に与える効果を検証し,その効果の質について検討を行い,知見を帰納的に抽出することを目的としている.多様な学習背景を持つ初年次の大学生が1つの授業を中心にした大学生活の中でどのような学びのダイナミックスを描くのか,入学時より1年間,エスノグラフィ調査を実施した.その結果,1年生前期には人間関係を新しく構築しようとする親和動機が協調学習環境の授業にも働き,社会的コミュニティが学習コミュニティとして有効に機能した.後期では学生個々の学生生活が豊かになるにつれて親和動機は低下し,学習本来への内発的動機づけの有無によってクラスがグループ化した.グループ化したことで協調学習における他者の位置づけおよびその効果の質にも差異が認められた.
著者
吉村 春美 中原 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.277-289, 2017-02-20 (Released:2017-03-23)
参考文献数
32

本研究の目的は,学校の様々な課題に共通する学校改善を目指したミドルリーダーの行動プロセスを明らかにすることである.本研究では,小・中学校に勤務するミドルリーダー15名に対して半構造化インタビューを行い,M-GTA(木下 2003)を用いて分析を行った.分析の結果,学校改善を目指したミドルリーダーの行動プロセスとして,17の概念,6つのカテゴリーが生成され,概念間及びカテゴリー間の関係が図にまとめられた.また,ミドルリーダーから教員に対する「関係性の醸成」,校長に対する「実践のビジョンへの結合」という働きかけの重要性が示唆された.今後は,本研究知見をミドルリーダー育成の内容や方法に反映することが求められる.
著者
野崎 浩成 横山 詔一 清水 康敬
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.59-62, 2001-08-20

本研究では, 2字熟語に使用される漢字の頻度特性を分析した.その結果, 「牲」は, 漢字2字熟語の第2文字目でのみ使用されること, その用例はすべて「犠牲」であったこと, 同様な特性を持つ漢字は, 「娠」, 「剖」, 「騨」, 「惧」, 「綻」であったこと, が示された.すなわち, ある特定の熟語にしか使用されない特別な漢字が存在することが明らかになった.このような結果を考慮して教材作成を行えば, 有用な日本語教材が得られると考える.
著者
新開 純子 宮地 功
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.5-8, 2009
被引用文献数
2

プログラミング教育では,アルゴリズムを作成する能力とプログラム言語で表現する能力を育成することが重要である.特に,アルゴリズムを作成する能力の育成は,問題解決能力の育成になり,重視すべきである.そこで,アルゴリズムを作成するまでのプロセスを重視した教育を行うために開発した学習支援システムを活用して,Cプログラミング入門教育を実践した.実践後,プログラミングに関する力と意識を調査した結果,プログラム作成プロセスに必要な知識と力が有意に向上することがわかった.
著者
鈴木 克明
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.171-179, 2012
被引用文献数
1

本稿では,大学における教育方法の改善・開発について,教育設計学に依拠しながら解説した.まず,出入口と三層構造で大学を俯瞰し,教育設計学の立場を教育工学研究への前提として整理した.次に,大学の授業改善の動向をFDに言及しながら概観し,授業以外の学習環境構築の先進例として米国における学生支援の動向を紹介した.最後に,大学教育に情報通信技術を利用して取り組む際の要素を整理した「サンドイッチモデル」を提案した.
著者
村上 正行 山田 政寛
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.181-192, 2012

本論文では,FDに関する歴史や政策の動向,定義,推進主体などについて説明した上で,大学教育・FDに関する研究について調査,分析を行った.授業,カリキュラム,組織的なFDの3つのレベルに分類し,紹介した.そして,教育工学研究者が大学教育やFDに対してどのような役割を担うべきか,今後どのような研究を行なっていくべきか,について検討した.教育工学研究者は,大学教育やFDにおける現代の問題について,教育政策も踏まえながら,実践を通した研究を行うことが求められていると言え,今後,大学教育の改善やFDに関する研究を発展させていくことが必要であると考えられる.
著者
藤原 康宏 大西 仁 永岡 慶三
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.Suppl, pp.109-112, 2006-03-20 (Released:2016-08-02)
参考文献数
7
被引用文献数
4

情報処理入門科目において,オンライン個別学習システムを利用した授業実践を行った.今回開発したシステムは,個々の学習者にあった教材の提示及び練習問題と,教師に学習者の理解状況を提供することができる.システムを使って個別に学習し,必要に応じて教員が個別に説明することで,能力のばらつきが大きい集団に対して,学習効果が確認された.しかし,下位の学習者に対しては,学習に必要とされる時間が多くなるため,より効率よく学習できるアルゴリズムが必要であると考えられる.
著者
田中 孝治 水島 和憲 仲林 清 池田 満
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.40065, (Released:2017-01-31)
参考文献数
31

多様化する仕事に適応できるように,企業の人材育成には,日常的に自ら育つ環境づくりが重要である.本研究では,分析過程が残る特徴と分析過程でストーリーラインが記述される特徴を持つ質的データ分析手法SCATを用いることで,新入社員の学び方の学びとその指導にあたった指導員の支援方法の表出化を試みた.本研究では,新入社員研修で用いる週報を新入社員と指導員とが対話する学習環境として捉え,週報に5週間に渡って記述された新入社員の振り返りとその振り返りに対する指導員のコメントを分析対象とした.分析結果から,指導員が,経験の積み重ねによる知識構築のプロセスである経験学習サイクルに沿って,実習員の学び方の学びを支援することで,実習員の学び方の学びが深化していることが読み取れた.本研究では,週報の分析から得られた結果を基に,学び方の学びの経験学習サイクルを転回する実習員と指導員の相互作用モデルを作成した.
著者
林 一雅
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.Suppl., pp.113-116, 2010-12-20 (Released:2016-08-07)
参考文献数
8
被引用文献数
3

本研究の目的は,アクティブラーニングを導入するために教員に対して授業支援を行うために,ICT支援型ラーニングスペースで実施された授業の類型化をすることである.レスポンスアナライザやタブレットPCなどのICTを活用したアクティブラーニングの授業を参与観察し,その授業形態や什器の配置から類型化を行った.その結果,講義+ディスカッション型,タブレットPC活用型,プレゼンテーション型,実習型の4類型を見出した.これらのことから,アクティブラーニングが行われる同一のラーニングスペースであっても教員や授業内容により多様な学習空間の利用方法があることを明確にした.さらにそれぞれの類型の特徴を指摘し,目的に応じた方法がとられるべきであることを指摘した.
著者
藤本 徹 山田 政寛
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.343-351, 2013

近年,ゲームの教育利用への関心は世界的に高まっており,研究枠組の精緻化や学習成果の評価に関する知見が蓄積されてきている.インフォーマル・ラーニングの領域においても,ゲームを利用した学習環境デザインの研究が進展している一方で,研究上の課題も示されている.本論文では,ゲームの教育利用に関する研究・実践や評価方法に関する研究について,最近20年ほどの間に取り組まれてきた海外における研究の動向を調査し,主要な論点の整理と今後の課題を検討する.そして,研究枠組や評価方法を整理して考察し,この分野の研究の今後の方向性を議論する.
著者
戸田 俊文 益子 典文 川上 綾子 宮田 敏郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.171-183, 2009
被引用文献数
1

現職の教員研修のねらいの一つは,研修の成果を日常の教育活動の改善に活かすことにある.そのためには,研修と実践を一定期間,継続的に実施することが有効である.しかし,通常の研修形態は,学習者が物理的に研修の場へ移動する集合研修が中心のため,研修後の教育実践の改善は個々の学習者に委ねられている.そこで,本研究では,遠隔研修の特性を活かし,学習者が具体的な教育改善の構想から実践を完了するまでの期間,継続的に学習者自身が研修と実践を行き来し,インストラクタや他の学習者と相互に関わり合いながら研修課題の解決を図っていく遠隔研修コースを,研修課題構成,インタラクション,研修のマネジメントの3つの要件を枠組みとして設計開発し,教育センターの研修において2年にわたる実践研究を行った.その結果,3つの要件について肯定的な結果が得られるとともに,効果的な運用のための条件として,研修課題構成においては,学習者すべての教育活動に共通するような一般性とともに個々の学習者が実践可能な課題であること,研修マネジメントでは,理論理解の局面においてはインストラクタと,実践化の局面では学習者間のインタラクションの活性化を目指すとともに,掲示板におけるインフォーマルな会話が共同体意識の醸成に有効であることが示唆された.
著者
谷田貝 雅典 坂井 滋和
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.69-78, 2006
参考文献数
10
被引用文献数
5

教授者と学習者の視線が一致する一斉講義における遠隔教育の研究事例はない.本研究では,視線一致型テレビ会議システム,従来型(視線不一致)テレビ会議システムを利用した授業と,対面授業における教育効果の比較分析を行った.各授業では質問紙調査と学習効果測定試験を実施した.試験成績を分散分析した結果,各授業間の成績差は見出されなかった.質問紙評価を分散分析および多重比較により評価した後,主観学習評価として理解感と学習意欲に関する項目を省き,因子分析をした結果,「ノンバーバルコミュニケーション」「飽き」「緊張」「視線・姿欲求」「疲労・不満」「弛緩」の6因子が抽出された.各因子を独立変数,試験成績(客観学習評価)および主観学習評価を従属変数として,単回帰分析および重回帰分析を行った.結果,以下のことが明らかとなった.「ノンバーバルコミュニケーション」は,主観学習評価および客観学習評価に対し正の影響を与える.視線が合わない学習環境では,学習者に学習活動の負荷を与える.視線が一致する遠隔教育は,対面一斉講義の教授方略が適用できるが,「飽き」に関する対策が必要である.
著者
松永 公廣 前迫 孝憲 菅井 勝雄
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.161-165, 2001-08-20
被引用文献数
1

小学校における幾何教育にコンピュータシミュレーションを用いるためには, 学習者の状況を合わせた指導方法を明確にすることが必要であろう.そこで本研究ではDOS版で開発した立方体の展開図組立シミュレーションをWindowに移植し, そのシミュレーションと正方形の紙をセロテープで張り合わせて展開図を作成する「紙とセロテープ」による2つの授業方法を組み合わせた実践から, 以下のような結論を得た.(1)2つの授業方法による学習結果を比較すると, シミュレーションを利用した方が試行回数が多かった.学習者は頭に浮かんだ自分のアイデアを確認する方法としてシミュレーションを利用していることがうかがえる.(2)2つの学習方法を組み合わせた授業の場合は, 最初に「紙とセロテープ」を, 次に「展開図組立シミュレーション」を利用した方が成功数が多かった.(3)「展開図組立シミュレーション」を用いた授業では, 児童の興味が展開図以外の多様な図形を作ることにも向くことがあるため, 場合によっては展開図の学習に集中させる授業条件を設けることも必要であろう.(4)学習者は「展開図組立シミュレーション」を用いた授業を楽しいと回答していた.