著者
鬼沢 武久 韓 鴻哲
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 (ISSN:18820212)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.316-321, 2015

本論文では、感情を持たない無生物などの対象物に表情をつけた擬人化画像の生成方法を提案する。対象画像は対象物の特徴によって3つに分けられる。一つは、人間の顔の部位に相当する顔パーツを持たない対象物である。今一つ、人間の顔部位に相当する顔パーツをすべて持っている対象物である。最後は、人間の顔部位の一部の顔パーツを持っている対象物である。対象物の画像は一旦、線画画像に変換され、その線画は、入力された感情語に応じた人間の顔表情に合わせて描き直され、擬人化画像が得られる。擬人化画像の候補がいくつかユーザに提示され、それに満足しなければユーザは2つの方法で擬人化画像を修正できる。一つは顔表現の全体的な修正で、今一つは顔の各部位の修正である。この修正プロセスはユーザが満足する擬人化画像が得られるまで続けられる。主観的評価実験、客観的評価実験を通して本提案手法の有効性を確認している。
著者
入江 勇斗 増山 直輝 能島 裕介 石渕 久生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.512-517, 2020-02-15 (Released:2020-02-15)
参考文献数
6

近年の情報技術の急速な発展はデータの継続的な収集を可能とした.蓄積されるデータは重要な経済資源とみなされており,種類・量ともに日々増加する膨大なデータから人が容易に理解できる形式で知識を獲得する手法が研究されている.ファジィ遺伝的機械学習(GBML)は,言語的に解釈可能なファジィ識別器を設計する手法の一つである.しかし,ファジィGBMLの学習アルゴリズムは一括学習であり,未知のクラスに属するデータが継続的に与えられる状況での知識の獲得(クラス増分学習)を行うことが困難である.そこで本研究では,従来のファジィGBMLをクラス増分学習可能なアルゴリズムに拡張する.具体的には,クラス増加時に,i)未知クラスを識別するルールの再構成,ii)学習済みのクラスに属するデータの削減の2つの操作を従来のファジィGBMLに加える.数値実験結果より,提案手法が未知クラスを効率的に学習可能であることを示す.
著者
高橋 佑治 能島 裕介 石渕 久生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.675-680, 2015 (Released:2016-02-26)

ファジィ遺伝的機械学習 (Fuzzy genetics-based machine learning: FGBML)とは遺伝的ファジィシステム(Genetic Fuzzy Systems: GFS)の1つであり,ファジィ識別器を設計するための手法として盛んに研究が行われている.ファジィ識別器において重要な点は,複雑性が小さいこと,また,識別性能が高いことである.しかし,これらの2点の間にはトレードオフの関係があり,識別性能が高く,かつ複雑性が小さい識別器を獲得することは困難である.また,大規模データにGFSを適用した際の計算時間も問題視されている.そこで先行研究において,多目的最適化アルゴリズムを取り入れ,複雑性と識別性能のトレードオフに沿った解集合を獲得する多目的ファジィ遺伝的機械学習 (Multiobjective FGBML: MoFGBML) の提案と,MoFGBMLに並列分散実装を適用し,計算の高速化に関する調査を行った.しかし,MoFGBMLに並列分散実装を適用した場合,計算時間は短縮できるが,得られる識別器の数が減少し,識別性能の高い識別器が得られにくくなることが分かった.そこで本研究では,探索方向にバイアスをかけ探索を行う場合の影響を調査する.本研究では,多目的最適化において目的関数を回転させることで探索にバイアスを与える.MoFGBMLの持つ,識別性能と複雑性の2つの目的のうち,2つまたは1つの目的関数を回転させることにより,より識別性能の高い解の獲得を目指す.数値実験において,目的関数を回転させた場合に得られる解集合への影響を調査する.
著者
関 悠介 萩原 将文
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.661-666, 2015 (Released:2016-02-26)

本稿では,色彩調和と構図に基づく画像の審美的品質評価システムを提案する.人間とシステムの円滑なインタラクションのためには,人間が見たものに対してどのような印象を抱いているかをシステムが共有することが重要である.そこで本稿では,写真の印象に大きく関わる色彩と構図に着目し,人間の感性に沿った審美的品質の評価を目指した.配色技法や写真撮影の知識に基づいて色彩の美しさと構図の良さをそれぞれ数値化し,ファジィ推論によって審美的品質を複合的に評価した.評価実験では,ウェブ上から収集した画像を用い,人間の評価と提案システムによる評価との間に高い相関が見られ,人間に近い写真の評価を行うことが示唆された.
著者
森田 賢太 高瀬 治彦 川中 普晴 森田 直樹
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.592-596, 2019

<p>本稿は与えられた系列データから頻出な部分列を抽出することを目的とした.特に,抽出に際して(1)オンライン学習,(2)複数部分列の抽出, (3)さまざまな長さの部分列の抽出, (4)頻出とするしきい値の調節の4つすべて可能にすることをめざした.提案手法は,スパイキングニューロンを用いた2ブロックからなるニューラルネットワークである.LIFモデルに基づくユニットにより構成し,STDP学習則に基づいた結合荷重の更新を行うことで,自己組織的に部分列を抽出するネットワークを構築する.この結果,1つのSTDPのパラメータを調整するだけで,同じ系列から頻出として抽出する部分列を変化させることができた.具体的には,3,000シンボル長の系列から3シンボル長の部分列(出現頻度は0.4%, 3%, 5%)を抽出した際,3%以上出現する部分列の抽出と5%以上出現する部分列の抽出の切り替えに成功した.</p>
著者
西村 良太 長尾 拓海 一万田 郁仁 北岡 教英
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.840-845, 2018-12-15 (Released:2018-12-15)
参考文献数
14

近年の超高齢社会において,高齢者の加齢に伴う聴覚機能の低下が問題視されている.聴覚機能が低下すると,会話によるコミュニケーションにも支障をきたす.近年は,音声対話システムを利用した高齢者サポートシステムなどの開発も行われているが,このようなシステムで用いられる合成音声は高齢者にとっては聞き取りにくいものである.そこで本研究では,まず高齢者に音声の聴取実験を行ってもらい,その結果から聴覚特性の分析を行った.聴取実験では,単語了解度試験を行い,音素単位(子音部,母音部)での識別率を求めた.その結果,摩擦音,破擦音,破裂音同士での異聴が多かった.この結果を受けて,我々は音声に対して高齢者の聴覚特性に基づいた子音強調加工を施し,高齢者にとって聞き取りやすい音声を作成することができるかを調査した.音声加工は,特に異聴が多かった /k/,/s/,/t/,/h/,/ky/,/sy/,/ch/ の音素に対して行った.具体的な加工法としては,子音部の振幅を原音声比400%で増幅させるものである.加工音声の評価実験では,単語了解度試験による聴取実験を行った被験者と同じ被験者に聴取実験を行ってもらい,得られた聞き取り結果の正答率の比較を行った.結果,いくつかの音素においては,音声を加工することで正答率が上昇した.
著者
坂上 裕都 高間 康史
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第28回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.245-248, 2012 (Released:2013-07-25)

稿では,すれちがい通信を用いた,大域ネットワークに依存しない情報共有システムを提案する.災害が発生した際の避難行動時における情報共有では大域ネットワークに依存しないこと,および明示的操作をなるべく必要としないことが要求されると考える.提案手法ではAndroid端末のBluetooth機能を用いてすれちがい通信を実現し,他端末へ送信する情報の自動選択手法を備える.本稿では,実装したプロトタイプシステム及び情報自動選択手法の特性についてのシミュレーション結果を示す.
著者
早川 喜太 吉川 大弘 古橋 武
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第28回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.580-585, 2012 (Released:2013-07-25)

企業にとってアンケート調査は,市場の動向や消費者の嗜好などに対する知見を得るための重要な手段の一つである.しかし,これらアンケートにおいて,質問項目を適切に設計することは,重要な課題であると同時に,極めて困難な問題となっている.例として,回答者にとって同じ意味として捉えられる質問項目がアンケートに含まれている場合,同じ質問を複数回尋ねることとなり,アンケートの回答データを解析する上で,質問数あたりの情報量の減少につながる.しかしながら,質問項目を回答者がどのように捉えるか,あるいはそのばらつき方については,アンケートの質問項目の設計段階では予測することは難しい.一方で,アンケート実施後に,用いた質問項目の良し悪しや,回答者の質問の捉え方を解析することは可能であると考えられる.そこで本稿では,アンケートの回答データから,用いた質問項目間の関係を解析し,解析結果をもとに次回以降のアンケートの質問項目設計にフィードバックすることを目的とする.本稿では,対象空間における"質問ベクトル"を定義し,質問ベクトル間の角度に基づく質問間関係の解析手法を提案する.
著者
畦原 宗之
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.698, 2005-12-15 (Released:2017-05-02)

人間中心システムとは, 人間の主観, 判断, 評価, 認識, 感情, 感性が中心的な役割を果たす情報処理システムの総称である.本論文では, 人間の作曲活動の場面を考え, 個人に応じた音楽作曲を支援する「対話型作曲支援システム」を構築することで人間中心システム設計の手法を提案する.システムへの入力は人間の音楽に関する感性情報であり, 出力は人間の感性を反映した楽曲である.システムには対話型遺伝的アルゴリズムの手法を用いる.システムは楽曲をGAの染色体として自動生成し, 作曲者であるユーザはそれらを主観で評価する.この評価をもとにシステムは染色体を進化させる.このようにシステムとユーザが対話を繰り返して作曲を行う.評価実験では被験者の作曲した楽曲への満足度は上昇し, また被験者の好みを反映して被験者間で異なる様々な楽曲が作曲された.この結果から, 提案手法が人間中心システム構築に非常に有効であることがわかった.
著者
鳥居 拓馬 日髙 昇平
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.826-833, 2019-10-15 (Released:2019-10-15)
参考文献数
20

他者の行為を観察して自らの行為を学習するには他者の目的を推定する能力が求められる.ある心理実験では,ヒトの18か月児が大人の行為を観察し,その未知なる目的を推論できることを示した.本研究では,この心理実験に着想をえて,どうすれば未完遂の行為の観察からその本来の目的や計画を推定できるかを数値実験で検討する.具体的には,異なる目的(課題)に最適化された2種類の単振子が一見よく似た軌道(動作)を生成するような実験設計を行い,どんな特徴量を用いれば軌道を生成した未知なる制御器(意図)を識別できるかを検討した.本研究の分析では,力学系の不変量「フラクタル次元」は,観察対象に関する事前知識をほとんど要さずとも,意図の識別に十分な情報をもつことを示した.
著者
松崎 博季 元木 邦俊
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第22回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.6, 2006 (Released:2007-05-30)

口腔と鼻腔が結合した日本語母音/a/発声のMRIデータから作成した鼻腔付き3 次元声道形状モデルとこのモデルから鼻腔を取り去った鼻腔無しモデルの音響特 性を,声道壁および鼻腔壁を剛壁あるいは軟壁のどちらかを仮定してFEMを用い て伝達特性およびアクティブインテンシティを計算した。壁が剛壁の場合の鼻腔付きモデルの伝達特性のみに見られるピークは, 軟壁の場合には見られなくなった。鼻腔付きモデルと鼻腔無しモデルの伝達特性のピーク周波数の差は剛壁の 場合よりも軟壁の場合の方が大きかった。壁が軟かくなることで,第1および第3ピーク周波数は実音声のホルマント周波数に近づいたが,第2および第4ピーク周波数では差が大きくなった。また,軟壁の場合のアクティブインテンシティのベクトル分布は剛壁の場合とは異なるものとなった。
著者
荒井 良徳 佐藤 杏子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第21回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.152, 2005 (Released:2007-05-29)

女性の顔のパーツの色や形状を微妙に変化させる化粧は、見る人の印象を変化させる。本稿ではリップ、アイシャドー、チーク、ノーズシャドウの化粧を対象として、まずこれらの化粧具合を自動的に画像計測できるかを試作システムによって検討した。また「かわいい」「きれい」とされる化粧をし、実際に人間によるどのような印象を与えるかを実験した。結果として、化粧具合の画像計測の可能性が見出された。また実際に人間に与える化粧についていくつかの知見が得られた。
著者
加藤 優 高間 康史
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第28回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.115-118, 2012 (Released:2013-07-25)

Web上には,過去に作成され,そのまま放置されているWebページが膨大に存在している.これらのページは,過去を知るためのリソースとしての活用が期待できる.本稿では,過去の流行・動向に着目し,動向に関する問いに対して行う検索をコンテクスト検索として定義して,その検索手法を提案する.提案手法では,検索ボリュームと検索ヒット数をWebコンテクスト情報として扱い,これに基づいて情報検索を行う.ゲームを対象アイテムとして評価実験を行い,手法の有効性を示す.
著者
澤崎 夏希 遠藤 聡志 當間 愛晃 山田 孝治 赤嶺 有平
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.668-677, 2020

<p>深層学習によって様々な分類問題が解決されているが,分類カテゴリ毎のデータ量が不均衡な問題を扱う場合,多くの課題がある.不均衡データへの対策として,少量カテゴリのデータ量を増加させ均衡化する手法がある.これをかさ増しと呼び画像処理分野ではノイズの付与や回転による方法が一般的である.最近ではGenerative Adversarial Network: GANによる画像生成手法を用いる場合がある.一方で,自然言語処理の分野では有効なかさ増し手法はいまだ確立されておらず,人手によるかさ増しが行われている.人手によるかさ増しではルールの設計など負担が大きく,機械的なかさ増し手法が必要となる.しかし,文章生成における機械的なかさ増しは画像生成に比べ不安定である.これは文章の特徴獲得の難しさが原因だと考えられる.そこで本論文ではグラフ情報に注目した機械学習による文章生成手法を提案する.CaboChaによって生成されたグラフ情報をGraph Convolutionにより畳み込み処理する.提案するGANにより生成されたかさ増し文章を3つの計算実験により評価し有効性を示した.</p>
著者
橋本 智己 鈴村 修平
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.643-652, 2020

<p>人間の忘却状況を推測し,適切な介助介入をするロボットが期待されている.本稿では,コミュニケーションエージェントのためのエピソード記憶の忘却モデルを提案する.まず,被験者にある文章を聞かせ,その直後に自由再生記述させる.さらに約1ヶ月後再度自由再生記述し,被験者の忘却状況(量,質)を文字数とアイデアユニットによって調査する.その調査結果に基づいて,コミュニケーションエージェントのための忘却モデルを生成する.実験の結果,読み上げ直後は文章全体からまんべんなく文章を抜き出すことが適当であり,1ヶ月後では主題となる部分を中心に抽出することが適当と思われた.本稿では,読み上げ直後の忘却モデルは,コミュニケーションエージェントの驚きの感情値が高い文章とした.また,1ヶ月後の忘却モデルは,ピークエンドの法則を考慮してコミュニケーションエージェントの6感情の総和の最大値の文章とした.さらに別文章に対して忘却モデルによるシミュレーションを行い,被験者の忘却状況や自動要約と比較し,モデルの有効性と課題について検討した.</p>