著者
小林 直樹 五十嵐 淳 田浦 健次朗 渡部 卓雄
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は,本研究代表者が提唱した疑似線形型システムに基づく新しいメモリ管理方式の実現により,プログラミング言語処理系のメモリ管理の信頼性および効率を改善することであった.主要な成果は以下のとおり.・擬似線形型システムに基づく型推論によるメモリの獲得・解放命令の挿入…擬似線形型システムに基づき,プログラム中で用いられる各データが最後に使用される箇所を特定し,その部分にメモリの解放命令を挿入するための方法を確立し,関数型言語MLを対象としてプロトタイプシステムを構築した.・擬似線形型システムに基づくメモリ管理のためのバイトコード言語の設計と実装…上で述べたメモリの獲得・解放命令を挿入したプログラムを実際に実行するためのバイトコード言語を設計し,実装を行った.・通常のメモリ管理の改良と本メモリ管理方式との融合…擬似線形型システムのみでは自動的に管理できないメモリが存在するため,既存のメモリ管理方式であるGCを改良して融合する方法について研究した.主な課題はGC自体の性能,特に並列計算機上のGCの性能をあげること,および疑似線形型に基づくメモリ管理によるダングリングポインタの問題の解決であった.後者については型情報を実行時まで保存し,GC時にこれを用いることによってこの問題を解決した.・線形型解析の資源使用解析への一般化…疑似線形型を拡張し,ファイルやネットワークなど一般の計算資源の使用方法の解析を行うための型システムを構築した.これにより(i)割り当てられたメモリはいずれ解放され,解放後はアクセスされない,(ii)オープンされたファイルはいずれクローズされ,クローズ後は読み書きされない,といった性質が満たされているかを統一的に検証することができる.
著者
永田 和宏 須佐 匡裕 福山 博之
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

以上の結果、たたら製鉄の特徴は低温度操業(約1350℃)、高酸素ポテンシャル(約1x10^<-12>atm)、急速加熱・急速反応(砂鉄投入から20〜30分で鋼あるいは銑鉄になる)であり、炭素濃度が1.5〜3.5%でシリコン濃度はほとんどトレース程度であり、リンと硫黄濃度も溶鉱炉法より低い値であることが分かった。このシリコン結果は熱力学的平衡から予想される値より非常に低く、現代製鉄法の製鉄原理とは異なっている。(6)たたら製鉄法の原理を現代製鉄法に応用するため、炭材内装ペレットを用いて銑鉄製造機構の解明を行った。その結果、不活性ガス中で急速加熱することにより約1350℃、約8分で銑鉄が生成することが分かり、新製鉄法の指針を得た。
著者
内藤 喜之 関 一 小林 暁 伊藤 公一 亀井 宏行
出版者
東京工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

FM-CW(周波数変調-連続波)レーダーは、周波数検出方式なので、微弱な反射もとらえ易いと考えられるので、土層の判別能力もパルスレーダより優れていると考えられる。また、アンテナの周波数帯域内に、発信周波数を収めることもできるので、リンギングも抑えられ明瞭な画像が得られると期待される。本研究では、まずFM-CWレーダの試作からはじめた。スロットアンテナを用いた500MHz〜1GHz帯域のレーダ,300MHz〜500MHz帯域のレーダなどを試作し実験を重ね、最終的には中心周波数300MHzのボウタイアンテナを用いたFM-CWレーダシステムを完成させた。このFM-CWレーダは、送受別体の2台のアンテナを持ち、発信周波数は、100MHzから500MHzの400MHzの帯域で、三角波状に周波数変調をかける。この三角波の周期は、5msec,10msec,50msec,100msecの4種類を選択できる。走査する時は、車輪のついた台車の上に乗せて引くか、そりに固定して牽引する。変調三角波の周期は50msecを用いた場合、周波数変調速度は16Hz/nsec(=400MHz/25msec)となり、パルスレーダで30nsecの深さ(土の比誘電率25とした時90cmの深さに対応)はFM-CWレーダでは、480Hzに対応する。このレーダを用い、長崎県壱岐郡原の辻遺跡、茨城県ひたちなか市殿塚1号墳、宮崎県西都市都原古墳群横穴墓、岐阜県大垣市昼飯大塚古墳、大阪府岸和田市久米田貝吹山古墳、岐阜県養老町象鼻山1号墳などで探査実験を行った。とくに原の辻遺跡では、従来のパルスレーダでは捕らえられなかった水田下の環濠がFM-CWレーダでは捕らえることができ、このレーダの土層判別能力の優位性が証明された。また、土の誘電率を現場で直接測定する方法として、同軸ダイポールアンテナやモノポールアンテナを直接大地に刺入して反射係数から推定する方法を開発した。
著者
肥田野 登 中川 大
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

本研究は大都市の都心部において郊外鉄道を直通運転した場合の効果を把握し, その効果の帰属について関連する主体別に明らかにすることを目的としている. 筆者らは郊外鉄道, 道路及び公園などのインフラストラクチャー整備に伴う効果を十全にかつ二重計算なく捉える方法として土地資産価値に注目して分析を進めてきた. 本研究はその一環として従来十分明らかにされてこかった都心部での交通プロジェクトをとりあげたものである.そのため, まず都心部での主体との関連性を明確にした. そのけっか, 既成市街地内においては土地利用変化や地代上昇に対しての既得権者の抵抗があり, 必ずしも便益が地価に転移しない可能性が示された.またこれらの効果を定量的に計測するために土地利用予測モデルを構築した. 都心部での鉄道サービス向上に伴う土地利用変化をきめ細かく把握する実用的なモデルは現在のところ存在しない. そこでここでは東京の新玉川線, 小田急線の半蔵門及び千代田線乗り入れを対象としてとりあげ, 新たに商業集積地区を単位とし, かつ地区間の複合条件をとり入れた集計型ロジットモデルを作成することとした. モデルは小売, サービスその他事業所(3次のみ)ごとに推定し, 概ね妥当な結果を得た. 説明要因の中では後背地のポテンシャルに係わるものが最も説明力が大きなものとなっている. 又モデルによる現況再現性も高い. 次にこのモデルを中心として関連する土地所有者, 事業所, 鉄道事業者, 自治体ごとの便益と費用を計測するための影響分析のサブモデル及び地価関数を推定した. 又事業者の地代についてはヒアリングから得られた値を用いた. その結果これらの郊外鉄道の都心部への乗り入れは土地資産価値で8700億円の上昇をもたらし, 又事業所, 港区にも便益が帰属することが判明した.
著者
平田 修造
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では液体π共役分子と高分子材料からなる伸縮性のゲル状材料を開発し、この材料を活性層とし、伸縮性陽極と液体陰極からなる太陽電池を作成した。ゲル状材料は通常の固体高分子半導体の1/100以下の弾性率と100倍以上の歪みを示した。このゲル状材料を活性層に用いたデバイスの光電変換効率は非伸縮時には0.01%であった。通常のπ共役高分子とフラーレンからなる固体材料を活性層として用いた太陽電池では20%以上の歪みに対して変換効率が大きく低下した。一方で、本ゲル状材料を用いたデバイスでは、100%の歪みに対して特性の劣化は観測されなかった。
著者
田中 圭介 安永 憲司
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

大きく分けて二つの成果が得られた。まず、2メッセージを用いた紛失通信についての考察である。 具体的には、攻撃者のモデルをプロトコルの実行を途中で中止させるだけのfail-stopモデルからプロトコル中のアルゴリズムを任意に変更する攻撃を許すmaliciousモデルへの拡張を行い、既存のある種の暗号理論的な安全性と等価なゲーム理論的安全性を与えることに成功している。さらに、ビットコミットメントについての考察である。具体的には、malicious モデルの攻撃者を対象とし、既存のある種の暗号理論的な安全性と密接に関連するゲーム理論的安全性を与えることに成功している。
著者
高田 潤一 山口 しのぶ 廣瀬 幸夫 山岡 克式
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ラオス人民民主共和国ルアンパバーンでは,伝統的な建造物と植民地時代の建造物が融合した優れた街並みが1995年に世界遺産に指定された.しかし,2007年に行われた世界遺産センターの調査では,違法建築の急増による危機遺産化の懸念が示唆された.従来の手作業による建築許可・管理では十分な情報分析が不可能な状況である.本研究では後発途上国という条件を踏まえた世界遺産管理のための持続可能な地理情報システムの利用に関して研究を行った.
著者
武田 靖
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

鳥衝突データベースの解析を進めるために、前年度の米国、英国に、フランスとドイツを追加するべく、両国の担当者と交渉を行ってきた。入手は確約されたが、公式データベースとするための承認手続きが期限内に得られず、継続となった。後述のように、より多くの国のデータを解析することが要請され、ロシア、イタリア、ノルウェー等の欧州各国のデータベースも含めて展開することになった。またカナダのデータベースでは、高度の情報が一切含まれないという欠陥も見つけ、同国への勧告を発信した。(2)鳥分布関数の測定のために、米国イリノイ大学と共同研究をすすめ、ダラス空港(DFW)での新型鳥レーダーのデータ解析を共同で行うこととなり、一部の仮データを入手した。その結果、レーダでの観測は、空港直近での観測に誤差が大きいことが判明した。500フィート以上の高度でのデータを引き続き解析中である。(3)市販の3Dビデオ装置で取得したステレオ画像を解析することで、300m(1000ft)程度までの飛翔体の位置測定が十分可能であることを確認した。この技術を発展応用することで、空港での野鳥対策担当官による情報収集をより容易に、さらには高精度にすることが期待された。(4)鳥衝突世界大会(Norway)で研究成果の一部を発表・討論することで、より確度の高い理論研究とすることができた。特に大陸間での比較から、大陸や地域によらない、普遍性のある鳥衝突発生の高度依存性は各国の航空安全担当者の間での評価が高く、より多くの国を巻き込んだ今後の展開が期待された。
著者
田中 享二 田村 哲郎 宮内 博之
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

金属・メンブレン防水層の性能のひとつとして耐風性は重要である。この中で近年普及の著しい金属・メンブレン機械的固定工法では、防水層が部分的にしか下地に固定されていないため、台風時に破損する事故が多発している。この問題解決のために、強風時における防水層の挙動を、実大試験体を用いた風洞実験、台風時の屋外観測により調べ、鉛直吸い上げ力に加えて、大きな横力も発生していることを見出した。この知見をもとに防水層の耐風性評価試験装置を開発し、これら工法の耐風性評価を可能とした。
著者
本多 和仁
出版者
東京工業大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

本年度はルビジウム原子を3次元青方離調光格子トラップに捕捉することに成功した。これにより、原子スピンの緩和時間が長くなることが予想され、永久電気双極子モーメントの精密測定へ向けて前進することができた。平成23年度は光格子を作成するための光共振器を構成したが、ガラスセルの問題により、予定の性能を出すことができなかった。そこで、このガラスセルで最大限性能を引き出せるように光共振器の構成を変え、予定の1/5程度の力の光格子トラップを構成した。これを用いて原子を捕捉することを試みた。実験の結果、1.3×10^6個程度の原子を捕捉することができた。この原子は直前に行う磁気光学トラップから補給されるが、密度の測定により、この磁気光学トラップから光格子トラップへの原子の移行効率は1/2であり、十分といえる。しかし、捕捉する原子数は目標の10^7の1/10である。この原因は磁気光学トラップの原子密度が低いためであり、今後、磁気光学トラップの原子密度を上げる工夫が必要であることが分かった。この原子は0.2秒程度で急速に減少し、10^5個程度で安定し、その後1/e減少するのにかかる時間は5秒程度である。これは、光格子トラップのポテンシャルには山の部分と谷の部分があり、多くの原子は山の部分でピンボールのように移動を阻害されて0.2秒ほどトラップ内にとどまり、その後、谷の部分に捕捉された原子がゆっくりと減少するためだと考えられる。事実、捕捉された原子の運動量分布を測定すると、0.2秒以前と以降ではエネルギーが半減している。これは、ポテンシャルの山と谷の高さ・深さは同じであることと一致する。目標の測定には数秒程度原子がとどまる必要があるので、ポテンシャルの深さを倍程度上げる必要があることが分かった。
著者
石井 秀明
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,サーチエンジンにおける検索結果を的確にランク付けするページランク(PageRank)アルゴリズムに着目し,より効率的な計算手法の確立を目指した.とくにマルチエージェント系の協調制御の観点から,分散型確率アルゴリズムを構築した.エージェント間の通信制約を考慮した場合やグラフの集約化に基づく場合等,アルゴリズムの高速化・ロバスト化を図った.他方,一般的な有効グラフ上の平均合意問題に対しても成果を得た.
著者
樺島 祥介 岡田 真人 田中 和之 田中 利幸 石井 信 井上 純一
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

本研究では,特定領域研究「情報統計力学の深化と展開」を円滑に推進するために,本領域全体の研究方針の策定,研究項目間の調整,国際研究集会・公開シンポジウム・講習会の企画実施,研究成果の広報,研究成果に対する評価・助言を行った.主な実績としては,計4回の公開シンポジウムおよび計6回の国際会議の開催,4冊のプロシーディングスの発行が挙げられる.これらの活動の成果は計280件を超える領域内から発表された原著論文等に反映されている.
著者
徃住 彰文 村井 源 井口 時男 モートン リース 高岸 輝
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

人類が蓄積してきた膨大な知識資源を効果的に利用する方策のひとつとして,人間の知的活動や感性的活動にできるだけ近似した知識表現形を機械可読な形で提供したい.文学,芸術,政治,宗教といった,人間の能力の最高の活動場面で流通している言語テキストを対象としてオントロジーの構築を試み,多分野,多言語における検討をおこなった.
著者
細川 周平
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究はペリーの来訪から終戦までの日本の音楽文化の近代化を大衆音楽を中心に捉えた。近代化には合理的な音構造、楽譜の支配、公共的な音楽教育、公開演奏会、自律美学、ナショナリズムという側面があり、徐々に日本の基底音楽文化を変えていった。外圧として始まったが、日本人はしだいに内面化した。本論はこれまで政治経済の分野で語られてきた近代化を感情、感覚を通して追求し、軍楽隊に始まり、軍歌・軍国歌謡に終わる一世紀の音楽史を新しい方向から描いた。時代区分としては、幕末から日露戦争までの時期、そこから震災までの時期、震災から帝都復興までの時期、十五年戦争期という区分を提唱した。従来の芸術音楽の進歩(西洋化)を前提とした議論に対して、同時代の他の文化的な布置を考慮した。また大衆音楽については、世相史、ジャンルごとの歴史がほとんどだったが、本研究は歌詞だけでなく、言説、ジェンダー、セクシュアリティ、テクノロジー、ジャーナリズム、イデオロギーなどにも深く立ち入った。歌と器楽の関係にも留意し、マンドリン、ヴァイオリン、ハーモニカ、アコーディオンなどの大衆楽器が、国産化ともに、普及したことを示した。声がマイクロフォンによって、どのような影響を受けたのかについて、男性歌手と女性歌手の違いを考慮して分析した。ジャズが、モダンのメタファーとして広まり、特殊な意味作用を持っていた実例を体系づけた。タンゴ、ルンバ、ブルースのようなダンスはジャズ文化にとって決定的に重要で、新しい身体性とスペクタクルが密接に結びついていることを証明した。プロパガンダが、新聞社や翼賛会などの公的機関によって募集され制作されたものと、レコード会社が企画した叙情的なものにわけられること、兵隊ぶしと総称される替え歌が数多く流通し、厭戦気分の秘密のはけ口になっていたことについて考察した。
著者
奥野 喜裕 村上 朝之
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、クローズドサイクルMHD発電の実用化に向けて、「MHD発電機の実用高度化」研究を戦略的に推進した。衝撃波管駆動MHD発電実験装置、および高精度電磁流体数値シミュレーションを駆使して、類似の発電システムの中では世界最高の発電出力密度を達成するとともに、発電機形状の改良による発電性能の向上を実証し、理論的裏付けとともに,更なる性能向上に向けての確度の高いロードマップを提示することができた。
著者
和田 雄二 塚原 保徳 山内 智央
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

ゼオライト細孔中へ機能を待った物質を導入することにより、それら個々の機能とは異なった新規の機能を創製するナノハイブリッドゼオライトは、光化学、光触媒、発光材料などの観点から注目されている。そこで我々は、溶液中とゼオライト細孔内における4-acetylbiphenylの光物性について、共存する金属イオンの効果の観点から系統的に調べた。4-acetylbiphenylのBlue発光は、単独溶液系やゼオライト細孔内に導入しただけでは発現しないことが明らかとなった。また、4-acetylbiphenylは共存金属イオンによってその光物性を変え、ゼオライト細孔内で特定の金属イオン(Gd(III))と共存した場合のみ、Blue発光(蛍光)とりん光を同時に室温において与えた。4-acetylbiphenylの光物性を詳細に検討することで、複雑なRGB発光機構の解析を行うことができ、なおやつこの系の発光色制御、しいては光を操るナノハイブリッド系の構築に結び付けたいと考える。さらに、ホスト材料して2次元制限空間を有する層状ケイ酸塩を用いて、構造と4-acetylbiphenyl発光挙動について検討したところ、層状ケイ酸塩のケイ酸骨格構造の変化が発光スペクトルに影響していることが分かった。また、層状ケイ酸塩に導入した4-acetylbiphenylは、室温下・空気雰囲気下でりん光発光を示した。
著者
高安 美佐子 尾崎 順一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

約100万人のスマホGPSデータを解析し都市圏の人流に関する基本的な特性を明らかにした。大都市圏での人流パターンを流域という視点に基づいてマクロ的に捉える新しいデータ解析手法を確立し、流域のサイズの分布や形状が都市に依存しない普遍的な特性を持ち、さらに、Covid-19の感染下でも基本特性が維持されていることを見出した。また、人流を電流とみなすアナロジーによって、都市圏の交通流を近似する電気回路モデルを構築し、新たなシミュレーション手法の基盤を構築した。さらに、基本的な感染症の数理モデルをGPSデータに基づく人口集中の効果を考慮するように改良し、感染者数の増減を予測可能とするモデルを開発した。
著者
大佛 俊泰 沖 拓弥 岸本 まき
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

災害発生後の混乱や群集事故等の二次的被害を低減するためには,まず,「どのような人(年齢・性別・職業)が,いつ(季節・曜日・時刻),どこで(場所・施設),何を(滞留・移動目的)しているのか」という,都市内滞留者・移動者の精緻な人口動態を推計し,これを用いた群集の誘導や制御を行うことが必要である。本研究課題では,複数の人口動態データを組み合わせることで,詳細な属性情報を備えた精緻な都市内滞留者・移動者に関するデータベースを生成する方法を構築し,大地震発生後の流動人口を予測するシミュレーションモデルを開発することで,被害・混乱の抑制方策を支援するための技術を開発した。
著者
工藤 明 猪早 敬二 竹下 淳
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2000

我々は、細胞間接着分子カドヘリンに骨芽細胞分化制御機能があることを報告する。各種間葉系細胞株におけるカドヘリンの発現を調べた結果、各細胞株はそれぞれが独特なカドヘリンの発現様式を持っており、骨芽細胞系譜では、OBカドヘリン(カドヘリン-11)およびNカドヘリンを発現していることがわかった。同一細胞において複数種のカドヘリンが発現することの意味を調べるために、頭頂骨骨芽細胞と同程度にOBおよびNカドヘリンを発現させたL細胞(L-OB/N)ならびに、それぞれ単独で発現させたL細胞(L-OB,L-N,L-MOCK)を作製した。細胞染色の結果、OBとNカドヘリンは、それぞれが独立してアドヘレンスジャンクションに局在し、共に細胞接着に寄与していると考えられた。また、L-OB/Nにおいては骨芽細胞分化マーカーであるALP,Osteocalcinの発現誘導および骨芽細胞分化のマスター遺伝子であるCbfalの発現上昇が確認された。L-OBでは微弱ながらALPの発現が確認でき、L-N,L-MOCKでは全くそれら発現は確認されなかった。以上のことよりOBカドヘリンは骨芽細胞分化を方向付けし、Nカドヘリンはその作用を増強すると考えられた。NIH3T3においても同様の実験を試みたところALP,Osteocalcinの発現誘導は確認出来なかったが、FGFR2の発現が上昇し、L-OB/Nにおいても同様に発現上昇が確認された。FGFR2は、突然変異が骨格系に多くの異常を示し、Osteopontin発現上昇以前の骨芽細胞前駆細胞において発現することから、骨芽細胞初期分化に重要であると考えられている。これらのことより、OBとNカドヘリンは、未分化な骨芽細胞前駆細胞の細胞分化運命を決定していると考えられる。今回の結果は、複雑な細胞間相互作用が複数種のカドヘリンのよる細胞間認識の結果であると共に、細胞間認識による細胞分化決定機構の存在を示唆するものである。
著者
林 宣宏
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

“HIVはその遺伝子産物であるNefによって、本来は感染宿主細胞(T細胞)が使用している弱い相互作用に介在して効果的に細胞機能を停止している”、という申請者の研究に基づく仮説と、独自の抗体ライブラリー技術を用いて、NefがT細胞の機能を停止するのを阻止することによる細胞機能の回復法を開発する。HIV-Nefの機能を制御するダイアボディ(2重特異性抗体)を近年新たに開発した抗ミリストイル基抗体と抗Nef抗体を使って作製し、エイズ治療のための分子標的薬プロトタイプを開発する。