著者
中野 善達
出版者
筑波大学
雑誌
筑波大学リハビリテーション研究 (ISSN:09178058)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.29-30, 1991

アメリカ合衆国の障害児教育は、1970年4月13日に制定された障害者教育法(Education of the Handicapped Act:EHA)に則って展開されている。画期的といわれる一般法律第94-142号「すべての障害児の教育に関する法律(1975年)」にせよ、早期教育を規定した一般法律第99-457号 ...
著者
弦間 洋 小松 春喜 伊東 卓爾 中野 幹夫 近藤 悟
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

暖地での高品質果実生産のための指針を得る目的で、果皮着色機構、成熟制御機構並びに分裂果等の障害発生機構の解明を行い、一定の成果が得られた。すなわち、リンゴ及びブドウ果実のアントシアニン生成経路の詳細な調査を基に、暖地産果実の色素発現生理の一部を解明することができた。例えば、ブドウ'巨峰'の場合、適地である長野産はアントシアニン含量が高く、暖地産のものは低含量であったが、熊本産はプロアントシニンやフラポノール含量が高く、前駆体のフラバノノールからアントシアニンに至る経路が高温によって阻害され、一方、和歌山、広島産ではこれらの含量が低く、フラパノノール合成以前の過程で阻害された可能性が推察された。ジャスモン酸アナログのn-プロピルジハイドロジャスモン酸(PDJ)とABA混用処理をベレゾーン以前に行うと、不適環境下での着色改善に効果があった。暖地リンゴの着色に及ぼす環境要因について、紫外線(UV)吸収及び透過フィルムで被袋し、さらに果実温を調節して検討したところ、低温(外気温より3〜4℃低い)によってアントシアニン畜積が認められ、内生ABA含量も増加する傾向にあった。しかし、UVの影響については明らかにし得なかった。リンゴ品種には貯蔵中に果皮に脂発生するものがあり、'つがる'果実で検討したところ暖地産(和歌山、熊本、広島)は'ふじ'同様着色は劣るが、適地産(秋田)に比べ脂上がりが少ないことが認められた。果実成熟にABAが関与することがオウトウ及びブドウ'ピオーネ'における消長から伺えた。すなわち、ブドウでは着色期前にs-ABAのピークが観察され、着色に勝る有核果で明らかに高い含量であった。また、種子で生産されたs-ABAは果皮ABA濃度を上昇させるが、t-ABAへの代謝はないことを明らかにした。モモの着色機構についても、無袋果が有袋果に着色が勝ることから直光型であることを認めた。さらに裂果障害を人為的に再現するため、葉の水ポテンシャルで-3.0MPa程度の乾燥処理を施したが裂果は起こらなかったものの、糖度が向上すること、フェノールの蓄積があることなどを認めた。これらの知見は暖地における品質改善への指針として利用できる。
著者
満保 雅浩
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

民主主義的な手続きに基づく健全な電子社会を確立するために、現在必要とされる制約を可能な限り除去した、高い信頼性を有する電子選挙システムを構築することに取り組んだ。まず、公開検証型電子投票を、暗号技術の危殆化による過去の投票内容の暴露の危険性という観点から考察し、暗号の危殆化にも対応した安全な公開検証型投票方式の構成方法を示した。そして、電子選挙における投票時刻に着目し、投票し直しを許すことによる買収や強制への耐性の向上効果について検討をおこなった。更に、投票内容が正しく処理されたことを確認するための仕組みについても考察を行った。
著者
菅谷 純子 弦間 洋 瀬古澤 由彦
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

本年度は、果実発育および成熟時の内生ABA量とその代謝産物であるファゼイン酸(PA)およびジヒドロファゼイン酸(DPA)の定量を行い、ABA生合成遺伝子である9-cis-epoxycarotenoid dioxygenase(NCED)遺伝子、PpNCED1とPpNCED2について、その果実と樹体における発現特性について詳細に検討し、果実発育、成熟時のABAの機能について解析した。その結果、前年度も確認された内生ABA量の果実成熟時における増加とそれに続く減少は、ABAの代謝、すなわちABA→PA→DPAという速やかな変化により制御され、それによりABAの一過的な上昇が認められることが強く示唆された。また、PAは果実発育の初期に多く、その後減少することが示された。さらに、定量PCRによりNCED遺伝子の発現解析を行った結果、ABAの上昇はPpNCED1遺伝子の発現上昇を伴って起こることが示された。その上昇は、エチレン生合成酵素遺伝子の前に認められ、果実の成熟開始の初期にPpNCED1遺伝子が関わる可能性が示された。また、PpNCED1遺伝子の樹体における発現量を比較したところ、PpNCED2は茎で発現量が高いのに対して、PpNCED1遺伝子は茎頂や葉での発現に比較して成熟果実における発現が著しく高いことが明らかになった。ABAの生合成は乾燥ストレスにより誘導されることが知られているため、葉に乾燥ストレスを与えた際のPpNCED1遺伝子の発現量を調べた結果、約50倍の著しい発現上昇が認められ、本遺伝子が乾燥ストレス誘導性の遺伝子であることが明らかになった。また、プロモーター領域をクローニングした結果、複数の重要なシス因子の存在が示された。これらの研究により、果実におけるABAの生合成の制御様式について遺伝子レベルの制御機構が存在することが示され、成熟シグナルとの関与が示唆されたと考えられた。
著者
根津 朋実
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

第三年次の研究を遂行した結果、以下の知見を得ることができた。1.2005年4月以降、月に1〜2回の頻度で、小学校低学年に対し25人程度学級を実施している埼玉県志木市の一小学校において、観察調査を実施した。今年度は、1年生の24人学級を観察した。年度内に10回程度の終日観察を実施した結果、生活面の諸指導において、就学前の「痕跡」、および担任による「痕跡」の消去を、それぞれ認めることができた。就学前の幼稚園等における規律は、施設により実に多様であるため、入学後ごく初期の段階で再提示される必要が生じていた。すなわち、入学直後から「班」は明確に組織されず、むしろ、列の作り方、テストの受け方、給食の配膳の仕方等、学校生活の基本的な部分を担任が丁寧に指導する場面を頻繁に目撃した。担任からの聴きとり結果をあわせて考えると、一学級あたりの人数が少ないことは、こうした生活面での指導の容易さに直結すると結論できる。2.昨年度実施した志木市教育委員会による大規模な質問紙調査の結果を分析し、結果を関連学会で発表するとともに、分担執筆の著書にまとめた。この調査は、志木市内低学年保護者・低学年担任・中学年児童(低学年での少人数学級経験児童)を対象とした、大規模の悉皆調査であった。分析の結果、教科学習において、算数以外に実技系教科を中心に少人数学級の有効性が認められていること、児童の速やかな学級適応に効果があると考えられていること、保護者と担任教員との間に認識の相違があること、および児童は学年進行にともなうクラスサイズの拡大を希望していることが、それぞれ見出された。この結果は、導入から日が浅い少人数学級の教育効果を実証的に示した点で、きわめて注目に値する。
著者
大庭 喜八郎 呂 綿明 楊 政川 LIBBY Willia 津村 義彦 丹下 健 松本 陽介 戸丸 信弘 中村 徹 内田 煌二 荒木 眞之 山根 明臣 YANG Jeng-chuan LU Chin-ming GAVIN F.Mora 黄 啓強
出版者
筑波大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

1.目的現生のスギ科(Taxodiaceae)樹種には10属15種・1雑種(推定)が知られ、わが国の林業上重要な樹種の一つであるスギが含まれている。本研究はスギ科樹種を対象とし以下の3点を目的とした。(1)葉緑体等のDNA分析によりスギ科樹種の遺伝分化の分子的基礎を明らかにし、それらの系統分類を行う。(2)生態学、生態生理学さらに集団遺伝学の3分野からスギ科樹種の種特性を解明する。(3)この(1)と(2)の成果を基礎とし、スギをはじめとする各樹種の分類学的位置づけについて論じる。2.研究項目と研究方法(系統分類)(1)スギ科樹種の分子系統分類:PCR法を用いた葉緑体の特定遺伝子(rbcL,PsbA等)のRFLP分析(種特性に関する研究)(2)成育立地の生態学的研究:立地環境調査・植生調査、文献調査(3)生態生理学的研究:光合成特性・水分特性調査(4)集団遺伝学的研究:アイソザイム分析、DNA分析、文献調査(総合取りまとめ)(5)スギの系統分類学的位置づけとスギ科樹種の種特性の解明3.研究成果(1)系統分類スギ科樹種の系統分類と伴に針葉樹におけるスギ科の位置づけを明らかにするため、スギ科の10属15種・1雑種(推定)、ヒノキ科の6樹種、マツ科の18種、イチイ科の2種及びイヌガヤ科の1種について、DNA分析用試料として筑波大学や森林総合研究所等に植栽してある個体から若芽を採取した。これらの若芽から抽出した全DNAを用い、PCR法による6種類(frxC,psbA,psbD,rbcI,trnK)の遺伝子の増幅を行い、得られたPCR産物を用いて各遺伝子あたり約10種類の制限酵素によるRFLP分析を行った。得られた塩基置換のデータから、Wagner parsimony法とNJ法による分子系統樹を作製した。その結果、スギ科とヒノキ科は非常に近い科であり、Sciadopitys verticillata(コウヤマキ)はそのスギ科とヒノキ科から系統的に大きくことなることがわかった。(2)種特性(1)生育立地の生態学的研究:中華人民共和国に分布するTaiwania fousiana(ウンナンスギ)、Cunninghamia lanceollata(コヨウザン)、Metasequoia glyptostroboides(アケボノスギ)の各林分、さらにオーストラリアのタスマニアに分布するAthrotaxis cupressoides(タスマニアスギ)、A.laxifolia(ヒメタスマニアスギ)、A selaginoides(オオタスマニアスギ)、台湾に分布するCunninghamia konishii(ランダイスギ)及びTaiwania cryptomerioides(タイワンスギ)の各林分について、植生調査等の生態学的調査い、これらのスギ科樹種の構成林分の種組成が判明した。(2)集団遺伝学的研究:わが国に分布するCryptomeria japonica(スギ)の17集団から集団遺伝学的解析のための試料である針葉を採取し、アロザイム分析を行った。その結果、現在のこの種の分布が離散的でかつそれぞれの分布面積が小さいにも関わらず、種内の遺伝的変異量は木本植物の中では大きいが(H_t=0.196)、集団間の遺伝的分化は非常に小さいことがわかった。この遺伝的多様性の保有パターンの理由として、かつての分布は現在のものよりも広く、連続的なものであったこと、遺伝子流動がかなり起こっていること、寿命の長さが考えられた。一方S.verticillata(コウヤマキ)の6集団から集団遺伝学的解析のための試料である針葉を採取し、DNA分析のために全DNAを抽出した。制限酵素EcoRIで消化し、イネのrDNAをプローブとして用いてRFLP分析を行った。その結果、この種のrDNAの集団内の変異は大きく、さらにその変異は集団間で明らかに異なることがわかった。
著者
古屋 秀樹
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究では,対象地域として土浦・つくば周辺地域を取り上げ,TDM施策の1つであるコードンプライシングが実施された場合の影響を交通流動ならびに環境影響の観点から明らかにすることを目的とする.土浦・つくば地域の人口は以前増加が続いており,平成7年現在約29万人となっている一方,公共交通機関への依存度が低く,自動車分担率の比較的高い地域といえる.特に,土浦中心部では茨城南部の中心都市としての機能を有することや南北と東西を結ぶ道路ネットワークの結節点であることから,通過・進入する車両の増加で交通渋滞が深刻化している.その対応策として,土浦・つくば地域に流入する車両に対して課金するプライシングを取り上げ、その影響を把握した.プライシング実施にともなう交通抵抗の増加によって,コードンで囲まれる地域の集中交通量やこれら地域を目的地とする分布交通量の減少が予測される.しかしながら,特に分布交通量のモデルを用いた推計精度が十分高くないことなどから,プライシングが交通機関選択行動,経路選択行動に影響を与えるものと仮定して,プライシング実施前後における交通流動の変化を明らかにした.その結果,プライシング前後で自動車による汚染物質の排出量が改善され,交通渋滞の解消に加え,環境改善に効果があることが分かった.今後の課題として,発生・集中,分布交通量の変化を考慮した分析,道路交通流・排出原単位に対する検証,ドライバー・プライシング実施主体を含めた包括的な費用便益の把握,徴収料金の合理的支出に関する考え方の整理があげられる.
著者
村上 正秀 ZHANG P
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

実験は、ステンレス薄膜(10ミクロン厚)に細いスリットを入れてジグザグに整形して作った。これは、事実上平面ヒータと見なすことが出来ることが確かめられた。沸騰中のヒーターの平均表面温度はその電気抵抗変化から求めることが出来、これより、周囲のHe IIの温度や圧力等のいろいろな熱力学条件下において、沸騰状態における熱伝達係数を求めることが出来る様になった。同時にヒーターのすぐ上方で、沸騰に誘起されて起こる温度と圧力の変動も測定された。測定データから、上記の温度と圧力の変動は高度な相関をもっており、さらにその変動は可視化画像に見られるほぼ周期的な蒸気泡変形、急激な膨張と収縮の繰り返し、等とも同期していることが確かめられた。その内、大振幅変動については、カオス解析の観点からも解析され、各測定値の相互関係が詳しく調べられた。膜沸騰状態下での熱伝達係数は、ヒーター上方で計られた温度と圧力の変動にも強く依存することが分かった。3種類の膜沸騰状態、ノイジー、遷移状態、サイレントの各膜沸騰、における熱伝達係数の測定からは、沸騰状態はヒータ位置の静圧(液面からの深さに比例)に依存してそのモードが明らかに変わるが、熱伝達係数はそのモードに余り依存せずに大体同一であり、殊にλ点に近い温度では修正されたBreen-Westwater相関式で統一的に良く記述されることが確認された。さらに、これら沸騰モード間の分布マップも、温度-静圧-熱流束からなる、3次元表現として求められた。これら沸騰モードの差異は、その状態、特に蒸気-液界面の安定/不安定性に起因することも分かった。
著者
糸井川 栄一 加藤 孝明
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は,市街地火災安全基準の性能規定化を目指すために必要な基礎的条件を整理し,数理的アプローチによる防火性能評価手法の提案を行うことを目的とするものである.主たる研究成果としては,(1)市街地火災安全性の変遷とその要因を分析したこと,(2)市街地火災の根本的な原因の一つである地震時出火に対する対策効果に関して数理的に評価したこと,(3)地震時火災時の広域避難計画について現行の避難計画の改善を図る数理的計画手法を提案したこと,(4)広域避難安全性確保から見た市街地の延焼危険性に要請されるレベルを明らかにしたこと,などである.
著者
金保 安則 横関 健昭 船越 祐司 長谷川 潤 杉本 里香
出版者
筑波大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

低分子量G蛋白質Arf6を介するシグナル伝達機構とその生理機能、およびそのシグナル伝達の破綻に起因する疾患との関連の解明を目的として、分子・細胞・個体レベルで解析を行った。その結果、(1)Arf6はリン脂質キナーゼPIP5K・を活性化して神経スパインの退縮を制御していること、(2)Arf6は、肝臓の発生と腫瘍血管形成に重要であり、Arf6をターゲットとした抗ガン剤の開発が可能であること、(3)Arf6はJNK相互作用蛋白質を介して神経突起の伸長とブランチングを制御していることを明らかにした。
著者
長谷川 潤
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PIP2)の合成酵素であるホスファチジルイノシトール4-リン酸5-キナーゼ(PIP5K)の2つのアイソザイムPIP5K_AおよびPIP5K_Bのノックアウトマウスを作製したところ、これらの酵素が精子形成に必須であることが分かった。また、2)エタノールアミンキナーゼ-1により合成されるホスファチジルエタノールアミンが、神経突起の伸長において重要な役割を担っていることが分かった。
著者
佐藤 政良 佐久間 泰一 石井 敦 塩沢 昌 吉田 貢士
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

灌漑用水の管理に関して,世界で潮流となっている参加型水管理(PIM)について,その現状と成功の共通原理を探るため,日本とアジア諸国の農業用水管理を調査,比較分析した。日本での成功は,灌概事業における全段階,全側面における農民参加の制度的保証によっており,一方韓国における公的管理強化は複雑な農村の政治経済的背景から起こり,タイなどにおけるPIM導入の困難は,政府の強い保護的姿勢と制度の未確立によるものと判断された。
著者
松本 光弘
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.70, pp.3-5, 2005-06

平成17年2月23日水曜日3時限、大学会館ホールにおいて体育専門学群サッカー領域の先生方の計らいで定年退職前の最終講義を行う運びとなりました。私自身は昨秋9月14日の第一サッカー場のモンドターフ敷設に伴う記念フェスティバルで役目は終了と考えていました。 ...
著者
中山 晴代 (山口 晴代)
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

いくつかの原生生物において、捕食した藻類を短期間細胞内に保持し、一時的な葉緑体として使うことが知られている。この一時的な葉緑体のことを盗葉緑体と呼ぶ。この盗葉緑体を持つ状態は葉緑体獲得へ至る中間段階であると考えられており、盗葉緑体を持つ生物を研究することは細胞内共生による葉緑体獲得過程を理解する上で重要である。私は盗葉緑体を持つ無殻渦鞭毛藻Amphidinium sp.を研究対象にその共生体の起源を解明するとともに、分類がきちんとされていないAmphdinium sp.共生体であるクリプト藻Chroomonas属/Hemiselmis属の分類学的研究を行うことにした。本年度は、1.クリプト藻Chroomonas属藻類の系統分類学的研究を行い、Chroomonas属/Hemiselmis属の分子系統解析をし、その分類体系を検討した結果、Chroomonas属/Hemiselmis属藻類すべてをChroomonas属に所属させ、属内でさらに7つの亜属にわけるのが妥当であるとの結論を得た。また、2.渦鞭毛藻Amphidinim sp.の新種記載の論文執筆をした。分子系統解析や外部形態の情報を元に、本種はAmphdinium属ではなく、Gymnodinium属の新種とすることが妥当だと考えられ、G.myriopyrenoidesと命名した。論文の中で、本種と同様に盗葉緑体を持つ種の宿主と共生体の共生段階を比較し、その共生段階に更なるバラエティーがあることを示した。さらに3.クリブト藻Chroomonas属/Hemiselmis属藻類の系統分類に関する論文執筆に取りかかったが、これに関しては追加でHemiselmis属藻類の微細構造データを取りつつ進める必要がある。
著者
北川 宏
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.62, pp.125-127, 2002-06

筑波大学に異動してはや2年になる。大学を卒業してから、国立研究所、大学院大学に在職していた関係で、講義と学生実験を担当するのは初めてで準備が大変である。その一方で、学部学生と接するのは久しぶりで気持ちが若返ったような気がする。 …
著者
野口 恵美子
出版者
筑波大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

小児アトピー性喘息患者942名vs成人コントロール2370名の55万SNPの全ゲノム関連解析を行った。55万SNPのうち、常染色体に存在し、かつminor allele frequencyが0.01以上のSNPは453,047個であった。さらに、コントロールにおけるHardy Weinberg平衡がP<0.0001である1,170SNPを除外し、最終的な解析データとした。一次解析におけるGenomic Inflation factorは1.053であった。アレル頻度の比較では、6番染色体短腕のHLA領域で強い関連が認められた(P=7.7×10-9)。そのほかにも2番染色領域、12番染色体領域にP<1×10-7が存在した。HLA領域のSNPと小児アトピー性喘息との関連については独立した症例対照サンプルおよび家系サンプルにおいても追認されている(P<0.05)さらに健康成人76名を対象としてHuman 610Quadを使用してタイピングを行い、別の研究成果として得られているCD4陽性T細胞およびCD14陽性モノサイトの網羅的遺伝子発現データ(イルミナHuman Ref8)と遺伝子型データを統合したデータベースの構築を情報支援班の支援を受けて作成しており、今後公開予定としている。
著者
野口 恵美子 内田 和彦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

スギ花粉症発症および治療効果に関連する遺伝子タンパク質を同定する目的でマイクロアレイおよびプロテオミクスを用いて網羅的な遺伝子発現タンパク質解析を行った。マイクロアレイ解析ではIL17RBが花粉暴露時に花粉症患者で高発現となっていることを見出した。またスギ花粉症舌下免疫療法により特異的に増加するタンパク質としてアポリポプロテインA4を同定した。
著者
伴野 朋裕
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
vol.59, 2001-06

前号「IT革命と教育を考える」を読んで、江藤 淳氏が1996年1月の新聞に寄せた稿を思い出した。青春は「自分探し」の病気のようなもの。自己嫌悪に胸を噛まれながら、「自分」以外のものになろうとして七転八倒し、愚行を重ねたあげくの果てに「自分」でしかない自分に投げ戻される、それが昔の青春だった。 ...
著者
星野 聖
出版者
筑波大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

舞踊や手話動作に見られるような,ヒトの比較的複雑な随意運動や順序運動の多くは「見まね」により獲得される.上肢動作の見まね学習においては,第一に,網膜に映った他者3次元上肢運動の2次元写像映像から3次元運動を復元する過程第二に,自己上肢の各筋肉のどれを,どのような時間的タイミングで,どのような強度で収縮させるかのパターンに変換する過程,の少なくとも2過程が必要である.また特に手指動作の見まね学習では,第三に,サイズが小さいにも関わらず形状が複雑で自己遮蔽が多く,しかも大きな空間を動く手指3次元動作の2次元映像から,高速かつ高精度に形状推定を行う過程も必要となる.このような制御上の不良設定問題を持つ問題や,生理学レベルでの情報処理機構が不明な対象に対しては,生理学的に等価な工学システムを設計し,それを操作して入出力関係を検討することにより,脳の情報処理の一端を伺い知ることが可能となる.本課題では,(1)エアシリンダを使ったヒト型ロボットアームの設計,(2)ヒト型ロボットハンドの設計,(3)単眼CCDカメラによる上肢3次元動作の推定システム設計,(4)非接触的方法による手指形状の実時間推定システムの設計,(5)データグローブによるロボットハンド制御,などを行った.(1)と(2)により実証研究のためのハードウエア的基盤を作り,(3)と(4)により上肢や手指の3次元運動推定,(5)により手指制御を実験的に検討して,動作の見まね学習機構の理解に迫った.開発したヒト型ロボットハンド1号機は大きさと重さがヒト手指と同程度で,しかも拇指以外の4指間の開閉ができるため,手話や舞踊動作といった「情報発信」が可能である.同ハンドを使って,ダイナミクスや自由度数が異なるデータグローブでの遠隔操作に成功し,前提となった自由度低減や自由度合成の知識を,次課題の「見まね」(非接触的方法)での動作再現に活用した.
著者
徳田 克己
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、障害理解を促進するための教育内容、方法を明らかにするために視覚障害シミュレーション体験の効果に関する実験的検討を行ったものである。本研究の結果から、視覚障害歩行シミュレーション体験の内容や時間の長さについて、具体的な提案をすることができた。すなわち、目隠しをして歩く視覚障害歩行シミュレーション体験は、人通りの少ない、階段のない平地を30分程度歩くことが障害理解の促進には最も効果的であること、人通りの多い、起伏のあるルートを10分程度歩く体験が最も恐怖心と不安を生起させることが明らかになった。