著者
岡崎 貴世
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.7, 2015 (Released:2015-07-15)

【目的】ウェットティシュは、携帯性にすぐれ水を使えない場所で簡単に使用できるため、外出時や食事の前後の手指の消毒、台所や食卓等において汚れのふき取りや除菌に広く使用されている。多くの使用者は、ティシュの除菌効果を期待して食中毒や感染症予防対策として利用している。そこで、ティシュによる除菌効果がどの程度なのか、水を用いた手洗いによる効果と比較した。【方法】実験には17種類のウェットティシュを用いた。除菌効果は、ティシュの使用前後で被験者の手のひらの細菌検査を行い、その増減で判定した。細菌数の測定にはフードスタンプ(標準寒天、日水製薬株式会社)を用いた。比較として、両手を1回洗浄後タオルで拭きとる方法(手洗いA)と、両手を2回洗浄後タオルでふき取り70%エタノールを擦り込む方法(手洗いB)を用いた。 【結果・考察】ティシュ使用後の除菌率は、多くのものが50%以下だった。また同じメーカーで比較するとアルコールタイプの方がノンアルコールよりも除菌効果が高い傾向があった。しかし残菌率は個人差が大きく、拭き取り方や使用前の手指の汚染状況に影響されると考えられた。手洗いと比較するとティシュの残菌率が低く、特に手洗いBは洗浄後の細菌数が著しく増加(208%)しており洗浄効果は認められなかった。そこで手洗い熟練者と初心者で比較すると、熟練者の残菌率は低くなり、手洗いの熟練度が洗浄効果に影響することがわかった。
著者
武藤 八恵子 島田 淳子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.523-527, 1976-12-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

1. ラードを用いた炒め物調理では, しょうがを添加した油で炒めた方が添加しないで油で炒めたものより好まれ, また油っこくないと評価された.2. しょうがを添加した油の, AV, IV, 粘度, 表面張力等は, 添加しない油のそれらと大差はないが, 乳化力は強く, またTBA値が低かった.3. ラードを熱した時の特有の匂いは, しょうがを添加すると非常に異ってくるが, ラードの揮発成分は減少も消失もせず, しょうがの匂いによってマスクされると考えられる.4. しょうがを添加する時機について, 常温の油にしょうがを添加して加熱する方法に比べて, 高温にしてから添加する方法の効果は, 今回の実験ではあまり認められなかった.
著者
関 千恵子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.29-34, 1969-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Experiment was carried on to know the proper method of sautéing rice and the amount of water used for cooking.7% of buttter was used to saute the rice before cooking. Under the proper condition, the tests were done for sauteing the rice 8, 12 and 16 minutes respectively, and the amount of water used for cooking was 1.11 to 1.40 times by weight.Following results were obtained : 1) The viscoelasticity shown by the Farinograph of cooked rice was higher for the longer period of sautéing, 2) The velocity of dehydration of cooked rice was extremely different on upper and lower parts of the pots for those which was sauteed 12 to 16 minutes, 3) By taste testing, most favorable results was the rice sautéed for 8 minutes, and the amount of water used for cooking was 1.3 times by weight.
著者
金子 俊之 河本 高伸 菊池 弘恵 塩田 真夫 弥武 経也 飯野 久和 辻 啓介
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.245-254, 1993-04-15 (Released:2010-04-23)
参考文献数
18
被引用文献数
3

イソマルトオリゴ糖の摂取が, 腸内環境と便通に及ぼす影響を明らかにするために, 腸内Bifidobacteriumを増殖させる有効量である1日10gもしくは15gを有志健常人に摂取させて検討した. 試験期間は5週間で, 1週目は摂取前, 2~3週目は摂取, 4週目は摂取休止, 5週目は再摂取とした.1) 1日10gの摂取により, Bifidobuterium菌数及び占有率の有意な上昇, Lactobacillus菌数の有意な増加, Bacteroidaceae占有率の有意な減少, Clostridium出現の抑制など, 腸内フローラが改善された.2) 同時に, 糞便pHは有意に低下し, 短鎖脂肪酸は増加傾向を, 腐敗産物は減少傾向を示すなど, 腸内環境が改善された. しかも, 試験の後半ほど効果が著しいことから, より長期の摂取が効果的であると考えられた.3) 摂取前の排便回数が少ない (3回/5日以下) 便秘傾向者では, 用量依存的 (10gと15g/日) に便通が改善された. しかも, 下痢などの重篤な副作用は伴わなかった.4) 相関係数の検定より, 糞便に含まれる酢酸は, 腸内環境及び便通の改善と密接な関係を持つと考えられた.
著者
和田 淑子 安藤 伊代子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.273-279, 1973-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6

こんにゃくの調理中におこるかたさ, 弾力など物理的性状の変化について検討した.1) こんにゃくのかたさは製造時の原料配合割合によるが, 精粉に対し水量40倍, Ca (OH) 2量3%のものが概して良好なこんにゃくである.2) 生こんにゃくはゆでるとかたくなり, 同時にこんにゃく独得の弾力に富んでくる.ひとたび加熱凝固して弾力を生じたこんにゃくは, その後ゆで時間とともにかたさが増加し, 一方弾力はやや低下していくが, ある時間以上加熱すると多少の変動はあっても両者ともおおよそ一定値に近づき変化しなくなる.3) ゆでるとこんにゃくの重量は減少するが, この減少はかたさが急激に増加するとき特に大きい.4) ゆでるとこんにゃく中の余分のCaは除去されるが, Caの流出量とかたさには関連性はない.5) こんにゃくのかたさ, 弾力は調味液中で長時間煮熟すると影響を受ける.ことに食塩, 食酢においてその変化が大きく, 食塩液中ではかたくなり, 食酢液中ではやわらかくなる.6) 油いため, 空いりのように比較的短時間に高温で加熱すると, こんにゃくの表面の硬化は著しいが, 内部の弾力はあまり失われない.
著者
北川 淑子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.27-31, 1974-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

1) ヤマノイモ類に多量に含まれているシュウ酸カルシウムの針状結晶はイモが皮膚についた時に粘質とともに強い痒みを起すものと考えられる.2) 針状結晶は胃の中では溶解すると思われる.3) 針状結晶のCa量はイモの全量のCa量の約2/3を占めている.
著者
中野 典子 森奥 登志江 小川 安子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.411-417, 1986-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
4

1) 被検者15名の心拍数と酸素摂取量間の相関係数はおのおの0.9以上であった.2) わさび, にんにく, 辛子, カレー粉, 赤唐辛子等の刺激のある香辛料の香りをかいだときと, バニラエッセンスのような甘い香りをかいだときを比較すると, わさび, にんにく, 辛子, カレー粉, 赤唐辛子等のような刺激性のあるものの場合は1分間あたりの心拍数が90~100回, 平均心拍数97回であった.これに対し, 甘い香りをかいだときは平均心拍数86回であり, 刺激性のある香辛料の香りをかいだときには心拍数は高い値を示した.また, カレー粉の香りをかいだときの消費エネルギー量は, HR-VO2法およびRMR法よりの算出値は, 休息状態での消費エネルギー量にくらべ両方法において高値となった.3) 白飯摂取時1分間あたりの心拍数は平均89回であったが, 白飯にカレー粉をまぜて摂取すると心拍数は平均102回となり, 白飯に赤唐辛子粉をまぜて摂取すると平均心拍数は99回であり, 刺激性の強い香辛料の存在により心拍数は高値を示した.4) 平常食事と刺激性の強い調理品を摂取したときの1分間あたりの心拍数は, 平常食事時では80~90回台であるのに対し, 刺激性の強い調理品摂取時は90~100回台に心拍数が集中しており, 刺激性のある調理品を摂取するときには心拍数は高くなった.5) 消費エネルギー量は平常食事では, 体重1kgあたり1分間, 平均0.037kcalであり, 刺激性の強い調理品摂取時は平均0.056kcalとなり, 刺激性の強い調理品摂取においては, 消費エネルギー量測定値は高く示された.したがって, 食事中の消費エネルギー量は, 刺激性のある調味料の存在と料理の献立により変化することが考えられる.
著者
荒井 純子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.358-364, 1976-08-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

Long ago the clothing worn by the Ainu race were kera, kap-ur, rap-ur and chep-ur-those of plant, animal skin, bird skin, and fish skin-and since they could get cotton and silk by barter toward the later Edo Era, they came to wear attushi, letarupe, chikar-karpe, ruunpe, kaparamipp, chigiri and mour.I studied how they put them on, consulting the field surveys based on the evidence by the old there. In this first report I wrote of the quantity and the way of their clothing.Their fine garment was usually made by a wife with her greatest effort and affection for her husband as a choice present to him, and he did not own so many as the Japanese today. But they had many ways of wearing; for the ceremony, for daily use, and for laboring. What is more, in another district they wore in another way-for instance, some of them used a girdle on the garment as in the case of kimono and others put the garment over their shoulders like haori. As well as the clothing for the adult, there were those for babies and children and for the dead with their own ways and rules.
著者
下村 道子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.753-762, 1997-09-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
43
被引用文献数
3
著者
松本 (向山) 晴美 妻鹿 絢子 小林 豊子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.613-617, 1979-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
12

有機酸塩によるゲル形成能の低下抑制作用について, その分子量的変化を生成還元糖の測定, ゲル濾過法などにより検討し, 以下の結果を得た.1) 寒天の加水分解により生成される還元糖量は, 溶解寒天液に供試液を添加後, 加熱しない場合には, 供試液組成と関係なくわずかで, いずれもゲル形成能の喪失は認められなかった.しかし, 供試液添加後加熱した場合には, その加熱時間の経過に伴い, 還元糖量が増加したが, この傾向は1%次いで0.68%クエン酸溶液添加において, とくに顕著であった.これに対し, クエン酸にクエン酸カリウムを添加した試料の還元糖量は, 対照として用いた水とほぼ等しく低い値であった.2) 生成還元糖量のごくわずかな増減がゲル形成能に影響するため, ゲル濾過法を用いて, 寒天のゲル形成能と分子量との関係について検討を行った結果, ゲル形成能の喪失は寒天の高分子レベルでの加水分解によるわずかな分子変化によることが明らかとなった.3) クエン酸による寒天の加水分解は, 加熱時間および濃度の上昇に伴い, しだいに低分子物質への分解が促進されるが, クエン酸カリウムの添加はこれを抑制した.
著者
後藤 泰子 柴田 ときは
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.428-431, 1970-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
1

Samples of thirteen kinds of amino acid solution (1/100 mol) were heated for 120 min. at the pressure of 1kg/cm2, making analysis of amino acids by Beckmann/Spinco Amino Acid Analyzer 120-B every 10 min. to provide their heat decomposition graph.The work has yielded the following results.Glutamic acid has the highest heat decomposition rate of 68% in 120 min. The second highest decomposition rate, 8%, is obtained with tryptophan. Other amino acids, however, have the rates of under 3%.The experimental formulae which approximate the heat decomposition curves of respective amino acids wera pursued and differences in the modes of decomposition were discussed. The periods of half decay of both glutamic acid and tryptophan were obtained.
著者
内島 幸江 栗原 泰子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.95-100, 1977-04-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
15

電子レンジ加熱食品の貯蔵によるでんぷんの老化を検討する目的で米およびさつまいもを加熱後, 6℃ あるいは -20℃ に保存 (解凍は 30℃ ± 2℃) し, α 化度, X 線回折の測定, 官能テストなどを行い, 他の加熱方法と比較した.1) 電子レンジ加熱食品は加熱後水分が蒸散しやすく放置することにより硬くなった.2) 米飯, 団子, さつまいものいずれも貯蔵によってα化度は減少し, 冷蔵に比べ冷凍貯蔵は減少率が小さかった.また電子レンジ加熱の場合は, いずれの食品も従来の加熱方法に比較して α 化度が貯蔵により低下した.3) X 線回折法では, 米飯は冷蔵 4 日では電子レンジ加熱の場合が電気釜加熱よりも回折強度が強かったが, 14 日冷蔵では両者に差がなかった.また冷凍飯の場合はいずれの加熱方法でも結晶構造の復元はみられなかった.さつまいもでは, 冷凍 1 ヵ月で電子レンジ加熱の場合に結晶構造が認められた.4) 官能テストの結果, 総合評価では電子レンジ加熱の解凍飯は, 未保存飯, 24 時間室温放置の冷飯, 電気釜加熱の解凍飯の中でもっとも劣っていた.さつまいもでは天火加熱の評価がいちじるしく高いが, 解凍いもは加熱方法による差がなかった.
著者
江角 由希子 小原 郁夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.597-604, 2001-07-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
21
被引用文献数
5

女子短大生の四基本味に対する味覚感受性の視覚刺激による影響について検討した.甘味, 塩味, 酸味および苦味を連想する食品についてアンケート調査し, 各味質について選び出された食品のうち上位3品を視覚刺激のための食品とした.そして, 視覚刺激のない状態および味質を連想する食品を直視する視覚刺激のある状態で濾紙ディスク法による味覚検査を行い, 以下の結果を得た.(1) 基本味を連想する食品について, 甘味は連想されやすく, 塩味は連想されにくかった.また, 苦味を連想する食品の種類が多く, 個人差が大きかった.(2) 酸味に対する感受性は, 視覚刺激により鈍化した.特に, 舌縁部において鈍かった.(3) 甘味食品による視覚刺激は, 甘味感受性以外の味覚感受性を鈍くする傾向を示した.(4) 塩味食品による視覚刺激は, 味覚感受性に対する影響がみられなかった.(5) 酸味食品による視覚刺激が, 味覚感受性に対して最も大きな影響を及ぼし, 甘味感受性を鋭敏化し, 酸味感受性を鈍化させた, (6) 苦味食品による視覚刺激は, 甘味および塩味に対する感受性を鋭敏にさせる傾向を示した.(7) 舌中央部の味覚感受性は, これまでにもいわれているように, 鈍いことが確認できた.また, 視覚刺激よりさらに鈍化する傾向であった.一方, 舌尖部は, 視覚刺激により鋭敏になる傾向が強かった.これらの結果から, 味覚感受性と視覚刺激の問に関連性のあることが明らかになった.
著者
玉木 雅子 鵜飼 光子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.69-76, 2003-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
15

タマネギを充分に褐変するまで炒めたときの性状の変化を調べた.(1) タマネギを長時間炒めると水分の蒸発とともに, 色, 味, 香りが変化した.できあがり量が40%から20%へと減少する過程で色調が急激に変化し, 刺激臭も消失, 甘く香ばしい香りへと変化した.炒めることにより甘味だけではなく酸味や苦味も生じた.(2) タマネギの色が褐色に変化するまで炒めると, グルコース, フルクトースおよび遊離糖総量が減少した.(3) 炒め時間の異なるタマネギからスープを調製すると, 材料となる炒めタマネギとは味や香りの感じ方が異なり, フレーバーの優れるスープを調製するためには炒めタマネギよりも長時間の炒め操作が必要であった.(4) 炒めタマネギやオニオンスープの糖含有量と, 官能評価による甘味の強さとは対応しなかった.
著者
本田 雪子 神田 和子 木下 陸肥路
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.455-460, 1978-10-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4

A new method to decide an measure of an okumisagari is described. According to the method the okumisaki agrees with the point which is designated on the body in dressing by a wearer. The maemihaba is defined as a distance from a wakisen (a side line) to an eritsukesen (a line on that a collar is sewn in the front).The relation between the maemihaba and the okumisaki has been discussed. The results obtained are as follows : 1) An expression of the maemihaba is given as a function of a distance from a shoulder line.2) A change of the maemihaba has been clarified when the okumisaki was moved while the measure of the okumisaki was fixed.3) It is more effective in order to change the maemihaba that the okumisaki is moved crosswise than lengthwise.
著者
貝沼 やす子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.194-201, 1977-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

1) 味覚テストでは, 強火加熱による飯が, 弱火加熱による飯より好まれた.また, 弱火加熱による飯の食味は加熱時間の延長により改善され得る.2) 強火加熱の場合が, 弱火加熱より沸騰直後の数分間はわずかに高い温度を示し, このことが炊き上がった飯の食味および性状に与える影響を無視することはできない.3) 強火加熱の方が, 弱火加熱の場合より飯粒中に含まれるいわゆる遊離水が少なく, 赤外線水分計による脱水速度は小さくなり, デンプンの糊化に関与する水分が多いことを示した.一方, 物理的測定では強火加熱による飯はかたいと判定されたが, 嗜好的には好ましいかたさであり, 飯の物理的性状が味覚に及ぼす影響は大きい.4) グルコアミラーゼにより消化されて溶出する糖は, わずかに強火加熱試料に多く測定された.火力の強弱が米デンプンの糊化の程度に多少関係していると思われる.5) 炊き上がった飯の表面は, 強火加熱試料に蒸気が通りぬけた穴が多くみられ, 沸騰状態のはげしさを物語る様相を呈している.
著者
森島 美佳 荻須 麻希 宮本 教雄
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.146, 2005 (Released:2005-12-08)

本研究では、マスクの性能と装着感との改善策を提案することを長期的な目的とする。市販されているマスクは、実験的には多量の粉塵、花粉、ウィルスを吸着することができる。しかしながら、実際の装着時におけるその効果は明確ではない。その理由として、マスクと顔との隙間から粉塵、花粉、ウィルスを吸い込んでしまうという点が挙げられる。また、本研究の一環として行ったマスクに関するWeb上でのアンケートでは、現在市販されているマスクに対して、70%の回答者が満足しておらず、その理由として、息苦しい(20%)、蒸れる(16%)、サイズ不一致(10%)、フィット感(6%)、ずれ感(6%)等の装着感の悪さが、防護効果に影響を及ぼすことが予測される。本報告では、装着感に関する問題点とその要因を把握するために、市販マスクに対する息苦しさに着目し、市販マスクのデザインの観点から検討していく。実験では、様々なデザインを有する市販マスクを採用し、官能検査と一般性能を計測した。試験試料は、ガーゼマスク、ガーゼ立体型マスク、不織布マスク、不織布立体型マスク、不織布紐マスクの計5種類である。官能検査では、(1)息苦しさとそれに関連すると予測される(2)吸い難さ、(3)吐き難さおよびアンケート結果から抽出した(4)蒸れ感、(5)ずれ感、(6)フィット感、(7)重量感、(8)圧迫感の計8項目について5段階評価で行った。被験者は18_から_20歳の女性20名である。また、一般性能については、通気性計測、厚さ計測、質量計測、形態観測を行った。本発表では、官能検査で得られた息苦しさとそれに関連する装着感およびマスクの一般性能について、そのデザインの観点から報告する。
著者
三吉 満智子 中本 節子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.1213-1223, 1990-12-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
13

A basic pattern making of upper trunk (short-measurement drafting system) was conceived using only human body measurements. We presumed that a closely and simply covered garment was a nearly developable surface similar to polyhedron, and applied the principles of surface development method, with the consideration of the characteristics of fabrics and the simplicity in clothing pattern making. Body measurements, drafting and wearing tests were done. Waist line was assumed as horizontal. Body surface lengths which use for drafting of development were measured with a measuring tape. Plan views for development were made by the horizontal cross-sections of different parts of upper trunk being drafted by 3-dimensional measuring apparatus. Basic pattern contour was drafted using width of pattern determined by the plan views and tape-measured values. Waist darts, from plan views, were entered in basic pattern. The test was conducted on the right half of body, using nine plasters models and one “body.” Results were found mostly appropriate, but some shortage was noted in outside cloth due to sewing allowance. In conclusion, extra 0.1-0.2 cm was added to 4 items of shoulder part. The reported system will effectively serve not only for individual pattern makings, and for the determination of data notation of upper trunk models, but also for the correction of proportionally-drafted basic patterns and scrutiny of drafting systems.