著者
石寺 永記 荒井 祐之 土屋 雅彦 宮内 裕子 高橋 信一 栗田 正一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.873-880, 1993-04-25
被引用文献数
16

我々人間の視覚系は,点パターンのように離散的な対象でも仮想線を知覚でき,色や明るさの段差がなくてもそこに明りょうな主観的輪郭を知覚することがある.これは補間問題と考えることができる.そこで,本論文では生理学的データに基礎をおく階層的視覚情報処理モデルを提案し,仮想線と主観的輪郭の知覚といった補間問題に応用する.主観的輪郭を形成するためには,実際の輪郭,主観的輪郭の通る点,そしてその輪郭の伸びていく方向を決定することが重要であり,本モデルではこれらの処理を並列処理で実現する.このモデルは2種類のSimpleセル(S typeとL type)の出力から,大域的処理により輪郭の検出と点パターンの補間を行うComplexセルと,主観的輪郭が通ると考えられるエッジの端点や曲率の高い点を検出するHypercomplexセルをモデル化する.この処理はすべて並列処理で行われる.またこれらの情報が伝達されるときに重み付けをすることによって主観的輪郭の伸びる方向を決定する.こうした階層的な処理によって得られた情報を統合することによって実際のエッジと主観的輪郭が同様に検出されるようなモデルを構成した.
著者
小野 健吉
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.49-54, 1986-03-31
被引用文献数
1

明冶中期〜昭和初期にかけて京都を中心に多岐にわたる分野で活躍した日本画家・神坂雪佳は、庭園にも関心を示し、設計にかかわった大橋氏松ヶ崎別邸(無盡庵)庭園では雪佳らしい特色も出した庭園意匠を見せている。この時期、雪佳のほかに竹内栖鳳、橋本関雪らの画家も庭園に関心を持ち、自邸の庭園を作っている。そしてこれらの画家の庭園への関心が、この時期の京都の庭園の水準を引き上げる要因の一つであった。
著者
小泉 敬寛 亀田 能成 中村 裕一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.117, pp.1-6, 2005-06-10
被引用文献数
1

本研究では, 頭部装着カメラにより人物の視点から撮影された映像に付加情報を加えた個人行動記録から, ユーザが必要とする記録断片を効率的に検索するための手法として, 構造化類似検索(Relevance Feedback with Structuring Filters)を提案する.構造化類似検索では従来から画像検索のために用いられてきた, 適合性フィードバック(Relevance Feedback)による類似検索に加えて構造化フィルタ(Structuring Filter)を用いる.これにより, 単純に画像的にまたは数値的に類似していないデータをも検索することが可能になる.本論文では, 本研究で扱う個人行動記録と記録データの意味的な構造について簡単な定義を行った後, 構造化類似検索について説明し, 実際に行動記録断片の検索が容易になることを実例をあげて示す.
雑誌
SRC news = SRC news
巻号頁・発行日
vol.33, pp.8-9, 1996-06
著者
池 道彦 山下 光雄 清 和成 藤田 正憲
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

ハイテク産業での利用を中心に消費量が年々増加しているレアメタルによる環境汚染と資源としての枯渇防止を目的として、レアメタル還元・蓄積作用を有する特殊微生物の検索、それらを利用したレアメタル除去・回収バイオプロセスの構築を試みた。初年度は、セレン酸を元素態セレンに還元できるBacillus sp.SF-1株を利用したセレン含有廃水処理リアクターを構築し、1〜2mMの高濃度でセレン酸を含有する廃水を1日程度で元素態セレンまで還元できること、簡易な凝集沈殿処理や限外ろ過によって完全な処理・回収できることを示した。2年目には、SF-1株がヒ酸還元能を有することに着目し、ヒ素汚染土壌浄化のバイオレメディエーションプロセス構築の可能性を検討した。SF-1株は、ヒ酸塩還元に多様な炭素源を利用できる上、厳密な嫌気条件を必要とせず、有用な特性を持つことを明らかにした。また、ヒ酸塩、セレン酸塩、硝酸塩それぞれによって独立に誘導される別個の還元酵素を有する可能性が示唆され、セレン酸塩や硝酸塩が共存しても、ヒ酸塩還元が阻害されないことを明らかにした。さらに、同株が多様な固相中のヒ酸塩を還元できることを実証した。最終年度には、ラボスケールの回分式スラリーリアクター実験を行い、高濃度の菌体植種が不要であること、ヒ素溶出量が攪拌速度の影響をほとんど受けないことを明らかにした。これより、スラリーリアクターより低コストでの処理ができる連続式土壌充填カラムリアクターによってモデルヒ素汚染土壌浄化試験を行った。流入培養液の水理学的滞留時間1日の運転で、リン酸塩溶液による土壌洗浄と組み合わせることで300mg-As/kg-soil程度の汚染土壌を土壌含有量基準以下まで浄化できた。これら一連の研究により、微生物還元・蓄積作用を利用したヒ素汚染浄化・回収技術構築の可能性を示すことができた。
著者
鈴木 征男 崎原 盛造 秋坂 真史 柏木 繁男 芳賀 博 兪 今 當銘 貴世美 林 聡子
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.525-532, 2000-10-01
被引用文献数
2

長寿県である沖縄の高齢者の心理的特性を把握するために, 性格5因子モデル(FFM:Five Factor Model)に基づく形容詞評定尺度を作成し, 全国の65歳以上の高齢者609名と沖縄の高齢者を比較検討した.その結果, 沖縄県高齢者の心理的特性として, OpennessとExtraversionで対照群より低く, Agreeablenessで高い結果が得られた.Agreeablenessが高いことは, 沖縄の高齢者が地域社会と強い結びつきを表していることと一致している.また, Conscientiousnessに関しては沖縄の得点は対照群よりも低かったが, これはおうようで, のんびりしているといわれている沖縄人の性格と一致している.なお, NeuroticismおよびOpennessに関しては, 両群に有意な差はみられなかった.
著者
浅野 美礼
出版者
滋賀医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

難解と感じる一般ユーザのパソコンの使用感は,アプリケーションの使用方法や機器操作自体の難解さよりも,ファイルシステムなどのコンピュータ特有の空間の概念を表現しているインターフェースに対する違和感が相当すると考察し,ユーザが老人あるいは高齢者である場合に適用してその改善の余地を検討した。現実とファイルシステムとの空間の概念の相違を違和感なく吸収するのに貢献するツールは,機器と人間との相互の情報のやり取りを実現する対話型のインターフェースである。現在のインターフェースは,情報の入力側と出力側に分類すると,入力側としてキーボード・マウス・トラックボールや比較的最近のものとしてタッチスクリーン・音声入力といったデバイスがあり,出力側としてGUI・CUI・音・光・震動といった発信器などが既に普及しているものとしては存在する。アプリケーションの設計において,主として上肢の機能が低下した身体障害者・視力・聴力の低下した知覚障害者を使用するユーザとして想定したが,現在の主流であるGUIまたはCUIでは,低下したある能力に対処して搭載した機能は他の障害に対して対処できない。これは複数の機能の低下した高齢者においては,機能面でユーザのニーズを満足させる見込みがほとんどないという結果になった。一方で,高齢者にとっては可能な限り単純化された,操作に迷うことのないインターフェースが求められた。ここにも,複数の機能を搭載しより複数なインターフェースを備えるアプリケーションでは,高齢者にとって円滑に操作できる見込みが低下するという矛盾を抱えた。
著者
稲垣 幸司 大島 康成 鈴木 秀人 藤城 治義 柳楽 たまき 吉成 伸夫 橋本 雅範 瀧川 融 小澤 晃 野口 俊英
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.220-225, 1996-06-28
被引用文献数
13 4

骨粗鬆症と歯周病の関係を把握する一助として,閉経後女性骨粗鬆症患者の口腔内所見,特に歯周病所見を調査した。対象は,骨粗鬆症のために通院中の女性患者35名(以下O群,腰椎骨密度測定者18名,橈骨骨密度測定者17名,63.0±1.5歳,以下平均±標準誤差)である。また,愛知学院大学歯学部附属病院歯周病科でランダムに選択した平成7年来院の骨粗鬆症を有さない60歳代歯周病女性患者20名(以下P群,63.6±0.6歳)の口腔内所見と比較した。骨密度は,二重エネルギーX線吸収法により測定した。O群の身体所見は正常であったが,骨密度は,平均で若年期標準値の60.5±1.3%に低下していた。しかし,両群の骨密度と歯周病所見との間に有意な相関は認められなかった。現在歯数と処置歯率の平均は,それぞれO群23.0±1.3歳,60.0±4.1%,P群22.6±1.5歯,53.2±6.2%で,ほぼ同一であった。一方,歯周病罹患歯率(4mm以上のPDをもつ歯の割合)とプロービング時の歯肉出血率(BOP率)は,それぞれO群46.2±6.3%,37.5±4.2%,P群39.6±6.3%,24.6±4.4%で,O群がやや悪化傾向を示した。従って,高度な骨粗鬆症患者では,歯周病が進行していることが示唆されたが,今後さらに対象症例を増やして詳細に検討する必要がある。
出版者
工業試験所
巻号頁・発行日
vol.第三回, 1912
出版者
工業試験所
巻号頁・発行日
vol.第四回, 1912
著者
野中 亮
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.161-175, 2003-01-31

本稿の目的は、エミール・デュルケームの社会学を、方法論を中心に再検討することである。 『社会分業論』『社会学的方法の基準』において呈示された方法論は、素朴な実証主義に基づいたものであり、『自殺論』やそれに続く『宗教生活の原初形態』において大きく改変されていった。その課程で、方法論としての象徴主義は理論へと変化していったのである。 『宗教生活の原初形態』で展開された方法論は、象徴論と儀礼論とを包含するものであった。本稿では、この方法論を、信念体系にかかわる象徴論と、行為にかかわる儀礼論とを接合したものととらえ、 『社会分業論』から『宗教生活の原初形態』にいたるデュルケームの理論体系の一貫性・整合性を強調した。 この作業によって、これまで懸案とされてきた集合的沸騰論をよりクリアなものにすることができ、これまで汲み尽くされてはいなかったデュルケーム理論の含意をより明確にすることができたのである。