著者
尾家 重治 河合 伸也
出版者
一般社団法人日本医療機器学会
雑誌
医療機器学 (ISSN:18824978)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.14-18, 2022 (Released:2022-04-05)
参考文献数
16

The fabric structures of re-usable (cotton, polyurethane, polyester 95% with polyurethane 5%, polyester 95% with spandex 5%) face masks compared to disposable non-woven masks were observed under scanning electron microscopy. We found re-usable face masks in general have homogeneous pore sizes of approximately 0.1 - 0.5 mm. In comparison, non-woven masks have two fiber layers separated by one densely non-woven labyrinthine layer with disordered three dimensional microfibers. We found most (7 out of 8) non-woven masks shared this similar dense second layer composition. Our observation for masks under the electron microscopy provides structural evidence underlying infection-preventing superiority of non-woven over re-usable (cotton, polyurethane, polyester 95% with polyurethane 5%, polyester 95% with spandex 5%) face masks. Furthermore, we found that non-woven masks do not always have the disordered dense middle layer, which suggests that some products of non-woven masks may not provide equal protection for infection.
著者
岩本 通弥
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.141, pp.265-321, 2008-03-31

本稿は日本近代の産育儀礼の通史的展開として、その一大転機と位置付けられるであろう民力涵養運動期における「国民儀礼」の創出について、民俗学的観点から分析する。第一次大戦の戦後経営ともいえる民力涵養運動は、日露戦後の地方改良運動の延長と見做されたためか、近代史でも地方改良運動や後続の郷土教育運動・翼賛文化運動に比べ、研究蓄積はさほど厚くないが、民俗学的にみると、その史料には矯正すべき弊習として従前の暮らしぶりも描写されるなど、実に興味深い記述が多い。この運動は形式上、内務省の示した「五大要綱」に応じた、各県・各郡・各町村の自己変革であるため、その対応は地方毎であるが、列島周縁部では、例えば岩手県では敬神崇祖の強調で伊勢大麻を奉祭する「神棚」設置が推進され、鹿児島県では大島郡に対し、「神社ナキ地方ハ我カ皇国ノ不基ヲ定メ賜ヒタル…先賢偉人ノ神霊ヲ奉祀スヘキ神社ヲ建立スルコト」と命じるなど、一九四〇年代の神祇院体制への土台として地域的平準化が図られており、従前の竈神や納戸神・便所神などへの素朴で個別的な民間信仰は、天照の下に統合され、家内安全も豊作・安産祈願も「天照のお蔭」と思わせるような換骨奪胎過程が見てとれる。そのほか各地の記事を通覧すると、門松や注連縄、初詣や七五三、神前結婚式の普及を推奨したり、礼服規定で喪服を黒に統一するなど、今日日本で「伝統」と見做される「国民儀礼」の多くは、この期の運動によって成立するが、それまで地方毎に多様だった民俗文化を平準化し、「文化的ならし」を図る一方、自治奉告祭や出征兵士の送迎、三大節など、地域共同体に何かしらの出来事があれば、「氏神」に参集させ、新たな形式の「集団参拝」を強要するなど、私的で人的であった習俗を、公的で外部からも見える可視的な社会的儀礼へと変換させた。それは地域内階層差や初生児優遇の儀礼を平等化する一方、忠君愛国へ向けた儀礼の全国的画一化の端緒ともなった。
著者
小宮山 功一朗
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.13-23, 2019 (Released:2019-07-22)
参考文献数
20

サイバーセキュリティガバナンスが重要な政治課題となる中、CSIRT(コンピュータ・セキュリティ・インシデント・レスポンス・チーム)への関心が高まっている。先行研究で繰り返された「CSIRT=サイバー空間の消防署」などの定義は変容の激しい世界において有効性を失いつつある。より普遍的なCSIRTの概念が必要である。本研究はサイバーセキュリティガバナンスの数々のレジームを目的と機能と文化という3つのレンズを通して眺めれば、CSIRTは被害者救済とシステムの復旧を目的にかかげ、機能としてインシデント対応能力を持ち、互恵主義の文化を信条とする組織群のことであると主張する。特に互恵主義の文化は他のレジームとの重要な違いであり、それが根付いた背景には、インターネットの特質がインシデント対応のための国際協力と、科学的知識の共有を要請したことがあったことを指摘する。

107 0 0 0 古今和歌集

出版者
[冷泉為尹写]
巻号頁・発行日
0000
著者
三四郎 著
出版者
日本書院
巻号頁・発行日
1920

106 0 0 0 OA 超函数の理論

著者
佐藤 幹夫
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-27, 1958-12-15 (Released:2008-12-25)
参考文献数
4
被引用文献数
3
著者
長谷川 剛 小林 研介 村上 修一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.228-231, 2020-04-05 (Released:2020-09-14)
参考文献数
7

令和元年度科学研究費助成事業(科研費,基盤研究等)審査結果報告
著者
横山 浩之 小林 淳子 富澤 弥生
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

コロナウィルス感染症による影響で、全国的に不登校などの問題が増えることがとりざたされているが、研究協力市町村での様相は大分異なっていた。① すでにさまざまな施策がとられてきたA市・B町では、3歳半健診における就寝時刻が遅れる傾向があった(統計学的有意差なし)のみで、メディア曝露時間は増加しなかった。また、小中学校の不登校も増加しなかった。② 施策を取り始めたばかりのC市・D市・E市・F町・G町では、3歳半健診における就寝時刻が有意に悪化した。2時間を超えるメディア曝露している3歳児が有意に増加しており、C市では、妊産婦と母親に対して、本研究で作成した啓発パンフレットを母子手帳配布時、妊産婦健診、出産時、乳児健診等で繰り返し配布し、1歳半健診における要フォローアップ率で評価する研究を開始した。これらの市町村では、小中学校の不登校率も悪化の一途をたどっていた。③ 教育委員会が本事業に参加するD市では、先進地域のA市・B町を視察していただき、D市の事業展開にあたり、どのような観点が切れ目のない支援にとって大切かを検討し、令和4年度からの事業展開に活かすこととなった。 この視察で明確になったのは、市町村差よりも県域の差による制度面の異なりが大きいことで、D市では令和4年度に文部科学省の特別支援教育調査官経験者による研修会を本研究の協賛で行うことになった。④ 昨々年度に作成した簡易版ペアレントトレーニング手法のパンフレットをA市・H町において1歳6か月健診において配布し、3歳半健診において、手法の有効性を検討する試みを開始した。
著者
川島 眞 石崎 千明
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.3, pp.275-284, 2007

医療用保湿剤の有効性を客観的に評価するために,健康成人に作製した人工的乾燥皮膚及びアトピー性皮膚炎患者の乾燥皮膚に対する保湿剤の効果を,皮膚生理学的パラメーター(角層水分量,経表皮水分喪失量)を指標として比較検討した.人工的乾燥皮膚に対するヘパリン類似物質含有製剤(ヒルドイド<sup>®</sup>ソフト),20%尿素含有製剤(尿素製剤)及びワセリンの保湿効果を,無作為割付によるランダム化比較試験で評価した.乾燥皮膚は,前腕内側部を対象部位として,アセトン/エーテル及び水で処置し作製した.試験薬は,1日1回計3日間塗布し,経日的に角層水分量及び経表皮水分喪失量を測定し,皮膚乾燥度を視診及びマイクロスコープで観察した.その結果,ヘパリン類似物質含有製剤及び尿素製剤は,角層水分量を有意に増加させた.ヘパリン類似物質含有製剤は角層水分量において,ワセリンに比べ有意に高い効果を示し,尿素製剤に比べ乾燥状態をより早く回復させることが示唆された.また,ヘパリン類似物質含有製剤,尿素製剤及びワセリンは,経表皮水分喪失量及び皮膚乾燥度を有意に改善した.次に,アトピー性皮膚炎患者を対象としてその乾燥皮膚に対するヘパリン類似物質含有製剤の保湿効果を検討した.前腕内側部を対象部位として,ヘパリン類似物質含有製剤を1日2回計3週間塗布した.1週間毎に角層水分量及び経表皮水分喪失量を測定し,また皮膚所見を視診で観察し,痒みの程度を問診した.その結果,ヘパリン類似物質含有製剤は,角層水分量及び皮膚所見を有意に改善したが,経表皮水分喪失量及び痒みは改善しなかった.以上より,皮膚生理学的機能異常の改善を目的に使用されているヘパリン類似物質含有製剤,尿素製剤及びワセリンの乾燥皮膚に対する有効性が示され,またヘパリン類似物質含有製剤はアトピー性皮膚炎患者の乾燥皮膚に対しても有効であることが示された.