著者
福永 篤志 大平 貴之 加藤 元一郎 鹿島 晴雄 河瀬 斌
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.242-250, 2005 (Released:2007-03-01)
参考文献数
18
被引用文献数
3

後出し負けじゃんけんの「負けよう」とする認知的葛藤の脳基盤はいまだ明確ではない。今回われわれは, 右利き健常人9名に対し, 後出しじゃんけん (負けまたはあいこ) 負荷時に3テスラfMRIを撮像し, 安静時と比べて有意に検出されたBOLDシグナルの分布について検討した。結果は, 負け・あいこじゃんけんともに, 前頭葉, 後頭側頭野, 感覚運動野, 小脳半球, 補足運動野 (SMA) 等に有意なBOLDシグナルが検出された (corrected p<0.05)。また, 左手負けじゃんけんでは左SMAが, 左手あいこじゃんけんでは右SMAがそれぞれ強く賦活され, 右手負けじゃんけんでも左SMAの反応が強かった。以上の結果から, 左SMAがステレオタイプな動作を抑制する機能や葛藤条件の監視に関与していることが示唆された。
著者
鷲野 巧弥 志田 大 谷澤 徹 那須 啓一 宮本 幸雄 井上 暁
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.2621-2625, 2012 (Released:2013-04-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

大腸癌発癌の一因として,日本住血吸虫感染症が指摘されている.今回,癌部に日本住血吸虫卵を認めた同時性多発大腸癌の1例を経験したので報告する.症例は79歳男性,18歳まで日本住血吸虫の流行地であった山梨県甲府盆地に居住していた.健診での便潜血の精査で進行S状結腸癌および早期下行結腸癌と診断した.内視鏡的切除を行った下行結腸M癌の病理組織において,茎部・粘膜筋板直下に日本住血吸虫卵を認めた.同時に切除した大腸腺腫4カ所には虫卵はなかった.S状結腸癌に対しては,腹腔鏡下S状結腸切除術を行った.病理所見は,中分化管状腺癌,type2,45×35mm,SS,N1(1/13)であり,H0,P0,M0,fStage IIIaであった.S状結腸癌病巣の一部および周囲粘膜筋板直下にも日本住血吸虫卵を認めた.虫卵の存在と発癌の関与が示唆された.
著者
井上 隆史
出版者
鼎書房
雑誌
三島由紀夫研究
巻号頁・発行日
no.6, pp.40-62, 2008-07
著者
武隈 良一
出版者
小樽商科大学
雑誌
小樽商大人文研究 (ISSN:0482458X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-19, 1962-07-05
著者
金谷 弦 多留 聖典 柚原 剛 海上 智央 三浦 収 中井 静子 伊藤 萌 鈴木 孝男
出版者
日本ベントス学会
雑誌
日本ベントス学会誌 (ISSN:1345112X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.84-101, 2019-03-31 (Released:2019-05-22)
参考文献数
45
被引用文献数
3 2

To assess macrozoobenthic diversity and habitat conditions following the 2011 tsunamis, we conducted a series of field surveys in the Samegawa and Momiya River estuaries (Fukushima and Ibaraki Prefectures, respectively). We compared measured parameters with existing published datasets for 10 sites along the northeastern Honshu coast. Faunal diversity was higher at the Samegawa site (140 taxa in total, of which 31 were endangered and 51 were endemic; the faunal list included stenohaline marine taxa), likely because of the high habitat diversity at this location and seawater discharge from the thermal power plant. Cluster analysis differentiated distinct faunal community groupings associated with two habitat types: (i) marine-dominated sites, including the Samegawa Lagoon, Mangoku-ura, and Matsushima Bay and (ii) sites with riverine influence, including the mouths of the Samegawa and Momiya Rivers and brackish lagoons along Sendai Bay. The population size of the dominant mud snail Batillaria attramentaria in the Samegawa Lagoon declined steeply after the tsunamis but gradually recovered within five years. Microsatellite DNA analysis showed that the genetic diversity of this population did not significantly change following the tsunamis. After 2016, ongoing restoration work caused drastic habitat degradation at the Samegawa site, resulting in mass mortalities of polyhaline and stenohaline marine taxa and overall reductions in faunal diversity.

1 0 0 0 刀剣史料

著者
南人社
出版者
南人社
巻号頁・発行日
no.2, 1959-02
著者
安岡彰
出版者
野村総合研究所
雑誌
知的資産創造
巻号頁・発行日
vol.13, no.8, 2005-08
著者
林 倫子 神邊 和貴子 出村 嘉史 川崎 雅史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.246-254, 2010 (Released:2010-05-20)
参考文献数
23

本研究は,明治・大正期に鴨川の河川空間が官有地となり京都府の管理下にあった時期を取り上げ,官有地利用に関する行政文書など当時の史料の読み取りを通じて,料理屋・貸座敷営業者による先斗町の鴨川河岸地と堤外地の土地利用の仕組みを解明した.その結果,[1]当時の先斗町の鴨川官有地は,営業者にとって付加価値の高い場所として認識されていたこと,[2]先斗町の営業者は,河岸地を宅地として隣接する民有地と一体的に利用しており,その地先に当たる堤外には高床構造や床几構造を設け,それぞれ別の契約によって官有地を借用していたこと,[3]営業に用いる河川構造物は営業者が私費を持って設置・修繕を行っており,京都府は一定の節度を持ってその可否決定をなすことで鴨川の河川環境を管理していたことが明らかになった.
著者
後藤 恒允
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.159-165, 1990-10-31 (Released:2018-05-08)

この研究の目的は,作文指導論構築の基礎として,言語表現の本質と機能を考察することにある。このため,本稿では,コミュニケーションにおける言語諸機能に注目し,それらを有機的に構造的に関連させて論じた。殊に,ソシュールの言語学をも援用しつつ,言語表現が単なる伝達のためのものではなく,現実を二次的な価値体系として秩序化するものであることについて力説した。しかも,ソシュール言語学で論じきれなかった,表現主体と表現対象との関係について,現象学を援用して考察した。また,言語表現において創造的想像力が一層重視されねばならないことを提唱した。以上を一つの試みとして提案することにしたい。
著者
高岡 素子 京藤 智子 Motoko TAKAOKA Satoko KYODO
雑誌
女性学評論 = Women's Studies Forum
巻号頁・発行日
no.35, pp.21-37, 2021-03-20

月経前に現れる心身の不調は月経前症候群(premenstrual syndrome:以下PMS)と呼ばれている。PMS の特徴は月経前の黄体期後期に感情的症状や身体的症状の変化が出現し、月経開始とともにそれらの症状が減退、消失することである。PMS が重度の場合、生活の質を著しく低下させ、本人だけではなく彼女らの家族や仕事などの生活環境にも影響を及ぼすため社会的にも大きな問題であると考えられている。PMS の原因は過剰なエストロゲン、黄体ホルモンの欠乏またはエストロゲンと黄体ホルモンの比率の変化の関与が示唆されているが、PMSと性ホルモン濃度との関係については未だ解明されていない。よって本研究では、健常な女子大学生を対象にアンケートによりPMS 症状の程度を測定し、対象者の唾液から性ホルモンおよびストレス誘導ホルモンを解析し、PMS の程度と各種ホルモンとの関係について調べた。その結果、PMS 症状の強群は弱群と比較し、性周期を通して性ホルモンが高い値で推移し、とりわけ排卵期のテストステロンは強群で有意に高い値を示した。またストレス誘導ホルモンについては排卵期および黄体期で高い傾向を示した。これらのホルモンの動態が PMS 症状を重症化させる要因であると考えられた。
著者
寺尾 健太郎 川勝 真喜
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2022-MUS-134, no.40, pp.1-4, 2022-06-10

高周波音が豊富に含まれる音源がヒトにポジティブな影響を与えるハイパーソニック・エフェクトの発現する機構を調べるために,耳元以外に到達する高周波音の音圧レベルを変化させた場合の生理的影響を脳波 (α波) の測定から検討した.また,可聴音を知覚できない状態で音源を呈示した際の生理的影響を脳波 (α波) の増加の有無によって検討した.その結果,耳元の音圧レベルは変えずに耳元以外の音圧レベルを変化させることでα波パワーに違いが有意に見られた.また,ノイズキャンセリングイヤホンと音のマスキング効果を用いて,音を知覚できない状態で実験を行ったところ,α波パワーの増加が見られた.