著者
伊藤 汎
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.524-525, 1978

糖蜜甘味香の主要成分の一つであるバニリンの精糖工程中における生成の有無を検討した。試料としては同一精糖工場の同一期間の原料糖,ファインリカー,洗糖蜜,廃糖蜜を継続して10日間採取して,原料糖からの流れのタイムラグを防止した。<BR>その結果,原料糖から移行したバニリンは清浄脱色工程で全て除かれ,清浄脱色工程を通らない洗糖蜜に含まれて回収晶析工程を経て糖蜜中に残ったものだけが廃糖蜜中に蓄積されることがわかり,精糖工程中でのバニリンの生成はないことが明かとなった。
著者
内田 奈津子 久野 靖 中山 泰一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.1393-1414, 2021-07-15

現代社会において,プログラミングは義務教育の1つとなり,誰もが学ぶべきものとなったが,高等教育においては,プログラミングの内容を含む必須カリキュラムの実施には至っていない.新しいカリキュラムでは,言語を学びコードが書けるようになることを目的とするのではなく,プログラミングの概念を学び,その原理を理解することに加え,プログラムを活用するために,ソフトウェア開発プロジェクトの知識を含める必要があると考えた.著者らは,1科目のみで構成する,誰もが学ぶべき入門レベルのカリキュラムと位置づけ,プログラミング入門にPBL(Project-based Learning)を組み合わせた方法を提案し,この提案に基づき2単位90分15回のカリキュラムを構築した.本論文では,プログラミング入門にPBLを組み合わせたカリキュラムを設計・構築し,実践授業から得られたデータ(コンピテンシー評価,履修者の課題や最終レポートなどの提出物)をもとにカリキュラムの妥当性を検証した.
著者
島田 博匡
出版者
三重県林業研究所
巻号頁・発行日
no.2, pp.43-49, 2010 (Released:2011-07-20)

三重県林業研究所実習林のヒノキ人工林と広葉樹二次林において、自動撮影カメラを用いて中大型哺乳類相を調査した。調査期間は2006年8月から2007年11月までの約15ヶ月間で、総カメラ稼働日数は695日であった。その結果、ニホンリス、ニホンノウサギ、タヌキ、イタチ属の1種、ホンドテン、ニホンアナグマ、イエネコ、ニホンジカ、イノシシの9種が確認された。近年の目撃情報があるニホンザル、アカギツネは撮影されなかった。
著者
佐野 幹剛
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.9, 2009

【はじめに】<BR> 平成19年4月より学校教育法等が改正され,小・中学校においても特別支援教育を推進することが法律上明確に規定された.療育支援センターにて月1回の頻度で就学後の問題を抱える児童の相談業務に携わる中,子どもだけでなく家族に対する支援,関連機関との連携を通して,作業療法サービスの介入の可能性を模索した.なお,報告するにあたり当センターの承諾を得た.<BR>【目的】<BR> 特別支援教育に関連した相談の実態と作業療法士の役割を明らかにすることである.<BR>【方法】<BR> 調査対象は,平成19年5月から平成21年4月までに当センターで演者が介入した来談者である.調査方法は,記録ノートを参考に来談者の概要,相談・支援の内容,相談・支援の分類について整理した.<BR>【結果】<BR> 特別支援教育に関連した相談の総件数は111件で,児童と家族の相談が78%,学校教師の相談が17%,家族のみの相談が4.5%であった.来談した児童と家族は16組で,診断あり児童2名,来談後ついた児童9名であった.来談時小1が28.6%,小5が31.2%で多かった.来談時に特別支援を受けていた児童2名,来談後受けるようになった児童3名,担任による対応ありの児童は7名であった.相談・支援の分類で,学習支援28%,SST21.6%,学習・心理相談18.9%,発達心理検査15.3%,カウンセリング8%,学校訪問指導7.2%,ペアレントトレーニング3.6%であった.相談・支援の内容で,児童に対しては主に読み書き計算(学習支援),場面認知や相手の気持ちを理解する練習(SST),家族や教師に対しては主に児童の特徴・支援の経過・今後の課題・進路等の説明(学習・心理相談),児童との関わり方の指導(学校訪問,ペアレントトレーニング)であった.<BR>【考察】<BR> 教育相談に携わる作業療法士として,平成19年度以降小・中学校との連携が密になり、学校長を始め担任教師の協力関係が得られやすくなった.特に,学校訪問や担任教師の来談件数が増えてきた.また,来談時に診断のない児童が多く,先の見通しが立たない不安な心境で就学を迎えた家族や中学への進学を控えている家族の現状が明らかになった.従って,作業療法士は児童を取り巻く教育現場で生じている現象の評価と児童の発達心理学的側面の評価とを実施するとともに特別支援の必要性を判断すること,児童の発達特性に応じた支援と家族・教師のニーズに応じた相談のスキルを修得することが必要と考える.さらに,地域でのセンター機能として,家族との調整(コーディネータの役割)はもとより,学校や教育委員会・行政,理学療法士,言語聴覚士,臨床心理士など他職種との協同による包括的な支援が重要であり,作業療法士が独断専行してはならない.
著者
山本 春樹
出版者
天理大学学術研究委員会
雑誌
天理大学学報 (ISSN:03874311)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.99-113, 2014-02

日本近現代史は戦争の歴史ともいえるが,この戦争の歴史にどう向き合うべきかという問題をめぐって,いまだに決着のつかない議論が続いている。本稿は,戦争の歴史に向きあうためにはどのような点に留意しなければならないのかという問題を考えようとするものである。加藤陽子氏の著作を素材として取り上げるが,加藤氏の論述の眼目は戦争を正当化した論理を明らかにすることである。そこでまず,加藤氏が抽出するそれぞれの戦争を正当化した論理を整理して理解する。次に,その正当化の論理を加藤氏がどのように評価しているのかを明らかにする。最後にその加藤氏の評価について考えるという順で論述を進めたい。
著者
小山田 圭吾 市川 尚 富澤 浩樹 阿部 昭博
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.647-648, 2017-03-16

本学部は,専門教育として1年次からプログラミングの学習を行っているが,その受講に際して,入学前から不安を抱えている学生が存在する.また,早期合格者に対して,eラーニングによる入学前教育が実施されているが,情報の課題を提示しながらも,そこにプログラミングの内容を含めておらず,高校から大学への円滑な入学のための橋渡しとして十分に機能しているとは言い難い状況であった.そこで本研究では,入学前教育にプログラミングを導入することを検討するための予備的な調査として,入学前教育において対象者に行ったアンケートや,Scratchなどを利用したプログラミング学習の試行の内容について述べる.
著者
小山田 圭吾 市川 尚 富澤 浩樹 阿部 昭博
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.545-546, 2019-02-28

本学部では早期合格者に対してeラーニングによる入学前教育を実施しており,プログラミングの課題も含まれている.筆者らは,オンライン上で相互チェックを行わせるプログラミング学習環境を開発し,学習者の支援を行った.従来のシステムは,学習者が提出した課題の質向上にある程度寄与していたが,学習者同士ではチェック漏れが見られ,チューターのチェックも機能していなかった.そこで,本研究ではチューターが学習者に効果的なチュータリングを行う支援をするための予備的な調査として,学習者のプログラミングのプロセスを記録し,それをチューターに提示しながらチェックしてもらった.その結果を述べる.
著者
山内 美幸 小山田 圭吾 長谷 由紀子
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.376, 2018

はじめに重症心身障害児(者)は様々な原因より骨折しやすい状態にある。A病棟の患者の骨密度は非常に低く、骨折のリスクがあるにもかかわらず、個々の患者の特徴を捉えた明確な安全対策が取られていない。そこで、A病棟看護師にアンケート調査と骨折のリスクのある患者1名の更衣援助場面をビデオ撮影し、安全な看護ケアの検証を行った。研究目的骨折のリスクがある患者への更衣援助での問題点を明らかにし、安全な更衣援助を検証する。研究方法A病棟での経験年数を元に寝衣着脱方法や関節保持について、アンケート調査を行い実際の介助をビデオ撮影し寝衣着脱時の関節保持の実際を理学療法士とともに検証する。倫理的配慮当院の倫理審査委員会の承認を得た。結果アンケートでは経験年数を問わず看護師全員が関節を2点保持し介助していると答えた。その後無作為に看護師のケア場面をビデオ検証した結果、病棟経験年数が4年未満の看護師を含むペアでの更衣援助では、関節を2点保持することができていなかった。病棟経験年数が4年以上の看護師同志のペアでは互い協力し、アンケートどおり関節を2点保持し更衣援助を行っていた。考察経験年数が4年未満の看護師は寝衣着脱時に関節保持を意識しようとする知識はあるが、実際には2人で関節保持することの重要性や骨折に対する危険予測する行動がとることができないと考える。また、経験年数が4年以上の看護師同士は、患者の骨折を防ぐための行動を取ることができていたと考える。実際の更衣援助場面で、病棟経験年数の長い看護師が意識して病棟経験年数の浅い看護師に直接指導を行うことが安全な更衣援助につながるといえる。結論1.病棟経験年数が浅い看護師は更衣援助を行うことに意識が向き、安全な更衣援助ができていない。2.病棟経験年数が長い看護師は安全な更衣援助を行うためにお互い協力をしている。
著者
井村 喜代子
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.749(95)-770(116), 1980-10

論説
著者
前田 伸人
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
人文科学 (ISSN:09117210)
巻号頁・発行日
no.26, pp.73-94, 2011

はじめに1. 問題の所在2. 研究史3. 本稿の構成第一章1. スペインの分割構想2. スペイン継承戦争とユトレヒト体制3. オランダの障壁条約4. オランダの外交政策の揺らぎ第二章1. 皇后ファルネーゼの専制2. 寵臣アルベローニの時代3. イタリア侵攻の失敗第三章1. フェリペの退位と復位2. 寵臣リペルダー3. ウィーン条約締結4. リペルダーの顛末第四章1. パティーニョとイタリア回復2. トスカーナ問題おわりに
著者
小山田 圭吾 市川 尚 富澤 浩樹 阿部 昭博
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.617-618, 2018-03-13

本学部は,専門教育として1年次からプログラミングの学習を行っているが,その受講に際して,入学前から不安を抱えている学生が存在する.また,早期合格者に対して,eラーニングによる入学前教育が実施されているが,情報の課題を提示しながらも,そこにプログラミングの内容を含めておらず,高校から大学への円滑な入学のための橋渡しとして十分に機能しているとは言い難い状況であった.そこで,本研究では入学前教育でグループ学習を実施していることを活用し,プログラミング経験者と初学者同士のグループレビューを取り入れたプログラミング学習環境を構築した.その試行結果と入学前教育対象者に行ったアンケート結果について述べる.
著者
梁川 英俊
出版者
鹿児島大学
雑誌
南太平洋海域調査研究報告=Occasional papers (ISSN:13450441)
巻号頁・発行日
no.51, pp.1-5,

黒島は作家・有吉佐和子の小説『私は忘れない』の舞台である。この小説は発表の翌年に映画化され、黒島の名を日本中に知らしめた。島にはそれを記念する文学碑がある。小説の末尾には、島の人々がテレビによって変わっていく様子が描かれているが、実際に島にテレビを寄贈したのは他ならぬ有吉であった。この小説が黒島に与えた影響を把握するために、関係者への聞き取り調査が必要である。