著者
平野 浩
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.60-72, 2011 (Released:2017-06-12)
参考文献数
25

本稿は,2009年衆院選の前後に実施された2波の全国パネル調査データに基づき, この選挙時におけるメディアへの接触が有権者に対してどのような影響を及ぼしたのかを明らかにし,それを通じてメディアと選挙との今日的関係について考察することを目的とする。分析の結果,(1)政治的知識への効果に関しては,特定のテレビ番組や対人ネットワークが知識の3次元のすべてにプラスに働くのに対し,新聞やインターネットの効果は限定的である,(2)メディア接触は内閣への業績評価・期待,政党リーダーへの感情に対しては一定の影響を及ぼしているが,経済状況認識や争点態度に対する影響は僅かである,(3)投票方向に対するメディア接触の影響は,一部のテレビ番組視聴を除いてほとんど見られない,などの点が明らかとなった。これを受けて,メディアの影響力に関する有権者の実感と上記の知見との架橋について考察する。
著者
浅野 則子
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.60, pp.1-7, 2019-02

大伴家持と妻大嬢は大伴家として望まれた婚姻であり、幸せな関係を維持したとされている。しかしながらそれを証明するのは歌のみである。二人の関係が安定したものとなる時期以前の「二人の空白期」とされる時期に家持は「亡妾」への挽歌を作っているが、この挽歌により万葉集において大嬢との幸せな関係が強調されている。
著者
石原 孟 山口 敦 藤野 陽三
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.731, pp.195-211, 2003-04-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
34
被引用文献数
2

本研究では複雑地形における局所風況を数値的に予測するために必要な計算領域の大きさを明らかにするとともに, 新しい境界処理手法と数値解法を提案し, 大型風洞実験によりその妥当性を検証した. まず計算領域の大きさに関して, 計算領域の高さ, 幅, 上流境界の位置が流れ場に与える影響を明らかにした. また境界処理方法として, 地形の体積が一定となるような緩衝領域を境界付近に設置するとともに, 対象領域と同じ程度の大きさの付加領域を上流に設置する手法を提案した. さらに大規模線形連立方程式の数値解法について詳細な比較検討を行い, 高速かつ安定な数値解法を提案した. 最後に実地形模型を用いた大型風洞実験を行い, 本研究で開発した数値予測手法が従来の手法より複雑地形上の局所風況を精度よく予測できることを実証した.
著者
小池 博明 半澤 幹一
出版者
長野工業高等専門学校
雑誌
長野工業高等専門学校紀要 = Memoirs of Nagano National College of Technology (ISSN:18829155)
巻号頁・発行日
no.53, pp.1-10, 2019-06-30

This paper is an investigation and interpretation (釈論) of 'Oe no Chisato-shu' (大江千里集) which is an anthology of Waka (和歌=ancient Japanese poems) by Oe himself.In this anthology, as usually called Kudai-waka (句題和歌), each Waka is given one phrase poetic title from Kanshi (漢詩=ancient Chinese poem) selected by Oe. The authors of this paper think that the mutual relations between expressions in both Waka and Kanshi have various patterns. So,the central purpose of our investigation is to concretely explicate the actual condition of all these patterns. And first,this paper treats of Waka No.11~No.13 of 'Oe no Chisato-shu'.
著者
古屋 徳彦
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

本研究はNeurodegeneration with brain iron accumulation (NBIA)原因遺伝子群の機能解析をオートファジーとの連関に注目して行った。siRNAを用いたNBIA原因遺伝子群のノックダウン(KD)を試みたところ、FTL、 PANK2、COASYのKDによりオートファジーへの影響が認められた。CRISPR/Cas9を用いて作成したFTL ノックアウト(KO)細胞を解析したところ、フェリチノファジーの低下、ミトコンドリア機能の低下、酸化ストレスに対する耐性の低下が認められた。これらの表現型がNBIA病態発症メカニズムと関連していると考えられる。
著者
徳本 真紀 李 辰竜 藤原 泰之 佐藤 雅彦
出版者
日本毒性学会
巻号頁・発行日
pp.P-50, 2017 (Released:2018-03-29)

【目的】カドミウム (Cd) は、鉄の体内動態に影響を及ぼすことが報告されているが、その機構はほとんど検討されていない。そこで本研究では、Cdを慢性曝露したマウスにおける肝臓中鉄濃度および十二指腸中の鉄輸送関連遺伝子の発現変動を検討した。【方法】5週齢の雌性C57BL/6Jマウスに300 ppmのCdを含有した餌を21ヶ月間自由摂取させた。経時的に血清、肝臓および十二指腸を採取し、各種解析に用いた。十二指腸は胃の直下2 cmとした。【結果および考察】Cd曝露によりGOT・GPT活性およびBUN値が有意に高値を示したため、肝毒性並びに腎毒性が出現していることが示された。Cd曝露群の肝臓中Cd濃度は300 µg/g以上となり、投与期間に依存して増加したが、肝臓中の鉄濃度は対照群の50%以下となり顕著な低値を示した。次に、十二指腸における鉄輸送関連遺伝子の発現レベルを測定した。非ヘム鉄 (Fe3+) は十二指腸刷子縁膜上でDuodenal cytochrome b (Dcytb) により二価に還元され、Divalent metal transporter 1 (DMT1) により小腸上皮細胞内に取り込まれる。CdはDMT1 mRNAレベルに影響を及ぼさなかったが、Dcytb mRNAレベルを曝露期間を通じて有意に減少させた。また、葉酸輸送体であるHeme carrier protein 1 (HCP1) はヘム鉄 (Fe2+) の輸送にも関与することが知られているが、HCP1 mRNAレベルはCdの曝露期間を通じて有意に低下した。以上の結果から、Cdは十二指腸における鉄吸収機構に影響を及ぼしてヘム鉄・非ヘム鉄の吸収をともに阻害し、生体内鉄蓄積量を減少させることが示唆された。
著者
鶴身 暁子 田中 昌博 川添 蕘彬
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.72-80, 2007-03-25 (Released:2017-05-25)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本研究では身体活動時における顎口腔機能の役割を明らかにするために,動的な咬合接触および咬合接触圧分布と筋電図の同時計測を行い,健常有歯顎者のベンチプレス動作時の咬合接触と筋活動について検討した. 被検者は健常有歯顎者5名を選択した.被検者利き手側の側頭筋前部,咬筋,顎二腹筋前腹を対象筋とした. 咬合接触および咬合接触圧分布と筋電図の同時計測には,当講座で開発した同時計測システムを用い,咬合接触および咬合接触圧分布の測定には咬合接触圧用特注センサシートを用いた. 被検者に最大随意咬みしめおよび最大随意開口を指示し,3回の試行の咬合接触圧の最大値および筋電図包絡線の最大値を平均し,その値を個人の100%の値とした. 被検動作はベンチプレス動作とし,光による単刺激の合図に,可能な限りすばやくバーベルを挙上するよう指示した.被検者の最大挙上重量を100%とし,各重量時の側頭筋前部,咬筋および顎二腹筋の筋電図包絡線最大値に対する比率を計測したところ,ベンチプレス動作と顎口腔機能の関連において以下の結論を得た. 1.すべての被検者で約95%重量時において,咬筋筋電位の発現が20%を超えた. 2.約50%以下の重量時においては,全被検者で側頭筋前部および咬筋筋電位の発現が10%未満であった. 3.顎二腹筋の筋活動量は最大随意開口時とほぼ同程度であった. 4.すべての被検者の全試行において,最大咬みしめに至るような咬合接触値は認められなかった. 5.身体活動時において,挙上重量が個体の限界に近いほど,咀嚼筋が協力的に作用し,咬合接触の有無にかかわらず,下顎の固定に関与していることが示唆された.
著者
倉八 順子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.227-239, 1994-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
79

This article is broadly concerned with the individual differences among language learners. In terms of particular content areas of Individual Differences (ID) research, it surveys developments in foreign language aptitude, motivation and affective factors, and interaction of learners' aptitudes and teaching methods which is called Aptitude Treatment Interaction (ATI). A brief review of theory of second language acquisition is presented, followed by discussions of research on aptitude. Motivation research is reviewed partly with regard to Gardner's research, followed by other researches including those in Japan. Finally, the review of ATI research are presented to emphasize attempts to investigate adaptive education to individual differences. The article concludes with a section on future issues in ID research in Japan.
著者
大島 京子 末松 弘行 堀江 はるみ 吉内 一浩 志村 翠 野村 忍 和田 迪子 俵 里英子 中尾 睦宏 久保木 富房
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.315-324, 1996
参考文献数
16
被引用文献数
4

TEG第2版の臨床的応用の第一歩として, TEG第2版を用いて健常者群と患者群とを比較検討した。一定の判定基準からTEGプロフィールのパターンを判定し, それぞれの群のパターンの出現率をX2検定を用いて比較した。また, 2群のプロフィールの相違を数量的に把握するために, 多変量解析(変数選択法・正準判別分析)を行った。その結果, TEGパターンの出現率に差があり, 患者群に不適応的なパターンが多いこと, さらに5尺度のうちFCが最も2群の判別への関わりが大きいことなど, 2群の違いが有意に示された。以上により, TEG第2版が臨床上十分有用であることが確認された。
著者
華園 聰麿
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.915-946,ii, 2005-03-30 (Released:2017-07-14)

日本における宗教研究の百年の歩みを、比較宗教学および宗教現象学の分野に限って見る場合、欧米の研究に触発されて、その基本的な概念や方法を吸収し、応用してきたというのが、大筋の展開である。研究の内容では、学説や概念並びに方法などに関する理論的研究や批評が目立ち、比較研究においては、研究の環境あるいは条件の特殊性にも制約されて、分類論や類型論を目指すものよりも、宗教現象に着目した比較研究に特色が認められる。このことは宗教現象学の分野においても同様で、豊富な宗教史の資料をもとに宗教の普遍的理解を追究するよりも、個別の宗教現象の意味や構造を解明する研究に独自のものが見られた。
著者
今井 健男 酒井 政裕 萩谷 昌己
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.2_207-2_226, 2013-04-25 (Released:2013-08-25)

本稿では,プログラムの事前条件推定を行う新たな手法を提案する.本手法では,プログラムのテキストから生成した述語の集合とプログラムに相当する論理式,および事後条件の否定の連言を作り,そのMinimal Unsatisfiable Core(MUC)から事前条件を求める.MUCは一般的に複数存在するが,本手法ではまずMUCを列挙し,その中から事前条件として適格で,かつ最も弱い条件を選択する.こうして得られる事前条件は理想的な最弱条件ではないが,与えられた述語群の組み合わせの中で最も弱いという点で,我々はこれを「準最弱」な事前条件と呼ぶ.我々は,C言語向け有界検査ツールCForgeを援用し,上記手法を実現するツールSMUCEを試作した.その上で,教科書的なアルゴリズムを実装するC言語関数9個に,2種類の事後条件と共に適用し,人手で求めた事前条件との比較による評価を行った.結果,延べ18個中10個において,人手で求めた事前条件と同等か,より弱い条件が推定され,提案手法が原理上,実用的な事前条件を推定できることが確認できた.