著者
河原 英紀
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2018-SLP-125, no.18, pp.1-5, 2018-12-03

新しいスペクトル包絡計算法,新しい瞬時周波数および群遅延計算法,周波数領域 velvet noise による新しい混合音源に基づいて,20 年前に構想された音声分析変換合成法 STRAIGHT を再構築する.本報告では,背景とそれらの構成要素を紹介し,検討課題と今後の進め方について議論する.
著者
寺澤 捷年 竹田 眞 八木 明男 地野 充時
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.165-167, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
2

漢方医学においては腹部の診察は証の決定に必須である。筆者らは腹診によって診断した腹部大動脈瘤の二症例を経験した。腹部動悸という症候に動脈瘤を伴うことは非常に稀なことではあるが,全ての臨床家はこのことに注意を払う必要がある。
著者
吉田 政弘 長内 健佑
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.49, 2011

特定外来生物に指定されているアルゼンチンアリは、1993年広島県廿日市市内で日本で初めて確認されてから、18年経過している。その間に山口県、兵庫県、岐阜県、神奈川県、東京都、愛知県、静岡県、大阪府、京都府の9都府県にと全国的に分布拡大する様相を呈してきています。ここ2、3年の間に近畿地方、特に兵庫県下では、従来(1993年)から確認されている埋め立て人工島のポートアイランドでの全島域にまたがる広がりはいうまでもなく、2009年には隣接する麻耶埠頭、さらには2010年10月には共同発表者の長内氏による、湾岸に面する神戸市中央区海岸通りのビル街での発見、確認に基づき、ポートアイランドをはさむ、麻耶埠頭よりハーバーランド(直線距離にして約5Km)に及ぶ、神戸港湾岸一帯を目視(捕獲)法により調査した。その結果、国道2号線沿いの山側にあるビル街、人工島のメリケン波止場およびポートアイランドに隣接する人工埋め立ての一部の突堤で確認された。これらの調査結果について報告する。
著者
阿南 栄一朗 織部 和宏
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.15-21, 2018 (Released:2018-07-04)
参考文献数
18

気道感染後,CO2ナルコーシスを呈したため治療に難渋した症例に大建中湯や人参養栄湯,附子末の加味を行うことで改善した1症例を経験した。症例は,88歳女性。肺結核後遺症,慢性閉塞性肺疾患があり,チオトロピウム,ブデソニド吸入,ツロブテロール貼付を行っていたが,発熱後,呼吸困難が持続し,当院へ救急搬送された。CO2ナルコーシスになっていたため人工呼吸管理を勧めるものの高齢を理由に拒否され,呼吸困難や軽度の意識低下が遷延した。そこで,大建中湯,人参養栄湯,附子末を段階的に加味したところ,呼吸困難,便秘,食欲不振,意識低下の改善,動脈血中CO2濃度の低下,Ph の正常化をみた。慢性呼吸不全が悪化し,CO2ナルコーシスを生じた場合,人工呼吸管理を行うことは第一選択である。しかし,本症例のように,医療処置を拒否され治療継続困難となる場合,呼吸不全の改善に漢方を投与することで症状緩和につながる場合がある。
著者
内田 照久
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2019-SLP-127, no.32, pp.1-6, 2019-06-15

声道長の縮小や拡大を模して,スペクトル包絡の周波数軸を伸長圧縮した声質変換音声では,基本周波数 (fo) の高低関係と声の高さの印象評価が逆転することがある.このピッチ感の錯覚が起こる条件の精査をするため,標準抑揚,平坦抑揚,逆相抑揚,疑似歌声,疑似ささやき声による評価実験を行った.
著者
大浦 圭一郎 中村 和寛 橋本 佳 南角 吉彦 徳田 恵一
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2019-SLP-127, no.34, pp.1-6, 2019-06-15

本稿では,ニューラルネットワークに基づく音声ボコーダにおいて,周期信号と非周期信号を入力とする音声生成の枠組みを提案する.近年,ニューラルネットワークを用いて音声波形を直接モデル化する手法として WaveNet [1] が提案された.WaveNet は音声波形を高精度にモデル化することができ,自然な音声を直接生成することができるため,特に音声ボコーダ [2] として様々な研究で利用されている [3],[4],[5].しかし,過去の音声サンプル列から次の音声サンプルを生成する自己回帰構造を持ち,合成時に並列演算ができないことから,実時間で合成できない問題があった.また,WaveNet を学習する際のデータベースに無い音高の再現ができない問題や,補助特徴量として指定したピッチ情報の音高を再現しないことがある問題があった.これらの問題に対し,本稿では明示的に周期信号と非周期信号の列を入力として用い,対応する音声サンプルの列を一度に生成する手法を提案する.提案手法を用いることで,実時間より高速に音声を生成できること,および,学習データの範囲外のピッチを持つ音声波形を生成できることを確認した.また,自然性に関する主観評価実験を行い,WaveNet と比較して合成音声品質の向上を確認した.
著者
寺島 涼
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2019-SLP-127, no.55, pp.1-7, 2019-06-15

VOCODER 方式の音声分析合成システムは,ピッチ操作やスペクトル変形に対する柔軟性が高く,音声研究では広く用いられている.しかし,予め高度な解析処理を必要とするため,分析から合成までの全てを低遅延でリアルタイムに処理することが難しく,実際の楽曲制作やライブなどで実用的に広く利用されるまでには至っていない.制作現場での実用性を高めるためには,品質や分析精度の追及よりも,比較的高い品質で,かつ,頑健性が高く,容易に扱えるという観点が特に重要になると考えられる.筆者らは,VOCODER 方式の音声分析合成特有の高い柔軟性を保持しつつ,実用的な品質と頑健性を有し,分析から合成までをリアルタイム,かつ,低遅延で処理するというコンセプトを基に,音声分析合成エフェクター CHERRY PIE を開発した.本稿では,リアルタイム音声分析合成を実現するためのアルゴリズムの骨格,及び,考え方について述べる.
著者
齋藤 梓 大竹 裕子
出版者
北海道大学公共政策大学院
雑誌
年報 公共政策学 (ISSN:18819818)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.185-205, 2019

Whether 'sex without consent' should constitute the legal definition of sexual violence instead of the 'assault or intimidation requirement' has been discussed extensively in Japan. Applying qualitative methods, we conducted thematic analysis on oral and written narratives of consensual and non-consensual sex obtained from 30 Japanese women. Findings suggest that non-consensual sex most typically happen through 'entrapment', referring to the process through which the perpetrator exploits an unequal power relation in everyday life and corners the victim into a situation where she cannot resist, escape, or express refusal.
著者
天野 利彦 Toshihiko AMANO
出版者
静岡産業大学国際情報学部
雑誌
静岡産業大学国際情報学部研究紀要
巻号頁・発行日
no.5, pp.79-84, 2003

マルグリット・デュラスの小説『モデラート・カンタービレ』は、記号学的手法で読み解いてみると、その特徴が明確になる。小説の中では、いくつかの場所と事物が主題に対して特権的な役割を演じている。それらはピアノのレッスン場、カフェ、主人公の屋敷、海岸通りであり、また赤い色、木蓮の花などである。モチーフとなっている殺人事件の血の色に導かれて、主人公のアンヌが平穏な日常を抜け出し、破滅を予感させる恋の可能性を試みるありさまが、特異な「トポス」と象徴とを用いて小説世界のうちに描かれている。
著者
岡部 勝 伊川 正人 山田 秀一 中西 友子 馬場 忠
出版者
THE SOCIETY FOR REPRODUCTION AND DEVELOPMENT
雑誌
Journal of Reproduction and Development (ISSN:09168818)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.j19-j25, 1997 (Released:2010-10-20)
被引用文献数
1 2

オワンクラゲ類のもつ蛍光蛋白質は総称してGreen Fluorescent Proteinと呼ばれている.Aequorea victorea(和名:発光オワンクラゲ)のGFPは分子量27 Kdaの蛋白質で,アミノ酸残基65番目のserinと67番目のglycinのペプチド結合部位が脱水縮合を起こした後に酸化されて発色団を形成し蛍光蛋白質となる.この構造変化は酸素以外に特別な因子を必要とせず,蛍光は細胞を観察するだけでよい.外来遺伝子としてGFP遺伝子を導入すると,蛍光をもつ培養細胞,植物,線虫,ハエ,魚,マウスなどが得られる.現在では人工的に作製された,緑,青,黄色など種々の波長の蛍光を出す多くの変異体があり,今後,実験動物の分野で新しいマーカーとして使用される例が増えるものと予想される.本稿では我々の作製したトランジェニックマウスを中心にGFPの応用例を述べる.
著者
熊谷 亮平 稲坂 晃義 濱 定史 渡邊 史郎
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.23-34, 2017

木密地域である神楽坂地域では,既存木造建築の改修・用途変更による商業店舗が増加し,来街者の多い住商混在エリアを形成している。これらのリノベーションは建物や環境を維持しながらエリアの活性化に資する可能性を持っている。本研究では特に近年この傾向が顕著な神楽坂上を対象としてエリア特性や建物属性を把握し,その分布や集積の実態を明らかにした。用途変更を含めた木造建築の活発な更新実態,花街エリアである神楽坂下との地域的差異,改修工事における課題や施工方法・体制の一端を示した。また比較対象として木密地域のリノベーションが活発な大阪の中崎町・空堀地区などの分析を行い,用途や分布の傾向などを考察した。
著者
香西 伸彦 冨高 晶子 曽和 順子 赤松 浩彦 竹内 誠 松永 佳世子 鈴木 加余子 大竹 直樹
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.234-236, 2003-06-01
参考文献数
7
被引用文献数
1

土木作業中に200V電圧の電流で感電し受傷した42歳男性の電撃傷を報告した。両前腕,右手背に電流斑を認め,右側は手背より流入し前腕より流出し,左側はスイッチより流入し前腕より流出したと考えた。局所的な筋組織の損傷程度,範囲の確定には,MRIが有用であった。減張切開術,デブリードマンおよび人工真皮貼付と全層植皮術を二期的に施行した。術後リハビリを施行し,軽度手指関節の拘縮を認めるが運動機能はほぼ改善した。
著者
辻 王成 岡元 勉 野村 一俊 前川 清継
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.634-637, 2014-09-25 (Released:2014-11-11)
参考文献数
7

新規骨粗鬆症治療薬のデノスマブ(プラリア)はRANKリガンドを標的とするヒト型モノクローナル抗体である.海外で椎体および大腿骨近位部骨折発生リスクを有意に減少させており,本邦でも期待がもたれる.主な副作用として低カルシウム(Ca)血症がある.2013年7月~9月の期間,骨粗鬆症患者に対し,デノスマブ60mgを皮下注射し,カルシウム,天然型ビタミンD配合剤を併用し治療開始前と投与後1,2,4週に血液検査を行い,血清Ca値と骨吸収マーカーを測定し,実臨床での副作用と早期の治療効果判定を行った.国内第II,III相試験での低Ca血症の発生頻度はそれぞれ0.6%,0.8%であったが,本研究では1週後に12%,2週後に7%であった.原因として,本研究の対象患者の平均年齢が79.4歳と高く腎機能低下の影響が推測され,超高齢者には活性型ビタミンDの事前投与が望ましいと考える.また,投与2週間でTRACP-5bは62.1%低下しており,BP製剤を超える強力な骨吸収抑制効果を確認した.