著者
伊藤 実樹子 山本 泰雄 菅 靖司 当麻 靖子 鈴木 由紀子 川越 寿織 山田 摩美 重田 光一 黒川 宏伸 酒巻 幸絵 澤口 悠紀 山村 俊昭 中野 和彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.466, 2003

【はじめに】日本スポーツマスターズの第一回大会が2001年9月に行なわれた。本大会は中高年の競技レベルの全国大会である。その予選大会である北海道四十雀サッカー大会そして五十雀および六十雀サッカー大会に、我々は救護班として参加する機会を得ている。今回、中高年サッカー競技における傷害の特徴を知ることを目的に、北海道大会における傷害状況をまとめ、若干の考察を加えたので報告する。【対象と方法】対象は2001年7月及び2002年7月に開催された北海道四十雀(40歳以上)・五十雀(50歳以上)・六十雀(60歳以上)サッカー大会全65試合の参加登録者、延べ1458名である。各試合会場のピッチサイドに医師と理学療法士が控え、試合中に発生した傷害の診断と初期治療を行い、その内容を記録した。記録内容の中から、疾患名・受傷部位・重症度・受傷状況・処置について検討した。【結果】全65試合において、傷害は35件発生した。内訳は四十雀39試合中28件(0.6件/試合)、五十雀18試合中6件(0.3件/試合)、六十雀8試合中1件(0.1件/試合)であった。傷害別では筋腱損傷16件、創傷7件、靭帯損傷5件、打撲4件、骨折1件、脳震盪1件、腰痛1件と筋腱損傷が最も多かった。部位別にみると頭部6件、上肢2件、体幹2件、下肢25件と下肢が最も多く、その内訳は大腿6件、膝3件、下腿13件、足部・足関節3件であった。試合続行不可能な重症例が35件中32件と91%をしめ、4件は救急車で病院搬送を行った。主な疾患を挙げると、肉離れ9件、アキレス腱断裂、腓骨開放骨折、脳震盪、左環指PIP関節脱臼がそれぞれ1件であった。受傷状況は接触が11件、非接触が24件と非接触が7割を占めた。処置ではアイシング、テーピング、ストレッチなど、約半数で理学療法士が関与した。【考察】中高年の競技レベルの大会においては、傷害発生総数は多くはないものの、重症疾患の発生が多いのが特徴的であった。高校サッカー大会の傷害調査(鈴木ら、2001)に比べて、発生総数は1/3であったが、試合続行不可能な重症疾患に限ると約6倍の発生頻度であった。今後もデータを蓄積するとともに、重症疾患の発生予防対策が急務と思われた。一方、本大会では競技時間が四十雀大会で計50分、五十雀、六十雀では計40分と短く、しかも20名の登録選手全員が主審の許可を得て交代することができ、一度ベンチに退いた後も再び試合に出場できるルールがあり、選手の負担が軽減される工夫がもりこまれている。よって、選手がベンチに退いている間に理学療法士がストレッチやテーピングをすることで、傷害発生を予防し、競技の継続を支援することが可能となる。今後、選手達へよりよいサポートを提供できるように経験を積み重ね,検討を加えていきたい。

1 0 0 0 OA 毎日記

出版者
巻号頁・発行日
vol.[156],
著者
堀尾 香代子
出版者
北九州市立大学文学部
雑誌
北九州市立大学文学部紀要 = Journal of the Faculty of Humanities, the University of Kitakyushu (ISSN:13470728)
巻号頁・発行日
no.88, pp.94-82, 2018

上代語における終助詞「や」は、文末において終止形や已然形に下接し、詠嘆的な疑問表現や反語表現を形成するが、『万葉集』にはこのような形式をとらず、非活用語に下接する助詞「や」が若干例観察される。本稿では、このような非活用語に下接する文末助詞「や」の文法的特徴や意味的特性を『万葉集』を資料として考察するものである。
著者
Monica Henshaw Paul A. Oakley Deed E. Harrison
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.1202-1205, 2018 (Released:2018-09-04)
参考文献数
26
被引用文献数
6

[Purpose] To present the case of a total reduction of pseudoscoliosis spinal deformity in an adult female suffering from recurrent back pains. [Participant and Methods] A 29 year old female suffering from recurrent back pains was diagnosed with lateral thoracic translation posture; aka pseudoscoliosis. The patient was initially given 12 treatments of relief care including spinal manipulative therapy, then another 24 treatments receiving the same plus mirror image® translation traction and exercises. [Results] The patient achieved a complete reduction of the lateral thoracic translation posture (pseudoscoliosis) as indicated on a post-treatment radiograph after 36 total treatments. Most orthopedic tests became normalized and the patients back pains were significantly improved after the correction of posture, but only slight improvements after the initial 12 sessions of manipulative therapy only. [Conclusion] Pseudoscoliosis is structurally reducible by use of CBP® mirror image® lateral translation traction methods and exercises and led to the resolution of back pains in this case. The diagnosis of pseudoscoliosis as opposed to true scoliosis is very important and likely underdiagnosed in common practice. Upright radiographic imaging is essential to differentiate these two spinal disorders and offers no harm to the patient. Comprehensive assessment including routine use of x-ray is recommended to differentiate between spinal disorders.
著者
近藤 存志
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.D10, 2004

18世紀のイングランドにおけるピクチュアレスクの流行は、クロード・ロランやサルヴァトール・ローザ等の風景絵画に影響を受けると同時に、ウィリアム・ギルピンの活動に代表されるように、イングランド特有の自然や風景、気候などに対する関心を高める契機となった。ピクチュアレスクの流行はイングランド人によるイングランドの再評価を啓発したが、この点で「イングランド性の美的表現」を必要なこととして主張していたオーガスタス・ウェルビー・ノースモア・ピュージンの芸術意識と共通する側面を有していた。実際のところ、ピュージンは19世紀のイングランドにゴシック・リヴァイヴァルの確立を推し進める一方で、前世紀中に異教的芸術の影響下に萌芽的に出現しながら「純粋にイングランド的な美的趣向」として確立されたピクチュアレスクについて言説を残している。その内容からは、ピュージンが正当なピクチュアレスク建築の在り方をゴシック建築の機能主義的デザイン姿勢の派生的な帰結として位置付けていたことが読み取れる。こうしたピュージンのピクチュアレスク理解は、「機能主義的ピクチュアレスク観」と表現し得るものである。
著者
福田 博美
雑誌
文化学園大学・文化学園大学短期大学部紀要 (ISSN:24325848)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.9-16, 2018-01-31

近世初期、男女共に対丈であった小袖は、男物が対丈のままであったのに対し、女物の丈は長くなった。そのために女物では着丈より長い分を腰のあたりで引き揚げ、腰紐で締めて丁度良い丈に調整する「おはしょり」が形成された。その過程に関して日本服装史では言及されていない。そのため、本稿で画像・文献資料より辿ることを目的とした。また、和服裁縫書から用語の初出にも着目した。その結果、江戸時代、室内で裾が引摺られた小袖は、外出の際、たくし上げたり、褄を取って着装された。しかし、片手が塞がる不便さから、「抱帯」「しごき帯」と称された細紐で前身頃をはしょった。明治時代、着付けの段階で「腰帯」と「下締」が締められ、「おはしょり」と称される着装法が完成した。その姿は「腹の辺にカンガルーといふ獣の如く、無益の袋を作るは真に抱腹なり」と揶揄され、大きな袋状の「おはしょり姿」は不評であったが、昭和時代に入り、体形に合わせた着付けが進み、「おはしょり」はその利便性に加えて着装美が求められた中で定着化した。また、和服裁縫書では1957 年に「お端折」の用語が明らかとなったが、1900 年刊「流行」の「ハシヨル」の言葉が初出と捉える。

1 0 0 0 OA 宮本無三四

著者
豊国
出版者
大平
雑誌
俳優似顔東錦絵
巻号頁・発行日
1858
著者
大野 晋
出版者
国語学会
雑誌
国語学 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
no.72, pp.26-31, 1968-03
著者
中井 達郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.200, 2009

沖縄のサンゴ礁では、古来さまざまな人間活動が行われてきた。それは、サンゴ礁の中でも、外洋に面した礁斜面よりむしろ、陸側に位置するイノウ(礁池)を含む礁原(以下「イノウ」と記す)を中心的な活動の場としてきた。「イノウ」は干潮時に干出する部分も多くあり、その際は、徒歩で活動できる場が広がる。サンゴ礁地形がこのような浅場を用意し、人々が容易に集落からアプローチすることを可能とした。アプローチが容易な「イノウ」では、伝統的に、集落の女性、子供を含む一般の人々が活動の主体となってきた。例えば「浜下り」は、女性が主体の祭事的活動である。また、日常的に行われてきたマイナー・サブシスタンス的漁労活動では男性だけでなく女性が大きな役割を果たしてきた。このような漁労活動を通じて「イノウ」を「海の畑」と呼び、陸上の延長として捉えてきた。そこにはサンゴ礁に対する個々人の価値付けが見て取れる。社会的にも集落内の構成要素のひとつとする位置づけもなされてきた。<br> このような伝統的な活動は、特定のプロ集団ではなく、一般の人々が主体となる生活の一部としての祭事活動であり、生業活動である。その中で、これらの活動には、地域の人々にとっての「あそび」的要素、レクリエーション的要素も含まれていたと思われる。例えば、「浜下り」は、春の大潮時の採集活動も含んだ楽しみな年中行事として現代まで引き継がれている。この要素は時代が下るにしたがって増大してきているようにみえる。また同時に変質も感じる。かつては「あそび」的要素は祭事的要素や生業的要素と一体となって、「イノウ」という場の価値付けがなされ、その結果、一定の利用ルールが共有されていた。集落の前面の「イノウ」はそこにすむ集落の人々に限定されていた。しかし、時代が下るにつれて、「イノウ」の価値付けとその利用ルールが変化してきているように思われる。<br> 現代の沖縄社会で、海での「あそび」の中心はビーチ・パーティーのようである。おそらくアメリカ文化がもたらしたものであろう。そこには上記のような伝統的な「あそび」の流れをどこまで引き継いでいるのだろうか。少なくとも、バーベキューの主役は肉であり、「イノウ」とは無縁である。ダイビングも盛んとなり、沖縄の観光にとって大きな役割を果たすようになった。その中心はスキューバ・ダイビングである。スキューバ・ダイビングは、ある程度以上の水深がなければその醍醐味を味わうことは困難である。「イノウ」とは無縁である。また、地域住民が日常的に楽しむ方法とはなっていないようである。一方で、沖縄在住の人々個人のブログやホームページをみると、沖縄の醍醐味として、豊かな海の自然、特に魚介類の採集の楽しさが語られている文章を散見する。しかし、資源の枯渇は著しい。埋立によって集落前面の「イノウ」が失われ、残された健全な「イノウ」に人々は集中する。<br>豊かな沖縄のサンゴ礁を維持し、持続可能な利用の基盤には、地域住民によるサンゴ礁への適正な価値付けが必要である。このような議論を進めるにあたって、サンゴ礁における「イノウ」を再認識することの重要性と、「あそび」場という視点からの再整理が必要だと感じる。
著者
田村 文男
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.373-381, 2017 (Released:2017-12-31)
参考文献数
73
被引用文献数
4

ニホンナシに生じる果肉障害としてユズ肌症,みつ症およびコルク状障害をとりあげ,それらの発生事例と研究例について検討を行った.3種類の障害とも園地や栽培年によって大きく発生が変動するが,樹齢や技術によっても影響を受けることが明らかであった.これらの障害は,リグニン化を含む細胞壁の肥厚,細胞壁多糖類の分解,細胞壁のコルク化とそれぞれ異なった組織学的特性を有していたが,いずれも引き金として果実と葉との養水分の競合があるものと思われた.以上の点を元にして,今後のニホンナシの果肉障害研究の方向性について論議した.
著者
仲澤 眞 吉田 政幸
出版者
日本スポーツマネジメント学会
雑誌
スポーツマネジメント研究 (ISSN:18840094)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-38, 2015 (Released:2015-07-11)
参考文献数
52
被引用文献数
6 4

Although the relationship between a sport team and its fans has been long understood as team identification which is a type of self-team connection, limited attention has been devoted to the idea of communal-team connection (also called fan community identification). This study is one of the first attempts to conceptualize fan community identification and examine its antecedents and consequences. Data were collected from spectators attending professional baseball and soccer games in Japan. The results indicated three points of attachment (sport, player, and local city) were significant precursors of fan community identification. The findings also suggested fan community identification positively influenced team identification. Moreover, the impact of fan community identification on future attendance frequency was stronger for those spectators having a short-term relationship with the team than for those spectators having a long-term relationship. Including fan community identification, the results extended previous research that has focused primarily on team identification.