著者
新井 哲夫
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.27-44, 2014-03-20 (Released:2017-06-12)

本稿の目的は,創造美育運動に関するイメージの混乱を整理し,事実に即したより正確な定義を導くことにある。そのために,これまでに流布している創造美育運動に関する代表的な4つの言説を取り上げ,文献資料及び先行研究の成果に基づいて検証することにより,事実関係を明らかにすることを試みた。その結果,「(1)創造美育運動とは,創造主義美術教育を啓蒙,普及しようとする明確な意思に基づいて行われた,戦後の日本における美術教育の改革運動であり,その組織や運動の形態には創造美育協会設立の前と後とで質的に大きな相違がある」こと,及び「(2)創造美育運動の基本理念である創造主義美術教育は,久保貞次郎が欧米と日本の児童画の比較研究から得た知見をもとに,ホーマー・レイン,フランツ・チゼック,北川民次らの思想や実践に学び,構築したわが国固有の児童中心主義の美術教育である」ことを明らかにした。
著者
松藤 ちひろ
雑誌
研究報告コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2018-CG-171, no.15, pp.1-2, 2018-09-23

筆者はS.Kajiらが2012年に発表した論文"Mathematical Analysis on Affine Mapsfor 2D Shape Interpolation"[1]の実装を試みている.この論文では2000年にAlexaらが提案した変形行列を用いたARAPと呼ばれるモーフィング手法に改良を加えた二次元モデルに対する補間手法を提案している.一方三次元モデルに対するモーフィング手法も2016年にS.Kajiによって提案されている("TETRISATION OF TRIANGULAR MESHES AND ITS APPLICATION IN SHAPE BLENDING"[2]).筆者はこの二つの論文を元にMathematicaでの実装を行い変形の実験を行い様々な手法の特徴を考察した.さらに,M.Mullerらによって提案されたShape Matching("Meshless Deformations Based on Shape Matching"[3]) を組み合わせたモーフィングの実装を行い,拡張性のあるモーフィングライブラリとした.

92 0 0 0 OA 政戦余業

著者
尾崎行雄 著
出版者
大阪毎日新聞社[ほか]
巻号頁・発行日
vol.第1輯, 1923
著者
樋口 満 坂本 静男 田口 素子 東田 一彦
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

運動前の糖質摂取によって引き起こされるインスリンショック(運動誘発性低血糖)と呼ばれる現象について、主に朝食摂取の有無による違いに着目し研究を行った。本研究の結果、絶食条件だけではなく、実際のスポーツ現場に近い状態である朝食を摂取した条件においても、運動誘発性低血糖を発症する場合があることが明らかになった。さらに、低血糖の発症のしやすさには個人差が認められ、絶食条件においては、高いインスリン分泌能を有している者が、また朝食摂取条件においては、高い有酸素性能力を有している者が、運動誘発性低血糖を生じやすいことが明らかとなった。
著者
小林 眞代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.506-510, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

シュプリンガー・ネイチャーは,オープンアクセス出版のパイオニアとして,ジャーナルや書籍でのオープンアクセス出版の促進,また研究データ共有を促進する新たな出版サービスの開発を進めているほか,オープンサイエンスの動向を把握するための研究調査を継続的に行っている。2016年には,データ・シェアリングのための共通指針である「標準データポリシー」を作成したほか,2017年にはデータ・シェアリングに関する研究者の意識調査に基づいたホワイトペーパーを公開した。本稿では,これらの活動を行う「オープンリサーチ部門」の最近の取り組みと,日本での活動について紹介する。
著者
三輪 哲 佐藤 香
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.489-494, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

欧米諸国では多くの社会科学データアーカイブが1960年代に設立されたが,日本ではその設立が20年近く遅れた。日本の最初の組織的なデータアーカイブであるSSJデータアーカイブは,現在,2,000を超えるデータを公開・提供しており,社会調査データの散逸を防ぐとともに二次分析の普及を図り,社会科学教育にも貢献している。ただしSSJDAは,現在,いくつかの課題に直面している。寄託され公開するデータをより増加させることや,セルフアーカイブを実現すること,調査時点でのインフォームドコンセントに二次利用まで含めるよう啓発すること,多様化する利用者へと対応すること,などである。
著者
岡本 紗知
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.3-11, 2018 (Released:2018-07-11)
参考文献数
45

Despite its advanced level of scientific research, Japan suffers from a low level of adult scientific literacy compared to many other developed countries. The current situation certainly necessitates a nationwide, robust solution. However, to implement any countermeasures, it is essential to first answer one of the fundamental questions: Does current school education guarantee the acquisition and maintenance of scientific literacy? To provide an answer, the present study examined high school textbooks from both Japan and Canada. Canada was chosen as a counterpart, since Canadian adults reportedly possess outstanding levels of scientific literacy. In this comparative analysis, questions from all of the biology textbooks were examined to reveal the directed level of cognitive processes, key factors considered to play essential roles for becoming scientifically literate. Categorization based on Bloom’s Taxonomy clearly demonstrated that Japanese high school textbooks were not equipped with questions that foster higher cognitive processes, contrary to the Canadian textbooks. Overall, the government-approved textbooks currently used throughout Japan appear to be insufficient for guaranteeing the acquisition and maintenance of scientific literacy.
著者
大谷 周平 坂東 慶太
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.513-519, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)
被引用文献数
5

Sci-Hubとは,6,450万件以上もの学術論文のフルテキスト(全文)を誰もが無料でダウンロードできる論文海賊サイトである。Sci-Hubからダウンロードできる論文には,学術雑誌に掲載された有料論文の約85%が含まれており,Sci-Hubは学術出版社の著作権を侵害する違法サイトである。大学図書館の契約する電子ジャーナル,OAジャーナル,機関リポジトリ,プレプリントサーバーなど法的に問題ない論文サイトが在る中で,世界中から1日に35万件以上の論文がSci-Hubを通じてダウンロードされている。本稿では先ずSci-Hubの概要・仕組み・世界的な動向について述べる。次いで2017年にSci-Hubからダウンロードされた論文のログデータを分析し,国内におけるSci-Hub利用実態の調査結果を報告する。栗山による2016年調査と比較すると,Sci-Hubの利用数やSci-Hubの利用が確認された都市数は増加していた。また,Sci-Hubでダウンロードされているのは有料論文だけではなくOA論文が約20%を占めていること,クッキーの情報から約80%のユーザーは1回のみSci-Hubを利用している状況も明らかになった。
著者
湯川 尚一郎 加門 由理 木川 祐菜 田中 蓮華 横田 桃子 大島 誠之助 古川 敏紀 仲 克己
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.27-31, 2018-04-10 (Released:2018-05-18)
参考文献数
23

ドッグフードへのサルモネラ属菌の混入に注目し、日本国内で販売される犬用ドッグフードを対象に調査を行った。方法は「愛玩動物用飼料等の検査法(27消技第1051号)」に従った。対象製品は27社の犬用ドライフードから選択した国産フード63製品、輸入フード47製品とした。輸入フードの原産国の内訳は米国14製品、オランダ7製品、タイ・カナダ・フランスが6製品、オーストラリア5製品、スウェーデン2製品、チェコ1製品であった。その結果、サルモネラ属菌は、今回調査した、すべての製品で陰性であった。
著者
松岡 賢
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.724-739, 1980-12-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1 2
著者
遠藤 求
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.033-035, 2016 (Released:2016-01-27)
参考文献数
10
著者
菊地 勝弘 神田 健三 山崎 敏晴
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.441-448, 2006-09-25 (Released:2009-08-07)
参考文献数
30

第2次世界大戦末期の昭和18~20年の冬期に,北海道ニセコアンヌプリ山頂の着氷観測所で実験機として使用されたと思われる,「零式艦上戦闘機(通称:ゼロ戦)」の右主翼が1990年8月初旬山頂東側の沢で発見され,その後2004年に回収されて,2005年12月22日から北海道倶知安町の風土館に常設展示されて話題を集めている.それは,60年前のゼロ戦の翼という野次馬的な見方の他に,もはや着氷観測所などといった言葉さえ知らない世代が増えた昨今,そもそも着氷観測所はどんな観測所で,どんな実験をしていて,その結果はどうなったのであろうかという興味とは別に,関連する資料の展示,解説,当時の写真や新聞記事に見られる実験機が,ゼロ戦とは違う「九六式艦上戦闘機(通称:九六式)」のものが多かったからである.どうしてこのようなことになったのか?マスコミ関係や専門家の間で注目されてきたが,幸い「中谷宇吉郎雪の科学館」が所蔵している,当時北海道大学助手で,直接この実験の担当者だった黒岩大助(元北海道大学低温科学研究所長)が撮影していた写真のアルバムから,中谷宇吉郎門下生の一人だった樋口敬二(名古屋大学名誉教授)の考察によって,昭和18~19年の冬が九六式,19~20年の冬がゼロ戦であったという結論が得られた.この報告では,ゼロ戦主翼の発見を契機として着氷観測所ではどのような実験が行われたのか,その実験の主目的であった飛行機の着氷について,使用された実験機の機種とそれに関連するいくつかの疑問について整理したものである.
著者
濱田 桂佑 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.463-467, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
15
被引用文献数
8 5

〔目的〕本研究の目的は,静的ストレッチングがジャンプ能力に及ぼす効果について,生理学面ならびに機能面の2つの側面から検討することである。〔対象〕対象は,健常学生20名であった。〔方法〕静的ストレッチング前後で,生理学面として伸張反射の潜時,機能面として等運動性筋力(60 deg/secと240 deg/sec),ジャンプ能力として垂直跳び,立ち幅跳びを計測した。〔結果〕各項目を静的ストレッチング前後で比較したところ,ストレッチング後に伸張反射発現までの潜時,60 deg/secの筋力,垂直跳び,立ち幅跳びは有意に低下していた。〔結語〕静的ストレッチングを行った後にジャンプ能力が低下した。その原因として,筋紡錘の感受性低下ならびにゴルジ腱器官の関与による,筋緊張の調節にかかわる中枢神経系の筋緊張抑制メカニズムに基づく筋緊張低下に伴う筋力低下に加えて,伸張反射発現までの時間の延長によって筋収縮にタイミングの遅れが生じたことが示唆された。