著者
千々石 知子 納富 恵子
出版者
福岡教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践研究 = Bulletin of Research Center for Teaching Practice (ISSN:13480774)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.247-254, 2012-03

本研究では,第1研究として,ユニバーサルデザイン授業を効率的に行うために,これまでの授業実践を振り返り,授業の準備段階も含めた授業実施手続きを明らかにした。The Center for Applied Special Tchnologyが提案するUniversal Design for Learningのガイドラインに基づいて,第一著者の行った授業を分析し,提示,行動と表出,取り組みの3つの領域全てにおいて工夫していることが分かった。第2研究では,このガイドラインに基づいて実践した算数科学習指導が,特別な教育的支援を必要とする対象児及び学級全体の児童の学業達成,算数科への態度,学習的適応に効果があるかを対照群と比較した。その結果,対象児に学業達成率は学級平均以上の伸びを示した。また,学級全体の児童にとっては,特に算数科への取組意欲と評価判断において有効であることが示された。
著者
堀 雄紀
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.359-371, 2018-03-30

本稿の目的は、言葉によっては説明し尽くされ得ない「暗黙の知」をあえて言語化しようとする営みに、どのような意義を見出すことができるのか、身体技法の伝承場面における観察・分析を通じて明らかにすることである。そのために、M. ポランニーの<暗黙知>に着目し、「私たちの『知』を支える、暗黙裡に進行する過程」という定義に立ち戻った上で、G. ベイトソンのコミュニケーション理論を導入することで、「<暗黙知>によって構築される自己修正的システムの階層構造」という新たな理論枠組みを提示した。それに基づいて見出された「語り」の意義は、いずれも<暗黙知>の制御による学習者支援であった。ひとつは、言語の表示作用によって<暗黙知>が取りこぼした差異(情報)に注意を向け、既存のシステムの再構築を促すことである。もうひとつは、比喩的言語表現によって<暗黙知>を起動し、より高次の包括的統合を実現することである。
著者
川崎 一夫 Kazuo Kawasaki
出版者
創価大学法学会
雑誌
創価法学 (ISSN:03883019)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.193-200, 1976-06-01
著者
越智 啓太
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.97-112, 2020-03-13

本研究では,恋愛の進展・崩壊のプロセスとデートバイオレンス,ハラスメントの関連について明らかにする。まず,恋愛の進展と崩壊について,カップルが現在どのような交際フェイズにいるのかについて査定するある程度の信頼性と妥当性を持つ尺度を構成した。つぎにこの尺度とデートバイオレンス・ハラスメント尺度の相関を算出した。その結果,デートバイオレンス・ハラスメントは恋愛進展フェイズでは,あまり発生せず,崩壊フェイズにおいて発生することが示された。
著者
梁井 宏
出版者
金沢大学大学教育開放センター
雑誌
大学教育開放センター紀要 (ISSN:03897516)
巻号頁・発行日
vol.第20号, pp.33-48, 2000-12-28

㈱福光屋・常務取締役
著者
池内 敏 IKEUCHI Satoshi
出版者
名古屋大学大学院文学研究科附属「アジアの中の日本文化」研究センター
雑誌
JunCture : 超域的日本文化研究 (ISSN:18844766)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.38-49, 2014-03-28

BAISO Kenjyo (梅荘顕常) was a priest of the Shokoku-ji Temple (相国寺) in Kyoto. He is well known as a writer of Chinese poetry in the Edo period. In this paper, I will analyze three events that connect him to Korea at three different times, 1. in 1764, 2. from 1781 to 83, and 3. in 1791. 1. First, during a diplomatic mission to Japan from Korea in 1764, a murder took place in Osaka in which Tsushima samurai killed a member of the mission. For those members of mission that wanted to know in detail the progress of the case, BAISO Kenjyo made a record of the murder case and presented it to them. They read it and gave it high praise. 2. Later, BAISO Kenjyo went to the Itei-an Temple (以酊庵) in Tsushima on rotation duty (輪番制 rinbansei), and there he conducted interviews with Korean castaways. The Chinese poetry he wrote during that time reflects the warmth BAISO Kenjyo felt for these castaways. 3. Finally, from 1764 he was involved in planning of the diplomatic missions to Japan from Korea. When the ministers of the Edo Shogunate consulted BAISO Kenjyo, he explained the history of Japan-Korea relations in terms of the conquest of Korea by Empress Jingu (三韓征伐 sankanseibatsu). It is important to note that conflicted views of Koreans coexist within the one person.
著者
小林 信介
出版者
御茶の水書房
雑誌
地域統合と人的移動: ヨーロッパと東アジアの歴史・現状・展望 (金沢大学重点研究)
巻号頁・発行日
no.野村真理, 弁納才一[編], pp.243-264, 2006-03-15

地域統合と人的移動 : ヨーロッパと東アジアの歴史・現状・展望 (金沢大学重点研究)の一部, 第2部 東アジア 第4章
著者
Hidenori Samoto 佐本 英規
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.471-516, 2021-01-28

2013 年 10 月,ソロモン諸島マライタ島南部アレアレの熱帯雨林に即製のレコーディング・スタジオが出現した。本論文は,アレアレの在来楽器である竹製パンパイプと即製のレコーディング・スタジオをめぐる一連の出来事の検討を通じ,グローバル化時代のアレアレの在来楽器が混淆化する様相を論じる。着目するのは,一方で在来の竹製パンパイプを取り込み同時代の音楽を生み出そうとする人びとの制作と,他方でグローバル化時代の音楽を組み入れつつ在来の竹製パンパイプを作り直そうとする人びとの制作との対称的な関係である。民族誌の最後の局面では,それぞれの制作が即製のレコーディング・スタジオで時空間を共有する状況が示される。そこでは,プロデューサーとエンジニア,演奏者といった人びとが,レコーディングという共通の出来事に臨みつつ,それぞれの意図の実現に向けて各々の制作行為に取り組む様相に焦点があてられる。最終的に,グローバル化時代において異なる者同士が出会い,ひとつの出来事を共有することの困難と可能性の一端が,音楽をめぐる媒介の営為に関する考察を通して示唆される。