著者
金子 朋子 山田 良吉 山下 寿生 小豆 畑茂
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1996, no.6, pp.572-576, 1996

廃プラスチックの油化技術の開発を目的とし,熱硬化性樹脂の熱分解残分の低減化を検討した。熱分解過程における残分化反応がラジカルの再結合による橋かけ,環化であることに着目し,ラジカル受容体の添加による再結合の抑制を試みた。受容体として,実用性を考慮し,またラジカル化および低分子量化しやすいという点から熱可塑性樹脂を用いた。熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂(EP)を 500℃ で 1 時間熱分解したときの残分生成率は 23wt% であった。 EP に熱可塑性樹脂であるポリエチレン(PE)を, PEIEP=4 (重量比)となるように混合し熱分解すると残分生成率は 5wt% に低減した。しかし,すでに残分となった EP に PE を添加し熱分解しても,さらなる残分の分解は認めちれなかった。熱分解ガスの発生挙動を TG-MS 分析で調べた結果 PE と EP の分子間反応の可能性が示唆され, EP から PE ヘラジカルが転移し EP の残分化が掬制される一方で, PE は EP からラジカルを受容することにより分解が促進されガス化が低温化したと考えられた。
著者
坪川 紀夫 土田 秀世 小林 清高
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.280-285, 1993-05-20

多孔質のカーボンブラックであるポーラスブラック表面へのビニルポリマーのグラフト反応について検討した。粒子表面ヘラジカル重合開始基を導入する目的で, 細孔内ヘメタクリル酸メチル (MMA) とt-ブチルペルオキシ-2-メタクリロイルオキシエチルカーボナート (HEPO) とを吸着させた後, 重合を行うことにより, ペンダントにペルオキシ基を持つポリマー (poly (MMA-co-HEPO)) を細孔内へ保持した。このようなpoly (MMA-co-HEPO) を保持したポーラスブラックにより, スチレンやMMAの重合が開始され, 対応するポリマーが粒子表面ヘグラフトし, グラフト率は, 55~60%に達することがわかった。さらに, ポリマーをグラフトしたポーラスブラックは, グラフト鎖の良溶媒中へ長期間にわたり安定に分散することも明らかとなった。
著者
戸田 裕美子
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.89-115, 2006-02

本稿では,初期の広告研究に重要な貢献をしたチェリントン(P. T. Cherington)の所説を当時の時代状況に照らして解釈し,その広告思想の展開基盤を明らかにすると共に,彼の主張が後の広告研究に及ぼした影響を議論する。19世紀末,不当表示や欺瞞的広告が横行する事態に対して消費者運動の中で広告批判が盛り上がりを見せた。これに対して,自主規制として1911年にプリンターズ・インク誌は虚偽広告を禁止する州法のモデル案を発表し,世界広告クラブ連合は1912年のボストン会議で「広告に真実を」というスローガンの下で広告浄化運動を展開した。こうした運動は1914年の連邦取引委員会法の中で欺瞞的広告を禁止する条項が織り込まれるという形で結実した。このような広告浄化運動を背景に,チェリントンは広告思想を発展させた。彼は当時の一般的な広告批判,(1)広告は消費者に偽りを伝え,消費者を騙すものであるから社会悪である,(2)広告は経済的浪費であるという2点に対する応答として議論を展開した。彼は第1の点に関して,真実の広告を守るためにも虚偽広告が社会から排斥されるべきだと考え,そのための規制や立法の制定,倫理規定の策定等,実際の制度設計に尽力した。第2点目については,広告が無駄ではない根拠として,広告費は販売費の削減に寄与すること,また広告費は大規模生産システムによってもたらされた生産費の縮減を源泉としており,それを広告に再投資することによる需要刺激が更なる生産量の増加をもたらし生産効率の向上を実現すること,さらに,広告の教育的側面に着目し,広告によって啓発された消費者はより良い購買者になってきたことなどを主張した。広告批判が高まり広告活動の否定的な部分が強調された時代の中で,広告の肯定的な側面を分析したチェリントンの広告思想は,後の広告研究に重要な貢献をなすものであったことを議論する。
著者
勝川 秀夫 硲 哲崇 中島 清人 江口 公人 中橋 章泰 小林 倫也 杉村 忠敬
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.277-289, 2004-11-20

ヒトをはじめ動物は食物中にしばしば含まれる毒物に対し,それを無害化する手段を進化の過程で獲得してきた.例えば,食物中のタンニンは動物に対しさまざまな有害作用をもたらすが,クマやヘラジカのようにタンニンを含む植物を常食とする動物は唾液の中にその毒性を低下させる高プロリン・タンパク(PRP)を持つようになった.また,ラットやマウスは本来このタンパクを持たないが,タンニンを含む飼料を数日間食べると唾液中にPRPが誘導され生存することができる.一方,このタンパクを誘導できないハムスターはやせ衰え死んでしまう.パパイン(システインプロテアーゼ)やカプサイシン(唐辛子の辛味成分)により誘導されるシスタチンも同じ範疇に属するペプチドと思われるが,PRPに比べ未だ情報量は少ない.本稿では,食物中の毒物・侵害物質の処理に関係すると思われる唾液タンパクについて解説する.
著者
Sohn H.-J. Kim J.-H. Choi K.-S. Nah J.-J. Joo Y.-S. Jean Y.-H. Ahn S.-W. Kim O.-K. Kim D.-Y. Balachandran A.
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.855-858, s・vii, 2002-09-25
被引用文献数
1 101

7歳雄のヘラジカ(Cervus elaphus nelsoni)が体重減少,削痩,過度な流涎,歯軋り,発熱,食欲不振および呼吸困難の症状を3週間呈した後に,安楽殺され,剖検された.このヘラジカは1997年3月9日にカナダから韓国に輸入された.肉眼病変は瀰漫性の線維素性肺炎であった.組織学的には軽度な神経細胞の空胞変性と限局した脳幹部神経核の神経網の海面状変性と広範な星状膠細胞の増生が見られた.プロテアーゼ抵抗性プリオン蛋白質(PrP^<res>)に対する免疫組織化学では全ての脳組織切片で陽性であったが,延髄の閂の切片で最も顕著であった.PrP^<res>は脳および脊髄のウエスタンブロット法でも検出された.本ヘラジカと接触のあった残りのヘラジカおよびシカは淘汰され,慢性消耗性疾患は陰性であった.著者らの知る限りでは,本症例は米国およびカナダ以外の国での最初の症例であった.
著者
津守 眞
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.16-21, 2007-11

2 0 0 0 美術日本

出版者
美術日本社
巻号頁・発行日
vol.(6月號), 1941-06

2 0 0 0 国画

著者
塔影社 [編]
出版者
塔影社
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, 1941-09
著者
国際文化振興会 [編]
出版者
国際文化振興会
巻号頁・発行日
vol.昭和9年9月現在, 1935

2 0 0 0 美術と趣味

出版者
美術と趣味社
巻号頁・発行日
vol.6, no.7, 1941-07

2 0 0 0 OA 洗心洞詩文

著者
大塩平八郎 (中斎) 著
出版者
船井政太郎
巻号頁・発行日
vol.上, 1879
著者
石井文作 編
出版者
国際映画通信社
巻号頁・発行日
vol.大正15年版, 1925
著者
勝地 弘 多田 和夫 北川 信
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.543, pp.163-173, 1996-07-21
被引用文献数
3 1

長大橋の耐風設計においては, 自然風特性をモデル化したうえで, 対象構造物に作用させた場合に予想される応答現象を風洞試験, あるいは数値解析によって評価するが, 完成後の実橋においてこれらの結果を確認した例は少ない. 本研究では, 長大橋の耐風設計法を取り上げ, 本州四国連絡橋の大鳴門橋, 南備讃瀬戸大橋での強風時の動態観測データを基に, その妥当性について考察を加えた. その結果, 自然風の空間相関特性を指数関数によって定式化する現行の設計法に改良の余地が認められるとともに, 構造系に対する風荷重低減の可能性が示唆される結果などを得た.

2 0 0 0 OA 名文鑑賞読本

著者
高須芳次郎 編著
出版者
厚生閣
巻号頁・発行日
vol.漢詩漢文, 1937
著者
榎並 正樹
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.11-21, 2006 (Released:2006-03-01)
参考文献数
26
被引用文献数
5 9

Asbestos consists of fibrous aggregates of serpentines and/or amphiboles including chrysotile, anthophyllite-gedrite, cummingtonite-grunerite, tremolite-actinolite and riebeckite. The dispersion staining method, X-ray diffractometry, electron-probe microanalysis and Raman spectroscopy are briefly reviewed to assess their potential use for asbestos identification. Optical, crystal chemical and spectrographic characteristics of asbestos are summarized along with their powder X-ray diffraction patterns, energy dispersive spectra and Raman spectra data.
著者
Yoshimi KAWAI Qoosaku MOTEKI Akira KUWANO-YOSHIDA Takeshi ENOMOTO Atsuyoshi MANDA Hisashi NAKAMURA
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.71-90, 2017 (Released:2017-03-17)
参考文献数
31
被引用文献数
6

The present study investigated how impacts of the inclusion of radiosonde observations conducted locally in the early summer of 2012 over the Kuroshio and Kuroshio Extension (KE) can spread over time across the North Pacific basin to influence the predictability of synoptic and large-scale tropospheric circulation. For that purpose, observing system experiments (OSEs) were performed where each of two extra sets of radiosonde data, one obtained over the East China Sea in mid-May and the other over the KE in early July, was added to an atmospheric ensemble data assimilation system for comparison with the corresponding analyses without those data. The experiments show that the impact of the extra data assimilated propagates eastward mainly due to advection by the subtropical jet (STJ) in May and July. The strong STJ in May allows the upper-tropospheric impact to travel across the basin only within two days. Under the weaker STJ, the corresponding impact in July tends to remain within the western Pacific, until it eventually reaches the eastern portion of the basin. Assimilation of the extra radiosonde data over the Kuroshio or KE can lead to a decrease of pressure over the Gulf of Alaska in both May and July.  Additional forecast experiments based on the OSEs for May revealed that the pressure decrease over the Gulf of Alaska can be traced back to the west of the Alaska Peninsula and to the east of Japan over three days. The impacts that originate on different dates via different paths merge over the central North Pacific, reinforcing the cyclone over the Gulf of Alaska. This study presents examples where the impacts of atmospheric observations over the western boundary current can propagate across the ocean basin through the westerlies to influence the forecast skill in distant regions.