著者
鈴木 邦夫
出版者
埼玉大学総合研究機構
雑誌
総合研究機構研究プロジェクト研究成果報告書
巻号頁・発行日
vol.平成23年度, 2012

一般研究 : 基礎研究
著者
久保田 健夫
出版者
聖徳大学
雑誌
研究紀要 = Bulletin of Seitoku University, Bulletin of Seitoku University Junior College (ISSN:21876843)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.73-80, 2020

要旨 胎児の発生過程で遺伝子を精巧に調節するしくみであるエピジェネティクスが、幼少期の環境で変化し子どもの体質や性格を変えることが明らかにされ、子育てや保育、療育の生物学的エビデンスになる可能性が考えられ始めた。これを踏まえ、本研究では、子どもの神経と精神の発達の面からエピジェネティクス研究論文を探索し、子どもの発達理解に役立つ知見を抽出することを試みた。その結果、エピジェネティクスは、環境ストレスに対するからだやこころの受け皿、虐待によって子どもの脳に変化がもたらされるメカニズム、そして幼少期の環境で確立した体質を生涯持続させるシステムとして働いていることが判明した。以上よりエピジェネティクスは、幼少期の良好な食習慣の確立や発達障害児へのストレスの少ない環境など、良好な子どもの脳の発達を促す環境の理解に有用な生物学的エビデンスを提供する学問分野になると思われた。
著者
オルショヤ カーロイ Orsolya Károlyi
出版者
京都
雑誌
同志社女子大学大学院文学研究科紀要 = Papers in Language, Literature, and Culture : Graduate School of Literary Studies, Doshisha Women's College of Liberal Arts (ISSN:18849296)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.49-59, 2017-03-31

百人一首の初英訳は1865 年に、F. V. Dickins 氏によって作られた。Dickins 自身がその後、2 回も翻訳を試み、その他も数多くの英訳が作られ、その数はこれまで20訳以上に上っている。それらの英訳のほとんどに歌のローマ字翻字も記されており、17 番の在原業平の歌の翻字を調べてみたところ、歌の枕詞「ちはやぶる」が濁音で表記される翻字もあれば、清音で表記されるものもあった。日本においての享受史を調べてみたところ、以前「ちはやぶる」を清音で表記する時期もあった。例えば、明治・大正時代のものだと思われるかるたの札を見てみると、ほとんどが清音表記になっている。そこで本稿においては、「ちはやぶる」のローマ字翻字と、英語圏、また日本における享受について検討し、この枕詞を濁音ではなく、清音で表記するべきだと結論付けた。
著者
蘇 雲山 河合 明宣 Yunshan Su Akinobu Kawai
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the Open University of Japan (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.75-91, 2010-03-23

国際保護鳥トキの保護及びトキ野生復帰(再導入)は、日本と中国だけではなく、近年、韓国でも取り上げられ、注目されている。2008年、韓国で野生復帰を視野にトキのケージ飼育が開始された。日本では、2008年第一次10羽放鳥、2009年の第二次で20羽放鳥された。トキはコウノトリ属の大型水鳥である。兵庫県豊岡市では野生コウノトリは一度絶滅したが、ハバロフスクから受贈したコウノトリの人工飼育が成功し、2005年に2羽放鳥した。その後、毎年の放鳥が続き、2007年には野外繁殖で初めての雛が誕生した。さらに2009年10月31日に2羽が放鳥され、約40羽が市内の水田、湿地、河川敷に定着し、生息を続けている。 トキ及びコウノトリの保護と野生復帰(再導入)は、農業環境の問題だけではなく、社会システムの再構築や地域の産業(特に農業)構造の調整が必要不可欠である。そのため、トキ保護及び再導入事業は、地域社会全体の合意により地域住民の参加の下で行なわれなければならない。 本稿は、トキの再導入が開始された、野生トキの生息地であった3カ国の中で野生復帰事業が先行する中国を中心に、次の課題を比較の観点から検討する。(1)3力国において、トキ再導入のために生息地である河川及び水田の生態環境の修復がどのようになされているのか。その主体と施策の異同を比較検討する。(2)主要な生息地である、里地・里山管理がどう変わったのか。農業政策と自然環境保護政策との関係を比較検討したい。
著者
蘇 雲山 河合 明宣 Yunshan Su Akinobu Kawai
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of The Open University of Japan (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.45-67, 2016-03-25

1981年5月23日、中国西北地方秦嶺山脈南側に位置する洋県で絶滅寸前の野生トキ7羽が発見されてから早くも34年が過ぎ去った。この間、行政が主導し地域住民が参加した保護体制を構築して生息域内保全(in situ conservation)と生息域外保全(ex situ conservation)を同時に進めてきた。その結果、野生トキ個体群が当時の7羽から1,000羽の大台を突破した。それに伴い、トキが原生息地1の洋県から分散し生息域が周辺へ広がった。 一方、1989年、北京動物園が世界で初めてトキ人工ふ化を成功させた。その繁殖技術の普及により、分散飼育範囲の拡大を通して人工個体群が増え、かつてのトキ分布域での再導入も可能となった。2007年以降再導入計画が佐渡及び中国の寧陝、董寨、銅川、千陽、徳清などで進められてきた。再導入地での放鳥個体が自然下で繁殖に成功し、佐渡と寧陝では既に三世代が生まれている。このようにトキ絶滅危機が一段と緩和され、トキ種の保存は新しい局面を迎えている。 現在、中国のトキ分布地域、特に原生息地の洋県では社会、経済、自然等の環境に大きな変化が生じている。その背景は近年の急速な経済成長である。経済発展に伴い、地域の社会・経済・自然環境の変化が加速した。トキ再導入事業地域にファンダーペアや飼育繁殖技術を提供する役割を担う「原生息地周辺地域」(洋県及び周辺諸県)においても、交通・通信事情が改善され、地域の農業経済に構造的な変化が起こり、住民の価値観が変わりつつある。このような状況下でいかにして、一連のトキ再導入地を支える原生息地の自然環境とトキ文化を守り続け、次の世代に引き渡すかという大きな課題は、緊急性を帯びてきている。 本稿は、以上の問題意識をもって洋県を中心としたトキ原生息地におけるこれまで34年間の保全活動を振り返って、この間の自然・社会環境変化からトキ保全にもたらされた影響を考察し、トキ原生息地の生態的文化的価値を再認識し、近年各地で行われているトキ再導入の現状を把握した上で、順応的管理の観点から原生息地と再導入地の共通の課題を明らかにする。
出版者
あごらミニ編集部

表紙のことば 女の生と姓 細谷洋子討論 結婚改姓・私たちの場合 高橋芳恵・渡部譲選びとれない姓 なにものでもない"自分" 今村雅子こういう縛られ方 奥村さと子抗いつづける中で 久須美房子個の確立こそが必要だ 中山和夫資料 諸外国との比較から/旧民法と戸籍 細田英理子反核集会報告お知らせ 拠点だより/声なき叫び 封切り上映会1981年度収支と1982年度予算情報 女のつどい・女の講座
著者
青砥 吉隆
出版者
国際基督教大学比較文化研究会 / ICU Society for the Study of Comparative Culture
雑誌
ICU比較文化 = ICU Comparative Culture (ISSN:03895475)
巻号頁・発行日
no.46, pp.47-63, 2014-03-31

This study aims to highlight an aspect of the Apollo Program that has rarelybeen studied. The space program was a realistic answer to the very Americanquestion: “how should the United States commit to the rest of the world?”Through analyzing two speeches made by President Kennedy regarding sendingastronauts to the moon, the author tries to illustrate the untold purpose of thespace program and the way in which the president convinced Congress andAmerican people.On May 25, 1961, Kennedy made a speech titled “the Special Message tothe Congress on Urgent National Needs” in order to start up a space programthat aimed to send men to the moon and return them safely to Earth. Kennedydeclared the “Freedom Doctrine” in this speech. By claiming that Americanstrength and conviction imposed upon the nation the role of leader in freedom’scause, the president sought to persuade Congress to approve the program. Hewas firmly convinced that the Soviet supremacy in space, such as Sputnik-1 andthe first manned flight by Gagarin, had greatly weakened the United States inforeign affairs. America must have achieved a prominent victory in space in orderto win the battle on Earth between “Freedom and Tyranny.”In a speech at Rice University on September 12, 1962, Kennedy stated thatthe United States should have a leading role in science and technology, andemphasized that the nation must win the space race by being “first.” He believedthat science and technology, as well as Freedom, were aspects of Americannational identity. In addition, the president mentioned that it was difficult to keepspace peaceful unless the United States won the race against the Soviet Union.To be the first nation to land men on the moon meant not only preventing theRussians from extending their power in space, but also showing off their abilityto lead the world in every way.Freedom and scientific technologies, the national identity of the UnitedStates, were severely threatened in the early 1960s because of the overwhelmingsuperiority of the Soviet Union in space achievement. Under these very harshcircumstances, the United States regarded their rival as a formidable challenge tothe American raison d’être as the world’s most advanced country. By spending 24billion dollars and successfully conducting the space program, the United Statestried to restore their image as the world’s leader in freedom’s cause and scientifictechnologies. As Kennedy himself articulated, the Apollo Program was an “act offaith and vision.”
著者
斉藤 泰雄
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A 教育研究 = Educational Studies (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
no.60, pp.43-51, 2018-03-31

本論は,植民地教育論に関する研究ノートである。ここでは,欧米列強による植民地教育政策とその遺制に関する先行研究を分析整理するとともに,日本が戦前に領有していた台湾において50 年間にわたって展開した植民地教育の軌跡をたどり,その政策の特色を分析する。最初は住民の拒絶や無視という困難な状況で出発した教育事業は,しだいに台湾住民に受け入れられるようになる。1919 年の台湾教育令によって整備された教育制度は,内地人(日本人)と台湾人の教育の分離,差別的待遇を温存するものであった。しかし,1922 年の新教育令による制度改革は,内地延長主義の原則にしたがい,両者の教育上の差別待遇を解消し,中等教育以上での内台共学まで実現するという同時代の欧米諸国の植民地教育政策では類例をみない画期的なものとなった。最終的には,植民地における義務教育の実施という先例のない政策も導入されるにいたる。
著者
斉藤 典明 金井 敦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.295-308, 2013-01-15

現在,組織の知識を蓄積するために多くの組織では共有フォルダを用いてボトムアップ的に情報を大量に蓄積している.しかしながら,多くの情報は情報管理の属人化がおこり,組織環境の変化によりどこにどのような情報があるのかが分からなくなった結果,情報が死蔵され,組織知識の忘失がおこる.そこで,長くにわたって情報を継承してきた事例を基に,死蔵することなく組織の知識を継承する手法を検討した.その結果,長期にわたって情報を蓄積するためには,時間(年度),知識分類,案件の順番で情報を管理することが有効である.また,組織知識として蓄積・継承するべき知識の分類には7つの項目があるが,そのうち組織の記録が最も重要であることが分かった.
著者
金子 茂 カネコ シゲル Shigeru Kaneko
雑誌
二松学舎大学國際政経論集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.73-85, 2000-03-25

日本とアジア諸国のカバディ選手の身長・体重および年齢についての実態を分析して,得られたことを以下に要約する。1.第11回北京アジア大会出場の全日本カバディ選手の身長は174.8±3.4cm,体重は68.6±4.0kgである。年齢は,21.5±1.4歳であった。第12回広島アジア大会の全日本選手は,身長176.7±5.1cm,体重は,71.1±4.4kgである。年齢は,21.0±1.8歳であった。第13回バンコクアジア大会では,身長173.7±4.4cm,体重70.9±4.6kgであった。年齢は24.6歳±1.5歳であった。三つの大会をコミにしてみると,身長が175.0±4.4cm,体重が70.3±4.5kgであった。おおづかみにみて,全日本カバディ選手の身長は175cm前後,体重は70kg前後というところである。年齢については,大学卒業後数年の25歳前後が一番力を発揮できる頃と心算するが,バンコクアジア大会の全日本選手の24.6歳は筆者の考える国際的に力を発揮するカバディチーム編成に符合する。2.第12回広島アジア大会出場選手の身長では,パキスタンチームが177.6±6.7cmと一番大きい。体重でも78.8±0.9kgと一番重く,標準偏差の0.6kgからも規則ぎりぎりの80kg以下の選手でチームを編成してきていることが示されている。各国間の身長の比較をすると,インドとネパールに4.6cmの差があり,パキスタンとネパール間には5.5cmもの開きがみられる。体重においても,インドに4.1kg,日本に7.1kg,ネパールに10.4kgもの差がみられた。広島大会参加の5ケ国の選手をコミにしてみると,身長が175.6±5.2cm,体重が73.1kg±4.7kgである。年齢は,比較的若く,22.6±3.8歳であった。身長と体重の相関係数は,r=0.399(5%水準で有意)ほどであった。3.第8回南アジア連盟大会出場5ケ国(インド(金メダル),パキスタン(銀メダル),スリランカ(銅メダル),ネパール(4位),バングラデシュ(5位)の身長・体重・年齢についてみると,バングラデシュの身長が一番高く181.6±1.3cmであり,インドを5.5cm,ネパールを5.2cm,スリランカを4.3cm上回っていることがわかった。体重については,数値的に違いがみられるのみにとどまった。5ケ国の全選手をコミにしてみると,身長が177.7±4.2cm,体重が74.1±4.1kgというところであった。年齢では,25.4±2.8歳であった。4.第13回バンコクアジア大会出場選手の体重についてみると,パキスタンが79.0±0.4kgと一番重く,次いで,インドの78.4±1.1kg,スリランカの75.3±3.6kg,バングラデシュの74.6±3.6kgなどとなっている。日本は70.9±4.6kgであった。パキスタンチームの体重がアジア連盟規則の80kg以下ぎりぎりのチーム編成をしてきていることが数値からもわかった。しかも体重の標準偏差も±0.4kgと小さく,それだけ80kgに近い選手が集まっていることを物語っている。ちなみに,インドが金メダル,パキスタンが銀メダル,バングラデシュが銅メダル,スリランカは惜しくも銅メダルを逸したが,バングラデシュと引き分けての得失点率で敗れた。こうして見ると,体格的に優位なチームが上位を占めていることに着目できる。日本の体重は70.9±4.6kgであった。5.アジア大会参加のカバディ選手と他のスポーツの選手との比較するために,第8回南アジア連盟大会をT-スコアで50点とし,またその伸びについてみると,全日本男子ハンドボール選手の身長・体重が上回り,T-スコアでみると,身長で65.5点,131%,体重で72.4点,144.8%である。'96世界野球出場全日本男子選手が身長・体重で上回り,T-スコアで53.1点,106.2%,体重で62.0点,124.0%を示している。'96世界野球に出場したキューバ選手には,南アジア大会カバディ選手が,身長で上回り,体重では下回った。J1のサッカー選手との比較では,身長ではJ1選手が51.0点,102%とわずかに上回っているが,ほとんど同じ位であるといえる。体重では,J1選手が40.2点,80.4%と,カバティ選手が10点,20%近く上回っていることが示された。
著者
標 宮子
雑誌
聖学院大学論叢 = The Journal of Seigakuin University (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.第21巻, no.第2号, pp.275-296, 2009-03

In this paper, in order to confirm the relationship between the ego and the other, I checked the words of self-expression, “Ware”( I ) and “Ware-nagara” (even I), featured in Diary Literature which is autobiographical. In the four diary works of the Heian Epoch there aren’t many examples of “Ware”, the word indicating oneself, and there are no examples of “Ware-nagara”, the word meaning the spirit of self-reflection. Moreover, uses of the word “Ware” in works of the Heian Epoch differ remarkably. On the other hand, in medieval epochs, self-consciousness arose and uses of “Ware” and “Warenagara” increased. This means that, in the diary works of the medieval epoch, each author emphasized the unique character of his or her life. The authors reject the other but, in writing diary literature, they reconsider their lives and seek sympathy by narrating their lives to others.
著者
酒詰 治男 Haruo Sakazume
出版者
同志社大学歴史資料館
雑誌
同志社大学歴史資料館館報 = Museum Report
巻号頁・発行日
no.19, pp.34-43, 2016-10-31

貝塚研究に専念した考古学者酒詰仲男は、英語・英文学を専攻する学生時代を経て英語教員となったが、マルクス主義シンパの嫌疑で教壇から拘引、逮捕された。失職の末、考古学者としての再出発を余儀なくされたのだが、そのおりにも、学生時代同様、同人誌の刊行を独自の研究手法の拠点とした。
著者
福田 一史 三原 鉄也 大石 康介 細井 浩一
雑誌
じんもんこん2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.77-84, 2019-12-07

立命館大学ゲーム研究センターは16,000点からなるビデオゲームを中心とする所蔵資料の書誌データベース「RCGS Collection 試作版」を開発・公開した.本研究では,システムの機能要件を定義し.開発に用いたOmeka Sの有効性を検証する.本実装から,ブラウザ向けデータベース機能が充実しているが,LODのデータ提供機能に課題があることが示された.
著者
高嶋 啓
出版者
東京藝術大学
巻号頁・発行日
2019-03-25

平成30年度