著者
片岡 大輔 曽根 智史 谷畑 健生 谷口 栄作 牧野 由美子 中川 昭生
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.898-905, 2005

<b>目的</b> 「健康ますだ21」は2001年度を初年度として,2004年・2007年に中間評価,計画の見直しを行い,2010年を目標年次とする10か年計画である。「健康ますだ21推進協議会」の下部組織として,「栄養・食生活と歯科保健部会」「たばこと酒部会」「運動とストレス部会」の 3 つの部会がある。市域15地区では,3 つのうち 1 つの部会の活動テーマを 3 年ずつ重点的に展開している。本研究の目的は,中間評価の一環として,過去 3 年間の活動が益田市民の健康行動の向上に有用であったか否かを検証することである。<br/><b>方法</b> 対象は,益田市15地区から無作為に抽出された20歳以上の男女4,000人である。「栄養・食生活」,「歯の健康」,「たばこ」,「アルコール」,「身体活動・運動」,「休養・こころの健康づくり」の 6 分野,合計29の指標について,市民の健康づくりに対する意識・行動等を調査した。まず市全体の集計結果を,行動目標値と照合した。つぎに2000年に行われた健康行動調査時のベースライン値と,2004年の指標値を市全体で比較した。さらに2000年と2004年の指標値を,延べ 6 つの性・年齢階層別に比較した。最後に過去 3 年間に重点的に展開した活動テーマにより,15地区を 3 つの地区群にまとめ,地区群別に比較した。<br/><b>結果</b> 回収数は2,946件(回収率73.7%)であった。益田市の行動目標を達成した指標は,「男性の喫煙率」であった。2000年と2004年の指標値を比較したところ,市全体において11指標が有意に改善し,5 指標で悪化を認めた。5 つの性・年齢階層では,改善した指標数が悪化した指標数を上回った。各地区群の重点分野で合計 7 指標が改善し,これら 7 指標の全ては,市全体においても有意に改善を示した。各地区群の重点分野で悪化した指標はなかった。<br/><b>結論</b> 15地区が部会の活動テーマを推進することにより,各地区で弱点分野を補強しながら,市全体の健康行動の向上に寄与している可能性が高いことが示唆された。今後これらの活動がさらに多くの市民に認知され,各年齢階層および各地区で生活習慣の改善に結びつくことが期待される。
著者
井上 和仁
出版者
神奈川大学
雑誌
年報 (ISSN:13420917)
巻号頁・発行日
vol.2001, 2002-03

石油や石炭などの化石燃料は,燃焼に伴って地球温暖化の原因となる二酸化炭素や有害な大気汚染物質を排出する。一方,水素は酸素と結びつくことで,大きなエネルギーを放出するが,水以外の廃棄物は発生せず,非常にクリーンなエネルギー源として注目されている。微生物の中には,細胞内の代謝過程に伴って,水素を発生するものがいることが知られている。特に,藻類やシアノバクテリアなどの光合成微生物は,太陽エネルギーを使って,水から水素を作ることが可能であり,その能力を生物工学的に高めることで,水&xrarr;水素&xrarr;水という究極の循環型クリーンエネルギーサイクルを確立することが可能となる。光合成では,光化学系II生じた強い酸化力で水を分解し,O_2とH^+が生成する。一方,光化学系Iでは強い還元力が生じ,通常,この還元力は,二酸化炭素の固定に用いられる。本研究は,光化学系Iで生じる還元力の一部をH^+の還元に利用できるような系を持つ光合成微生物を自然界から選抜したり,遺伝子組み換え技術を用いて代謝工学的に作りだそうというものである。
著者
増田 健二郎 赤岩 仁美 東根 五月 小野 ますみ 岡本 英夫
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.10-14, 2008-03-01

当院健診部のデータベースより,人間ドック受診者について過去10年間の喫煙率を抽出・調査した.男性の喫煙率は年次を経る毎に低下し,1997年度には48.8,2001年度43.6,2006年度34.7となっていた.一方,女性では大きな変動はなかったが,1997年度には5.8%,2001年4.3%,2006年7.0%と寧ろ増加傾向が観察された.年齢別の成績では40歳未満と40歳代に高率で,50歳代でやや低く,60歳以上で明らかに低率であった.全国集計の喫煙率と比べると,当院人間ドック受診者は男女共に各年度を通じて数%低く,人間ドック受診者の健康意識の高さを反映していると考えられた.今後,当院でもニーズに応じて,禁煙指導等を行うことにより,健診受診者や地域住民の健康への道を支援したい.
著者
山崎 昶
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.656-657, 1989-12-20
著者
緒方 妙子
出版者
九州看護福祉大学
雑誌
九州看護福祉大学紀要 (ISSN:13447505)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.99-107, 2015-03

日本政府は、2013年4月1日より子宮頸がんワクチンを定期接種にして推奨していたが、副反応の出現が相次いで起こり、同年6月14日厚生労働省は積極的勧奨を一時中止とする決定を下した。しかし、予防接種法に基づく定期接種の対象からははずしていない。2014年1月20日の有識者検討会では、再び積極的な接種を再開する方向で議論が進んでいる。このような判然としない方針の中で、このワクチンにどう向き合うべきか悩む人も多いのではないかと考え、女性と共に健康を支援する助産師として、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点から、どのような論拠に立って相談に応じたらよいか考えてみた。 リプロダクティブ・ヘルス/ライツには、性感染症からの自由、安全で満ち足りた性生活を営むことができる権利、そのための情報と手段を得ることができる権利、最高水準の性に関する健康を享受する権利が含まれている。そして何よりも大切なのは、自己決定権である。このワクチンには、予防効果が不確実・限定的で、解明されていないことも多く、自己決定に必要な情報が提供できないと言え、その定期接種の際に、未成年者に難しい自己決定をさせることは、本来の自己決定権の侵害につながる恐れがあるのではないかと思われる。また、安全・安心な性生活が送れるような社会にするためには、危険が身に及ぶかもしれないワクチンに頼ることではなく、やはり健全な男女交際への意志を養う教育が基本ではないかと考える。
著者
今井 浩
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.602-610, 2013-12-01 (Released:2013-12-01)

現代において,学術情報発信の形態はインターネット通信を通した電子ジャーナルなど多岐にわたっている。電子情報通信学会では通信・電子・情報の分野を推進する学会として,1976年の英文論文誌刊行以来,国際化を視野に入れた学術情報発信を着実に進めてきており,これを国際活動の軸として,さらなる発展を目指している。本稿では,著者の視点からこれまでの活動をまとめ,新たな取り組みについても若干触れたい。
著者
中村 健太郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.100-106, 2015-05-01 (Released:2015-05-01)

日本音響学会は1936年発足以来,「音」に関するあらゆる分野の学術交流の場として,学会誌・論文誌の発行,研究発表会や研究会,技術講習会の開催などを進めている。現在,約4,300名の会員が活発な活動を行っている。本稿では,学会誌での論文発行,研究発表会などを中心に,日本音響学会における学術情報発信の現状を紹介し,その課題について述べる。和文誌には和文論文に加えて解説記事や特集記事を毎号掲載している。英文誌も35年以上発行しており,J-STAGEにおいてオープンアクセスで公開している。本稿では,論文発行などの研究情報の発信状況と課題について概説する。
著者
飛田 幹男 宗包 浩志 海津 優 松坂 茂 黒石 裕樹 眞暗 良光 加藤 敏
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.27-37, 2004-03-25 (Released:2010-09-07)
参考文献数
14
被引用文献数
1

The source of seasonal groundwater level variation, which is closely related to the variation of GPS vertical component, was investigated. We found that groundwater pumping for paddy field irrigation from May to August caused drawdown of groundwater level by 7m and this caused temporal subsidence by about 2 cm in Geographical Survey Institute, Tsukuba. Elastic deformation of gravel layers explains the process that groundwater level variation causes variation of ground height, because the height recovers completely and there is no delay between the two variations. The scale error of GEONET due to the seasonal height variation of the fixed GPS station at GSI is estimated to be±0.3 ppb.
著者
中務 康生
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.59-63, 1965

サケの両性生殖巣について, 組織学的観察を行い, あわせてその成因についての若干の考察を行った。<BR>両性生殖巣の成因は明らかではないが, 組織学的に精巣, 卵巣の境界部が同一被膜であること, また卵の吸牧崩壊の過程現象, 及び精子形成の過程がみられたことは, 先ず卵巣として発生したものが, 後に何らかの要因, 多分山本 も述べているように, 雌性因子と雄性因子の量的関係より雄性に移行しつつある過程のものだろうと推論したい。