著者
佐藤 奨 坂野 秀樹 板倉 文忠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.97, pp.41-46, 2011-06-16

本研究は,楽曲推薦の特徴量に利用出来るような音響特徴量,特にラウドロック系の楽曲を特徴付ける音響特徴量の提案をする.ラウドロック系の楽曲は,歪んだ音を出すエレキギター及びベース,激しく叩くドラムの音が特徴的であり,上記の楽曲と,それ以外の楽曲とを混在させた曲順で聴くことはほとんどない.よって,両者を分類できる特徴量は,有用な特徴量となることが期待できる.本稿では,提案した音響特徴量を用いて,ラウドロック系,J-pop,ニューエイジ系の自動ジャンル分類実験により客観評価を行った.最も良い条件の場合,ラウドロック系の楽曲とそれ以外の楽曲とを区別する2ジャンルの識別率が97%,3ジャンルの識別率が87%となった.さらに,この音響特徴量が楽曲の印象とどのような対応があるのか,印象尺度を用いた主観評価実験を行った.その結果,音響特徴量と「激しい」「騒々しい」「優しい」といった印象との間に,強い相関があることが確認され,提案する音響特徴量が,主観的尺度と対応することが明らかになった.
著者
山村 雅幸 小野 貴久 小林 重信
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.1049-1059, 1992-11-01
被引用文献数
105

Genetic Algorithms (GA) is a new learning paradigm that models a natural evolution mechanism. The framework of GA straightly corresponds to an optimization problem. They are classified into functional optimization and combinatorial one, and have been studied in different manners. GA can be applied to both types of problems and moreover their combinations. According to generations, GA will discover and accumulate building blocks in the form of schemata, and find the global solution as their combinations. It is said GA can find the global solution rapidly if the population holds sufficient varieties. However, this expectation has not been confirmed rigidly. Indeed, there are some problems pointed out such as the early convergence problem in functional optimization, and the encode/decode-crossover problem in combinatorial one. In this paper, we give a solution to the encode/decode-crossover problem for traveling salesman problems (TSP) with a character-preserving GA. In section 2, we define the encode/decode-crossover problem. The encode-decode problem is to define a correspondence between GA space and problem space. The crossover problem is to define a crossover method in GA space. They are closely related to the performance of GA. We point out some problems with conventional approaches for TSP. We propose three criteria to define better encode/decode ; the completeness, soundness and non-redundancy. We also propose a criterion to define better crossover ; character-preservingness. In section 3, we propose a character-preserving GA. In TSP, good subtours are worth preserving for descendants. We propose a subtour exchange crossover, that will not break subtours as possible. We also propose a compress method to improve efficiency. In section 4, we design an experiment to confirm usefulness of our character-preserving GA. We use a double-circled TSP in which the same numbers of cities are placed on two concentrated circles. There are two kinds of local solutions ; "C"-type and "O"-type. The ratio between outer and inner radius determines which is the optimum solution. We vary the radius ratio and see how much optimal solutions are obtained. In the result, character-preserving GA finds optimal solutions effectively.
著者
磯貝 知美 飯塚 舞 小川 睦美
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.770, pp.64-73, 2004-12-01

米の消費拡大に寄与するため,米粉を用いたスポンジケーキを試作した。米臭を消すためにオレンジリキュール,抹茶風味青汁粉末を添加し,さらに,若年女性に不足しがちな鉄を添加したケーキを試作し,これらのケーキの食味及び物性を,添加材料や加熱方法の違いから検討した。その結果を以下に述べる。1)添加材料及び加熱方法によるケーキヘの影響・順位法による官能検査では外観や香りの項目でオレンジ・焼・鉄剤1g添加(オ・2)のケーキが有意に好まれたのに対し,きめ,ぱさつきの少なさ,舌ざわりの項目ではオレンジ・蒸・鉄剤1g添加(オ・4)のケーキが有意に好まれた。総合的な評価では有意差は見られなかったが,青汁粉末ケーキに比ベオレンジケーキの方がやや好まれる結果となった。・重量及び密度では全体的に蒸したケーキの方が重量が重く,密度も高くなり,焼いたケーキと蒸したケーキとの間に多くの有意差が見られた。・膨化率では加熱方法によってケーキの膨化の仕方が異なり,焼いたケーキの方がやや膨化率が高くなる結果となった。・破断強度ではオレンジ・焼・鉄剤無添加(オ・1)のケーキの結果についてさらなる検討が必要であるが,それ以外のケーキでは加熱方法による破断強度の差は少なく有意差は見られなかった。しかし,破断曲線では焼いたケーキと蒸したケーキとの間に曲線の違いが見られた。2)鉄剤の添加量によるケーキヘの影響・3点比較法による官能検査ではオ・2とオ・5(オレンジ・焼・鉄剤2g添加)のケーキとの間に有意差は見られず,これらは同等のものであると言えた。・嗜好意欲評価尺度では全員から食用に適する基準に達する回答が得られ,オ・5のケーキは製品として充分に成り立つものと言えた。・重量及び密度では鉄剤を増すにつれ重量が増加した。密度は,オ・5のケーキが最も低値となった。・膨化率では有意差は見られないもののオ・5のケーキが最も高く,鉄剤を増すにつれ膨化率が上がる結果となった。・破断強度では鉄剤を添加することでスポンジに弾力が増すものの破断荷重は低くなるという結果となった。以上から,今回試作したケーキは加熱方法によってその物性や食味に影響が認められ,焼いたものの方が好まれる結果となった。また,鉄剤の添加により膨化率,破断曲線に影響があったが,添加量を増加しても充分に食用に適しているということが明らかとなった。
著者
和田淑子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.88-98, 1978
被引用文献数
4

マルチトールを主成分としたマルチットシラップを蔗糖のかわりに用いて,スポンジケーキ,エンゼルケーキを試作し,次の結果を得た。(1)マルチットシラップの甘味度はグラニュー糖100に対し45.5である。したがって蔗糖とほぼ同甘味とするには,蔗糖の2.2倍量用いるとよい。(2)スポンジケーキにおいて,蔗糖の30%,50%を固形物換算で同量のマルチットでおきかえ,いずれも生地水分量が同一となるよう加水量で調節したケーキを比較すると,マルチット添加ケーキは蔗糖ケーキに比べ,甘味は若干劣るがスポンジ生地がやわらかく,口あたりが良好となる。(3)マルチットスポンジケーキの良好な材料配合比は,小麦粉:卵:マルチットが30:35:56,または35:30:56である。このケーキのカロリーは蔗糖で良好な配合比をもつケーキカロリーにくらべ45%前後のカロリー低下となる。(4)マルチットエンゼルケーキの最も良好な材料配合比は卵白100,小麦粉50,マルチット132である。このケーキのカロリーは蔗糖で良好な配合比をもつケーキカロリーにくらべ50%程度のカロリー低下となる。(5)卵白の起泡性におよぼすマルチトールの影響を検討するため,卵白アルブミン溶液に蔗糖,マルチトール,マルトースをそれぞれ30%および80%添加して攪拌し,得られる泡の性状を比較した。攪拌温度30℃の場合,マルチトール添加は蔗糖よりも良好な起泡力を示した。また泡の安定度も高く,かたくてこしのある泡が得られる。終りに本研究につき御指導いただきました大妻女子大学教授山崎清子先生,国立栄養研究所応用食品室長高居百合子先生に厚く御礼申し上げます。また本稿をまとめるに当り,御助言を賜わりました国立栄養研究所応用食品部長岩尾裕之先生に深謝いたします。
著者
岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.775-783, 1995-03-15
被引用文献数
48

本論文は、遠隔地の参加者が丸テーブルを囲んで一堂に介しているような臨場感を与える、多地点会議システム"MAJIC"のデザインとそのプロトタイプの実装について述べている。MAJICは、曲面状スクリーンに投影される複数の等身大画像との多視線一致、誰が誰を見ているかという視線認識、臨場感を出すための連続した背景、参加者の中央に配置された作業空間を実現しており、対面環境に非常に良く似た雰囲気を提供することができる。我々は、東京で開催された日経コラボレーションフェアにMAJICのプロトタイプを展示し、このフェアを訪れた一般の人々に3地点会議を実際に体験して頂いた。この論文では、その時の被験者の印象や指摘についてもまとめている。
著者
山口 雄仁 鈴木 昌和 川根 深 駒田 智彦 金堀 利洋
出版者
日本大学短期大学部
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

印刷ないしPDFの理数系文書をアクセシブルな電子書籍形式であるDAISYに変換するOCR技術の改良,理数系DAISY編集・閲覧ソフトウェアの開発,日本語理数系教材をきちんと取り扱えるようにDAISY形式を拡張・改良する研究などを行った。その結果,全盲・重度弱視・発達性読字障害など様々な形で視覚に障害を持つ生徒が,インクルーシブな教育環境で晴眼者と同じ科学教材を共有するための基礎が確立できた。
著者
山口 雄仁 藤芳 明生 渡辺 哲也 鈴木 昌和 相澤 彰子 川根 深 駒田 智彦 金堀 利洋
出版者
日本大学短期大学部
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,全盲・重度弱視・発達性読字障害など様々な形で視覚に障害を持つ児童・生徒が,インクルーシブな教育環境でデジタル教科書を容易に利用できるようにするため,電子書籍の国際標準規格EPUB3(DAISY4)に準拠するアクセシブルなデジタル教科書の標準モデルを確立した。それに基づいて既存のデジタル教科書に含まれる数式・化学式や図・グラフ・表・地図など特殊表記・2次元情報を,バリアフリー化するためのコンテンツ制作・編集システムと,多言語でそうしたコンテンツを利用するための閲覧システムなどを開発するとともに,わかりやすい触読図製作ツール,理数系文書理解支援技術などを研究した。