著者
樋笠 勝士 荻野 弘之 佐藤 直子 長町 裕司 O'LEARY Joseph 川村 信三 児嶋 由枝 竹内 修一 HOLLERICH Jean-c 村井 則夫
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、平成18年度から21年度にわたる4年間の研究計画により、西洋中世における「美」の概念を、とくに新プラトン主義の受容と変容という課題に絞って、歴史研究を行うものである。本研究の独創性は「美」の概念について、古代末期思想家プロティノスに始まる新プラトン主義美学思想が、西洋中世キリスト教思想にどのような影響を与えたのかを解明する点にある。その思想の影響系列は、「美」を「光」と関係づけるキリスト教の伝統的な形而上学思想の原型をつくりだし、また典礼芸術等の芸術現象に展開する文化的基礎となる概念形成にも展開している。さらに中世の神学思想における超越概念にも影響を与える基本思想にもなっていることから、美学研究のみならず西洋中世思想研究の基礎研究にとって、本研究課題は思想史研究上の大きな意義を有するものとなる。
著者
上田 学
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、日本映画の特性を理解するために、データベース等のデジタルヒューマニティーズの研究方法を取り入れながら、日本の都市における、無声映画期の映画館の興行形態を明らかにしようとした基礎研究である。本研究を通じて、映画草創期における東京と京都の映画の興行形態に差異が生じていたことや、それが歌舞伎や新派劇等の演劇との関係性の違いに因っていたことが明らかになった。これらの研究成果を、単行本の刊行や国際学会の口頭発表等によって、学術的に発信した。
著者
西村 竜一 内田 賢志 李 晃伸 猿渡 洋 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.522, pp.93-98, 2001-12-13
被引用文献数
5

ASKA(アスカ)は, 大学の受付案内システムを目標として開発中の頭部や腕のジェスチャ機能を持つ人間型音声対話ロボットである.音声対話機能は, 大語彙連続音声認識エンジンJuliusと学内案内タスク向けN-gram言語モデルを基礎としたキーワード検索による音声認識理解部と音声合成部によって構成されており, 対人センサやジェスチャ生成などの他のモジュールと状態を通信しながら分散的な動作を行なう.本ロボットは, 奈良先端大における学内共同プロジェクトで開発されており, エージェントシステムにおける様々な要素技術の実環境での検証プラットフォームと位置付けられている.今後も新たな要素技術を採り入れながら開発を続ける予定である.本稿では, 音声対話機能の実装方法を中心に現在のASKAの概要および今後の予定について述べる.
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.838-838, 2014-09-05 (Released:2014-09-05)
著者
奈良 里紗
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究では視覚障害児・者の発達段階に応じた発達課題を明らかにすることを最終的な研究目標として実施している。本年度は、16校の視覚特別支援学校から得られた2005年から2009年に実施された教育相談記録1579ケースの分析を行うとともに、学校心理学や教育心理学分野における教育相談や発達課題に関する国内外の先行研究について情報収集を行なった。昨年度までの研究で、乳児期は育児・発達相談、幼児期は就学相談、小学生期は学習相談との関連がそれぞれ明らかになった。今年度の研究では、相談内容と来談回数の関連について分析を行った。結果、乳児期では主要な相談内容である育児・発達相談は来談回数も複数回であり、継続的な支援につながっていることが示唆された。一方、幼児期及び小学生期では、主要な相談内容の来談回数が1回限りであるもの(単発相談)と複数回にわたる相談であるもの(継続相談)がほぼ同じ割合であった。この原因については、今後、さらに相談内容を質的に分析をすることで解明を試みる予定である。幼児期では、見え方・眼疾相談は継続的な相談が多いことから、親が視覚障害児の見え方を理解するためには一度の相談では解消されない内容であることが推察される。また、小学生期では補助具相談で単発相談が多いことが示された。従来より補助具相談は継続的な訓練が必要であることが指摘されていることから、小学生期の補助具相談がなぜ単発相談になることが多いのかについてもさらに検討する必要性が示唆された。なお、本研究の結果は日本特殊教育学会にて発表を行なった。
著者
伊藤 献一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.658-661, 1994

無重力下でローソクの炎は球形になる。高温の炎は地上では重力の影響で対流を生み出す。しかし, 無重力では自然対流がないため, ローソクの芯の先からロウの蒸気が全周に一様に拡散して球状の炎をつくる。このように, 対流の影響を取り除くと燃焼の本質が見えてくる。また, 無重力状態では, 液体燃料の粒や石炭の粒子を空間に静止させることができ, 粒子から粒子へ火の伝わる状態を正確に観察できる。燃料の燃焼研究や宇宙火炎の研究が今, 落下塔などの無重力環境を利用して行われようとしている。
著者
大石 啓悟 石澤 広明 宮内 祐樹 福田 将也
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.98, no.2, pp.62-67, 2014-02-01 (Released:2014-03-31)
参考文献数
25

There has recently been a significant increase in the number of diabetic patients. Self-monitoring of the glucose levels in a patient's blood is essential for treating diabetes. Generally, blood glucose measurement requires an invasive blood sampling. Therefore, patients are always plagued by issues such as pain, stress, and risk of blood-borne infection. The objective of this study is to develop a non-invasive blood glucose measurement device based on NIR spectroscopy. We compared the prediction accuracy of the individual calibration curve and summarized calibration curve, and took the analysis wavelength range into consideration as fundamental experiments for taking a non-invasive blood glucose measurement. As a result, a clinically effective level of accuracy and a high correlation were confirmed in the individual calibration curve, and an analysis using a smaller wavelength range has a good influence on the accuracy.
著者
石原 進
出版者
静岡大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

下水路等の監視のため,多数の無線通信可能なセンサを水路に流し,水路の形状把握や故障発見を行うことを目指したIn-Pipeline Flowing Wireless Sensor Network(PFWSN)のためのセンサノード動作スケジューリング手法,データ回収方法を設計し,シミュレーション評価により改良HEED方式による代表ノード選出と起動・休眠スケジューリング並びにRandom Dropに基づく転送バッファ管理方式が有効であることを確かめた.
著者
孟 岩 老川 進
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.136-147, 1997-03-10
被引用文献数
9

モデル建物群内の流れ場と拡散場を調べるために風洞実験を行った。本研究のその1では建物群内外における平均速度および乱れの構造を詳細に調べた。モデル建物は, 高さ8cmの立方体を用い, その配置を千鳥状とした。また, 建物の密度を10%から40%まで変化させた。流れ方向と鉛直方向の速度成分の計測は, 乱れのレベルが高いかつ逆流に伴う流れ場を測定できるスプリットファイバープローブを用いて行った。その結果, モデル建物群内の流れ場は, 建物密度を指標として, isolated roughness flow, wake interference flow および skimming flowと呼ばれるような三つのパターンに区分されることが明らかとなった。建物密度の増大に伴い, 建物群内の流れ方向の速度が次第に小さくなり, 建物密度が40%の時にほぼ0となる。また, 建物屋根面上の流れの剥離に伴う大きな乱れの生成は, 建物密度が20%を超えると殆ど見られなくなる。

2 0 0 0 世界の艦船

出版者
海人社
巻号頁・発行日
no.338, 1984-07
著者
小林 麻実
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.231-237, 1997-05-01
被引用文献数
2

米ユナイテッド・テクノロジーズ社の図書館・情報サービス機関, アトリスは, これまで独立採算組織として, 世界16万人社員に向け, イントラネット・サービスを含む独自のサービスを開発・提供し続けてきた. 根底にある「社員の生産性向上」という使命を達成するため, 組織の内外からの様々な評価を求めてきた. デジタル革命の進む今日, 図書館機能のアウトソーシングを行なう機関や, 利用者へのアンケート, 他の先進企業図書館との競合の中から, ヴァーチャル・ライブラリーこそが利用者の利益と判断したアトリスは, 全図書館の閉鎖と大幅な組織変更を実施し, UTCインフォメーション・ネットワークへと名称変更した. このように競争の中から自己の役割を新たに創り出していくことが, 企業図書館員に求められている.