著者
山本 義孝
出版者
日本山岳修験学会
雑誌
山岳修験 (ISSN:09150978)
巻号頁・発行日
no.37, pp.51-66, 2006-03
著者
橘 治国
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

北国においては、降雪や積雪の汚染とその自然環境への影響が深刻な社会問題となりつつある。雨と同様に、大気を降下する雪(降雪)にも大気中の微量な有害物質が混入し、さらに地上に積もった雪(積雪)には人間活動によって廃棄されるゴミをはじめさまざまな有害物質が混入し、汚染はさらに進行する。このような汚染した雪は、春先に一度に溶けて、水や土壌環境に影響を及ぼすことになる。実際、雪の汚染による山地湖沼・小河川の富栄養化や都市近郊水域での有機汚濁や微量金属汚染が観察されている。本研究は、上記の認識のもと、水域環境の汚染制御あるいは水資源としての降雪利用という立場から、降雪と積雪の汚染の実態と汚染機構、そして汚染物質の融雪水への輸送(流出)機構を明らかにすることを目的とした。さらに、積雪の汚染制御方法についても検討を試みたものである。結果として、積雪は、大気経由のほか、道路粉塵や生活関連の廃棄物が多量に混入して著しく汚染していること、これらの汚染物質は主に固形物質からなり、これには有機物質、栄養塩そして重金属元素がかなりの濃度で含まれ、環境への影響を無視できない範囲にあることがわかった。汚染機構の特徴として、積雪はそのトラップ機能によって汚染物質が高濃度になること、局所的には道路粉塵の飛散の影響が大きいが、広域的な微細粉塵の拡散による影響も大きいことがわかった。また家庭系の廃棄物の積雪への投棄を無視できないことがわかった。このような汚染した降雪や積雪の融解による水系汚染制御に関しては、汚染物質発生源での発生量削減の努力のほか、除雪対策が密接に関連していることがわかった。汚染雪の分別除雪と処理、雪捨て場での汚染物質の流出防止対策などが望まれる。研究はまだ緒についたばかりである。個々の汚染物質の挙動と環境影響、発生源防止対策の具体化、除雪の効果的な方法などをについて継続して調査する必要がある。
著者
秋山 美紀 的場 元弘 武林 亨 中目 千之 松原 要一
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.112-122, 2009 (Released:2009-10-29)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

【目的】診療所医師の在宅緩和ケアの実施状況および困難感を明らかにし, がん緩和ケアを地域で推進するための有効策を検討することを目的とした.【方法】緩和医療資源が十分でないと考えられる地域の全診療所69カ所の医師を対象に, 質問紙調査によって在宅緩和ケアの実施状況と今後の対応の意向を評価したうえで, 62カ所の診療所医師のインタビュー調査により在宅緩和ケア実施の阻害要因などを明らかにした.【結果】質問紙の回収率は81%で, 在宅緩和医療の実施率は, 比較的末期のがん患者の在宅診療27%, モルヒネ内服による疼痛管理29%, 精神面サポート12%などであった. インタビュー内容分析の結果, 緩和スキルの向上, 病院医師との関係構築, 患者・家族・一般市民の啓発などの必要性が示された. 【結語】在宅緩和ケア推進のためには, 地域で研修会などを開催し, 病院, 診療所間で良好な関係を築きながらスキルアップを行うとともに, 一般市民の在宅ケアへの理解を培うことが重要である. Palliat Care Res 2009; 4(2): 112-122
著者
後藤 智英 小杉 信 向井 信彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.34, pp.13-16, 2008-07-31

本稿では、コンピュータグラフィックスにより現実感のある降雪シーンをリアルタイムで生成する一手法を提案する。降雪に関する先行研究で椎名らは、無風で雪粒同士の衝突がないことを条件として実際の雪粒の動きを観測し、雪粒の粒径から落下速度を導出し、形状から降雪の運動パターンを分類した。この運動パターンは主に鉛直落下、斜め落下、回転落下の3種がある。そこで我々は各パターンの動きを表現するために、雪のデータを解析して雪粒の形状、面積から雪粒の移動距離や移動方向などの関係式を導出した。これらを基に、雪粒に球状ポリゴンを用い、この雪粒の大きさと形状を変化させ、3つの運動パターンを組み合わせて雪の動きを生成した。さらに降雪と背景を組み合わせた描画により、リアルタイムでの実態的な降雪シミュレーションを実現した。
著者
坂巻 英一
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.69-85, 2006 (Released:2006-04-13)
参考文献数
13

Under the current financial and economic situation, risk control of financial institutes is becoming one of the most significant factors to stabilize the economic condition. One of the most important methods for risk controlling is the evaluation of rating for each company, and now a generalized linear regression model such as the ordered logit model has been widely used in the preceding studies of the rating forecasting model.     In statistical modeling, the multi-nominal logit model as well as many other models have been developed from the multi-nominal logit model and are expected to decrease the I.I.A. (Independence from Irrelevant Alternatives) assumption. However, these models have not usually been used in the study of rating forecasting model so far.     In this study, we will construct a rating forecasting model based on the normal ordered logit model, multi-nominal logit model and nested logit model, and compare the model performance among these models. Finally, we will confirm the validity of these models by applying them to actual publicly disclosed rating data.
著者
一木 忠治
出版者
東芝技術企画室
雑誌
東芝レビュー (ISSN:03720462)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.26-29, 1969-01
被引用文献数
1
著者
吉田 昌志
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.867, pp.63-78, 2013-01-01
著者
田中 雅文
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.95-110, 2005-05-30

Previous research findings show that voluntary activities carried out by NPOs (nonprofit organizations) enhance learning and self-development among volunteers. Meantime, it has become difficult for post-adolescents to form a self-identity. Can NPOs reduce this difficulty? This report discusses the above-mentioned issue, by adopting the concepts of reflexivity and public space. First, it discusses how the human relationships nurtured in voluntary activities can provide the self as a "reflexive project" with opportunities to form an identity. Second, it proposes a concept of public space produced by NPOs and examines the possibility of a reflexive transformation of the self and society promoted by voluntary activities within the public space. Finally, it discusses the significance of that kind of space for the formation of identity in post-adolescence, by combining two concepts, namely, public space and learning. The following findings are obtained. Voluntary activities nurtured within the public space produced by NPOs promote the reflexive transformation of the self and society based on concrete human relationships, experience and outcome of activities, and therefore liberates the participants from the formation of an identity dependent on abstract information. Such public spaces are filled with various kinds of learning, and therefore are nothing less than "learning spaces." The learning emerging there can be called "reflexive learning." At present in Japan, it is important for post-adolescents to understand that social transformation and self-development are part of one united body. Through that process they can recognize their own position and power in actual society and gain an identity as a member of society. Meanwhile, it may lead us to evade a "risk society." Therefore, "reflexive learning" has the potential to achieve simultaneously the formation of identity in post-adolescence and the liberation of our society from risk.
著者
中村 幸子
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.27, pp.279-291, 2006-03-31

本考察は,百武兼行(1842-1884)のパリでの絵画研究を明確に示すことを目的としたものである。そこで,時期は異なるが百武と同じくレオン・ボナ(Leon BONNAT,1833-1922)に学んだ五姓田義松(1855-1915)を取り上げた。考察の結果,百武の絵画研究は,ボナとの出会いによって人物習作を中心に展開され,その内容は充実したものとなった。百武にとってのパリ留学は,後に滞在することとなるローマにおける積極的な制作へとつながったといえる。
著者
久田 俊哉 和田 豊
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1735-1736, 1989-03-15

ISO(International Standardization Organization)で進められているOSI(Open Systems Interconnection)標準化が、下位層については実証段階を迎え、米国・欧州・日本などで実装規約(機能標準)が開発され、相互接続実験の計画や適合試験計画が進行中である。本稿では,通商産業省工業技術院大型プロジェクト「電子計算機相互運用データベースシステムの研究開発」の一環として住友電工で研究開発を進めているLAN/WANゲートウェイについて述べる。ゲートウェイの構成と機能については、第36回の本大会(昭和63年前期,講演番号7F-5)で報告した。今回は、昭和63年4月より同年11月の期間に大型プロジェクトで実施された相互接続実験を通じてゲートウェイを評価した結果について報告する。
著者
鈴木 健二 加藤 聰彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1035-1036, 1986-10-01

近年、パソコンが普及するにつれ、通信回線を用いた遠隔データベースからの情報検索、メイルセンタを介したメッセージ交換、パソコン間での文書やファイルの送受信等、パソコン通信が盛んになっている。これらのパソコン通信では、無手順、基本データ伝送制御手順、テレテックス手順等、各種の通信方式が採用されているが、 それぞれ一長一短があり、高速で伝送誤りに強く、全二重通信が可能な通信方式の導入が望まれる。一方、データ通信の分野では、パケット交換方式が定着してきた他、異機種システム間通信の実現にむけて、OSI(開放型システム間相互接続)の標準化が進み、CCITTやISOにおいては各種の標準が作成されており、今後ともそのプロトコルの制定が進められる状況にある。筆者等は、これまでにVAX11/780上で、OSIトランスポート、セション層標準の実装を完了しており、今回、パケットプロトコルX.25、X.32、OSIトランスポート、セションプロトコル等をパソコン上で実装し、公衆電話網やパケット網を介して、高速・全二重で信頼性の高いデータ伝送が可能なパソコン通信システムを実現した。以下に、本高度パソコン通信システム(μ-OSI)の概要を報告する。
著者
杉山 あかし
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.77-92, 1989

ダーウィニズムの視点から見た場合、これまで論じられてきた社会進化論のいくつかの主張にはかなりの問題がある。本稿はまず、ラマルキズムからダーウィニズムヘの変革において存在した、論理の組み立て方の転換を明らかにする。そして、この転換によって本来可能になるはずであった議論展開の可能性を考えながら、社会進化論の通念を吟味していく。「選択によってより優れたものが残る」という命題が、社会的事象に適用される場合の問題点が示され、しかもここでの「優れたもの」の含意が日常語的な意味とは懸け離れたものであることへの注意が喚起される。また、ダーウィニズムと、「分化」「複雑化」「発展段階」といった理論装置は、結び付くことが困難であることが示される。本稿は、このような考察の後に、ダーウィニズムの今後の展開方向を示唆する。まず、個人意識の社会による規定や、利他行動についてのダーウィニズム的解釈についての言及がなされ、そして、ある種のミクロ・マクロ・リンクの理論として、ダーウィニズムが、社会というマクロな過程によって疎外されていく人間のあり方を考える一つの方法となりえることが示される。ここに、再生産論としてのダーウィニズムの、再展開の可能性が示唆される。